ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. ジャパニーズ・ヒップホップ第二世代──あるDJの証言
  2. Arab Strap - Half-Told Tales | アラブ・ストラップ
  3. Moodymann ──ムーディーマンの来日公演が決定、今年は東京と京都をツアー
  4. Protomartyr - Hotel Usona | プロトマーター
  5. DREAMING IN THE NIGHTMARE 第2回 ずっと夜でいたいのに――Boiler Roomをめぐるあれこれ
  6. Eden Aurelius - Entre Nous / emer ft. Ugnė Uma - You and Me | エデン・オーレリウス、エメル、ウグネ・ウマ
  7. METHOD MOTEL - @名古屋・栄CENTRAL
  8. 細野晴臣 - Yours Sincerely | Haruomi Hosono
  9. interview with Adrian Sherwood and Nightmares On Wax UKダブ・“トーク”・セッション | ――エイドリアン・シャーウッド×ナイトメアズ・オン・ワックス特別対談
  10. 異次元の常識──パンク/ハードコアの思想とメッセージ
  11. 別冊ele-king パンク50周年記念号──それは何だったのか、何でありえるのか
  12. Helen - Linda's Head | ヘレン
  13. AMBIENT KYOTO ──2027年春、レイ・ハラカミの展示が決定
  14. Columns ♯17:もしもパンクがなかったら ——その基礎知識と『パンク50周年記念号』刊行のお知らせ
  15. ゲーセン波乱万丈の100年史
  16. aya × Violent Magic Orchestra ──初来日を果たす〈Hyperdub〉のアヤと、ブラックメタル・テクノ・プロジェクトVMOによる共同ツアー
  17. Boy Harsher - GET MEAN | ボーイ・ハーシャー
  18. Marcellus Pittman ──デトロイト・ハウス珠玉の逸材、マーセラス・ピットマンの来日ツアーが開催
  19. The Alchemist ──現代USヒップホップのキーパースン、ジ・アルケミストが来日
  20. DUB入門――ルーツからニューウェイヴ、テクノ、ベース・ミュージックへ

Home >  Interviews > interview with Hudson Mohawke - 待っていたよ、ハドソン・モホーク

interview with Hudson Mohawke

interview with Hudson Mohawke

待っていたよ、ハドソン・モホーク

──7年ぶりの新作と飛躍

質問・序文:yukinoise    通訳:原口美穂 photo by Jonnie Chambers   Aug 09,2022 UP

自分自身が聴きたくなるような、自分自身がその展開に驚かされるような作品を作るというアイディア、自分自身を驚かせたいという気持ちが、アルバムのインスピレーションだったと思う。

■アルバム・タイトル「Cry Sugar」は70年代のソウル・グループであるダイソンズ・フェイシズに由来しています。その曲をサンプリングした “3 Sheets To The Wind” のように、アルバムではソウルやゴスペルのサンプル、浮遊感のあるヴォーカルがユニークに織り交ぜられています。かつてなくブラック・ミュージックへの愛を表現している作品のようにも思えましたが、それは2020年の事件が関係していますか?

HM:2020年の事件に関係しているかはわからないけど、僕自身は、さっきトラップのEDM化の話をしたけど、そういった音楽や TNGHT の音楽にソウルフルな要素が欠けているからなんじゃないかと思う。トラップって、けっこう白人化してしまったと思うんだよね。TNGHT 以外の僕の音楽は、これまでもラップやヒップホップといったソウルフルな音楽の影響がたくさん反映さていた。でも、TNGHT の僕だけを知っている人たちは、僕の音楽のその側面を知らないんじゃないかと思う。だから、その僕の音楽の根源的なものを見せようとした部分はあったと思うね。

■今作の制作プロセス、機材面などは以前に比べて何か変化はありましたか?

HM:これまでとは少し違ったんだ。LAにいる何人かの友人のひとりが、TV・オン・ザ・レディオのメンバーのデイヴ(・シーテック)なんだけど、彼とはすごく親しくて、僕も彼もふたりとも機材オタクでさ(笑)。ロンドンでは彼みたいな友だちはいなかった。僕はつねに違う機材を試したいタイプなんだけど、ロンドンでは同じタイプの人があまりいなくて。でもLAでデイヴに出会った。彼は、試したい機材があると即手に入れるんだ(笑)。まるでおもちゃで遊ぶかのように、いろいろな機材を散りばめ、それを使いこなす彼を見ているのは刺激的だったし、僕は彼の機材を使えたおかげで新しい機材にお金を使わなくてすんだから、すごく良かった(笑)。

■アルバム・リリース後、どのようなパフォーマンスをしていきたいと考えてますか?

HM:あのとき、もうツアーはやりたくないと思ったんだ。毎日がパーティーだったし、気分的にもあまりいい状態ではなかったから。でも、しばらくそれから離れたおかげで、またツアーをやるのがいまはすごく楽しみになった。音楽シーンや音楽文化の動きや変化はものすごく早い。5、6、7年ギグをしてなかったり、アルバムをリリースしていないと、オーディエンスもガラっと変わっていると思う。だから、いまライヴをするということがどういう感じなのかをこの目で見て体感するのがすごく楽しみなんだ。10月には日本でもショーがあるし、ヨーロッパでもいくつかフェスに出る。いまいちばん興奮しているのは、それがどんなショーになるかがまったく予想できないこと。何が起こるか、どんなショーになるのかが全くわからない。それはもちろん強くもあるけど、同時に楽しみでもあるんだよね。

■パンデミックの状況を鑑みつつ、各所でフェスやイベントが再開されていますが、パフォーマンスにおいてムードの変化は感じますか?

