「Nothing」と一致するもの

BITCHFORK - ele-king

 『ゼロ年代の音楽――ビッチフォーク編』がいよいよ発売されます。ビッチとは何者か? ――女とポップ・ミュージックの抵抗をめぐる冒険の書......というつもりで作りました。以下、目次を載せますので、どうぞよろしくお願いします!


photo by Yasuhiro Ohara

■contents

02 Foreword
そんなビッチ殺っちまえよ――本書はいかにして生まれたか    
野田 努

07 Bitch Talk 01
もうひとつの、しかし極めて重要な物語――ボヘミアン・ガールの系譜
五所純子×水越真紀×田中宗一郎×野田努 (司会・構成 三田格)

46 Column 01
私たちの革命――ライオット・ガールというムーヴメント
大垣有香

54 Column 02
強きもの、汝の名は弱さ――ジンライムのお月さまは「ひどい乗り方」を許していたんだ
水越真紀

57 Bitch Talk 02
ノー・ウーマン、ノー・クライム―― ヒップホップ文化に見る性について
RUMI×磯部涼×二木信  
オブザーバー 水越真紀(司会・構成 野田努)

83 Column 03
ビッチの領分――ミソジニー論争への一考察
新田啓子

91 Column 04
Bガールの逆襲 Return Of The B-GIRL
二木 信

95 Bitch Talk 03
コギャルの出て来た日 ――消費社会がもたらす女性の変化
湯山玲子×三田格  オブザーバー 野田努 (司会・構成 松村正人)

120 Interview  戸川純、インタヴュー
たぶん、女にしか書けないことを、と思ったんじゃないかな。「バーバラ」にしても女にしか出来ないことと思った。(取材:水越真紀)

128 Column 05
安室奈美恵はいつ死んだのだろう
五所純子

135 BITCHFORK DISC REVIEW
CLASSIC 1955-1999/00'S 2000-2010
(磯部涼、大垣有香、野田努、橋元優歩、二木信、松村正人、水越真紀、三田格)

188  Column 05
律はビッチ!
三田 格

Janelle Monae - ele-king

 2010年に数多くの賞賛を浴びたアフロ・フューチャリズムの傑作。『ガーディアン』が年間ベストの1位にしたので買ったけれど、大正解だった。どうせ1月のリリースはそれほど多くないし、昨年聴き逃したモノはこうしてこの時期に聴くといいのだ。
 実はジャネール・モナエは、2719年からやって来た逃亡者である。彼女のDNAは、シンディ・メイウェザーなるクローン人間であり自由の戦士に使われている。未来のメトロポリスでは階級闘争が激化している......スリーヴノートにはそんなことが記されている。まさにジョージ・クリントンやサン・ラを思わせる(一見、冗談交じりの)ブラック・サイエンス・フィクションだが、モナエも彼らと同じように真面目だ。「私はコミュニティに対して責任を感じているの」、『ガーディアン』の取材で彼女はそう答えている。「私たちが作る音楽は彼らの心の解放を助けるべきだし、もし彼らが抑圧されていると感じているのなら、いつでも彼らを高揚しなければならない」
 ごみ収集トラックの運転手の父親を持つ、労働者階級出身の25歳の彼女は力強く話している。「もし私たちにメッセージがあるなら、私たちが闘っていることを信じるってことなの。そして私たちはそうするのよ」

