「Nothing」と一致するもの

Hot Chip in DOMMUNE - ele-king

 ABBAは持ってないし
 GABBAはプレイしない
 ZAPPが好きなんだ
 ZAPPAじゃない
 だから、そのタワゴトは止めてくれませんか
 僕はMACCAを選曲してる
 ここはAIYA NAPAじゃないんだよ
 僕がラッパーに見えるかい?
 
 僕 が ラ ッ パ ー に 見 え る か い ?
 
        ホット・チップ"ナイト・アンド・デイ"(2012)


 見えません。

 ele-kingの読者のみなさん、初めまして! ホット・チップくんです。ファンサイトなき時代に、ホット・チップの情報を垂れ流すツイッターをやっています(https://twitter.com/#!/HOTCHIPjp)。パブリック娘。というグループでラップもやっているぞオラオラ。辛辣な合評を待ってます。ライターとしては、ele-kingの癌あるいは恥部のようでありたいと思っています。毒ポスト・ツイッタラーのみなさんもどうぞお手固くよろしくお願いします。

 さて、チケットもどうやら完売の<Hostess Club Weekender>2日目での来日公演に併せて、ホット・チップのアレクシス・テイラーとアル・ドイルがDOMMUNEでDJをするぞ。1年前にアレクシスと話をしたときはDOMMUNEのことをまったく知らなかったようなのに、今じゃ出演するようになるなんて。ホット・チップも大きくなったんだなと思うよね。アレクシスの背も伸びているのだろうか。
 新譜『In Our Heads(イン・アワ・ヘッズ)』もどうやら絶賛の嵐で、これをきっかけに日本でのブームがようやくやってきたのかもしれません。僕は、新譜には複雑な思いがあるのだけど!

 冒頭にも上げた新曲"ナイト・アンド・デイ"やオフィシャル・インタヴュー(https://www.iloud.jp/interview/hot_chipin_our_heads_1.php)で語っているように、あまりにも注文をつけるとレコードを投げ飛ばし、DJ機材をなぎ倒してしたことがあるとのこと。温厚なアレクシスが暴れているところはなかなか面白そうなので、ぜひ「ザッパをかけろ!」「おい、ラッパー! ガラージをかけろ! プリンスはかけるな!」とリクエストしてみよう(ただし、PCの前でね)。ハッシュタグは#DoILookLikeARapperで。
 そうでなくて、まったりとグッド・ミュージックに身体を揺らしたい人はぜひ現場へ!あと、眼鏡男子に萌えの女子もね。先着50人だなんてあっという間だから。

予約はコチラから!

 1年前、アレクシスはagehaで開催された<KITSUNE CLUB NIGHT>で朝4時から2時間DJを務めたのだけれど、アゲアゲでイケイケなパーティーピーポーは、ジルダや80KidzやHEARTSREVORULTIONで踊りきったのか、アレクシスのプレイしはじめたミニマルなテクノをBGMに「おつかれー!」とばかりに続々と帰っていった。アレクシスはさして気にしている様子も見せず(でもきっと気にしてる)、まったり身体を揺らす客に「やっぱり、これいいよね」と無言で語りかけるかのようにYAZOO(ヤズー)の"Situation(シチュエーション)"をプレイし、自身のヴォーカル曲でマイクをとり客を盛り上げ(分かってやってるのがニクい)、ポール・マッカートニーの"Silly Love Songs(心のラヴ・ソング)"を笑顔で流しながら締めくくるのだった。
 アレクシス、それ2年前にも流していたよね。今年も待ってるよ。


斎藤辰也akaホットチップくん

Leonard Martinelli - ele-king

 ナンニ・モレッティ監督『ローマ法王の休日』は、最近では珍しく秀逸な邦題に思えた。原題は「教皇が決まった」で、バチカンでローマ法王を決まるときの慣用句らしい。が、日本人やキリスト教徒ではない者に馴染みのある言い回しではないし、なによりもウィリアム・ワイラー監督『ローマの休日』(53)とは責任というテーマで通じるものがあったからである。しかも、その結論には大きな時代背景の変化が感じられ、途中まで、どうせ『息子の部屋』みたいなユルいエンディングだろーと高を括っていた僕はかなり浅はかであった。原作者が国外脱出せざるを得なくなったマッテオ・ガローネ監督『ゴモラ』といい、パザリア法について簡単に学習できるジュリオ・マンフレドニア監督『人生、ここにあり』といい、このところイタリア映画は調子がいいなー。

