「Nothing」と一致するもの

Ezra Collective - ele-king

 少し前のニュースだが、画期的な出来事なのであらためてお伝えしておきたい。ジャズやファンク、アフロビートなどを融合するロンドンの刺激的なバンド、エズラ・コレクティヴが今年のマーキュリー・プライズを受賞している(対抗馬はランクムロイル・カーナーなど)。昨年リリースされた『Where I'm Meant to Be』が高く評価されたかたちで(われわれも2022年のベスト30に選出)、ジャズ・アルバムが同賞を受けるのは史上初めて。
 リーダーでトニー・アレンの指導を受けたドラマーのフェミ・コレオソはスピーチで、今回の受賞が自分たちだけの力によるものではなく、彼らの活動を支えてくれた人びとや、トゥモロウズ・ウォリアーズ(イヴェントやワークショップをつうじてジャズ・アーティストの育成をはかるプログラム、UKジャズの重要な発火点のひとつ)のような存在があったことを忘れずに付記している。どこかの国とは異なり、文化にたいする理解と共感が深く根づいているからこそ、今回の結果がもたらされたのだろう。
 受賞作『Where I'm Meant to Be』のレヴューはこちらから。


9月のジャズ - ele-king

 去る9月6日にジャズ・ベーシストのリチャード・デイヴィスが亡くなった。有名なプレーヤーというわけではなく、どちらかと言えば脇役で光るタイプだった。マイルス・デイヴィス、エルヴィン・ジョーンズなどとの共演で知られるほか、ヴァン・モリソンの『アストラル・ウィークス』、ブルース・スプリングスティーンの『明日なき暴走』、ポール・サイモンの『ひとりごと』など、ジャズを離れてロック方面のアルバムにも参加している。ただ、1970年代には商業的な成功を収めることはなかったものの、とても良質なリーダー・アルバムを〈ミューズ〉に残している。『ザ・フィロソフィー・オブ・ザ・スピリチュアル』(1972年)、『エピストロフィー&ナウズ・ザ・タイム』(1972年)、『ディーリン』(1974年)がそれで、スピリチュアル・ジャズやジャズ・ファンクの観点から再評価されたアルバムだ。


Yussef Dayes
Black Classical Music

Brownswood Recordings

 サウス・ロンドンには優れたジャズ・ドラマーが数多いが、そのひとりであるユセフ・デイズのソロ・アルバム『ブラック・クラシカル・ミュージック』がリリースされた。彼のキャリアは2010年代初頭に兄弟のアーマッド、カリームたちと結成したユナイテッド・ヴァイヴレーションズに始まり、テンダーロニアス率いるルビー・ラシュトンへの参加、カマール・ウィリアムズと組んだユセフ・カマールと、サウス・ロンドンのジャズを牽引する動きを見せてきた。2020年にはトム・ミッシュとコラボした『ワット・カインダ・ミュージック』を発表して話題を集める一方、アルファ・ミストビンカー・アンド・モーゼススウィンドルなどいろいろなアーティストの作品への参加や共演をおこなっている。リーダー作としてはチャーリー・ステイシー(キーボード)、ロッコ・パラディーノ(ベース)とのトリオ編成のライヴ・アルバム『ウェルカム・トゥ・ザ・ヒルズ』(2021年)があり、ほかにユセフ・デイズ・エクスペリエンスというグループで同じくライブ音源となる『ライヴ・アット・ジョシュア・ツリー』(2022年)があるが、『ブラック・クラシカル・ミュージック』は初めてのスタジオ録音によるリーダー・アルバムとなる。

 『ウェルカム・トゥ・ザ・ヒルズ』はトニー・ウィリアムズ張りのテクニカルな演奏を見せるジャズ・ロック路線の作品で、『ライヴ・アット・ジョシュア・ツリー』はサックスを加えたフュージョン調の作品だったが、『ブラック・クラシカル・ミュージック』はよりルーツ色の濃い作品となっている。アルバム・タイトルにあるように、彼のルーツであるカリブやアフロ・キューバン色を感じさせる作品が多く、“アフロ・キューバニズム” というそのものズバリのアフロ・キューバン・ジャズも収録する。タイトル曲も急速調のアフロ・ジャズで、往年のマッコイ・タイナーあたりを彷彿とさせる作品だ。“ジェラート” ほか、ドラムだけでなく種々のパーカッションも組み合わせて有機的で躍動感に富むリズムを作っている点も特徴だ。なお、編成はユセフ・デイズ・トリオを発展させ、そこにシャバカ・ハッチングス、トム・ミッシュなどいろいろなミュージシャンが加わる形となる。