 ブロッコリーのような髪型の彼女は、2005年、ビッグ・ボーイ(アウトキャスト)に見出されている。翌年のアウトキャストの『アイドルワイルド』に収録された"コール・ザ・ロウ"と"イン・ユア・ドリームス"ではまだ21歳の彼女の歌が聴ける。2007年にはP・ディディの〈バッド・ボーイ〉からデビュー・ソロ・アルバム『メトロポリス』を発表しているが、ブロッコリーのような髪型をしたアンドロイドとなっているそのアートワークをレコード店で見かけて覚えている方も多いことだろう。そしてそのアートワークがほのめかすように彼女の音楽は雑食性が高い。ちなみに初期のジェームズ・ブラウンを彷彿させるタキシード姿だが、彼女の説明によればあれは労働者階級のスタイルだそうだ。
 セカンド・アルバムとなる『ジ・アークアンドロイド』は、スウィングするロックンロールからフリークアウト・ファンク、甘いソウル、ゴスペルからジャズ、あるいはフォークやバラードまでと、ブロードウェイで鍛えられた経験を持つ若い女性はなんでもやってのける。アルバムの内容は『ガーディアン』が言うように「アンドレ3000がもし少女だったら、あるいはプリンスが1961年のジュディ・ガーランドといっしょに作ったとしたら」という表現がうまく言い当てていると思う。つまり、これは破天荒なミュージカルとも言える。収録された曲すべてが魅力的で、カニエ・ウェストの『マイ・ビューティフル・ダーク・ツィスティッド・ファンタジー』が内面旅行(21世紀の『インナーヴィジョン』?)だとしたら、こちらは外に向かって爆発するダイナマイトである。収録曲すべてにインスピレーションとなった映画、文学、アートについての記述があり(フィリップ・K・ディックからサルヴァドール・ダリ、あるいはボブ・マーリーの笑顔などなど)、アルバムにはソウル・ウィリアムス、ビッグ・ボーイらとともに、知性派インディ・バンドのオブ・モントリオールも参加している。

 彼女の説明によれば、アンドロイドはマイノリティを意味しているそうで、歌詞の多くにはコミュニティへの賛美があるという。もちろん労働者階級のコミュニティについてである......だとしたらこれはファンカデリックとほとんど同じタイプのメッセージに分類できるが、ジャネール・モナエはジョージ・クリントンと違って、SF小説と並んで大量のビジネス書を読んでいる......。


追記 2011.01.14
ジャネーリ・モナエの反同性愛に関しては僕の完全な間違いです。すいません!!!! まったく逆ですね。反・反同性愛者です。ご指摘していただい方、本当にありがとうございました。ファンの皆様、本当にすいませんでした。猛省します。

WHY (酔人 / SWEET) - ele-king

MY SWEET 10 (2011.01)


1
STEREOCiTI - tsukayga - Mojuba

2
Nutty featuring Daddy - mdali(Charles Webster dub) - Miso

3
Lerosa&Donato Dozzy - Neon Snake - Apnea

4
Ordell - Untitledmann - Minuendo

5
Oskar Offermann&Moomin - Hardmood/Joe Macdaddy - Aim

6
Ralph Sliwinski - Thorn Until Gate - Below

7
Trickski - The Warm Up - Delusions Of Grandeur

8
Tommaso Cappellato - The Knight - Elefante Rosso

9
Adultnapper featuring Big Bully - Low Point On High Ground(Rock Bottom Mix By DJ Sprinkles) - Simple Records

10
Leo Gunn - Untitled - Deep Explorer

Doobeeis - ele-king

 どーも、あけましておめでとうございます!

 年末、野田編集長に「保守的なブラック・ミュージック・リスナー」と書かれてしまった二木です。どーん! 実際それは否定できない事実です。まあ、否定する必要もないか。保守的なブラック・ミュージック・リスナーがいるように、保守的な音楽もある。一方で前進を止めない音楽もある。ドゥービーズのデビュー・アルバム『ドゥービーズ』は、イスギやシンクタンクとはまた違ったドス黒い感性を持ったヒップホップ・アルバムで、はっきり言って、眩暈がするほど素晴らしい。2010年12月末にリリースされたこの作品は、この国のヒップホップにおける果敢な音の冒険という意味において、少なくとも2010年のベスト5には入るでしょう。彼らは深い酩酊と陶酔のために命を削っている。まずその気合いに拍手したい。年末にこれを聴いて、そう思った。ジャズ、ソウル、ファンク、レゲエといったブラック・ミュージックを土鍋にぶちこんでかき回したカオティックなサウンドは、ジョージア・アン・マルドロー&デクレイム『SomeOthaShip』を彷彿させる。

