「Nothing」と一致するもの

#2 DJ Krush & Prefuse 73 @KOKO - ele-king

 去る10月16日(土)、SOUNDCRASH presents 〈DJ Krush & Prefuse 73@KOKO〉にて、両ヘッドライナーのサポートを務めさせてもらいました。

 トップバッターとして登場したのは、DMCチーム部門の決勝戦に出演するために日本から訪英していた、YASA & HI-CによるKIREEK。バトルDJとして、世界中のヘッズから支持される彼らですが、当日はそのスキルを無理に見せつけることなく、ゆっくりと、しかし確実に、温まりはじめたばかりだったフロアの温度を上げていき、彼らが単なるバトルDJではなく、ミックスを中心としたオーソドックスなパフォーマンスでも力を発揮できることを、集まったオーディエンスの前で証明しているようでした。また、彼らは翌日に同会場で開催された〈DMC黴€Team World Championship 2010〉にて、再度世界チャンピオンの座の防衛に成功し、フランスのC2Cが持つ記録と並ぶ、4連覇を達成しました。

 続いて登場したのは、The Cinematic OrchestraのギタリストであるStuart McCallum。当日は同じくThe Cinematic Orchestraで活動するドラマーのLuke Flowersと、シンガーHeidi Vogelによるトリオ編成として出演。その技術とたしかなセンスに裏打ちされたジャジーかつパワフルなパフォーマンスは、当日のラインナップの中で異彩を放ちつつも、ほろ酔いのオーディンエンスを大いに湧かせていました。


アンカーソングのライヴ風景。

 ちょうど日付の変わった深夜0時に、僕は3番手として出演させてもらいました。冒頭の2曲をソロとして演奏した後、弦楽四重奏をステージに迎え入れ、新曲の"Ornaments""と"Plum Rain"を含む、合計6曲を演奏しました。前者はダブステップのビートを、後者はUKガラージの要素を取り入れ、どちらも自分なりに新しいことにチャレンジした楽曲で、フロアの反応に多少の不安もありましたが、蓋を開けてみれば、どちらも好意的に受け止めてもらえたようでした。宮殿のような造りをした会場の〈KOKO〉は天井が非常に高く、場合によっては弦楽器の音が分離し過ぎて、一体感のないものになってしまうこともあるのですが、すでにフロアを埋め尽くしていたオーディエンスの熱意あるレスポンスを目の当たりにして、胸を撫で下ろすとともに、後に控えるふたりのヘッドライナーにうまくバトンタッチできたことを、とても嬉しく思いました。


いまだ根強い人気のあるPrefuse 73

 ヘッドライナーとして先陣を切ったのはPrefuse 73。普段はドラマーやターンテーブリスト等をゲストに迎えて、バンドとして演奏することが多い彼ですが、当日はラップトップとMPC1000を中心とした、ややチルアウト気味のソロセットを披露していました。エレクトロニカ/ヒップホップのシーンの中心人物として数多くの作品を発表し、確固たる地位を築いている彼の曲群は、ただモダンなだけでなく、音楽的な深みに満ちていて、自身の音楽に対する深い愛情が現れているように思えます。集まったオーディエンスも、広く知られた『One Word黴€Extinguisher』などの作品からの楽曲のみならず、未発表だと思われるものに対しても、ゆっくりと身体を動かし、そしてじっくりと耳を傾けているようでした。完成したばかりだという、女性ヴォーカリストたちとのコラボレーション作品となるニュー・アルバムへの期待を、大いに膨らませてくれるセットでした。


DJ Krushへのリスペクトは変わらない

 そして当日のトリを飾ったのはもちろんDJ Krush。フロアの温度も最高潮に達し、彼の登場にフロアからは大きな歓声が沸き起こって、彼の名を世界に轟かせる発信地となったここロンドンで、いまでも変わらず多くのファンが彼を待っているということを、改めて目の当たりにしました。
 当日は来年発表予定だという新作からの楽曲と、過去のクラシックを織り交ぜたセットを披露して、フロアのオーディエンスの期待にがっちりと応えているようでした。ロンドンのダンス・ミュージックのシーンは非常にサイクルが早く、新しいもの好きというイメージが強くありますが、そのいっぽうで彼の楽曲のような、風化してしまうことのないタフさを備えた音楽に対する理解と情熱も、この街のオーディエンスには、たしかに備わっているように思えます。またステージ脇には、そのパフォーマンスをまじまじと見つめるPrefuse 73の姿がありました。DJ Krushとの競演は初めてだったそうで、いち音楽ファンとして彼のパフォーマンスを堪能しているようで、その演奏を終えたときに、フロアのオーディエンスとと同様に、惜しみない拍手を送り続けていました。
 すべてのミュージシャンにとって、自分の尊敬するアーティストと競演することほどエキサイティングなことはないのだと、改めて思い出すことができた一夜でした。


Mark McGuire - ele-king

 少々面食らうほど、感傷的でノスタルジックな作品。オハイオ州クリーヴランドの3人組、エメラルズのギタリスト、マーク・マッガイア、今年は2007年にカセットテープで発表した『タイディングス』と2008年に同じくカセットテープで発表した『エメスィスト・ウェイヴ』のカップリングが〈ワイヤード・フォレスト〉から『タイディングス/エメスィスト・ウェイヴ』としてアナログ盤とCDで再発されている。つい先日は2008年のカセットテープ作品『オフ・イン・ザ・ディスタンス』もアナログ盤として再発され、それが日本では瞬く間に完売、そして〈エディション・メーゴ〉から待望の新録によるアルバムが本作『リヴィング・ウィズ・ユアセルフ』となる。こちらも最初のアナログ盤は即売で、僕も手に入れるのにそれなりに労をとっている。エメラルズ(およびOPN)は、欧米のメディアではこの1年あまりでけっこうな評価を受けているが、日本での人気も大したもののようだ。
 
