ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. 別冊ele-king 日本の大衆文化はなぜ「終末」を描くのか――漫画、アニメ、音楽に観る「世界の終わり」
  2. ゲーム音楽はどこから来たのか――ゲームサウンドの歴史と構造
  3. Columns ノルウェーのオイヤ・フェスティヴァル 2024体験記(前編) Øya Festival 2024 / オイヤ・フェスティヴァル 2024
  4. Nídia & Valentina - Estradas | ニディア&ヴァレンティーナ
  5. Columns ノルウェーのオイヤ・フェスティヴァル 2024体験記(後編) Øya Festival 2024 / オイヤ・フェスティヴァル 2024
  6. Fabiano do Nascimento and Shin Sasakubo ──ファビアーノ・ド・ナシメントと笹久保伸によるギター・デュオ・アルバム
  7. interview with Boom Boom Satellites 明日は何も知らない  | ブンブンサテライツ(中野雅之+川島道行)、インタヴュー
  8. Black Midi ──ブラック・ミディが解散、もしくは無期限の活動休止
  9. Columns Nala Sinephro ナラ・シネフロの奏でるジャズはアンビエントとしての魅力も放っている
  10. interview with Conner Youngblood 心地いいスペースがあることは間違いなく重要です | コナー・ヤングブラッドが語る新作の背景
  11. R.I.P. Tadashi Yabe 追悼:矢部直
  12. Overmono ──オーヴァーモノによる単独来日公演、東京と大阪で開催
  13. Loren Connors & David Grubbs - Evening Air | ローレン・コナーズ、デイヴィッド・グラブス
  14. K-PUNK アシッド・コミュニズム──思索・未来への路線図
  15. interview with Sonoko Inoue ブルーグラスであれば何でも好き  | 井上園子、デビュー・アルバムを語る
  16. MODE AT LIQUIDROOM - Still House Plantsgoat
  17. interview with Jon Hopkins 昔の人間は長い音楽を聴いていた。それを取り戻そうとしている。 | ジョン・ホプキンス、インタヴュー
  18. Mark Fisher ——いちどは無効化された夢の力を取り戻すために。マーク・フィッシャー『K-PUNK』全三巻刊行のお知らせ
  19. KMRU - Natur
  20. Wunderhorse - Midas | ワンダーホース

Home >  Interviews > interview with Shun Ishiwaka & Chihei Hatakeyama - ジャズ・ドラマー石若駿とアンビエント・ミュージシャン畠山地平による即興作品

interview with Shun Ishiwaka & Chihei Hatakeyama

interview with Shun Ishiwaka & Chihei Hatakeyama

ジャズ・ドラマー石若駿とアンビエント・ミュージシャン畠山地平による即興作品

取材・序文:小林拓音    質問:野田努   Aug 22,2024 UP

あえてドラムを聴かないようにしてやってみようかなとか、合わせるんじゃなくて反対のことしてみようって音を入れたりとかして、近づいたり離れたりするアプローチをとりましたね。(畠山)

石若さんはふだん日常でアンビエントは聴くんですか?

石若:アンビエントって呼ばれてるものは好きですね。ただ、アンビエント・ミュージックを聴こうっていうふうには聴いてはいないと思いますけど。でもそう呼ばれるであろうものは自然と好きで、よく聴いてるものが多いかもしれないです。詳しいアーティスト名とかはぜんぜん覚えてないんですけど、聴くのは好きです。ぼくはApple Musicユーザーなんですが、ステーション作成という自分の好きなアーティストからどんどん派生していく機能みたいなのがあって、気分じゃないものは飛ばして聴けるんですよね。だけどアンビエントみたいに……僕はアンビエントって呼びたくはないんですけど、みんながアンビエントって呼んでるものは飛ばさず聴くことは多いかもしれないです。

なるほど。今回のコラボレーションをやるにあたって、ドラムを入れていくうえで苦労したこと、あるいは注意したこと、意識したことはありますか?

石若:「自分がなぜそのときにその音色を選択するか」みたいなことを客観的に考えるようになったというか。音に責任を持つことに注意を払ってはいましたね。自分がいま出してる音が地平さんの音像やハーモニーにたいしてどの立ち位置でどの立場になるのか、みたいな。それがたとえば直線的な、面と向かったことなのか、密度みたいなものなのか、高さだったり、という。地平さんが風だったらぼくは葉っぱだな、というような、立場というかキャラクターとしてのあり方を考えました。ただ、それはじっさいにやってみて終わったあとに感じたたとえかもしれないですけど。そういう立ち位置、密度、空間の広さとかにたいしてちゃんと向き合ってる状態であるっていうことは意識してたと思うし、完成してできあがったのを聴くと、「葉っぱと風」みたいな、キャラクターや環境の違いみたいなものになっているのかもしれないな、と思ったり。そういう感覚ですかね。

畠山さんは、今回ドラムが入ってくる前提のなか、どういう点に注意しましたか?

