「Nothing」と一致するもの

yukifurukawa - ele-king

 成熟したプロダクションになんとも色鮮やかな詩情──ギター/キイボード/ヴォーカルの古川悠木を中心に、ソロでも活動するコルネリ、サラダマイカル富岡製糸場グループのサラダらが集合した東京のバンド、その名も yukifurukawa が、4月1日にファースト・アルバム『金貨』をリリースする。どこかテニスコーツやマヘル・シャラル・ハシュ・バズを想起させつつも、よりクリアな音響がそっとやさしくリスナーの耳を包みこんでいく……まずは先行公開された “ハイキングコース” を聴いてみてほしい。これはチェックしておくべきでしょう。

[3月24日追記]
 まもなくリリースされるアルバム『金貨』より、もう1曲 “サマー” が現在公開中です。とても軽快で元気のわいてくる曲ですね。なお、4月4日には SCOOL にてレコ初ライヴも予定されています。ヒップホップ・グループの E.S.V が共演。詳細はこちらから。

yukifurukawa
『金貨』
WEATHER 80 / HEADZ 245

「yukifurukawa」は古川悠木の曲を無為に演奏すべく2019年5月に活動を開始したが、コルネリ(Maher Shalal Hash Baz / のっぽのグーニーBad medicines)の加入をきっかけに、当初から参加するサラダ(サラダマイカル富岡製糸場グループ)と共に元々シンガーソングライターとしても活動している二人の曲も持ち寄ってライヴ演奏をしていくこととなった。その後、突き進む勢いで完成したのがこの『金貨』と題されたファースト・アルバムである。

『金貨』は古川悠木、サラダ、コルネリという、三人の作曲家によるそれぞれテイストの異なる楽曲が併存して収録されており(“ムーン” が唯一の共作曲)、ワクワクさせられたり、寂しさや諦めを感じたり、それでいてどこかに望みがあるかのような、さまざまな心象世界が描かれている。
古川悠木による丁寧なサウンド・プロダクション、ベース森田哲朗とドラム久間木達朗による渋く手堅いリズム隊の演奏、サラダとコルネリによる美しいコーラス・アレンジが全編に渡って施され、非常に効果的なアクセントになっており、さらに三人のカラーの違う個性的なヴォーカルが見事に調和することで新たな化学反応が起き、予想以上に熟達した作品となった。
ゲストとして、シンガーソングライターの mmm がエレキベースで参加しており(過去に一度、yukifurukawa のライブにサポートとして参加している)、素晴らしいグルーヴを醸し出している。

マスタリングは折坂悠太、入江陽、さとうもか、Taiko Super Kicks、TAMTAM、本日休演などの作品のエンジニアリングも行なっている中村公輔が担当。

フロント・カヴァーのドローイングは若き画家・森ひなたが描き下ろし、デザインはグラフィックデザイナーの浅田農が担当(彼が手掛けた、おさないひかり詩集『わたしの虹色の手足、わたしの虹色の楽器』は東京TDC賞 2020のブックデザイン部門に入選)し、yukifurukawa の世界観をより引き立たせるようなアルバム・ジャケットに仕上がっている

アーティスト:yukifurukawa
アルバム・タイトル:『金貨』
規格番号:WEATHER 80 / HEADZ 245
価格:[税抜価格 ¥2,000]+税
発売日:2020年4月1日(水)
レーベル:WEATHER / HEADZ

01. ハイキングコース
02. どこかの窓
03. 遡行不良
04. サマー
05. 海と犯人
06. 庭
07. 話したくない
08. 蟹の思い出
09. Les méchants
10. ムーン

yukifurukawa
古川悠木:ボーカル(M2,3,5,8,9)、ギター(M1,2,3,5,6,9,10)、ピアノ(M1,2,4,7,8)、オルガン(M3,4)、口笛(M3,5)
サラダ:ボーカル(M4,5,8,10)、ギター(M1,4)
コルネリ:ボーカル、ギター(M7,8)
森田哲朗:コントラバス(M1,2,5,6,8)
久間木達朗:ドラム(M1,2,4,5,6,8)

mmm:ベース(M4)

編曲:古川悠木
コーラスアレンジ:サラダ(M4,10)、コルネリ(M2,3,5,8,9,10)

録音:古川悠木、西村曜(StudioCrusoe)
ミックス:古川悠木
マスタリング:中村公輔
録音場所:StudioCrusoe、七針、柳瀬川、阿佐ヶ谷、天沼、池袋、高田馬場

絵:森ひなた
写真:梨乃
デザイン:浅田農

ブルース百歌一望 - ele-king

こんな不条理な時代は、
人生の不条理から生まれた素晴らしい音楽を聴け!
ブルース研究の草分けが書き下ろす
極上のブルース・プレイリスト100曲100話の物語

半世紀におよんで、日本にブルースを紹介しつづけてきた日暮泰文が
これからブルースを聴く人のために
いまでもブルースを好きな人のために
「変わってゆく同じもの」の原点を知るために
アメリカのもうひとつの歴史を知りたい人のために
そして、この厳しい時代を生き抜くために
100曲を選び、その100曲について語る。
ことブラック・ミュージックが好きであれば必読の、最新ブルース・ガイド!

ブルース衝動という言葉がある、近頃はほとんど耳にもしないので、あった、といったほうがいいのかもしれない。しかし21世紀の今、この男が持っているものこそブルース衝動だと捉えるしかなかった。そして、それは形となって体から噴き出し、幸いなことに記録媒体上にも捉えられることになった。それは、この世の中でさまざまな辛くてキツイ経験をし、体にため込んだものを外へ吐き出そうという衝動、そうしないことにはどうにもならない、といった気分状態であり、またそうすることによって過去のハードシップをなんとか乗り越えようとするものである。黒人の置かれた状況からそれは経験されることになり、そこからブルース衝動、ブルース・インパルスという言葉が使われるようになった。(本文より)

日暮泰文
1948年東京生まれ、神奈川県育ち。ブルースを始めとするブラック・ミュージック逍遥に生きる。慶応義塾大卒。ブルース愛好会設立、雑誌、ライナーノーツ等への寄稿を続けながら、ブルース・インターアクションズ(Pヴァイン・レコード)を1975年に創業。2007年のリタイアまでLP、CD、雑誌、書籍等、多数のリリースを続ける。著書に『ブルース心の旅』、『RL──ロバート・ジョンスンを読む』、『のめりこみ音楽起業』、訳書に『ブルースと話し込む』等。

RC SUCCESSION - ele-king

 RCサクセションとはコンセプトではない。それが良いか悪いかでもない、それはただ基本だった。ゴールにボールが入れば1点、フィールドプレイヤーが手を使ったら反則、RCとはそういう次元のものだった。
 あらゆるものが詰まっていた。初期のロックやポップ・ミュージックといったもので見られる夢の、その後否定されるべきものも含むおおよそすべて。エゴ、愛、セックス、ドラッグ、反抗、自由、怒り、疎外感、虚無、別れ、悲しみ、反体制、理想、成長……そういったもの。
 また、日本も嫌だしアメリカも嫌だしという、はっぴいえんど以降の日本のロック/ポップスが無意識にせよ模索し独創したアイデンティティの更新を、このバンドはたったひと言の「イエー」や「ベイビー」などという、じつにバカっぽい言葉の威力でやってしまった。痛快という言葉は彼らのためにあった。
 世の中に疑問を持った若者がいる。性欲も好奇心もギラギラしている。そういう中高生にとってRCは福音でありマントラだった。ぼくたちはライヴに行って、いつも爆笑した。この人たち、おもしれぇー。振り切れている。きっと、デトロイトにおけるPファンクもこうだったに違いない。

