「Nothing」と一致するもの

Jagatara - ele-king

 日本のロック/ポップ史においてもっとも重要なバンドのひとつ、じゃがたらの代表作ほぼすべてがようやくサブスクで聴けるようになった。1982年の大傑作『南蛮渡来』をはじめ、1987年の人気作3枚『裸の王様』『ロビンソンの庭』『ニセ予言者ども』、1989年の問題作『それから』に『ごくつぶし』、江戸アケミ最後の作品となった1990年の『そらそれ』。また、フランク・ザッパの影響が滲み出た異色作1983年の『家族百景』、OTOの音楽的野心がクラブ世代との溝を埋める1990年の『おあそび』、それからデビュー・シングル「LAST TANGO IN JUKU/HEY SAY!」を収録したベスト盤『BEST OF JAGATARA~西暦2000年分の反省~』。

https://www.110107.com/s/oto/news/detail/TP01649?ima=2803

 じゃがたらは、80年代のシティポップからは見えない日本を描写し、RCサクセションでさえも歌わなかった痛みを歌い、バブル経済時代の居心地の悪さをスケールの大きな痛快かつ雑食的なファンクをもって表現した稀なバンド。耳から体内に注入し、生きる力を蓄え、さてと今日もまたガッツで乗り切ろう。
 なお、今回リイシューされるアナログ盤2枚(『南蛮渡来』および『裸の王様』)、Sony Music Shop限定で買うと先着でメッセージの籠もった特典ステッカーも付いている。

 すでにご存じの方も多いだろう。石原洋のソロ・アルバムが来年の2月12日に坂本慎太郎の〈zelone〉レーベルからリリースされる。タイトルは『formula』、アナログ盤ではA面1曲/B面1曲という構成だ。(CDでは普通に全2曲)
 石原洋といえばゆらゆら帝国のプロデューサーであり、一時期はOgre You Assholeのプロデュースも手掛けていたことで広く知られるが、元々はWhite Heavenという東京のアンダーグラウンドにおいて玄人受けしていたサイケデリック・ロック・バンドで活動していた前歴を持つ。バンド解散後もソロないしはThe Starsとしての活動をしていた石原だが、作品を発表するのはじつに23年ぶり。
 その新作には、予想だにしなかった音響が展開されているに違いない。ジョン・ケージ的なメタ・ミュージックであり、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド的なロックの解体かもしれない、おそらくは。アートワークも凝っている。まだ2ヶ月も先の話だが楽しみでならない。

formula / you ishihara

M-1 / Side A: formula
M-2 / Side B: formula reverse

All songs written, concrete conducted and produced by You Ishihara
Recorded, mixed & mastered by Soichiro Nakamura at Peace Music, Tokyo 2019

石原洋 / you ishihara: vocal, guitar, synthesizer, keyboard, effects

栗原ミチオ / michio kurihara: guitar
北田智裕 / tomohiro kitada: bass
山本達久 / tatsuhisa yamamoto: drums
中村宗一郎 / soichiro nakamura: keyborad


https://reststayrelationship.com

一人盆踊り - ele-king

 友川カズキにはいくつかの肩書きがある。「歌手、画家、詩人、競輪愛好家、俳優、コメンテイターと八面六臂の活動を続ける友川カズキさんは、根っからの自由人だ」と『一人盆踊り』の解説を加藤正人さんは書き出している。それらいくつかの遊動する肩書きにふさわしく、友川カズキは傾向のことなる著作をあらわしている。詩集、エセー、絵本から競輪生活をおくるなかの雑感や心得まで、その数は両の手にあまるが版元はかならずしも大規模出版ではないので、店頭にみあたらず手にとろうにもとれなくてざんねんだった。ことにここ数年で友川を発見した新しい聴き手のなかには、音盤のなかや舞台のうえのあの表現の何割をかたちづくることばにふれたい方もすくなくなかった。ことばとは詩であり、語りであり、作品の静寂や行間に息づく理路というよりは生きる態度としての考えであり、それらは意味をなさぬほど飛躍ぶくみであってもあくまでことばでなければならなかった。

 2015年初頭刊行の『友川カズキ独白録』(白水社)は静かに広がりつつあったそのような要望に応えるべく、少年期から現在まで、書名のとおりひとり語りで語り尽くした好著である。十代のころ熱中したバスケットボールから上京のころ、都市と故郷、歌手としての来し方、多彩な交流とそれがもたらした逸話の数々を惜しげもなく披露する文章は友川さんの口吻を彷彿させるもので、心持ち耳を澄ませながら読みすすめた記憶がある。私はとりわけ、友川さんが好きな本や絵や映画の話をするのを聞くのが好きで、友川さんがいいというものはなんでもふれてみたくなるのだが、そのような性分のものにも『独白録』はうってつけだった。つまるところファンにすぎないのかもしれないが、友川カズキの表現には浮き身をやつす価値がある、と死んだオヤジの遺言で賭けごとをやらない私でさえ身を乗り出してしまうのは、こちらの想像の歩幅を超える友川の行為の跳躍力ゆえである。ことばはそのとき触媒となる、このことについては『独白録』に以下のような一節がある。

「やはり言葉ってね、もちろん「単なる言葉」である場合も少なからずあるんですけど、いい意味でも悪い意味でも、危険なものではあるんですよ。そういう一触即発の言葉を足掛かりにしてね、非日常──まぼろしの世界に飛び込んでいくんですから」

 そう述べる本書からしてまぼろしへの手引きみたいなものだが、あらかじめ肉声の転写としてかたちをなした『独白録』の一方で、友川がみずから綴ったことばを読みたくなったのは、おそらくそこには声とはちがう身体の運動が宿っていて、それはどこか絵を描くのに似ている。散文であればなおのこと。韻文とはちがう絵柄なのは詩人、俳人、歌人の散文の独特の味わいでわかる。だれというのでなく、私は詩人の散文は蕪雑なのがいい。抒情とはその裏面であり、そのようなことばにふれたくなったとき、彼らの書物を繙く、私の書棚の一画に今年からそこに友川カズキの『一人盆踊り』が加わった。

 『一人盆踊り』は友川カズキの過去の文業を編んだ選集で、古くは1977年刊行の『死にぞこないの唄』(無明舎出版)から代表曲と同名で展転社から85年に出た『生きてるって言ってみろ』などのエセー集、詩集では『朝の骨』(無明舎出版、1982年)や『地の独奏』(矢立出版、1985年)など、90年代に入ってからの競輪関係の著書からの再録もあれば、雑誌や他の著者の本に寄せた単行本未収録分の原稿もある。全8章とふたつの詩篇。友川カズキの来歴をふりかえる構成(ただし最後の1章は近況に的を絞った語りおろし)の起点になるのは、祖父母、父母、バスケ部の恩師加藤先生、故郷秋田にまつわる記憶と情景で、その原風景に中原中也をはじめとする著者に向かうひとびとがまぎれこむ。赤塚不二夫の映画出演時に面識を得た畏友たこ八郎とののんびりひとを食った交流の日々は出会いの達人=友川カズキの真骨頂だろうし、それは中上健次に洲之内徹、深沢七郎など、やがて著者の表現の血肉となるひとたちとの、ときに緊張感をはらむ向き合い方とともにその世界の深まりを物語ってもいる。『月山』を書いた森敦宅を、中上健次とともに訪れたくだりはたしか『独白録』でもふれていたが、三竦み状態の気まずさやおかしさはこっちのがよりなまなましい。気まずくなったら飲み直すしかない。私はさきほど書き漏らしたが、出会いの達人とは酒宴の名人と同義である。

