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interview with caroline

いま、これほどロマンティックに聞こえる
音楽はほかにない

——キャロライン、インタヴュー

interview with caroline

英国インディ・ロックにおけるもっとも創造的な若い8人組が、
驚異的なアルバムをリリースした。

序文・質問:野田努    通訳:青木絵美
photo: El Hardwick
Jun 03,2025 UP

 ポケットに手を入れたまま、コンクリートの隙間から伸びる雑草をまたいで土手を歩く。川辺には、この季節に相応しく草は青々と茂っているが、向こう側には味気ないマンションが並んで、東京郊外のあいまいな田園地帯の境界をさらにぼかしている。それでもぼくは牧歌的なイメージに浸っている。『キャロライン2』を聴いているのだ。
 いま、これほどロマンティックに聞こえる音楽がほかにあるのだろうか。
 いまどき、8人組という大所帯のロック・バンドが新しく感じられるのはなぜだろう。
 彼ら彼女らは輪になって演奏する。バンドというよりはコレクティヴで、見た目は地味というか目立たないというか、どこかほのぼのしているが楽曲は挑戦的だ。作品の趣きたるや空想的で、陶酔的でもあるが英国風メランコリアも横溢している。フォーキーだがテクスチュアもあって、即興的な要素はバンドの相互作用に大胆な効果をもたらしもするが、総じてキャロラインの音楽は美しい。
 なぜ自分がかくもキャロラインを好きなのかわかっている。けど、その話——チャーリーと過剰消費、現代におけるイアン・マーティンにいわく「20世紀音楽の無限のリミックス状態」等々——をすると長くなるので止めておく。ただ、ぼくはこのバンドの新作を心待ちにしていたひとりであって、いまここで、『キャロライン2』は今年のもっとも素晴らしいアルバムの1枚になると断言しておきたい。1曲目の“Total euphoria”でぶっ飛ばされた。極めて21世紀的なポストモダニストのキャロライン・ポラチェックがゲストで歌う3曲目までは完璧だと思う(君もきっと賛同してくれるはず)。
 インタヴューに答えてくれたマイク・オーマリー(Mike O’Malley)は、キャスパー・ヒューズ(Casper Hughes)、ジャスパー・ルウェリン(Jasper Llewellyn)とともにバンドの中核を作ったひとりだ。2017年、この3人がマンチェスターの大学在学中にキャロラインは産声を上げている。


右で電話をかけているのがマイク。赤いポロシャツがジャスパー。前面に横たわっているのがキャスパー。順に右から左へ、アレックス・マッケンジー、オリヴァー・ハミルトン、マグダ・マクリーン、ヒュー・エインスリー。フレディ・ワーズ・ワース。

すべてのサウンドが調和して作用するのではなく、対立する要素が必要だと思っているんだ。さまざまな要素が対立していて、激しく聴こえるけれど、同時に美しくも聴こえる——その状態まで曲を持っていくまで曲は完成していないと思っている。

お時間ありがとうございます。新作を聴くのがずっと楽しみだったので、今回の取材がとても嬉しいです。

マイク(以下、M):素敵な言葉をありがとう!

古きものと新しきもの、静と動、生楽器とエレクトロニクスの混じったアルバムですね。アルバムの冒頭でやられました。ラフな質感や即興性もあるけど、前作以上に手の込んだ作品でもあると思います。

M:ふむふむ。

■レコーディングはいつからいつまでやっていたんですか?

M:このアルバムは長い時間をかけて作られたんだ。いま挙げられたようなディティールの判断も長い制作期間の途中にほどこされている。レコーディングをいつから開始したのかをはっきりと答えるのは難しい。音源を録音しているときは、まだそれがアルバムに使われることになると気づいていなかったりするからね。でも、アルバムに使われている音源を最初に録音したのはだいたい18ヶ月くらい前だったかもしれない。それくらいの時期から、レコーディングをはじめたり、みんなで音楽合宿をやって作曲をしたり、コンセプトについて話し合ったりしていたんだ。曲のアイデアについて話したり、今回のアルバムではどんなサウンドにして、どんなことをしたいのか——そういうことをみんなで決めていった。アルバムは今年の1月に完成したばかりなんだ。完成してからリリースまでの期間がとても短く感じられたよ。

通訳:その音楽合宿というのは、3人でスコットランドに行ったときのことですか?