 ここに紹介するのは、今年はバンド結成から50年ということで発売されたシングル集である。CD3枚組、もっとも初期の「宝くじは買わない」(1970)から最後の「I LIKE YOU」(1990)までの、公式にリリースされた全21枚の7インチ・シングルA面/B面、計42曲がオリジナルマスターからリマスタリングされて収録されている。言うまでもないことだが、シングルでしか聴けない名曲が聴ける。“よごれた顔でこんにちは”とか、“君が僕を知ってる”とか、“窓の外は雪”とか。いま聴くと意外によかった“どろだらけの海”とか。それから、これはいまさら言っても仕方がないことだけれど、チャート狙いの曲をA面、野心作をB面に擁した2曲入り7インチというフォーマットをポップ産業は手放すべきではなかったとあらためて思う。こんなキラキラしたベスト盤は、いまのアーティストには作りたくても作れないのだ。

 年齢に関係なく、音楽を詳しく知れば知るほど狭量かつ教条的になってしまう人がいる。これはホンモノかどうか、これはジャズかどうか、……俗に言う権威主義だ。RCサクセションというバンドは、その見かけはエキセントリックで、音楽スタイルは決してオーセンティック(ホンモノ)なリズム&ブルースではなかったが、しかしその感情はホンモノだった。RCサクセションにはフォーク時代の70年代から隆盛を極める80年代にいたるまで、一貫して妙なハイブリッド感があった。ローリング・ストーンズほどにはブルースという確固たる音楽的土台がなかったかわりに、日本特有の私小説的なフォークをブルースやロックが表す心の痛みや悦びに近づけ、あるいはそこに甘い理想と毅然とした反抗心をたたき込んだ。 
 おそらく彼らが最初からマニアックな音楽集団だったら、あんなに雑多なオーディエンスを得られなかったのだろう。「バカな頭で考えた/これはいいアイデアだ」と歌ったように、敷居の低いところで敷居の高い連中にはできないことをやったのが彼らだった。ぼくはすっかり夢中になって、初めて見にいった16歳の夏から子どもを連れていった忌野清志郎の最後となってしまった武道館ライヴまで、ただのひとりのファンとして接した。
 出来の悪い子どもたちの側であることを貫いた彼らのようなバンドが、エリート層と貧困層に二分される格差社会が定着したいまの日本にいてくれたらどんなに良いことだろうか。“トランジスタ・ラジオ”(電気グルーヴもカヴァーした曲)はいま聴いても、ますます不思議な曲だ。ハードロック調のギターからはじまって、しかし柔らかい綿で包みこむように、あの曲はつねにぼくを基本に立ち戻らせる。それはコンセプトではない。良いか悪いかでもない。ただの基本であり、つまりボールは足で蹴るという次元の話なのだから。

drøne - ele-king

 ドローン(drøne)は、マイク・ハーディング(Mike Harding)とマーク・ヴァン・ホーエン(Mark Van Hoen)によるエクスペリメンタル・サウンド・アート・ユニットである。今年頭、彼らの4作目のアルバム『The Stilling』がリリースされた。この特異な作品にについて語る前に、まず、ふたりのメンバーについての簡単な紹介からはじめたい。とてもスペシャルなユニットなのだ。

 マイク・ハーディングは英国のエクスペリメンタル・ミュージックの老舗〈touch〉の創設者である。彼はレーベル運営の傍、自身の音源をいくつかをリリースしている。1998年に、彼はフェネス、ハーディング、レーバーグ(Fennesz Harding Rehberg)『Dĩ-n』を〈Ash International〉からリリースした。20分ほどの音響作品だ。ちなみに〈Ash International〉は、マイク・ハーディングと音響作家のスキャナーことロビン・リンボー(Robin Rimbaud)が1993年に設立したレーベルである。
 2011年、〈touch〉から7インチ・レコードでマイク・ハーディング「Repaired/Replaced」をリリースした。ジョン・ヴォゼンクロフトによる美麗なアートワークによるこの作品は、短いながらも秀逸な環境録音作品である。さらに〈touch〉から2001年に発表されたコンピレーションアルバム『Ringtones』に MSCHarding 名義の楽曲を収録し、〈Cabinet〉から2001年にリリースされたコンピレーション・アルバム『Cabinet #3: Squall』に MSC Harding 名義で楽曲を提供している。

 マーク・ヴァン・ホーエン(Mark Van Hoen)は、ポストロック・バンド~エレクロトロニック・ミュージックの草分け的存在シーフィールの初期メンバーで、ロカスト(Locust)やソロ名義でも活動するアーティストである。
 マーク・ヴァン・ホーエン名義では1995年に同じく元シーフィールのメンバーである ダレン・シーモア(Daren Seymour)と『Aurobindo: Involution』を〈Ash International〉から送り出した。2年後の1997年には〈touch〉から2枚組『The Last Flowers From The Darkness』をリリースする。翌1998年は〈R&S Records〉傘下のアンビエント・レーベル 〈Apollo〉から『Playing With Time』を発表し、2004年には英国〈Cargo Records〉傘下の〈Very Friendly〉から『The Warmth Inside You』を発表した。2010年代以降は「Boomkat」のオーナーでもある Shlom Sviri と〈Morr Music〉からリリースしたアルバムでも知られる Herrmann&Kleineの Thaddeus Herrmann が運営する〈City Centre Offices〉から『Where Is The Truth』をリリースした。2012年には〈Editions Mego〉から『The Revenant Diary』、2018年には〈touch〉から『Invisible Threads』を発表する。
 ロカスト名義でも、94年に〈Apollo〉から『Weathered Well』を発表して以降も活動を継続している。00年代以降も2001年に〈touch〉から『Wrong』、2013年に〈Editions Mego〉から『You’ll Be Safe Forever』、2014年に同レーベルから『After The Rain』を送り出す。2019年にはアンビエント作家の Min-Y-Llan = Martin Boulton 主宰〈Touched - Music For Macmillan Cancer Support〉から『The Plaintive』をデータ配信で発表した。

 そんな経験豊富なふたりによるドローンは、2016年に、カール・マイケル・フォン・オスウルフ(Carl Michael Von Hausswolff)の娘であり、アーティストとしても知られるアンナ・フォン・オスウルフ(Anna von Hausswolff)主宰のレーベル〈Pomperipossa Records〉から最初のアルバム『Reversing Into The Future』をリリースした。翌2017年には同レーベルから『A Perfect Blind』と自主リリースでCD作品『Mappa Mundi』を発表する。そして2020年、約3年の歳月を経て、〈Pomperipossa Records〉から新作『The Stilling』がリリースされたわけである。