 とはいえ本書は酒の席の怪しい来客簿や昭和、平成の畸人伝にかまけるものではない。
 たとえば若くしてみずから命を絶った実弟覚氏のありし日を綴った「「覚」オメデトウ」にみえる凄絶さ。このときの体験はその後「無残の美」として歌に昇華したが、文中で覚氏について述べた「自分の裡にある魔物のように蠢くやりきれない闇」をまなざす人物像は兄とも大いにかさなりあう。すくなくとも、そのようなひとのうえにしか「私に私が殺される」のような出来事はおこりえない。この一文は自作の絵(のモチーフ)にとり殺されそうになった顛末を描いた、物語風の味わいさえ感じさせる長文だが、その不気味な読後感が抜け去らないままに、『一人盆踊り』は文頭に詩を掲げた名もなきひとたちとの交流の記からさらに詩篇へとつづいていく。この雑多な、それでいてズ太い芯が貫くようなあり方はまったくもって文は人なりというほかない。

 その人となりをさして加藤氏は「何ものにもまつろわぬ、自由人」と呼ぶのだが、ここでいう自由は会社とか部とか課とか、学校とかクラスとかチームとかバイト先とかバンドとかグループとかに属さない自由である以上に、特定のジャンルの形式という名の制約からの自由も含意する。すなわち歌も絵も文も車券の買い方も、どこを切っても友川カズキという全身性の謂だが、この時代にそうあることは、いうまでもなく、ときによるべなく、つねに厳しい。ここ数年友川カズキの存在が静かな注目を集めているのだとしたら、苛烈さを増す世界にあってそうありつづけることの尊さとも無縁ではない。私は先日、某誌の取材で友川さんに久方ぶりにお会いし、そのひと月後、映画の試写で再会したとき、その思いをあらたにした。本書所収の「病気ジマンもいいかげんにします」でも言及するとおり、このごろは身体の方々がたいへんだとぼやいておられたが、それがゆえに魂の踊りの止む気配とてない。『一人盆踊り』はいままさに暮れようとしている2019年の時点における表現者=友川カズキの見取り図であり、それを文庫版という簡便なかたちで手にできることがうれしい。

 いくつもの気になることばがある。絵を描くさい白い紙に向かうときのエロティックな緊張、きつい現場仕事を終えたときの解放感とはほど遠い汚れた布っ切れのような気持ち──言い回しでも形容でもなく、これらことばの事物性が思考のながれにアクセントをつけ、文体はリズムとなり踊り出す。むろんそれはたった一人による踊りであり、祝祭である。

 待つことも行くこともまたなく
 ただ在れ…
 ジングルベル 新年あけましておめでとう
 なあに 日々とこしえよ
 日々一人盆踊りです
(「一人盆踊り」)

 本書と同名の楽曲で友川カズキは上のように歌っている。日々とこしえであれば、エヴリデイ盆暮れ正月。『一人盆踊り』で、みなさま毎日よいお歳を。

Kano - ele-king

 UKのラッパー、ケイノ(Kano)のキャリア6枚目となるアルバム『Hoodies All Summer』がリリースされた。ケイノは2000年代のグライム・シーンの立役者のひとりとして知られるラッパーだ。海賊ラジオ「Deja Vu FM」でワイリースケプタとともに評判をあげ、“Ps & Qs”で大ヒットを飛ばした。また、前作『Made In the Monor』(2014)はUKの批評家賞にあたるマーキュリー賞にノミネートされるなど、時代の声となる作品をリリースしてきた。Netflix で公開中の大人気ドラマ・シリーズ『Top Boy』でのめざましい演技に常に注目が集まってる。そんな幅広い活動の中でリリースされた本作は、コミュニティの宣教師かのように、若者の言葉を用いて彼らを導く。そんな彼が背負っている責任を感じさせるアルバムとなった。

 前半はいまのロンドンの厳しいストリートで稼ぐキッズの現実に寄り添う意識が背景となっているように感じられ、曲調も厳かだ。ヴァイオリンで幕を開ける 1. “Free Years Later”で時折自身の過去のいざこざに言及しつつ、いまの不良を諫める言葉を紡ぎながら「D・ダブル・Eがしてきたことをいま俺が若者にやるんだ」という最後のラインには多くのラッパーの見本となってきたD・ダブル・E(D Double E)の功績を称えながら、ケイノも別の「ストリートの理想像」を体現するという決意が聞こえる。2. “Good Youtes Walk Around Evils”ではタイトなグライム・トラックに、ラフなストリートでラッパーとして「まっとうにやること」、つまりラッパー・リリシストとして「稼ぐ」という姿勢を誇っている。つづく 3. “Trouble”はブラックパンサーの活動家であり、70年代〜80年代にノッティングヒルのデモを率いたことで知られるダーカス・ハウ(Darcus Howe)のインタヴューのサンプリングで始まる。現在の警察の黒人に対する暴力を歴史と結びつけながら、ストリートにい続けることの難しさをストリートにいる若者にも届くような言葉で語っている。例えば、UKのラッパー、アブラ・カダブラ(Abra Cadabra)の大ヒット曲“Dun Talkin'”のラインを引用するところにはウィットを感じさせる。

 中盤はレゲエのエッセンスをミックスした曲が並ぶ。ジャマイカのアクセントを感じさせるシンガーのコージョ・ファンズを客演に迎えた 4. “Pan-Fried”はこれまで彼自身が成し遂げてきたことを祝うような1曲で、東ロンドンのローカルな仲間の話や、ジャマイカ由来のファッション文化が散りばめられていて興味深い。続く 5. “Can't Hold We Down”でもジャマイカの人気ラッパー、ポップカーン(Popcaan)を迎え、ケイノのラップにイギリスとジャマイカの距離が生み出す憧れと、それに対する「俺たちのやり方」への誇りが入り混じったアンビヴァレントな感覚が聴こえて面白い。

 6. “Teardrops”では一転して、栄光の裏側に依然としてあるハードな現実に引き戻される。イギリスにおける黒人の置かれた立ち位置についてハードなビートに乗せて糾弾するようにラップするヴァースと弱気に呟くようなサビは、鮮やかなコントラストを引き出す。また 8. “Got My Brandy, Got My Beats”はある女性との別れの辛さを乗り越えようとする彼自身が描かれ、ガラージのビートとリル・シルヴァ(Lil Silva)のコーラスはその哀しさに寄り添う。

「愛と戦争は、すべて公正か」それが俺の生まれたところ
弱きは続かない、俺らみたいなシューズを履いて1週間
降ればいつも土砂降り、フードでひと夏を過ごす
君と僕にだけに、空から涙がこぼれる

In love and war All is fair where I'm from
The weak won't last a week in shoes like our ones
When it rains it pours Hoodies all summer
'Cause teardrops from the sky only seem to fall on you and I