M:そうだよ。それが最初の合宿だった。それ以前もロンドンでアイデアについて話し合ったりしていたんだけど、合宿に行ったときに、「これらのアイデアをなんとかまとめて、次のアルバムに使える素材として持って帰れるようにしよう」と初めて決めた。アルバムを作ろうという明確な意志が固まった段階だった。

2022年に『caroline』を出して、ぼくらも大好きでしたが、世界中の多くの人があのアルバムが好きで、そうしたリアクションで得た自信はあったと思います。アルバム制作に迷いはありませんでした? 「俺たちはもう、これしかないぜ!」みたいな方向性は定まっていました?

M:いい質問だね。迷いというものはなかったけれど、今回と前回のアルバムではまったく状況が違った。前回のアルバムを出したとき、キャロラインというバンドを知っている人はあまりいなかった。イギリスに何人かのファンはいたけれど、いまと比べたらずっと小規模だった。アルバムがリリースされて、各所で宣伝されて、ぼくたちの名前が広まった。そして(名が広まったという時点で)セカンド・アルバムを作るとなると、自意識過剰になったり、自分たちの活動に疑問を感じたりするかもしれないとは思っていた。制作に入る前は、どんなサウンドを追求するべきなのかがわからないときがあった。でも制作に入ってからは、何をすべきで何をすべきじゃないかということがわかってきた。制作の流れができてからは、自信を持って自分たちを疑うことなく制作に臨めたから、ぼくたちは幸運だったのかもしれない。セカンド・アルバムにプレッシャーはつきものとよく言うからね。ぼくにもそのプレッシャーはあったけれど、今回のアルバムの仕上がりには満足しているし、制作過程においても自分達のやっていることに自信を持って制作することができたと思う。

歌に関して、前作以上に意識的になっているように感じたのですが、あなたがたはどんな「歌」、どんな「歌手」がお好きなのでしょうか?

M:それもいい質問だね。好きな歌手か……これはぼく個人の答えになってしまうけれど、ぼくはアーサー・ラッセルがすごく好きなんだ。他にも好きな歌手はたくさんいるよ。でも、ぼくはある「歌手」に注目して音楽を聴くということをあまりやらないんだ。いろいろな種類の音楽を聴いているから、ある特定の歌手にフォーカスするということがとても稀なんだ。でも、例えばジャスパー(・ルウェリン)やマグダレーナ(・マクリーン)など、バンドメンバーで歌う機会が多い人たちには好きな歌手がいたり、参考にしている歌手がいると思う。ぼくは今回のアルバムではあんまり歌っていないからね。だから好きな歌手や歌についてはうまく答えられない。毎週好みが変わったりするから、特定の歌手に注目していることが少ないんだ。

クローザーの“Beautiful ending”も凝っていますが、ぼくは1曲目の“Total euphoria”に驚かされました。バンドにとって他の何かに似ていると言われるのはイヤだと思いますが、すいませんと謝りつつ、Still House Plants にちょっと近いアプローチを感じたんですよね。SHPはお好きですか?

M:好きだよ。彼らのライヴはロンドンで何度も観たことがある。“Total euphoria”を書いていたときに、とくに彼らのことを参考にしたわけではないけれど、スティル・ハウス・プランツと比較されるのも理解できる。リズム上で起きていることが似ているのかもしれない。すごくいいグループだと思うし、去年リリースされたアルバムは素晴らしかった。ライヴに何度も行ったことがあるけれど、彼らのライヴはいつ観てもすごくエキサイティングだよ。彼らの体制は完璧に整っていると思うんだ。そんなところが素晴らしいと思う。

“Song two”も魅力的な曲です。これもまた前作にはなかったタイプの曲ですが、曲作りは誰かひとりが作ってきたものをみんなで肉付けするんですか?

M:そうやって曲ができるときもあるけれど、曲によって作られ方は違うんだ。例えば、キャスパーが「最近よく弾いているコードで試してみたいものがある」と言って、みんなに聴かせて、そこからみんなで即興していくというパターンもある。こういう場合は、先にヴァースやコーラスのアイデアがあるというわけではないんだ。今回のアルバムには前回と比べて曲の構成がしっかりとしたものも多いけれど、最終的にそこまで構成がきちんとした曲にはならなかった。だから、いま話したようなパターンや、3人の即興からはじまるパターンなどがある。即興で歌ったり、即興のギター演奏やドラム演奏がたくさんおこなわれる。そうやって曲が作られていくことが多い。でも曲によって違うんだよ。曲のパートが気づいたら浮上していることもあって、それがどこから浮上してきたのかわからないけれど、いい感じのパートだから、それで進めてみる。そんな感じ。

caroline にとって曲はひとつの物語でしょうか?

