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interview with tofubeats

interview with tofubeats

自分のことはハウスDJだと思っている

──トーフビーツ、インタヴュー

取材:小林拓音(●)+野田努(■)    写真:川島悠輝   May 24,2024 UP

代理店化された感じというか。〈BOILER ROOM〉のような沸点マックスみたいなイメージが、やる側にもお客さんの側でも内面化されちゃってる気がするので、それがこれからどういうふうになっていくのかな、と。


tofubeats
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ワーナーミュージック・ジャパン

House

Amazon Tower HMV 配信

●そうした一連の流れを経て、今回いよいよハウスに振り切ったEPですね。以前の「TBEP」も近い位置づけのEPだと思いますが、あちらはハウス以外のスタイルも入っていました。今回は完全にすべてハウスです。その心をお伺いしたいです。

TB:自分は、リスナーが思う tofubeats と俺がイメージしてる tofubeats とでかなり差があったりするタイプのアーティストやと思うんですけど、自分は自分のことをハウスのDJやと思っていて。DJでかけるのも基本こういう4つ打ちのハウス・ミュージック的なものが多いんですよ。

■むちゃくちゃ盛り上がるんだよね(笑)。

TB:はい(笑)。ただここ数年はヒップホップのイベントに出ることが多くて、あと客演でもラップをやって、それがバズったりして、どちらかというとそちらのイメージが大きくなっていたり。もちろんそれも全然ええことなんですけど……昔は〈マルチネ〉みたいな、打ち込みのひとたちと一緒にやることが多かったんですけど、気がついたらまわりがラッパーとかトラックメイカーが多くなっていて、出るイベントもヒップホップ・フェスの〈POP YOURS〉やったり〈CIRCUS×CIRCUS〉やったり。ありがたいことではあるんですけど、「こうなるはずやったっけ?」みたいに思うこともあります(笑)。なので、ここでこういうハウスをやっておかないと、ヒップホップっぽいことしかできなくなっちゃうかもな、っていうのは思っていました。「tofubeats の作品」として出しておけば、リスナーも聴き慣れないものとして受け止めなくて済むでしょうし。「TBEP」のときにやりたかった気持ちの亡霊みたいなものがあって、そっちの気持ちが戻ってきたんですよね。『REFRECTION』はああいう(パンデミックという)状況があってできたものなので、もともとやりたかったのは「TBEP」の延長線上にあるもので。ハウスが好きやし、よくDJでかけてるにもかかわらず、ぼくのアルバムやシングルにはあまり4つ打ちの曲がないんですよね。

■うん、たしかにね。アシッド・ハウスがいちばん大きな影響だったというのは、もうデビュー当時から言っていたよね。

TB:ああいう「ダン、ダン、ダン、ダン!」みたいな、段ボール箱を一升瓶で叩いてるような感じの曲がいちばん好きなんですよ(笑)。こう、トグルスイッチをパンッってやってるのに、一個だけ声ネタが連打されてるみたいな(笑)。もちろんそれだけじゃダメだから、どうバランスをとるかっていうのはずっとテーマですね。いまはハウス・ミュージックをしっかりやろうっていうモードが戻ってきていて、かつ、みんなに聴いてもらえるものじゃないといけないっていうのもあり、いろんな要素を乗せていった感じですね。

●少ないとはいえ、これまでもアルバムに数曲ハウスを入れてはいました。それらが聴かれている手応えみたいなものはありましたか?

TB:あまりないですけど、置いてる意味はあるなって思うときはたまにあります。たとえば『FANTASY CLUB』って “LONELY NIGHTS” 目的で聴かれてるアルバムなんですけど、表題曲はBPM110台くらいのハウスなんですよ。そういうのって、なんかじわじわ効いてる気もせんでもないというか。そういうふうにハウス・トラックを設置してあることが、未来の人間に影響するかもしれないので、そういう意味では効果はあるなとは思いますね。

●たしかに、それは効果はあると思いますよ。“REFRECTION” のMVをYouTubeで見たとき、コメント欄におそらくは若い方で、まだジャングルの名前を知らない方だと思うんですけど「ビートがかっこいい」と書きこんでいるひとがいたような憶えがあります。そういう入り口になっているようなところはあるのかなと。

TB:まあいまも昔も、自分の役割ってホンマにそれでしかないと思うので。本当のクラブ・ミュージック……というと自分がパチモンみたいな言い方になってしまいますけど……まあパチモンみたいなもんなんですけど(笑)、でもそういう入り口とか仲間とか、やっぱ自分がそういうものに道を開いてきてもらったので、そういう存在でありたいなっていうのは昔からずっと思ってます。

●今回、ハウスのEPをつくるにあたってとくに参照したもの、聴いていたものってなにかありますか?