 ドゥービーズはヒデンカ(HIDENKA)とゴーキ(GOUKI)から成るユニットで、ヒデンカはラッパーであり、DJであり、トラックメイカーでもある。彼は、ガーブルプー!(GARBLEPOOR!)というヒップホップ・グループや天国プランワールド(TENGOKUPLANWORLD)というソロ・プロジェクトでも活動するキャリア10年以上を誇るベテランで、ガーブルプー!名義ですでに3枚のアルバムを出している。シンクタンクを擁するアヴァン・ヒップホップ・レーベル〈ブラックスモーカー〉から発表した通算3作目『ペイジ・トゥー(PAGE TWO)』で僕はヒデンカの魅力の虜になった。DJ/トラックメイカーとしての顔である天国プランワールドの催眠的なミックスCD『メランコリック・スウィート・ベッドタウン・フッカー(MELANCHOLIC SWWEAT BEDTOWN HOOKER)』を聴けば、彼が音の退屈を許さない享楽主義者であることがよ~くわかる。スピリチュアルなトライバル・ハウス、スモーキーなヒップホップ、メロウなソウル、コンピューター・ファンク、エネルギッシュなビック・バンド・ジャズ、酔狂な漫談、パンキー・レゲエといったさまざまな音の断片が溶けた褐色のミックスジュースのなかを実に愉しそうに泳いでいる。『ドゥービーズ』の構成要素の秘密を解き明かしているようでもある。

 さて、そこで本作について語りましょう。DJ イタオと八合目トラックスが手がけた1曲目"ブラックボード(BLACKBORAD)"のイントロが流れ出した瞬間、「おっ!」と思う人は多いだろう。かの有名な女性ソウル・シンガーの名曲の甘美なエレピをユニークに解体している。続く"ブルー・シット(BLUE SHIT)"は彼らの嗜好性の表明であり、真夜中の入口に私たちを立たせる。「安定より冒険」を好み、「昼間はカモフラージュ、夜にむらが」り、「見たことのないところに行きたい」連中のお楽しみがはじまるわけだ。
 "ミート・セックス(Meet Sex)"、"セックス・バス(Sex Bus)"、"アス・ホール(Ass Hole)"といった卑猥なタイトルから想像できるように、ファンクやジャズがシェイクされ、夜の闇のなかで淫靡に響きわたっている。サイケデリックなギターがぐるぐると回転したかと思えば、ジャマイカとブリストルを往復しながら、うなりをあげるダブワイズが空間を一気に押し広げリー・ペリーが顔をのぞかせる。DJ 3268による8分にも及ぶジャジーなストーナー・ラップ"ロング・フォレスト(Long Forest)"のラップは、僕の勘が正しければ、おそらくフリースタイルじゃないだろうか。彼らが部屋かスタジオのなかで低空飛行する様子がありありと目に浮かぶ。最近は隣に住む塗装屋のオヤッサンがうるさくて我が家では爆音を出せないが、深夜にこういう曲をBGMに友だちとバカ話に花を咲かせたいものだ。
 エレクトロニカ風味の"パープル・レイン(Purple Rain)"や"マリアッチ(Mariacchie)"は、マウント・キンビなんかを愛する音好きも振り向かせるかもしれない。女性シンガー、チヨリをフィーチャーした"ウォーター・ルーム(Water Room)"は、それこそジョージア・アン・マルドローが歌うコズミック・ソウルを想起させる。DJ ツネオという名をこの曲ではじめて知ったが、他の曲も聴きたくなった。

 大半のトラックは天国プランワールドが手がけている。『ドゥービーズ』はアナログの質感にこだわるために、オープンリール・テープによるマスタリングを施したという。なるほど、実際にそのこだわりは単なる懐古趣味に留まることなく、ドゥービーズの音に見事な説得力を与えている。最初は音に耳が行くが、じょじょに言葉の面白さに惹きつけられていく。なんというか、ドゥービーズの享楽的な退廃は、最近読んだ深沢七郎の本のタイトルに倣って言えば、"生きているのはひまつぶし"というニヒリズムの仮面を被った、逆説的な前向きさを主張しているように思える。忙しない師走に小生はそんな感慨に耽り、このアルバムに不思議と勇気づけられたのであります。

