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P-FUNK

P-FUNK

——『別冊ele-king Pファンクの大宇宙──ディスクガイドとその歴史』発売に寄せて

Nov 18,2025 UP

 いまからおよそ50年前、つまり1975年12月にパーラメントの『マザーシップ・コネクション』は地球——デトロイトのゲットーに——飛来した。その人類の偉大なる第一歩からの半世紀を祝福すべく、我々はPファンクの別冊号をつくることにしたのである。監修はPファンク研究の第一人者、いまでもジョージ・クリントン(あるいはその孫たち)との交流をもつ河地依子さんにお願いした。
 まあ、『マザーシップ・コネクション』から半世紀というのもあるが、やはりいま、どう考えても世界にはPファンク的なものが足りていないし、必要とされていると思うからつくったのである。というか、以前からこれだけはやっておきたいと思っていた特集なので、完成できたことがとても嬉しい。
 先週末、恵比寿のリキッドルームですばらしいDJを披露したジェフ・ミルズは、東京藝大で「Thinking Out of a Box (枠にとらわれない思考)」をテーマに講義をすることになっている。Pファンクのジョージ・クリントンはまさに枠など眼中にない、型破りなアーティストだ。アメリカで暮らす黒人像のステレオタイプ化を破壊するために、Pファンクはサイケデリックからメタルからミュジーク・コンクレート、オムツを穿いてギターを弾くことからエイリアンに扮することまでなんでもやった。普通であれば色物として嘲笑されかねないこうした試みを、超一流の演奏力とずばぬけた創造力をもって力強いメッセージに変換するという、コルトレーンやジミヘンにはできなかった表現方法を介して民衆の前に登場したのである。なぜPファンクがブラック・カルチャーにとって重要だったのかは、1970年代のデトロイトに生まれ育ったニール・オリヴィエラ(デトロイト・エスカレイター・カンパニー名義で知られる)が書いてくれた(必読!)。
 本書は、彼らの主要アルバムをふくむソロ作/関連作など150枚以上のディスク紹介とPファンク史を主軸とした、Pファンク・ガイド本の決定版である。あらためてPファンクの豊かな音楽性、先見的だった政治性、および笑いを取りながら反抗するという奇想に満ちた芸風には驚かされる。いまでもPファンクが有効なことの証拠のひとつに、ニューヨーク新市長ゾーラン・マムダニが、市長選の開票前に投票を呼びかける動画のBGMとして、ファンカデリックの“Everybody Is Going to Make It This Time"を使っていたのである。また、2025年に日本で上映された映画のなかでひときわインパクトがあった作品のひとつ、『罪人たち』におけるあのアフロ・フューチャリズムの場面において唐突に登場するひとり——ブルースからヒップホップへとつなげるど派手な媒介者——は、どう考えてもブーツィー・コリンズをモデルにしていた。
 なんにしても、ジョージ・クリントン的にいえば、いま地球はファンクが欠乏しすぎている。さあ、はやくファンクを取り戻さなければ!
 『別冊ele-king Pファンクの大宇宙──ディスクガイドとその歴史』、本日から発売開始です。
 なお、ニール・オリヴィエラの希望によって、彼に支払われる原稿料からパーラメントの『Funkentelechy Vs. The Placebo Syndrome』のCDを4名さまにプレゼントします。ご希望の方は、ニールのコラムがはじまるページのノンブル(ページ数)の部分を切り取って、官製はがきにてメールアドレスのみ記入のうえ、「〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町21-2 池田ビル2F 株式会社Pヴァイン ele-king編集部 Pファンク・プレゼント係」までご応募ください。〆切は12月22日までに必着とします。

目次

【ディスクガイド・ヒストリーほか】
文:河地依子・新田晋平・春日正信・野田努・二木信・小林拓音

Chapter 1 前史 1955~
Chapter 2 ファンカデリック始動 1970~
Chapter 3 黄金時代 1974~
Chapter 4 ジョージのソロ活動 1981~
Chapter 5 Pファンクの復活 1989~
Chapter 6 再評価の波 1996~
Chapter 7 新世代との融合 2009~
Chapter 8 主要メンバーたちのソロ活動

【コラム】
楽しいPファンク(河地依子)
Pファンクとデトロイト・テクノ、あるいはメタ化されたファンク(野田努)
ヒップホップ世代に継承されるPファンク(二木信)
ジョージの自宅訪問記(河地依子)
Pファンクが解放したもの、身をもって変革したこと(ニール・オリヴィエラ)

【インタヴュー】
ジョージ・クリントン 1992(河地依子)
ジョージ・クリントン 1994(河地依子)

人物紹介(河地依子)

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