 誰の耳にも明らかなように、マーク・マッガイアの音楽の根幹にあるのはマニュエル・ゲッチングである。ゲッチング以外の影響に関しては、本人の弁に寄ればクラフトワークと初期から中期にかけてのポポル・ヴーだというが、クラウトロックからの多大なインスピレーションは何よりも彼の音楽そのものが雄弁に物語っている。彼らの大量のカセットテープやCDRによる超限定リリースも、初期のクラスターのようなワイルドな即興性に重点を置いているがゆえに可能なのだろう。ちなみに彼らがカセットテープというレトロなメディアを使う理由は、CDよりも温かいその音質ゆえである。そういう意味で彼らは、いまふたたび音楽メディアのあり方を問うている若い世代の代表でもある。
 
 『タイディングス/エメスィスト・ウェイヴ』のテーマが題名通りの「海」であったように、マッガイアは彼の新作にも幼少期から思春期までの思い出と家族という明確なテーマを与えている。インナースリーヴには彼の育った家の写真があり、スリーヴには彼の思い出の写真がコラージュされている。つまりアルバムはきわめて個人的な自叙伝である。
 家族のざわめきが聞こえ、アコースティック・ギターの素朴なストロークがゆっくりと重なり、やがてノイズとともにフラッシュバックがはじまる。1曲目の"記憶の広大な構築物(The Vast Structure of Recollection)"は、そしてマッガイアの十八番とも言えるミニマリズムの煌めきへと展開する。よりメロウな2曲目の"アラウンド・ジ・オールド・ネイバーフッド"は多くの人がアプローチしやすい曲のひとつで、続く"クロウズ・ローリング・イン"~"ブレイン・ストーム"同様にゲッチング・チルドレンとしてのマッガイアの特徴がよく出ている。ギターの反復のうえにいくつかのギターが階層化され、そして絡み合い、いわばコズミック・ミュージックとしての華麗なテペストリーを編んでいく......というわけだ。B面の1曲目"トゥ・ディフレント・ピープル"から3曲目の"クリア・ザ・コブウェブス"まではアルバムでもっとも美しい瞬間が用意されている。記憶のなかを彷徨いながら、自分にはまだこの音楽をうまく語る言葉がないことに気がつかされる。
 最後の曲"ブラザーズ"でもまた、家族の会話が挿入される。父親か叔父らしき人物が息子にガールフレンドについて警告している(こうした会話は、歌詞カードとしてインナーに印刷されている)。そしてこの曲は、アルバムのなかで唯一ドラムの入っている曲としてノイズ・ロック・サウンドを展開する......そして"ブラザーズ"はビートレスとアルペジオの煌めきへと突入し、嵐のように過ぎ去った日々のなか、家族のざわめきとともに消えていく。良い思い出と悪い記憶が彼方へと追いやられるように。

 アルバムには「すべてを聴き逃さないようにヘッドフォンで聴いてください」と記されている。その意味するところは実際にヘッドフォンで聴くとよくわかる。テーマは 個人的なものであっても、この音楽は多くの耳を潤すことだろう。しかもそれは同時に、この先さらに多くの耳に発見されるであろう才能の存在を強く主張している。

Spoek Mathambo - ele-king

 南アフリカからゲットー・エレクトロの1作目。サイモン・リングローズと組んだプレイドーの名義ではすでに数枚のEPやミニ・アルバムをリリースしているMCのンサロ・ジェイムズ・モンド・モクガタ(とお読みするんでしょうか=Nthato James Monde Mokgata)がひと足先にソロ・アルバムとして完成させたもので、スパンク・ロック風のダンスホールから南アならではのクワイトなど思わず腿に力が入る全14曲。ドンガドンガラ......と、トライバル調でスタートし、タイトル曲はグライムやダブステップをアフロ・ビートと融合させた見事なミクスチャー・エレクトロ("パート2"はそのビートを銃声に置き換えたバイリ・ファンキへのアンサー・ダブ?)。全体にシャッフルの効いたエレクトロのヴァリエイションが、前半は重力からの解放を約束してくれ、どう聴いてもジョイ・ディヴィジョン"シーズ・ロスト・コントロール"のカヴァーから後半は反対に地の底まで沈められる。"ウォー・オン・ワーズ"は本当に重い......(新作が〈プラネット・ミュー〉からリリースされたジュークのDJラシャドをはじめとするフル・リミックス・アルバムも配信のみでリリースされている)。

 いま、中国の評判はアフリカでもとても悪く、中国からの投資が上手くいっていないコンゴをはじめ中途半端なやり方に怒り心頭な国が少なからず、そのツケをアメリカが引き受けることによって、アメリカの経済的な進出がかつてないほど歓迎を受けているという(ソマリアでのアルカイダ掃討作戦など政治的な進出はもちろんその限りではない)。失業率90%のジンバブエが最大のチャンスになるというリチャード・ブランスンには戸惑っている経済人も多いようだけれど、インドへの投資には失敗したドイツのBBE(本社はイギリス)がこのアルバムのリリース元となっており、そのせいか、とてもアフリカの音楽とは思えないジャケット・デザインになったといえる(フェラ・クチのデザインだって、もっとダイナミックな感性を貴重としていた)。それが、しかし、コーラス・ワークなどは典型的なアフリカ調でありながらも、それだけではない重さを内包したこの音楽をパッケージするには最適だったという気もしないではない。ゴールド・パンダソラー・ベアーズによってチルウェイヴとの境すら曖昧になったポスト・ダブステップに対して、ダブステップの闇を南アが引き継いだか......。

