ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Brian Eno ──ブライアン・イーノがレーベル〈Opal〉を再始動、あわせて00年代の2作品がリイシュー
  2. Arca - XXXXX
  3. interview with Actress UKテクノ界の奇才が語るみずからの哲学 | ──アクトレス、インタヴュー
  4. 細野晴臣 - Yours Sincerely | Haruomi Hosono
  5. Klara Lewis - Opening | クララ・ルイス
  6. R.I.P. 鷲巣功
  7. 別冊ele-king パンク50周年記念号──それは何だったのか、何でありえるのか
  8. Loraine James ——ロレイン・ジェイムズの新作、突如のリリース(しかも無料DL)
  9. interview with Cameron Picton (My New Band Believe) 元ブラック・ミディのキャメロン・ピクトン、新バンドにかける想い | ──初のアルバムを送り出したマイ・ニュー・バンド・ビリーヴ
  10. ele-king vol.37 ボーズ・オブ・カナダ大研究/サイケ&ドリーミー特集
  11. interview with caroline いま、これほどロマンティックに聞こえる音楽はほかにない | キャロライン、インタヴュー
  12. Future Sound of Jazz ——蘇る「フューチャー・ジャズ」、ドイツの〈Compost〉の人気シリーズが16作目
  13. This Is Lorelei - The Singer in My Band | ディス・イズ・ローレライ
  14. 異次元の常識──パンク/ハードコアの思想とメッセージ
  15. interview with Wendell Harrison 音楽の楽園=デトロイトから、ウェンデル・ハリソンがファラオ・サンダースとサン・ラーの思い出を語る
  16. 別冊ele-king 坂本慎太郎の世界
  17. RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI AMBIENT KYOTO - TOKYO -
  18. Tohji - angel
  19. Kim Doeon - SLAPSTICK | キム・ドオン
  20. Arca - &&&&&  | アルカ、Jesse Kanda,Distroid

Home >  Reviews >  Album Reviews > Call Super- Suzi Ecto

Call Super

AmbientDubIDMTechno

Call Super

Suzi Ecto

Houndstooth

Amazon iTunes

野田努   Oct 02,2014 UP

 2014年を印象づけるひとつのキーワードが、「IDM/エレクトロニカ」である。ARCAもそうだし、FKAトゥイングスも、AFX人気も、いろいろなところにそれが伺えるだろう。年のはじまりがアクトレスのリリースからだったというのも象徴的だ。
 ニッチではない。この現象は実に説明しやすいもので、最初の「IDM/エレクトロニカ」ブームのときと同じく、アンチEDM(反・飼い慣らされたレイヴ)ってことだろう。対立軸がはっきりしているほうがシーンは面白くなる。
 とはいえ、『スージー・エクト』がダンス・カルチャーと対立しているわけではない。むしろクラブとベッドルームとの境目を溶解して、両側に通じているというか。ロンドンの〈ハウンズトゥース〉が送り出す、ジョセフ・リッチモンド・シートンによるコール・スーパーのデビュー・アルバムも2014年らしい、聴き応えのあるエレクトロニカ作品だ。

 2011年にデビューしばかりのコール・スーパーは、明らかにハウス/テクノのクラブ・ミュージックの側にいた。フィンガーズ・インクをモダンにアップデートしたような……、いや、それをほんとどコピーしたヴォーカル・ハウスである。が、活動の拠点を〈ハウンズトゥース〉に移してからの彼は型を外す方向に向かい、家聴きされることを意識したであろうこのファースト・アルバムでは、OPNとクラブとの溝を埋めるかのようなエレクトロニック・ミュージックを試みているわけだ。

 『スージー・エクト』を特徴付けているのは、エイフェックス・ツインの『セレクティッド・アンビエント・ワークス』を彷彿させるほどの、圧倒的なロマンティックさにある。押しつげがましくない程度に、緊張感のあるリズムをキープしながらも、ドリーミーで、なんとも恍惚としたサウンドを展開、曲によってはフルートやオーブエの生音まで入っている。また、そのリズムもテクノ/ハウス一辺倒ではなく、ボンゴの演奏を活かしたパーカッシヴな心地よさ、ダブの陶酔、アンビエント、いろいろある。つまり、工夫はあるが、屈託のない音楽なのである。

野田努