「Nothing」と一致するもの

現代における「プログレッシヴ」とは何か?

ジャンル誕生から半世紀を経て、いまやオルタナティヴ/ポスト・ロック等あらゆる音楽性をも吸収し、かつてなく広大で多岐に渡る百花繚乱さを誇る現在のプログレッシヴ・ロック、そしてプログレッシヴ・メタル。

現代シーンに大きな影響を与えたスティーヴン・ウィルソン/PORCUPINE TREEや、DREAM THEATER、クラシックなプログの精神を継承し続けるTHE FLOWER KINGSやSPOCK‘S BEARD/ニール・モース、そしてMARILLIONからANATHEMAに至るまで、現代プログの全容を、2000年代以降の作品を中心とした500枚以上に及ぶディスクガイドとして包括的に紹介。

マイク・ポートノイ、スティーヴン・ウィルソンのほか、OPETHやDEVIN TOWNSENDの敏腕マネージャーとして知られるNorthern Music Co.社長アンディ・ファローといった、プログ界キーパーソンの独占インタビューも収録。

その他レビュー掲載アーティスト: BETWEEN THE BURIED AND ME、CIRCUS MAXIMUS、LEPROUS、HAKEN、THE MARS VOLTA、MESHUGGAH、TOOL、ULVER …and so on!

監修・ディスク選: 高橋祐希 with Prog Project(櫻井敬子/楯 弥生/井戸川和泉)

執筆陣(50音順): 井戸川淳一/大越よしはる/奥村裕司/川辺敬祐/渋谷一彦/鈴木喜之/清家咲乃/関口竜太/長坂理史/中島俊也/夏目進平/西廣智一/平野和祥/高橋祐希/櫻井敬子/楯 弥生/井戸川和泉

[目次]

Introduction
DREAM THEATER
 Interview: Mike Portnoy
 DREAM THEATER 解説: 高橋祐希
 Disc Review DREAM THEATERと関連作品
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Interview: ARCH ECHO
コラム: '80年代メタルに継承され変異を遂げたプログ・ロック独特の物語性と異端性 by 平野和祥
STEVEN WILSON
 Interview: Steven Wilson
 Steven Wilson 解説: 櫻井敬子
 Disc Review Steven Wilsonと関連作品
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コラム: トラヴィス・スミスのアートワークの世界 by 井戸川和泉
MARILLION
 MARILLION 解説: 高橋祐希
 Disc Review MARILLIONと関連作品
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Interview: THE OCEAN
THE FLOWER KINGS
 THE FLOWER KINGS 解説: 長坂理史
 Disc Review THE FLOWER KINGSと関連作品
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SPOCKʼS BEARD & NEAL MORSE
 SPOCKʼS BEARD 解説: 関口竜太
 Disc Review SPOCKʼS BEARDと関連作品
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コラム: 今だから語りたい世界のプログ・フェス by 渋谷一彦、楯 弥生、櫻井敬子、奥村裕司、高橋祐希
ANATHEMA
 ANATHEMA 解説: 井戸川淳一
 Disc Review ANATHEMAと関連作品
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Interview: Andy Farrow
掲載アーティストIndex

[監修者プロフィール]

高橋祐希
音楽ライター。『ヘドバン』『EURO-ROCK PRESS』誌でコラム連載中。AERIAL名義で即興ノイズ/アンビエント音楽も演奏。https://twitter.com/yuki_sixx

櫻井敬子
1999~2009年『EURO-ROCK PRESS』編集部に在籍後、3年間のデザイン留学のため渡英、現地のプログ・シーンを肌で感じて帰国。本書では主に企画・編集を担当。

楯 弥生
ライヴが生き甲斐で、何度も欧州遠征するうちに、いつか日本で『Be Prog!』のようなフェスを開催したいという野望を抱き始め、あれこれ画策中。本業はデジタルマーケター。

井戸川和泉
QUEENSRŸCHEの「Empire」のアートワークに衝撃を受け、デザイナーになることを決意したグラフィック・デザイナー。デヴィン・タウンゼンド教信者日本代表。

Prog Project Twitter
https://twitter.com/prog_project

お詫びと訂正

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Mia Doi Todd - ele-king

 90年代から活躍するシンガーソングライターであり、ビルド・アン・アークなどとのコラボでも知られるLAのミア・ドイ・トッドが新作をリリースする。芯がありつつも透き通った歌声は健在、ゲストたちも非常に豪華だ。ジェフ・パーカーにサム・ゲンデル、ミゲル・アトウッド・ファーガソン、そしてララージまで。注目の1枚です。

MIA DOI TODD
Music Life

空間を浄化させる神秘的な歌声を持つ、ミア・ドイ・トッドのニュー・アルバム!! ロサンゼルスでレコーディングされたこのアルバムには、ジェフ・パーカー、マネー・マーク、ファビアーノ・ド・ナシメント、サム・ゲンデル、ミゲル・アトウッド・ファーガソン、ララージ等がゲスト参加した、至福の1枚。ボーナス・トラックを加え、日本限定盤ハイレゾ MQA 対応仕様のCDでリリース!!

