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interview with Dorian Concept

interview with Dorian Concept

スピリチュアル・ジャズ・エレクトロニカ

──ドリアン・コンセプト、インタヴュー

野田 努    通訳:青木絵美  写真:小原泰広   Oct 29,2014 UP

スピリットという点では、ジョン・コルトレーンが浮かんできます。彼がモードにスピリチュアルな要素を導入して、それがフリー・ジャズにも繋がっていきますからね。現代のミュージシャンではフライング・ロータスです。コルトレーンとも繋がる自分の家系のバックグラウンドを参照している点でも興味深かいです。

■僕はあなたのアルバムを聴いてエモーショナルだと感じました。とくに“クラップ・トラック4”は「喜び」を感じるんでが、いまの話をきいていると感情よりも風景を表現している方が強いんでしょうか?

DC:そういうわけではありません。“クラップ・トラック4”のループを作り終えたあとヘッドフォンでそれを聴いていました。そのときに「このアルバムのテーマはひととの繋がりかもな」とふと頭に浮かびました。アルバム全体を通しては内向的になっているかもしれませんが、4曲目に関しては外に向けたものになっていると思います。今回のアルバムにとって、感情は無視できない要素です。僕はいままでテクニカルなことに重点を置いていたので内向的な部分があったので、今作で自分をもっとオープンにしたかったんです。

■あなたに訪れた変化はいろいろとあったと思います。フライング・ロータスやシネマティック・オーケストラなど、多くのミュージシャンとコラボレーションをしたりツアーをしたりしました。前作からの5年でとくにご自身にとっての大きな変化はなんでしたか?

DC:シンプルですが、自然と歳をとっていったことですね。20代後半から30代に入って、人生は繰り返しだと気付き絶望したこともありました。20代よりもあまり興奮を感じなくなったり興味の対象が変化したりもして、そういう発見が自分を変えたと思います。あと、個人的にミュージシャンは30代になったら20代にときと同じことをしてはいけないと思うので、新しい「言語」を身につけるように挑戦したいと思っています。これだけのことを考えさせられたので、やはり歳をとったことは重要ですね(笑)。

■クラブ・カルチャーとの距離感をどのように考えていますか?

DC:いまでもとても楽しんでいます。クラブはとても生き生きとしているし、自分の音楽を反映させる場所でもあります。ですが僕はシーンの一部というよりもシーンを追っているタイプの人間です。個人的にはクラブ・カルチャーは自分のホームというよりも、関心を持っている程度なんですよ。ですから、クラブ固有の文脈に自分を当てはめるというよりも、居場所を作っていったほうが性に合っているんです。

■初期のあなたには、朝起きるとまずコンピュータに向かったというエピソードがあります。そういったライフスタイルが前作に影響しているとしたら、今作では曲の作り方も変わったんだろうなと思いました。

DC:いまはスタジオを自分の家の外に移しました。誰しも学生時代のときは、部屋に余計な装飾はなくて家具があるだけですよね(笑)。ですがときが来ればいろいろと手を入れてデコレーションをしてみたくなるものです。音楽活動にしても同じことは言えると思います。働く場所を持つことと、帰る場所を持つことは大事なことですよね。家はすべてから距離を取ることができる場所。そして働く場所は、文字通り集中して働くためのもの。僕は朝の8時から仕事をはじめて、夕方6時には家に帰り料理や夕食を楽しむこともあります。昔は典型なベッド・ルーム・プロデューサーだったので、そのための環境と時間があれば十分でしたが、いまはそれを変えることができて嬉しいです。

■今回のアルバム・タイトルの『ジョンド・エンズ』にはどんな意味があるのでしょうか?

DC:このタイトルは繰り返しから感情を表現する、ループを基本とする自分の音楽のメタファーなのでしょう。また、終わりを繋げるという意味ではリングを作る職人芸のようなものかもしれません。基本的に即興を頼りにキーボードを弾いて、貯まったサンプルのループを組み合わせていきました。繋げていくという考えは、先ほど述べた人間関係を表しているのかもしれませんね。

■今作において、曲のインスピレーションはどんなところからきているのでしょうか?

DC:この作品を作っている間は音楽をあまり聴かないようにしていました。自分で弾いたモチーフが、誰かの真似なんじゃないかと疑ってしまうことがよくあるからです。その代わりに映画をよく観ていました。90年代のもの多く、例えばトーマス・ニューマンが音楽を手掛けた作品などで、彼の手法はミニマリスティックで、ライヒなどの現代音楽家からの影響が明らかです。サム・メンデス監督の『アメリカン・ビューティー』(1999年)で聴くことができる、木琴による三音の繰り返しはまさにその流れを感じますね。意図しなかった音楽的なインスピレーションを映画から貰ったんです。
 さきほど話したヒップホップ文化におけるサンプリングも今回は重要な要素かもしれません。90年代の〈ニンジャ・チューン〉からのリリースでは実験的なサンプリングのメソッドが使われています。例えばセルフ・サンプリングなどです。自分のフレーズをサンプリングする、もしくはサンプリングしているようにみせる手法を使って、古いジャズ・レコードのサウンドを表現したりました。インスピレーション源は90年代の映画とサンプリングのふたつということになりそうですね。

■音楽のスタイルではなくて、姿勢やスピリットの面で尊敬するミュージシャンがいたら教えてください。

DC:スピリットという点では、ジョン・コルトレーンが浮かんできます。彼がモードにスピリチュアルな要素を導入して、それがフリー・ジャズにも繋がっていきますからね。
 現代のミュージシャンではフライング・ロータスです。コルトレーンとも繋がる自分の家系のバックグラウンドを参照している点でも興味深かいです。シネマティック・オーケストラのジェイソン・スィンスカーも素晴らしいミュージシャンです。音楽面だけではなく、彼らとは仕事を通して人柄も知れたので人間的にも尊敬できますね。もうひとりはティム・ヘッカーで、僕は彼の大ファンなんです。まだ会ったことはないんですけど、彼のレコードを聴くたびに耳を奪われてしまいますね。
 彼らに共通するのは、決して妥協しないというアーティストとしての素養を持っていることです。尚かつ、妥協ユニークなことに挑戦しても、それが彼らにとっては自然な流れである点も素晴らしいと思います。

■マイルスよりもコルトレーンなんですね(笑)?

DC:『ビッチェズ・ブリュー』はあらゆる意味で名作ですよね。でも、僕はどうしてのコルトレーンが好きなんです(笑)。

■今回、3拍子の曲が印象的なのは、コルトレーンの影響?

DC:かもしれません。3拍子だけではなく、6拍子の曲もあります。

■いつか『ア・ラヴ・シュプリーム』みたいな、大きな作品を作るのかもしれないですね。

DC:いや~、とてもそんなこと……、もしそんなことができれば……、いや、そう言ってくれてありがとう(笑)。

質問:野田努(2014年10月29日)

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