「Nothing」と一致するもの

Vindicatrix - ele-king

 イギリスでは靴下がかつてなく売れているという。若い人たちが暖房費を節約するために。スペインでは卵子を売る女性が増えているという。精子は安すぎて家計の助けにならないらしい。3回目を数えたササクレフェスティヴァルの帰り道、僕は「悩み無用」とか「来年なんてピンと来ない」といった歌詞を思い出していた。その場では楽しかったけれど、会場を出てから尾を引いたのはどことなくネガティヴな言葉ばかりである。超然としていたのは快速東京だけで、あとはもしかして若い人たちの悲鳴を聴いていたようなものだったのだろうか。アトモスフェリックなムードを強調するザ・オトギバナシズはもうひとつ歌詞がよく聴き取れなかったけれど、三毛猫ホームレスの「金くれ~、仕事もくれ~」はやはり耳に残留しまくっている。聴き損ねてしまったけれど、狐火のラップを聴いて泣きそうになっていた人もいるらしい。

 そうでなくとも今年は暗い音楽のほうがしっくり来ていたので、家に帰ってからもホーリー・アザーベルザーリン・カルテットといったものばかり聴いてしまった。10年前のヤン・イエリネクやアンチコンと暗さの質を聞き比べたあげく、どうせだと思ってデビュー・アルバムを出したばかりのヴェッセルとヴィンディケイトリックスも聴いてみることにした。オーファン・フェアリーテイルイーヴェイドもどちらかといえばその口だったし、今年、もっとも暗い音楽選手権でもやろうかなと思いつつ......(ササクレの2日前に戸川純がやはりライヴで"蛹化の女"を歌う前に「この曲は、昔、本当に辛かったときにつくったものです」とMCで話していたことも頭のどっかにはあったかもしれない。「いま、そういう気持ちでつくられた歌はあるのかな、あるとしたらどれなんだろう」と、終わってからフェミニャンや水越さんと話していたことがササクレから答えとなって返って来たような気さえして)。

 ブリストルのヤング・エコー・コレクティヴからセバスチャン・ゲインズバローによるヴェッセル名義『オーダー・オブ・ノイズ』はいかにも〈トライアングル〉という感じで雰囲気は十分。トリッキーをシャープにしたような感じで、そこかしこに甘美なダークネスが敷き詰められているものの、全体的に手法的な統一感はなく、そのせいなのか、暗さに没頭するところまでは行かなかった。それぞれの文脈ではいい曲もあるんだけれど、むしろ同じ〈トライアングル〉からのデビューだったホーリー・アザーの完成度が際立ってしまったというか。これに対してデヴィッド・エアードによるヴィンディケイトリックスはデムダイク・ステアー周辺やエンプティセットの背後に見え隠れするインダストリアル・ミュージックの残像がベース・ミュージックの文脈に取りついたもので、ある種の恐怖体験をそのまま音楽にしたホーンテッド・ダブステップとでも呼べる......ようなものかと思って聴き続けていると......ダメだ、どうしても笑いがこみ上げてくる。あはは。あーはっは。

 ヴォーカルのせいである。デヴィッド・シルヴィアンにも喩えられているエアードのバリトンは、なるほどグラム・ロックの響きを持っている。僕にはビリー・マッケンジーのほうが近いように思えるけれど、あまりにもうっとりと暗い世界に浸りきっていて、歌いかけるべき相手を見失っているというか、彼が自分自身のためにしか歌っていないことがありありとわかるので、どうしても笑いが誘発されてしまう。暗いといってもここには辛さや悲しみはなく、ライフ・スタイルとしてのゴシック趣味があるだけで、要するにロッキー・ホラー・ショーである。ジェイムズ・ブレイクのパロディとしてもかなり楽しいし、元々、マイケル・ジャクスンのカヴァーで注目を集めた人なので、手法的にはハイプ・ウイリアムスのそれを踏襲している面が多い。ブランド&コープランドがジャパンに手を出したら、きっとこんな感じになることは避けられないはずだし、そもそも悪趣味を洗練させたらイギリス人に適うわけがない。つーか、暗い気持ちを増幅させるつもりで聴きはじめたのに、すっかり気分が変わってしまったw。インドネシア語でつけられたタイトルの意味も調べてみたら「大暴れ」とは......。