 シャバカ・ハッチングスをフィーチャーした “レイジング・アンダー・ザ・サン” はレイドバックしたカリビアン・ジャズ調のナンバーで、トム・ミッシュと共演する “ラスト” は彼らのアルバムの『ワット・カインダ・ミュージック』の延長線上にある作品。“ターコイズ・ギャラクシー” はコズミックな雰囲気を持つエレクトリック・ジャズで、ザ・コメット・イズ・カミングに近い作品。彼の生まれたばかりの赤ん坊の声を乗せたメロウ・フュージョンの “ザ・ライト”、ダンサブルなサンバ・リズムを刻む “チェイシング・ザ・ドラム”、フレットレス・ベースが活躍する南国風のブギー “ジュークボックス”、ジャミラ・バリーのスウィートなヴォーカルをフィーチャーしたメロウ・ソウル “ウーマンズ・タッチ” など様々なタイプの作品が並ぶ。『ブラック・クラシカル・ミュージック』とはユセフ・デイズのルーツを示すと共に、黒人音楽の根底にあるものも指していると思うが、ジャズにしろ、ソウルにしろ、ブギーにしろ、黒人音楽の幅広さや寛容性も感じさせる内容だ。


Matthew Halsall
An Ever Changing View

Gondwana

 2000年代後半よりジャズ・トランペッター/作曲家として、〈ゴンドワナ・レコーズ〉主宰者として、マンチェスターのジャズ・シーンを牽引してきたマシュー・ハルソール。リーダー・アルバムやレーベル所属のミュージシャンが結集したゴンドワナ・オーケストラのアルバムなど作品は数多く、『アン・エヴァー・チェンジング・ヴュー』は2020年の『サルート・トゥ・ザ・サン』から3年ぶりの新作。以前レヴューした『イントゥ・フォーエヴァー』(2015年)のときと参加ミュージシャンは幾分入れ替わっていたりするものの、楽曲の傾向や演奏スタイルはさほど変わってはおらず、基本的にはアリス・コルトレーンのように瞑想的で穏やかなスピリチュアル・ジャズや、ジョン・コルトレーン直系のモード・ジャズをやっている。世の中の流行やトレンドなどとは一切無縁で、自身の音楽を愚直に追及するマシュー・ハルソールを改めて示すアルバムだ。

 そうした中で今回のアルバムで印象的なのは、カリンバのようなアフリカ発祥の楽器をハープやグロッケンシュピール、チェレスタなどの西洋楽器と絡めて使い、アフリカ音楽と西洋音楽を結び付けるような演奏を見せる点だ。表題曲や “カルダー・シェイプス”、“マウンテンズ、ツリーズ・アンド・シーズ” などがそうで、ハルソールもトランペット以外にカリンバやグロッケンシュピール、チェレスタなどをマルチに演奏している。土着的なフルートやザイロフォン、ハープなどを絡めた “ナチュラル・ムーヴメント” もそうで、アフリカ音楽と西洋のジャズ、そしてミニマル・ミュージックやメディテーション・ミュージックなどの要素も融合したアルバムとなっている。


Khalab
Layers

Hyperjazz

 イタリアのDJカラブもアフリカ音楽と縁の深いアーティストで、マリ共和国のシンガー/パーカッション奏者のババ・シソコと共演した『カラブ&ババ』(2015年)や、西アフリカのマリ難民キャンプに避難する音楽家集団と共演した『ムベラ』(2021年)をリリースする。ほかに『ブラック・ノイズ2084』(2018年)というアルバムがあり、こちらもアフリカ音楽の要素はあるが、エレクトロニクスの比重の大きいより実験的なサウンドで、シャバカ・ハッチングス、モーゼス・ボイドらサウス・ロンドンのアーティストと共演している。カラブなりの解釈によるアフロ・フューチャリズムの作品と言えるだろう。

 カラブの新作『レイヤーズ』は『ブラック・ノイズ2084』を継承した作品と言える。『ブラック・ノイズ2084』にも参加したトマッソ・カッペラート、クラップ・クラップなどイタリア勢に、ヤズー・アーメッド、タマラ・オズボーン、テンダーロニアス、エマネイティヴなどのイギリス勢が入り混じった編成で、ラッパー/ポエットのジョシュア・イデンハンやシンガーのアレッシア・オビーノなども参加。アレッシア・オビーノの神聖なヴォイスがフィーチャーされた “ドローン・ラー” は、そのタイトル通りサン・ラーの “スペース・イズ・ザ・プレイス” を想起させる不穏なナンバー。重厚なベース音に支配されたダークな “コンシャス・フレンドシップ” はジャズとベース・ミュージックの中間をいくような作品。トライバルな “トンネル・オブ・ジェラシー” はアフロ、ジューク、グライム、ゴムが融合したような世界。クラップ・クラップが参加した “アシッド・ワクチン” は、サンズ・オブ・ケメットのようなホーン・アンサンブルがアシッド・ハウスをやったらというイメージだろうか。テンダーロニアスのフルートが印象的な “ロマンティック・ロコ” は、インダストリアルなビートとアラブからアフリカにかけてのミステリアスなジャズが融合。トマッソ・カッペラートがブロークンビーツ調のドラムを叩く “フィメール・サイド” は、カリンバ風の音色を取り入れるなどカラブが好むアフリカ的なモチーフに彩られる。同じく “メンタル・コーチ” でもカリンバが用いられ、「アフロ・フューチャー・ビート・シェイク」と形容されるカラブの面目躍如たるナンバー。