 ところで、以前、TVで『ローマの休日』を観ていたら、責任を自覚するという成長譚としてはかなり重要な部分がカットされていて驚いたことがある。しかも、同じワイラー監督が12年後に撮った『コレクター』の原作を読んでいたら、左翼の運動家だった女性が、自分たちが革命の急先鋒になると信じていた労働者に拉致・監禁され、犯人と被害者が接触するシーンはすべて被害者が犯人に左翼理論を語って聞かせるという内容だったことにも驚かされた。いってみればジョン・ファウルズによる原作は左翼運動に対する皮肉のようなものだったにもかかわらず、言語によって構築されていた部分をすべてカットしてみたら、意外にも猟奇映画の古典ができあがったということなのである。肝心な部分をどんどんカットすることで、一気に大衆向けになっていくというドミノ倒しが進んでいるようではないか。

 しかし、『ローマ法王の休日』という作品は『ローマの休日』のような成長譚はいまや不可能になっていることを示唆していると考えることもできる。『ローマの休日』でアン王女が責任を自覚するためには、自分がやってしまったことを振り返るプロセスと、それを可能にした産婆役の存在(=新聞記者)が欠かせない。ワイラーが独自に作り上げた『コレクター』はこの関係がうまく行っていない組み合わせだと考えられ、自分のやってしまったことを振り返るプロセスが持てない犯人と、彼をどこにも導くことができない被害者がいつまでも平行線を保っている状態だとすれば、もしかすると、原作にあった言葉をすべてカットしても同じ結論に至る話だったという可能性もなくはない。『コレクター』が公開された1965年はベトナム戦争が拡大し、ミシガン大学を皮切りにデモやワシントン行進がはじまった年である。アン王女が新聞記者を誘拐して大学に立てこもっても、それほど不思議な展開には感じられなかっただろうし、自分で自分を誘拐することにすれば、それはもう半分ほど『ローマ法王の休日』と等しい展開である。世界はまだ『コレクター』から一歩も動いていないとさえ思えてくる(『コレクター』から新たな展開を考えた作品に『シックス・センス』があると思うけれど、長すぎるので割愛)。

 どうして、こんな菊地成孔のように回りくどい前置きになってしまったのかというと、アルゼンチン音響派について書こうと思ったからである。ブラジルのレストランでは子どもが走り回っているけれど、アルゼンチンではそんなことは絶対に許されない......らしい。アルゼンチンは白人の国であり、ヨーロッパ文化が見事に機能し、依然としてアン王女たちが昔通りに成熟していく国なのだろう。そう、エヴァ・ペロンは何が何だかよくわからなかったけれど、基本的には『コレクター』化せずに、エミリオ・アロといい、フアナ・モリーナといい、人気のあるミュージシャンたちはすべて堅苦しい。モノ・フォンタナやハミロ・ムソットでさえトリップ・ミュージックと呼ぶにはやはり躊躇がある(アルゼンチンの勝井祐二ことサミ・アバディはちょっといい)。しかし、そこにコロンビアから流れ込み、急速にディジタル化したクンビアである。チャンチャ・ビア・シルキート、キング・コジャ、エル・レモロン、アクセル・クリヒエール......と、従来のフォルクローレはあっさりと解体され、階級差とは個別に結びついていない「コレクター」たちが増殖し始めている......のか。

 そして、ここに、やはりディジタル・クンビアとして名の通ったトレモールからリーダー格によるソロ・アルバムが届いた。いわゆるアルゼンチン音響派のエレクトロニカ・ヴァージョンというのか、インナーによると、作曲という作業は回避し、個別に録音された楽器の音をコラージュしたり、プロセッシングしてつくったというようなことが「わざわざ」書いてある。何がどうやってつくられているのかさっぱりわからない民俗モノとは一線を画し、まさにヨーロッパ的な作法のセンスといえるだろう。この3年ほど、アホだの変わってるだのといっていれば紹介したことになってきたディジタル・クンビアとは扱いを変えねばならないことは間違いないし、実際、聴けば聴くほど、コレクターに拉致された被害者の女性のように「労働者に語って聞かせる左翼理論」を行間から掘り起こしたくなるような音楽性である。いつものように「思わず笑いが出るデレク・ベイリー」とか「ローリー・アンダースンとデヴィッド・バーンの福笑い」で済ませたいのは山々なんだけど、それでは許してもらえないような強迫観念と、それだけではないことは自覚もあるので、なんとかしようと思ったけれど、どうやら限界のようである......。聴いたこともない音楽について書くのは、やはり難しい。とても難しい(......あー、オオルタイチでも聴くかな)。