Official HP :
https://www.ringstokyo.com/miadoitoddml

ミア・ドイ・トッドのLAの自宅を取材で訪れたのは、もう10年以上前のことだ。カルロス・ニーニョも一緒にいた。あの頃、ビルド・アン・アークでも歌っていたミアは、特別なシンガーソングライターだった。誰もが彼女の才能を讃えていた。現在の彼女も変わることなく、ジェフ・パーカーやサム・ゲンデルら新たな仲間たちの素晴らしいサポートも受けて新作を完成させた。これは、音楽に包まれる歓びに溢れたアルバム、そう断言できる。(原雅明 rings プロデューサー)

アーティスト : MIA DOI TODD (ミア・ドイ・トッド)
タイトル : Music Life (ミュージック・ライフ)
発売日 : 2021/4/21
価格 : 2,800円+税
レーベル/品番 : rings (RINC76)
フォーマット : MQACD (日本企画限定盤)

* MQA-CDとは?
通常のプレーヤーで再生できるCDでありながら、MQAフォーマット対応機器で再生することにより、元となっているマスター・クオリティのハイレゾ音源をお楽しみいただけるCDです。

Tracklist :
01. Music Life
02. Take Me to the Mountain
03. My Fisherman
04. Little Bird
05. Mohinder and the Maharani
06. If I Don't Have You
07. Wainiha Valley
08. Daughter of Hope
+Japan Bonus Track

R.I.P. Bunny Wailer - ele-king

 ついにこの日が来てしまったか。2週間前にUロイの訃報を聞いたショックも冷めやらぬうちに、レゲエ史上最高のグループであるボブ・マーリー、ピーター・トッシュとのオリジナル・ウェイラーズ最後の生存者、“ジャー・B”、バニー・ウェイラー(ネヴィル・リヴィングストンOM)が浮世を去った。つまりただの訃報ではない。ひとつの歴史の終焉の知らせである。
 73歳はいかにも早いし、Uロイより5歳も若い。しかし多くのファンは、そうしたことが起きはしまいかと心配していたと思う。2年前に軽い脳卒中を起こし、昨年の夏に再度の卒中に見舞われていた。その直前の5月末、彼が長年連れ添ってきた妻が失踪したニュースが報じられ、世界中のファンが心を痛めていた。その妻は、ウェイラーズのアイランドからのセカンド・アルバム『Burnin'』の「Hallelujah Time」や「Pass It On」に作曲者としてクレジットされているジーン・ワットである。家族は懸賞金を出し、報道やSNSでも情報が拡散されるうちに夫ジャー・Bの憔悴も伝えられるようになり、その矢先の入院だった。結局、シスター・ジーンとの再会を果たすことなく、そのキングストンのアンドゥルー・メモリアル病院にてこの3月2日を迎えた。
 最初期の名義はWailing Wailersだったし、彼らはWail 'N Soul 'Mというレーベルも持った。バニー・ウェイラーは、その“嘆き悲しむ(wail)”人民の代弁者たるグループの宿命を名前に引き取り、その偉業を最後まで守り、体現し続けた人物である。そして最後の最後まで、その名の通り嘆き悲しんだ人生だったことになるだろう。

 スタジオ・ワンでのスカ期の作品『The Wailing Wailers』、また『Soul Rebels』に代表されるリー・ペリーとの名作群、アイランドからの『Catch a Fire』と『Burnin'』までのウェイラーズ期は、レゲエうんぬん以前に、全ポピュラー音楽ファンにとっての必須科目と言える。しかし、ソロ第1作、1976年の『Blackheart Man』はといえば、それもまた誰も疑う者のないルーツ・ロック・レゲエの金字塔であり、おそらくマーリーも含めたアイランド・レーベルの全レゲエ作品の中でも最高傑作と言えそうな逸品だ。その次作『Protest』は、個人的にレゲエに開眼した一作だった。レゲエのレの字も知らない時分に聴いて、雷に打たれたようなショックを受けた。そのあともウェイラーは、ルーツ・マスターでありながら、ファンクもダンスホールもラップも取り入れるオープンな音楽性で魅せてくれた。
 その反面、マーリーやトッシュのようなメディア好きのする派手な露出もキャッチーな言動もなく、目立たないところで黙々と作品を作っていた、というのが80年代までの彼に対する一般的なパブリック・イメージだろう。一説によると、ソロ・デビューから6年は本国ジャマイカでもステイジに立たず、飛行機嫌いということもあってか10年間はアメリカ公演の記録も残っていないらしい。しかし一度ステイジに立てば3時間に及ぶマラソン・ライヴを敢行し、とにかくそのショウは物凄いらしいという噂が世を駆け巡るも、ヨーロッパの地さえ初めて踏んだのが1990年、そして日本でその勇姿を拝むにはさらにもう少し待たなくてはならなかった。
 1992年だったか、93年だったかだけが今、定かではない。実現した来日公演は、東京有明コロシアムで3夜連続という、ちょっと今では考えられない規模の大イヴェントであった。前座にスライ&ロビー・ショウケイス(アネット・ブリセット、ハーフ・パイント、マイケル・ローズ)を据え、そのあとでウェイラーはスピリチュアル・ルーツ・セットとダンス・セットの2部構成で計2時間半歌いまくり、そのパフォーマンスの厚みと凄みを目の当たりにして畏怖の念に打たれつつ、食い入るように聴いた。あの3日間の屋外公演は過去に体験したレゲエ・ショウの中で最も印象深いもののひとつだ。後年パリで見たライヴ・ハウス公演は本当に3時間あったが、うち結構な時間がありがたいお説教であった。それも忘れ難い思い出だ。