 真面目な人がここまで読み続けてるとは思えないけれど、以下は、さらにヒマな人向け。『メンガムク』をリリースしたモーダント・ミュージック(以下、MM)について。

 シャックルトンのデビュー・シングル「ストーカー」をリリースしたことで知られるMMは(ヴィンディケイトリックスが最初に知られたのもシャックルトンのリミックスによる)、レーベルを主催するバロン・モーダントとアドミラル・グレイスケールによる同名のユニットがリリースの中心で、ほかにはあまり手を広げていない(最初のレーベル・コンピレイションはMMとシャックルトン、ヴィンディケイトリックスしか収録されていない)。いまでもその要素は強く残しているけれど、MMは当初、ノイズ・ユニットとしてスタートし、おそらくはシャックルトンの影響でベース・ミュージックやダブステップにも手を広げていったのだろう。とはいえ、モーダント男爵ことイアン・ヒックスは90年代後半にはデッドストックとしてインターナルや、ダニー・ローズとしてレフトフィールドの〈ハード・ハンズ〉から適当なダンス・ミュージックはさんざんリリースしてきた口である。さらに遡れば80年代にはポーション・コントロールのメンバーだったこともあり、セカンド・サマー・オブ・ラヴの時期にもボディ・ミュージックのアルバムを何枚か残している。それらをひと言でまとめると、とにかく要領が悪い、いつまでもシーンの周辺にいて、何がやりたいのかわからない人となる。実際、彼がそれまでにリリースしてきたレーベルは悪くないレーベルが多いし、「機会は与えられてきた」にもかかわらず、それを活かせなかったと言われれば終わりである。返す言葉はないだろう。ただ、僕自身、それと知って彼のことを追いかけてきたわけではないのに、上記した作品はなんとなく買ったり、聴いたりはしていて、作品を手にとらせる力はなくはないし、MMにしても最初は新人だと思って聴いていたぐらいである。つまり、何度でもやり直してきたともいえるわけで、その効果はゼロではないし、諦めの悪さもここまでくれば大したものではある。曲がりなりにもMMは12年も続いているし、90年代と同じ過ちを繰り返していないことはたしかである。

 その彼が、最近、MMから立て続けに2本組みカセットなどをリリースしているエコープレックスと新たなユニットを組んだ。トースティングにアルビーを加えたエムプレックス(eMMplekz)がそれで、これがエコープレックスと同じ手法でありながら、それをさらに上回る完成度を感じさせる。野田努が初期のキャバレ・ヴォルテールを引き合いに出したのもなるほどと思えるニック・エドワーズのダブ・ドローンにヒックスは主にはヴォーカルで参加しているようで、クレジットには動名詞のプロセッシング(?)とか貝(?)とか記されている。よくわからないけれど、いろんな音を出しているのだろう。音数が多い分、エコープレックスの単独作よりもコクがありw、踊れないダンス・ミュージックの世界を広げているというか。後半は歌いまくりのシンセ-ポップ。ダークで、それこそポーション・コントロールに逆戻り。最後はこんな歌詞で締めくくられる。「我々は喜んで払い戻します。取替えも可。期待に応えられなければね。スタッフにお申し付けください。これはあなたの土曜の夜を魅了しないでしょう」

 スポーツウェアのことなのか、衝撃テストを指しているのか、『アイゾット・デイズ』と題されたアルバムにはエディ・コクラン"サマータイム・ブルーズ"のカヴァーも収録されている。スーサイドのようにアレンジされたそれはイライラとした感情が剥き出しにされ、ちょっとカッコいい。この曲にはそういえば、60年以上も前に若い人たちがあげた悲鳴が記録されている。いつでもそれは取り出し可能なのである。そう、これを聴いていて、いままた、ハハノシキュウとドタマが来年のクリスマスをぶっ潰してやるといってササクレ・フェスでキック・ザ・カン・クルーの"クリスマス・イブRap"をメタクソにしたヴァージョンをやりはじめたことを思い出してしまった。あの感覚はもしかすると初期のハイプ・ウイリアムズやヴィンディケイトリックスに通じるものがあったかもしれない。

Rhythim Is Rhythim - ele-king

 1991年か1992年、デリック・メイが、リズム・イズ・リズムとして、トレヴァー・ホーンの〈ZTT〉からデビューするはずだったという話はファンのあいだでは有名だ。しかし、トレヴァー・ホーンの執拗なディレクションにドタマに来たデリック・メイは、テーブルをひっくり返してしまった。こうして、リズム・イズ・リズムのデビュー・アルバム『ザ・ビギニング・オブ・ジ・エンド』は幻となったわけだが、アルバムの先行シングルが、実は「ザ・ビギニング」だったことをデリック・メイから昨晩教えてもらった(そして、その「ザ・ビギニング」の方向性を嫌ったのも、レーベルの側だった)。
 よって、リズム・イズ・リズムのアルバムのために録音された曲は、1993年に"アイコン"として発表され、続いてロング・アゴー名義の"レリックス"として、リズム・イズ・リズム名義では"ケオティック・ハーモニー"、そして同名義で1999年のコンピレーション『タイム:スペース』において"ビフォア・ゼア・アフター"として発表されている。12月5日にリリースされる〈トランスマット〉の新しいコンピレーション・アルバム『BEYOND THE DANCE~TRANSMAT 4』には、さらにまた、『ザ・ビギニング・オブ・ジ・エンド』からの1曲"ハンド・オーヴァー・ハンド"が収録されている。20年かけて、デリック・メイが当時どんなアルバムを作っていたかがようやくわかってきた(笑)。(そして、それは相当に、メランコリックな作品だった)