E.D.A - ele-king

2010年9月28日選盤


1
Lou Donaldson - You're Welcome Stop On By - Bluenote

2
Steve Miller Band - Dance Dance Dance - Capital

3
V.A - The World Ends:Afro Rocks&Psychedelia In Nigeria - Sound Way

4
Lloyd Miller - The Heliocentrics (ost) - Strut

5
John Legend&The Roots - Wake Up - Sony

6
Arthur Russell - The Is How We Walk On The Moon - Sleeping Bag

7
Stevie Wonder - Boogie On Reggae Woman - TamuraMotown

8
Dinosaur - Kiss Me Again - Underground Disco Classics

9
Dubtribe Sound System - Do It Now - Defected

10
Limahl - Never Ending Story - Emi

Masahiro Mizumo - ele-king

TT September Chart 2010


1
Marc Romboy, Blake Baxter - Muzik (Kink Remix) - Systematic Recordings

2
Samuel L. Session - The Soloist (Reboot Remix) - Be As One

3
Fausto Messina - Amor Lleno De Esperanza (Original Mix) - Diynamic

4
Alex Flitsch, Mutant Clan - Imanah (Original Mix) - Connaisseur Recordings

5
Yousef - Walking On Egg Shells (Original Mix) - Harthouse

6
Radio Slave - I Don't Need A Cure For This (Kenny Larkin Remix) - Rekids

7
Maher Daniel - 3rd Time Is A Charm (Original Mix) - Rejected

8
Nick Curly - Lemba (Original Mix) - 8Bit

9
Dual Shaman - Ocean Breeze (Original Mix) - Wolfskuil Records

10
Alex Niggemann - Take Control (Matthias Tanzmann Remix) - Supernature

Chart by JETSET 2010.10.25 - ele-king

Shop Chart


1

V.A.

V.A. STONES THROW 7 INCH BOX SET »COMMENT GET MUSIC
2010年10月10日に開催されたイベントの記念に作られた特製ボックスセットが登場!DJが全て7"のみでプレイした同イベントを象徴する7"の10枚セット!PBWセレクトの名曲が7"として生まれ変わりました!

2

DJ YOGURT & KOYAS

DJ YOGURT & KOYAS CHILL OUT »COMMENT GET MUSIC
アンビエント古典をDJ Yogurt & Koyasが独自の解釈でリメイクした話題の1枚が待望のアナログ化!Yogurt & Koyasが望んだ「Chill Out」のトリビュートを"CHILL Out " を愛して止まない熱い人達の手により謎のレーベルからワンショット限定プレスで入荷です!

3

DENT MAY

DENT MAY THAT FEELING / EASTOVER WIVES »COMMENT GET MUSIC
ダメすぎ込み上げすぎ奇跡のインディ・ブリージン・ブルー・アイド・ソウル。Ariel Pinkに並ぶ天才と言い切りたい!!Paw Tracksからのデビュー・アルバムが当店鬼ヒットしたDent May。Forest Familyからの新曲が到着!!絶対お買い逃しなく。

4

RICARDO VILLALOBOS / PRINS THOMAS / DJ NOBU

RICARDO VILLALOBOS / PRINS THOMAS / DJ NOBU ZERO SET 2 RECONSTRUCTED »COMMENT GET MUSIC
Zero Set 2再構築で話題沸騰のマスト・バイ・アイテム入荷致しました。Zero Set影響下と自ら公言しているRicardo Villalobos, オスロのリエディット・マスターPrins Thomas, さらに国内からはDJ NOBU (Future Terror)が参加。故Conny Plankへの追悼と言える"Zero Set"の続編アルバム"Zero Set 2"から抜選され解体/再構築が施された圧巻の5楽曲を収録。

5

MACHINEDRUM

MACHINEDRUM WANT TO 1 2? »COMMENT GET MUSIC
大復活を遂げた天才による幻の傑作が遂に奇跡のヴァイナル化!!名門LuckyMeから放った"Many Faces"が当店爆裂ヒットを記録したMachinedrum。'09年にCD限定リリースされていた幻の傑作がヴァイナルで限定リリースされました!!

6

BALAM ACAB

BALAM ACAB SEE BIRDS »COMMENT GET MUSIC
入荷しました。噂のウィッチ・ハウス筆頭ユニットによるファースト・12インチ!!絶対マスト★Washed OutとSalemがサイコパス化したようなゴシック・シンセ・ダブ・サウンドで話題を集めまくるブルックリンの19歳、Balam Acabの5曲入りマキシEP!!

7

DARLING FARAH

DARLING FARAH BERLINE EP »COMMENT GET MUSIC
ドファンキーかつカラフル。滅茶苦茶お洒落な1枚です!!DebruitやKotchyらを擁するUKヒップホップ人気レーベルから、UKGシーン最前線とも交差するエレクトロ・テック新星Darling Farahがデビュー!!

8

DAM FUNK / COMPUTER JAY

DAM FUNK / COMPUTER JAY LOS ANGELES 7/10 »COMMENT GET MUSIC
満を持して登場!第7弾はDam Funk/Computer Jay!もはや説明不要のファンクの申し子、Stones ThroeからDam Funk、そして先日のGaslampkillerの新作10"にも参加していた気鋭ビートメイカー、Computer Jayによるスプリット!