 ここ最近では、アディダスのTシャツ事件が心に残っている。エイドリアン・ブートが撮影した上半身裸でサッカーに興じている70年代のウェイラーの有名な写真がある(『GQ』の〈The Last Wailer〉という記事で使われているこれだ)。アディダス社はこの半裸姿に自社のTシャツを着せたグラフイック加工を施し、それをプリントしたTシャツを製造、世界中で販売したのである。ぼくが1枚のTシャツに5千円を払ったのは人生でただの1度きりだ。しかし、のちの報道で驚かされる。そのTシャツのことをウェイラー本人が知らされていなかったのだ。彼が抗議すると、アディダス社はたった3,000USDでことを収めようとし、オリジナル・ウェイラーズ、かつ3度のグラミー受賞者に対するその不誠実な謝罪の態度に激怒したウェイラーは2013年、同社を相手どって1億USDの損害賠償訴訟を起こした。こちらも気の毒でそのTシャツを着る気がしなくなったので実害を被ったことになるが、それよりあの大企業の商品の企画から製品化までに関わった人たちが、誰もバニー・ウェイラーを知らなかったことにショックを受けた。あの大企業がグラミー受賞者の写真を本人に無断で使うわけがない。
 彼にとって自分のプライドが傷つけられたことは、ウェイラーズのレガシーに対する侮辱でもあった。加えて、知らないうちに自分が巨大多国籍企業の金儲けのタネにされていたのだ、それも“名も無いラスタ”と思われて。ジャー・Bは、気がつけば自分が「バビロンとは何か?」という問いに対する相当な模範解答の渦中にいたのである。

 それとは全く規模が違うが、ぼくにも、彼の気位の高さを個人的に実感した思い出がある。ユニバーサルからアイランド・レーベルの音源を使ったコンピレイションCDの制作を依頼された際、その1曲目に『Protest』収録の“Get Up Stand Up”を持ってこようと考えた。マーリーとトッシュの共作曲をウェイラーが歌う、オリジナル・ウェイラーズ、ひいてはアイランドのレゲエ・ラインを象徴する1曲としてだ。そして同曲を起点にしてアーティスト十数組の曲をセレクトしたが、他の全員が使用を許諾してくれたのに、バニー・ウェイラーただひとりが許可してくれなかったのである。コンピレイションなんぞに入れてくれるな、ということらしかった。お陰でアイディアをいちから練り直すことになったのだったが、彼の人となりを身近に感じられた気がして妙に嬉しかった。

 そんな風に自分の人生と作品に関してのみならず、彼がラスタファリアンとしても持っていた揺るぎないプライドは、アディダスの件と同じ2013年、レゲエ・ファン以外にも例のスヌープ・ライオンの一件で知られるところとなった。スヌープ・ドッグが改名、ルーツ&カルチャーに接近し、レゲエ・アルバムを出したときの話である。自分がボブ・マーリーの生まれ変わりだと主張し、マーリーの家族が歓迎してくれたことでその転身を正当化した。その宗旨替えについてのドキュメンタリー映画『スヌープ・ドッグ/ロード・トゥ・ライオン』まで観た上でウェイラーは、スヌープがマーリーの名を汚し、ラスタファリアンの“シンボル”の数々を商売のために不正に利用しており、その言葉にも態度にもラスタを名乗る資格など全く認められないと喝破したのであった。マーリーの家族が歓迎したというが、その家族の誰よりも前にマーリーとトレンチタウンの一つ屋根の下で暮らす家族だったのは彼なのである。その言葉のインパクトがどれだけ重たいものだったかは、スヌープ・ドッグのその後が物語っている。

 これでオリジナル・ウェイラーズはみな鬼籍に入った。いい音楽をたくさん残してくれたことに心から感謝したい(と思える人は、実はそんなに多くない)。そしてシスター・ジーンのことが心配である。認知症を患っていたらしい。ジャー・Bもバビロンにいつまでも心が残ってしまう。

GoGo Penguin - ele-king

 マンチェスターのレーベル〈Gondwana〉からの諸作で頭角を現し、独自のやり方でジャズとエレクトロニック・ミュージックをつなぐ試みを実践、近年は名門〈Blue Note〉から作品を発表しつづけているゴーゴー・ペンギンが、初のリミックス・アルバムをリリースする。
 リミキサー陣にはコーネリアスマシーンドラムスクエアプッシャー、ネイサン・フェイク、808ステイト、ジェイムズ・ホールデン、クラークらが名を連ねており……これは、テクノではないか!(〈Gondwana〉のポルティコ・クァルテットも参加)。
 長年コンセプトを温めていた企画だそうで、仕上がりが楽しみです。現在、マシーンドラムによるリミックスが先行公開中。か、かっこいい……

2020年にリリースした最新作『ゴーゴー・ペンギン』のリミックス・アルバムが登場。
コーネリアス、Yosi Horikawa をはじめ世界最高峰のアーティストが参加!