“Teardrops”

 “Class of Deja”では、Deja Vu FM で凌ぎを削った盟友のD・ダブル・Eとジェッツ(Ghetts)を迎えた正統グライム・チューンで、ケイノとジェッツが交互にヴァースを蹴るスタイルで彼らの絆の強さも感じられる1曲だ。ラストの10. “SYM”では「Suck Your Mum」(意訳:くそくらえ)をコーラスするファニーなイントロが耳を引く。しかし、第二次世界大戦後にイギリスに移り住んだカリブ海移民の「ウィンドラッシュ世代」に触れるなど歴史を振り返りながら、現在のイギリスの黒人が置かれた状況までを見渡すように展開していく。そこから2000年代のダンスや海賊ラジオの存在にもスポットライトを当てるというドラマチックな展開には、イギリスの若者に歴史を伝えようとするケイノの姿が浮かんだ。

 ケイノが現実につながる歴史をラップするのは、それがストリートを生き抜くキッズに必要であると感じたからに違いない。それはマイノリティである「イギリスの黒人」というアイデンティティにとって、事実に基づいたストーリーを伝え、彼らを勇気づけ、良い方向に導きたいからであろう。ドリル・ミュージックがいまのストリート・キッズの現実を象徴しているならば、ケイノはこのアルバムを通して彼らの未来を描き出そうとしているのだ。

Minyo Crusaders - ele-king

 いまどんどんその存在感を増していっている民謡クルセイダーズ、日本の民謡をクンビアやブーガルーなどのリズムとかけあわせるこの至高のグループ(紙エレ24号にインタヴュー掲載)が、なんと初めて地上波に、というか初めてテレビに出演する。12月19日(明日!)の早朝、NHK総合『NHKニュース おはよう日本』内での特集というかたちで、先日の東京キネマ倶楽部でのすばらしいライヴの模様も一部放送されるとのこと。また、12月28日(土)には NHK-FM のピーター・バラカンの番組『ウィークエンドサンシャイン ウィンター・スペシャル』にも出演。どちらも要チェックです。

民謡クルセイダーズ《メディア情報》12/19(木)NHK総合『NHKニュース おはよう日本』、12/28(土)NHK-FM『ウィークエンドサンシャイン ウィンター・スペシャル』

なんと! 民謡クルセイダーズがNHK総合『NHKニュース おはよう日本』で紹介されます! メンバーへのインタビューや、先日の東京キネマ倶楽部でのライブ映像も織り交ぜた特集になります。12月19日(木)放送です。民クルは7時台に登場する予定です。お見逃しなく!

《番組詳細》
NHK総合『NHKニュース おはよう日本』
2019年12月19日(木)4:30~7:45
https://www4.nhk.or.jp/ohayou/

そして! いつも大変お世話になっております。NHK-FM のピーター・バラカンさんの番組『ウィークエンドサンシャイン』の特番『ウィークエンドサンシャイン ウィンター・スペシャル』に民謡クルセイダーズの田中克海と meg が出演します! 先日の東京キネマ倶楽部でのライブ録音なども織り交ぜ、たっぷり80分、出演する予定です。12月28日(土)放送です。お聞き逃しなく!

《番組詳細》
NHK-FM『ウィークエンドサンシャイン ウィンター・スペシャル』
2019年12月28日(土)7:20~11:50
DJ:ピーター・バラカン
https://www4.nhk.or.jp/sunshine/

※らじる★らじるでもお聞きいただけます。

Klein - ele-king

 圧倒的だ。「個性」ということばは彼女の才能を言いあらわすためにこそ存在しているのではないかとさえ思ってしまう。混沌をそのまま秩序にしてしまったとでもいえばいいだろうか。計画性や構成力の類は2018年のEP「cc」でもある程度発揮されていたわけだけれど、ミュージカル『Care』のスコアを手がけた経験が反映されているのか、新たにみずからレーベルまで起ち上げてリリースすることになったこのアルバムで、クラインはかつてない洗練の域に達している。なんでも18ヶ月かけて制作されたそうなので、「いま作っているアルバムで、ほんとうの意味で“音楽”を作っている」という昨年の彼女の発言は、もしかしたら「cc」ではなく『Lifetime』のことを指していたのかもしれない。

 全体的にヴォーカルやピアノ、ドローンの使い方が格段に向上している。リスナーはまず、不穏なノイズが歌ならぬ歌を多層的に引き連れてくる冒頭“Lifetime”で息を呑むことになるだろう。これはある種の降霊術である。比較的ストレートなビートとミニマルなパーカッションが、やはり謎めいたヴォーカルを引きずりまわす先行シングル曲“Claim It”も、具体音のすばらしい活用を聴かせるノイズ・アンビエント調の“Listen And See As They Take”も、曲名とは裏腹にロウファイなパーカッションの乱打にはじまり、突如ピアノを挟みながら、まるで焚き火のごとき(あるいはクラックル・ノイズのような)具体音でおわる“Silent”も、はっきり言って非のうちどころがない。どこでどう知り合ったのか、ニューヨークの前衛派ジャズ・サキソフォニスト、マタナ・ロバーツを招いた“For What Worth”も、反復する声とピアノとサックスをじつに有機的に結びつけており、サウンド面で必然性のあるコラボに仕上がっている。ハーモニカでシンセを再現しているかのような“Enough Is Enough”も新鮮だし、“We Are Almost There”における揺りかごのような声の波は、夢のなかで過去の人びとと遭遇しているかのような不思議な感覚をもたらしてくれる。これはやはり、降霊術だろう。コラージュのしかたにわざとらしさがないのもポイントで、このアルバムでは実験がそのままポップ・ミュージックとして成立している。
 彼女がもともとクラシック音楽やゴスペルを聴いて育ってきたことは知っている。USのメジャーなR&Bを好んでいることも知っている。ムーア・マザーチーノ・アモービといった地下の友人たちから刺戟を受けていることも知っている。けれどもクラインの音楽は、たんなるそれらのミックスと解釈するにはあまりにも独創的にすぎ、しかもそれがこれほどの洗練を獲得してしまったのだから、もはや向かうところ敵なしというか、つくづく「個性」ということばは彼女の才能を言いあらわすためにこそ存在しているのではないかと、そう唸らずにはいられない。最終曲“Protect My Blood”で波打つオルガンの、なんとまあ美しいこと!

