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Danny Brown

Hip Hop

Danny Brown

uknowhatimsayin¿

Warp / ビート

Tower HMV Amazon iTunes

大前至   Dec 27,2019 UP

 Q-Tip がエグゼクティヴ・プロデューサーを務めるということで、個人的にもリリース前から期待度が非常に高まっていた Danny Brown の5作目となるニュー・アルバム。結論から先に言ってしまうと、その期待通りの素晴らしい出来で、間違いなく2019年を代表するヒップホップ・アルバムの1枚だ。

 2ndアルバム『XXX』を A-Trak 率いる〈Fool's Gold〉からリリースし、4枚目となる『Atrocity Exhibition』からは〈Warp〉と契約を結ぶなど、いわゆるメジャー・アーティストや、あるいはアンダーグラウンドのラッパーとも異なる道を辿ってきた Danny Brown。奇抜な髪型にさらに前歯も抜けていたりと、ルックス的にも個性的過ぎる彼であったが、それ以上にフリーキーとも言えるラップのスタイルと、天才と変態が表裏一体になっているようなリリックの世界観は、まさに唯一無二の存在であり、ヒップホップ以外のフィールドからも非常に高い評価を受けてきた。そんな、ある意味、アーティストとして完全に突き抜けた位置にいた Danny Brown であったが、今回、Q-Tip がアルバム制作に関わったことによって、彼の持つ混沌の方向性が見事に整理され、ひとつの作品としての強度は非常に増している。Q-Tip 自身もプロデューサーとして3曲手がけており、ファースト・シングルとなった “Dirty Laundry” は実に Danny Brown らしいフリーキーな1曲であるが、個人的にも本作のベスト・トラックと思っているのがセカンドカットの “Best Life” だ。リリック的にはドラッグにまみれたような最悪な環境から何とか這い上がるしかないという、どう見ても複雑な「最良の人生」をラップしているわけだが、Q-Tip ならではのソリッドなドラムを軸としたトラックの、程よくファンキーで明るい希望を見出してくれるような空気感が、全てを前向きに輝かせてくれる。

 ゲスト参加曲では Run the Jewels をフィーチャした “3 Tearz” がリリックの内容の酷さも含めて、Danny Brown の魅力を十二分に引き出しており、ナイジェリア出身のシンガー、Obongjayar をフィーチャしたタイトル・チューン “Uknowhatimsayin¿” も Danny Brown のまた別の顔が伺える一方で、盟友、Paul White が手がける浮揚感溢れるトラックが最高に素晴らしい。そして、参加プロデューサーに関しては、やはり “Negro Spiritual” での Flying Lotus は特別な存在感を放っており、Thundercat が奏でるベースラインとともに Danny Brown の持つ狂気を見事に増幅させている。

 Danny Brown 自身は本作を「スタンドアップ・コメディ的なアルバム」と語っているそうであるが、彼の持つユーモアと毒をひとつのアートとして見事に昇華させることができたのは、間違いなく Q-Tip の功績であろう。ATCQ 亡き後、Q-Tip の今後の動きにも注目してみたい。そう思わせてくれる作品だ。


大前至

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