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interview with Weirdcore

interview with Weirdcore

謎のヴィジュアル・アーティスト、ウィアードコアへの質問

取材:野田努    通訳:島田ミミ
Photos by Yasuhiro Ohara
May 15,2026 UP

「HAC module」は、サラリーマンの写真に “笑い男” を重ねた既存のヴィジュアルがあって、それがインスピレーションになった。じつは誰でも “笑い男” になり得る、っていうのを表現したいと思ったんだ。よって、サラリーマンだったり主婦だったり、学生だったり、いろんな人物を混ぜている。つまり、誰でもそうなり得るっていうことを示したくてね。

エイフェックス・ツインからの影響は?

Weirdcore:もちろん、みんなと同じように影響は受けている。特別な刺激を受けたのは、96年に〈Big Love〉というフェスで彼のライヴを見たときだった。ダフト・パンクとは全然違っていて、“映像” そのものというよりショウ全体がすごく刺激的だったんだ。いかにもエイフェックスらしい、頭がおかしくなるような演出でね、ボディビルダーの女性たちがステージに出てきてポーズをとってそれを撮影して映し出したり、すごく変だった。あと、“Donkey Rhubarb” に出てくるテディベアたちがステージで戦っていたり、彼自身は床に座って機材のつまみをいじっていたり。途中で葉巻を取り出して吸いはじめて、それがリアルタイムで映し出されたりもしていたんだ。あれは面白かった。いかにもエイフェックス的で、その時代にできることを最大限活かしていたと思うな。

VJとしてデビューしたのは誰のライヴからだったんですか?

Weirdcore:Access 58。場所は、トッテナム・コート・ロードの近くにある小さなクラブ。初めてだったからものすごく緊張していたけど、その後、スクウォット・パーティとかICAとか、そういう場所でもやるようになった。

エイフェックス・ツインの映像を担当するようになった経緯は?

Weirdcore:じつは “T69 Collapse” の映像よりずっと前、10年近く前……2009年のことだった。2002年にも彼の映像をやったことはあるんだけど、そのときは彼自身に呼ばれたわけではなかったけどね。
 リチャードと最初に会ったのは1999年だった。で、その数年後、ぼくは〈Warp〉のパーティでヴィジュアルをやることになる。そのパーティを仕切っていたのがネッドという人物で、その後〈Little Big〉を立ち上げて、エイフェックス・ツインのエージェントになった。その繋がりから、ぼくにオファーが来たんだけど、ちょうど、エイフェックスがコーチェラでかなりひどいショーをやったあとでね。彼は昔、クルーもつけずに会場にふらっと来て、照明も音響も担当もなしでDJだけやって、あとはうまくいけばいいな、みたいな感じだった。でも、2008年のコーチェラでは相当ひどかったらしく、彼もライヴの際は「ちゃんとクルーをつけよう」と考えるようになった。
 で、その話が(ネッド経由で)ぼくに来たわけだけど、ただ、リチャードが求めていたのは、事前に作った映像をライヴ中に流すことではなくて、映像をその場でライヴ生成することだった。エイフェックス・ツインは、自分でもそのときのDJで何をかけるかわからないし、これまで一度もその日のセットを事前に教えてくれたことがない。まあ、本人にもわからないんだからね(笑)。たまに「これをかけるかも」と言っても、結局かけなかったりするし。
 だから、その場で彼に合わせて反応できる人が必要だった。ネッドはもっと仲のいい別の人に頼むこともできたと思うけど、ライヴ対応できる人が必要だったから、その依頼がぼくのところに来た。それ以来、ずっとその仕事をやっている。最近になっても、ぼくが「今日は何をかけるの?」ってエイフェックスに聞くと、「まだそんなこと聞いてくるのか」って笑われるよ(笑)。

はははは(笑)。エイフェックス・ツインのヴィジュアルと言えば、それこそクリス・カニングハムが有名で、あれがひとつの基準になっているから、そうとうなプレッシャーですよね。

Weirdcore:たしかに、エイフェックスの仕事は大きなハイライトだった。妻もそれに気づいてたしね。彼女は日本人なんだけど、音楽には詳しくなくて、普段はJ-POPとかシティ・ポップを聴くくらいなんだ。それでも反応の違いには気づいていていたし、「エイフェックスの仕事やってるんだ」って言うと、周りの人の反応が明らかに違うんだよね。前は、たとえば「いまM.I.A.と仕事してるんだけどさ」って言ってもそこまでじゃなかったのに、エイフェックスのときはみんなの表情が一気に変わるからね。

最後に、今回の作品、「HAC module(ハック・モジュール)」についての話を聞きたいと思います。どのようなコンセプトであなたはこれを作られたんですか?

Weirdcore:ああ、その理由なんだけど……基本的には、ヒロ(弘石雅和/ユーマ代表)がロンドンに来たときに話をしたんだよ。で、ヒロとしては、他の『攻殻機動隊』のいわゆる “定番っぽい方向性” とは少し違う、ちょっと尖ったというか、変化球的なものをやりたかったみたいなんだ。で、まあいろいろアイデアを出し合ってたんだけど、サラリーマンの写真に “笑い男(laughing man)” を重ねた既存のヴィジュアルがあって、それがインスピレーションになったね。じつは誰でも “笑い男” になり得る、っていうのを表現したいと思ったんだ。よって、サラリーマンだったり主婦だったり、学生だったり、いろんな人物を混ぜている。つまり、誰でもそうなり得るっていうことを示したくてね。それと同時に、フラクタル的な表現にも興味があって、最終的には全部が分割されていって、“笑い男” の形に収束していくようなイメージになっている。

弘石君はWeirdcoreさんに何を期待して、オファーしたんですか?