畠山:いつも演奏してる自分のスタイルがいくつかあるかなとは思うんですけど、たとえばアンビエント的なミュージシャンの方とコラボレーションして演奏を同時にするとか、インプロ系の方とやるときには、相手の演奏するスペースについて考えますね。ドローンってあまりにも(音を)埋めちゃうと、相手が演奏するスペースがなくなっちゃったり、この音しか聴こえないという状況になってしまいがちで、それはどうかなと思うので、そういうバランスも考えながら演奏します。石若くんのドラムを聴いたり、一緒に演奏したりしていくと、ドラムとギター・ドローンなので、(双方が)使わないスペースを埋め合ってるっていうのもあって、ふだんの自分の演奏でいちばんやりたい感じのものをそのままぶつけても成立するので、演奏しやすいなと第一に思いました。
 あとは、ふだん以上にドローンの渦みたいな、なんとなくあるリズムというか、周期の流れみたいなものをドラムのリズムに合わせながら演奏したりとか、ディレイのタイミングとかをタップ機能で石若くんが叩いているのに合わせてみたりとか、そんな感じでやりました。あえてドラムを聴かないようにしてやってみようかなとか、合わせるんじゃなくて反対のことしてみようって音を入れたりとかして、近づいたり離れたりするアプローチをとりましたね。演奏は本当にやりやすかったです。

事前の打ち合わせはあったんでしょうか。

石若:レコーディングする前にテイクのコンセプトは共有しながらやりましたね。でもぼくの演奏はコンセプトを共有している状態でもとにかく自由なものなので、テンポだったりフィールというか、そういうものの選択もぼくは地平さんの音を聴こえるがままに演奏してました。ふたりで共有している部分はあったけど、中身はそのときの自然の摂理っていう(笑)。

その共有したコンセプトというのは?

石若:20分間くらいのテイクで、たとえば最初は静かなところからはじまって、このぐらいの熱量になって、またおなじ時間かけて静かに戻ろうとか、そういう感じです。音数多めでとか。音数かなり少なくしてやろうか、とか。

録音したあとのポスト・プロダクション、エディットの比重は大きかったですか?

畠山:今回エディット的なことは、ドラムとギターにはほぼしてないんですよね。ここをちょっと変えようとか、こことここをつなげようとかっていうのはほぼなくて、もうほんとうに演奏したままなんですよ。それはまさに石若くんのなせる技というか。ぼくは自分の作品でもけっこうエディットするんですけど、今回はギターとドラムにかんしては、ミックスは〈ギアボックス〉のエンジニアの方にやってもらって。ただ、石若くんがピアノでぼくがギターの録音については、ぼくがちょっとループつくったり。そんなにはしてないですけど。

石若さんがピアノを弾かれている曲、ありましたね! ピアノが入ると雰囲気が変わって印象に残ったんですけど、ドラムとギター・ドローン以外の要素も入れるという構想は最初からあったんでしょうか。

畠山:いや、スタジオにピアノがあって、ちょっと遊びで弾いてみたら音がすごくよかったので、いい録音エンジニアもいるし「石若くん、弾けるんじゃないかな?」って思って。ちょっと無茶振りかなと思いつつ「ピアノ弾いてみない?」みたいな感じで誘ったら「やります」って言ってくれて。あのときはどんな気持ちだったのかな?

石若:アンビエント・ミュージックと呼ばれるものにピアノで携わったことがなかったので、急に初体験がみんなの前でおこなわれてよかったですよね。なんというか、メモリアルなテイクになったんじゃないでしょうか(笑)。やってる最中もすごく楽しかったです。自分はクラシック的なピアノも好きだしジャズ的なものも好きだけど、そういったものを連想させないよう導かれた感じはあります。ジャズ・ピアノでもクラシックでもない、どう呼ばれるかわからないことを自然に導かれて弾いてるのかもしれないな、みたいな感覚でしたね。音のチョイスだったり、和音のコードだったり、音色の選択だったり。

ヴォーカルが入ってる曲もありますよね。これも事前に決めていたことなんでしょうか?