白石隆之 - ele-king

年間ベスト。記憶を辿って捻り出した10枚。


1
Chez Damier - Time Visions 2 - Mojuba

2
Moody - Ol'dirty Vinyl- KDJ

3
The Mole - Dreamer Keep On Dreaming - Musique Risquee

4
DJ Yoav B - Love Dubs EP - Delsin

5
Missing Linkx - Got A Minute. - Philpot

6
Vakula - Firecracker EP 5- Firecracker

7
DJ Nature - Everyone / Neighbourhood Novelt - Golf Channel

8
Four Tet - Sing - Domino

9
Floating Points - Peoples Potential - Eglo

10
Farben - Farben EP - Faitiche

Detachments - ele-king

 これはもう......、ダニエル・ミラー。ノーマルであり、初期のデペッシュ・モードであり、さもなければジョイ・ディヴィジョン。この説明でわからない若い世代には、これがシンセ・ポップにおけるイギリスらしいポスト・パンク的展開だと説明しておこう。ささくれ立っていて、ニヒルで、黒い服の似合うディストピアン・スタイルの音楽というわけだ。

 ディストピア・ミュージックとは、デヴィッド・ボウイの『ダイアモンド・ドッグス』からブリアルにいたるまで綿々と続く、いわばイギリスのポップのお家芸でもある。ディストピア・ミュージックとは、アンチ・エスタブリッシュメント・ミュージックと同義に他ならない。一見華やかなこの世界に積極的に背を向けていることの態度表明のひとつで、それは民主党やオバマ大統領に失望した人たちが向かうところでもある。自分たちの暮らしている世界がいかに絶望的な場所であるかをいかに巧妙に伝えるか......それがこの種の音楽の肝である。

 さて、ロンドンの4人組、デタッチメンツによるデビュー・アルバムだ。リリースは2010年の9月、ダンス・ミュージック・ファンの多くは2010年の初頭にリリースされたマーティンのミックスCD『ファブリック50』を通して知っている。2009年にシングル・カットされた"H.A.L."はアンドリュー・ウェザオールがプロデュースに関わっている。この2年、ウェザオールが関わったロック・バンドのなかでもっとも彼の音楽性に近いのがデタッチメンツである。DFAのティム・ゴールドワーシーも1曲参加している。
 "H.A.L."はウェザオールによってディスコ・パンク・ヴァージョンにリミックスされている。それは最近のウェザオールにしては珍しくストレートな、素晴らしくパンキッシュな感触の、ご機嫌なリミックスである。シングル「サークルズ」はマーティンによってリミックスされ、これは幅広くフロア・ヒットしている。パンク好きのDJなら、これは是非とも良いタイミングでかけたい......というか、この2枚のシングルは、ロック的な嗅覚を持ったDJであれば逃していないはずである。

 デタッチメンツは2010年にイギリスのロック・バンドにおいて気に入った数少ない1枚で、もし、ダークスターが『ノース』を発表しなかったら、その座にいたかもしれない1枚である。1980年代のレトロなパソコンと骸骨をデザインした中途半端にダサいアートワークがまた良い......というか、親しみを持てる。

Chart by JETSET 2011.01.10 - ele-king

Shop Chart


1

奇妙礼太郎トラベルスイング楽団

奇妙礼太郎トラベルスイング楽団 機嫌なおしておくれよ REMIX »COMMENT GET MUSIC
DJ Yogurt & Koyasリミックスを収録した12インチも出ちゃいました!今もなお、血眼で探す人が多発する「機嫌なおしておくれよ」がリミックスを加えて、装いも新たに12インチ化!さらに初公開となる新曲"California"も収録です!