ゴーゴー・ペンギン / GGP RMX
2021年5月7日発売[世界同時発売]
SHM-CD:UCCQ-1138 ¥2,860 (tax in)

●クリス・イリングワース(p)、ニック・ブラッカ(b)、ロブ・ターナー(ds)からなるマンチェスター発の新世代ピアノ・トリオ、ゴーゴー・ペンギン。ジャズ/クラシック/ロック/エレクトロニカなど幅広い影響を感じられるサウンドは唯一無二、ピアノ・トリオというフォーマットの可能性を広げた稀有な存在で、2009年の結成以降世界中から大きな称賛を集めています。
 2020年には名門ブルーノートから3作目となるアルバム『ゴーゴー・ペンギン』(UCCQ-1124)をリリース。自らのバンド名を冠した自信作で、大きな反響を呼びました。

●本作はそのセルフ・タイトルド・アルバム11曲のうち10曲について新たなリミックスを施した、バンドが数年にわたりコンセプトを温めていたというリミックス・アルバム。
世界最高峰のリミキサーが名を連ねる中、日本からはコーネリアスと Yosi Horikawa (ヨシホリカワ)が参加しています。
 1曲目の “コラ (Cornelius Remix)” を手掛けたコーネリアスの小山田圭吾は、「remixerに 808 state が入っていて、マンチェの血を感じました。ゴーゴー・ペンギンは、ヒプノティックな生演奏が魅力なので、なるべく彼らの演奏を残したいと思いました。世の中が落ち着いたら、ライブを見に行ってみたいです」とコメントしています。
 また、ピアノのクリス・イリングワースはこのトラックについて、「コーネリアスのミックスは知的で美しく、アルバムの始まりとしてとても良いと思ったよ。ピアノのメロディをシンセのラインと併せて再配置することでそのメロディがより強調されて、楽曲に新しくて個性的なキャラクターを加えている。リミックス・アルバムにピッタリさ」と語っています。

●もとよりエレクトロニカ的な色も濃いゴーゴー・ペンギンのサウンドだけに、リミックスとの相性は抜群。
 バンドのミュージシャンシップやユニバーサルなサウンドを違った形で体感出来る充実の仕上がりとなっています。

収録内容
01. コラ (Cornelius Remix) (4:22)
02. アトマイズド (Machinedrum Remix) (6:15)
03. エンバース (Yosi Horikawa Remix) (4:09)
04. F・メジャー・ピクシー (Rone Remix) (4:17)
05. F・メジャー・ピクシー (Squarepusher Remix) (6:22)
06. オープン (Nathan Fake Remix) (4:33)
07. シグナル・イン・ザ・ノイズ (808 State Remix) (5:38)
08. トーテム (James Holden Remix) (8:16)
09. トゥ・ザ・Nth (Shunya Remix) (6:51)
10. プチア (Clark Remix) (6:25)
11. ドント・ゴ ー (Portico Quartet Remix) (5:44)

Abul Mogard - ele-king

 セルビアのアンビエント・アーティストであるアブル・モガードの新譜『In Immobile Air』(https://abulmogard.bandcamp.com/album/in-immobile-air)がリリースされた。「不動の空気で」と名付けられたこのアルバムは、古いベヒシュタイン社製アップライトピアノの音を加工して制作されたアンビエント/ドローンである。アルバムはイタロ・カルヴィーノの短編小説にインスパイアされているようだ。印象的なアートワークは1983年生まれのイタリア在住のアーティスト、マルコ・デ・サンクティスの手によるドローイングで、彼が作り出したイメージは本作のフラジャイルなムードを見事に体現している。
 この『In Immobile Air』に収録された全5曲、どの楽曲も静謐さと透明な哀しみが、微かな音響と音楽のなかで儚げに交錯している。この濃厚なノスタルジアに満ちたサウンドスケープは、名盤の誉れ高い『Kimberlin - Music From The Film By Duncan Whitley』を超えている。まさにモガードの最高傑作ではないか。

 まずアブル・モガードのリリース歴を簡単に振り返っておきたい。彼にはある「謎」がある。モガードはドゥーム・サウンドの伝説的バンドであるアースの元メンバーであるスティーヴ・ムーアらが主宰する〈VCO Records〉から『Abul Mogard』(2012)、『Drifted Heaven』(2013)、Justin Wiggan、Siegmar Fricke らとの共作『Lulled Glaciers』(2014)などの初期作品をリリースした後、Walls が〈Kompakt〉傘下で運営するエクスペリメンタル・ミュージック・レーベル〈Ecstatic〉から2015年に『The Sky Had Vanished』と『Circular Forms』などの傑作アンビエント・アルバムをリリースした。以降、同レーベルから継続的にアルバムを発表している。
 2017年には〈Ecstatic〉からマウリツィオ・ビアンキとのスプリット『Nervous Hydra / All This Has Passed Foreve』をリリースした。日本のアンビエント/エクスペリメンタル・マニアにモガードの名が知れ渡ったのは、このアルバムではないかと思う。
 続く『Above All Dreams 』(2018)、『Kimberlin - Music From The Film By Duncan Whitley』(2019)などの〈Ecstatic〉からのアルバムもアンビエント・マニアから高く評価された。ちなみに2016年に〈Ecstatic〉から〈VCO Records〉時代の曲のコンピレーション盤『Works』もリリースされている。
 それらのサウンドはどれも深いノスタルジアを湛え、まるでアンドレイ・タルコフスキーの長編映画『ノスタルジア』(1983)のイメージやサウンドを想起させてくれるような音響空間を生成していた。セルビアというヨーロッパのバルカン半島から発表されたアンビエントということもあり、聴き手のイマジネーションをおおいに刺激もした。そしてもうひとつ、われわれを強く惹きつけたことがあるのだ。

