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V.A.

V.A.

Diskotopia Volume One

Diskotopia

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三田 格   Jan 20,2012 UP

 行ったことはないので、詳しいことは知らないけれど、05年に大阪でスタートし、橋下徹によるクラブ粛清を察知したか(紙エレキングVol.4参照)、09年からは東京に拠点を移したディスコトピアというパーティから初のフィジカル・リリース(これまではスターキーやアイコニカをリミックスに起用したBD1982のEP「VHSナイト」など配信オンリー)。オーガナイザーの名前がマット・リン、アム・ライン、ショーと、おそらく日本人ではないようで、これにニューヨークからBD1982が加わって、ベース・ミュージックやテクノなど、センスのいいダンス・ミュージックがまとめてコンパイルされている。このような曲がかかっているパーティが東京にあったんですねー。

 オープニングはほぼストリングスだけで構成されたBD1982"サンシャイン"。いかにもオーヴァーチュアーといった雰囲気で、続いてヴィジョニスト(=ワイアーのジャーナリスト、ジョー・マッグス)によるエレクトロとダブステップの交錯点へと導かれる。さらにサヴェージのBD1982によるリミックスを経て、日本からRLPによるハドスン・モーホークへのアンサー風味。ここまではストレートにベース・ミュージックの動向を意識していたものが並び、アイコニカとともにハム+バズを設立したオプティマスからトランス・エレクトロとでもいうような変わった作風へと雪崩れ込む。同じくロンドンからシャイ・ワンは抑制されたメランコリーを窺わせるダーク・ステップとマットリンによるア・トート・ラインは正調デトロイト・テクノ、07年に結成され、昨年はデビュー・アルバム『マイ・ファントムズ』をリリースしているホンコン・イン・ザ・60ズはメイ・ヤウ・カンのヴォーカルをフィーチャーしたボサ・ノバ風ラウンジ・エレクトロ、これをディスコトピア・チームがダブ・ヴァージョンに仕上げている。続いて日本からアワはチルウェイヴ......といっていいのか、ジャズ・ギターをさらりと響かせて、"チューブラー・ベルズ"のイントロダクションを思わせるグリーン・ライズ(マット・リン+ホンコン・イン・ザ・60ズ)と共に洒脱なアーバン・スタイルを披露。06年にデビュー・アルバム『アイ・アム・ノット・トーキング・アバウト・コマーシャル・シット!!!!!』をリリースしているブンことフミタケ・タムラは唐突にジャズ・モードで、ひとり粘っこいリズムを練り上げ、デイダラスに見出されたというLDFDはテキサスからサイケデリック・ステップとも言うべき驚愕のベース・ミュージックを届けてくれる(これだけでも!)、デックス・ピストルズからDJマールは一転して浮き足立ったようなトライバル・ハウス......と、まだまだ続くけれど、ダンス・ミュージックのコンピレイションで、これだけダブステップもテクノもといったようなものはあまりスムーズに聴けないことが多いのに、まったくそのようなことは感じさせず、どこかザックリとした清涼感のようなもので一気にまとめ上げている力量は大したものといえる。DJミックスでもそういうことができるのはローラン・ガルニエぐらいしか思いつかないし、「バリアリック」という言葉の本来的な意味を取り戻した感もある。

 ある種のコンピレイション・アルバムには、ネット上のサンプル音源をランダムに聞くだけではわからないトータル性のようなものがきっちりと備わっていて、それがときには時代性というものをはっきりと表していることがある。ちょうど1年前に〈イグジット・ミュージック〉からリリースされたニュー・スクール・オブ・ドラムン・ベースのコンピレイション『モザイク ヴォリウム1』などもそうで、そのような「意志」に出会えることはいわゆるアーティスト・アルバムから感じられるそれとは少し違うものだし、とくにダンス・ミュージックにおいては重要なヴィジョンになりうるものだろう。『ディスコトピア』が1年後にはどう聞こえるか、かなり興味のあるところである。

 ちなみに昨2011年に編み出されたコンピレイション・アルバムからベスト3を僕なりに選んでみた。

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V.A./Mosaic Volume One (Exit)
 ハーフ・ステップで統一されたアトモスフェリックなドラムン・ベースは確実に次の時代を射程に置いていた。この優雅さと内に秘められた熱量はまるでダンス・ミュージックがその根本に立ち返ったかのような理想像にさえ思えてしまう。なかでも主催のD-ブリッジはA&R能力の優秀さだけでなく、彼自身の曲があまりにソウルフルに響き渡るため、間をおかずにセカンド・ソロを完成させれば大騒ぎになることは間違いない。

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V.A./Invasion of the Mysteron Killer Sounds Vol.1 (Soul Jazz)
 人類の魂を浚おうとするエイリアン対ディジタル・デフェンダーズ......とかなんとかいう設定でまとめれたフューチャー・ダンスホール宣言(コミック・ブック付き)。ヴォリウム1はザ・バグことケヴィン・マーティンによるセレクトで、これがあまりにスゴい。ディプロとかウォード21といった知った名前もなくはないけれど、大半が新人のようで、なにがなんだかわからない新機軸ばかり。ヴォリウム2はソウル・ジャズのスチュアート・ベイカーによる歴史的な補足の意味もあるのか、キング・タビーやスライ・ダンバーもエントリーさせつつ、多少は落ち着いた内容になっている。各々2枚組みでCDはアナログ計4枚を2CDにコンパイル。

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V.A./Portable Shrines Magic Sound Theatre Vol.1 (Translinguisticother)
 シアトルからドローンやサイケデリック・ロックを中心に実験的なUSアンダーグラウンドの全貌をまとめた意欲的コンピレイション。全18組。ブラザー・レイヴンが入っていたので、思わず手が伸びてしまいましたが、プリンス・ラマ(レイマ?)やナイトビーツからマスター・ミュージシャンズ・オブ・ブッカケなど新人から中堅までいいテンションで曲が出揃っている。ギリシャでやたらと実験音楽が活発になっているのと同じく、経済があそこまでダウンしているというのに音楽に関しては疲れを知らない子どものようです、現在のUSは。

三田 格