2

SOFT MEETS PAN

SOFT MEETS PAN TAM - MESSAGE TO THE SUN EP »COMMENT GET MUSIC
国内屈指のジャム・バンド、SoftとJuzu a.k.a.Moochyの話題のコラボ作からのアナログ・カット!絵本+CDという異色のフォーマットで届けられる『Tam

3

THE GATHERING

THE GATHERING IN MY SYSTEM - REMIXES »COMMENT GET MUSIC
The Revenge、I:Cubeリミクシーズ!!Villalobosプレイにより当店でもヒットした、シカゴ・ヴェテランChez Damierを擁したChris Carrier、Jeff Kのフレンチ・コンビ・ユニットThe Gathering"In My System"の新ミックス収録盤。

4

JAMES PANTS

JAMES PANTS EVERY NIGHT I DREAM / TALE OF A WHALE »COMMENT GET MUSIC
来るニュー・アルバム『Love Kraft』からの先行シングルが到着!80'sソウルにエレクトロ・ファンク、オールドスクール・ディスコ/ラップなどの要素を吸収したJames Pantsらしい注目のニュー・ウェーヴ・トラック2曲!

5

DORIAN

DORIAN MELODIES MEMORIES EP.1 »COMMENT GET MUSIC
Rollin' Rollin'に匹敵の'10年代クラシック!七尾旅人&やけのはら参加の名曲"Shooting Star"収録。当店でも大ヒットした1st.アルバム『Melodies Memories』からのアナログ・カット第1弾!"Shooting Star"に加えて、PV曲"Morning Calling"やDeniece Williams"Free"のカヴァーなど全4曲収録!!

6

EASY STAR ALL-STARS

EASY STAR ALL-STARS DUBBER SIDE OF THE MOON »COMMENT GET MUSIC
ピンク・フロイド「狂気」のダブ・カヴァー・アルバムにリミックス版が登場です!!ご存知、Pink Floydの名盤『Dark Side of the Moon』をアルバム丸ごとダブ・カヴァーした人気作を、今度はアルバム丸ごとリミックス!!

7

DJ COLE MEDINA / SOCIAL DISCO CLUB

DJ COLE MEDINA / SOCIAL DISCO CLUB GLOVE MONEY »COMMENT GET MUSIC
American Standard、新作は極上リエディット3トラックスを収録!!昨年の活躍も凄まじかった当店人気のニュー・ディスコ・アクト"Social Disco Club"と、当レーベルからリリースされた"Love You Inside Out"のリエディットがビッグ・ヒットを記録した"Cole Medina"の強力タッグ・リリース!!

8

BRYANT K

BRYANT K DAISIES GROW »COMMENT GET MUSIC
Stones Throwからの新たな才能、Bryant Kがお目見え!80'sのModern Soulの影響が垣間見れる名刺代わりの一発。今後の動きから目が離せません!

9

TONY COOK

TONY COOK BACK TO REALITY »COMMENT GET MUSIC
生ける伝説Tony CookとStones Throwのコラボ企画が遂にアルバムに発展!'82年から'86年に録音されていた楽曲に、Dam FunkのVo.をはじめとするStone Throw軍団の手が加わり、最強のディスコ/ファンク・ブギー・アルバムが完成!!

10

MORITZ VON OSWALD TRIO

MORITZ VON OSWALD TRIO RESTRUCTURE 2 »COMMENT GET MUSIC
Moritz von Oswald Trio待望の新作も最高でした!!Honest Jonsからの過去2作いずれもコアな人気を博しているMoritz von Oswald, Vladislav Delay(Luomo)、Max Loderbauer(Sun Electric)のトリオによる話題の12"シングルが到着。

