ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. R.I.P. Shane MacGowan 追悼:シェイン・マガウアン
  2. Voodoo Club ——ロックンロールの夢よふたたび、暴動クラブ登場
  3. interview with Kazufumi Kodama どうしようもない「悲しみ」というものが、ずっとあるんですよ | こだま和文、『COVER曲集 ♪ともしび♪』について語る
  4. interview with Waajeed デトロイト・ハイテック・ジャズの思い出  | ──元スラム・ヴィレッジのプロデューサー、ワジード来日インタヴュー
  5. 蓮沼執太 - unpeople | Shuta Hasunuma
  6. DETROIT LOVE TOKYO ──カール・クレイグ、ムーディーマン、DJホログラフィックが集う夢の一夜
  7. シェイン 世界が愛する厄介者のうた -
  8. Galen & Paul - Can We Do Tomorrow Another Day? | ポール・シムノン、ギャレン・エアーズ
  9. interview with Shinya Tsukamoto 「戦争が終わっても、ぜんぜん戦争は終わってないと思っていた人たちがたくさんいたことがわかったんですね」 | ──新作『ほかげ』をめぐる、塚本晋也インタヴュー
  10. Oneohtrix Point Never - Again
  11. 『壊れゆく世界の哲学 フィリップ・K・ディック論』 - ダヴィッド・ラプジャード 著  堀千晶 訳
  12. Columns 11月のジャズ Jazz in November 2023
  13. Sleaford Mods ——スリーフォード・モッズがあの“ウェスト・エンド・ガールズ”をカヴァー
  14. Slowdive - everything is alive | スロウダイヴ
  15. interview with Evian Christ 新世代トランスの真打ち登場  | エヴィアン・クライスト、インタヴュー
  16. yeule - softscars | ユール
  17. 時代を進めたメイン・ソースのサンプリング・ワーク
  18. Columns ノエル・ギャラガー問題 (そして彼が優れている理由)
  19. Columns 10月のジャズ Jazz in October 2023
  20. SPECIAL REQUEST ——スペシャル・リクエストがザ・KLFのカヴァー集を発表

Home >  Reviews >  Album Reviews > Khruangbin- 全てが君に微笑む

Khruangbin

Khruangbin

全てが君に微笑む

Night Time Stories/ビート

Amazon

FunkThai Music etc.

Khruangbin

Khruangbin

Hasta El Cielo

Night Time Stories/ビート

Amazon

DubThai Music etc.

野田努   Aug 08,2019 UP

 ただいま人気絶頂のクルアンビン、いまもっとも魅力的なバンドであることは間違いない。まずはギター、リヴァーブをこれでもかと効かせながら、タイ音楽や中東あたり特有のコブシの入ったメロディを弾く。彼のギターがこのバンドの音の目印だ。そしてベース。いちばん目を引くちょっと派手な出で立ちの彼女は、じつにツボを得たベースを弾いている。ドラムも同様。かなり安定している。見た目このバンドは色物っぽいのだが、じつはじつは、かなりしっかりとした演奏力がある。ライヴの動画を見るとエンターテイナーとしての動きもプロフェッショナルだ。いい意味でアメリカのバンドっぽい、おそらく場数も多く踏んだ実力派だ。

 家に客人が来て、酒を飲んで話したりしているとき、そのときどきによってかける音楽を考えてしまうものだが、ここ最近でいえばクルアンビンほど汎用性の高い音楽はない。ありがたいことに、いまのところパーフェクトにみんなが「これイイね」だ。彼らの『Con Todo El Mundo』を再生しながら音楽好きと飲みながら話していると、東南アジアのベンチャーズ? 中東のトミー・ゲレロ? などという談義にもなる。どうでもいいことだが。
 なによりも重要なのは、この暴力的な暑さのなか、ビールを飲みながらクルアンビンを聴いている時間帯は心地良いという事実だ。「いまこれ気に入ってるんだけどさ」と言いながら、ムーディーマンの新譜をかけたり、あるいはココロコの新譜をかけたりしても、クルアンビンをかけたときの解放感の足元にも及ばない。ご機嫌なこの音楽を聴きながら講釈をたれるひともいないだろうし、そもそも猛暑のなかではまったく頭が機能してませーん。

 最近リリースされた2枚は、この夏の贈り物だ。『全てが君に微笑む』というふざけたタイトル(彼らの1st『The Universe Smiles Upon You』に引っ掛けているのだろう)の1枚はシングル曲などの寄せ集めで、クルアンビン中毒者の禁断症状にはうってつけである。あらためてクルアンビンという発明のすごさを思い知るだろう。
 また、もう1枚は驚きのダブ・アルバムで、しかもサイエンティストによるミックスときた。ジャマイカのダブマスターのなかで、もっともユーモアを前面に打ち出すエンターテイメント性の高いプロデューサーである。そして彼のダブ・ミキシングは、クルアンビンのベースとドラムがいかに素晴らしいかを浮き彫りにしている。タイや中東のメロディばかりがこのバンドのすべてではないのだ。

野田努

RELATED

Session Victim- Needledrop Night Time Stories

Reviews Amazon

Ash Walker- Aquamarine Night Time Stories / ビート

Reviews iTunes

Khruangbin- Con Todo El Mundo Night Time Stories/ビート

Reviews Amazon