 本作『The Stilling』もこれまでの作品同様に夢のような幻想的なサウンドスケープを形成しているが、より成熟した技法によって実験的な短編映画のようなサウンドへと変貌を遂げた。世界各国(なんと日本も)で録音された環境音が溶けるような1め “Mumming” から引き込まれる。環境録音とそのむこうに鳴るドローンの交錯は刺激的であり麗しくもある。そのサウンド空間は、けっして穏やかなだけではなく、ある種の不穏さや性急さがレイヤーされている点にも注目したい。続く2曲め “Influence Machines” も上空から世界の雑音を高速スキャンするような音響を展開する。音響と音楽の境界線を溶かすような3曲め “Vitula” は、アルバム中でも特に重要な曲だ。ヴァイオリンを、2019年に〈touch〉からアルバムをリリースしたばかりのザッカリー・ポール(Zachary Paul)が、チェロを前作『A Perfect Blind』や〈touch〉より発売されたサイモン・スコット(Simon Scott)の『Soundings』にも参加していたチャーリー・カンパーニャ(Charlie Campagna)が演奏している。人の息吹を折り重ねた4曲め “Sunder” では人のよりパーソナルな領域へと音響が接近する。そしてラスト3曲 “In The Eye”、“The Stilling”、“Hyper Sun (Including Every Day Comes And Goes)” では、環境音とドローンが高密度に交錯・融解し、まるで聴き手の耳と記憶に急速に浸透するようなサウンドスケープを展開する。次第に壮大な音響が生成されていくさまは、まさに圧巻というほかない。そのほかゲストとして Smegma の Nour Mobarak や Bana Haffar らも参加している。

 以上、全7曲、どのトラックも成層圏から地上、そしてヒトへと高速ズームアップするようなサウンドであった。そのうえまるで記憶が溶けていくような不思議なノスタルジアを放っている。彼らの最高傑作であるばかりでなく、近年のエクスペリメンタル/ドローン作品の中でも出色の出来といえよう。

Ben Watt - ele-king

 どうして彼の音楽はこうも美しいのだろう。1983年の『ノース・マリン・ドライヴ』でデビューし、その後のEBTGの全活動を経て、2014年発表の『ヘンドラ』から改めて本格的に自身のソロ名義の活動を本格化させたベン・ワットが、2016年の『フィーヴァー・ドリーム』に続いて今春リリースしたのが本作『ストーム・ダメージ』である。
 とはいえ今回は「嵐の被害」のタイトルからも明らかな通り、全体にやや重めの仕上がりとなっている。資料に拠ればベンは近年、相次いで異母兄姉らを亡くしたのだそうで、その経験が随所に影を落としていることは否めない。悲しみや苛立ちといった感情を、かなり私的な視点から掘り下げているトラックが目立つのだ。

 たとえば、葬儀の場面を描いたと思しきM3“Retreat to Find”では、サビの部分で「すべてのしがらみから逃げ出し、もう一度きちんと死と向き合える場所を見つけるんだ」と歌われる。特にこのトラックでは、ベン・ワットらしからぬと形容するしかない、怒りや悲痛さといった要素がヴォーカルにおいてもあえて強調されていて、それが、やや鋭利に過ぎる音色のアコギのストロークプレイに乗せられてくる。自ずと想起されてくるのは荒涼という形容が相応しいような光景となる。
 開幕の“Balanced on Wire”は若者らへと向けられたメッセージとも読み取れるのだけれど、全編を貫いているのは切迫感か、あるいは焦燥とでも呼ぶべきものだ。「一瞬を生きろと人は言うが、時にその一瞬はあまりに儚く、あるいは時に間延びしている」「傷つけられたと思っているかも知れないけれど、そういう経験をしていない人間なんていないものだ」「不安を感じたことのない人間だって同じだ」こうした言葉が、規則的に過ぎるほどのピアノとダブルベースを前面に押し出したパターンの上で綴られていくのだ。終盤に向け、さながら終末の景色を描き出そうとでもするかのように押し出されてくるSEの中、細い鉄線の上で危ういバランスを取ろうとするヤジロベエにも似たイメージは、あたかも今のベン自身の心象風景にも思える。
 続く“Summer Ghost”もやはりマイナーコードを主調に展開される。異界と現世がふと重なる一瞬を切り取ったかのような歌詞を、高音のシンセサイザーによる揺らぐような白玉が巧妙に演出してみせる。その先は上の“Retreat to Find”を挟んで“Figures in the Landscape”へと続くのだが、こちらのトラックもまた、風の音しか聞こえて来ない寂寞とした一人きりの場面の描写で幕を開けている。そのまま「自分たちは景色の中の人形みたいなものだ」とまで断じられてしまえば、さすがに重苦しさに息が詰まりそうにもなる。

 けれどここに至って少しだけだがようやく上向きな要素が登場してくる。明らかにロックのリズムのサビに「またもう1日生きてゆくために、さあ手を打とう」と歌われるのだ。そしていよいよこちらとしても、本作は実はベン自身の、いわば回復のための手続きのようなものだったのかも知れないなと想像せざるを得なくなるのである。
 M5M6もともにやはり喪失感を基調としている。引き出しに残されていたナイフに、姿を消してしまった歌姫。選ばれたモチーフがそのまま曲を決定してしまった印象だ。それぞれの物語が具体的な誰かを想定して綴られているのだろうことは、たぶん間違ってはいないはずだ。甘い郷愁とまでは言わないけれど、それでもここまでくると、冒頭から響いていた棘々しさは多少ながら和らいでいる。

 そして次のトラックのタイトルに、僕らはほんの少しだけ、胸をなで下ろすことを許される。「夜に続く日の光」だ。ようやくここから先、メジャースケールを基本にしたメロディーなりコードワークなりが曲を支配していくようになってくる。手のひらの温もりやあるいは「時とともに変わらざるを得ない自分たちの姿」といった内容を肯定的に感じられるようになり始めたベンの姿が垣間見えるのだ。特にM9“You’ve Changed, I’ve Changed”はベン・ワットのバラードとして安心して聴ける仕上がりとなっている。

 ボーナストラック的にアルバムの掉尾を飾っているのが“Festival Song”だ。海辺での大規模ライブの光景を切り取ったこの曲は、モチーフとは裏腹に静謐さに満ちている。そしてこんな一節が登場する。
 「僕の歌うすべての歌が、ちゃんと真実として響きますように──」
 そしてこの言葉が実は、開幕の“Balanced on Wire”で切迫した声で歌われていた「心を開き、自分に忠実であることしかできない」というフレーズときっちり呼応していることに気づかされるのである。そして、きっとベンはだから、本作の全体をそういう作品として提示したかったのだろうなと考えさせられるのである。おそらくはこれが今の彼の、等身大の、嘘偽りのない姿なのだろうな、と。

 個人的には『ヘンドラ』所収の“Spring”や、あるいはEBTG時代の“25th December”といった辺りの、穏やかで優しいミッドテンポのバラードこそベン・ワットの真骨頂と思っているので、真っ向からのこちらの手触りを作り上げてくれているトラックが見つからなかったことは正直やや残念ではある。もっとも本人の公式コメントに拠れば、自身の感受性に忠実であるためには新しいアプローチが常に必要なのだという思いが根底にはあるらしい。繰り返し、あるいは焼き直しを慎重に回避した結果なのだろう。

 本作のサウンドは基本、ベン自身が〝フューチャー・レトロ・トリオ〟と呼ぶところのアップライトピアノにダブルベース、ドラムスといった編成に、各トラックの世界観に相応しい音色を加味する形で仕上げられている。そんなことを思い合わせれば4月の来日公演が一層楽しみにもなってくる。また、最後になったが、個人的には各曲のアプローチに随所で、ほんの少しだけではあるが、レナード・コーエンの後期の楽曲のタッチを思い出したことをつけ加えておこうと思う。あるいはこの先彼は、どこかでああいった立ち位置を目指していくのかも知れないなと、漠然とそんなことを想像しもした。

