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Common

Hip Hop

Common

A Beautiful Revolution (Pt 1)

Loma Vista / ユニバーサル

大前至   Dec 28,2020 UP

 4年前、2016年のアメリカ大統領選挙直前に通算11枚目となるアルバム『Black America Again』を発表した Common だが、今回の選挙でも投票の4日前に本作『A Beautiful Revolution (Pt 1)』をリリースした。本作はアルバムではなくEP、あるいはミニ・アルバムという位置付けのようであるが、『Black America Again』および昨年(2019年)リリースのアルバム『Let Love』と同じく Karriem Riggins がメイン・プロデューサーを務めており、さらに Common、Karriem Riggins とのスーパーユニット=August Greene の一員でもある Robert Glasper も参加するなど、ここ数年の Common 作品と同じ流れにある。ヒップホップとジャズを軸にしながら、優れたミュージシャンたちと共に高い音楽性を実現すると同時に、人種差別など様々な社会的な問題に対して自らの姿勢を表明し、そして聞く人々を励まし、気持ちを鼓舞する。

 アルバムの核となっているのが先行シングルでもある “Say Peace” だ。エッジの効いたアフロビートのトラックに乗った Common と Black Thought によるマイクリレーが凄まじい格好良さで、平和を勝ち取るための彼らの「美しき革命」がポエティックな表現によって綴られている。Common 自ら「黒いダライ・ラマ」をラップしているように、彼らの戦い方はあくまでも平和的な姿勢が貫かれていて、それは女性シンガー、PJ(Paris Jones)のコーラスにある「Say peace, we don't really want no trouble」という一節にも表れている。その一方で Capleton、Super Cat、Shabba Ranks といったレゲエ・アーティストの声がスクラッチで挿入されるパートは実に戦闘的でもあり、アフロビートの本質が強く引き出された一曲となっている。

 Black Thought 以外にも、デトロイトの詩人 Jessica Care Moore など、多数のゲスト・アーティストが参加している。たとえば Lenny Kravitz が参加した “A Riot In My Mind” は、ロックの要素が強いこの曲のテイストに Lenny Kravitz のコーラスが見事にマッチしている。さらにインパクトが強いのが、Stevie Wonder が参加した “Courageous” だろう。タイトルが示す通り、「勇気とは何か?」ということを問うこの曲であるが、最初のヴァースで「It's like a lyric by Stevie Wonder」という一節を挟んだ上で、曲の最後の最後で Stevie Wonder の吹くハーモニカが登場するという構成が実に見事で、ハーモニカを手にした Stevie Wonder の姿が見えてくるような生々しく美しいメロディに心打たれる。

 『A Beautiful Revolution (Pt 1)』というタイトルから察するに、本作はシリーズとして今後も続いていく可能性が高いが、この「美しき革命」という言葉は今現在の Common が行なっている表現活動そのものとも非常にマッチするし、本作の示す方向性を見事に表している。Common による「美しき革命」がアメリカ社会はもちろんのこと、音楽シーンに対しても少なからず影響を与えることを期待したい。

大前至