TB:なんですかね、普通に流行ってるサリュート(salute)みたいなスピード・ガラージも聴いてましたし。“I CAN FEEL IT” とかはそこらへんとつなげられるようにつくっていて、シングル・ミックスはまさにそんな感じです。ほかはなんやろ……日本のハウス・ミュージック、たとえば寺田創一さんはけっこう意識していました。でも、自分が好きな120BPMぐらいまではテンポを落としすぎないっていうのも意識してて。ブレイクスっぽさというか、あとつるっとした感じ。最近のハウスってツルッとしてますよね。自分が好きな〈トラックス〉みたいな感じではなくて、もうちょっとリニアな……トランスっぽいとまでは言わないですけど、そういうのに接近してるイメージがあって。いつもだったら「ここで止めてダダダダダンッて入れたい」ところをちょっと我慢して「タッタタタタ」みたいな、少し跳ねたフィルにしたりとか。ドラム・マシンで「ズババババ」って行きたいところを、そういうつるんとした感じに留める、というのは今回全体的に意識していますね。

■いまは「tofubeats フォロワー」みたいな世代も出てきてるでしょう、パソコン音楽クラブみたいな。そういう下の世代からの刺激みたいなものってありますか?

TB:パソコン音楽クラブはもう下の世代ってあんま思えへんくらい仕上がってるんで(笑)、普通に一緒にできるグループみたいな感じですね。ただやっぱり、みんな自分よりちょっと速い。ハウスというと自分はどうしても120ぐらいの〈トラックス〉とか〈DJインターナショナル〉っぽいものを思い浮かべてしまうけど、いまの若い子たちが思ってるハウスって全体的に速いといか、トランシーな感じですよね。130弱くらいのテンポだったり、あと裏打ちのハイハットがオープンじゃなくてクローズドになってるとか。「ドッチッドッチッ」って感じで、ぼくの好きなのは「ドッシャードッシャー」というか、シカゴ・ハウスみたいな大地を踏みしめている感じなので(笑)。いまはつるっとした感触で、UKガラージとも混ぜられるような感じがトレンドな気がしますね。

■速いよね。でもいまって、若い世代でクラブ・シーンが盛り上がってるみたいじゃない。

TB:めっちゃ感じますね。ただ、自分が思ってるクラブとはもう違ってて。コロナ禍以降のクラブって、深夜にやってるライヴ・ハウスっぽいなーって思うことがけっこうあります。

■そういう現場に呼ばれたりはしますか? ブレイクコアとかトランスみたいな、若いオーディエンスの。

TB:そこまでのは、DJではないですね。ただライヴでは行くことがあって、「めっちゃメロコアみたいなライヴやってんな」と思うことはあります。「オートチューン・メロコア」というか……〈BOILER ROOM〉以降というか、いまは自分もああいうショウケース化されたフロアでやることが増えました。DJとか見えても見えてなくてもいいみたいな、なにが流れていようが関係ない、そういういわゆるもともとのクラブの感じの現場ではなくて、ショウ・アップされてて、お客さんがみんなDJのことを見てて、「なにが来るんだ」みたいな感じで期待されているような雰囲気を感じることが増えたかなという気はしますね。ちょっと代理店化された感じというか。〈BOILER ROOM〉のような沸点マックスみたいなイメージが、やる側にもお客さんの側でも内面化されちゃってる気がするので、それがこれからどういうふうになっていくのかな、とは思ったりしますね。

■以前日本語でやることにこだわってるって言ってたよね。日本のハウスってテイ・トウワさん、寺田創一さん、福富幸宏さん、サトシ・トミイエさん、〈Crue-L〉などこれまでにもすごくたくさんあるけど、好きなのってなんでしょうか?

TB:テイさんはめっちゃ好きですね。他方で、「J-CLUB」って言われていたような、TSUTAYAとかに置いてあったような「乙女ハウス」みたいなやつとかFPMとか、ああいうのも全然好きですし、一方で寺田さんみたいなのもめっちゃ好きですし……そういうのを合流させたいという気持ちはあります。あと、それとはべつに関西でCD-Rだけで出されてたような、自分が影響を受けた先輩たち、チェリボ(Cherryboy Function)さんとかデデ(DE DE MOUSE)さんとか。そのあたりから受けた影響も全部出したいなと思ってて。

■ピチカート・ファイヴのリミックス盤とかもね。

TB:そうそう。メジャーのそういうところからインディのそういうところまで、影響を受けてるので。

■たしかにそれは感じる。ポップスとクラブ・ミュージックのあいだで、ちょうどグラデーションみたいになっている感じというか。

TB:そうですそうです。どっちからも軽んじられているようなものが自分は好きなので。

■tofubeatsのなかではヒップホップもハウスもおなじだよね、昔から。90年代にハウスやってたひとたちも同時にヒップホップもやってたりするしね。いまみたいにどっちかっていう感じではなくて。

TB:そこはまさにうーんと思ってることのひとつで。パル・ジョーイとかマジで好きで、ヒップホップやっていたひとがハウスに行く感じというか。テイさんのDJ見ててもBボーイっぽいなと思うんですよ、ハウスをかけていても。そういうのはひとつの美学としてあるんですけど、あんまり伝わらないよなと思ったりもする。ヒップホップのイベントに出て、こういうハウスのトラックをぽんと入れたときの反応で、予想してなかったものが来た感じがあるかどうかっていうのは、クラブかクラブじゃないか考えるポイントになる。

取材:小林拓音(●)+野田努(■)(2024年5月24日)

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