M:曲には、物語のなかから切り取った断片のようなものがあるかもしれないね。ある行動の詳細や環境、ある出来事など。でも、曲を通して物語が語られるということはあまりない。歌詞に関して言うと、ジャスパーは別に物語を語っているわけではないと思う。彼の頭のなかで何が起こっているのかはわからないけれど、物語というよりは、意識の流れみたいなものだと思う。彼が歌詞や歌のパートを書くときは、即興の歌からはじめることが多いんだ。メロディやサウンドからはじまって、それがじょじょに歌詞としての形を帯びてくる。だから抽象的な意識の流れみたいなものなんだ。でも些細な瞬間や物語を行ったり来たりしているときもたしかにある。ぼくが思うに、歌詞とは、言葉を扱うソングライティングの一種であって、はじまりがあって終わりがあるという直線的なものではなく、大きなボウルにさまざまな要素がたくさん入っている感じに近いと思っている。


中央にいるピンク系のドレスを着ているのがゲストのキャロライン・ポラチェック。

8人で輪になって演奏すると、すごく支えられている感じがする。一体感や支えられているということを強く実感できる体験なんだよ。

歌詞に、社会や政治は関係していますか?[*前作の“Good Morning (Red)”は、2017年のジェレミー・コービンの社会主義労働党運動の台頭と、それにともなう楽観主義の波にインスピレーションを受けたとピッチフォークの取材では語っている] 

M:社会や政治に関する明確な言及はしていないと思う。(ぼくは歌詞を書いていないから)歌詞の由来を答えることはできないけれど、歌詞が生まれる瞬間はぼくもその場にいた。歌詞を聴いていると、無意識にいろいろなものが思い出されたり、感じられたりすると思う。でも、ぼくが知る限り、それが何らかの具体的な説明だったり、社会や政治に関する意見ではない。歌詞にはぼくたちが生きる時代について歌っている内容もあるけれど、そこに批判や強い意見があるというわけではない。現代の生活をほのめかす要素はあるけれど、とても抽象的なものとしてぼくには感じられるね。

3曲目や5曲目のようなフォーキーな響きは、前作にもありましたが、今回はとくに印象的に思います。英国にはフォークに関する歴史が綿々とありますが、そういうことは意識されましたか? 

M:バンドで使用されている楽器がフォークのものに近いということはときどきあると思う。それらはキャロラインのサウンドを形成する要素のひとつだと思うし、ファースト・アルバムでもそういうサウンドは色濃かったと思う。でも使っている楽器だけでフォークとは言い切れないと思う。キャロラインはアコースティック・ギターやフィドルを使っているけれど、それをすごくフォークっぽい演奏方法で扱っているわけではなくて、むしろぼくたちの関心や嗜好や演奏方法に、フォーク的な要素があるということだと思う。それが無意識に曲に表れてくるのだと思う。バンドとして「こういう風に演奏しよう」とみんなで話し合って、決めたことではないんだ。でもみんなで演奏していると、そこにフォークの響きがあることは暗黙の了解で感じられる。ただし、それはフォークの表面的なサウンドというだけなんだ。ぼくたちの音楽にはフォークの伝統と似通った要素はまったく見当たらないと思うから。また、フォーク音楽をやっている人たちの根本的な理由も、ぼくたちのバントとは関連性のないものだと思うから。でも、ぼくたちのアルバムを聴くと、その節々にフォーク・ミュージックのようなサウンドが含まれているのはたしかだね。

また、レトロでフォーキーな響きのなかにオートチューンを入れることで、どんな効果を狙っているのですか? たんに音響的な面白さなのか、それとも、そこには意味があるのか?

M:深い意味があるかはどうかわからないけれど、ぼくたちは昔から、可能な限り極端なジャクスタポジション(対比)をしたいと思っていて、今回のアルバムではそれをさらに押し進めることができたと思う。ぼくたちが書く曲においては、すべてのサウンドが調和して作用するのではなく、対立する要素が必要だと思っているんだ。さまざまな要素が対立していて、激しく聴こえるけれど、同時に美しくも聴こえる——その状態まで曲を持っていくまで、曲は完成していないと思っている。その要素たちの関係性が自然なものに感じられなければいけないんだ。対立する要素を無理矢理あわせた感じはあるけれど、あえて聴くのに耐えられない対立を探るのではなく、その組み合わせを聴いたら魅力的だと感じられる。そういうバランスを求めている。根本的に異なったスタイルやサウンドを合わせるということが、今回の曲における大きなテーマだった。ふたつやそれ以上の対立した要素を組み合わせるということ。

