ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. ジャパニーズ・ヒップホップ第二世代──あるDJの証言
  2. Arab Strap - Half-Told Tales | アラブ・ストラップ
  3. Moodymann ──ムーディーマンの来日公演が決定、今年は東京と京都をツアー
  4. Protomartyr - Hotel Usona | プロトマーター
  5. DREAMING IN THE NIGHTMARE 第2回 ずっと夜でいたいのに――Boiler Roomをめぐるあれこれ
  6. Eden Aurelius - Entre Nous / emer ft. Ugnė Uma - You and Me | エデン・オーレリウス、エメル、ウグネ・ウマ
  7. METHOD MOTEL - @名古屋・栄CENTRAL
  8. 細野晴臣 - Yours Sincerely | Haruomi Hosono
  9. interview with Adrian Sherwood and Nightmares On Wax UKダブ・“トーク”・セッション | ――エイドリアン・シャーウッド×ナイトメアズ・オン・ワックス特別対談
  10. 異次元の常識──パンク/ハードコアの思想とメッセージ
  11. 別冊ele-king パンク50周年記念号──それは何だったのか、何でありえるのか
  12. Helen - Linda's Head | ヘレン
  13. AMBIENT KYOTO ──2027年春、レイ・ハラカミの展示が決定
  14. Columns ♯17:もしもパンクがなかったら ——その基礎知識と『パンク50周年記念号』刊行のお知らせ
  15. ゲーセン波乱万丈の100年史
  16. aya × Violent Magic Orchestra ──初来日を果たす〈Hyperdub〉のアヤと、ブラックメタル・テクノ・プロジェクトVMOによる共同ツアー
  17. Boy Harsher - GET MEAN | ボーイ・ハーシャー
  18. Marcellus Pittman ──デトロイト・ハウス珠玉の逸材、マーセラス・ピットマンの来日ツアーが開催
  19. The Alchemist ──現代USヒップホップのキーパースン、ジ・アルケミストが来日
  20. DUB入門――ルーツからニューウェイヴ、テクノ、ベース・ミュージックへ

Home >  News > Robert Del Naja - ──マッシヴ・アタックの3D、二度目の逮捕

Robert Del Naja

──マッシヴ・アタックの3D、二度目の逮捕

Oct 01,2026 UP

 先週末、マッシヴ・アタックの3Dことロバート・デル・ナジャが逮捕された。4月の逮捕につづいて、二度目の逮捕だ。容疑は「パレスチナ・アクション」を支持したかど。いったいどういうことか? この機会に背景をおさらいしておこう。
 まずパレスチナ・アクションというのは、イスラエルに武器を供給する企業の業務を妨害したり混乱させたりすることを目的にしている団体で、これまでさまざまな直接行動をとってきた。たとえば2025年6月には空軍基地に侵入、軍用機にスプレーを吹きかけている。これがだいぶイギリス国家を怒らせてしまったようだ。

 同年7月、英国下院がパレスチナ・アクションをテロ組織として非合法化する法案を提出すると、すぐさま上院がこれを承認。かくして一抗議団体がアルカーイダやISとおなじテロリストとして扱われることになり、同団体には活動禁止の命令がくだる。以降、パレスチナ・アクションに加入したりその活動に参加したりすることはもちろん、同団体への支持を表明するだけでもイギリスでは刑事罰の対象、つまり犯罪に該当することになってしまったのだ。
 ゆえに以降、たとえば『ガーディアン』紙の舌鋒鋭いコラムニスト、オーウェン・ジョーンズでさえも「このコラムはパレスチナ・アクションへの支持を表明するものではない」「最長14年の投獄を避けるべく、慎重に書かなければならない」というような書き方をしなければならなくなっている。

 他方で三権分立、司法がこの事態をスルーしたわけではなく、イギリス高等法院は同法自体が違法であるとの判断をくだしているが、内務省(大臣は労働党所属のクーパー)はこれを不服として控訴、審議が今年4月末に開始されることになった。
 こうした流れのなかでこの4月、パレスチナ・アクションの活動禁止措置に抗議する行動が起こされ、そこに参加したロバート・デル・ナジャが「わたしはジェノサイドに反対する。わたしはパレスチナ・アクションを支持する」と記されたカードを掲げていたため、逮捕されてしまったという次第。
 ちなみに同4月には、内務省の控訴審に向けグレタ・トゥーンベリなどの有志たちが「わたしたちはジェノサイドに反対する。わたしたちはパレスチナ・アクションを支持する」とだけ書かれた公開書簡を提出してもいて、そこにはロバート・デル・ナジャのみならずブライアン・イーノも署名していた(=彼も逮捕しようと思えばできるということ)。
 なお判決では高等法院の判断が覆され、パレスチナ・アクションの非合法化は適法とみなされるている。

 かくして、先週末。4月とおなじくパレスチナ・アクションの活動禁止措置に抗議するリヴァプールの集会で、やはりロバート・デル・ナジャは以前とおなじメッセージを記したカードを掲げ、二度目の逮捕となったわけである。
 今年はシンガポール公演でパレスチナの旗を掲げたり、フジロックでのパフォーマンスも話題となったマッシヴ・アタック。ここまで矢面に立って虐殺に抗おうと奮闘している音楽家は、好むと好まざるとにかかわらず、世界を見わたしてみても彼(ら)くらいではないだろうか。

NEWS