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Nick Edwards

Nick Edwards

Plekzationz

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Seekersinternational

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The Call From Below

Digitalis

三田 格   Sep 10,2012 UP

 六本木通りを渋谷方向に、つまり、ドミューンのスタジオやエレキングの編集部やC↑Pのエリイちゃんが住んでいるマンションや渋谷警察や一風堂やショーゲートが並んでいる方向に歩いていくと、途中に料亭がある。ひらがなで「かねい……」という文字が見えたところで、僕は必ず「かねいと」ではないかという連想が働いてしまう。ドゥーム・メタルのカネイトを名乗る料亭があるとは、さすが六本木だと感心していると、さらに4~5歩進んだところで「かねいし」だということが判明する。やはり、ドゥーム・メタルを店の名前に掲げる勇気はないらしい。ましてや「あーす」とか「さん O)))」といった料亭も僕は見たことがない。「けいてぃえる」だと、けんちん汁みたいなので、あってもいいような気がするけれど、「なじゃ」もないし、「あいしす」もないし、僕が生きている間に「あんくる・あしっど・あんど・ざ・でっどびーつ」という料亭が六本木にオープンすることはまずないだろう。エリイちゃんはこんな街で毎晩、遊んでいて面白いんだろうか。エリイちゃんの卒業論文はちなみに「憲法九条について」である。「ピカッ」に至るまでの基礎はできていたのである。

 メタル・ドローンのグループとしてカネイトがどれだけ凄いグループだったかということは、絶賛編集中のエレキング7号で倉本諒が力説していることだろう。大体、倉本くんがエレキングに興味を持ったのは創刊号にジェイムズ・プロトキンがフィーチャーされていたからだそうで、同じカネイトでも、スティーヴン・オモーリーのインタヴューが掲載されていたら、もっと理知的な……いや、違うタイプの若者がエレキングに吸い寄せられてきたのだろうか。わからない。すべては煙のなかである。ドゥームというものは、そもそもそういうものである。ジェイムズ・プロトキンが新たにジョン・ミューラーと組んだ『ターミナル・ヴェロシティ』もスクリュードされたマイ・ブラッディ・ヴァレンタインのように完全に視界は真っ白で、そう簡単には煙を掻き分けることはできない。これはとんでもない大作である。そして、3ヵ月ほど前にリリースされたスティーヴン・オモーリーとスティーヴ・ノーブルのジョイント・ライヴ『セイント・フランシス・デュオ』もとんでもなかった。これはとくにドラムスが圧巻で、視界はいたって良好なハードコア・ジャズを聴くことができる。現在はオモーリーと共にアーセノアーのメンバーであるノーブルは、ちなみにリップ、リグ&パニックの初代ドラムスとして知られる大ヴェテランである。リップ、リグ&パニックといえば……

 ……ブリストルのダブが、そして、ここのところドローンの侵食を受けている。もっともノイズ色が強いエンプティセットやヴェクスドのローリー・ポーター、そして、もっとも派手に動いているのがエコープレックス(Ekoplekz)ことニック・エドワーズで、2010年に自主制作盤を連発したエコープレックスは翌年に入るとペヴァーリストが運営するダブステップの〈パンチ・ドランク〉と、ドナート・ドツィーやイアン・マーティンなどアンビエント系テクノのヒットで知られるシアトルの〈ファーサー〉と、まったく毛色の違うレーベルから話題作を放ったあげく、なんと、新作は本人名義で〈エディションズ・メゴ〉からとなった。同じくエレキング7号のために話を聞かせてもらったジム・オルークも、話の締めくくりはやっぱり〈メゴ〉がスゴいということになっていたのだけれど、その感慨はここでも繰り返さざるを得ない。スティーヴン・オモーリーもエメラルズのジョン・エリオットも、そして、マーク・フェルも現在は〈メゴ〉の傘下にそれぞれがA&Rを務めるレーベルを持っているほど、〈メゴ〉はかつてのハプスブルク家を準えるように版図を拡張している最中で、これにブリストル・コネクションまで加わってしまったのである。いやいや。

 『プレックゼイションズ』は名義を変えた意味をまったく感じさせない。これまでとやっていることは同じである。強いて言えば従来のドローン・ダブにクラウトロックが垣間見えるようになったことで、1曲が長いということもあるけれど、いってみればアカデミック色を欠いたインプロヴァイゼイションであり、使いにくいトリップ・ミュージックであることをやめようとはしない。とはいえ、これまでの〈メゴ〉のラインナップからすればOPNと並んで快楽係数は格段に高く、ビートが入らないカンのように聴こえる場面も少なくない。不穏なムードを鍋の底でかき回しているようなタッチが続いたかと思えば、過剰なエコー・チェンバーに打ちのめされ、ブリストルにしては金属的な響きを強調しつつ(マーク・スチュワートがいたか)、それらがすべて抽象化されたベース・ミュージックとしての役割をまっとうしていく。“(ノー)エスケープ・フロム・79”のエンディング部分などはほとんどスーサイドのダブ・ヴァージョンにしか聴こえない。アップ・トゥ・デートされたスロッビン・グリッスルとも(http://soundcloud.com/experimedia/nick-edwards-plekzationz-album)。どこもかしこもグワングワンですがな。

 ダブとドローンという組み合わせは意外と少なくて、シーフィール、チャプターハウス(猫ジャケ!)、ステファン・マシュウ、ポカホーンテッド、フェニン、デイル・クーパー・カルテット……ぐらいのものらしい(あと、聴いたことないけれど、日本のオハナミという人たち?)。ダブが他のジャンルに応用されはじめたときのことはいまでもよく覚えていて、最初はXTC(アンディ・パートリッヂ)やジェネレイションXがダントツで、そのうち、ポップ・グループやフライング・リザーズが出てきてスゲーなーと思っていたら、あっという間にダブ・ヴァージョンが入ってないシングルはないというほど広まっていくという。カルチャー・クラブ“ドゥ・ユー・リアリー・ウォント・ミー”というカーク・ブランドンへの訣別の歌とかw。ジ・オーブやマッシヴ・アタックが、そして、次の時代を切り開いたといえ、サン・アロウやハイプ・ウイリアムスに受け継がれていくと。しつこいようですが、ターミナル・チーズケーキもお忘れなく。

 ここにもうひとつ加えたいのがシーカーズインターナショナルのデビュー作で、これがDJスプーキーや〈ワード・サウンド〉周辺ではじまったイルビエント・ダブをノイズ・ドローン以降の価値観でブラッシュ・アップさせた内容となっている(http://soundcloud.com/experimedia/seekersinternational-the-call)。ズブズブズブ……と、どこをとっても完全に悪魔の沼にはまったコンピューマ全身ドロドロ状態で、ベーシック・チャンネルをスクリュードさせたような「ラージ・イット・アップ2」や「オールウェイズ・ダブ」など、実に素敵なトロトロができあがっています。夏が終わらないうちに……

 ……巻いてください。

三田 格