 以下の映像は、1989年、26歳のデリック・メイ、20歳のカール・クレイグのふたりによる、リズム・イズ・リズムのロンドンのライヴである。遠くで野球帽をかぶっているのがカール・クレイグ、手前でシンセサイザーを弾いているのがデリック・メイ。ファッションが時代を物語っているが、音楽はいまも超越的に聴こえる。

八代亜紀 - ele-king

 2012年を振り返ったとき、年の前半に胸を打たれたのはトラウマ化した街頭を彷徨っている若いロック・バンド、きのこ帝国だった。そのことひとつ取っても「若者」や「青春」はいまも確実に息をして生きている......わけだが、今回は、まずは、「若者」とは呼べない年齢の方々にオススメの邦楽を2枚紹介したい。どちらもカヴァー集で、1枚はジャズ、もう1枚はレゲエ......などと言うとマニアックな音楽かと思われるかもしれないが、そんなことはない。

 小西康陽がプロデュースする八代亜紀『夜のアルバム』は、いかにも場末のジャズの、暗く美しい夜の音楽だが、これをいま消えつつある夜の世界の抵抗の話に還元するのは早とちり過ぎるだろうか。
 個人的な郷愁がそんな思いを促すのかもしれない。僕が育った環境は虫の声よりも酔っぱらいの鼻歌や痴話喧嘩、演歌が毎晩がんがん鳴り響くようなところだったので、猥雑さはある種の生活音であり、環境音だった。自慢すべきことでもないが卑下すべきことでもない。ただ子供の僕はその手の夜に心底うんざりしていたので、大人になってそちら側の夜に足を踏み入れることはなかった。ところが、長いあいだずーーーーーっと嫌悪していた夜も、いつの間にか、どこかへ行ってしまったように思うときがある。実際僕の実家周辺はほどほど小綺麗になって、その手の喧噪はこの10年でいっきになくなった。寂しい話だ。それが自分の趣味と違っていて、たとえ自分には縁のないスナックやパブの物語であっても、夜は存在し続けるべきである。
 『夜のアルバム』は小綺麗なラウンジ・ジャズではない。演歌の世界観を草食系文化への当てつけのように面白がるわけでもない。この音楽は、もっと真っ向から、酒と涙にまみれたジャズの妖しい輝きを抽出する試みのように思える。超大物演歌歌手の声は、夜の深い底から上昇することなく、ゆっくりと低空飛行を続ける。悲しみは静かに解放されて、失われつつある夜は回復される。デザイン、写真ともにレトロ調にパッケージされている『夜のアルバム』は、洒落た意匠を崩すことなく、最後まで闇のなかから出ようとしない。そして、スリリングな演奏によるダウナーな光沢のなか、さりげなく反社会的な愛の香気を差し出すのである。
 昔クラブの店員を取材したときに「夜には何でも起こりうる」と言われたことがいまでも忘れられない。望んでもいない明るい光によって夜は奪われつつあるのだろう。泣いてもわめいても何をやってもいい夜が。
 そういう意味ではザ・スミスの名曲とは真逆の......いや、好むと好まざるとに関わらず、演歌的なるものは今日の日本のロックやヒップホップにも偏在しているものだが、本作はそこを強調するというよりも、翻訳文化としての邦楽を追求しているように思える。なにせライナーノーツは片岡義男、英語歌詞の訳者は奥田祐士というそのスジの大先達なのだ。

 もう1枚、『青春レゲエ』は、この身も蓋もないタイトルに引いてしまう人にこそ聴いて欲しい、日本のラヴァーズ・ロック・アルバムだ。
 ラヴァーズ・ロックとは、80年代、UKのジャマイカ系移民向けに作られた大衆的なラヴ・ソング・レゲエを指すのだが、『青春レゲエ』は、リトルテンポの土生剛(Tico)と元デタミネーションズのイッチー(icchie)のふたり──つまりレゲエのベテランによるニュー・ミュージック/歌謡曲のレゲエ・カヴァー集で、大衆的なラヴ・ソング・レゲエという点において、「日本のラヴァーズ・ロック」と呼びうる内容になっている。
 チエコ・ビューティー、中納良恵、武田カオリ、高木一江といった実力派の女性ヴォーカリストを招いて、70年代から80年代にかけて荒井由美、松田聖子、中森明菜らが歌った王道の青春ソングを、美しいレゲエ・アレンジと演奏でカヴァーしている。僕は、荒井由美にも松田聖子にも中森明菜にも、まーーーったく何の思い入れもないクチだが、今回は土生剛とイッチーの芸の前に屈服した。ミキシングは内田直之で、ギャビー&ロペスの石井マサユキやザ・Kも参加。水森亜土のイラストも個人的には苦手だったけれど、そうした趣味の違いをすっかり乗り越えて、彼らのラヴァーズ・ロック解釈に僕はやられた。原曲のメロディが良いということもあるのだろうけれど、ふたりのアレンジとキャスティングでなければ好きになれなかったことは間違いない。

