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REVOLUTIONS

REVOLUTIONS

——『自転車と女たちの世紀——革命は車輪に乗って』の刊行に寄せて

Jan 20,2023 UP
男が自転車に乗ってもただの男だが、女がそれをやると政治的で独立的、もしくは文学少女風か、さもければスポーティ、ときには怪しく生意気にも見える。好感が持てる、有益な、そして楽しい本だ。——『ガーディアン』書評より
自転車は、世界の何よりも女性の解放に貢献した。——スーザン・B・アンソニー
人生とは自転車のようなものだ。倒れないようにするには走らなければならない。——アインシュタイン
   

 

 自転車の本をまた作りました。『ジャスト・ライド』は、プロの真似してあのダサいサイクルジャージなんかを着て細いタイヤでがんばるのではなく、もっと素朴に安全にかっこよく自転車を楽しもうという本でしたが、今回は、「女たちが自転車に乗っていかにして革命を起こしてきたのか」を描いた、ノンフィクションの歴史物です。あまり知られていない話ですが、自転車は、女性解放運動のシンボルのような乗り物でした。19世紀のイギリスで、まだ女性が地面を引きずる長いスカートをはきながら家事をして、家から自由に移動できなかった時代に、自転車は、気軽に移動できる手段でした。しかも女性から長いスカートを自らの手で取り下げさせた乗り物でもあって、それを漕いでいるだけで、男どもからの「女子力が落ちる」という罵声をうながした乗り物でもあった。つまり男がオートバイで時速120キロを出すよりも政治的には危険な代物でした。『自転車と女たちの世紀——革命は車輪に乗って』は、そうした女たちと自転車の物語の数々で、いままで語られてこなかった歴史の断片たちです。有名どころで言えば、かのシモーヌ・ド・ボーヴォワールも大の自転車好きでした。
 現代社会では、洗練された都市は決まって自転車道路がしっかり整備されています。日本はまったく洗練されていない国なので、いまだ歩行者道路をスピードを出した自転車が走っています。いまや自転車は、環境や健康を担うばかりか、有益な都市計画においても政治的な社会的な意味をもった乗り物でもあります。
 本国イギリスでは2021年に刊行された本で、ガーディアン紙のその年のブック・オブ・ジ・イヤーの「スポーツ部門」に選ばれました。女が読めば熱くなる話ばかりですが、男たちが読んでも面白いです。注目してください。

 以下、編集部で作った資料より抜粋。

 『ガーディアン』のブック・オブ・ジ・イヤーの一冊に選ばれたノンフィクションの名著、これまで語られてこなかった歴史、いかに自転車が女性解放運動史において重要なマシンだったのかいかにして女性は自由のマシンに乗って革命を起こしてきたのか……

  シモーヌ・ド・ボーヴォワールは1940年代、恋人の自転車を借りてパリをサイクリングし、(事故で歯を失っても)その自由さにたちまち惚れ込んだ。レスター出身の工場労働者アリス・ホーキンスは選挙権獲得のためにペダルを漕いで闘い、自転車は女性たちを運動に参加させる礎となった。ザハラは自転車に乗り、アフガニスタンの宗教的・文化的タブーに挑戦し、同じように乗ることを他の人に教えた。ボストンに住む24歳のラトビア人移民だったアニー・コプチョフスキーは、1894年に女性として初めて自転車で世界一周を成し遂げた。
 かつては、多くの女性たちが、自転車に乗れない、乗るべきでないと言われながら、とにかく自転車に乗った。メダルを獲得しようが、女性に投票を呼びかけようが、彼女たちの物語は多くの人たちにインスピレーションを与えてくれるだろう。この華やかな祝典の中で、著者は、サイクリングの豊かで多様な歴史の一部である女性たちの素晴らしい物語を描いている。
 膨大な資料と取材、そして情熱を元に、現代の問題意識(フェミニズに人権運動、ブラック・ライヴズ・マター、環境問題と都市のクオリティへの関心など)を通して綴られ、2020年に刊行された自転車と女たちのドキュメンタリー。

 

ハナ・ロス 著/坂本麻里子 訳
『自転車と女たちの世紀——革命は車輪に乗って』

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