9

SEAHAWKS

SEAHAWKS IS THIS IT? / OH BABY »COMMENT GET MUSIC
話題沸騰のヨット・ロッカーSeahawksの12"トリロジー第3弾が到着です!!近年はLoEBにてニュー・ディスコ/バレアリック・シーンのサポートに積極的なLo Recordings総帥Jon Tyeと、グレイト・イラストレーターPete Fawlerによる話題のユニット、Seahawksにょる12"シングル第3弾がまたしても素晴らしいです!!

10

GILLES PETERSON - HEARTBEAT PRESENTS ONE TIME!

GILLES PETERSON - HEARTBEAT PRESENTS ONE TIME! MIXED BY GILLES PETERSON × AIR »COMMENT GET MUSIC
Heartbeatのミックス・シリーズ第五弾はGilles Peterson!最新鋭のダンス・ミュージックを自らの選美眼をたよりに世界中のDJ、クラバーから絶大な支持を受ける、Gilles Petersonがついに本シリーズに登場です

Chart by UNION 2010.10.23 - ele-king

Shop Chart


1

VARIOUS ARTISTS

VARIOUS ARTISTS International Feel INTERNATIONAL FEEL / JPN »COMMENT GET MUSIC
DJ Harveyの新プロジェクトLocussolus、Quiet Villageの別名義となるMaxxi & Zeus、Rub N Tug/Map Of AfricaのメンバーThomas BullockによるWelcome Stranger名義での参加など、強烈な個性を放つラインナップを見てもわかるとおり、リリース当初から常にDJやショップの話題の的となってきたレーベルInternational Feel。直感的に一瞬で心を奪われるような音はアンダーグラウンドなダンスミュージック本来の魅力そのものであり、それは彼らの一途な想いに他ならない。どのレーベルにも存在しないダンスミュージック、またバレアリック~チルアウトといった音を放ち、彼らのこだわりを貫きひとつに結晶させたプレミアムなサウンドが、いま扉を開ける。

2

TOBIAS

TOBIAS Street Knowledge SK / GER »COMMENT GET MUSIC
超強力盤! VILLALOBOSリミックス!! NSIとしても知られるTOBIAS.が06年にLOGOSTICからリリースした傑作がVILLALOBOSのリミックスを収録し再発! 脳みそを揺さぶるアシッディーなドープ・ミニマルであるオリジナル、微細なウワモノの連鎖でハメるマイクロスコピックなVILLALOBOSリミックス共に驚異的! マストです!

3

CALM

CALM Save The Vinyl - EP 1 MUSIC CONCEPTION / JPN »COMMENT GET MUSIC
メタモルフォーゼのコンピレーションにも先行収録され話題を集めたアルバムのハイライトと言える壮大なバレアリックトラック「Earth Song」、美しいピアノのダウンテンポチューン「Fade to White」、極上のアンビエントトラック「River is Deep」を収録!

4

PULSHAR

PULSHAR Inside DESOLAT / GER »COMMENT GET MUSIC
今やCADENZA、PERLON、COCOONなどと並ぶヨーロッパテクノシーンのトップレーベルへと躍進を遂げた、LOCO DICE & MARTIN BUTTRICH主宰レーベル・DESOLATが、自信を持って送り出す新たな才能・PULSHARのセカンド・アルバム!本作「INSIDE」は彼らにとって約2年ぶりとなるセカンド・アルバム。RHYTHM & SOUNDをチルアウトさせたようなM-2"The Price You Pay"、ヘビーなベースラインと透明感溢れるメロディアスなシンセのレイヤーが極上のトリップへと誘ってくれるM-4"Da Creator"、ブリストル勢のようなメランコリアを感じさせるM-10"Distant Fire"など、一曲毎のクオリティーは粒揃い! 気が付くと最初から最後まで聞き通してしまう中毒性の高い1枚!

5

OMAR S

OMAR S These Complimentary Track's FXHE RECORDS / US »COMMENT GET MUSIC
アシッドのディープな響きにクラップが炸裂するトラックや、Omar Sにしては珍しくメロウなディスコにシフトしたPhyllis Hyman ? Under Your Spell使いのアンダーグラウンドハウス、アタックの強さがOmar Sらしい個性を放つディープテクノなど4曲を収録したEP!

6

ROY DAVIS JR./OMARS FEAT.DJ B-LEN-D

ROY DAVIS JR./OMARS FEAT.DJ B-LEN-D All I Do/Da-Teys FXHE RECORDS / US »COMMENT GET MUSIC
1996年に今は無きFORCE INC USからリリースされた、シカゴのベテランハウサーRoy Davis Jr.プロデュースのトラックがOmar Sによって再発!Stevie Wonderの「All I Do」モロ使いのフレーズをループさせたグルーヴィーなハウスチューン。そしてSide BにはOmar SとDJ B-Len-Dによるコラボレート作を収録。DJ Blendは80年代中頃、Carl CraigがDerrick Mayに紹介をした有能なデトロイトのパーカショニストという逸話を持つベテラン。Omar Sによるディープなコードが魅力のハウストラックに、泡が弾けるかのような深い音色のパーカッションを馴染ませた、心地よい鳴りが魅力の1曲。

7

MARC HOULE

MARC HOULE Drift »COMMENT GET MUSIC
PLASTIKMANのベストアルバム「KOMPILATION」も反響を呼ぶ中、MINUSが次に仕掛けるのはRICHIE HAWTINと同じくカナダでその音楽的キャリアを育んだプロデューサー・MARC HOULEのNEWアルバム。本作「DRIFT」は、現在彼が住むベルリンの"冷たく暗い灰色の冬"をイメージして作られた作品。通常のMINUS作品とは趣を異にした、サウンドトラックのように風景が浮かぶイマジネイティブなサウンドが収められた全8曲の秀作です。