Kurt Elling And Charlie Hunter
SuperBlue: The Iridescent Spree

Edition

 グラミー賞も受賞したアメリカのカート・エリングは、現代における男性ジャズ・シンガーの最高峰に数えられるひとりであり、基本的にはジャズの正統的なヴォーカル・スタイルを継承している。ただし、ギタリストのチャーリー・ハンターと組んだ『スーパーブルー』(2021年)では普段とは異なる一面を見せていた。チャーリー・ハンターとは彼のカルテットの『ソングス・フロム・ザ・アナログ・プレイグラウンド』(2001年)でも共演していて、このアルバムにはモス・デフやノラ・ジョーンズなども参加しているなど、ある意味で現在におけるジャズとヒップホップ、ネオ・ソウル、ファンクなどとの結びつきを先駆けた作品でもあった。そんなエリングとハンターの共演作『スーパーブルー』は、ジャズ・ファンク・バンドのブッチャー・ブラウンのDJハリソンがキーボード、コーリー・フォンヴィルがドラム及び共同プロデューサーを務めていて、言わばブッチャー・ブラウンの演奏でカート・エリングが歌ったと言える。エリングはヴォーカリーズというスキャットを駆使した即興的な歌唱スタイルを得意とするが、ジャズ・ファンク調のナンバーでも見事にそれが生かされていた。ただし、一方的にブッチャー・ブラウンの型に押し込めるのではなく、エリング本来のブルージーな持ち味を生かした楽曲作りもおこなっており、DJハリソンやフォンヴィルのプロデュース能力の高さも垣間見せていた。

 その『スーパーブルー』の続編となる『スーパーブルー:ザ・イリディセント・スプリー』がリリースされた。前作と同じくカート・エリング、チャーリー・ハンター、DJハリソン、コーリー・フォンヴィルというラインナップ。オーネット・コールマンのカヴァーの “オンリー・ザ・ロンリー・ウーマン” は、ダブステップを取り入れたようなスペイシーなトラックで、フォンヴィルの小刻みなドラミングに対しエリングのダイナミックで広がりのある歌唱が異色の組み合わせとなっている。ジョニ・ミッチェルのカヴァーの “ブラック・クロウ” はリズミカルなジャズ・ファンク・スタイルで、お得意のスキャットを絡めた即興が光る。“ノット・ヒア/ノット・ナウ” はエディ・ハリスのジャズ・クラシック “フリーダム・ジャズ・ダンス” を彷彿とさせる曲調で、エリングの歌もこの曲に歌詞をつけたエディ・ジェファーソンの歌唱を思い起こさせる。

Shin Sasakubo & Jamael Dean / Daniel Villarreal - ele-king

 原雅明主宰のレーベル〈rings〉から最新作2枚が同時発売される。1枚は、秩父の個性的な音楽家、笹久保伸とLAのジャズ・ピアニスト、ジャメル・ディーンによる共作。もう1枚は、ドラマーのダニエル・ヴィジャレアルによるラテン・グルーヴあふれるインプロヴィゼーション作品で、昨年の『Panama 77』に収めきれなかった演奏が収録される。ジェフ・パーカーも参加しています。好きな音楽の幅を広げてくれるかもしれない2枚、チェックしておきましょう。

SHIN SASAKUBO(笹久保伸) & JAMAEL DEAN 『Convergence』
2023.10.25 CD Release

笹久保伸の38作目となるアルバム『Convergence』は、ロサンゼルス出身の天才ジャズピアニストでありビートメイカーでもあるJamael Dean(ジャメル・ディーン)とのコラボレーション作品。独創的な音楽世界観を持つ2人が出会い、そして融合した、聴く者を魅了する多彩な音楽性を放つ傑作!!

ジャズ・ピアニストのジャメル・ディーンとそのアルター・エゴであるビートメイカー/ラッパーのジラは、LAのジャズとヒップホップをナイジェリアのヨルバの伝統歌へと繋げた。そして、秩父の笹久保伸の音楽と結びついた。端正なビートとアルカイックなドラム、鍵盤、ギター、歌、サンプリング音が織り成す、真に融和的で研ぎ澄まされた世界がここにはある。2人のルーツの出会いが生んだ、この上なくリアルで美しい音楽だ。(原 雅明ringsプロデューサー)

【リリース情報】
アーティスト名:SHIN SASAKUBO & JAMAEL DEAN
アルバム名:Convergence
リリース日:2023年10月25日
フォーマット:CD
レーベル:rings / chichibu label
品番:RINC111
JAN: 4988044093393
価格: ¥3,080(tax in)

販売リンク:
https://rings.lnk.to/qrAn5Rjl
オフィシャル URL :
http://www.ringstokyo.com/shinsasakubo-jamael-dean-convergence/

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Daniel Villarreal『Lados B』
2023.10.25 CD Release

2020年にドラマーのダニエル・ビジャレアル、ギタリストのジェフ・パーカー、ベーシストのアンナ・バタースが、2日間のレコーディングで完成させ高い評価を集めた『Panama 77』に収めきれなかった即興演奏の数々を、『Lados B』としてアルバム・リリース!!異なる音楽的影響を持つ3人が創り出す、美しく鮮やかな音の色彩は圧巻!!