 そもそも彼は誰なのか。

 「セルビア出身の老齢の男性。長年勤めた金属工場を退職した後、自らの孤独を慰めるために、工場で聴こえた音をシンセサイザーで作りはじめた」というのが、その初期からレーベルなどによって提示されてきたモガードの基本的なプロフィールであり、人物情報だ。
 だがこのあまりに魅力的な、かつできすぎといえる「インダストリアルな経歴」を持った人物像の真意はいまのところ分からない。事実かもしれない。そうでもないかもしれない。じっさい2017年にベルリンの Atonal で披露されたライヴでは彼の姿は光のスクリーンの向こうに隠れてはいたものの、その微かに見えるシルエットは流布されていたモガードの写真(高齢の男性の写真だ)から連想されるものとは異なっていたようなのだ。
 もしかすると「モガード」という人物自体が虚構であり、存在しないかもしれないという可能性も十分にありえる。だがそのような偽装された経歴・匿名性は、この種のエクスペリメンタルな音楽にあってはそれほど不思議なことではない。
 同時に彼の作り出してきたアンビエント/アンビエンスは、「長年金属工場を勤め上げた初老の男性が作り上げたアンビエント音楽」というコンセプトを十分に体現するようなサウンド/トーンだったことも事実だ。淡い霧のような音の持続は、インダストリアルな音が記憶の層に溶け合ったかのような音響空間を生成しており、深いノスタルジアを醸し出している。
 事の真意ですらもモガードのアンビエント/アンビエンスの霧の中に溶け込んでいってしまっている。とすれば聴き手としては、その虚構の音響的時間の中に虚構ゆえの真実を聴きとり、充実したリスニング・タイムを送ることができれば十分だという見方もある。この種のエクスペリメンタルな音楽において、経歴疑惑問題は大きな問題ではないのだ。だが同時に「高齢の男性」というイメージによる操作がおこなわれていることも事実なのだ(エイジズム? 初期の頃に発表された初老の男性とは?)

 とはいえ事実が明らかになっていない以上、これ以上の追求はできない。たとえ彼の真の経歴の真意=正体が業界内でのコンセンサスであったにしても、われわれ聴き手は一旦は受け入れるしかないのだ。アーティストが作り出した音を聴くこと。ただ、それだけだ。そう考えると、モガードの謎に満ちた経歴は、むしろ作品をただ聴いてほしいという意志の表れかもしれない。
 それらをふまえた上で、もう一度、モガードの音を聴き入ってみよう。やはり彼のアンビエント/アンビエンスは圧倒的に素晴らしい。かつてのフェネスやティム・ヘッカーほどの分かりやすい先端性はないが、彼らのリスナーをも強くひきつける美しい音響を生みだしている。濃厚なノスタルジアは聴き手の聴覚とイマジネーションを深い霧を湛えた森に誘う。加えてアップライトピアノを用いたことによって、本作『In Immobile Air』ではクラシカルな要素も表出しはじめた。その結果、音楽と音響の境界線が溶け合っていくような感覚を与えてくれる。
 『In Immobile Air』は非常に充実したリスニングを与えてくれるノスタルジア・アンビエントだ。謎に満ちた彼の経歴のことは、いまのところ詳細不明で良いのかもしれない。とにかくこの美しい音はここに実在するのだから。
 経歴や物語に左右されず音を聴くことを彼は教えてくれる。モガードの音楽と存在は虚構と現実のあいだを彷徨いつつも、その果てにある音の空間に深く没入させてくれるのだ。そんな稀有なアンビエント・サウンドスケープがここにある。

Telex - ele-king

 〈ミュート〉が仕掛けるテレックス回顧プロジェクト、まずはその挨拶状的なベスト盤『this is telex』は4月30日にリリースされるのは既報の通りなのですが、昨日、その先行シングルの第二弾としてザ・ビートルズの“ディア・プルーデンス”のカヴァーが発表されました。これは未発表だったカヴァーなので、いきなりこれ公開しちゃうのかよーと思ったファンも少なくないでしょう。

 ちなみに『this is telex』は、彼らのファースト・アルバム『テクノ革命』から2006年のカムバック作『How Do You Dance?』までの全キャリアから選曲されていますが、アルバムの冒頭と最後は未発表曲(しかもどちらもカヴァー曲)という、憎たらしい構成となっています。“ディア・プルーデンス”は同アルバムのクローザートラックです。
 なお、〈ミュート〉の日本の窓口である〈トラフィック〉を通じて、細野晴臣からのコメントも発表されました。細野晴臣がプロデュースしたコシミハルの『Tutu』(1983年)において、テレックスの“L'Amour Toujours”が日本語でカヴァーされていますが、これは当時ブリュッセルにあったテレックスの自前スタジオ(Synsound Studio)での録音です。細野晴臣&コシミハルはそのスタジオを訪れているんですね。ちなみにバンドの中枢だった故マルク・ムーランも『Tutu』の“L'Amour Toujours”でシンセサイザーを弾いています。

■細野晴臣コメント
「先日Miharu Koshiと最近のフランスの新しいPOPSを聴いていて、『これはTelexみたいだ』と話してたんです。Telexのような音楽は今や普遍的なPOP MUSICになったんだと思いました。Telexの皆さんとセッションした暑い夏のブリュッセルがとても懐かしく、優しい心で迎えてくれたことを感謝してます。マルク・ムーランさんの逝去、とても残念ですが、きっと彼も僕たちと同じく、ベスト盤のリリースを喜んでいることでしょう。また、近い将来、あなたたちの新作が聴ける日を楽しみに待ってます」