8

TRAVERSABLE WORMHOLE

TRAVERSABLE WORMHOLE Vol.1-5 CLR / JPN »COMMENT GET MUSIC
ポストSLEEPARCHIVE! NYのベテラン・プロデューサー・ADAM Xによるプロジェクト・TRAVERSABLE WORMHOLEのデビュー・アルバム。2009年春、ホワイト盤にスタンプという素っ気ない(しかしアンダーグラウンド・シーンではおなじみの)体裁で発表された12"が一部のDJから絶賛され、その謎めいた素性と共に多くのテクノファンを虜にしてしまったTRAVERSABLE WORMHOLE。その実体は90年代前半から活躍するNYの古参プロデューサー・ADAM Xによるプロジェクトで、彼の出自であるハードテクノを現代的なミニマルとミクスチャーしたソリッドなサウンドを矢継ぎ早にリリースし、ベルリンシーンの象徴・MARCEL DETTMANNや近年復活を遂げたSURGEONなどと共に新たな旋風を巻き起こしている

9

MISTANOMISTA

MISTANOMISTA Detroit Session BLACK SUNSHINE / RUS »COMMENT GET MUSIC
『ECLIPSE MUSIC』のサブ・レーベルと噂される、新鋭レーベル『BLACK SUNSHINE』の1番! このレーベルは今後チェックが必要! まずはタイトルからして"Detroit Session "。INVERSE CINEMATICの"Detroit Jazzin' "然り。。。DETROITのつくタイトルだけで間違いナシ! ロシアの新人YURI SHULGINによるユニットMISTANOMISTAの作品!

10

MIKE HUCKABY

MIKE HUCKABY From The Mind Of Synth SYNTH / US »COMMENT GET MUSIC
1995年、Daniel BellとRick Wadeの両ベテランがデトロイトを拠点に立ち上げたレーベルHermonie Parkから2枚のシングルをリリース、その後ディープハウス寄りのDeep Transportation、テクノ~ディープ・ミニマルに特化したS Y N T Hの2つのレーベルを自身で立ち上げる一方、Juan Atkins aka Model 500、Pole、Deepchord、Lo Soul、Loco Dice、Blake Baxterといったトップアーチストのリミキサーにも起用されるベテランMike Huckaby(マイク・ハッカビー)。渋谷CLUB MUSIC SHOPリニューアルオープン記念でリリースされたディープハウスセットに続き、今回は11/13(土)にオープンする下北沢クラブミュージックショップを記念してのテクノセット!機材やマスタリングにこだわる彼らしい音の配置はS Y N T Hで見せる音そのもので、暗黒の中を一つの光りが差し込むような深みとコントラストを引き出した絶妙な展開!ミックスの最後には今回もクリエイター用のサンプル音源が2種ボーナス収録。デトロイトで若手アーチストを育成している彼らしいスタンスも嬉しいところ。限定盤です。

Various Artists - ele-king

 アニマル・コレクティヴの"マイ・ガールズ"がクライマックスでプレイされるようなダンスフロアがいま日本のどこにあるのか教えて欲しい。あの曲の冒頭のキラキラしたシーケンスが流れればすぐにリアクションがある、そんな現場を知りたい。DJはその前後をどんな曲で繋ぎ、そしてどんな曲に持っていくのか......。"マイ・ガールズ"をクライマックスで上手にスピンできるDJがいたら、その人はいまもっと危うく、いまもっともフレッシュなDJに違いない......が、実際のところ"マイ・ガールズ"は、たとえば1990年のプライマル・スクリームの"カム・トゥゲザー"のように機能しているのだろうか。それはある特定の場のアンセムとして、ある世界観を共有する契機として、いまもっとも危うく、いまもっともフレッシュな歓声を浴びているのだろうか......。
 
 『ファック・ダンス、レッツ・アート』は出るべくして出たコンピレーションで、ここ1~2年のUSアンダーグラウンドにおけるダンス・ミュージックの新展開――チルウェイヴ、エレクトロ・ポップ、シンセ・ポップ、サイケデリック・ダンス・ポップ、そしてウィッチ・ハウス――を編集してものである。ウォッシュト・アウトトロ・イ・モアスモール・ブラックといったチルウェイヴ系、oOoOO(オーと読むらしい)やバラム・アカブ、クリープといったウィッチ・ハウス系、それからクリスタル・キャッスルズのようなニューウェイヴ・ディスコ系など最近のトレンドから計18組を選び、18曲を収録したものである。アニマル・コレクティヴの"マイ・ガールズ"はコンピレーションのもっとも中心に配置され、そのフォロワーであるベアズ・イン・ヘヴンがアルバムの締めを務めている。通して聴いていると、ニューウェイヴ・ディスコ系が古くさく、あらためてチルウェイヴ系が新しく感じられる。
 ちなみに今年、USメディアがもっとも注目しているのがウィッチ・ハウス(魔女のハウス)で、本作の1曲目(続く2曲目)がまさにそれだ。ウィッチ・ハウスとは......何も魔女の格好をしたDJがハウスをスピンするわけではない。大雑把に言えばUKダブステップ(というか主にブリアル)へのリアクションのひとつである。手法的にはヒップホップのチョップを好み、その出自にはエレクトロクラッシュ系の流れも絡み、あるいはそう、お察しの通りザ・XXの影響も受けつつ、そして"ドラッグ(drag)"や"ホーンティッド(幽霊)"とも呼ばれていることからも察することができるように、ウィッチ・ハウスはより薄気味悪くダークで、UKダブステップの暗さがアメリカ系ゴシックやホラーの文脈に落とし込まれたダンス音楽のスタイルのように思える。バラム・アカブのビートはダブステップの変型で、クリープのヴォーカルの歪ませ方はジェームス・ブレイクの応用である。また、メモリー・テープスの"バイシクル"のヴァージョン名が"ホラーズ・コズミック・ダブ"であるように、ウィッチ・ハウスはチルウェイヴとも交わっているようだ。
 