グルーヴ感溢れる『Panama 77』をリリースしたパナマ出身のドラマー、ダニエル・ビジャレアルのBサイドと言えるインプロヴィゼーションにフォーカスしたのが本作。ジェフ・パーカーのギターとアンナ・バタースのベースという、LAジャズの最前線にいて、ポップスのフィールドでも引く手あまたの二人を迎え、自由度の高い、素晴らしいトリオでの演奏を聴ける。ラテンのグルーヴとジャズのインプロヴィゼーションの、幸福な出会いから生まれたアルバムだ。(原 雅明 ringsプロデューサー)

【リリース情報】
アーティスト名:Daniel Villarreal(ダニエル・ビジャレアル)
アルバム名:Lados B(ラドス・B)
リリース日:2023年10月25日
フォーマット:CD
レーベル:rings / International Anthem
品番:RINC112
JAN: 4988044093409
価格: ¥2,970(tax in)

販売リンク:
https://ringstokyo.lnk.to/xrleJTUP
オフィシャル URL :
http://www.ringstokyo.com/daniel-villarreal-lados-b/

山本邦山 - ele-king

植松孝夫 - ele-king

Karin Krog - ele-king

Ike White - ele-king

国葬の日 - ele-king

 ちょっと前にグラフィック・デザイナーの石黒景太と話をしていたら「まるで安倍晋三なんかいなかったみたいだ」という話になった。TVを観ているととくにそう思うし、安倍晋三という人は初めからいなかったように世の中は動いていると。いわゆる「忘れっぽい」ではなく、安倍晋三がいたことは知っているのに誰も触れないで避けていく。それこそ少し前の流行語でいえば、安倍晋三がいなかった世界線を暗黙のうちにつくりあげようと示し合わせている無意識の国家事業みたいだと。裁判が始まったらそうではなくなることはわかっているけれど、それまでの雰囲気はそれこそ「忘れてしまう」だろうから、このことはちょっと書いておきたい。もちろん、銃撃から1年後にTVの報道番組は事件を振り返ってはいた。ついこの間まで一国の首相で、しかも在任期間が最長だったともてはやされていた人物なんだから当たり前だと言いたいけれど、それにしては素っ気なく、事件が起きた直後に「安倍元首相がやったことは今後の検証を待ちましょう」と語っていた口が何ひとつ検証めいたことは口にせず、次のニュースに移っていく。最近になってFBIがが多くの資料を公開したことで新たな事実が明るみに出たケネディ暗殺事件の方が長めの特番として組まれていたほどである。

 安倍晋三のことを多くの人が口にしない理由のひとつは安倍信者の存在だろう。からまれたら大変。攻撃されたら面倒っちー。実際、事件から1年というタイミングで刊行された岩波書店の「世界8月号 安倍政治の決算」と安倍晋三の国葬をテーマに撮られたドキュメンタリー映画『国葬の日』はそれがどんな内容なのかも判明する前にSNSは凍結され、情報サイトが落ちたりして、安倍信者から攻撃を受けたのではないかという噂の方が先に広まった。内容がどんなものかわかる前につぶすというのは考えることも許さないというのに等しい。「触れない」や「避ける」から一歩でも踏み込むと封殺される。及び腰になるのも仕方がないのかもしれないと思わせる。安倍晋三がいなかったかのように振る舞う原因はそれだけではないだろうし、何かもっと恐ろしい心理が働いているのではないかと思うけれど、はっきりとはわからないので、むしろ僕はその報を受けて『国葬の日』を観てみようと思った。安倍晋三については大きく3つの点で評価できなかったので、たとえ全国民が賛成でも僕は国葬には反対しようと思っていたし、「国葬」について何か考えさせてくれるかなと思ったので。