 この『Lifetime』は「日記を誰かにあげる」ような、きわめてパーソナルな作品だという。他方で本作はゴスペル歌手のジェイムズ・クリーヴランドや、かつてブラックの観客向けに制作されていた「人種映画(race film)」の先駆たるスペンサー・ウィリアムズに触発されてもおり(同名の作曲家もいるが、たぶんこっち)、「ブラックのディアスポリックな経験」がテーマになっている。彼女固有のものでありながら、彼女だけのものではない何かの召喚──やはり、降霊術である。ムーア・マザーの影響だろうか? 私的なことと社会的・歴史的なことが表裏一体になっている点においてはヤッタとも共振しているわけだけど、クラインの鳴らす音はもっと快楽の成分を多く含んでいて、いうなれば大衆への扉が開かれている。だからこそわたしたちは、それがなんなのかよくわからないまま、しかしどうしようもなく彼女の音楽に惹きつけられてしまうのだろう。

 おまけ。音楽のスタイルはまったく異なるけれど、パーソナルであるはずの本作に唯一参加を許されたゲスト、マタナ・ロバーツの新作『Coin Coin Chapter Four: Memphis』もすばらしいアルバムなので、ぜひそちらも聴いていただきたい(余力があればレヴューします)。

TOKYO DUB ATTACK 2019 - ele-king

 紙エレキング最新号、DUB特集やってます。特集のなかでfeatureした1人、1TA(Bim One Production)がシーンの重鎮たちと開催する〈TOKYO DUB ATTACK 2019〉を紹介します。サウンドシステム──という言葉をご存じかと思いますが、これほど「音楽ってカラダで聴くもんだよな~」と思わせる“場”もありません。サウンドシステムとは、元々はジャマイカの移動式ディスコのことですが、いまではその低音を最高に鳴らすための“場”であり、レゲエ/dubに酔いしれる贅沢な“場”として認知されています。音好きにはたまらない“場”です。気さくな連中による最高のサウンドシステムです。大推薦します!! ぜひ震えて下さい。

 2019年を締めくくる、国内サウンドシステム・ダンス大一番! 同じフロアのなかに3つのサウンドシステムを入れて交互に鳴らしあう、ゴマカシ効かないガチンコ・セッションが今年も開催!

 レゲエ(Reggae)において、もっともタフでハードコアな要素にサウンドシステムがある。DIYに設計された独自のスピーカーの山、規格外の低音、1ターンテーブルに置かれる破壊力抜群のダブプレート、シャワーのように降り注ぐダブワイズ……あくまでもオリジナルな音を追求し、その場でしか生まれ得ない究極のサウンド体験。それがサウンドシステムにおける“Dub”である。

 今回は、サウンドシステムダンスSteppars' delightでおなじみScorcher Hi Fi (STICKO & COJIE of Mighty Crown)と同じく東京ダブアタック・レジデントであるBim One Production + eastaudio Soundsystemに加え、日本ダブ、サウンドシステムカルチャーのパイオニアの1人、MIGHTY MASSAと東京が誇るリアル・ルーツ・サウンドのJah Light Soundsystemが一堂に会する。
 ピュアでタフ、そしてハートフルなスピーカーの鳴らし合い、日本におけるサウンドシステム・カルチャーのひとつの頂ここにあり!

2019年12月30日(月)

TOKYO DUB ATTACK 2019

3 Soundsystem Sessions by :
Mighty Massa meets Jah Light Soundsystem
SCORCHER Hi Fi with Sound System
Bim One Production feat. MC JA-GE, HAYAMI (ORESKABAND / Trombone) & ADD (ORESKABAND / T.Sax) with eastaudio Soundsystem

Vinyl Shops by
Disc Shop Zero

Food by
新宿ドゥースラー
Yaad Food

Coffee Stand by
KAWANO COFFEE STAND


OPEN : 16:00
START : 16:00
CHARGE :
Adv 2,900yen / Door 3,400yen
(共にドリンク代別)
※再入場不可
※小学生以上有料/未就学児童無料(保護者同伴の場合に限る)

前売りチケット>>一般販売 : 10/19 (SAT) on sale
ぴあ : 0570-02-9999 / P : 166-781
ローソン : 0570-084-003 / L : 72089
e+ : https://eplus.jp
Unit Web Ticket : https://unit-tokyo.zaiko.io
clubberia : https://clubberia.com/ja
Resident Advisor : https://jp.residentadvisor.net/

>>STORE
代官山UNIT 03-5459-8630
RAGGA CHINA 045-651-9018
diskunion 渋谷クラブミュージックショップ 03-3476-2627
diskunion 新宿クラブミュージックショップ 03-5919-2422
diskunion 下北沢クラブミュージックショップ 03-5738-2971
diskunion 吉祥寺 0422-20-8062
DISC SHOP ZERO 090-7412-5357 
Dub Store Record Mart 03-3364-5251
新宿ドゥースラー 03-3356-5674
OZAWA 03-3356-5674

*東京ダブアタックYoutubeチャンネルにて、インタビュー・シリーズ「TDA TALKS」公開中!
https://www.youtube.com/channel/UCgrS2GgP_lzdBFdk3wDJb1w/videos?view_as=subscriber


主催: Tokyo Dub Attack 協力: Bim One Production / Mighty Crown Entertainment / 代官山 UNIT

アイリッシュマン - ele-king

 CGIで若返ったロバート・デニーロがジョン・ウェインに見えて仕方なかった。ジョン・ウェインはジョン・フォードの『静かなる男』でアイルランド系アメリカ人を演じたが、『アイリッシュマン』も静かな映画だ。
 ニューヨーク生まれのイタリア移民らしいせっかちなトークで知られるマーティン・スコセッシの、しかもギャング映画を「静かな」と形容するのは妙かもしれない。セットから衣装までディテールは相変わらず饒舌ながら、『グッドフェローズ』で用いたヌーヴェル・ヴァーグの劇的な静止画像といった派手なけれんは影を潜め、画面を活気づけるポップ・ソングの使用も少なく得意な長回しのトラッキング撮影もさりげない。技巧は無駄のないカメラや構図の美しさ、ミディアム〜ロング・ショット群に自然に編み込まれている。その落ち着いたテンポはたぶん、デニーロの演じる老いたる主人公フランク・シーランによる回想という大枠設定ゆえだ。作品前半は1975年7月に彼が体験した、とある車旅を主軸に据えた一種のロード・ムーヴィー仕立て。高速道路を人生の川に見立て、おっとりしたナレーションが綴る旅路の中で過去のフラッシュバックとリアル・タイムが交錯する。