TIMEWARP feat. BRAWTHER @eleven - ele-king

 ジョイ・オービソンやボディカ、あるいはジェイミーXXらUKベース・ミュージックの若手がハウス・ミュージックへとアプローチするなか、ラッシュ・アワーのような長年そのシーンをサポートしているレーベルが活気づいたり、シカゴの巨匠のひとり、シェ・ダミエが脚光を浴びたり、ブラック・ジャズ・コンソーティアムのセカンド・アルバムが時間をかけながらじわじわ広まったり、ディープ・ハウスらしく地味ながらも、ここ数年、ソウル/ジャズ・テイストのハウス・ミュージックが活気づいている(井上薫も新作を出したばかりですよね)。そんななかで、アレックス・フロム・トーキョー率いる「TIMEWARPクルー」がよりによって11月23日に夜にハウスの密会を企んでいる。
 今回は、ロンドンのパーティ・シーンを牽引し続ける「secretsundaze」をはじめ、各国のフェスティヴァルでオーディエンスを沸かせている期待の若き才能、ブラウザー(BRAWTHER)がゲストDJで初登場! 
 日本でのプレイは初となる彼ですが、盟友シェ・ダミエも認める古き良きディープ・ハウスをアップデイトさせたような作品、モダンかつトラディショナルなメロディを共存させたようなプレイから広がるサウンドスケープでオーディンスを魅了する。ファンキー&エクレクティックなアレックス・フロム・トーキョーによるロングセットもお聴き逃しなく!!
 VJもフロアに多数のスクリ-ンをセットし会場一面を異空間に彩ります。ラウンジも「TIMEWARP」フレンズのDJ陣に加え、JMCで活躍中のTomouyki YasudaとDJ Stockがグルーヴ感溢れる空間にエスコートしてくれることでしょう。ファンキーなアーバン・サウンド&ヴァイブスがParis・New York・ London・Tokyoを繋ぐ熱い一夜。ディープ&モダンなダンス・パーティにご期待下さい!

「TIMEWARP- feat. BRAWTHER -」
日時:2012年11月23日(金) 22:00~
会場:西麻布eleven
東京都港区西麻布1-10-11セソーラス西麻布B1/B2
https://go-to-eleven.com/
料金:3,500円 / 3,000円(w/f) /
1000円(first 50 people before 23:30)
★11月生まれの方は入場無料!
(※ドリンクチャージとして1000円頂戴します。
要写真付き身分証明書)

Guest DJ:
Brawther(The Secret Agency/Balance)

DJ:
Alex from Tokyo(Tokyo Black Star/Innervisions/Worldfamous NYC)
Ryo Watanabe(FACE/ESCAPE)
TR(:SYNTHESIZE)

VJ:
SATI. (HUEMM)、 KOCCI & VJ HAJIME

Lounge DJ:
CANA (MOON'S A BALLOON)
Alixkun(Konnekt)
T.B. Brothers
Tomoyuki Yasuda(JMC/WAVE MUSIC)
DJ Stock(WORLD SPIN/JMC)

Photo:
Kenjiro Abe

Food:
OSTERIA SCHUMACHER

https://go-to-eleven.com/schedule/detail/761/2012/11

Produced by :Synthesize inc.
https://www.synthesize-inc.com/

Supported by adidas originals
https://www.adidas.com/jp/originals/

BBH - ele-king

 膨大なレコードからざっくりスライスして、さくさくと展開するところはJディラの『ドーナッツ』を彷彿させるが、『ジ・アルバム』はソウルというよりも『サージェント・ペパー~』の側だ。ヒップホップというよりはカクテル・ラウンジとさえ呼べる。とくに前半は、洒落ている。つまり、フライング・ロータスの新作以上に、こちらのほうがジェントル・ピープルだ。
 そんなわけで、『ジ・アルバム』が『ファンタズマ』や砂原良徳の隣に並んでいても驚かない。アートワークのデザインの方向性次第では、このアルバムはウータン・クランよりもディック・ハイマンさもなければドリーム・ポップのコーナーに分類されていたかもしれない。