 『国葬の日』はしかし、大いなる空振りだった。安倍晋三の「国葬」についてのドキュメンタリーではなく、タイトル通り国葬の「日」にカメラを向けた作品だった。「国葬」が決定するまでのプロセスを追うでもなく、関係者は1人も写っていない。TVで中継された式次第の断片もなく、三浦瑠璃が着ていたというアレキサンダー・マックイーンの喪服すら見ることができなかった。日本国民はその日、何をしていたかというドキュメンタリーなのである。導入こそ会場の入り口が撮影されていたものの、次の場面では今日が何の日かも知らなかったというテキ屋の人たちに話を聞いたり、日本中あちこちに飛んで同じように道行く人にマイクを向けていく。被災地ではガレキを片付けるのに忙しく、それどころではないという様子が映し出され、辺野古では基地建設に反対する人たちが警察に追い立てられていく。結婚式に出ていた花嫁の父だったかは強烈な安倍信者で「国葬」支持を訴え、どちらかといえば賛成という声も多く拾われている。内容を見ないでサーバーをダウンさせた安倍信者は……まいっか。安倍信者のほとんどが、そして、安倍を支持する理由として外国に向けて見栄えが良かったからとインスタ映えみたいな理由でしか安倍を推していないのは脱力感を倍増させた。80年代に中曽根が支持された理由と同じかよと。賛であれ否であれ、どの立場の人も「国葬」についての意見がとにかくバカらしい。銃撃事件のあった現場に花を供えていた女性は安倍の死を深く悲しんでいるのかと思いきや「あんまりよくわかってないんですけどね」と笑い出す始末(この人が一番衝撃だった)。「国葬」については何ひとつわからないけれど、何十年か後に安倍晋三が神格化され、偶像として異様な力を持ち始めるようなことが起きた場合、このドキュメンタリーを流すと「あれっ」という空気になって妙な気運は打ち砕かれるかもしれないなとは思う。

 自分の意見がない。日本人の特徴はこれに尽きると思った。「国葬」についてもう少し何か意見があるだろう。どうしたってそう思って観てしまう。低レベルだけど、仕方がない。意見がない人たちの行動原理はなんなのか。それは相も変わらず村社会の一員として動いているということだと思うしかなかった。安倍のお膝元だった下関でのインタビューがとくに興味深かった。安倍支持か反安倍か。はっきりしてる人はまだいい。自分がどの意見に属していれば有利か。あるいは安全か。村からはみ出さないようにしているというニュアンスばかりが言葉の端々からこぼれ落ちる。これは自民党や野党が思想集団でもなんでもない集まりだということと同じで、自分はどこにいれば有利なのか、あるいは安全なのか、いつでも動けるようにしておくためには思想を持たないほうがいいということにつながっている。「国葬」をめぐって国民は「分断」なんかされていない。多くの人は有利な方に付こうとしているだけ。いつでも動けるようにしておく。思想を固定しまうと動けなくなる。とにかく曖昧にしておく。極端なことをいえば、この作品が伝えていることは別に「国葬の是非」ではなく、まったく異なる質問でも結果は同じだったと思う。繰り返すけれど、この作品を見ても「国葬」については何ひとつわからない。「村社会」だけがくっきりと映し出されている。横断性のない社会。個人が認められない社会。肩書きでしか動かない社会。どれだけ新自由主義が既得権益に切り込んだつもりでも、競争の土壌となる基盤は何も変わっていない。古過ぎてクラクラする。

 上映の後に大島新監督に対する質疑応答の時間があった。会場から出た2番目か3番目の質問に「国葬当日に反対の声を挙げに行ったけれど、あまり面白くなかった」というのがあった。正直な声だと思った。日本人は見知らぬ同士が同じ場所にいた場合、その場を共有して楽しむ力に欠けている。クラブやデモに行っても最後のところで突き抜けた感じにならないのはそのせいで、村ごと移動して、村ごと騒がないと羽目を外せない。感情を解放できない。エモくならない。個人でその場にいて、個人でその場の人とつながる能力が低い。村社会の映画だなーと思って観ていたら、追い討ちをかけるように村社会の感想が続くとは。最近、日本各地の駅に設置されたストリート・ピアノが相次いで撤去されているのも同じことで、うるさいとか、ちゃんと弾かないとか、様々な理由がこれには付けられているけれど、その場に居合わせた人たちがその場を共有して楽しむことができないことが最大の原因だと僕は思っている。芸大のピアノが売られ、ストリート・ピアノが撤去され、それらはみなタケモトピアノに集結しているのだろうか。

絵夢 〜 KITCHEN. LABEL 15 in Tokyo - ele-king

 日本人アーティストも多くリリースするシンガポールのレーベル〈Kitchen. Label〉が15周年を記念しライヴ・イヴェントを開催する。2023年11月15日(水)@渋谷WWW。同レーベルに『古風』『古風II』を残し、この11月には新作『古風III』のリリースを控える広島の冥丁をはじめ、アンビエント・フォーク・デュオ Aspidistrafly、新進気鋭のプロデューサー Kin Leonn、最近レーベルに加わった東京のサウンド・アーティスト Hiroshi Ebina が出演する。レーベル・ショウケースという形式はまだ知らない新しい音楽を見つける絶好のチャンスでもある。ぜひ足を運んでおきたい。