■来日公演予定

東京公演:2020年4月20日(火)恵比寿リキッドルーム 開場18:30 開演19:30
大阪公演:2020年4月21日(水)梅田シャングリラ   開場18:30 開演19:30

Norma Jean Bell - ele-king

 ビッグ・ニュースの到着だ。サックス奏者として70年代から活動をつづける一方、ムーディマンとともにデトロイト・ハウスを牽引してきたノーマ・ジーン・ベルが、2008年の「Do You Wanna Party ?」以来、12年ぶりに新作をリリースする。レーベルは彼女自身の主宰する〈Pandamonium〉。アリサ・フランクリンのヴォーカルをフィーチャーしたA面の “Got Me A Mann” も気になるが、B面のタイトルがフランス語なのは、かの地に暮らすブラック・ミュージック・ラヴァーたちへの目配せだろうか(彼女の代表作のひとつ「I'm The Baddest Bitch」はかつて〈F Communications〉がライセンス)。ともあれ、これは買い逃せない1枚なり。

artist: Norma Jean Bell
title: Got Me A Mann / Libre comme un oiseau
label: Pandamonium

tracklist:
A side: Got Me a Mann
B side: Libre comme un oiseau (Free as a Bird)

disk union

King Krule - ele-king

 乾いている。3枚めのアルバムとなる『マン・アライヴ!』において、これまでのキング・クルールの音楽にあった湿り気は後退し、とくに序盤、ザ・フォールのようなポストパンクを思わせるドライな音質とクールな攻撃性が前に出ている。オフィシャル・インタヴューでアーチー・マーシャルは「もっと乾いた音にしたかった。それはかなり意識してた。ギター・サウンドにせよ自分のヴォーカルにせよ、リヴァーブやエコーという点でもっとドライなものにしたかった」と発言しているが、あくまで意図的な変化であったことがわかる。ビート・ジェネレーションの文化への憧憬があったのだろう、キング・クルールには1950年代のアメリカにおけるモダン・ジャズやブルーズのスタイリッシュな引用があったが、ここでは、70年代末の英国まで時代も空間もワープしているようだ。オープング、“Cellular” におけるパサついた音質で素っ気なく繰り返されるビートや無機質な電子音、断片的なサックスのフレーズ。ギターは叙情的だが、かえって異化効果を高めている。あるいは、簡素きわまりないリズムとぶつぶつと乱暴に放たれるばかりのヴォーカルの組み合わせで始まる “Supermarché” はそのまま、“Stined Again” の混沌を導いてくる。ピッチを外したギターとフリーキーに交配されるサックス、音程を取らずに吐き捨てられるマーシャルの叫び──「またハイになってしまった」。そこでは無軌道な音たちが散らかっている。

 アルバムは後半に向かってメロウになり、“The Dream” のアコースティックでジャジーな響き、“Theme for the Cross” のピアノの音、“Underclass” におけるムーディなサックスの調べなど、穏やかさや甘さを感じさせる瞬間も少なからずある。しかしそれ以上に、“Alone, Omen 3” のノイズのなかでトリップするような体温の低いサウンドに耳を強く引きつけられ、強烈なまでにダビーな音響に酩酊させられる。重さや暗さはいつでもキング・クルールの音楽の危うい魅力だった、が、これまではもっと聞き手を包みこむような柔らかさを有していたと思う。『マン・アライヴ!』には、無調やノイズ、インダストリアルなビートに象徴される乾いた音によって容赦のない力で引きずりこむような、冷えたダークさがある。
 マウント・キンビーブラック・ミディなど、英国ではポストパンクを更新する若いアーティストが目立っているが(プロデューサーとして参加しているのは、マウント・キンビーやサンズ・オブ・ケメットを手がけているディリップ・ハリス)、キング・クルールもまたそのひとりに挙げられるだろう。前作『ジ・ウーズ』からその傾向を強くし始め、本作でより明確にその意思を見せているマーシャルは、そして、21世紀のジャンル・ミックスを踏まえつつも、ポストパンクの冷たい音を借りて彼の厭世観を深めているように見える。

虐殺が起こっている
陸で
海で
僕には見える
掌のなかに
(“Cellular”)

最下層にいる
社会の穴の奥深く
最後にきみを見たのはそこ
僕らはみんなその下にいた
戻って来るという感覚はたしかにあった
だけどそうはならなかった
(“Underclass”)

 「新世代のビート詩人」などとリリカルに形容されることも少なくなかったマーシャルは、しかし、『マン・アライヴ!』では路上のロマンを掲げるよりも、この世で起きている悲惨な現実をテレビを通して呆然と見ている。そして遠くで起きていることが、自分の身に迫っているものに感じられるのだとつぶやく。それは彼にとって、錯覚ではないのだろう。
 前作から本作までの間に、マーシャルはフォトグラファーのシャーロット・パトモアとの間に娘が生まれたことを公表している。本作に収録された楽曲は娘が誕生する前にできていたそうだから、ここで見られる厭世観は子どもを持つ以前のものだということだ。そうした失意はもちろん、これまでの彼の作品にも色濃く影を落としていた。しかしどうなのだろう。果たして、いまの世界は子どもが生まれるのが喜ばしいと思える場所なのだろうか。僕には、『マン・アライヴ!』のさらなる重さはこれから親になる世代の不安や混乱と同調しているように感じられる。そうした恐れは親にならない選択をした者にとっても同様で、世のなかの反出生主義のような流行りは、ある意味ではそれに対する逃避的なリアクションだろう。アーチー・マーシャルの音楽のなかでは、未来が明るく感じられないこと……が、ポストパンクの記憶と重なる。
 しかしだからこそ、かつて『シックス・フィート・ビニーズ・ザ・ムーン』というタイトルで死のイメージを持ち出していた痩せっぽちな少年はいま親となり、「生」にエクスクラメーションマークをつけて叫ぶのである。死を甘美に夢見るのではなく、むしろ過酷な生を選択するのだと。だから『マン・アライヴ!』は、不安や恐れを撒き散らしながらも、反出生主義のような「夢想」に反発する。どれだけそこが酷かろうと、まずは現実から目を逸らさずに絶望することから始めること。だから音は醒めてなければならなかった。
 ヘヴィな作品であるとはいえ、どうにか聴き手をなだめるようなところもある。“Alone, Omen 3” はメランコリックでダウナーな響きがやがてノイズに飲みこまれていくトラックだが、そのノイズのさなか、マーシャルは「きみは独りじゃない」と繰り返す。この世界に絶望しているのはきみだけじゃない、という逆説的な力──それが、明日をどうにか生き抜くために必要なものとして、暗闇からひっそりと鳴らされている。

YPY - ele-king

 日野浩志郎(goat / GEIST etc)の新作はひさびさとなる自身のレーベルからのリリースとなったカセット2作品。goat は海外ツアー、また昨年の山口 YCAM でおこなわれた GEIST もすさまじく(詳しくはこちらのレポートを)、それでもってこちらの作品も日野の現在の絶好調っぷりを感じる2作品ではないでしょうか。YPY は大雑把にいって、日野による、打ち込みの電子音を中心にしたソロ・プロジェクト。以前に著者がRAでおこなったインタヴューでは、隅々までコンポーズされた goat のようなプロジェクトとも違った、打ち込みだからこそ生まれえる予期せぬサウンドをひとつの核にしているようである。また複数のテレコを使い、カセットテープの組み合わせで構成していくワイルドなライヴも魅力のひとつ(いわゆるDJとも違う)。