畠山:ふたりでちゃんと共有してたわけじゃないんですけど、なんとなくこの演奏に女性ヴォーカルが合いそうだな、みたいな予感があって。昔から知り合いだったハチスノイトさんが歌ってくれました。彼女はロンドンに移住してから、ロンドンやアメリカでライヴをするようになって、自分の歌の幅を拡げてインプロとかいろいろな表現もできるひとで。リリース元の〈ギアボックス・レコーズ〉はロンドンにあるので、レコーディングもロンドンのスタジオでやってると思うんですけど、「どういう歌を入れたらいいの?」って言われたとき、ぼくがどう言ってもその場にはいられないしわからないなと思ったので、プロデューサーで社長のダレルさんと本人のふたりで相談しながら決めてくださいって言って。もうそこはふたりのセンスにお任せするんで、って。それでどんなものができるのかな、って楽しみにしていました。アブストラクトな感じで来るのかなって思ってたんですけど、意外とストレートな歌で来ましたね。でもすごくそれがよかった。

3人でおなじ空間でレコーディングしたわけではなかったんですね。

畠山:録音されたギターとドラムにヴォーカルをオーヴァーダビングしたってことです。石若くんは聴いてみてどうだった?

石若:すごい驚きでした。さっき言った密度とか空間、奥行きみたいなのがさらに何次元も拡がっているような感覚で、びっくりしましたね。でもたしかに、3人で同時に一円でやったら生まれるものじゃなかったかもしれないですね。こういうレコーディングだからさらに予想を上まわるというか、想像を超えたトラックになったんじゃないかなと思います。


photo by yusei takahashi

今回エディット的なことは、ドラムとギターにはほぼしてないんですよね。もうほんとうに演奏したままなんですよ。それはまさに石若くんのなせる技というか。(畠山)

石若さんは先ほど自分の新しい扉ということをおっしゃってましたけど、今回のコラボレーションとこれまでの数々のコラボレーションとでとくに違ったこと、あるいは新しく発見したことってありましたか?

石若:地平さんの音色に導かれて自分のドラミングがどんどん移り変わっていくような、そういうレコーディングの仕方ってあんまりいままでなかったんですよね。たとえばジャズのなかではフリー・ジャズとか、テーマはあるけど中身はインプロで、ということはこれまでやってきたんですけど、それよりもっと広い枠組み……というか枠組みがなくて、地平さんのドローンの重なった音色とハーモニーによって自分のドラミングが変わっていくみたいな体験ができました。アルバム1枚をとおしてそのやり方で演奏したっていうのはこれまでやったことがありませんでしたね。完成したものを聴いても、エディットされた感じではなく、そのとき演奏した一筆書きのような、ここからここまでという時間軸でとらえたものだったので、すごくフレッシュなものが記録されていると同時に濃厚な印象も強いです。さらっと即興でやりました、というものではなく、濃厚なものをフレッシュにできた。いままでにない貴重な体験だったと思います。

畠山さんは今回、石若さんのドラミングでいちばんよかったのはどういうところでしたか?

畠山:ぼくからすると、石若くんのドラムっていうのはつねに素晴らしいんです。ここがっていうよりは、ずっとすごく気持ちいいというか。手数が多くなって盛り上がってるときでもうるさい感じじゃないのが不思議だなと。いつもすごい音楽的なんですよね。ぼくからすると演奏しやすいっていうのは石若くんの性格にもよるのかな。アンビエントだからって考えこんでやっちゃうと逆に考えすぎたことが出ちゃうかもしれない。けど石若くんは感じたままに演奏して返してくれるから、それをもう一度フィードバックするとさらにまた違うかたちで返ってきて、自然なサイクルがありました。

今回のコラボに臨むにあたって、とくに聴いたり参考にしたりイメージしたりしていた音楽ってありますか?

石若:ぼくはとくにはないですね。

畠山:ぼくはその時々のマイブームみたいなものがあって。たまたま裸のラリーズのLPの再発が続いてたときがあって、それでよく聴いてましたね。今回のアルバムには未収録なんですけど「Vol.2」に収録予定の曲でじつはディストーションを使った激しめの曲とかもあるんですよ。ちょっとサイケ・ロック的なアプローチもしてみようかなと。

パート1とパート2に分けた理由はなんでしょうか。

畠山:今回レコーディングは1日だけだったんですね。ゲスト以外は。アルバム1枚分くらい録れればいいなって思ってて。それで何曲か録音したなかから取捨選択して、2テイクだけリリースしてあとはお蔵入り、というつもりで録音したんですけど、プロデューサー兼レーベル社長のダレルさんが気に入って、録音したもの全部出しちゃおうよって(笑)。彼のなかでは最初はボックスを出す気だったみたいですけど、ボックスで出すより2枚に分けた方がいいか、ということで2LPを2回出すのがおもしろそうだねということで、こうなりましたね。