Ree.K - ele-king

Favorite 2010


1
Stripper - Wasp Killers - 4Digital Audio

2
Pfirter - Wow! Signal - MindTrip Music

3
Alexi Delano & Adam Beyer - Sleep Horn - Drumcode

4
Hey Today! - Talk To Me - Turbo Recordings

5
Javi Lago - Inconsciente - Polygon Acid Mix - Sintetics Digital

6
Phillip Charles - Controlled Input - Hallucination Limited

7
Audioresponse - The Shelfpicker - Gon Records

8
Kiko & Gino's - Star Braker - Signature By Kiko

9
Llydo - Quinchos (Abe Duque Dub Remix) - Dilek Records

10
D. Diggler - Thru Walls - Ground Factory Records

DJ DUCT (THINKREC.) - ele-king

2010年ベストディスク


1
Erykah Badu- New Amerykah Part Two: Return of the Ankh - Motown

2
Mochilla Presents Timeless - Suite for Ma Dukes - Mochilla

3
Moody - Ol' Dirty Vinyl - KDJ

4
Black Milk - Album Of The Year - Fat Beats

5
Nick Speed - Speed of Sound - Underground Resistance

6
Flying Lotus - Cosmogramma - Warp Records

7
Jeff Mills - The Drummer Part2,3 - Purpose Maker

8
9dw - rmx - ENE / CATUNE

9
Soft vs DJ Duct - Loop Segundo - NNNF

10
DJ Duct - Backyard Edit Pt.2,3 - THINKREC.

Teebs - ele-king

 2010年のクラブ・シーンにおける大きな出来事のひとつにフライング・ロータスの『コスモグランマ』があった。『Resident Advisor』は年間ベストの2位に、礼儀正しい『TINY MIXTAPES』は"好きなアルバム50枚"の4位に、日本のインディ・ロック・キッズにもカニエ・ウェストを買わせたであろう『PITCHFORK』は14位に......、『FACT』にいたってはトップ40枚にも入らないという極端に低い扱いだが(曲がりなりにもクラブ・メディアがJJのようなアコギ系ソフト・ロックを褒めておいてあれは酷い)、僕自身も『コスモグランマ』を初めて聴いたときにはとても興奮したし、2010年のハイライトに違いないと思ったけれど、結局自分の"好きなアルバム10枚"には入らなかった。15位以内には入るけれど、たったいま聴き返してみたいという衝動には駆られない。

 理由はいくつかある。ある時期からエレクトロニック・ミュージックへの興味がジェームス・ブレイクに注がれたこと、あるいはエメラルズOPNのコズミック・ミュージックに強く魅入られてしまったこと......等々。発表された当時はよく聴いたものだが、夏以降は聴かなくなってしまった。宇宙に行きたければエメラルズを聴いたし、ビートを楽しみたければダブステップを聴いた。『コスモグランマ』は良くも悪くも古典的で、スティーヴン・エリソンに何度か取材した経験で言えば、彼はおおよそ古典主義者的な人だった。彼には良くも悪くも厳格的なところがある。そういう彼の属性を考えれば『コスモグランマ』は完璧で、エリソンの芸術的な高みに違いないとは思うのだが、実際のところ『ロサンジェルス』のラフな感覚のほうが好きなファンも多いではないのだろうか。

 ティーブスとトキモンスタ、この2枚とも2010年のリリースであり、フライング・ロータスの〈ブレインフィーダー〉まわりのトラックメイカーであり、どちらも好きなアルバムだ。2枚ともドリーミーで、際だったトゲのない穏やかな音楽と言えるし、ファンタジーめいているとも言える。ノサジ・シングといいゴンジャスフィーといい、あるいは〈ロウ&セオリー〉周辺にはサイケデリックな感性が横溢しているように思える。これに関してはトラックメイカーのみならず、〈ノット・ノット・ファン〉のようなインディ・レーベルからベスト・コーストないしはノー・エイジのような連中にいたるまでの最近の西海岸の"傾向"でもあるけれど、その基本は酩酊のための音楽だと思っている。もっとも酩酊の感覚は大衆音楽にとっては重要な要素で、Pファンクからチルウェイヴ、レゲエからアンビエント、ジャズからハウスにいたるまで銀河のように広がっている。スティーヴン・エリソンのなかの厳格さも、こうした音楽の快楽原則に逆らっているわけではない。ゆえに『コスモグランマ』も好かれたのだろう......が、同時に僕は『ミッドナイト・メニュー』と『アーダー』も気に入っている。かたや韓国系アメリカ人女性、かたや元画家によるヒップホップの夢想である。

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