 これまで自身のカセット・テープ・レーベル〈birdFriend〉を中心に複数リリースし、〈EM Records〉からは初期作品『Zurhyrethm』やアルバム『Be A Little More Selfish』などがリリースされている(〈EM〉からは〈birdFriend〉の編集コンピも今後リリースされるとか)。また海外からは、ヘルムや先日すばらしいアルバムをリリースしたビアトリス・ディロンなどがリリースする〈Where To Now?〉からも作品があり、またヨーロッパを中心に同名義でツアーなどもおこなっている。そのサウンドは、日本で一時期 “ロウ・ハウス” と呼ばれていたようなインダストリアルなローファイ・テクノ、電子音のコラージュ、エスニックなパーカッション・ダブ、ときにブレイクビーツなダウンテンポなどなど多岐にわたるアプローチがなされている。そのあたりも偶然性をひとつコンセプトにすることで獲得されたサウンドではないだろうか。バラバラといえばバラバラだが、無機質に鳴らされるリズムの応酬と、サイケデリックでフリーキーなスペースを生み出すサウンド、というのがひとつ貫かれているプロジェクトの印と言えるかもしれない。

 と、前置きが長くなりましたが本題を。この2連作はタイトル通り、ダブをひとつテーマにした二卵性双生児な作品といったところ。若干の制作コンセプトが異なるようだが双方とも「録って出し」がかなりの早さでおこなわれた模様である。『OVER SMILING DUB』は、強力なフィルターをかけたヴィンテージ・ドラムマシンによるトラックを下地に、さまざまな生楽器などをオーバーダブした作品。対して『NYE/D IN DUB!!!!』は、ある種ライヴ的な作り方で、同様なヴィンテージ・ドラムマシンによるトラックを下地に生ライヴ・ミックスなど4時間程度録音をおこなった音源を切り取り(ただしエデットはなし)、2曲にまとめた作品。

 『OVER SMILING DUB』、まずはボブ・マーリー&リー・ペリーのドンカマ・レゲエ “ナチュラル・ミスティック” (『Exodus』収録ではないヴァージョン)のバック・トラックを1小節取り出して執拗に繰り返しながら無理矢理インダストリアル・ダブ化したかのようなA1にはじまり、フリーキーな電子音が暴れまわり、最終的にはドレクシアに接続してしまっているサイケデリックなA2。B面は間の抜けたエレクトロ・ダブと海の湿度を全く抜き取ってしまったカリビアンな感覚もありどこかインダストリアル・ダンスホール風味な2曲。特にB面後半はロウ・ジャックダッピー・ガンのようなインダストリアル・ダンスホールにつながりそうでつながらない、メビウスプランク『RASTAKRAUT PASTA』にむしろつながってしまった疑似インダストリアル・ダンスホール・ダブといった趣深い傑作ではないでしょうか。

 『NYE/D IN DUB!!!!』A面は、どこか『OVER SMILING DUB』のA面が反転してしまったかのようなリディムで、こちらもドンカマ・レゲエの名曲、ウェイラーズ・バンド “Higher Field Marshall” (リズム&サウンド “No Partial” とカップリングでリイシューされたあれな)を彷彿とさせるグルーヴで、インダストリアルかつコズミックなダブへとじわりじわりと変化させていきます。B面は、ダンスホールとハンマービートが駆け抜けていくようなクラウトロックなグルーヴもありつつな、ジャリつくスネアとミニマルなベースラインがダブ・ミックスで加速していく楽曲です。

 無機質なジャーマンなエレクトロ趣味もありつつ、いわゆるデジタル・ルーツやミニマル・ダブといったフォーミュラーな借り物のないダブ・ビート、この二品にはまいりました。『ele-king』年末号のダブ特集号の日めくり的な、その後という感じでぜひ。カセットテープは売り切れてるところ多いようですがバンドキャンプで音源そのものは変えます。カセットにはDLコードもついているようですので、末永く楽しめます。

interview with Kassa Overall - ele-king

 2019年にリリースされたジャズ・アルバムの中でも、ひときわ新しさと面白さに満ちた作品があった。カッサ・オーヴァーオールによる『ゴー・ゲット・アイス・クリーム・アンド・リッスン・トゥ・ジャズ』である。カッサはニューヨークで活動するジャズ・ドラマーだが、同時にラッパーやトラックメイカーとしての顔を持ち、『ゴー・ゲット・アイス・クリーム・アンド・リッスン・トゥ・ジャズ』にはそうしたふたつの要素が融合されていた。ヒップホップやエレクロニック・ミュージックを取り入れたジャズはもはや目新しいものではなく、そのスタイルも日々更新されている。そうした中で『ゴー・ゲット・アイス・クリーム・アンド・リッスン・トゥ・ジャズ』を見ると、ヒップホップの要素ひとつとってもエクスペリメンタルな要素が強いもので、メインストリーム的な色合いが強いロバート・グラスパーやクリス・デイヴなどとは異なっている。またそれだけにとどまらず、ビート・ミュージックからフットワークなどさまざまな断片が顔を覗かせるアルバムで、フライング・ロータスあたりに繋がるところも見出せるが、フライロー周辺のサンダーキャットカマシ・ワシントンらロサンゼルスのジャズとは明らかに異なる空気があって、そこはニューヨークならではのものだろう。シカゴのマカヤ・マクレイヴンのようなフリー・インプロヴィゼイション・スタイルともまた違っていて、エレクトロニック・ミュージック的なコラージュ感が強い。とにかく、グラスパーに代表される新世代ジャズの誰とも違っていて、それらのさらに一歩先を行くようなアルバムだったのだ。

 『ゴー・ゲット・アイス・クリーム・アンド・リッスン・トゥ・ジャズ』における新しさにスポットがあたりがちだが、カッサはジャズ・ミュージシャンとしてもさまざまなアーティストとの共演で研鑽を積んでおり、特に女流ピアニストでコンテンポラリー・ジャズの世界に大きな足跡を残した故ジェリ・アレンのバンドで活動してきたことが知られる。そうした人脈を広げながらジャズ界でのキャリアを重ね、『ゴー・ゲット・アイス・クリーム・アンド・リッスン・トゥ・ジャズ』には故ロイ・ハーグローヴはじめ、アート・リンゼイ、カーメン・ランディなどベテランや実力者が多数参加していた。昨年は現在の女性ジャズ・ドラマーの最高峰であるテリ・リン・キャリントンのグループにも参加している。