HM:フェスにはいくつか行ったけど、変化を感じたかどうかはなんとも言えないな。実際のところムードがどんな感じか、判断するのがすごく難しいと思う。またショーが再開して皆やっと普通に戻りそれを楽しんでいるように見えるけど、なんとなくそこには心配もまだ隠れているような感じがする。だからわからないな。完全に前のように戻るには、もう少し時間がかかりそうな感じはするね。

トラップって、けっこう白人化してしまったと思うんだよね。TNGHT 以外の僕の音楽は、これまでもラップやヒップホップといったソウルフルな音楽の影響がたくさん反映さていた。でも、TNGHT の僕だけを知っている人たちは、僕の音楽のその側面を知らないんじゃないかと思う。

■“Lonely Days” はストリングス使いが印象的で、アルバム全体のなかで浮いているように感じました。「孤独な日々」という曲名ですが、ご自身の体験が反映された曲でしょうか?

HM:そうだね。もちろんパンデミックもその一部だけど、LAで数年暮らして感じた孤独も反映されているんだ。LAって広大な場所で、果てしなく広がっているから、ときには誰にも会わない日があったりもするんだよね。LAは、友だちに会いたいと思ったときに、サッと会いにいけるような環境じゃない。みんなお互い遠くに住んでいるし、僕はLAに越してきたときは車が運転できなかったから、なおさら大変だった。だから、最初の数年はものすごく孤独を感じたんだよね。それが映し出されているんだ。

■パンデミック下では多くのアーティストが自己内省の機会を得ていましたが、自身も過去やキャリアを振り返ることはありましたか?

HM:いつもだったら、周りが動き続けているから、人ってなかなかそういう機会はないよね。でも良い意味で、僕らは今回そのチャンスをもらえた。だから僕もここ10数年のことを振り返ったし、最初に話したように、良い意味で想像を超えたこともあれば、悪い意味で想像を超えたこともあったな、と考えていたね。

■パンデミックの影響で制作やライフスタイルに大きな変化はありましたか?

HM:僕は、いままで早起きを楽しんだことなんて一度もなかった。これまでは早起きが大嫌いだったのに、パンデミックに入ってから、朝方人間になって、それを楽しむようになったんだ。自分でもびっくりだよ。

■今作では楽観主義と持続可能性を強く意識し、ご自身も健康面を優先されているとのことですが、日頃から健康面で実践していることは何かありますか?

HM:ははは(笑)。それってプレスリリースに書いてあった? あれは僕の友だちが書いたんだけど、あの資料のほとんどはでっちあげなんだ(笑)。超真面目なプレスリリースにうんざりしちゃってさ。無理やり賢くきこえるような文章を書いたりとか。だから、でっちあげの方が面白いんじゃないかと思ったんだ(笑)。一応早起きはしてるけどね(笑)。あとはときどきジムに行く。

■今回のアルバムでいちばん好きな曲は “Bicstan” なのですが、クラシックなハウスの旋律が根底にありながらもリズミカルなガバキック、フーバー音やアシッド音などレイヴィーな要素が散りばめられています。ここ近年ではレイヴ・カルチャーのリヴァイヴァルの流れが生まれてきていますが、あなたにとってのレイヴ・カルチャーとは何ですか?

HM:レイヴ・ミュージックは、ラジオから流れてくるポップの次に僕が最初に夢中になったアンダーグラウンドの音楽。かなり前の話だね。レイヴ・ミュージックにハマったのは9歳とか10歳のときだった。1995年くらいかな。僕には年上の従兄たちがいて、彼らが皆パーティーに行ってたんだ。それに影響を受けてレイヴ・ミュージックが大好きになったから、僕の音楽はもう長いことレイヴ・ミュージックにインスパイアされてる。あのサウンドとエナジーは、僕のハートのそばにずっとあるもの。いまレイヴ・ミュージックのリヴァイヴァルが起こっているのはちょっと変な感じがするけど、流行りに関係なく、レイヴ・ミュージックはずっと僕の一部なんだ。

通訳:ありがとうございました。

HM:ありがとう。10月に日本に行けるのを楽しみにしているよ。

[ハドソン・モホーク来日情報]

SQUAREPUSHER
W / LIVE VISUALS BY DAITO MANABE / Rhizomatiks

SPECIAL GUESTS
HUDSON MOHAWKE (DJ SET)
DAITO MANABE

10/25 (TUE) 梅田 CLUB QUATTRO
10/26 (WED) 名古屋 CLUB QUATTRO
10/27 (THU) 渋谷 O-EAST
10/28 (FRI) 渋谷 O-EAST

イベント詳細はこちら:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10760

質問・序文:yukinoise (2022年8月09日)

12

Profile

yukinoiseyukinoise
1996年東京生まれ。OLのかたわら、AVYSS Magazine等でフリーライターとして活動中。
Twitter:@yukinoises
instagram:@yukinoise

INTERVIEWS