Apifera - ele-king

 イスラエル出身のキーパーソンで、キーボード奏者及びマルチ・ミュージシャン/プロデューサー/ビートメイカーとして多彩な活動を続けるユヴァル・ハヴキン。昨年はリジョイサー名義で『スピリチュアル・スリーズ』という素晴らしいアルバムをリリースした。リリース元の〈ストーンズ・スロウ〉とはその前のアルバムの『エナジー・ドリームズ』(2018年)からの付き合いで、ユヴァルによってイスラエルとロサンゼルスを繋ぐ仲介役的な役割も果たしてくれているのだが、彼の新しいユニットのアピフェラもまた〈ストーンズ・スロウ〉からとなる。

 アピフェラはユヴァル・ハヴキン(キーボード)ほか、ニタイ・ハーシュコヴィッツ(キーボード)、アミール・ブレスラー(ドラムス)、ヨナタン・アルバラック(ベース)という、すべてイスラエル出身のミュージシャンからなる4人組バンドである。ロサンゼルスが拠点と紹介しているところもあるが、実質的な活動地はイスラエルのテル・アヴィヴだろう。
 ユヴァルはテル・アヴィヴのテルマ・イェリン芸術学校卒だが、ほかのメンバーもだいたいこの学校出身か周辺の音楽仲間である。このサークルからはタイム・グローヴ、リキッド・サルーンといったバンドや、L.B.T.というヒップホップ集団が出ているが、この4人はそれらのいずれかに参加している。実際のところリジョイサーの『エナジー・ドリームズ』にはニタイ、アミール、ヨナタンが、『スピリチュアル・スリーズ』にもニタイとヨナタンが参加していたので、アピフェラの『オーヴァースタンド』はそれらの延長線上にある作品とも言える。
 一方、ニタイはイスラエル出身のベーシストとして世界的に名を馳せるアヴィシャイ・コーエンのトリオのピアニストとしても知られ、アミールはアミット・フリードマンやオメル・クレインらのグループで演奏し、ヨナタンはビッグ・バンドのアヴィ・レオヴィッチ・オーケストラのメンバーとしても活躍するなど、既にイスラエル・ジャズ界でそれぞれポジションを獲得しているので、アピフェラはそうした実力者4人が集まったバンドでもある。こうしてスタートしたアピフェラは、昨秋はファンク・レジェンドのスティーヴ・アーリントンのニュー・アルバム『ダウン・トゥ・ザ・ローエスト・タームズ:ザ・ソウル・セッションズ』に参加し、そして自身の『オーヴァースタンド』をリリースするに至った。

 アピフェラという名前は蘭に集まってきた蜜蜂のことを指しているようで、オーガニックなサウンド構造とハーモニーやアレンジにより、豊かで多様な自然界を映し出すという方向性を持つ。ユヴァル・ハヴキンの名を一躍広めることになったバターリング・トリオにも共通する音楽性で、ヒレル・エフラルによるジャケットのアートワークにもそうした雰囲気が反映されている。イスラエルの民謡やラヴェルやサティなどに影響を受け、そのほかにもスーダンやガーナなどアフリカの音楽からサン・ラーの作品まで、メンバー4人が育んださまざまな音楽的要素が盛り込まれている。インスピレーションの赴くままにライヴ・セッションを3日間ほどおこない、『オーヴァースタンド』はレコーディングされた。最小限のオーヴァーダビングはあるものの、基本的にはこうした自由なセッションをそのまま録音している。
 セッションにはメンバー4人以外にゲストでノアム・ハヴキン(キーボード)、セフィ・ジスリング(トランペット)、ヤイル・スラツキ(トロンボーン)、ショロミ・アロン(サックス、フルート)が参加しているが、いずれもユヴァルやニタイたちの音楽仲間で、これまでもいろいろな作品で共演してきた面々だ。

 ニタイによると、アピフェラのサウンドにとってオーケストレーションは重要なパートで、特に音の質感に注力し、音色や温度感についていろいろディスカッションしながらセッションしていったそうだ。表題曲の “オーヴァースタンド” においてもそうした丁寧に吟味したサウンド・テキスチャーが張り巡らされていて、上質なアンビエント・ジャズとなっている。“レイク・ヴュー” におけるビートとエレピのバランスも絶妙で、抽象性の高い音色が聴く者のイマジネーションを無限に広げていく。リズム・セクションのセンスの良さを感じさせるジャズ・ロック調の “エネック・ハマグロ”、幻想的なエレピが印象に残る “ヤキズ・ディライト” など、ハービー・ハンコックやチック・コリアが1970年代にやっていたフュージョンを現代的にアップデートしつつ、“ザ・ピット&ザ・ベガー” や “Gerçekten Orada Değilsin” のようにイスラエル民謡からきたと思われる独特の音階を織り交ぜている。
 ただ、ある特定の国の音楽に固定されるのではなく、どこの国とも言えない無国籍感やさらに言えば時代性を超越した音を出しているのがアピフェラでもある。“ノートル・ダム” もヨーロッパ的であるが、具体性ではなくあくまで抽象性を感じさせる音だ。ヴォーカルやコーラスは一切入らず、楽器の音色のみでアルバムが作られている点も、この抽象性に一役買っているだろう。“アイリス・ワン” や “フォー・グリーン・イエローズ” などは一種のライブラリー・ミュージックのようでもあるが、アーティスト性を打ち出すことによって型にハマった音を作るのではなく、ある意味で匿名的なサウンドにすることによって聴き手の想像力を広げていく。鳥のさえずりなどを交えた “パルス” は、そうした抽象性や匿名性をつき進めていったもので、アピフェラが目指す自然界の音を表現したものだ。