ちょっとめんどくさい質問で申し訳ないのですが、“Two riders down”はクレシェンドで、じょじょに盛り上がる曲ですが、あの高揚感は何を意味しているのでしょう? アルバムのなかであの曲が直球な盛り上がりを見せているので、気になっています。

M:それは嬉しいね! 何を意味しているか……ストレートな答えを出すのは難しい。というのも、ぼくたちは曲を作っている時の90%は直感でそれをやっているから。それにぼくたちには演奏においてクライマックスに向かっていくという傾向がある。あの曲では、音が常に拡張しては縮小していくということに重点を置いていたから、お互いに覆いかぶさってくるレイヤーがあった。ぼくたちは、最終的な目標(ゴール)を共有して作曲していたと思うけれど、その目標が何なのかという話を具体的にしたわけではないんだ。この曲がまとまったのはアルバム制作の終盤だったんだけど、メンバーみんなが本質的に、この曲で何をやろうとしていたのかわかっていたと思う。終わりのない勢いで突き進んでいくような感じで、常に拡張しては縮小していく曲を作るというのが目標だったと思う。それから当初、表現しようとした感じがあったんだけど、最終的にその感じは少し控えになった。それは、曲を聴くとわかると思うんだけど、ふたつの部屋があって、各部屋では曲が演奏されているということ。つまり、ふたつの部屋から同時に曲が演奏されているという状態。曲を通して、そのふたつの部屋のバランスが崩れてくる。ひとつの部屋では弦楽器のセクションがあって、シンフォニーのような音がするけれど、もうひとつの部屋では騒がしいロック・バンドで、そのふたつのバランスが崩れたり、偏ったりする。この曲では、そういうことを狙いとしていたんだけど、最終的には控えめな響きになったね。

アルバムのタイトルが意味していることは?

M:「セルフタイトル・アルバムから先に進んだ」ということを意味するアルバム名を考えていたんだ。これはぼくたちの2枚目のアルバムだから、そういう意味では『caroline 2』は適したタイトルだと思う。それに、みんなが満場一致でピンときたタイトルが『caroline 2』だったというのもある。すごく壮大で大袈裟。それに自己主張が強いようにも聞こえる。そういう意味で面白いタイトルかなと思ったんだ。とても重要な作品のようなタイトルに聞こえるところが面白いと思った。うまく説明できないけど、『caroline 2』がフィットして気に入ったんだ。

それにしても、メンバーが8人もいると練習もツアーもたいへんですよね。リハーサル・スタジオの広くなきゃいけないし、ツアー中にバスに乗るのもレストランに入るのもたいへんだと思うんですけど、8人いることで良かった、素晴らしい、最高だと思ったことはありますか?

M:素晴らしい質問だね。たしかに8人だとメンバーの移動や予定管理も大変だし、みんなの予定をずっと前から決めて計画しないといけない。でもそれだけの価値はあって、いつでもそれが実感できるよ。ぼくたちはすごく仲が良くて、お互いを大切に思っている。小さなグループに分かれることもあって、それはそれで良いことなんだ。常に大人数のグループでいる必要はないから、小さなグループに分かれる。するといろんな人たちと時間を過ごしていろいろな体験ができる。バンドにはいろいろな人たちがたくさんいるからね(笑)。それに8人で輪になって演奏すると、すごく支えられている感じがする。一体感や支えられているということを強く実感できる体験なんだよ。一緒に演奏していると、みんなで共有した、あるひとつの目標に向かって進んでいる感覚があって、それが8人ともなると、たとえば4人のグループよりも、さらに人と人との交流や交渉がおこなわれるから、その感覚もさらに強いものになる。

それではせっかくの機会なので、最後に、過去でも現在でも、英国のバンドで共感しているバンドがあれば教えてください。

M:これもいい質問だね。どうだろう? ぼくたちみんなが好きなのは、ライフ・ウィズアウト・ビルディングス。グラスゴーのバンドで活動期間は短かったんだけど、キャロラインの活動において大きなインスピレーションになっている存在だ。あと他に英国のバンドだと誰だろう? 他にもたくさんいるけれど、ライフ・ウィズアウト・ビルディングスには大きな影響を受けたから、それをぼくの答えとしたい。とても美しい、蛇行するような音楽。ロック・バンドなんだけど、エモとかスロウコア時代のギターで、ヴォーカリストのスー・トンプキンズがマントラのような歌い方をする。即興の歌い方みたいなんだけど、本当はちゃんと書かれたものだと思う。楽しくて、弾むようなエネルギーがあって本当に最高なんだ。そして本当に美しい。いろいろな要素が美しく組み合わさっている。 

序文・質問:野田努(2025年6月03日)

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