『ローマ法王の休日』を観ていて楽しいのは、実は主役の苦悩ではない。それに振り回されているかのような周囲のムードである。彼らはマネーロンダリングなどという現実的な要素にも晒されないし、この距離感こそがモレッティの最も描きたかったことではないのだろうか(ちなみにバチカンの裏側といえばマイケル・レーマン監督『ハドソン・ホーク』もけっこう楽しかった。ブルース・ウィルス演じる強盗によれば「ハドソン・ホーク」とは「ハドソン河から吹いてくる冷たい風」のことだそうで、ということは、ハドソン・モーホークというのは「ハドソン河から吹いてくる、もっと冷たい風」という意味なのだろうか? ハドソン河の風を題材にした作品には、ほかにルー・リード『ハドスン・リヴァー・ウインド・メディテイション』(裏アンビエントP200)がある)。

The Beauty - ele-king

 ザ・ビューティにはファンタジーがある。日本において等身大のテーマをあつかわない、めずらしい音のひとつかもしれない。リアリティや同時代的な共感を問題とするのではなく、現実の世界のなかに仮想の枠組みを構築していくような手つき。念頭においているのは"サン・フォールズ"や"ビヨンド・ザ・レインボウ"、"プロセルピナズ"など、ゴシックな世界観にインダストリアルな屋を架したような、奇妙に息苦しいダーク・ウェイヴの一連だ。ゲート・リヴァーブが印象的なスネアは、ドラマチックなバック・ビートを刻む。そこに叙述的と言えばいいだろうか、やや過剰にも思われる荘厳さをシンセで語りつくしてしまう、能弁なメロディがのる。このような音は現実のどの風景にもなじまない。どのような心象ともむすびつかない。ぽっかりと組みあがったいくつものファンタジーをまのあたりにして、われわれはさいころを振る。出た目の曲へ進むのもいいだろう。
 〈コズ・ミー・ペイン〉の一員ユージ・オダのソロ・プロジェクト、ザ・ビューティ。シャープなビート感覚とあまやかなフィーリングとを卓抜にまとめあげるトラック・メイカー、ヴィジテッドとともに、ファロン・スクエアなるインディ・ダンス・ユニットでも活動している。こちらもチルウェイヴ世代のディスコ・ポップを展開する気鋭の存在だ。してみると、ザ・ビューティとはユージ・オダ氏のゴシックな世界観が全開に出力されるプロジェクトなのだろう。本作はデビュー・アルバムである。アルバム後半は終末観さえただよわせ、ドラマチックのインフレーションが止まらない。それが"ビヨンド~"の教会合唱曲ふうのコーラス・アレンジに極まっている。
 その合間や前半をうめるのがダンス・トラックだが、じつに奇妙だ。筆者にはそれらのダンス・ビートが、観念的に膨張した音を解体する方向にではなく、増強する方向に働いているようにみえる。その意味でザ・ビューティのビートはビートではなく上ものやメロディに近いのかもしれない。ゴシック・ポップがファンタジー空間で起こしたオーヴァー・ラン......ザ・ビューティの美はここで苛烈に燃えあがる。身体などみじんも動かない。硬直のダンス・ポップだ。
 あまねくインディ・アーティストはこうあっていい。好きなことを信じてやればいい。というとまったく機能を失ったかけ声にも聞こえるが、これは真理である。筆者には正直なところあまり趣味性においてザ・ビューティと通じる部分はないのだが、彼の音楽が、深く、堂々と世界に突き刺さっていることはよくわかった。そしてそうであるかぎり、音はかならずどこかに届く。
 さて表題曲の"ラヴ・イン・ザ・ハート・オブ・ザ・ワールド・シャウト"にはこうしたトラック群のなかで、そのいずれでもないような表出がある。彫刻された世界観もなく、ドラマチックなビートもなく、情緒のドローイングというに近い日本的なポップス。これが意図的なものかどうかはわからないが、アルバムとしての整合性にほころびをみせるような一点がタイトル・トラックとなっていることに、筆者は心を動かされた。

ele-king vol.6 校了です!