 そんなカッサ・オーヴァーオールがニュー・アルバム『アイ・シンク・アイム・グッド』を完成させた。『ゴー・ゲット・アイス・クリーム・アンド・リッスン・トゥ・ジャズ』は自主制作盤だったが、今回はジャイルス・ピーターソンの〈ブラウンズウッド〉からのリリースだ。それだけカッサが注目されている証でもある。今回もセオ・クローカー、ブランディ・ヤンガー、ジョエル・ロス、ビッグ・ユキなど注目すべき若手や精鋭ミュージシャンが多数参加しているが、驚くべきことに1960年代の黒人解放運動で勃興したブラックパンサー党に属し、社会活動家にして作家として活動してきたアンジェラ・デイヴィスがヴォイス・メッセージを贈っている。聞くところによればアンジェラはカッサのファンだそうで、今回のコラボが実現したらしい。このアンジェラの参加に象徴されるように、『アイ・シンク・アイム・グッド』はメッセージ性の高いもので、『ゴー・ゲット・アイス・クリーム・アンド・リッスン・トゥ・ジャズ』に比べて歌詞が重要な役割を担っている。その歌詞はカッサの体験やこれまでの人生を反映したもので、ある意味で彼の内面をさらけ出している。アルバムのリリースに先駆けて、単独来日公演が組まれて日本を訪れたカッサに、これまでの活動からニュー・アルバムのことなどを訊いた。

『ケアフル・マダム』で学んだことは、アート・リンゼイの音楽に対するアプローチだね。彼はテクニックやスキルという部分よりも、世界観という部分で一枚のアルバムを作り上げてしまうことができる。そうしたアプローチを見ることは、自分をよりクリエイティヴにしてくれた。

今回は単独公演での来日となりますが、日本は何度目ですか? 2018年にアート・リンゼイのツアーで来日していましたが。

カッサ・オーヴァーオール(以下カッサ):今回で4回目だよ。

結構来ているんですね。日本ではあなたの詳細な経歴がまだ伝わっていませんので改めて訊ねますが、どのような環境に生まれ、どんな音楽を聴いて育ってきたのですか?

カッサ:生まれは西海岸のワシントン州のシアトルさ。両親はジャズが大好きで、アマチュアでミュージシャンもやっていたんだ。そんな音楽一家で育ったよ。実家のリビングにはピアノ、ドラム・セット、サックスが置いてあって、ほかにもレコードや4トラックのマルチ・レコーダーもあって、子供の頃それらは自分にとっておもちゃのようなものだった。
その頃いろいろな音楽を聴いてたけど、ジャズだとマイルス・デイヴィス、セロニアス・モンク、ジョン・コルトレーン、チャーリー・パーカー、サン・ラー、オーネット・コールマンとかのレコードを父が聴かせてくれたよ。ほかにクラシックやフォークのレコードも聴いてたね。当時は1980年代から1990年代初頭にあたるけど、パブリック・エネミーやDJジャジー・ジェフなどヒップホップもよく聴いてた。その頃の流行だったからね。そんな具合にジャズやヒップホップ、ブラック・ミュージックなどが自分の中で混じり合って、だんだんと自身の音楽性が作られていったんだと思う。

音楽教育はどのようなものを受け、プロのミュージシャンとしてはどうスタートしたのですか?

カッサ:いまだ自分がプロのミュージシャンだとは思ってなくて、いまもいろいろ学んでいる最中さ(笑)。
楽器を初めて手にしたのは小学生の頃で、兄と一緒に演奏していた。兄がサックスを吹いて、僕はドラムをやったんだ。中学、高校と進む中、シアトルのストリートでいろいろ演奏する機会があって、音楽コンテストや小さなフェスに出たりしていたよ。その頃から音楽の道に進もうと考えていて、オハイオの大学に進学したときは音楽科を専攻したんだ。ほかの仕事をやろうと思ったことはなくて、唯一バイトでやったのがベースボール・スタジアムでのピーナッツ売りなんだ(笑)。
大学を卒業してからニューヨークに出てきたんだけど、最初はここに住もうと思ってたわけではなく、単にショーやライヴを観たりと観光で来たんだ。でも町の雰囲気などがとても気に入って、そのまま居ついてしまったという感じだよ。

あなたの作品にもクレジットされるカルロス・オーヴァーオールというのがお兄さんですか?

カッサ:そうだよ。

ちなみにオーヴァーオールというのは変わった姓ですが、これは本名なのですか?

カッサ:うん、本名はフルネームでカッサ・ポルーシ・オーヴァーオール。ほら。(パスポートを見せてくれる)

ご両親のルーツはどこになるのですか?

カッサ:ふたりとも生まれたのはアメリカで、母はウィスコンシン州のマディソン出身でヨーロッパ系のアメリカ人。父はミシガン州出身のアフリカ系アメリカ人さ。

あなたはジャズ・ドラマーであると同時に、ビートメイカーやラッパーとしての顔を持つ特殊なタイプのミュージシャンです。どのようにしてこうしたスタイルへとたどり着いたのでしょうか?

カッサ:そもそも最初ジャズはジャズ、ヒップホップはヒップホップと区別してやっていたんだ。実家の2階にはピアノやドラム・セットが置いてあって、地下室にビート・マシンやミキサーなどが置いてあった。物理的に楽器演奏とトラック・メイキングを一緒にやる環境ではなくて、ジャズとヒップホップはバラバラでやっていたんだ。ジャズは学校できちんと学ぶもので、一方ヒップホップは友だちと楽しみながらやるものと、そういった違いもあったしね。でも、それぞれずっと別にやっていく中で、ここ3、4年くらいかな、ジャズのこことヒップホップのここを繋ぎ合わせると面白いんじゃないかなと分かってきて、それでふたつのサウンドを一緒にやるようになったんだ。

自分が尊敬するアーティスト、素晴らしいなと思う音楽家は、だいたいみな音楽に人生を捧げて、真摯に取り組んでいる人たちなんだ。「ジャーニー(探求)」とはそうした人生を指しているんだよ。

同じタイプのジャズ・ドラマー及びヒップホップ系のビートメイカーではクリス・デイヴ、カリーム・リギンズ、マカヤ・マクレイヴンなどが思い浮かびますが、彼らについて何か意識したり、影響を受けたところはありますか?

カッサ:うん、もちろんいま挙げた人に限らず、いろいろな人たちから影響を受けることはあるよ。でも僕の場合、前にも言ったようにジャズとヒップホップはずっと別々にやってきていて、最初からヒップホップのビート・パターンをドラムで実演するといったようなことはやっていなかった。そのあたりがクリスのようなドラマーとの違いで、ヒップホップに合わせてドラムを叩くというようなアプローチではなく、自分で演奏したジャズのドラムをサンプリングしてヒップホップのトラックで用いるというアプローチをしている。自分にとってジャズはあくまで生演奏で、ヒップホップはマシンを使ってビートを作るという具合に、やっぱり両者の間では違いがあるんだ。それら異なるものをコラージュして繋げていくというのが自分のアプローチなんだと思う。いろいろ影響は受けるけど、アプローチ方法は人それぞれなんじゃないかな。

そのジャズとヒップホップをコラージュするようになった、何か具体的なきっかけとかはあるのですか?

カッサ:アルバムの『ゴー・ゲット・アイス・クリーム・アンド・リッスン・トゥ・ジャズ』を作る前までは、たとえばヒップホップのトラックを作ってミュージック・ビデオでラップをしている僕の姿を見る人がいたとする。でもライヴハウスに行ったらもっとストレートなジャズを演奏していて、そうした僕のふたつの別々のスタイルを見た人は混乱するんじゃないだろうか、そんなことを考えてね。そこから自分は一体どんな音楽家なんだろうともっと考えるようになって、そのときにふたつのことを同時に一緒にやったら、人々からはもっとポジティヴな反応が得られるんじゃないかなと、そう思うようになったんだ。ミュージシャンとしての自分をもっとわかってもらえるんじゃないかと考え、そうしてジャズとヒップホップを繋げてやるようになっていったんだ。

以前トゥースペーストというヒップホップ・ユニットを組んでましたね。ここではどんな活動をしていたのですか?