 なお、10月20日発売の『別冊ele-king アンビエント・ジャパン』には冥丁による特別寄稿が掲載される。そちらもチェックしていただければ幸いです。

『絵夢 〜 KITCHEN. LABEL 15 in Tokyo』

◆日程 : 2023年11月15日(水)
◆時間 : OPEN 18:00 / START 18:30
◆会場 : 東京・渋谷 WWW(https://www-shibuya.jp/
◆チケット:前売 ¥4,500 / 当日 ¥5,000(共に税込・ドリンク代別 / 整理番号付き)

◆出演:
冥丁
ASPIDISTRAFLY Ensemble with Kyo Ichinose
Kin Leonn
Hiroshi Ebina

◆音響 : 福岡功訓(Flysound)

◆チケット販売:e+ (9/23(土)10:00〜より販売開始)
https://eplus.jp/kitchen-label/

◆主催 : KITCHEN. LABEL (https://www.kitchen-label.com/)
◆協力 : Inpartmaint Inc. (https://www.inpartmaint.com/)
◆お問合せ : info@kitchen-label.com

◆詳細HP
https://www.inpartmaint.com/site/38321/

[イベント概要]
シンガポールの音楽レーベル【KITCHEN. LABEL】が15周年を記念したライブイベントを2023年11月15日(水)東京・渋谷WWWにて開催。レーベルアーティストの冥丁、ASPIDISTRAFLY、Kin Leonn、Hiroshi Ebinaが出演。

haruka nakamura、いろのみ、冥丁など、数多くの日本人アーティストの名作をリリースし、またその美しいパッケージデザインにも定評のあるシンガポールの人気インディー・レーベル【KITCHEN. LABEL】が、2023年11月15日(水)に東京・渋谷WWWにて15周年記念となるレーベルショーケースを開催する。シンガポールからはASDPISIDTRAFLYとKin Leonn、日本からは冥丁とHiroshi Ebinaが出演し、それぞれの音楽的美学を披露する。

ショーケースのヘッドライナーを務めるのは広島を拠点に活動するアーティスト【冥丁】。11月中旬リリース予定のニューアルバム『古風Ⅲ』も取り入れた「古風」シリーズのライブセットを披露する。シンガポールのアンビエント・フォークデュオ【ASPIDISTRAFLY】は、一ノ瀬響(ピアノ)、徳澤青弦(チェロ)率いるストリング・カルテット、湯川潮音(クラシック・ギター)を迎えた特別アンサンブルで最新アルバム『Altar of Dreams』をライブ初披露、また前作『A Little Fable』の名曲も演奏予定。初来日となるシンガポールのアンダーグラウンドシーン気鋭の若手プロデューサー【Kin Leonn】は10月下旬リリースのニューアルバム『mirror in the gleam』からのライブセットを、インディーロック・バンドSobsのRaphael Ongによる映像と共に初披露。そして、レーベルに新たに仲間入りした東京在住のサウンドアーティスト【Hiroshi Ebina】はアンビエント・セットを披露する。

「これまでレーベルとアーティストを応援してくれた日本のリスナーの皆さんと一緒に15周年を迎えられることを嬉しく思います。タイトルに名付けた「絵夢」という言葉は、私たちのアーティストが共有する世界を完璧に具現化するものを探し求めた末に生まれました。”浮世絵”からとった「絵」と「夢」を掛け合わせたこの言葉には、音を通して鮮明な夢の風景を描くという私たちの使命が込められています。このイベントは、私たちのレーベルの過去、現在、そして未来を紹介するものとなるでしょう。」Ricks Ang(KITCHEN. LABEL)

[アーティスト・プロフィール]

冥丁
photo by Akio Yamakawa

日本の文化から徐々に失われつつある、過去の時代の雰囲気を「失日本」と呼び、現代的なサウンドテクニックで日本古来の印象を融合させた私的でコンセプチャルな音楽を生み出す広島在住のアーティスト。エレクトロニック、アンビエント、ヒップホップ、エクスペリメンタルを融合させた音楽で、過去と現在の狭間にある音楽芸術を創作している。これまでに「怪談」(Evening Chants)、「小町」(Métron Records)、「古風」(Part I & II)(KITCHEN. LABEL) よる、独自の音楽テーマとエネルギーを持った画期的な三部作シリーズを発表。
日本の文化と豊かな歴史の持つ多様性を音楽表現とした発信により、The Wire、Pitchforkから高い評価を受け、MUTEK Barcelona 2020、コロナ禍を経てSWEET LOVE SHOWER SPRING 2022などの音楽フェスティバルに出演し、初の日本国内のツアーに加え、ヨーロッパ、シンガポールなどを含む海外ツアーも成功させる。また、ソロ活動の傍ら、Cartierや資生堂 IPSA、MERRELL、Nike Jordanなど世界的なブランドから依頼を受け、オリジナル楽曲の制作も担当している。
https://www.instagram.com/meitei.japan/