特集は「エレクトロニック・レディランド――テクノ女性上位時代」&「サウンド・トラックス」。
表紙はグライムスに登場していただきました! いよいよ無視できない質と量とでシーンを揺さぶりはじめた、テクノ~IDM系女性アーティストたちを特集します。クラシック音楽の素養をオリジナルなフォームに転換する個性から、アート志向がつよく知的なたたずまいを持つ才能まで、インタビューはもちろん、注目作が一目でわかるディスクガイド、なぜ彼女たちが"いま"なのか、その社会的背景を分析した論考まで、多面的にきりとります!グルーパー、ローレル・ヘイロー、ジュリアナ・バーウィック、ジュリア・ホルター、サファイア・スロウズ他、本邦初取材アーティストも多数! 他ジャンル女子、金田淳子氏や上杉京子氏をお迎えしたele-kingとの交流座談会も必見。

「サウンド・トラックス」のほうでは大谷能生氏、菊地成孔氏、渋谷慶一郎氏のインタビューをたっぷり収録。 映画だけのものではない、舞台、テレビ、アートにサイバースペースと音楽の関係......変わりつつあるサウンドトラックの役割を考えます。

さらに詳細な内容は近日中にアップ予定、お待ちください!


今回メインのお知らせはこちらなのだ......!

【ele-king presents 浮女子キャンペーン】

キャンペーン実施各店において、期間中『ele-king vol.6』 or 対象商品ご購入で"オリジナル浮女子ステッカー"をプレゼント!! 対象商品のディスク・ガイドは各店店頭にてフリー配布されます。

内容は今号ele-kingとばっちりの重なり具合!
チルウェイヴやウィッチハウス以降、ポスト・インターネット世代の女子たち=インディ浮女子の好音源が店頭にて網羅されています。6月はここで散財せずして福なし!

【キャンペーン期間】
6/15~各店特典無くなり次第終了

【キャンペーン実施店舗】
タワーレコード
札幌ピヴォ、渋谷店、新宿店、秋葉原店、池袋店、吉祥寺店、横浜モアーズ店、名古屋パルコ店、近鉄パッセ店、大阪マルビル店、難波店、梅田NU茶屋店、神戸、京都、広島、オンライン

ディスクユニオン
新宿本館、渋谷中古ロック/センター、お茶の水駅前店、池袋店、柏店、中野店、オンライン

【特典:オリジナル浮女子ステッカー】

QN - ele-king

越境者としての彼 文:中里 友

QN
New Country

Summit

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 5月31日にポストされたQNのツイート...そこに貼られたOMSB'Eatsに対するディス曲"OMSBeef"の音源。その、あまりに唐突過ぎる決別の報を、この楽曲によって知った人がほとんどではないだろうか。このビーフ自体が相当衝撃的だったのだけれど、"OMSBeef"を聴いて、さらに驚かされてしまった。それは、前作以上の拡張と深化を遂げている彼の音楽に、だ。

 どんなジャンルの音楽にも熟練というものはある。僕が日本語ラップを面白いと思うのは、それぞれ独自の言語――それは言葉のアクセントや起伏、間の取り方、もちろん生来の声質によるところはかなり大きい――を思考錯誤して体得しているところにある。10人いれば10通りのスタイルがある。それはキャラクターとも言い換えられ、それは彼らの最大の「武器」でもある。他にはない表現やスキルを見せようとする初期作は冒険心に溢れ、フレッシュでいて、ときとして非常にトリッキーであったりする。それが作品を重ねる毎に、じょじょに言葉は削ぎ落とされて整理され、次第に聴きとりやすいオーソドックスなラップ・スタイルへ移行していく(それはメッセージ性に重きを置きはじめるというより、メッセージを持ちはじめるというケースが多いような気がする)。イコール独自の言語を捨てていくという事では必ずしもない......が、表現がこなれて洗練されていくという事はこういうことなのか? と疑問を感じたりもする。
 ヒップホップというシーンへの帰属意識の高いアーティストほどこういう面が強く、かたやジャンルの横断を繰り返すアーティストほどブレずに言語の独自性を保持・深化させながら、音楽性を拡張させていっている。僕は彼らを「越境者」と呼んでいる。韻踏を早くに抜けたミンちゃんやEVISBEATS、さらに言えばKREVAやイルリメは拡張の末にポップ・フィールドにまで波及した例だと思う。もちろん例外はあって、降神はさらに独自のコミュニティで表現に磨きをかけていった気がするし、KILLER BONGなどは越境......というよりも間違って地球に産み落とされた宇宙人のよう。

