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interview with Acid Mothers Temple

interview with Acid Mothers Temple

アシッド・マザーズ物語

──河端一、超・超ロング・インタヴュー

大久保潤    撮影:小原泰広   Apr 30,2013 UP

『ビッチェズ・ブリュー』を俺がやるんやったらもうちょっと面白くできますよという皮肉がこめてある。だからあれ、海外のレヴューとかやと「マイルス・デイヴィスのアルバムに捧げた」とか書いてあるけど、いやいや捧げてない(笑)。

■ブッキングってどういうふうにやってるんですか?

河端:昔は全部自分でやってたんですよ。日本でブッキングするのと同じ方式。1回出たことのある店に直接連絡したり、その地区に住んでるミュージシャンの友だちに頼んだり。もしくはレーベルとかに。はじめはそれやってんけど、いまはもうブッキングエージェントに所属して。
 最初の頃はメールもないんでファックスやったし。ファックスがまた腹立つねん。1枚送るのに61秒かかるんよ。国際電話だと1分と2分で全然値段が違うから。61秒になった時点で120秒の扱いになるんで、国際電話代が2倍になる。当時1ヶ月の電話代が1万8千円とかやったからね。国際電話、KDDIだけで。

■アメリカやヨーロッパだとブッキングエージェントもいると思うんですけど、最近はアジアも多いですよね。

河端:アジアもね、とにかくすべて最初はそこに住んでる地元のミュージシャンとか、自分の作品を出してくれるレーベルとか、それがきっかけなんですよ。最近はFacebook上で知り合ったりしてるけど、まあ去年中国行ったときに出来た知り合いとか。あとは向こうでCD出してくれたレーベルが仕切ってくれたり。1回行けばあとはネットワークが広がっていくんで。行った先でまた出会うから、あとは向こうから勝手にオファーが来るというパターンで。

■じゃあ最初は小さくともそこからだんだん広がっていく感じなんですかね。

河端:そうですね、結局日本でやってることと一緒ですよ。たとえば東京のバンドが地方に行くときに、はじめは大阪のバンドを東京に呼んで、「じゃあ今度は俺ら呼んでよ」みたいな感じでやるじゃないですか。それで大阪に行ったらまた知り合って次はまた一緒にやりましょう、東京に来たら俺が世話するから......ってやりとりしているうちにネットワークが広がっていって四国とか九州とかいろんなところでやるようになる。
 よく海外ツアー行きたい言うてる人がいるけど、一言やで。日本でやってることと同じことなんです。なんの特別性もない。青春の思い出作りに行くんやったら勝手に行けばいい。でももし海外で将来的にちゃんと仕事としてやっていきたいと思うなら、まず小さくてもいいから地元のレーベルからCDを出して、それに対してプロモーションでツアーをしないと。作品を出せばディスク・レヴューも載るでしょ。話題にも多少はなるから、ライヴで来るってなれば記事にもなる。記事になったら目に付くからお客もひと通りは来るんよ。でも何もなしで突然行っても、ただフロムジャパンのバンドが来たっていうだけで。15年前だったらフロムジャパンというだけでも対バンもつくしお客も入ってたけどいまはもうそういう時代じゃないんで。

■もう珍しくもないですよね。

河端:珍しくない以上にね、昔は日本のバンドは全部面白いと思われてたんですよ。それがいっぱい行くようになって、面白くないバンドもいるということがバレたんよ。

■なるほど!(笑)

河端:たとえば日本人が昔はブリティッシュ・ロックは全部凄いと思ってたのが、どうも外人のバンドやからって全部かっこいいわけじゃないなっていうことがわかってきたというのと同じやね。

■わかりやすい(笑)。

河端:外国に行ってよく言われるのが、日本のミュージック・シーンとかアングラ・シーンでも、海外でよく頑張ってるバンドってことでMONOとかBORISとかMelt-Bananaとか言われるけど、個人的に面識のある人もいるけれども、日本ではまったく関係のないシーンにいるし客層もまったく違う。お前らで言うたらヴェルヴェット・アンダーグラウンドとイーグルスとグレイトフル・デッドとか3つあげて「どう思いますか?」って言うとるの同じことやぞ。だからジャパニーズ・アンダーグラウンドという一括りにせんといてくれと。括るのは勝手やけど、それは違うことやからわからないことが多い。

■昔あるバンドがツアーに行くと、行く先々で「少年ナイフと知り合いか」って言われるって言ってましたけど。

河端:そうでしょ。俺らの最初の頃はコーネリアスやったからね。けっこうコーネリアスがヨーロッパ回ってた頃で。日本ではコーネリアスはヒットチャートにも上がってて、俺らは当時はまだ無名のバンドやったけど、クラブサーキットでまわるクラブは一緒なんやね、ほとんど。

■へえー。

河端:だって俺らフランスのフェスティヴァルで一緒にやったのが小西康陽(笑)。楽屋も一緒。日本のイベントみたいなやつで。
 そのライヴはちょっと気の毒やったけどね、小西さんは。DJやったんやけど、俺らが先に出たのね。その日ホークウィンドが同じ日にライヴやってて、俺らの客が全部「まだ間に合うから」ってホークウィンドに行っちゃって(笑)。そんなところでDJしてはって「気の毒やな、これ」って。

■それは辛いですね......。

河端:ほんで俺らはやっぱ1年に1回しか来ないからね。話は変わるけど、俺らは「フェア」てことに関しては昔からすごく厳しく考えとって。ロンドンでも1年に1回、ニューヨークでも1年に1回じゃないですか。東京だけで年に10回とかやったらそれはおかしい。俺は世界中の人に対してフェアでいたいから日本でも1回しかやらない。
 アメリカとかヨーロッパやと5時間とか6時間とかかけて見に来る人がおるからね。いくらツアーやってたってあんなに広いとこやからフォローしきれないわけで。そうなると自分の家から一番近いところがここやとなったら5~6時間車で走ってくる。それでいまから帰って明日はまた仕事で出勤せなあかんと。向こうはライヴ終わるの2時くらいやからダッシュで帰らなっていうから「ありがとうなあ」ってなんねんけど。
 それくらいのことをみんなするんで、日本でも5時間くらいの移動は費やしてくれと。だから東京からなら名古屋なんか3時間でしょ? だからまあ名古屋くらいがちょうどええかなということで。

■ああ、それで年末のアシッド・マザーズ祭(*17)は名古屋で。

河端:とにかく条件としては海外とあまり変わらないようにってことであそこでやってる。だから日本でだけ何度もはやらない。

■たしかに、わりと厳選されてる感じはしますね。

河端:あとは依頼も来ないしね(笑)。


(*17)
名古屋のTOKUZOで毎年年末に行われる恒例の大イベント。

取材:大久保潤(2013年4月30日)

Profile

大久保潤大久保潤/Jun Okubo
1975年東京生まれ。書籍編集者として菊地成孔・大谷能生『東京大学のアルバート・アイラー』、佐々木敦『「批評」とは何か』、『アメリカン・ハードコア』『ブラック・メタルの血塗られた歴史』、ミック・ファレン『アナキストに煙草を』などを担当。ポストパンクバンド「大甲子園」、即興ドゥームロックバンド「Filth」、即興ハードロックバンド「Filth Iconoclast 666」等のギター。
ブログ:http://www.noiznoiznoiz.com

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