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interview with LIG (Osamu Sato + Tomohiko Gondo)

至福のトリップ体験

──LIG(佐藤理+ゴンドウトモヒコ)、インタヴュー

interview with LIG (Osamu Sato + Tomohiko Gondo)

かたや『LSD』『東脳』といったゲームで知られるクリエイターの佐藤理。かたや高橋幸宏との数多くのコラボで知られる金管楽器奏者のゴンドウトモヒコ。古くからの仲のふたりが初めて組んだユニットは、独特のトリップ・サウンドを追求している。

取材:吉村栄一    写真:小原泰広 Dec 05,2025 UP

 LIGは佐藤理とゴンドウトモヒコによる新しい音楽ユニットだ。
 デビュー・アルバムは2枚組CDの『Love Is Glamorous/Life Is Gorgeous』。
 レコード会社による紹介ではLIGの音楽は「電子音楽と金管楽器を融合し、現代音楽、ジャズ、民族音楽、クラシックを横断するオーガニックなインストゥルメンタル・サウンド・トリップ」とある。
 こう書くとずいぶんと曖昧に捉えられるかもしれないが、実際に彼らの音楽を聴いてみたら、まさにその通りの音楽だった。
 ただし、とてもポップかつダンサブルで楽しい「インストゥルメンタル・サウンド・トリップ」でもある。
 LIGのふたりのうち、佐藤理は1990年代に発表された『LSD』や『東脳』といったサイケデリックで中毒性の高いゲームのクリエイターとして高名だが、音楽やグラフィック・デザイン、映像の分野でも数多くの作品を世に出しているマルチな才能を持ったアーティストだ。
 片やゴンドウトモヒコはボストン大学で音楽を学び、帰国後はオフィス・インテンツィオ(高橋幸宏らが創設した会社)でのサウンド・プログラマーを経て電子音楽と金管楽器の奏者、そして作曲家として活動を続ける。自身のバンド、アノニマスのほか、YMOや蓮沼執太フィルのサポート、高橋幸宏との数多くのコラボレーションで知られている。
 1960年生まれの佐藤と1967年生まれのゴンドウ。ちょっとだけ年は離れているが、かなり以前から面識があり、近年はライヴやレコーディングで共演を続けてきた。

いっぱい曲ができて新人バンドなのに2枚組になっちゃって(ゴンドウ) 65歳と58歳の新人ですが(佐藤)

ゴンドウ:最初に会ったのは1995年ぐらいかな。ぼくがオフィス・インテンツィオに入ったばっかりの頃。アノニマスの山本(哲也)くんが佐藤さんの事務所でバイトをしていて、その縁です

佐藤:それからすぐに一緒にライヴをやるようになって、吉祥寺のスターパインとか、なにかのイベントで渋谷のクアトロに出たこともありました。そのときはアノニマス+ぼくという形が多かったかな

ゴンドウ:そうそう。(徳澤)青弦もいて、即興的な演奏をしていました

 しかし、その後は一旦、共演は間が空いた。

佐藤:その間、ぼくは〈ソニー〉でゲームを作ったりして、その音楽は作ったものの、しばらく音楽活動はお休みしていたんです。あまりに忙しくてゲームやグラフィックの作業に専念しようと。ただ、その後に海外の会社からぼくの音楽をアナログ盤で出したいというオファーが続いて、昔の音源やデータをひっぱり出してきて、よしこれでアルバムを一枚作ろうと。その中の1曲でゴンちゃんにホーンを吹いてもらって、それがひさしぶりでしたね

 その曲は、かつて佐藤理が坂本龍一さんからコードとメロディを提供され共作した『Retrocognition』のセルフ・カヴァーで2017年の発表。

佐藤:その頃からビームスで毎年のように展覧会をやってライヴをやるようになったんですが、最初の2017年にゴンちゃんと成田忍さんにサポートで入ってもらったのが本格的に共演するようになった始まりかな?

ゴンドウ:そうですね、本格的に一緒にやったのはそのときが初めてですね

 アーバン・ダンスの成田忍は本作にもゲスト参加している。

佐藤:ぼくは京都出身なんで同郷のアーバン・ダンスは昔から知っていて、成田さんは、しばらく活動していない時期もあったんですけど、ときどきライヴのゲストに誘ってみたり。また、沖山優司さんと一緒にアルバムを共作しかけて、でも途中から彼がやる気になってきて、やっぱり全部自分でやるって音楽活動に本格復帰したりと、つきあいが長いんですよ

ゴンドウ:あのライヴは楽しかったですね

佐藤:ただ、あのときは自分のアルバムが出たのにそこからの曲は1曲もやらず、即興だけやっていたので、レコード会社の人からは“それじゃなんのプロモーションにもなりません”って(笑)。ま、そうして以降、ゴンちゃんとは何度も共演してきたんですが、そうだ、それをお願いする前に、ぼくMETAFIVEのライヴを観たんだ

ゴンドウ:え、そうなの?