 QNは間違いなく越境者だ。越境者は実験を繰り返す(ミレニアルズ以降のネット・ネイティヴな世代は生まれながらに「越境者」なのかもしれないが)。QNの作品にはいつも耳を惹くアイデアがある。先月リリースされたDJ松永のアルバムにラップで客演した"Tell The Truth"での甘いフックを聴かせた後の1バース目はつかみとしても最高だし、昨年、名義を変えてトラックメイカーとしてリリースしたEarth No Madでは実験的な試みにも意欲的で、自身を拡張しようとしている意図がとれる。相模原CITYのLABORATORYから、自らをProfessorと名乗っているのも頷ける。

 そして件の"OMSBeef"だ。このトラックはやや風変わりなクラウドラップで、おまけに彼のラップはどんどん訛っていっている(同時にアップされている歌詞がなければ聴き取れなかっただろう......)。先の持論を漠然と考えていた折に、編集部から今作『New Country』が届き、聴き通してみて、やはり! と思った。もちろんまだ彼がSIMI LABに所属していた際に作られた作品なのだが、よりグルーヴを求めて削ぎ落とされたタイトなサウンドで、前作以上に無国籍なビートを鳴らしている。
 フリーキーでエキゾチックな"Cray Man"、"Hands"。ベースとドラムとわずかな音色、その上をラップでスイングする"Freshness"、"DaRaDaRa"。ファニーなルーディーズ・ミュージック"Hill"、"Boom Boom"、そしてJUMAのフックが効いたモラトリアムなメロー・ソング"Cheez Dogg"からは彼のプロデュース能力の高さが伺い知れる。アルバムの終焉にふさわしい"船出"と"Flava"は旅情と言うべき感傷さが漂っていて、総じて温かみに溢れた作品となっている。

 熟練というのは、キャリアの積み方という事でもある。3年の間に、2枚のソロ、SIMI LABのアルバム、別名義Earth No Madのアルバム、Dyyprideのアルバムのプロデュース...そして前作から5カ月というハイペースで発表された今作の『New Country』。早い。彼の初となる商業作品のタイトルを『THE SHELL』(抜け殻)とした意味も「やりたい事がコロコロ変わるから、このアルバムも今やりたいことではもうないんですよ。」とかつてインタヴュー(https://amebreak.ameba.jp/interview/2010/08/001618.html)で語っていたが、本当にそのスピード感で彼は成長を続けている。今回の脱退は残念だが、すでにRAU DEFと共にMUTANTANERSなるユニットを組んでYOUTUBEに作品をアップしている。歩調や歩幅を変えても、この先も決して歩むことはやめないのだろう。

 ラジオを通じてQNとOMSB'eatsに熱いメッセージを送った菊地成孔じゃないが、4月のDCPRGとのライヴで、STUDIO COASTという大舞台で見せたSIMI LABの素晴らしいステージング......世代も越えて観客をロックした、あの光景に夢を見てしまった僕も含めて、多くのファンが今回のQNの脱退がとても残念な事に思えてしまうのは、それはしようがないことだ。いや、こんなこと書いても本当にしようがないのだけれど。
 

文:中里 友

»Next 竹内正太郎

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物語の外側へ 文:竹内正太郎

QN
New Country

Summit

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 「早熟」という形容は、むしろこの作品の前では礼を欠くかもしれない。

 「もう僕はSIMI LABには居ません。QN」、突如そうツイートされたのは5月22日だった。ツイートは確かに本人のアカウント(@professorQN)だったが、前後の書き込みからしてもまったくの無文脈だったので、私は何かの冗談だと思っていた。が、6月1日、QNのSoundCloudに"OMSBeef(Dis)"がアップされ(https://soundcloud.com/simi-lab/omsbeef-qn)、どうやら事態は想像以上にシリアスであると、多くの人がさらなる深刻化を覚悟してしまったのではないだろうか。少なくとも、OMSB'Eats(@WAH_NAH_MICHEAL)やMARIA(@MariaPPgirl)のアンサー・ツイートを見る限り、QNとSIMI LABメンバーとのあいだには何か決定的な行き違いがあり、容易には復しがたい距離が存在する、それがどうやら一定の事実であるようだった(注:残念だが、6月12日、QNの脱退がオフィシャルで報じられた......)。当然、詳しい内部事情はいっさい承知していない。無用な推測は控えるべきだろう。何かを言うべき立場の人はもうコメントを出している、例えば菊地成孔のように。オーケー、私が言いたいこと(言えること)はたったひとつ、『New Country』は本当に素晴らしいアルバムだ。

