ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. ボカロが世界に与えた衝撃 一億回再生の意外な背景
  2. Mamas Gun - Dig! | ママズ・ガン
  3. DADDY G(MASSIVE ATTACK) & DON LETTS ——パンキー・レゲエ・パーティのレジェンド、ドン・レッツとマッシヴ・アタックのダディ・Gが揃って来日ツアー
  4. 別冊ele-king J-PUNK/NEW WAVE-革命の記憶
  5. 菊地雅章 - 六大(地・水・火・風・空・識)
  6. Squarepusher ──スクエアプッシャーのニュー・アルバムがリリース
  7. Oklou - choke enough | オーケールー
  8. Moemiki - Amaharashi
  9. VMO a.k.a Violent Magic Orchestra ──ブラック・メタル、ガバ、ノイズが融合する8年ぶりのアルバム、リリース・ライヴも決定
  10. Interview with Tomoro Taguchi パンクって……何をやったらいいかわからない人、若い人たちにヒントと引き金を与えてくれた音楽であり、考えさせる音でしたね。
  11. Ethel Cain - Perverts | エセル・ケイン
  12. アンビエント/ジャズ マイルス・デイヴィスとブライアン・イーノから始まる音の系譜
  13. butaji - Thoughts of You
  14. 行松陽介
  15. KENNY DOPE JAPAN TOUR 2026 ——ケニー・ドープ、9年ぶりの来日決定です
  16. Masabumi Kikuchi ──ジャズ・ピアニスト、菊地雅章が残した幻のエレクトロニック・ミュージック『六大』がリイシュー
  17. 別冊ele-king 音楽が世界を変える──プロテスト・ミュージック・スペシャル
  18. Nondi_ - Nondi... | ノンディ
  19. Zoh Amba ──サックス奏者ゾー・アンバが〈マタドール〉と契約、ギターを手に歌う新作をリリース
  20. Geese - Getting Killed | ギース

Home >  Reviews >  Album Reviews > Ben Frost- Aurora

Ben Frost

DroneIndustrialNoise

Ben Frost

Aurora

Mute / Bedroom Community / Traffic

Tower HMV Amazon iTunes

倉本諒   Jun 11,2014 UP

 ベン・フロストとは何者か。新生スワンズ(本作『オーロラ』にはソー・ハリスが参加している)の“ジ・シーア”やビョークのリミックスを手掛けている? ティム・ヘッカーが本作のポスト・プロダクションを行っている? あれ、こないだの『WIRE』の表紙にもなっている? なぜ。惑星間レイラインの影響なのか(詳しくはビル・ドラモンド『45』参照)。本作からイメージされる宇宙チャネリング感を念頭におけば、それもあながち間違いではないかもしれない。惑星間レイラインはアイスランドからニュージーランドへ続くというし、メルボルンからそのメガ・パワーをたどることも不可能ではないだろう。この作品を聴くまで彼をほとんど知らなかった僕は、ググるたびに彼のセレブリティなプロフィールに圧倒されつつヒガミ根性をふつふつと沸き上がらせている。ベン・フロスト。オーストラリアはメルボルン出身、2000年代の初頭から活動をつづけ、現在はアイスランドのレイキャビクを拠点として北欧のエレクトロニカ・シーンを牽引するプロデューサーである。

 ヘソ曲がり全開なことを言えば、彼のバンドキャンプのページに記載されている「パンク・ロックやメタルとともにクラシックなミニマリズムに影響を受け云々」というくだりはやや不正確だ。モグワイやゴッドスピードのような、パンク・ロックやメタルに影響を受けたであろうポストロック、あるいはシガーロス等のシューゲイズは、逆にゼロ年代初頭のハードコアやメタルバンドへ甚大な影響を与えたのだ。あの頃は誰もがシンプルなリフで、センチメンタルかつやたらにドラマティックな楽曲を作っていた。ベン・フロストもその渦中にいたことは彼の過去作品を聴いても明らかである。個人的にはセンチメンタリストであることがパンクとメタルの本質ではないと強く思うゆえ、彼の音楽の根元にあるのはパンクとメタルじゃなくて、ポストロックやシューゲイズでしょう! というツッコミによって『オーロラ』のひとつの本質に迫っておきたいと思う。

 そして本作『オーロラ』ももちろん充分にセンチメンタル、かつドラマティックに展開される。ギターとピアノにかわり、硬質なエイベルトン・サウンドによる、映画『グラヴィティ』ばりの宇宙スペクタクルな世界観が聴者をブチ上げるだろう。新しいかといえばそういうわけでもないが、各音楽メディアの注目も含めてポスト・ハクソン・クロークな大ブレイクは間違いない。

倉本諒