 この"新しいアメリカのアンダーグラウンド"に関しては英米間でずいぶんと激しい議論がある。最初に仕掛けてきたのは僕が知る限りではUKの『ガーディアン』で、今年の初めに同紙は、「ブロガー・ロックは政治的鋭さを欠いている」という皮肉たっぷりの論考を掲載している。ビーチ・ハウス、ウッズ、ウェイヴス、サーファー・ブラッドといった自然系の言葉が入ったバンド名のバンド、もしくはジュリアン・リンチ、ダックテイル、ジェームズ・フェラーロといったローファイ・アーティスト(WIRE誌言うところのヒプナゴジック・ポップ=入眠ポップ)は、逃避的な田園生活を賞揚し、政治や現実に対する無関心と怠惰をを肯定する......といった内容である。もちろんアメリカからの反論はすぐに起きた。「それは逃避ではない」と、このシーンを擁護し続けている有名な音楽ブロガーがやり返した。「中産階級的経済や政治価値観にオルタナティヴなサイキック・リアリティを切り開くためのプロセスである」
 すると『タイニー・ミックス・テープス』が議論に乗った。「なにがどうよ、ローファイ・インディ音楽の政治的価値」というわけで、ことの成り行きを読者に説明して、そして議論を呼びかけている。結果、大量の意見が寄せられた。ある人は「ローファイには政治性がない」と認め、ある人は「政治を求めてローファイを聴いていない」と当たり前のことを主張し、またある人は「なぜ僕たちは労働、労苦、破壊、殺人がない世界を空想していてはいけないのだろう?」と素朴な問いを発し、またある人は「逃避主義は政治的にはもっとも保守的な方法論だ」と説き、またある人は「しかし、カール・マルクス言うところの疎外者として僕たちは......、だから弁証法的に言えば......」と論を捻り、そして多くの人はその源流であるアニマル・コレクティヴの音楽を語り、そして話は......オネオトリックス・ポイン・ネヴァーにまでおよんでいる。英米で湧き上がっているこの議論は、ご覧のように実に広がりがあって、チルウェイヴもグロー・ファイもウィッチ・ハウスもどうでもよくなってくるほど読んでいて面白い。
 
 底意地の悪い『ガーディアン』は、そして、インディ・ロックを愛するアメリカの若者たちの大量な言葉をスルーして、別の角度から逆襲を仕掛ける。今度は「インターネットはローカルな音楽シーンを殺したか?」と題して、チルウェイヴがどこか固有の、現実の現場を持たずにインターネットを通じて起きたムーヴメントであることから、それはいままで豊かな音楽文化を育んできたローカル文化を殺すものだいう論考を掲載する
 まあ、興味がある人は読んでください。あらためて言うことでもないのだろうけど、イギリスってやっぱ音楽文化にプライドがあるね、いざとなったらビートルズを出せるもんなー。そう、「マージービートというローカリズムがビートルズを生んだ」と言える。でも、それは......ときとして強者の論理にも聞こえる......というか、『ガーディアン』はどんな言葉を使ってでも、チルウェイヴを評価したくないのだろう。
 
 "カム・トゥゲザー"のようになれなかったからこそ"マイ・ガールズ"は切り開いたのかもしれない。アンダーグラウンドで非政治的な音楽は、心が満たされる秘密の場所を追い求めるように、彼らの理想郷を拡大している。「オルタナティヴなサイキック・リアリティを切り開くためのプロセスである」とブロガーは言った。オルタナティヴなサイキック・リアリティ......なんとも際どい言葉である。

Chart by JAPONICA 2010.10.22 - ele-king

Shop Chart


1

SOFT VS DJ DUCT

SOFT VS DJ DUCT LOOP SEGUNDO / FEEL MORE NNNF / JPN / 2010/10/20 »COMMENT GET MUSIC
★JAPONICA限定!★「BACKYARD EDIT」シリーズが国内、そして海外からも好評のDJ DUCTがSOFTのライブ定番ナンバーにして人気曲"LOOP SEGUNDO"、そしてアルバム収録の壮大なスピリチュアル・ナンバー"FEEL MORE. KNOW"をブレイクビーツ感覚でDJユースにリエディットした限定7inch!共に所々でニクイ演出が利いた曲の構成もばっちりで DJフレンドリーなバリバリ現場仕様の使えるナイス・エディットです!マスタリングはもちろんKND!

2

DJ KENSEI

DJ KENSEI LIVE ON WAX SLEEPING BUGZ / JPN / 2010/10/9 »COMMENT GET MUSIC
<SLEEPING BUGZ>による人気ミックス・シリーズ「THE SOUND OF SPACE」待望の第3弾にDJ KENSEIさん登場です!前2作の持つ空気感を見事に受け止め昇華させたホント期待以上の素晴らしいミックス作品が届きました!じっくりと聴き込みDJ 妙技たるものを堪能する、または日常生活の中でサラっとかけ流すのももちろんアリな、まさに万能ミックス!マスタリングは盟友でもあるKND(こ こは鉄板ですね)!前2作とあわせてどうぞ~!