 そもそも、OMSB'EatsもMARIAも、そしてDyyPRIDEも、このアルバムに参加している。あたかもそこになくてはならない既定の風景のように、SIMI LABの面々はこの作品に協力し、パフォーマンスしている。それに、RAU DEFや田我流もいる。本来であれば、純度100%の、大きな祝福の中で聴かれるべき作品だと思う。もちろん、例の件をできる限り肯定的に捉えれば、SIMI LABが馴れ合いで運営される仲良しクラブでないことが公けに示されたとも言えるが、この作品の完成とこのタイミングでの発売を、決してよく思わない人たちもいるであろうことは、(ぶり返すようだが)残念ではある......。SIMI LABのデビュー・フルレンスに寄せ、かつて「個人的にはQNにもう少し出しゃばりを期待」している、などと書いた人間からすれば、本作はまさにあのとき理想に描いたとおり作品であるが、だからこそ余計、複雑な感情になってしまうのもまた事実で......。

 いや、妙な感情論はやめよう。QN(今後はプロフェッサーQNと呼ぶべきなのだろうか?)は、さらに磨きあげたトラック・プロデュースで、すべての協力者に報いている。音楽家としては、まず間違いなく最高の仕事を果たしている。アレンジメントされる多彩な弦類、重く揺れ動くベース・サウンド、淡々とリズムを刻む軽やかなドラムスは、彼の手によって美しい循環構造を描いている。そして、これは相変わらずと言っていいのか、この1990年生まれが持つ雰囲気というのは、ちょっと並はずれたものがある。絶対に浮かれてたまるかと言わんばかりの、常にローにコントロールされた異様なテンション。ビートの鳴りやループの展開は、前作『Deadman Walking 1.9.9.0』(2011)以上にタイトになっている。そして、ベースの効かせ方がとにかく心地よい。J・ディラのビート・プロダクションを"21世紀のヘッドフォン・ファンク"と評した海外のライターがいたが、それはこの作品にもそのまま当てはまるのではないか。これはQNによるファンク解釈のグルーヴィな作品である。

 そしてラッパーとしても、その不遜な口振りは更なる自信を見せつけている。この年功序列国家においては、ときに過剰なまでの謙遜が重んじられる傾向にあるが、ヒップホップはその道徳を破棄する文化でもある。そう、QNは誰よりもクールに、だが自分がナンバーワン・ラッパーであるかのように、ファンク・ビートの上で堂々と韻を流している。日本語も英語もない交ぜに、とにかく滑らかに流れていく。引用すべきパンチ・ラインも、もちろんある。とくに、表題である「新国家」の、おそらくは同義語として「夢」という言葉がふたつの意味で使われる"Better(feat. RAU DEF, MARIA)"には、QNの決意がもっとも強く表れている。が、韻文として組んだリリックを、あくまでも散文のように崩して聞かせる技術には舌を巻く。ゼロ年代、ドメスティック・ラップの潮流に物語回帰(それも、"Street Dreams"としての物語ではなく、"My Space"としての物語への回帰)があったとすれば、QNはまたぶらぶらと物語の外側へ出て、意味のあること/ないことを問わず、背景にある物語からいくつかの場面や感情のみを取り出し、新たな世界を立ち上げているように思える。

 また、こうした純粋なラップの機能性からの影響なのか、浅からぬ縁を持つ田我流を招いた"船出"は、粒揃いの本作でも群を抜いたコズミック・ファンクで、『B級映画のように2』という、おそらくは現在の日本に対する複雑な心境を込めたアングリーなアルバムからは一転、「こんな国は捨てて/空を突き抜けて/大気圏に突入/無重力でパーティ」とラップする田我流が、私には実に楽しそうに見える。彼の『B級映画のように2』が、ヒップホップの圏外へと向かう社会性の作品だったとすれば、本作はヒップホップの原理的な魅力にこだわった、周囲との国境線を強く意識した作品だ。貫禄めいたこの落ち着きぶりはいったいなんだ? 表情はまだどこかに十代の面影を残しているが、「早熟」という形容は、むしろこの作品の前では礼を欠くかもしれない。浮かれることを知らない弱冠21歳が、新たな王国を築こうというのか。月並みの結論であるが、事情はどうあれ、作られた音楽そのものに罪はないと思う。おそらくは多くの人の期待を凌いでいるのではないか。『New Country』、その確信めいたヘッドフォン・ファンク。存分に楽しんで欲しい。


文:竹内正太郎

DUM-DUM PARTY'2012 ~夏の黄金比~ - ele-king

じつは都心から意外と近いという噂の河口湖。
全天候型の開放感あるライヴ空間で、

ザ・ヴァセリンズ、相対性理論、小山田圭吾 を堪能...... !!