LITTLE CREATURES - ele-king

 “大きな河” の歌詞に「いつも負けるぼくら」の一節がある。そうかもしれない。大きな河に浮かぶ船では仕組みをつくった賢いひとが船頭役ときまっていて、そうじゃないひとたちはいつなんどきうねる河に放り出されないともかぎらない。それこそがこの世のことわりであり、アルバムの曲名にもみえる「ことわり」とはおそらく「理」をさし道理や条理を意味するが、たとえ理を問うても、無視されるならまだしも、はぐらかされるのがこのところはセキのヤマ、とかくにひとの世は住みにくいのは漱石の時代から世の常か、それとも近代の宿痾か。青柳拓次、鈴木正人、栗原務――リトル・クリーチャーズの3人は5年ぶりの新作『30』でそのように嘆いている、頭(かぶり)をふりつつ眉根をよせている、いやただしくは怒っている。静かに、青い炎のように。
 感情が腑に落ちるのは歌詞が日本語だからか。リトル・クリーチャーズといえばロック、ジャズ、アコースティックなフォーク音楽から最新型のエレクトロニック・サウンドまで、幾多の音楽性を血肉化しながら時代のツボを突くレコードを世におくりだしてきた。主眼となるのは音であり、音が語るなかにのみ彼らの真意はあり、ことばは副次的な要素にすぎない。むろんこれは推察にすぎず、真相は訊ねてみるほかないが、英語の歌詞を選択したのは基準を国内よりも海外に置き、言語の意味よりも響きを優先するかにみえた。すくなくとも記号と細分化の時代だった1990年代の落とし子として彼らを認めるものにとってことばはいつも音におくれてやってきた。
 8枚目のアルバム『30』ではそのことはあてはまらない。リトル・クリーチャーズは全編で日本語の歌詞をもちいているのである。題名の『30』は1990年のデビューから30年たったことをさすという。しからば満を持しての舵取りかと思いきや端緒は5年前の前作『未知のアルバム』ですでにひらいていた。そこで彼らははじめて全編日本語詞を採用しきりつめたアンサンブルに簡素な述懐を組み合わせていた。私は不勉強ながらこのアルバムを後になって手にとり青柳、鈴木、栗原の個の合算からなりたつリトル・クリーチャーズという等式の左項と右項がひっくりかえる気持ちがした。1+1+1は3にしかならないが、3は1+2にも2+1にも、元のとおりの1+1+1になることもある。ソロからサポートまで、おのおのが個別の活動をおこなう彼らにあってバンドとはたがいの成長をたしかめあう実家みたいなもので、数年ごとにたちより英気を養ったらまたそれぞれの場所におもむいていく。音楽家のキャリアを積むなかであたりまえに青柳、鈴木、栗原の集合体だと思い込んでいたリトル・クリーチャーズはじつのところひとつの生き物(クリーチャー)だった――などと述べてもダシャレにもならないが、『30』にはこの30年3者がつちかったものが詰まった太くしなやかなうねりがある、どこをきっても個に分解できないむすびつきがあり音の疎密を問わず意思のゆきとどいた空間性が底流をなしている、それらをたずさえ彼らは別天地へむかうのである。
 “速報音楽” は狼煙である。注意深く耳を傾けるものにとどく高らかに鼓吹しないファンファーレである。「そのラジオもっと音上げよう」と青柳拓次は歌いはじめる。ラジオは感受のメタファであるとともに、出会いの偶有性を意味し、おそらくは「情報をとりにいく」という主体的な行為がややもするとフェイクにまみれる昨今の風潮を言外ににおわせている。清志郎がベイエリアやリバプールからキャッチしたように、リトル・クリーチャーズのアンテナはナイジェリアやバンコクやジャマイカからやってくるホットなナンバーをすくいあげる。ポイントは「踊れる」かどうか。そして踊るというポピュラー音楽の基底部にあるものは『30』にくりかえしあらわれるキーワードになっていく。とはいえ彼らが志向するのは派手派手しいダンス音楽とも趣を異にする。存分に間をとった合奏から滲み出すグルーヴとでもいえばよいだろうか。ギターのトーン、ベースのノリ、ドラムのタメ、それらの重なり合いで生じる残像のような効果もひきだしながらトリオ編成の旨味が『30』の随所に散りばめてある。ややファットなドラムとシンプルなギターのサウンドが『30』の音像の土台となり、鈴木のベースはスラップからシンセベース風の音色まで遊動的な役割をうけもっている。めいめいが曲も詞も書くグループとあっては曲ごとの色合いもさまざまだが、アルバム総体はグラデーションを描くにも似た自然な広がりをたもっている。12曲中8曲をしめる青柳の色がつよいとはいえ、鈴木の手になる “左目” や “踊り子” の編曲の巧みさ、栗原の “悲しみのゆくえ” や “ハイポジション” のストレートなアプローチがアルバムにダイナミズムをもたらしているのはまちがいない。それらが煽情的で装飾的な方法論とは無縁になりたっているのは3者の30年におよぶ来歴を彷彿させてあまりある。現状を追認するでも冷笑主義におちいるでもない、そのような場所にふみとどまるからこそ青柳の問題提起も私たちの日々と地続きのものとうけとれるのであろう。
 『30』は日本語という言語と、ハイブリッドという簡単な言い方ではおいつかない音楽的複合性で歩をすすめるリトル・クリーチャーズの現在地を照ら出している。1990年、才気煥発な若者として音楽シーンに登場し、新しもの好きのファンはもとより大向こうをうならせつづけて30年、またたくまに月日はすぎたが、思えば遠くにきたものだという慨嘆はリトル・クリーチャーズとは無縁である。『30』にもそのような姿勢はない。かわりに彼らは『30』のフィジカルを『STUDIO SESSION』と題したライヴ盤との2枚組の仕様で30年の時間の厚みを描き出そうとする。キャリア全域からまんべんなく選曲した全編英語詞の全10曲はベスト盤の意味合いもかねるが、アコースティック基調のまろやかな演奏に感じるのはいまここで前を向く彼らの姿である。2枚組のあざやかなコントラストはそのことを立体的にうかびあがらせるばかりかフィジカルの利点をしめしてやまない。
 それにつけても「踊りかける」ってすてきな曲名ですね。