ASPIDISTRAFLY(アスピディストラフライ)
photo by Ivanho Harlim

2001年に結成されたシンガポールを拠点に活動する、ヴォーカリスト/コンポーザーApril LeeとプロデューサーRicks Angによる男女ユニット。アンビエント・フォークとミュジーク・コンクレートを融合させたサウンドやApril のスモーキーなアルト・ヴォーカルに芸術性の高い演出を加え、彼女の詩的な物語に生命を吹き込んでいる。これまでに『I Hold A Wish for You』(2008)、『A Little Fable』(2011)、そして最新作となる『Altar of Dreams』(2022)の3枚のアルバムをKITCHEN. LABELよりリリース。最新作には米NPRの”Song of the Day”に選出された「The Voice of Flowers」や、SUGAI KENとのコラボレーション曲などを収録。
また、一ノ瀬響、haruka nakamura、小瀬村晶、青葉市子などの日本人音楽家や、Gucci、Roger Vivier、LAD MUSICIAN、NARSなどのブランドとのコラボレーションも行っている。ASPIDISTRAFLY以外では、Aprilはアートディレクターとして、デザイン、写真、ファッションの分野で活躍。RicksはKITCHEN. LABELを運営し、良質な音楽を洗練された美しいアートワークの特殊パッケージデザインとともにリリースしている。
https://www.instagram.com/aspidistrafly/


Kin Leonn(キン・レオン)
photo by Christopher Sim

​​シンガポールのアンダーグランドシーンのサウンド・アーティスト、DJ、作曲家として多才な存在感を放ち、「アンビエント・ボーイ」の愛称を持つシンガポール新世代アーティスト。2018年に1stアルバム『Commune』をKITCHEN. LABELよりリリース後、ベネズエラのアンビエントの先駆者Miguel Noyaとの共演や日本のサウンドアーティストHiroshi EbinaとのコラボレーションEP『“Faraway Vicinity』(2022)をリリースする他、プロデューサーやミキサーとしてYeuleとの様々なコラボレーションやModeratやYunè Pinku.のリミックスにも参加。
ロンドン・カレッジ・オブ・ミュージックを首席で卒業し、2021年にはスパイク・ステント賞を受賞。作品のリリース以外にもマルチ・チャンネルの音響インスタレーションや映画のサウンドトラックも多数手掛ける。直近では、2023年カンヌ国際映画祭でプレミア上映されたAnthony Chen監督による長編映画『The Breaking Ice』のサウンドトラックを担当した。
https://www.instagram.com/kinleonn/


Hiroshi Ebina
photo by Yoichi Onoda

東京在住のサウンドアーティスト。活動は多岐に渡り、アンビエントミュージックの作曲・演奏や、雅楽奏者としての活動、フィルムカメラを用いた写真作品の作成も行なっている。ニューヨークでの活動を経て、2018年より日本での活動を再開。作曲にはモジュラーシンセを中心にテープマシンや多種多様なアコースティック楽器を用いる。近年はKITCHEN. LABELやMystery Circles、Seil Recordsより作品を発表している。
「偶発性」はHiroshi Ebinaの音楽を語る上で欠かすことのできない要素である。真白の紙の上に点や線を広げるように音と並べていき、法則を与えることで音楽を形作っていくプロセスを取っている。作曲の際はリズムやピッチといった側面だけでなく、音の触感や音と音との間の無音部分などを重視している。
https://www.instagram.com/he_soundvisual/

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Christopher Willits & Chihei Hatakeyama - ele-king

 およそ20年にわたり〈12k〉や〈Ghostly International〉といったレーベルからリリースを重ねてきたエレクトロニカ~アンビエント作家のクリストファー・ウィリッツテイラー・デュプリー坂本龍一とのコラボでも知られる彼だが、このたび2019年以来となる来日公演が決定している。今回の公演では最新アルバム『Gravity』からの楽曲に加え、未発表の新曲も披露する予定とのこと。岐阜・大禅寺と神田・POLARISでの2公演、いずれも畠山地平との共演だ。この秋注目のアンビエント・ライヴのひとつ、見逃せません。

 ちなみに、10月20日発売の別エレ最新号『アンビエント・ジャパン』には畠山地平のインタヴューを掲載しています。ぜひそちらもチェックを。

Christopher Willits – Japan Live Performances – October 2023

クリストファー・ウィリッツの2019年以来となる来日が決定致しました。昨年Ghostly Internationalから最新アルバム『Gravity』をリリースしましたが、そこからの楽曲に加え、未発表の新曲も披露する予定です。
また、日本での公演は、複数のアルバムで共演した故・坂本龍一氏の友情と指導に捧げられているとのことです。

2004年の初来日イベントから、ウィリッツは日本で熱心なリスナーの支持を集めてております。彼の日本への愛と尊敬は、天河寺、伝書会館、大島洞窟、坂本さんとの複数のコラボレーションなど、これまでの公演で示されているように、心からの生涯の旅路です。

Christopher Willits – Japan Live Performances – October 2023

▶︎7th October @DAIZENJI Gifu

▶︎14th October @POLARIS Tokyo

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LISTENING IN THE TEMPLE
『大禅寺でリスニング』

日程:10月7日(土)
会場:岐阜・大禅寺

時間:17:00 – 21:00
料金:ADV ¥5,500

LIVE:
Christopher Willits
Chihei Hatakeyama

チケット:https://listening-in-the-temple.peatix.com/

クリストファー・ウィリッツと畠山地平のライブセットによる世界最高峰の没入型アンビエント・ミュージック・イベントを岐阜県の歴史ある大禅寺で体験しませんか?