伝説たちを生け捕りにしよう。

緑とヴァセリンズ、
富士急線と相対性理論、
初夏と小山田圭吾。

オープニングを飾るのはベル・アンド・セバスチャンのリード・ギター、スティーヴィー・ジャクソン!

来場者全員に永井博イラスト使用の特典が用意されていたり、期間中は富士急線一定区間においてやくしまるえつこ氏の特別アナウンス(!)が流れるなど、お祭り気分を盛り上げる仕掛けもたっぷりだ。

湖畔はグラスゴーに変わる。
いい季節がめぐってきている!

【DUM-DUM PARTY'2012 ~夏の黄金比~】
Curated by OFFICE GLASGOW&DUM-DUM LLP

●イベント特設サイト:https://party.dum-dum.tv/

●ARTIST
The Vaselines / 相対性理論
Guest: 小山田圭吾(コーネリアス)
Opening: Stevie Jackson(Belle & Sebastian)(追加)

●日時:
7月1日(日)
OPEN 16:00 START 17:00 ※20時~21時頃の終演を予定

●会場
〒401-0301
河口湖ステラシアター 大ホール(野外)
山梨県南都留郡富士河口湖町船津5577
TEL:0555-72-5588   FAX:0555-72-5578
https://www.stellartheater.jp/

●TICKET
¥6,900 全席指定taxin
※3才以上有料1drink別
※KIDS割引あり(高校生以下、学生証提示で¥2,000 キャッシュバック。高円寺DUM-DUM OFFICEのみの受付)
※永井博イラスト使用の来場者全員特典配布アリ

●チケット一般発売中
チケットぴあ0570-02-9999/LAWSON TICKET 0570-084-003/e+にて
ディスクユニオン、高円寺DUM-DUM OFFICE店頭にて

高円寺DUM-DUM OFFICE店頭発売(平日12:00~18:00) 03-6304-9255
地図等はこちらから! https://dum-dum.tv/blog/

主催:DUM-DUM LLP
企画制作:OFFICE GLASGOW / DUM-DUM LLP
協力:スリー・ディー株式会社/みらいレコーズ/Traffic Inc.


そしてこちらも!

スティーヴィー・ジャクソンもバンド・メンバーで参加!
名盤再現ライブシリーズ『HMV GET BACK SESSION』THE VASELINES「DUM-DUM」LIVE 開催
2012年6月27日(大阪)、6月28・29日(東京)
イベント詳細:https://www.hmv.co.jp/pr/getback3

Shackleton - ele-king

 ダブステップが浮上してきたゼロ年代中盤、僕はどちらかというとグライムの方に興味があったので、エル-Bやディジタル・ミステックスといった人たちに大きな関心は持っていなかった。〈リフレックス〉からリリースされた2枚のコンピレイションや〈ソウル・ジャズ〉から出たシングルを何枚か買ってみたぐらいで、ベリアルのデビュー・アルバムも最初は試聴のみにとどまった。例外はピンチのデビュー・シングル「カバーリ」(06)で、この曲だけが一時期、僕とダブステップを結びつけていた。その圧倒的なポテンシャルは、昨年、リリースされたラマダンマンのミックスCDにいまさらのように収録されていたことでも明らかだろう(ちょっとBPMが早すぎたけど)。

「カバーリ」は、ひと言でいえば、ダブステップにトライバルなリズムを薄く忍ばせたもので、これが意外とフォロワーを産んでいない。この6年間でもブロークン・コンパス「オーストレイリア」、クッシュ・アローラ「ボイリング・オーヴァー」、エンヴィー「グリッチ・ダブ」、ファーカス「ミート・ザ・ファーカス」......ぐらいで、それらもとくに出来がいいシングルばかりとは行かない(もしかするとスウィッチによるビヨークのリミックスもそれらしく聴こえたかもしれない)。なによりもピンチが路線を変えてしまい、彼からすみれば自分なりの興味に従っていたのだろうけれど、僕からすればどんどんあさっての方向に行ってしまう感じでしかなかった。