BES - ele-king

 SWANKY SWIPE / SCARS としての活動でも知られるラッパーの BES。昨年リリースされた I-DeA とのミックス『BES ILL LOUNGE Part 3 - Mixed by I-DeA』から、BIM とのコラボ曲のMVが公開された。同曲のデジタル・シングルも本日より配信がスタートしている。
 さらに、同曲を収めたアナログ盤『BES ILL LOUNGE Part 3 - EP』も本日リリース。完全限定プレスとのことなので、なくなるまえに急げ!

BES と BIM のコラボ曲 “Make so happy” のMVが公開! また同曲のデジタル・シングルが本日より配信開始となり、完全限定プレスのアナログ盤『BES ILL LOUNGE Part 3 - EP』も本日リリース!

SWANKY SWIPE / SCARS としての活動でも知られ、活発な活動を続けているシーン最高峰のラッパー、BES。日本語ラップ・シーンにおける数多くの重要アーティスト/作品に関与してきたシーンを代表するプロデューサー/エンジニア、I-DeA。その両者のジョイントで昨年11月にリリースとなった最新ミックス『BES ILL LOUNGE Part 3 - Mixed by I-DeA』から BIM とのコラボによる “Make so happy” のミュージック・ビデオが公開! メジャーからインディペンデントまで様々なアーティストの作品に関与してきた映像クリエイター、渡邉剛太氏がディレクションを担当し、BES と BIM だけでなく I-DeA やプロデュースを担当したビートメイカー、K.E.M もカメオ出演しています。(※映像は最後までご覧ください)

また同曲のデジタル・シングルがインスト付きで本日より配信開始となり、同曲も含むアナログ盤『BES ILL LOUNGE Part 3 - EP』も完全限定プレスで本日ついにリリース! アナログ盤には BIM の他に B.D.、D.D.S & MULBE、MEGA-G との各コラボによる新曲計4曲とその全インスト・ヴァージョンがコンパイルされております。

*BES "Make so happy" feat. BIM (Official Video)
https://youtu.be/9wDDIRhsaFs

[デジタル・シングル情報]

アーティスト:BES
タイトル:Make so happy feat. BIM
レーベル:P-VINE, Inc.
発売日:2021年2月26日(金)
仕様:デジタル・シングル
Stream/Download:
https://smarturl.it/bes_makesohappy

[12EP情報]

アーティスト:BES
タイトル:BES ILL LOUNGE Part 3 - EP
レーベル:P-VINE, Inc.
発売日:2021年2月26日(金)
品番:P12-6776
仕様:レコード(完全限定プレス)
税抜販売価格:2,800円

★P-VINEショップ限定で予約・購入いただいた方に先着順で「特典ステッカー」がつきます!

[トラックリスト]

SIDE-A:

1 SWS feat. D.D.S & MULBE
 Prod by DJ SCRATCH NICE
2 美学、こだわり feat. MEGA-G
 Prod by BES & I-DeA
3 Make so happy feat. BIM
 Prod by K.E.M
4 表裏一体 feat. B.D.
 Prod by DJ SCRATCH NICE

SIDE-B:

1 SWS (Instrumental)
 Prod by DJ SCRATCH NICE
2 美学、こだわり (Instrumental)
 Prod by BES & I-DeA
3 Make so happy (Instrumental)
 Prod by K.E.M
4 表裏一体 (Instrumental)
 Prod by DJ SCRATCH NICE

Andrew Nosnitsky - ele-king

 毎年年末、彼のブログにポストされる「ベスト・ラップ」のリストは、多くのラップ愛好家たちの指針になっているという。オークランドを拠点に活動するヴェテラン・ヒップホップ・ジャーナリスト、Noz ことアンドリュー・ノスニツキーによるカセットテープが〈C.E〉からリリースされている。

 となるとやはりヒップホップのミックスなのかと思いきや、〈C.E〉のウェブサイト上で試聴すると、いきなりエクスペリメンタルなドローンが流れてくるから驚きだ(右上の再生ボタンをクリック後、いちばん上のカセットをクリック)。途中からちゃんとラップ・ソングに切り替わるものの、これはなかなかおもしろいアイディアである。ぜひチェックを。

Andrew Nosnitsky
フォーマット:カセットテープ
収録音源時間:約60分(片面約30分)
発売日:発売中
販売場所:C.E
〒107-0062 東京都港区南青山5-3-10 From 1st 201
#201 From 1st Building, 5-3-10 Minami-Aoyama, Minato-ku, Tokyo, Japan 107-0062
問合せ先:C.E
www.cavempt.com

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