 BBHとは、Bushmind + starrBurst + dj Highschoolの3人組で、日本のアンダーグラウンドなヒップホップ・シーンの......もはやベテランと呼べるのだろうか。ブッシュマインドは昨年、通算2枚目となるソロ・アルバムを出している。そのアルバム『Good Days Comin'』では、ラッパーたちの協力のもと、ここではとても書けないある種の真実を描いているが、BBHはそのインストゥルメンタルな展開とも言えるかもしれない。
 彼らは本当にいろいろなところから音を持ってきている。イージー・リスニング、サントラ、レゲエ、パンク、ロービットの効果音......雑多な音のなかから彼らいうところの「サイケデリック」を表現している。ここには、厳しいストリートの生存競争や都会の感傷、お決まりのメッセージやリアリズムなどから遠く離れた、桃源郷的とも言える心地よさがある。たとえば20曲目の"THENEONLIGHTSGLITTERSANDCHANTSTHROUGHTHENIGHT"などは、ソニック・ブームのヒップホップ・ヴァージョンとも呼べるようなもっとも印象的曲のひとつだが、いきなり20曲目に飛ばして聴くよりは、最初から順番に聴いていったほうが良い感じのアルバムだ。

 オウル・ビーツやブン、ブダモンク、フラグメントイーライ・ウォークスなどなど、2010年はドイツのレーベルが、そして2012年はフランスのネット・レーベルが日本以上に日本のビートメイカーを評価しているかのようなコンピを発表、オリーヴ・オイル以降の......と呼ぶのが的確なのかどうかはさておき、ビート・シーンにはたくさんの才能がごろごろしているようだ。他方では、クロックワイズも再活動すると宣言しているし、女性ビートメイカーのクレプトマニアックにも他ジャンルからの注目が集まっている。メインストリームではDJフミヤが楽しいアルバムを発表したばかりだ。そういうなかにあって、BBHは、他の誰とも違った、温かくドリーミーなアプローチを見せている。やや幻覚気味のイージー・リスニングだと思う。ある意味、いままでブッシュマインドとは縁のなかったリスナーにこそ聴いてもらいたい。

Ital - ele-king

 ダンス・ミュージックといっても、アイタルの場合はまるで首根っこを押さえて踊らされるような抑圧的なものがあって、それが身体的な快楽へと結びついていくのは先のことになる。解放するビートではなく、制圧するビートと言えばよいだろうか。筆者にはダブル・バインドの感覚に近いように思われる。ビートは踊れと言ってくるが、音全体としては踊るなと言う......深刻な精神の危機に結びつくともされるこの二重拘束のプレッシャー、そのなんとも消耗的な抑圧ののちには、わあっと叫びながら踊り出してしまいたいような危険な快楽が待っている。
 実際にブラック・アイズからミ・アミまで、彼アイタルことダニエル・マーティン-マコーミックの異様なヴォーカル・スタイルには、一貫して同種の分裂が感じられる。女性かと思うほど高く、カンの強い声でけたたましく叫びまくる彼のヴォーカルは、けっしてハードコア由来のものとばかりは言えない。もっと彼の存在そのものに根ざすような、スタイルを超えた衝迫がある。ライヴにおいても感じたが、それは唐突にはじまって止む。制御のきかない、彼自身の精神のいち部であるようにきこえる。ゆえにあらゆる形式性から逃れ、シャウトでもスクリームでもない、未確認のノイズとして鮮やかな印象を頭に焼きつける。
 今作ならば、たとえば"エンリケル"後半の掻き傷のような高音ノイズがその代理だ。殺伐としたドローンとインダストリアルなビートが、相反する信号を発しながら二重拘束を強いてくる。その割れ目から漏れ出すキリキリと不快なノイズは、嫌がらせるようにじりじりと音程を上げ、なかなか止まない。
 あるいは"ホワット・ア・メス"。今度は冒頭からうんざりするようなファルセットの嘆願――嘆願かどうかは知らないが、しつこくねちねちと、リヴァーブで増幅しスクリューで減速しながら、何事かしゃべりつづけている――に圧迫され、すっかり滅入りながらも身体はダンス・ビートでハイに刺激されるという、逃れたくてたまらないダブル・バインドが襲ってくる。これをヘラヘラとクールに聴けるほど筆者はタフではない。だが、"ディープ・カット"の冒頭までには、その不快さから去りがたいほど骨抜きにされて、ぐったりしながらも音に身をもたせざるを得ない。

 こうした感覚については、マーティン-マコーミックは自覚的な発言を残している。「身体的な嫌悪についてよく考えていて、その表現を自身のなかや他人に見つけたように、精神にあるむき出しの神経に直接触るような、そんなプロジェクトをはじめたいと思った」。これは彼がソロ・プロジェクトとしてセックス・ワーカーを名のりはじめるにあたって考えたことだというが、アイタルにおいてもじゅうぶんにその性質を語るものである。つづけて彼は、それらが彼自身のなかの嫌悪に対するアート・セラピーだとも述べる。薄気味が悪いほど冷静な自己分析だが、おそらくそのとおりなのだろう。こうした分裂によって、彼は何かを縫合しているのかもしれない。
 そうすると"ディープ・カット"における救いが見えてくる。強すぎない4つ打ち、ノイジーだがどこか抜けのある音響。ライヴ・エディットが用いられているのは、適度なチルアウトによって、この「治療」を完結させるためではないだろうか。じつに巧妙な構成をしている。