佐藤:ぼくの仕事場の富士の近くでイベントがあって、いろいろ関わってたテイ(トウワ)さんから誘われて観に行ったの。自転車乗って(笑)

ゴンドウ:そのとき会ってないですよね?

佐藤:そう。ゴンちゃんにメールで“いま観てるよ”って送っただけで、観終わったらすぐ帰っちゃった

ゴンドウ:自転車で?(笑)

佐藤:そう、自転車で。ゴンちゃん出世したなって思いながら(笑)

ゴンドウ:いや、そんな!

佐藤:その前からYMOのバックをやったりして、がんばってるなって思ってましたけど、そのとき自分は音楽をやってなかったんで、ちょっと自分ごととしては考えてなかった

ゴンドウ:以前からいろいろと繋がりは多いんです。レピッシュのtatsuさんと一緒に仕事をしたり、沖山さんとも仲がいいし

佐藤:ぼく、20代の頃に沖山さんと成田さんと3人で一緒にアメリカに音楽の旅に行ったこともありますよ。ニューヨークとナッシュビルとニュー・オーリンズ。ドクター・ジョンやテンプテーションズ、ライヴ・ハウスで無名のアーティストをいっぱい観ました。ジャズだったりカントリーだったり。それ系の音楽が昔から大好きなんです

ゴンドウ:すごく詳しい

佐藤:聞く音楽とやる音楽がちがうんです(笑)。自分ではブラック・ミュージックはできないのでテクノになる。日本人にはいちばんテクノが向いているんじゃないかなと

ゴンドウ:ぼくは昔からゲームをしないので、『LSD』とか評判になっているのは知ってましたが、やったことがない。でも、佐藤さんの音楽は大好きで、すごくおもしろい。感覚的に作ってるんだろうなって思うんですけど、その感覚がすばらしい

佐藤:ぼくはゴンちゃんみたいにアカデミックな音楽教育を受けてないし、楽器の演奏もできない。コンピューターを通すことによって初めて音楽ができる

ゴンドウ:で、いろいろ共演していくうちに、そろそろなんか一緒に作ろうかって話になったんです。いつの間にかライヴでいろんな曲をいっぱいやってるし

佐藤:そうそう。いつからかぼくのソロ・ライヴでもゴンちゃんの曲をちょっとずつ入れていってた

ゴンドウ:しかし、やろうとは言ったものの、そこからが長かった(笑)

佐藤:やろうやろうと言いつつなかなか進まなかった。お互いソロは出してたんですけど。そうしたらある日ゴンちゃんが、そろそろちゃんと録音しようって

ゴンドウ:なにか曲のMIDIファイルがあるならください。それに何か加えて返しますよと

佐藤:それでMIDIのやりとりが始まってお互いの素材を換骨奪胎していったり、ゴンちゃんがホーンを吹いて入れたり。それで大体できたところでふたりで聴いてここはこうしたい、ああしたいって感じで進めていきました

ゴンドウ:そうやって初めてみたらあれよあれよと進んで、結局2枚組ということに(笑)

佐藤:曲がいっぱいできすぎた!(笑)。で、できたアルバムはお互いレーベルもやっているんで、そこからの流通でいいかなと思ったんですが、ゴンちゃんがメジャーで出したいと

ゴンドウ:いやいや、そんなことは言ってないですよ(笑)

佐藤:言った言った! それでぼくの個展にソニーの人が来てくれたのでそのときにデモを渡したら興味を持ってくれたんです

ゴンドウ:現代音楽もテクノも詳しいという人で、ぼくも佐藤さんもテクノではないんですが、そういう人が気に入ってくれたのはうれしい

佐藤:歌もないし、ポップ・ミュージックじゃないし、クラブ系でもないから

取材:吉村栄一(2025年12月05日)

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Profile

吉村栄一(よしむら・えいいち)
1966年福井県生まれ。マドラ出版『広告批評』編集者を経てフリーのライター、編集者に。これまでの著書には『評伝デヴィッド・ボウイ』(DU BOOKS)』、『YMO 1978-2043』(KADOKAWA)など。2023年2月に『坂本龍一 音楽の歴史』(小学館)を刊行。

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