カッサ:あれはエクスペリメンタルなヒップホップ・ユニットでね、元カノとちょっとだけやっていたんだ。だからあまり知ってる人はいないかもね。いい音楽をやってたんだけど。

ジャズ・ミュージシャンとしてはジェリ・アレンやケニー・デイヴィスと組んだタイムラインというグループで活動したほか、ヴィジェイ・アイヤー、アート・リンゼイ、セオ・クローカーなどと共演してきています。特に2017年に他界してしまったジェリ・アレンからの影響が大きいと思いますが、彼女との共演からいろいろ学びましたか?

カッサ:ジェリは偉大なミュージシャンで、亡くなってしまったいまでも彼女からは多くのことを学ばされる。昔一緒に演奏していたとき、ああしたらいいよ、こうしたらいいよといろいろアドヴァイスを受けて、手取り足取り教えられた。そのときはどういうことかわからなかったこともあったけど、いまそれがわかってくることがあるんだよ。

ジェリはあなたにとってジャズの先生みたいな存在だったわけですね。

カッサ:そうだね、先生、いや僕にとってジャズのゴッドマザーのような人だよ。

昨年はテリ・リン・キャリントンのグループのソーシャル・サイエンスにも参加し、アルバム『ウェイティング・ゲーム』もリリースしていますが、彼女との交流もジェリ・アレンとの繋がりから生まれたのですか?

カッサ:うん、テリもジェリ・アレンと一緒に演奏していたから繋がりがあって、ジェリが亡くなった後にその遺志を継ぐというわけじゃないけど、距離が近くなって、一緒にやるようになったんだ。

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良い音楽を作るためには生々しいトピックだったり、真実に基づいた経験についても触れなければいけない。そうしたリアルさ、複雑さがときにベストなものを作る。自分を振り返って、掘り下げた歌詞を書いていくことは、一種のセラピーのような行為でもあるんだ。

アート・リンゼイのアルバム『ケアフル・マダム』(2017年)では、あなたが現代的なビート感覚をもたらすなど重要な役割を担っていました。彼との活動があなたの創作活動にフィードバックされた点などありますか?

カッサ:『ケアフル・マダム』で学んだことは、アートの音楽に対するアプローチだね。それまでの僕のアプローチとはまた違うもので、彼の場合は音楽的なテクニックやスキルという部分よりも、世界観という部分で一枚のアルバムを作り上げてしまうことができるんだ。そうしたアートのアプローチを見ることは、自分自身をよりクリエイティヴにしてくれたと思うよ。

ファースト・アルバムの『ゴー・ゲット・アイス・クリーム・アンド・リッスン・トゥ・ジャズ』は、2019年のアルバムの中でもこれまでになかったジャズの新たな可能性を提示した素晴らしい作品でした。ジャズの生演奏とビート・ミュージックやヒップホップ、トラップやジュークなどエレクトロニック・ミュージックが融合し、フライング・ロータスなどを連想させる場面もありましたね。

カッサ:もちろんフライング・ロータスにも影響は受けている。彼は純粋なインストゥルメンタル・プレイヤー、即興演奏家ではないけれど、どうやって楽器を用いながらビート・ミュージック音楽を作っていくかというのは自分でやっていなかった部分なので、その面ではいろいろ影響を受けたと思う。『ゴー・ゲット・アイス・クリーム~』に関しては、フライング・ロータスのやってるジャズとビート・ミュージックとかの融合のまた別ヴァージョン、そんな面があるだろうね。フライング・ロータスのアプローチと僕のやっているアプローチには同じところもあれば、また違うところもある。そうした意味で別ヴァージョンということさ。

このアルバムではアート・リンゼイ、セオ・クローカー、カーメン・ランディなどのほか、ロイ・ハーグローヴとも共演しています。2018年に彼が亡くなる直前のレコーディングだと思いますが、どのようなセッションでしたか?

カッサ:素晴らしかったね。自分にとってとてもやりやすいものだった。ロイから本当に大きなインスピレーションを受けたわけだけど、彼は昔からニューヨークのジャズ・シーンの知り合いで、いつかコラボしたいねと言ってたんだ。なかなか機会がなくて時間がかかってしまったけど、こうやって一緒に演奏するときが巡ってきて、とても興奮したよ。彼がスタジオにやってきて、パーフェクトな演奏をしてくれて、2、3時間で全て録音することができた。
彼とレコーディングしたときは、まだアルバムとしてどうリリースするかまでは決まってなくて、いろいろ悩んでいた頃だったんだ。でも一緒にやっていい録音をすることができて、アルバムを出すのならこのタイミングだなと思ったんだ。そうした面でも彼の与えてくれたインスピレーションはアルバムを出すにあたってとても大きなものだったと思うよ。

ニュー・アルバムの『アイ・シンク・アイム・グッド』はジャイルス・ピーターソンの〈ブラウンズウッド〉からのリリースとなります。どのような経緯で契約を結んだのですか?

カッサ:『ゴー・ゲット・アイス・クリーム~』をリリースしたとき、ジャイルスにラジオでかけてもらいたかったからアルバムを送ったんだ。彼も気に入ったみたいでかけてくれてね。そうして『アイ・シンク・アイム・グッド』が完成して、ジャイルスを含めていろいろな人にサンプルを送ったんだけど、そんなときにたまたまツアーでヨーロッパに行くからインタヴューとかをセッティングしてもらえないかと彼に相談したところ、『アイ・シンク・アイム・グッド』もすごくいいから彼のレーベルからライセンスして出せないだろうか、という話になってね。そんな具合にタイミングが重なってリリースすることになったんだ。

アルバムには来日公演でも一緒のモーガン・ゲリン(サックス)、ジュリアス・ロドリゲス(ピアノ)に、前作でも共演したサリヴァン・フォートナー(ピアノ)、セオ・クローカー(トランペット)から、ブランディ・ヤンガー(ハープ)、ジョエル・ロス(ヴィブラフォン)など現在のニューヨーク・ジャズ・シーンの期待の若手プレイヤーまで、多数のミュージシャンが参加しています。特にピアノ/キーボードではジュリアスやサリヴァンのほか、ビッグ・ユキ、ヴィジェイ・アイヤー、アーロン・パークス、クレイグ・テイボーンと多彩な面々とセッションしていて、それぞれ持ち味の異なる鍵盤奏者との共演がアルバムをよりクリエイティヴなものに導いている印象を受けるのですが、いかがでしょう?

カッサ:そのとおりだね。ひとりの優れたピアニストと組んでアルバムを作ることも、それはそれで素晴らしいことだと思うけど、このアルバムに関してはたくさんの優れたアーティストたちと組んで、それを一枚の作品としてまとめたいと考えた。その方が聴いている人たちも退屈しないからね。

“ショウ・ミー・ア・プリズン”には公民権運動の活動家で作家でもあるアンジェラ・デイヴィスが電話越しのメッセージで参加して驚かされました。この曲は監獄と囚人を題材とした作品ですが、彼女はどのようなきっかけで参加したのでしょう?