3

BURNT FRIEDMAN & JAKI LIEBEZEIT

BURNT FRIEDMAN & JAKI LIEBEZEIT 5 7 EP NONPLACE / GER / 2010/10/20 »COMMENT GET MUSIC
名コンビBURNT FRIEDMANとCANのドラマーJAKI LIEBEZEITが2008年にリリースした楽曲をBASIC CHANNEL / RHYTHM & SOUNDそしてHARD WAXオーナーでもあるMARK ERNESTUSがリミックス!流石の空間処理能力と綿密につくり込まれた音の一つ一つに飛ばされること間違い無しのトライバル・テック・ダブ(そしてあ くまでミニマル!)是非良いサウンドシステムで聴いてみたい&聴いてほしいです!

4

CAPTN K

CAPTN K SWAMP GROOVE PICNIC / AUS / 2010/10/20 »COMMENT GET MUSIC
新進気鋭CAPTN Kが自身のレーベル<PICNIC>より新作10inchをリリース!A面"SWAMP GROOVE"は哀愁を帯びたク-ルなギター、ハーモニカ・プレイが全編に渡りフィーチャーされたブルージー・ファンク!そしてB面にはこれまたブルージーなワウ・ギターにダビーに響くサックス・プレイが渋くハマる"GRAVYBOAT"を収録!ヒップホップ/ブレイクビーツ~レアグルーヴ・サ イドまで、これまたクロスオーヴァーにヒットの予感するホント大推薦の2トラックス!

5

V.A. (MOODMAN / SHHHHH)

V.A. (MOODMAN / SHHHHH) ZZK RECORDS PRESENTS THE DIGITAL CUMBIA EXPLOSION RUDIMENTS / JPN / 2010/10/13 »COMMENT GET MUSIC
★特典でさらに(!)MOODMANのミックスCD付いてきます!★南米アルゼンチン/ブエノスアイレス発、激注目レーベル<ZZK RECORDS>音源のMOODMANによるDJミックス+SHHHHHセレクトによるコンピレーションをパッケージングした濃密2枚組CD!MOODMANのテクノ的解釈によるミニマル・グルーヴ溢れるDJミックス、そしてSHHHHHのストーリー性を重視した抜群のセレクトに より<ZZK RECORDS>の魅力を余すことなく十二分に楽しめてしまう強力強烈盤!

6

TRUJILLO

TRUJILLO BABY YOU'RE STILL THE SAME APERSONAL MUSIC / UK / 2010/10/20 »COMMENT GET MUSIC
ベネズエラ出身の注目アクトTRUJILLOデビューEPがスペイン発の新興レーベル<APERSONAL MUSIC>からの第1弾でリリース。バレアリックな質感でジンワリとフロアをウォームアップさせるメロウ・ディスコ・グルーヴのオリジナル・ヴァージョ ンはじめ、タイトな足回りに巧な展開で高揚感を駆り立てるSOCIALDISCO CLUBによるハウス・リミックス、そしてウワ音をクールに抑えつつお得意のビートダウンに特化したMARK Eリミックスの3ヴァージョン収録!

7

NICOLAS JAAR

NICOLAS JAAR LOVE YOU GOTTA LOSE AGAIN EP DOUBLE STANDARD / US / 2010/10/18 »COMMENT GET MUSIC
ジワジワと足されていくビート/グルーヴにアンビエンシーな鍵盤ネタや壮大なストリングスが織り成していくディープ・ダウンテンポ・トラッ ク"WOUH"、フォーキーなウワ音を被せつつビートダウン~ブレイクビーツなグルーヴで展開するバレアリック・チューン"LOVE YOU GOTTA LOSE AGAIN"など他とは明らかに一線を画す絶妙なクロスオーヴァー感覚でのプロダクションを披露!限定300枚プレスにつきお早めに~!

8

V.A.

V.A. HOT SHIT! DOPE AFRO FUNK HOT SHIT / UK / 2010/10/20 »COMMENT GET MUSIC
数々のディスコ/リエディット系作品のネタとなったレア・アフロ音源を集めたナイス・コンピ!タイトル通り、ドープ・アフロ・ファンク詰まってますっ!!いずれも激レアなタイトルをコンパイル。しかしそのレア度だけに留まらず現場重視の「使える」レアグルーヴをセレクト(!)といった感じ のDJのための素晴らしい内容となってます!DJの際、ホント重宝すること請け合い。これはオススメですっ!

9

RONDENION

RONDENION BEGINNING OF THE RING EP BOSCONI EXTRA VIRGIN / ITA / 2010/10/9 »COMMENT GET MUSIC
壮大なストリングスにボトムの効いたベースグルーヴとが織り成すスローモー・ビートダウン・ハウス"BEGINNING OF THE RING"はじめB面にはKDJ/THEOらを彷彿とさせるヴォーカル・フレーズのネタ使いに淡いシンセ・コードがジンワリと沁みてくるビルドアップ・ナ ンバー"IN ONE'S MIND"(これかなりヤラれました!)、そしてこれまた黒汁ほとばしるグルーヴを軸にディスコ・テイストで構築されたディープ・ハウス・トラッ ク"LIKE A CHILD"を収録!