弘石:今日の話を聞いてもわかるように、彼自身がエイフェックスだったりM.I.A.だったり、表だった活動をしてるんだけど、一切顔見せない、ミステリアスな活動をしてるっていうことが今回の企画に合っている思った。この “笑い男” というのも、まあ、いわゆるハッカー集団みたいな、アニメの設定上だとアノニマス的な存在なんですけど、そこがWeirdcoreとも似ているでしょ。
 あとはもう、彼が考えたらどういう作品ができるのか、っていう興味がありました。しかも、じつは彼のエイフェックスとの仕事とも結びつく。というのも、この “笑い男” のロゴをデザインしたのがポール・ニコルソンっていう、エイフェックスのロゴ(Aマーク)をデザインした人でもあるんです。だからもう、これはWeirdcoreに “笑い男” の作品を作ってもらうしかない、というふうに思ったんだよね。

“笑い男” がエイフェックスのAマークと同じ作者って、すごいね!

弘石:いや、これ、『攻殻機動隊』の「STAND ALONE COMPLEX」というシリーズがあって、(フロッグマン・レコードを一緒に立ち上げた)佐藤大ちゃんが脚本書いてる。で、大ちゃんがたまたま、その番組の脚本会議のとき、パソコンにエイフェックスのロゴを貼っていた。それを監督が見て、「それかっこいいね!」となって。で、「STAND ALONE COMPLEX」に出てくる “笑い男” のデザインを、かのエイフェックスのロゴをデザインした人にオファーしようとなったんです。

ほぉー。Weirdcoreさんは、それを今回の作品(「HAC module」)でどのように解釈して、作品化したのでしょうか?

Weirdcore:基本的には、“笑い男” の形がさらに多くの人へと変わっていくこと自体が、“笑い男” の力がより多くの人を侵食していくことを表していると、そういう考えだよね。

弘石:これ、ディテールのちっちゃいところも全部、あの “笑い男” と日本人で表現されてるんですけど、引いて見てみるとロゴになってるんですよね。

へえ、すごいですねぇ。

弘石:面白いでしょ(笑)。あと、もうひとつ面白い企画があって、お客さんが自分が “笑い男” になりたいと思ったら、写真を送ってもらえたら、自分も “笑い男” になり得るっていうプロジェクトもあるんですよ。

どういう風にやるの?

弘石:私がこれを買いたいです、と。で、オファーしてきますよね。そしたら自分の写真を送ってもらって、その購入者がこのなかに入れると。例えば真ん中の赤いところに入りたいといったら、その購入者が “笑い男” になり得るっていう。ちなみに、「HAC module」ですが、これライト照らすと全然違って見えるんですよ、すごい不思議な。

なるほどね。面白いね。

弘石:一昨日、『攻殻機動隊』の音楽フェス〈Deep Dive〉で、前身のブンブンサテライツの楽曲だけを演奏するザ・スペルバウンドのライヴがあって、WeirdcoreがVJを担当しました。すごくライヴ感のある映像演出で、その場でお客さんの顔を写しながら音楽に合わせて変形させていったり。

Weirdcore:会場がとにかくすごかったよ。東京の景色が一望できて、まさに、攻殻機動隊の世界というか、やってて、オーディエンスの反応もすごく良かったと思うよ。

弘石:ブンブンサテライツは、昔(90年代末)、東ロンドンのオールド・ストリートの近くにスタジオ持っていて、で、Weirdcoreとは同じエリアでパーティをやってたんだよね。だから、ブンブンサテライツとWeirdcoreはその頃の繋がりもあって。

なるほど、そういう縁もあったんだね。

弘石:そう、今回の「HAC module」というアート作品も、かれこれ20年以上前、イギリスでの出会いからはじまっているんですよ。Weirdcoreのバックボーンが今日のインタヴューでわかったと思うので、エレキングの読者さんも、ぜひ、注目してみてください。

■HAC module 「模倣 Moho」商品案内
https://technobyobu.jp/hac/


©Shirow Masamune・Production I.G/KODANSHA All Rights Reserved.

商品名:Ghost in the Shell STAND ALONE COMPLEX 模倣 Moho
商品番号:HAC-03-GIS-MH
アーティスト:Paul Nicholson / WEIRDCORE
発売日:2026年1月30日
サイズ:縦:300mm × 横:300mm
重量:約395g
材質:錫箔(平押し)紙
価格:132,000円(税込)
※TechnoByobu公式WEBサイト(https://technobyobu.jp/)にて販売中

■HAC module 「模倣 Moho EX」商品案内
https://technobyobu.jp/hac/


©Shirow Masamune・Production I.G/KODANSHA All Rights Reserved.

商品名:Ghost in the Shell STAND ALONE COMPLEX EX 模倣 Moho Extra
商品番号:HAC-03-GIS-MHーEX、HAC-03-GIS-MHーEX2
アーティスト:Paul Nicholson / WEIRDCORE
発売日:2026年1月30日
サイズ:縦 400mm × 横 1200mm
重量:約1.4kg
材質:
・通常版(EX):錫箔(大箔散らし)
・特別仕様(EX2 写真組み込み版):錫箔(平押し)
真贋判定:MiWAKERU®
販売数量:
・通常版(EX):Edition 8
・特別仕様(EX2 写真組み込み版):Edition 8(受注制作)

※TechnoByobu公式WEBサイト(https://technobyobu.jp/)にて販売中
※EX2特別仕様版は、ご購入者ご本人の写真を、モザイクを構成する要素の一部として組み込むことが可能です。受注制作となり、希少性の高いオリジナル作品としてお届けします。

TechnoByobu及び他のHAC module作品についてはこちらから
TechnoByobu公式WEBサイト:https://technobyobu.jp/

取材:野田努(2026年5月15日)

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