 第二次大戦復員兵シーランは、1950年代にトラック運転手として働いていたところを大物マフィア(ジョー・ペシ)に気に入られ雇われヒットマンになる。本作の真のタイトル「I Heard You Paint Houses(お前さんは家の塗装をやるそうだな)」なるフレーズは「家を(血で)塗装する業者」という、殺し屋を意味するギャングの符丁らしい。彼が汚れ仕事を続けるのに並行して、マフィアと全米労働組合と政界との癒着も描かれる。シーランは労組のカリスマティックなリーダー:ジミー・ホッファ(アル・パチーノ)――1975年に行方不明になった――の側近に推薦され、マフィアとホッファのパイプ役になっていく。エルロイの『アンダーグラウンドUSA』三部作ともやや被る世界だし、キューバ危機、ケネディ暗殺等の史実も部分的に関与するとはいえ基本的にシーランの人生談だ(ちなみに原作本はその内容の真偽を疑われており、この映画に「実話に基づいた作品」のテロップは流れない)。これら様々に枝分かれした回想と複雑な人間関係が1975年の運命的なロード・トリップに合流する様は、スコセッシの熟練した手腕の見せどころ。だがその旅路の最後に待っていた悲劇が起きた後で、『アイリッシュマン』はエモーショナルなギアをぐいっと上げる。3時間半の大作だが、このラスト約1時間のためにその前の2時間半が存在したと言っても過言ではない。
 シーランは決して仲間を密告しない、命令に従い何でもやる行動力ある「兵士」だ。忠実で寡黙な、犬のような男である彼が重ねる犯罪の描写もストイックかつロジカル、「仕事」に徹している。彼はふたつの組織のトップに全幅の信頼を置かれ一種の父子/師弟関係を結ぶのだが、騎士はふたりの王に仕えることはできない。ゆえにある大きな決断を迫られることになるのだが、その果てに彼が得たものは何だったのか? 
 最後の1時間はいわば後日談に当たり、作品冒頭に登場した老人ホーム暮らしのシーランに焦点が絞られる。刑務所服役、ギャング仲間の末路や妻の死……といった事実を淡々と積み重ねていく、ドラマも少なくもっとも地味なパートだ。しかしFBIにも無言を通し続ける彼の孤独な姿は、取り返しのつかない決断の末に多くを失った後悔と恥を自覚しつつ、それを自らの選んだ道として受け入れる悲しさに満ちている。『グッドフェローズ』の主人公ヘンリー・ヒルは、ギャングなライフスタイルを満喫したもののその稼業と常に背中合わせの死に怯え、司法側に仲間を売り飛ばして我が身を救う。忠犬シーランとは対照的な「生き残り術」だが、映画のフィナーレにはシド・ヴィシャス版“マイ・ウェイ”の「でも、俺は俺のやり方で生きた」が爆音で響く。その若さゆえのブラフに対し、『アイリッシュマン』はドゥーワップ・ソングの黄昏れた哀感で締めくくられる。

 『ミーン・ストリート』、『グッドフェローズ』、『カジノ』の三部作に『ギャング・オブ・ニューヨーク』、リメイクではあるものの組織犯罪と警察の抗争が軸である『ディパーテッド』まで含めれば、本作は実にスコセッシ6作目のギャング映画。つい「またか」と思ったし、観る前に「You can’t teach old dogs new tricks(老犬に新しい技は仕込めない)」の文句が頭を過りもした――加齢で肉体が衰えるように老いると頭も硬化し凝り固まるという言い回しだが、スコセッシはさすがに柔軟だ。作品世界は彼のホーム・グラウンドだし、キャストもデニーロ、引退生活から引っ張り出したジョー・ペシ、カメオ的にハーヴェイ・カイテルと定番がずらり。パチーノのスコセッシ作品初出演は話題だが、コッポラ経由で『ミーン・ストリート』出演を打診したものの断られて以来、スコセッシはずっと彼と仕事しようとしてきた。脇を固めるのは製作アーウィン・ウィンクラー、編集テルマ・スクーンメイカーの『レイジング・ブル』以来のゴールデン・スタッフ、音楽もロビー・ロバートソンだ。さながら「ベスト・オブ・スコセッシ」の趣きだが、背景では新たな試みがおこなわれている。
 スパンの長い物語だけに現在70代後半の主役3名が若き日を演じる――デニーロに至っては20代の場面もある――のは難しいと思われていた。しかしCGI若返りテクの大々的な導入で、同じ役者がどの年齢も演じるのが可能になった。『アイリッシュマン』の構想が始まった15年前、これは技術的に難しかったはずだ。またボブ・ディランのモッキュメンタリーに続き、スコセッシは再びネットフリックスと組んでいる。その代わり劇場公開から3週間後にストリーミング開始という条件を飲まざるを得ず、アメリカの一部映画館チェーンに上映拒否されたのは生粋のシネアストである彼にはつらかったと思う。だが、スーパーヒーロー映画や人気フランチャイズで混み合う劇場スケジュールの中で、作家性のある大予算映画が「観たければ劇場まで足を運べ」を押し通すのには限界がある――その贅沢が可能なのは今やクエンティン・タランティーノ、クリストファー・ノーランくらいだ。 
 一方でテレビのクオリティが上がり、ドラマを「1本の長い映画」と捉える風潮も生まれた。原案・制作等でテレビ界ともリンクしてきたスコセッシは、これら鑑賞スタイルの変化も鑑みた上で①劇場映画としても許容される、しかし②テレビの「前編・後編」感覚で観ることも可能なこのスタイルに挑んだのではないかと思う。3時間以上の映画を劇場で観るのには少々覚悟がいるし、お恥ずかしい話、1回目に『アイリッシュマン』を観た時は前半まで観て寝てしまった(笑)。筆者のように根性のないヴューワーも受け入れてくれる、一時停止できる選択肢のあるネットフリックス経由はありがたかった。
 作りたい映画、やりたいストーリーテリングを、時代に則したフォーマットとテクニックで具体化していくこと――この意味で、『アイリッシュマン』に『ツインピークス The Return』を思い返さずにいられなかった。25年ぶりにキャストや常連が結集し、彼の多面的な作家性を凝縮したあの作品も「デイヴィッド・リンチ総集編」の感があったが、連ドラの長尺フォーマットを活かした全18(!)という大絵巻の中に多彩な撮影/編集技法、サウンド・デザイン、衝撃的にシュールなぶっ飛びシークエンスを盛り込んだダイナミックな作りは、リンチ特有な世界観を現在に構築し直していてあっぱれ。ギャング映画という定番ジャンルを映画話法と新技術のミックスで前に押し進めた『アイリッシュマン』でスコセッシがやったことも、それに近い。そこにはもちろん両作品が時間と老い、死を扱っている側面がある。他界した役者やスタッフへの献辞がほぼ毎エピソードで流れた『ツインピークス』は、名優ハリー・ディーン・スタントンの遺作のひとつになった。『アイリッシュマン』にはスコセッシのオルター・エゴを様々な段階で演じてきた役者(カイテル、デニーロ、ペシ)が揃ったものの、3者が1本の作品で顔を合わせるのはおそらくこれが最後だろう。
 言い換えれば、彼らは「残された時間」を自覚して創作を続けるクリエイターということだ。スコセッシとリンチ双方の映画に出演した役者のひとりにデイヴィッド・ボウイがいるが、彼も『ネクスト・デイ』および『』で自らの終幕を鮮やかに引いてみせたものだった。コンスタントに大作を送り出しているアメリカン・ニュー・シネマ世代はスピルバーグとスコセッシくらいになってしまったが、時代に応じてしなやかに変化し生き残ってきた老犬の智慧と力量、衰えぬクリエイティヴィティに満ちた本作には脱帽させられたし、スコセッシは既に次回作の準備に取りかかっている。「OK, Boomer」とバカにしてシャットダウンしてしまうのではなく、がっちり受け止め吸収して欲しい。

『アイリッシュマン』予告編

interview with TNGHT (Hudson Mohawke & Lunice) - ele-king

 チョップされた音声とハンドクラップのループに導かれ、大胆不敵なホーンが飛びこんでくる。2012年にグラスゴーの〈LuckyMe〉と〈Warp〉から共同でリリースされた「TNGHT」は、トラップやジュークを独自に再解釈することで10年代初頭におけるポップ・ミュージックの最高の瞬間をマークした……とまで言ってしまうと褒めすぎだろうか。とりわけ同EPに収められた“Higher Ground”は強烈なインパクトを残し、トゥナイトを形成するルニスハドソン・モホークのふたりは大いに称賛を浴びることとなる。彼らの音楽にはフライング・ロータスのみならずカニエ・ウェストまでもが関心を示し、翌年ふたりは『Yeezus』に招かれることになるわけだけれど、スターへの階段をのぼりつめるまさにその絶好のタイミングで、突如トゥナイトは活動を停止してしまう。ビッグになりすぎると自由に音楽をつくれなくなってしまうから──どうもそういう理由だったらしい。EDMにたいする警戒もあったのだろうか。