 彼は〈タッチ・アンド・ゴー〉から〈ノット・ノット・ファン〉、そして〈プラネット・ミュー〉を渡ってきた。彼のなかの異形のハードコアは、〈タッチ・アンド・ゴー〉の象徴的な幕引きとともにバンドのスタイルを解かれ、ダンスに、ハウスに、ドローンに、ダブに拡散し、また凝縮していった。〈ノット・ノット・ファン〉や傘下の〈100%シルク〉は、こうした不定形のハウスを受け止めて発信する柔軟さと先鋭性とでインディ・シーンを大きく動かした。本人も言うように、ベッドルーム・ミュージックを作るプロデューサーと、DJと機材オタクとがいっしょにいるような、ゆるやかなコミュニティであることがこのレーベルの性格をよく表している。そしてポリシックのサイケデリアやルーディ・ザイガドロのクラシック趣味とR&Bなど、今年も幅を広げている〈プラネット・ミュー〉にも冴えがあった。彼は狙ったわけではなく、自然に時代のモードと併走している。この数年における重要なレーベルをつなぐ数奇な精神/身体として、アイタル名義で2作めとなる本作には説得力ある完成度が宿っている。OPNなどとの共通性も強くうかがわれるが、マーティン-マコーミックには粗野で抑制のきかないカルマがあり、それが方法においてはラフでありながらも強い魅力になっている。インディ・ダンスと言わず、この数年のインディ・シーンを見渡したときに、ぜひとも捉えておくべき1点である。

「いま楽しまないで、いつ楽しむの?」 - ele-king

 あのー、実は僕、今年、初めて国内のオールナイト・イヴェントの代表格とも言える、〈ワイアー2012〉に行ってみたんです。ふだんライヴハウスでバンドばっかり見てる人間がなぜレイヴに行ったかというと、これは〈フリー・ドミューン2012〉と、マニュエル・ゲッチングの影響がかなり大きい。やっぱり大きな会場でしか感じ得ない迫力、熱気、スリル(笑)、朝型のおかしなテンションで踊るっていう快感みたいなものの至高性を、初めて確認したひと夏だったんです。
 そもそもレイヴ・イヴェント自体が初体験だったので、かなりドキドキでしたが、行って良かったです。はい、衝撃を受けました! とにかく、その場の雑多な感じがライヴハウスにはないです。たとえば変なおっさんがブリブリになって発狂してるし、いっぽうフロアではモンブランみたいな髪型したキャバ嬢っぽい女性がデリック・メイで踊ってるわけ! もう本当にいろいろな人たちが集まってる。もう衝撃すぎて、朦朧とした状態で帰りの電車に揺られて帰りました。ああいういろいろな人たちがいるのって、やっぱオールナイトのフェスやレイヴならではだよなーと。でも、ちょっと待って。あとから思ったんだけど、僕と同世代の20歳ぐらいの子がもっと多ければ良いのに。なぜもっといねーんだよー!

 わかりますわかります。たしかに都内などで開かれている深夜のオールナイト・イヴェントは敷居が高いっていう風に思われてるのはわかります。レイヴとかだとなおさらです。僕もゴス・トラッド主宰の〈バック・トゥー・チル〉にずっと行きたいと思ってるけど、まだ行けてません。やっぱり、ひとりは心細いし、ちょっとビビってるっていうのが本音です。
 しかし、大きな会場で開催されるイヴェントはアクセスしやすいんです。僕のような初心者に優しいんですね。楽しみ方もいろいろで、自由度が高いんです。欧米でレイヴが盛り上がっている理由はよくわかります。だって、面白いからでしょうね!

 最近は「若者の夜遊び事情、深刻化」など、いろいろ言われているけど、実際、わかるよ! だって、お金ないし、平日から飲んだら次の日やばいし、わざわざ夜出かけるのってけっこう面倒くさいよね(ちなみに、こういう人間を最近は、草食系を超えた絶食系と呼ぶらしいよ! ひゃー!!!!)。 

