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Sun Araw

Sun Araw

Ancient Romans

Sun Ark

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三田 格   Sep 07,2011 UP

 リイシューやリマスターが続いていたけれど、『オン・パトロール』以来、1年半ぶりとなる5作目はどうやらセルフ・レーベルから(正確にはマシュウデイヴィッドとのライヴ・カセットが昨年末にリリースされている)。
 マスタリングにソニック・ブームを迎えているところがまずは目を引くところで、導入はテリー・ライリーを思わせる中華風味のシンセ・ドローン。これがなかなか堂に入っていて、続く"クラウン・シェル"にも基本的なムードは引きつかれながら、だんだんとトレードマークのダブ・ファンクへと発展していく。それも前ほど先へ先へと急ぐ感じはなくなって、ダブに遊んでいるようなパターンが増え、全体的に陶酔感も高まっている。つまり、ソニック・ブームの起用はかなり頷ける。さらに"クレタ"ではサイケデリックな音が乱舞が延々と持続し、どこをとってもトリップ・ミュージック以外の何者でもなくなっていく。気持ちいい。
 『古代ローマ的』というのはさすがにダッサいタイトルだけど、瞑想的なモードに入りすぎて、もはやこの世にいる気がしないのだろう。それこそ60年代の轍をそのまま繰り返してしまいそうなほど現代には距離を感じ、頭の中はフィリップ・K・ディックのようなことになっているに違いない。目を上げたらローマが見えたとか、そんな感じ。イギリスを中心としたヨーロッパのセカンド・サマー・オブ・ラヴからは、こうした感覚は生まれなかった。「知」はアジアや古代に潜在しているという強迫観念はアメリカ人に独特のものなのだろうか。我らがキャメロン・ストーローンズがハレ・クリシュナやサイエントロジーのようにならないことを願うしかありませんね。
 中盤からは多少、乱れ打ちの感覚でトリップ・ミュージックのいろはが並べられる。いささか苦行めいた"デルフォイの神殿にて"(......ってギリシャじゃなかったっけ?)、どこからかドン・チェリーが出てきそうな"シーザーにぴったり"、後半はまたガラッと雰囲気を変えて、モンドめいた猥雑さを併せ持ちながら混沌としたヴィジョンが展開され、最後は100%シルクなどの動向を意識したのか、呪術的なディスコで締めくくられる(この曲だけベスト・コーストからボッブ・ブルーノがエンジニアに起用されている)。これでようやく現代に戻ってきたという意味なのだろうか......。

三田 格