 その後ソロとして着実にキャリアを重ねてきたふたりだけれど、ふたたび彼らがトゥナイトの新作にとりかかっていると報じられたのが2017年の6月。それから2年あまりのときを経て、ついにセカンドEP「II」がリリースされた(日本では「TNGHT」と「II」の全曲を収めた独自企画盤CDが発売)。変則的な拍子にクレイジーな犬の鳴き声がかぶさる“Serpent”を筆頭に、キャッチーな旋律がレゲトンのリズムのうえをまるで盆踊りのように舞い遊ぶ“First Body”、低音少なめの空間のなかでおなじく奇妙な旋律がくねくねと這いまわる“What_it_is”など、どの曲もこれまでの彼らの個性を引き継ぎながら、新たな切り口で素っ頓狂なサウンドを楽しませてくれる。モジュラーの音色を活かした異色の“Gimme Summn”なんかは快楽と居心地の悪さの両方を味わわせてくれ、もうやみつきである。
 彼らはなぜいまトゥナイトを復活させることにしたのか? その野心やアティテュードについて、ルニスとハドソン・モホークの両名が語ってくれた。


俺たちのアーティストとしてのゴールは、大きくなりすぎないことなんだよね。ビッグな存在になりすぎて、逆に自分を縛ってしまわないこと。知名度や観客の数が一定の規模に達すると、逆にできることが少なくなってしまう場合があるんだ。(ハドソン・モホーク)

まずは2008年にふたりが出会った経緯と、互いの第一印象を教えてください。〈LuckyMe〉の北米ツアーの際に出会ったのですよね?

ルニス(Lunice、以下L):そうだね。2008年にモントリオールで一緒にライヴをやったのが最初だった。ただ、その前にたしかスコットランドのグラスゴーでライヴをやった記憶があるけど。前からフェスでいつも顔を合わせる仲で、互いが住んでる街にも行ったりして。

ハドソン・モホーク(Hudson Mohawke、以下HM):きっかけはマイスペースだろ。

L:そういえばそうだ(笑)。僕がほかの〈LuckyMe〉のクルーとつながったのってマイスペースだ! SNSでつながって、いまに至る、だね。

なるほど。その後トゥナイトがデビューしたのは2012年です。なぜそのタイミングで? また、なぜ〈LuckyMe〉のほかの組み合わせではなく、このふたりでユニットを組むことになったのですか?

HM&L:とくに理由はないね。

HM:計画してはじめたようなものじゃないんだ。

L:最初に1回だけ、打ち合わせみたいなのはしたけどね。それから2年半ぐらいは何もしなかった。このプロジェクトがストレスになるのはいやだったし、無理に頑張ることもしたくなかったからね。自然に起こるのを待ってた。で、ロンドンにいたときだったんだけど、君が当時やってたトラックのプレミックスが終わって、僕はそのトラックを聴かせてもらってて、「ふたりでなんかやる? 手が空いたし」って話になったんだよね。

HM:そうそう。

L:それがはじまりだった。

HM:俺は、それまでほかのプロデューサーと組んでうまくいったことがなかったんだよね。誰かと一緒にやるのは難しいもんだなと思ってた。でもルニスと組んだら、全部がうまくいったんだよ。互いのやり方でやってるんだけど、相性がいいというかね。

トゥナイトは2013年にすぐ活動を休止してしまいましたが、その理由はなんだったのでしょう? 同年カニエ・ウェスト『Yeezus』の“Blood On The Leaves”に参加したことは、関係がありますか?

L:外的なことが理由だったというよりは、このプロジェクトじたいが理由になっているんだ。トゥナイトをはじめてから、物事が早く進みすぎたんだね。僕たちはふたりとも、徐々に、長い時間をかけて物事を進めていきたいタイプのアーティストなんだ。インスタントに、バズるだけみたいな音楽をつくるのは好きじゃない。まずは自分たちのためにつくりたいと思ってるからね。そうすれば、しばらくは残る音楽がつくれるんじゃないかな。それで当時は、オーディエンスの僕たちへの目線の向け方が僕たちが意図しているものとはズレてきていた。このプロジェクトのブランディングやディレクションという観点から考えた上で、少し距離を置く必要があると判断したんだ。

HM:正直に言って、似たような音楽がたくさん出てきて、俺たちの音楽が唯一無二のもののように感じられなくなると思った。人気が出てくると、どのシーンのアーティストにもおなじようなことが起こるものなんだ。まわりの期待が、つくりだされる音楽を他と似たようなものにしてしまう。俺らはそんなことは絶対にしたくなかったし、一辺倒な音楽しかつくれないループにいったん囚われたら、それがそのアーティストの賞味期限だ。

L:それはほんとに言えてる。

HM:クリエイティヴでい続けられるような環境に自分を置く努力をする必要がある。おなじ音楽ばかりつくっているんじゃなくてね。俺たちはあのとき、自由を得るためにトゥナイトから距離を置いた。オーディエンスの新しいリアクションを得るため、新しい実験をするためにね。ファースト・アルバムを出したあと、それができなくなると感じたんだ。おなじものを求められている気がして。それで、ちょっと時間を置くことにした。

L:競争率の高い世界だからね。みんなが1番になろうとする(笑)。でも僕らはそんなゲームは望んでない。本能的に、自分たちが楽しくいられる音楽をつくりたいだけなんだ。僕らのアルバムを聴いた人は、スタジオで楽しくやってる姿が見えるって言ってくれる。実際にそうなんだ。

では、今回トゥナイトを再開することにしたのはなぜ?

L:とくに理由はないよ。自然と「いまだな」っていうことで、そうなった。2017年だったはずだけど、ロス(・バーチャード、ハドソン・モホークの本名)がモントリオールのフェスでヘッドライナーをやったときに、ステージでコラボして“Higher Ground”をやらないかって誘ってくれて。オーディエンスがトゥナイトをステージで観るのは、それが5年ぶりになったね。あれはいいサプライズになったし、めちゃくちゃ楽しかった。でも当時は、トゥナイトの活動を再開するとまでは考えてなかった。そのステージのあとは、またそれぞれの活動に戻るつもりでいた。それで、2018年になってから彼がメールで「LAにいるからなんか楽しいものつくろうよ」って言ってきて。LAの日差しに当たって、綺麗な木に囲まれて、最高な環境で音楽をつくれるっていいよね。

HM:(笑)。

L:計画してたわけではなくて、ノリだよね(笑)。朝起きたらプールに入って。あーもう、ほんとうに最高だよ(笑)。ストレスフルな環境で制作するのとは大ちがいだ。

HM:ほんとに、フィーリングだったね。「音楽つくろう」、「いいよ」っていう。フィーリングが合わなければやる必要はない。楽しいっていう感情がいちばん大事。まわりに戻ってきてほしいって言われても、こっちがその気じゃなきゃね。俺たちが、楽しい、また新鮮な気分になった、って思ったのがあのタイミングだった。

お互いものすごくテンションが高くなっていて、「いまだ、いま全部やろう」って感じでどんどん進めていった。そしたら、犬が吠えはじめたんだ。スタジオの隣の家の犬がね。それもおもしろくて。その場で起こるものをそのままレコーディングに収めた。(ルニス)

“Higher Ground”のヒットは当時あなたたちに何をもたらしましたか?

