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Matthewdavid

Matthewdavid

──LAのマシューデイヴィッドがトリッピーな新作EPを投下、年内には久々のアルバムも

Feb 03,2023 UP

 LAのアンビエント/ニューエイジ・シーンの筆頭にして、レーベル〈Leaving〉の主宰者としても知られるプロデューサー、マシューデイヴィッド。その新作EPが1月31日にリリースされている。タイトルはストレートに「マッシュルームについて」。年内に予定されている久しぶりのフル・アルバム『菌糸体音楽』と対をなすものだという。明確にトリップを志向しています。きらきらした夢見心地の音楽を楽しみましょう。

Leaving Recordsの創設者Matthewdavidが今年リリース予定の待望の新作アルバム
『Mycelium Music』に先立つEP「On Mushrooms」をリリース

Leaving Recordsの創設者でもあるMatthewdavidが今年リリース予定の待望の新作フル・アルバム『Mycelium Music』に先立つプライマーとして、アルバムと対をなすEP「On Mushrooms」をリリースしました。
このEP、アルバムの両作品は同じ生態系から表現され、同じ生地から切り出されたものであり、Matthewdavidの最新のサウンドの探求がどこへ向かうのかを予感させる表現力豊かで、エレクトロニックなエネルギーとアンビエントな反射音が合流し、鮮やかな輝きを放っている、来る新作フル・アルバムへの期待が否応無しに膨らむEPです。

Matthewdavid new EP “On Mushrooms” out now

Artist: Matthewdavid
Title: On Mushrooms (A Primer for Mycelium Music)
Label: PLANCHA / Leaving Records
Format: Digital EP
Release Date: 2023.01.31
Buy/Listen: https://orcd.co/obb5g8d

1. Culebra with Wilkes (feat. Sam Wilkes)
2. Under a Tree
3. A New Ambient
4. Dampener
5. Too High to Play Bear’s Campout (feat. Brin)
6. One4G

*all music + engineering by MatthewDavid except track 1 is a collaboration with Sam Wilkes, and track 5 is a collaboration with Brin.
*artwork + design Sam Klickner
*tracks 1 & 2 performed and recorded for Listen to Music Outside in the Daylight Under a Tree, at La Tierra de la Culebra, in Highland Park, Los Angeles
*tracks 3-6 recorded at home in Los Angeles

“私の音楽は真実を明らかにするための幸せな偶然への果てしない探求の結果です。私の部屋にある秘密の抜け穴は、いつもそこにあった答えの境地へと繋がっています。”

決して型にはまらないレコード・レーベル/実験的コミュニティとして絶大な地位を確立しているLAのLeaving Recordsの創始者であるMatthewdavidが今年リリース予定の待望の新作フル・アルバム『Mycelium Music』に先立つプライマーとしてEP「On Mushrooms」を発表。個性的でエッジの効いた、没入感のあるMatthewdavidらしい “ニュー・アンビエント”。

『On Mushrooms』は、LAにあるLa Tierra de la Culebraコミュニティ・アート・パークで定期的に行われているLeaving Recordのイベント「Listen to Music Outside in the Daylight Under a Tree」(日中の屋外で音楽を聴くイベント)で録音された2曲で幕を開ける。生命力溢れるコレクションに相応しく、レーベルメイトのSam Wilkesをフィーチャーした冒頭のトラック「Culebra With Wilkes」ではリヴァービーで穏やかなギターのフレーズにアンビエント的音像が浮遊し、ヒプノティックな世界観が広がる。続く「Under a Tree」では、繊細でミニマルなシンセサイザーが漂い、徐々に天空へと誘われるかのようなサウンドが形成されている。その後はガムランの囁きとドローンがゆっくりと滑らかに交錯し、オーディオリズム奏者Brinとのコラボ曲「Too High To Play Bear’s Campout」では緻密なレイヤー波がうねり、「A New Ambient」での暗号のようなサウンド・コード、そしてクロージング・トラックの「One4G」は、反響の中を沈んでいくように音が広がり幕を閉じる。実験的ながら心地よく幻想的な作品に仕上がっており、Matthewdavidの最新のサウンドの探求がどこへ向かうのかを予感させる表現力豊かなもので、エレクトロニックなエネルギーとアンビエントな反射音が合流し、鮮やかな輝きを放っている。来るフル・アルバムへの期待が否応無しに膨らむEPだ。

以下は、Matt Baldwin(カリフォルニアの著名なギタリスト、作家、サイケデリック心理療法の訓練を受けた心理療法士)が書いた試聴体験談です。

Matthewdavidの新しい音楽を聴きながらケタミン空間(200mgのロゼンジを経口投与)に身を投じたとき、私ははっきりと同様の印象を受けた。特に、この音楽は私が知る前に私のことを知っていて、私に会うために非常に長い間待っていたのだ、ということだ。この音楽は、他の人の意識を媒介にして、ついにその全体性を表現する機会を待ち望んでいたのである。音楽は、空気の圧力波を媒介にして、他人の内面に意味を伝える日常的なテレパシーの一種である。色と音の波が私を貫いていくとき、私は深い相互関係についての非常に明確なメッセージに圧倒され、まさにこの言葉で定式化された。

私たちは、ほとんどの時間を、同じ人間ではないふりをしながら過ごしています。

私たちのコミュニティの重なり合う円は、輝く生きた曼荼羅として私たちの前に横たわっています。

私たちがお願いしたいのは、あなたがここで感じたことを認め、決して忘れないと約束していただくことだけです。

この音楽との出会いは、自分の部屋の床に秘密の抜け穴を見つけて、足元にきらめく洞窟の果てしないネットワークが常に存在していたことに気付くようなものです。さらに、洞窟はどういうわけか生きていて、月相のツィター(スロベニア、オーストリア、ハンガリーなどで見られる、日本の琴を短くしたような弦楽器)の曲の微妙な火が刻まれた秘密のシジル(主に西洋魔術で使われる図形)の淡い金色の線条細工でネットワーク化されています。なお、夢分析では、隠された空間を見つける夢は、自己の可能性の広がりを象徴していることが多い。

Matthewdavidは、静寂と暗闇の隠された双子のような作品を作り上げた。恐怖や孤独の闇ではなく、新しい形を優しく愛撫しながら発芽するビロードのような闇。この音楽の喜びは、その深いプライバシーにある。太陽の光で煌めき、ヒノキの枝のように一日中、夜の断片を抱え込んでいる。それは磁気の光の波に乗って私たちを前進させ、私たちは人間の傷が永遠に癒され、想像力以外の法がない世界の端の向こうの霧深い森に連れて行かれることに気づく。

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