10

EBO TAYLOR

EBO TAYLOR LOVE AND DEATH STRUT / UK / 2010/10/18 »COMMENT GET MUSIC
ガーナで発祥した伝統的ハイライフ・サウンドにアフロ、ソウル、ファンクなどの要素を融合させ独自のアレンジやプロデュースを施し他の追随を許さ ないオリジナル・サウンドを発信し続けるガーナの至宝にしてリヴィング・レジェンド、御年74歳(!)にしてバリバリの現役ミュージシャ ン=EBO TAYLORによる新録アルバム!現在進行形で奏でられるネクスト・レベルへと押し上げられたアフリカン・グルーヴが全編に渡り充満しきった濃度の高い好 作品です!

The Slits - ele-king

 高校に入学した年だ。『カット』のジャケを、実家の近所の輸入盤店の壁で初めて見たときに恐いと思った。そこには裸の、そして泥だらけの3人の女性がいる。アリ・アップはこちら側を見ている。裏ジャケの写真でもそうだ。向かって左下の彼女はこちらをしっかりと見ている。静かに、しかし力強い目で。それは下着姿のランナウェイズとも、男装するパティ・スミスとも、セクシーなデボラ・ハリーとも違う。それは彼女たちがアマゾネスめいた女戦士であることをほのめかすと同時に、あるいは男の、そう男のもっとも嫌らしい視線を嘲り、跳ね返す。
 デニス・ボーヴェルのプロデュースは、女性の音楽が"泣き"や"情緒"ばかりではないことを見事に証明し、パンキー・レゲエのスタイルを創造する。万引きを賞揚する"ショップリフティング"は買い物でしか自分を保てない女性たちへの否定であり、大らかな激励でもある。ディープなレゲエの"ニュータウン"は、都市の再開発に対するストレートな恐怖感を歌う。
 そして『カット』は、ザ・ポップ・グループの『Y』のたったひとつのパートナーだった。プロデューサーも同じで、そしてそのジャケの意味することも同じだった。ふたつのバンドはレゲエのダブを手に入れ、野蛮さを讃えた。
 ザ・スリッツは、セックス・ピストルズやザ・クラッシュができなかったことをやったパンク・バンドだった。女性たちによる最初のパンク・バンドだったし、それがある種のポーズではなく、本当に楽器が弾けないのに演奏してしまった最初のバンドのひとつでもあった。

 アリ・アップの訃報を教えてくれたのは2マッチ・クルーのポエム氏だった。そのメールを読んだのは、井の頭線に乗ってOTOさんに会うために渋谷に向かっている途中だった。OTOさんというのはもちろんじゃがたらのOTOさんであり、サヨコオトナラのOTOさんである。それはたんなる偶然であり、そこに因果関係など......あろうはずがない。アリ・アップはニュー・エイジ・ステッパーズでラスタの神秘主義に浸り、アニミズム的な世界観を展開した。そしてキングストンとニューヨークを往復して、まるでレディ・ソーのようなダンスホール・スタイルを手にした。電話で取材したときには、リアーナは最高だと言った。それから2007年の10月に来日してザ・スリッツとしてのライヴを披露している。"ティピカル・ガール"からはじまったそのときのライヴを、この先何度も思い出すだろう。決して忘れないように。

 彼女に会ったとき、愚かな僕は「あなたは僕のアイドルです」と言った。彼女は真っ直ぐに僕の目を見つめ「アイドルを否定したのが私たちなのよ」と言った。そして「korose sono ai de」と彼女は書いた。

 2009年はザ・スリッツとしては28年振りのサード・アルバム『トラップド・アニマル』を発表した。最初の曲"アスク・ママ"では、「男を生むのは私たち女、男のクソの面倒まで見れないけど、私たちで世界を変えよう」と歌った。"イシューズ"では幼児虐待について歌い、"ピアー・プレッシャー"で彼女は「女子学生のみんな、聞いて」と呼びかけ、外見を気にしながら生きる若い女の子の気持ちを歌った。そしてそのアルバムの"レゲエ・ジプシー"で、2010年10月20日に癌でこの世を去った偉大なる変革者はこう歌った。「アンダーグラウンド代表として地上にやって来た。歳月と涙を費やして恐怖に打ち勝つことを覚えた。私はパンク・レゲエの女王。健全な人間。悪意ではなく高尚な思想のもとにスリッツ宮殿を建てている。かみついたりしない。争わないで。私は放浪者のなかの放浪者。私たちは生き続ける」

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727 728 729 730 731 732 733 734 735 736 737 738 739 740 741 742 743 744 745 746 747 748 749 750 751 752 753 754 755 756 757 758 759 760 761 762 763 764 765 766 767 768 769 770 771 772 773 774 775 776 777 778 779 780 781 782 783 784 785 786 787 788 789 790 791 792 793 794 795 796 797 798 799 800 801 802 803 804 805 806 807 808 809 810 811 812 813 814 815 816 817 818 819 820 821 822 823 824 825 826 827 828 829 830 831 832 833 834 835 836 837 838 839 840 841 842 843 844 845 846 847 848 849 850 851 852 853 854 855 856 857 858 859 860 861 862 863 864 865 866 867 868 869 870 871 872 873 874 875 876 877 878 879 880 881 882 883 884 885 886 887 888 889 890 891 892 893 894 895 896 897 898 899 900 901 902 903 904 905 906 907 908 909 910 911 912 913 914 915 916 917 918 919 920 921 922 923 924 925 926 927 928 929 930 931 932 933 934 935 936 937 938 939 940 941 942 943 944 945 946 947 948 949 950 951 952 953 954 955 956 957 958 959 960 961 962 963 964 965 966 967 968 969 970 971 972