L:驚き。ものすごい驚きだね(笑)。

HM:そのとおり。

L:聴く人に何が刺さるかって、つくる側では図れないものだなって痛感した。だからこそ、自分たちがやりたいこと、本能に従うことがいちばん大事なんだってわかったよね。何をつくったとしても、聴く側が気に入れば万歳、気に入らなければ残念、ただそれだけ。彼ら次第なんだ。それで、“Higher Ground”にかんしてはそれが顕著にあらわれた例だった(笑)。方程式なんてないんだなって思い知ったね。

HM:聴く人に何が響くかって、ほんとうに予想できない。“Higher Ground”をつくってる最中もつくったあとも、「これ売れる!」とかぜんぜん思わなかったからね。こっちでは予測できないんだ。だから、当たったときはマジで最高の気分になるんだよね。前もって「はい、これは当たります」って思って曲を出すわけじゃないからさ(笑)。たまにそういう曲ができる。で、結果的に当たったときはすごく嬉しい。

L:あの曲のおかげで、やっぱり自分たちの本能に従うのは大事なんだなって再確認したよ。

以前『RA』で〈LuckyMe〉の特集が組まれたときに、〈LuckyMe〉は「ビッグになりすぎずに成長すること」を心がけている、というような内容を読みました。それは現在でもそうなのでしょうか? だとしたら、その理由は?

L:それがまさに、トゥナイトが活動休止した理由だからね。ことが大きくなりすぎると、たいていの場合は結果的に、音楽のつくり方とか自分たちのプレゼンテイションがインスタントなものになってしまうと思うんだ。そのペースに、自分じしんがついていけなくなる。ちょうどいい規模の環境で制作ができれば、自由でありつづけられるし、余計なことを考えすぎず、自分たちが楽しめる状態のままで音楽をつくりつづけられる。それが、クリエイティヴでありつづけて、つくりだすものを生の状態でキープする秘訣だと思う。

HM:俺たちのアーティストとしてのゴールは、大きくなりすぎないことなんだよね。ビッグな存在になりすぎて、逆に自分を縛ってしまわないこと。俺らよりも断然、商業的に成功してる友だちもたくさんいるけど、「おなじようなものはもうつくりたくないのに」って現状を嘆いてたりする。知名度や観客の数が一定の規模に達すると、逆にできることが少なくなってしまう場合があるんだ。だから、ものすごく有名になったり経済的にものすごく成功したりすると、それまでのクリエイティヴの自由度が得られなくなってしまう。だから、俺たちが言う「ビッグになりすぎない」っていうのは、自分のクリエイティヴの自由度を守るっていう意味なんだよね。

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誰かの作品を観たり聴いたりするとき、そのアーティストがつくったものだってわかるものがいい。俺はそこで、そのアーティストのクリエイティヴィティを判断する。自分のパーソナリティをどれだけ注ぎ込めるか。(ハドソン・モホーク)

あなたたちにとってトゥナイトのプロジェクトは、それぞれのソロとどのようなちがいがありますか?

L:僕のほうは、ソロ活動のほうではより自分自身にフォーカスして、ものすごく細かいところまで気にかけながら音楽をつくっている。トゥナイトのほうはそれとはちがって、自分の持っている情報はもちろん活かすけど、あえて細かいことを気にしすぎず、あまり深いところまでいきすぎないようにしている。誰かと仕事をしていく場合は、その場の衝動だったりケミストリーを活かす、というのがこれまでで僕が学んだことだね。ソロのほうは瞑想みたいな、自分と向き合うものだから。だから、できたものは精巧なものになる。

HM:たしかに。ソロのほうは自分のクリエイティヴの限界を探る感じだよね。トゥナイトだとものすごいシンプルな感じで、考えすぎず、直感のほうが先立ってる。それは、最初から頭に置いてたことだね。ソロは自分の深いとこまでいくんだけど、トゥナイトはもっと動物的。

L:最初のほうでもおなじようなことを言ったけど、トゥナイトでは自分を出すというよりは、もっとダイナミックに音楽をつくってるんだよね。ソロとトゥナイトとのそのちがいは気に入ってる。いいバランスがとれてるよ。

制作はどのようなステップで進められるのでしょう? 役割分担があったり、あるいはどちらかに主導権があったりするのでしょうか?

L:僕がまずメロディを考えて、彼にそれを聴かせて、いろんな楽器を加えていくっていう流れが多いね。オンラインでのやりとりはしないようにしてるんだ。必ずじっさいに会って作業する。その場で最初のメロディに肉づけしていく。たとえばアルバム(『II』)の1曲目の“Serpent”は最初に完成した曲だったんだけど、全部がその場のアドリブで進んでいった。お互いものすごくテンションが高くなっていて、ロスも「いまだ、いま全部やろう」って感じでどんどん進めていった。レコーディングさえも、その場のその勢いで休みなしでやったんだ。ビートを回してるそのままの状態で録音をクリックして、レコーディングをはじめた。そしたら、犬が吠えはじめたんだ。スタジオの隣の家の犬がね。で、その声が入ったから僕は笑ってしまったんだ。でもそれもおもしろくて、その音はそのままにしている。そんな感じで、その場で起こるものをそのままレコーディングに収めた。

HM:プロセスは毎回ちがうけど、おもしろいのが、俺たちが曲をつくってると頻繁に変なアクシデントが起こるんだよね。予想もしてなかったことが起こる。で、それがうまい具合にゾーンに入ってくれる。これとこれを組み合わせるとか思ってもみなかった、とか、こんな音になると思ってなかった、とか、いい驚きがいっぱいある。クソ、このアイディア最高じゃん、みたいなのが突然降りてくる。まだ3曲しかつくってないのに、アルバム1枚よりもインパクトを感じられるものになったりする。勝手にね。そのゾーンに入る感じをいちばん大事にしてる。

“First Body”や“What_it_is”のような、ストレンジかつキャッチーなメロディと強烈なビートとの同居がトゥナイトの真骨頂だと思うのですが、自分たちではトゥナイトの最大の魅力あるいは武器はなんだと思っていますか?