 これからの僕らの生活って、へたしたら、いま以上に制限されるかもしれない。そして身体も、だんだんいうことが利かなくなるかもしれないw。やっぱどう考えても、楽しむのはいましかないよな。来年まで......とか、あわよくば......とか言ってる場合ではない。
 ワクワクする感情ってとっても大切だ。そのワクワクも、きっといろんな経験や出会いによって、形が変わってしまうかもしれない。僕らが抱いているワクワクは、「いましか感じ得ないワクワク」だっていうことを、もう一度ここで一緒に考えたい。そのワクワクが解放された瞬間、何かがきっと動きだすんじゃないかな、などと夢想するのはバカ過ぎる? でも、何を言われても、そんなエネルギーが、僕はもっともっと必要だと思うのです。
 二度と繰り返されることのない、ひと晩の物語があるんです。ブリブリになって踊っているおっさんや、キャバ嬢風の女性はきっとわかってるんですね。こんなしょーもない社会から、いっときだけ逃避して、音楽に興奮して、踊りまくって、それが明日へのモチベーションに繋がるっていうことを。ライヴ行きませんか? 一緒にオールしませんか? 2012年、もう終わっちゃうとか言ってないで、もう少しだけ楽しみません? いまは、いましかないし、きっかけならここにある!! 
 っということで、祝エレクトラグライド3年ぶり復活!!!! 受験期ということで、涙を呑んだ2009年の〈エレクトラグライド・プレゼンツ・ワープ20〉から早いもので3年が経ち、今年ついに僕も初めて行きます(当日、エレキングで物販を出す予定!)!! これだけ見れて前売り8800円というのも嬉しいです。

 
 新旧さまざまな実力派のアーティストが出演するエレクトラグライドですが、フライング・ロータスがやっぱりいちばん見たいかなぁ~。9月に発売された『アンティル・ザ・クワイエット・カムス』から、いったいどんなパフォーマンスを見せてくれるのか期待です! 
 あと、相模原で今年も開催された〈エックスランド・フェスティヴァル2012〉で、雨が降るなか、怒濤のパフォーマンスを見せてくれた、DJクラッシュも楽しみです!!(このライヴは僕が今年見たベスト・パフォーマンスのひとつ!)

 あ! そうそう、〈フリー・ドミューン2012〉や〈ワイアー2012〉はヴィジュアル・コンセプトが本当にしっかりしていて、会場に入った瞬間、もうその世界に入っていけました。音が鳴っていたんです(まだ演奏もはじまっていない段階で)!   
 エレクトラグライドは〈幕張メッセ〉開催なので、大きな会場だからこその見せ方や、いろんな仕掛けにも注目したいです! 

 では、11月23日〈幕張メッセ〉で会いましょう!!!!!

DJ mew (恥骨粉砕) - ele-king

2012.12.15 恥骨粉砕@Star Pine's Cafe!!!!!
久々やります!皆様どうぞよろしくお願いします!
more info https://chikotsu-funsai.tumblr.com/
blog https://djmew.exblog.jp/

今秋のベストヒット 2012.11.07


1
Laid Back - Cosyland - Brother Music

2
Traxman - Itz Crack - PLANET MU

3
LV feat. Ruffest - Ultando Lwaka - Hyperdub

4
Junip - Howl - MUTE

5
blur - She's So High - EMI / PARLOPHONE

6
Jon Hassel - Toucan Ocean - Lovely Music

7
Coldplay - High Speed - EMI

8
DJ Krush - 蒼い雨 - Es.U.Es Corporation

9
Nick Cave & The Bad Seeds - Red Right Hand - Mute Records

10
DJ Rashad - Kush Ain't Loud - Lit City Trax

Chart Meditations 2012.11.12 - ele-king

Chart


1

Andrew Chalk - 狂詩曲の波間に浮かぶ四十九の風景 (Faraway Press)
英ドローンの重鎮Andrew Chalk待望の新作は、なんと49のランドスケープを49曲で表現した54分に渡る至福のラプソディー集。現実世界が薄らいでいく事間違いなしの紛うこと無き傑作です!

2

Bernard Gagnon - Musique Electronique (1975-1983) (Tenzier)
Xenakisに師事していたカナダの電子音楽家によるコンクレート集。どれもこれも鋭利な金属摩擦のようで完成度が凄まじい。間違いなく2012年の重要発掘作でしょう!

3

Cut Hands - Black Mamba (Very Friendly)
アフロノイズ・プロジェクトCut Hands待望の2nd。重い打撃の岩石パーカス、暗黒アフロな辺境リズム、髪が逆立つ鋭いノイズはここでも炸裂。アンビエント要素も増えて更に暗黒界を制覇してます!

4

Twinsistermoon - Bogyrealm Vessels (Handmade Birds)
世紀末ドローンと、男性の声とは思えない程にボーカルの甘さが際立つフォークを演奏する仏作家の新作。混沌と至福の境界線が曖昧になって深くなってます! ジャケも素晴らしい。

5

Sympathy Nervous - Plastic Love (Minimal Wave)
ここMWにより再評価が高まった国産シンセポップ・ユニットの編集盤第2弾。80sテクノポップにテクノの原型やインダストリアル、日本語詞と、電子音が跳ねまくる絶妙な格好良さです!