この魂の癒しとなるイベントは、大禅寺住職の根本一徹紹徹上人の指導による瞑想で調和のとれた夕べのはじまりを迎えます。畠山地平につづきクリストファー・ウィリッツの上演は彼の親愛なる友人である坂本龍一氏へのトリビュート・ライブパフォーマンスを披露。両公演とも、原音に忠実な四音没入型サウンドで、深遠なリスニング体験に最適な音の聖域を作り上げることでしょう。

ライブ終了後には、軽食を囲んで談話などのために集まります。この親密なイベントが、みなさんとのつながりや絆を感じるひとときとなることを楽しみにしています。

「やわらかくしなやかなに流れるものは、硬く強固なものに勝る」– 老子

Sponsored by Envelop (https://envelop.us/)

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Christopher Willits / Chihei Hatakeyama

日程:10月14日(日)
会場:POLARIS, Tokyo

時間:OPEN 19:30 / START 20:00
料金:ADV ¥4,000 / DOOR ¥4,500 *別途1ドリンク代金必要

LIVE:
Christopher Willits
Chihei Hatakeyama

チケット:https://polaris231014.peatix.com/view

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CRISTOPHER WILLITS:
クリストファー・ウィリッツ(Christopher Willits)はミズーリ州はカンザスシティ出身で、現在はサンフランシスコを拠点に活動しているミュージシャン/アーティストである。彼は地元カンザスシティのアート研究所で絵画、写真、ビデオ/インスタレーション・アート、サウンド・アートを学んでおり、ミルズカレッジではフレッド・フリス(Fred Frith)やポーリン・オリヴェロス(Pauline Oliveros)に師事し、電子音楽の修士号も取得している。多岐に渡るその活動はコンポーザー、プロデューサーに留まらず、フォトグラファー、フィル ムメイカー、システム・デザイナーにまで及ぶマルチぶりだ。電子音楽とギターを融合させるスタイルのパイオニアであり、自身が作成したソフトウェアを駆使 して、複雑に練り込まれたパターン、テクスチャー、ハーモニーなどで彩り豊かな視聴覚パフォーマンスをみせ、音と光が重なり合い、没入させる独特のサウン ドを構築している。それはかつてピッチフォークに「ギターでペイントをしているようだ」、Nownessに「魅惑的で複雑なエレクトロニック・サウンドス ケイプ」と称された。90年代後半から音楽活動を開始し、自身のソロだけでなく、坂本龍一やブルックリンのサウンド・アーティスト、テイラー・デュプリー(Taylor Duepree)等とのコラボ、マトモス(Matmos)とのサブコンシャス・アトラクション・ストラテジーズ(Subconscious Attraction Strategies)、ヘラ(Hella)のドラマーで、先日惜しくも解散したデス・グリップス(Death Grips)のメンバーでもあった、ザック・ヒル(Zach Hill)とブレイクコアのパイオニア的存在、キッド606(Kid 606)とのトリオ編成によるフロッシン(Flossin)などのプロジェクトがあり、これまでに20枚以上の作品をリリースしている。それらは自身の主宰するOverlapをはじめ、テイラーの12K、Fällt、Sub Rosa、Nibble Records、Ache Recordsなど様々なレーベルから発表されており、近年はGhostly Internationalに所属している。2014年には、これまでの集大成とも言えるオーディオ・ヴィジュアル・プロジェクト作品『OPENING』をリリース。そして2017年には『Horizon』、2019年には『Sunset』をリリース。収録曲は数千万再生を記録している。2022年には現時点での最新作である『Gravity』をリリースし、深いリスニングへの意図を持ったスローダウンし、感じ、癒すためのツールだという極上のアンビエント・ミュージックを披露し、幅広いリスナーに支持されている。

畠山地平:
1978年生まれ、神奈川県出身、東京在住の電子音楽家。2006年にKrankyより1stソロ・アルバム『Minima Moralia』を発表。以降、デジタル&アナログ機材を駆使したサウンドで構築するアンビエント・ドローン作品を世界中のレーベルからリリース。そのサウンドはリスナー個々人の記憶を呼び覚まし、それぞれの内的なストーリーを喚起させる。2013年より音楽レーベル『white Paddy Mountain』を主宰。2023年には音楽を担当した映画『ライフ・イズ・クライミング!』が公開。近年は海外ツアーにも力を入れており、2022年には全米15箇所に及ぶUS Tourを敢行した。またマスタリングエンジニアとしても活躍中。

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