HM:武器ねえ。マシンガンかな(笑)。

L:なんだろうね。愛かな(笑)。

HM:その答え最高じゃん。魅力っていうと、俺たちはなかなかいいからだしてるからね(笑)。

L:でもほんとうに、ふたりの仲の良さみたいなのは役立ってるとは思うな。まじめな話、彼が無意識に持っている音楽にたいする向き合い方がもともと好きで、僕も彼のようなスタンスでいきたいと思わせてくれる。トゥナイトのプロジェクトをはじめたのも、意識をせずにハドソン・モホークの音楽ができあがっていくのをはたから見ていて、彼が彼らしい音楽をつくっていたからなんだ。自分らしい音楽をつくることって、じつはかなり難しいからね。そこがロスのいちばん好きなところなんだ。

HM:それは俺もルニスにたいして思ってる。俺らが大事にしてることだしね。誰かの作品を観たり聴いたりするとき、どんな類のアートだとしても、そのアーティストの過去の作品と作風がちがったとしても、そのアーティストがつくったものだってわかるものがいい。誰かが演奏してたとしても、「これはルニスがつくった曲だな」ってわかるもの。俺はそこで、そのアーティストのクリエイティヴィティを判断する。自分のパーソナリティをどれだけ注ぎ込めるか。

L:僕らは、互いをひとりのアーティストとして認め合っているし、その距離感をあえてつくってる。ひとつのユニットみたいになりすぎると、変だからね(笑)。おなじようなものしかつくれなくなってしまうと思うし、なんていうか、ボーイズ・バンドみたいなノリにはなりたくないからね(笑)。だから、個のアーティストがふたりで音楽をつくっているプロジェクトであるということはつねに意識している。それで、トゥナイトという名前にしているんだ。バンド名というよりは、イヴェント名みたいな響きだからね。

ボーイズ・バンドみたいなノリにはなりたくないからね(笑)。個のアーティストがふたりで音楽をつくっているプロジェクトであるということはつねに意識している。それで、トゥナイトという名前にしているんだ。イヴェント名みたいな響きだからね。(ルニス)

あなたたちの音楽は、スマホやノートPCのショボいスピーカーから鳴らされたときでもしっかりとインパクトが残るように設計されているように感じます。それは意図していますか?

L:わかるでしょ(笑)。意図してるかっていうと、100%意図してる(笑)。悪いスピーカーほど良い。最初は良い音響を使っていた時期もあったよ。思えば、これにかんしてもロスって素晴らしいなと思うんだよ。ロスのミキシングのスタイルはほんとに狂ってる。すごくふつうのやり方で、カシオのキーボードとか、ラップトップとか、アイフォーンとか、そこらへんにある何を使っても自分の音楽をつくれるんだよ。だから僕も、高い安い関係なく、どんな機材を使っても音楽をつくれるようにしている。

トゥナイトのふたりは、ユーチューブやサウンドクラウド直撃世代という印象があります。インターネットやSNSについてはどうお考えですか? たとえば90年代であれば、インターネットは人びとに夢をもたらすもの、いろいろなことを可能にしてくれるポジティヴなものだったのではないかと想像するのですが、今日のインターネットは、人びとにむしろ悪夢をもたらすもの、人間関係をぎくしゃくさせたり、知らないうちに大企業に情報を握られたり、さまざまな弊害を生むネガティヴなもののように見えます。

L:僕らはマイスペース世代だから、SNSとの最初の付き合いはマイスペースだったけど、その後ツイッターが出てきて、インスタグラムが出てきた。僕はいま両方使っているけど、写真もやるからインスタグラムのほうをよく使っている。自分でつくった動画を投稿したりね。でも、SNSはクレイジーだから、没頭しすぎないようには気をつけてる。

通訳:90年代とはちがって、ネガティヴな方向に偏ってきているのも事実ですよね。

HM:まえから思ってたけど、フェイスブックにしてもツイッターにしてもインスタグラムにしても、みんなクソみたいなことばっか言ってるだろ。それはずっと思ってた。ただ、その考えがこのアルバムを出してちょっと変わったんだよね。自分が心の底からほんとに良いと思ってるクリエイションをSNSで発表すれば、みんなサポートしてくれる。誰しも、本能的には誰かを支持したいと思ってるもんなのかなってね。クソみたいなことばっか言い続けたいって、本気で思ってるわけないからね。最低なこと言ってくるやつもいるけど、全員がそうじゃない。

L:優しい人もたくさんいるね。

HM:そう、優しい人もいるし、本気でエキサイトしてくれる人もいる。それに気づいたのは、自分でもおもしろかった。SNSなんてまじでクソだろって、本気でずっと思ってたから。

Matsuo Ohno × Merzbow × duenn × Nyantora - ele-king

 これはすごいことになりそうだ。近年積極的にコラボレイトを重ねてきたメルツバウduennニャントラナカコー)の3者からなるユニット 3RENSA が、年明け後の1月18日になんと、『鉄腕アトム』の音響制作にかかわったことで知られるレジェンド、大野松雄(紙エレ2号にインタヴュー掲載)と公開ライヴ・レコーディングを決行する。写真家の金村修も映像担当として参加。一堂はすでに今年の2月に共演を果たしているけれども、今回はそのときのパフォーマンスをアップデイトするかたちになるとのこと。チケットなど詳細は下記より。

テレビ・アニメ《鉄腕アトム》の音楽の生みの親として知られる伝説的な音響デザイナー大野松雄と Merzbow, duenn, Nyantora(ナカコー)からなる、エクスペリメンタルユニット 3RENSA の公開ライブレコーディングが決定!!

Nyantora と duenn によるサウンドプログラム「Hardcore Ambience」。今回、テレビ・アニメ《鉄腕アトム》の音楽の生みの親として知られる伝説的な音響デザイナー大野松雄と Merzbow, duenn, Nyantora から成るクスペリメンタルユニット 3RENSA の公開ライブレコーディング “HARDCORE AMBIENCE presents 大野松雄×3RENASA_ Space Echo_Public recording” が2020年1月18日開催する事が決定した。

2019年には、第11回恵比寿映像祭のスペシャルプログラム『Anotherworld』として、写真家金村修とともにスペシャルライブを開催し、チケットが完売した事も記憶にあたらしい。今回はその時のパフォーマンスを更にアップデートする形で、“HARDCORE AMBIENCE presents 大野松雄×3RENASA_ Space Echo_Public recording” と題し、大野松雄、3RENSA の音源をパッケージングする事を目的とした公開ライブレコーディングとなる。そして、今回会場に選んだ KIWA はサウンドデザイナー金森祥之氏がプロデュースする、RoomMatch DeltaQ スピーカーを中心とする機材や、壁などこだわり抜いたライブハウス。インストゥルメンタルでも楽器をナチュラルに出せるのが特徴とのこと。さらに、映像には写真家の金村修の参加が決定していて、極上の視聴覚体験を堪能してほしい。

チケットは、2019年12月13日20時~予約開始となる。

[ライブ詳細]

「HARDCORE AMBIENCE presents 大野松雄×3RENASA_ Space Echo_Public recording」

【公演日程】 2020年1月18日(土)
【開場時間 / 開演時間】 13:00 / 13:30
【チケット料金】 前売り:¥4000 当日:¥4500 (共に1ドリンク代・要)
【会場】KIWA TENNOZ
    東京都品川区東品川2-1-3
    TEL: 03-6433-1485 FAX: 03-6433-1486
【出演者名】
大野松雄 with 由良泰人
3RENSA (Merzbow, duenn, Nyantora)
映像: 金村修 (support by CASIO)
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【チケット予約】KIWA チケット予約 専用URL https://www.oasis-kiwa.com/schedule/view/604
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