6

Bee Mask - Vaporware / Scanops (Room40)
奇跡の来日も記憶に新しい電子音楽家Bee Mask。長尺2曲構成にて、宇宙の漆黒や星々の光を巻き付けながら神秘的な電子音がグングンと上昇。抜群のSF世界を構築しています! 完成度高いです。

7

V.A. - Tomorrow's Achievements - Parry Music Library 1976 - 86 (Public Information)
カナダの電子音楽レーベルParry Musicの音源集。瑠璃色にの柔らかいアンビエンスや近未来/宇宙色なロマンスが備わった展開でどれも高品質。OPN以降のアンビエント時代にガッツリ食らいつく1枚です!

8

Discoverer - Tunnels (Digitalis Recordings)
カセット1本出したっきりだったシンセシストですが、これがどっこい人気のレーベルから好作を発表。出す音1つ1つから近未来の町並みが出来上がって行くようなロマンス、宇宙リゾートな日差しが広がる抜群の心地良さです!

9

V.A. - The Instructional Media Guide To Mindful Internet Exploration (Instructional Media)
南国ニューエイジな世界観で、一部のカセット狂に大きな爪痕を残したレーベルの第2作。レーベルの代表作家Mother Gangやそのうち大きなレーベルからデビューしそうなMagic Eyeなどなど。ここは装丁が良いです。

10

Diseno Corbusier - El Alma De La Estrella (ViNiLiSSSiMO)
スペインのニューウェーヴバンドの86年作が再発。脱力奇怪ボーカルと太いミニマルシンセが暴れる1曲目が素晴らし過ぎます。近年のこの手の再発の中でもかなりキレた1枚でしょう!

Chart JET SET 2012.11.12 - ele-king

Chart


1

Visitors - Night Fever - Idjut Boys Rmx (Disques Sinthomme)
Dj Harvey, David Mancuso, Prins Thomasら大御所が挙ってプレイ中!!姉妹レーベル"Ghost Town"と共に注目が集る"Disques Sinthomme"からの最新作。未だ謎多きユニットVisitorsによるリリース第二弾。Idjut Boysによるリミックスを収録した注目の一作が遂に解禁!!

2

Lusty Zanzibar - Empress Wu Hu Ep (Glenview)
Nangや"Bear Funk"といったニューディスコ・レーベルからのリリースで知られるUkプロデューサーAlex Cordiner A.k.a. Lusty Zanzibarが"Glenview"初参戦。収録4作品漏れなくお薦めです!!

3

Fudge Fingas - Untytled Ep (Firecracker)
エジンバラのプロデューサー/キーボードディストFudge Fingasによるオリジナルトラックと、レーベル・オーナーLinkwoodによる作品をリミックスした作品をコンパイルした大注目Ep作品!

4

Aeroplane Feat. Jamie Principle - In Her Eyes (Aeropop)
ベルギー名門"Eskimo"を拠点に素晴しいリリースを繰り広げてきたAeroplaneによる最新作。ヴォーカルにシカゴ・レジェンドJamie Principle、リミキサーにはTiger & WoodsとChopstick & Johnjon (Suol)の人気アクト2組を抜擢。ニューディスコ・ファン必聴の一枚が遂に解禁です!!

5

Falty Dl - Straight & Arrow (Ninja Tune)
ご存じNinja Tune/Planet Muが誇るNy在住の美麗Ukベース人気者Falty Dlがジャズ薫るコードワークを散りばめて完成させた、Swindle越えアーバン・ベース名曲がこちら。素敵過ぎます!!

6

Darkstar - Timeaway (Warp)
Hyperdubからの'10年作『North』が超ロングセラーとなった大人気トリオがWarpから挨拶代りにお届けする極上美麗なポスト・ダブステップ・ポップ名曲です!!

7

Kidkanevil & Daisuke Tanabe - Kidsuke (Project Mooncircle)
ご存じNinja Tuneが誇るバンドStatelessのトラックメイカーKidkanevilと、Mike Gaoとのスプリット盤も爆裂ヒットしたDaisuke Tanabeによる電撃コラボ・アルバムが登場しました!!

8

Amen Brother Disco Band - Volume 1 (Amen Brother)
まるでIncredible Bongo Bandなパーカッシヴ&ブレイキン・ファンク!!アイルランドから大注目ファンク~ディスコ・バンドが登場です!!

9

Ital - Dream Pn (Planet Mu)
もはや説明不要のインディ・シンセ・ダンス最重要アクト。Daniel Martin-Mccormickによるソロ・ユニットの2枚目のアルバム!!前作同様Planet Muからのリリースです!!

10

Azymuth - Avenida Das Mangeurias / Partido Alto (Far Out)
今も高い人気を誇る孤高のブラジリアン・フュージョン・バンド、Azymuthの1979年作『Light As A Feather』収録の2曲を、Theo ParrishとLtj Xperienceがリミックス!!
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