カッサ:アンジェラは『ゴー・ゲット・アイス・クリーム~』を出したときから僕をサポートしてくれていて、中でも“プリズン・アンド・ファーマスーティカルズ”という曲がお気に入りだったんだ。彼女の地元のオークランドやサンフランシスコやのラジオ局でもよくかけてくれて、いい曲だと言ってくれていたんだ。それで今回の“ショウ・ミー・ア・プリズン”を作ったとき、その歌詞の内容が持つヘヴィーさ、シリアスさというものを、どうすればより効果的に伝えられるかなと考えて、アンジェラの肉声が入ったらとてもいいんじゃないかなとアイデアが浮かんだんだ。それで彼女にヴォイス・メールを頼んだところ、快諾してもらえて入れたんだよ。

どこでも活動できるという意味でバックパック・プロデューサーと言っているわけだけど、スタジオだけじゃなく友だちの家でも、泊っているホテルでも、気がむいたらどこでも音楽はできる。時間を気にすることなく、納得がいくものができるまで続けられるというのも利点。

ヴィジェイ・アイヤーと共演した“ワズ・シー・ハッピー”は前述のジェリ・アレンに捧げた曲です。この曲に出てくる「ジャーニー(歌詞カードの和訳では「探求」)」という言葉はあなた自身の音楽や人生についても降りかかってくるのではと思うのですが、いかがでしょう?

カッサ:ジェリ・アレンが亡くなってからのある日、ヴィジェイとディナーをしてたときにジェリの話になって、彼から「彼女は幸せだったのかな?」と訊ねられたんだ。そんな会話がもとになって生まれた曲なんだけど、ジェリは彼女の人生や時間を全て音楽に捧げているような人だった。音楽は自分の使命であると、そんな風に考えるとてもまじめな人だったんだ。いざ音楽から離れて、彼女自身の幸せとか楽しみがあったのかなと考えてみるんだけど、でもジェリにはそんな時間なんてなかったんだよね。自分が尊敬するアーティスト、素晴らしいなと思う音楽家は、だいたいみなジェリみたいに音楽に人生を捧げて、真摯に取り組んでいる人たちなんだ。「ジャーニー(探求)」とはそうした人生を指しているんだよ。

今回のアルバムはあなたの詩人としての才能が大きく表れていて、そこにはかつて精神疾患を患い、躁鬱病で学生時代に入院した経験が反映されています。そんな体験から生まれた歌詞が多いのですが、そうした過去を隠す人が多い中、どうして自ら発信したのでしょうか?

カッサ:僕にとってのメインのゴールは良い音楽を作るということなんだ。そのためには今回のような生々しいトピックだったり、真実に基づいた経験についても触れなければいけないなと思ったんだ。そうしたリアルさ、複雑さがときにベストなものを作る。これまでは作品の中で深く自分自身を掘り下げていくということをあまりしてこなかったけど、今回はそうしたディープなところに挑戦したアルバムだと思う。同時にそうやって自分を振り返って、掘り下げた歌詞を書いていくことは、自身にとっての一種のセラピーのような行為でもあるんだ。

アルバム・ジャケットには少年時代のあなたの写真を使っているようですが、それもかつての体験に繋がっているのですか?

カッサ:あれは彼女のアイデアだから、訊いてみてよ。(同席していたガールフレンドを指す)

ガールフレンド:私とカッサは7、8才の頃に知り合ったんだけど、学校で同級生のときに撮った写真がこれなのよ。この写真のカッサの表情がずっと私の中には残っているわ。とても優しく笑っているんだけど、その中にちょっとプライドも感じさせて、すごくいい表情なの。それから彼が着ているバスケットボールのジャージもすごく似合ってるわね。彼がアルバムのことを話してたとき、この写真がジャケットにいいんじゃないかなと思って、それで勧めてみたの。

あなたは自身についてバックパック・プロデューサーだと述べていますね。リュックなどにラップトップを入れてどこでも音楽を作り、行く先々でいろいろなミュージシャンとセッションするということなのかなと思いますが、『アイ・シンク・アイム・グッド』はベッドルームで作ったトラックが、街に出てミュージシャンたちとのセッションによって完成されたものと言えますか?

カッサ:そうだね、どこでも活動できるという意味でバックパック・プロデューサーと言っているわけだけど、スタジオだけじゃなくて友だちの家でも、泊っているホテルでも、気がむいたらどこでも音楽はできるんだ。それとスタジオだとどうしても時間に縛られるよね。そんな時間を気にすることなく、納得がいくものができるまで続けられるというのもバックパック・プロデューサーの利点だと思うよ。

ISSUGI - ele-king

 稀代のラッパー ISSUGI が、バンド・アレンジに挑戦したことで話題を集めたニュー・アルバム『GEMZ』より、BUDAMUNK プロデュースによる “ONE RIDDIM” のミュージック・ヴィデオを公開している。ディレクションは、ISSUGI や仙人掌らの映像作品を手がけている xtothexx が担当。音だけでもめっちゃかっこよかった楽曲が、さらにかっこよくなっている。なお、3/6と3/19に予定されていた福岡・大阪での公演は残念ながら中止になってしまったが、3/27の東京公演は、現時点では開催の方向とのこと。

ISSUGIのニュー・アルバム『GEMZ』から “ONE RIDDIM” のミュージック・ビデオが公開!

ISSUGI の元に BUDAMUNK (PADS)、WONKのHIKARU ARATA (DRUM)、KAN INOUE (BASS)、CRO-MAGNON の TAKUMI KANEKO(KEYS)、MELRAW (SAX, FLUTE, TRUMPET, GUITAR)、DJ K-FLASH (TURNTABLE) がバンド・メンバーとして集結し、Red Bull Music Studios Tokyo を拠点に制作されたニュー・アルバム『GEMZ』から BUDAMUNK のプロデュースによる “ONE RIDDIM” のミュージック・ビデオが公開! ディレクションは ISSUGI や仙人掌らの映像作品を手掛けている xtothexx が担当している。

※ 新型コロナウィルス感染拡大防止のため、3/6、3/19に開催を予定しておりました「ISSUGI GEMZ RELEASE LIVE」の福岡、大阪公演の中止が決定致しました。チケットの払い戻しに関しましては決定次第、ISSUGI HP にて発表させていただきます。3/27の東京公演に関しましては、日々状況が変化している最中ではありますが現状は開催を予定しております。何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

*ISSUGI “ONE RIDDIM” - Prod by Budamunk (Official Video)
https://youtu.be/1oHTVqZNZNw

GEMZ RELEASE LIVE IN TOKYO at WWW X
2020.03.27 (FRI)
OPEN 19:00 / START 20:00
ADVANCE TICKET : ¥3,500 [+BONUS]
DOOR : ¥4,000
(税込/ドリンク代別/オールスタンディング)

*前売チケット発売中
https://www-shibuya.jp/schedule/012191.php

〈Members〉
LIVE: ISSUGI
DRUMS : HIKARU ARATA (WONK)
BASS : KAN INOUE (WONK)
PADS : BUDAMUNK
TURNTABLE : DJ K-FLASH
KEYS : TAKUMI KANEKO (CRO-MAGNON)
SAX, FLUTE, TRUMPET, GUITAR : MELRAW
and special guest

[アルバム情報]
アーティスト: ISSUGI (イスギ)
タイトル: GEMZ (ジェムズ)
レーベル: P-VINE, Inc. / Dogear Records
品番: PCD-25284
発売日: 2019年12月11日(水)
税抜販売価格: 2,500円
https://smarturl.it/issugi.gemz

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