これまでいろいろ考えてプロジェクトを分けてやってきたはずなんですが、それでいいのかなと。よかった部分もあるんですけど、じゃあマイルスはそうやったかな? とか、キース・ジャレットは? とか。(石若)

ちょっと話が逸れてしまうんですが、畠山さんには先日紙版ele-kingのインタヴューで、日本の好きな音楽について語ってもらっています。そこで土取利行さんを挙げていましが、ご自身の音楽性と土取さんの音楽性で通じているものはあると思いますか?

畠山:土取さんの歩みは、最初はフリー・ジャズやフリー・インプロのドラマーで、その後銅鐸や古代の石や笛を演奏したりしていくんですね。そのなかで音楽に宿る精神性のようなものに魅かれていったのかな。ぼくは古代史や邪馬台国が大好きという方向から土取さんの銅鐸の演奏が好きで。古代史好きからすると畝傍山〔編注:うねびやま。奈良県中部に位置する。その東南の橿原で神武天皇が都を開いたとされる〕で銅鐸の演奏! というだけで悶絶モノに興奮しました。土取さんの著書によると銅鐸は楽器だという話なんですね。たしかにそれはあるだろうなと思っています。古代の豊穣のお祭りとかで使われていたと思いますが、どんな雰囲気だったのか想像するだけで楽しいですよね。それで土取さんの銅鐸演奏ですが、あれはパーカッショニスト、ドラマーとしての土取さんの腕ありきの演奏で、現代的なというかアフリカ的なリズムなんですね。そこには若干の違和感がないことはないんですか、まあ古来の日本のリズムもじつは意外とガムランみたいな南方系のリズムかもなと想像したり。というのはこの銅鐸を使っていた民族の子孫はもう残ってないかもしれないんですね。どうやら大和民族に滅ぼされた形跡もある。なので、銅鐸とともに音楽を現代に伝えられずに消えたと、これは最近『人類の起源』という新書を読んで思ったんです。そこには現代に残らなかった遺伝子を持つホモ・サピエンスの話が載っていて、たしかに普通に考えたら、過酷な自然環境や戦争などで滅亡した人びとは普通にいたんだろうなと。なので、銅鐸の演奏がどのようなモノだったのかは完全にミステリーですよね。
 今回のアルバムに戻ると自然なドラミングみたいなところで石若くんと通じるものもあるんじゃないかなとぼくは思うんですよね。自分の音楽にとってどうかというと、もちろんパーカッショニストとギタリストでかなり違うので、直接的にこういう音色に影響受けましたということはないんですけど、音楽と向き合う姿勢やメンタル的なところは好きです。土鳥さんの思想自体をぼくははっきりとはつかみきれてないんで、なんとも言えないところはあるんですけど、演奏から感じる雰囲気には共感する部分があるかもしれません。

おなじ紙版ele-kingには角銅真実さんと蓮沼執太さんの対談も載っているんですが、石若さんは角銅さんと一緒にやられていますよね。石若さんから見て角銅さんの魅力はどこにありますか?

石若:ふだん感じていることをあらためて教えてくれる存在というか……たとえば、グラスを持ったら皮膚が冷たいって感じて、それが冷たいってことがわかることだったり。そういうことをいつも彼女の表現で実感しますね。そういうことを忘れちゃだめだよって気づかせてくれる存在ですかね。やっぱり忘れがちなんですよ。たとえばこうやってだれかの肩をポンって触ったとき、そこにどれくらいの力がかかっていて、それを相手はどう受けてるのか、というようなことをあらためて思い出させてくれるというか。

なるほど。

石若:(角銅さんとは)高校時代から10年、15年くらいになりますかね。東京藝大への入学のタイミングが一緒だったんですよ。ぼくが藝大附属高校の管打楽器専攻に入学したとき、大学1年生の入学式も一緒で、そこからの縁で。角銅さんとは、ぼくがピアノを弾いて彼女の音楽に携わるって関係がメインで、角銅さんのこれまでのアルバムには全部ピアノで参加しています。音楽の関わり方の自由さとか果てしなさみたいなことを、すごく気づかせてくれるというか。いろいろ砕いてくれるひとですよね。悩んだりすると自然に助けてくれる、そんな存在です。

