ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある
  2. Robert Johnson ──オリジナルSP盤から起こしたロバ―ト・ジョンスンの12作が10インチでリイシュー
  3. interview with Adrian Sherwood 愛とソウルと、そしてメロウなダブ・アルバム | エイドリアン・シャーウッド、インタヴュー
  4. interview with Cameron Picton (My New Band Believe) 元ブラック・ミディのキャメロン・ピクトン、新バンドにかける想い | ──初のアルバムを送り出したマイ・ニュー・バンド・ビリーヴ
  5. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第1回 現象になりたい
  6. ボカロが世界に与えた衝撃 一億回再生の意外な背景
  7. Laurel Halo - Midnight Zone (Original Soundtrack to the Film by Julian Charrière) | ローレル・ヘイロー
  8. Stones Throw ──設立30周年記念日本ツアー開催、ピーナッツ・バター・ウルフ、ノレッジ、マインドデザイン、ミチが来日
  9. Columns Thundercat 来日を控えるサンダーキャット、その新作が醸し出すチルなフィーリングについて
  10. DADDY G(MASSIVE ATTACK) & DON LETTS ——パンキー・レゲエ・パーティのレジェンド、ドン・レッツとマッシヴ・アタックのダディ・Gが揃って来日ツアー
  11. 別冊ele-king 音楽が世界を変える──プロテスト・ミュージック・スペシャル
  12. interview with Ego Ella May ジャズとネオ・ソウルの邂逅 | エゴ・エラ・メイ、インタヴュー
  13. 別冊ele-king J-PUNK/NEW WAVE-革命の記憶
  14. Mamas Gun - Dig! | ママズ・ガン
  15. Masaaki Hara ──熊本の喫茶店ENDELEA COFFEE京町にて『アンビエント/ジャズ』著者、原雅明によるトーク・イベント
  16. KENNY DOPE JAPAN TOUR 2026 ——ケニー・ドープ、9年ぶりの来日決定です
  17. Columns 3月のジャズ Jazz in March 2026
  18. Columns 山本アキヲの思い出
  19. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第2回 マグカップは割れ、風呂場のタイルは今日も四角い
  20. Moemiki - Amaharashi

Home >  Reviews >  Album Reviews > DJ Roc- The Crack Capone

DJ Roc

DJ Roc

The Crack Capone

Planet Mu

Amazon iTunes

V.A.

V.A.

Bangs and Works Vol.1: a Chicago Footwork Compilation

Planet Mu

Amazon iTunes

三田 格   Jan 14,2011 UP

 シカゴ・ブルースのパパ・チャーリー・ジャクスンやアーサー・ブラインド・ブレイク、シカゴ・ハウスのロニー・スローンやロン・ハーディと同じ地位を占める男は、いまはRP・ブーということになるらしい。ドレッドヘアが波打つキャヴェイン・スペースがまだDJブーと名乗っていた時期にオル・ダーティ・バスタードのヴォイス・サンプルを駆使してつくりあげた「ベイビー・カム・オン」(97)という白盤が現在のシカゴでフットワークもしくはジュークと呼ばれるシーンの発端とされているからである。必ずというわけではないけれど、その多くは短いヴォイス・サンプルをループさせ、ときには32ビートだと主張される細かいビートの一部を構成し、ソリッドで神経症的なリズムが濃密に組み上げられる。BPMも160が平均だとされ、例によってハーフ・テンポでリズムを取り、(やはり必ずではないけれど)チキチキが影響しているようなハイ・ハットがポリ-リズミックに加わることでディープなファンクネスが達成される。つまり、相当な情報量にもかかわらず、まったく疲れない。〈プラネット・ミュー〉が年末ギリギリにリリースしたコンピレイション『バングス&ワークス』のインナーを見ると、アフリカ系ばかりが14人も並んでいるという時点ですでに何かが物語られているのではないだろうか(白人ではやはりシカゴから自らをジューク-レイヴ-ジャングル-ディスコ-トロピカル-ハイ・エナジー-ギャングスタ-ダンスホール-ゲットー-ガラージ-コアと称するクリッシー・マーダーボットがDJとしてはシーンに貢献しているとして名前がたびたび挙がっているものの、09年に自らが運営するジューク-レイヴ-ジャングル-ディスコ-ダブステップ-ハイ・エナジー-ダンスホール-ゲットー-コア専門のスリージートーンからリリースしたファースト・アルバムを聴く限りは単にテンポが速いだけというか......。また、〈プラネット・ミュー〉がこのシーンにコミットしていった経緯はDJネイトのレヴューに貼られているリンクを参照のこと。簡単にいうとマイク・パラディナスはジャングルがやはりハーフ・テンポでリズムを取っていたことを思い出し、のめり込んでいったらしく、その結果は→
 また、パラディナスにとってはいつの間にかイギリスには輸入されなくなった〈ダンス・マニア〉との連続性を喚起する部分もあったそうで、その記憶はDJロックのアルバム・デザインにそのまま反映されている。DJファンクやDJミルトンの12インチを集めたDJたちには懐かしい色と書体ですなー)。

 『バングス&ワークス』は当たり前のことだけど、モノトーンのベースで押し切るDJエルモー"ヨ・シット・ファックド・アップ"からDJキラ・Eによる壮大な"スター・ウォーズ"など幅は広いし、アル・カポネをモジッたらしきDJロックのファースト・アルバムはスウィングでもしているようにサンプリングを絡み合わせ、ある種の躁状態を圧倒的な集中力で最後まで持続させる(全20曲があっという間!)。南アフリカのシャンガーンも同じようなBPMの速さだったけれど、やはりベースが効いているせいか、ここで展開されている音楽は圧倒的に都会的だといえる。また、〈プラネット・ミュー〉の功績なのか、シカゴ以外にもフォロワーが散見されるようになり、イギリスではヘッドハンターの変名だというアディソン・グルーヴを皮切りにティムデックジェネラル、ダブヘッズ、DJアンダーカヴァー、スラッゴトロン、フットワーク・リズム・ティームなどが早くも動き出している。

三田 格