ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Simon Reynolds ——レイヴ・カルチャーの本質にあるのは政治性ではない、どれだけぶっ飛べるかだ:サイモン・レイノルズ『未来マニア』刊行のお知らせ
  2. Hajime Tachibana ——プラスチックス結成50周年、立花ハジメがニュー・アルバム『dad bb』、12インチ・シングル「ZOUNDS!」をリリース
  3. Kneecap ——今年のグラストンベリーに大量のパレスチナの旗をはためかしたアイルランドのラップ・グループの情報、8月には映画も上映
  4. Columns Holy Tongue UKダブを更新するバンド、ホーリー・タンの初来日公演
  5. DUB入門――ルーツからニューウェイヴ、テクノ、ベース・ミュージックへ
  6. FUNK OF AGES ──JBからヴルフペックまでを見わたすディスクガイド『ファンク超大全』が刊行
  7. 吉岡誠 - 江戸アケミ、四万十川から
  8. interview with The Lemon Twigs ロック/ポップスの素晴らしき忘れ物 | ザ・レモン・ツイッグス、インタヴュー
  9. Seefeel - Sol.Hz | シーフィール
  10. THE CROWD──ele-king presents HIP HOP JAPAN
  11. Columns #16:ワールドカップ2026 ──時代は変わった(日本代表のことではない)
  12. KNEECAP/ニーキャップ -
  13. 未来マニア──エレクトロニック・ミュージック・ガイド
  14. DADDY G(MASSIVE ATTACK) & DON LETTS ——パンキー・レゲエ・パーティのレジェンド、ドン・レッツとマッシヴ・アタックのダディ・Gが揃って来日ツアー
  15. Aho Ssan - The Sun Turned Black | アホ・サン
  16. interview with BADBADNOTGOOD (Leland Whitty) 彼らが世界から愛される理由  | バッドバッドノットグッド、インタヴュー
  17. R.I.P. Miru Shinoda 追悼:篠田ミル
  18. Massive Attack - Heligoland
  19. KITSUNE NO YOMEIRI ──活動20周年、京都のインディ・バンド、キツネの嫁入りが新作をリリース&ツアーも
  20. ロバート・ジョンスン――その音楽と生涯

Home >  Reviews >  Album Reviews > Model 500- Digital Solutions

Model 500

ElectroTechno

Model 500

Digital Solutions

Metroplex

Underground Gallery Amazon

野田努   Feb 19,2015 UP

 昨年末、ファンカデリックは33年ぶりの3枚組33曲入りのオリジナル・アルバムを発表した。ジョージ・クリントンはいまはもうデトロイトにはいないが、彼の地にPファンクが存在したことは、デトロイト・テクノを語る上で強調し過ぎてもいいくらい重要である。「デトロイト・テクノとは、エレヴェイターのなかでクラフトワークとジョージ・クリントンが鉢合わせになった音楽」とはデリック・メイの名言だが、その「ジョージ・クリントン」の部分、すなわちモータウンとキング牧師の記憶、すなわちレベル・ミュージックとしての黒人音楽というコンテキストは、デトロイトならではのメルクマールであり、そういう意味でホアン・アトキンスとは、文字通りのゴッドファーザー・オブ・デトロイト・テクノだ。
 “ノー・UFOズ”は、ハウスとエレクトロ(=クラフトワーク)を融合した最初の曲だと評価されているが、同時にリリックには、Pファンクのセンスが注がれている。ダマされるな、UFOはいる(希望はある)、飛べ……この「飛べ(fly)」には、ハイになるイメージと飛翔するイメージが重なっている。
 いまならこの曲こそ重要だったと言えるのだが、当時はいろいろなものがいちどにどさっと来てしまったので、紛れてしまったのだろう。あるいは彼の政治性は70年代的なものを引きずった古くさいものに見えてしまったのかもしれない。アシッド・ハウスの時代では、ひたすら踊るのに歌詞は邪魔だった。

 モデル500名義でのアルバムとしては、1999年の『Mind And Body 』以来の4枚目(うち1枚はベスト盤だから、オリジナル・アルバムとしては3枚目)となる。マイク・バンクスとアンプ・フィドラーという、Pファンクを知るふたりが参加した本作は、まさに「クラフトワークとジョージ・クリントンが鉢合わせた」音楽としてのデトロイト・テクノだ。1曲目の“ Hi NRG”から順に聴けばいい。ファンクとテクノ、あやゆる要素をひとつのまとめた“ノー・UFOズ”の頃のアトキンスがいる。6曲目の“GROOVE”では、“マゴット・ブレイン”のエディ・ヘイゼルじゃないかと錯覚してしまうであろうギターソロが挿入される。
 アルバムのほとんどはクラフトワーク『コンピュータ・ワールド』のアフロ・アメリカン・ヴァージョンだが、作品にはミニマル・テクノがあり、驚くべきことにダブステップへのリスペクトもある。新生〈R&S〉は、5年前に、みんが知るところの青と銀色のスリーヴでモデル500の新曲をリリースしたものだが、あれはたしかに粋だった。これが俺たちのルーツだ。レーベル側の主張が見える。「CMYK」がヒットしていた頃だったからなおさら。
 アルバムの最後は、2012年に〈R&S〉からシングルとしてリリースされた“ Control”。クラフトワークが歳を取らないように、モデル500はいまも現役のマンマシンだ。電子音に命を吹き込み、リスナーの感情を発展させる華麗なマシン・ファンク。しかもこれはデトロイトでしか生まれない音なのである。

野田努