石若さんのお名前はほんとうにいろんなところで見かけますが、個人的に最初に意識したのはAnswer to Rememberのアルバムでした。メイン・プロジェクトという認識でいいんでしょうか。

石若:まあそうですかね。大きな音楽をつくりたいっていう気持ちがあるんです。そろそろAnswer to Rememberの新しいアルバムが出るんですけど(『Answer to Remember II』、8月7日発売)、いまその作業もしていて。なんというか、はみでちゃう音楽みたいな。基盤はジャズなんですけど、やりたいことを実現できる場所っていう感じですね。最近思うのは、これまでいろいろ考えてプロジェクトを分けてやってきたはずなんですが、それでいいのかなと。分けたことを後悔することもあります。たとえば、Answer to RememberのコンサートがあるとしたらSongbookはできない。SMTKのメンツではアンリメの音楽はできない。バンドでつくる音楽もまったく違うんですよね。「このバンドのための曲」っていうふうに分けてつくってきちゃって。だからそういうふうに分けることがよかったのかなと。いや、よかった部分もあるんですけど、じゃあマイルスはそうやったかな? とか、キース・ジャレットは? とか、そんな感じです(笑)。けど、そのとき後悔したとしても、もうちょっと時間が経てばそれでやっぱ正解だったって思うようになるかもしれないし。

石若さんは今後、やってみたいことはありますか?

石若:SONGBOOK PROJECTが10周年を迎えたら、記念に、全曲演奏じゃなくても1から10までの中から抜粋して大編成でホール公演、みたいなことをやりたいですね。

では最後にリスナーに向けて、今回のコラボレーション作品についてメッセージをいただければと思います。

石若:今回のアルバムを聴いて「あれすごいよかったね」とか「すごい好きだった」とか言ってくれるひとが身のまわりに多くて、それにまず感謝したいです。こうして届けられたってこともよかったですし、地平さんと2024年の音楽にこういう作品を刻めたことも嬉しいなって思いますし。ずっと先にこのアルバムを聴いたりとかしても誇れる音楽になってるなと、自分ですごい思いましたね。マスターピースですってことをあらためて伝えたい。あと、ライヴも楽しみにしていただけたら。
 そういえば去年の10月に、地平さんとピットインでライヴをやったんですよ。そしたら喋りがおもしろくなっちゃって、ふたりで目が合っちゃって(笑)。コンビ感もあるかな? と思ったり、またピットインでやろうかって話もあるので、そういうふたりの動向もぜひチェックしていただけたら。

Chihei Hatakeyama & Shun Ishiwaka
Magnificent Little Dudues Vol.2

2024年10月18日(金)デジタル配信!

トラックリスト
1. M3 (feat. Cecilia Bignall)
2. M2
3. M5
4. M6

アルバム『Magnificent Little Dudes Vol.2』予約受付中!
https://bfan.link/magnificent-little-dudes-volume-02

シングル「M6」配信中:
https://bfan.link/m6

今年5月にリリースされ、好評発売中のアンビエント/ドローン·ミュージシャンChihei Hatakeyama(畠山地平)とジャズ・ドラマーの石若駿とのコラボレーション。その第二弾となる『Magnificent Little Dudes Vol.2』のデジタル・リリースが、10月18日(金)に決定したことが明らかになった。

ラジオ番組の収録で出会って以来、ライヴ活動などでステージを共にすることはあった2人だが、今回のプロジェクトが初めての作品リリースとなった。二部作の第一弾、『Magnificent Little Dudes Vol.1』には日本人ヴォーカリストのHatis Noitが「M4」でゲスト参加していた。

そして今回のVol.2について、畠山は次のように話している。

「Vol.2にはセッションの後半が収められています。その日は3月のある日の午後でした。長い冬が終わろうとしているのを感じましたし、日本ではコロナの影響が諸外国より長く続いていたので、そんな マスクを付けた日々も終わろうとしていました。『M3』では私たちの演奏にセシリア・ビッグナルがチェロで参加してくれました。これは遥か昔に私がアメリカ人シンガー・ソングライターのデヴィッド・グラブスから受けた影響が見え隠れしています。彼のアルバムの『ザ・スペクトラム・ビトウィーン』に入っている『Stanwell Perpetual』という曲です。しかしこの曲は私が頭の中で何度も形を変えてしまったので、今回の『M3』とは直接は関係がないように思いえます」。

『Magnificent Little Dudes Vol.2』は10月18日(金)にデジタルで先行リリース。その後、CD /2LP(140g)フォーマットでもリリース予定となっている。

取材・序文:小林拓音(2024年8月22日)

12

INTERVIEWS