ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Hajime Tachibana ——プラスチックス結成50周年、立花ハジメがニュー・アルバム『dad bb』、12インチ・シングル「ZOUNDS!」をリリース
  2. FUNK OF AGES ──JBからヴルフペックまでを見わたすディスクガイド『ファンク超大全』が刊行
  3. Simon Reynolds ——レイヴ・カルチャーの本質にあるのは政治性ではない、どれだけぶっ飛べるかだ:サイモン・レイノルズ『未来マニア』刊行のお知らせ
  4. 吉岡誠 - 江戸アケミ、四万十川から
  5. THE CROWD──ele-king presents HIP HOP JAPAN
  6. KITSUNE NO YOMEIRI ──活動20周年、京都のインディ・バンド、キツネの嫁入りが新作をリリース&ツアーも
  7. Columns Holy Tongue UKダブを更新するバンド、ホーリー・タンの初来日公演
  8. Seefeel - Sol.Hz | シーフィール
  9. Aho Ssan - The Sun Turned Black | アホ・サン
  10. Columns #16:ワールドカップ2026 ──時代は変わった(日本代表のことではない)
  11. 未来マニア──エレクトロニック・ミュージック・ガイド
  12. Cornelius ──コーネリアスがさらなる新曲“Twisting & Glistening”を公開
  13. R.I.P. Miru Shinoda 追悼:篠田ミル
  14. KAKUHAN, FLYING RHYTHMS, Undefined ──真夏の夜のダブ、〈Newdubhall〉による自主企画イベントに刺激的な面々が集結
  15. Beatrice M. - Sinking | ベアトリス・M
  16. interview with Loraine James ロレイン・ジェイムズの“ポップ”な冒険 | ——来日直前インタヴュー
  17. Columns Introduction to P-VINE CLASSICS 50
  18. Cornelius ——コーネリアス、ニュー・アルバム『REFRACTIONS』の詳細を発表
  19. Drive From 80s - @新宿ロフト
  20. 野田 努

Home >  Reviews >  Album Reviews > Matias Aguayo- Ay Ay Ay

Matias Aguayo

Matias Aguayo

Ay Ay Ay

Kompakt/Octab-Lab

Amazon

野田 努 Nov 26,2009 UP

 ミニマルの将来だって? 知ったこっちゃないわよ。昨年のシングル「ミニマル」(DJコーツェによるリミックスを含む)によってヒットを飛ばしたチリ人で、かつてクローザー・ミュージックのひとりとして活動しながら、初期〈コンパクト〉の名声にも一役買っていたマティアス・アグアーヨは、しかしミニマルが同じところをぐるぐる回っている事態を許さない。2005年の『Are You Really Lost』以来のセカンド・アルバムとなる本作は、おおよそスペイン語の声だけで作られたミニマルである。15歳の石野卓球も同じことをしていた。高校1年生の彼は、自分の声をボスのギター用のコンパクト・サンプラーに取り込んでループさせ、その上にシンセをかぶせながらデペッシュ・モードの"ニュー・ライフ"をカヴァーしていた。あの時代とは、機材も状況もぜんぜん違う。で、可笑しいのが、アグアーヨがこのアルバムで展開している"実験"は、どうにもテクノ・ポップめいていることなのだ。声のサンプルを楽器代わりに使うという発想が、まあ、80年代的ではある。

 シングル・カットされている"Rollerskate"は良くできたポップ・ミニマルで、男の低い声と女の声が絶妙に交わっているトラックにディスコ・ソングが乗っかる。〈コンパクト〉らしい無邪気な音楽だ。"Ritmo Tres"は『ピッチフォーク』によれば「トーキング・ヘッズ・オン・E」だそうで、まあ、「ミニマル」もそうだったが、たしかにそのアフロビートはテクノ・サウンドのなかで咀嚼され、ユーフォリックに変換されている。僕はこの人のフェイクなエキゾティズムが気に入っていて、だから僕に言わせれば「マーティン・デニー・オン・E」となる。アルバム最後の曲"Juanita"は、ケルンのクラブとポリネシアの海岸を繋いでいるようだ。一瞬、何か騙されたような気持ちになるかもしれないが、しばらくすれば心地よくなる。ユーフォリックに変換されているから。"Koro Koro"も好きな曲のひとつ。これはまるで......リオの海岸でクラフトワークがサンバを演奏しているようだ。

 だいたいiTUNESでこのアルバムを取り込むと、ジャンルは"Easy Listening"となる。まあ、たしかにそうかもな~。

野田 努