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Death Grips

ExperimentalHip HopNoise

Death Grips

Bottomless Pit

Harvest/Third Worlds/ホステス

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倉本諒   Aug 23,2016 UP

 ナプキンの裏に殴り書きされた解散宣言を文字通り水に流して以降初のフィジカル・リリース(『Death Grips Interview 2016』と題された50年代のサラリーマン風の男インタヴュアーが誰もいない記者席を前にデスグリにインタヴューをする風景の映像と共に6曲のインストが流れるビデオ、もちろん当のインタヴューの音声は一切ミュートされている、が明確には活動再開後初の音源だろう)となった『ボトムレス・ピット(底ぬけ地獄)』はデスグリ史上最もキャッチーな音源と言っても過言ではない。過去に唯一〈エピック〉からリリースされた『ザ・マニー・ストア』と出来るほどポップだ。しかし前作『ザ・パワーズ・ザット・B』の2枚目、「ジェニー・デス」のラストを飾る強烈なトラック、"デス・グリップス2.0" が暗示するように、彼らは全てがアップデートされているのだ。

 同名タイトルを冠した動画が昨年の秋にデスグリのYouTubeアカウントから配信された。『イージー・ライダー』の売春婦役(みんなで墓場でアシッドを食らって乱痴気するアレ)以降70年代映画を象徴する米国人女優の一人であるカレン・ブラック。2013年の8月に膀胱癌で亡くなった彼女と同年2月に友人を介して出会い、意気投合したザック・ヒルは当時制作していた映像作品に彼女のためのシーンを書き上げた。病床のカレンが完成作品を自分が観ることが叶わないであろうことを知った上でカメラの前でセリフを読み上げるビデオとなっている。例によってデスグリ・ファンの多くが現代最高のカルチャー・ジャミングの名手であるデスグリのコンセプトを読み解こうとこのビデオに釘づけになったわけだ。もちろんその明確な答えなど示されないわけではあるが、ハードコアなデスグリ・ファンはその美しい言葉に耳を傾けて欲しい。現在進行形のミュージック・ジャンルを縦横無尽に食い散らかすエクストリーム・クロス・オーヴァーとして完成するポップネスを90年代末期から00年初期のデジタル・ハードコアやグリッチ・テクノ等の単なるリヴァイヴァルに聴かせない、掘り下げようと思えばいくらでも掘り下げることのできるデスグリ・ワールド(彼らの言うところの第三世界だろうか)の唯一の法である「ファック・エヴリシング・バット・アート(表現行為以外は全部ファック)」を最もシンプルに体現しているのがこの『ボトムレス・ピット』なのではないだろうか。


旧譜3選:

『Ex Military』
全てはここから始まった。それまでヘラ解散以降数多くのバンドを渡り歩いたザックが突如ガイキチ・ラッパー・MCライドと実験ヒップホップ・バンドを結成し、フリー音源を上げているとなれば話題にならないはずがない。ヴェイパー・サウンドを筋肉で表現するとこうなるんだなーと衝撃を受けました。全曲パラトラックに分けられたブラック・グーグルもあるのでDJやリミキサーにも嬉しい。thirdworld.netでダウンロード可能です。

『NO LOVE DEEP WEB』
〈エピック〉なんてメジャー・レーベルがガイキチ二人組と仕事などできるわけもなく大喧嘩した後にこれがリリースされたわけで、デスグリ史上最もファック・アティテュードに満ち満ちています。ジャケもザックのムスコだし。ダークなトラックが最も揃っているので個人的には好きです。唯一観たライヴもこれの直後で、マジにPCトラックと寸分もブレないドラミングに度肝を抜かれました。

『The Powers That B』
なかったことにされた解散宣言後にリリースされた「ニガズ・オン・ザ・ムーン」と「ジェニー・デス」から成る2枚組音源。デスグリ史上最も混沌としたヴァラエティに富んだ内容で特に「ジェニー・デス」で大々的にフィーチャーされるバンド・サウンドによる音の壁が素晴らしい。「ニガス」で使用されるビョークのヴォーカル・サンプリングもイマジネーションを拡げます。この音源こそ是非バイナルで聴いていただきたい。

倉本諒