 この間隙を埋め続けたのがシャクルトンだった。最初の頃はそれこそ「薄く忍ばせる」だけで、トライバル・リズムが前景化することはなかった。それどころか無機質な感触を強調したかったのか、ファースト・アルバムはミニマル・テクノの〈パーロン〉からリリースするなど、これもまた少なくとも僕の興味とは逆の方向にあるものとしか思えなかった(そもそもダブステップのファン層は必要以上にテクノやハウスをバカにしていた)。おかげで「デス・イズ・ノット・ファイナル」のようなシングルはすべて聴き逃してしまった。これが〈ファブリック〉からのミックスCDで根こそぎ覆る。野田努も書いているように前半だけでも充分なのに、直前にリリースされた8thシングル「マン・オン・ア・ストリング パート1&2」など後半に並んでいる曲は異様なほどヒプノティックで、油断していると思いも寄らなかったところまで連れ去られる。同シリーズのヴィラロボスよろしく自作の曲だけで構成されているので、ファーストから3曲の採録がなければ実質的なセカンド・アルバムといっていいほどスキル・アップしたヴァージョンであることは間違いなかった。〈パーロン〉を経由したこともムダではなかった。ヴィラロボスに限らず、ミニマル・テクノがその当時、ワールド・ミュージックから吸収しようとしていたことをダブステップに応用したことは明らかだからである。

 翌年、シャクルトンはピンチとのジョイント・アルバムをリリースする。ピンチに興味が持てなくなっていた僕は(デザインのせいもあって)最初はスルーを決め込んだものの、「年末ベストに間に合わなかったことを後悔している」という野田努のヘンな言葉使いに刺激されて、やはり聴いてみることにした。トライバル・リズムは、しかし、ここでは野田努の強調する怪奇趣味に押されて「薄く忍ばせる」程度に戻っている。"カバーリ"にもアトモスフェリックな効果は充分にあり、これを拡大したものになっているといえばいいだろうか。ハットとパーカッションにストリングスだけで表情をつけていく"ルームス・ウイズイン・ア・ルームス"からアブストラクな展開にもつれこむ"セルフィッシュ・グリーディ・ライフ"など、セイバーズ・オブ・パラダイスや最近ではザ・ケアーテイカーに至るイギリスのホラー趣味をダブステップの文脈で受け継ぐものであることは、なるほど間違いがない。"バーニング・ブラッド"のように変な状況下ではヘタに聴きたくない曲がここには最後まで渦巻いている。

 しかし、シャクルトンに関してはトライバル・リズムをダブステップにどう応用するかという探求が、僕にとってはメインである。「マン・オン・ア・ストリング パート1&2」やファブリックのミックスCDは次を期待させるに充分であったし、ジェイムス・ブレイクやゾンビーよりもDRCミュージックに触発されるものがあるのは、やはりダブステップが何よりもリズムを楽しむための音楽だと思いたいからである。そして、(時にはそういうこともあるものだというか)シャクルトンのセカンド・アルバムはジャングルのなかに分け入っていくようなトライバル・リズムの宝庫と化していたのである! しかも『ミュージック・フォー・ザ・クワイエット・アワー』と題されたまったくの新作と、同時にリリースされた3枚のEPを1枚にまとめた2CDセットという体裁で!

 『ミュージック・フォー・ザ・クワイエット・アワー』というタイトルはブライアン・イーノを想起させるけれど、なるほどイーノ&クラスターやクラウトロックにありがちなシンセサイザーの響きが縦横に飛び交い、それをヴィラロボス式のトライバル・リズムがしっかりと下から支え続けていく。いわば、新旧のドイツ音楽がダブステップというフィールドで無理やり結び付けられてしまったようなもので、"カバーリ"でも使われていた民俗楽器や飛行機のドップラー音が奇妙な抽象空間を織り成す"パート3"はザ・KLF『チル・アウト』にも匹敵するような未知のトリップ・ミュージックへと発展し、"パート4"にたどり着く頃にはリズムも消えてしまう。どこか非常に美しい世界。自分はそこに足を踏み入れている。ピンチとのジョイント・アルバムでは、それはダークな姿をしていたけれど、ここにあるのは「ホコリと光のすごいごちそう」。だんだん重力から遠ざかっていく。気絶してしまいそうだ。いつまで経ってもここにいて、永遠に"パート5"にはたどり着けないような気がしてきた。ベドウィン・アセントとの共作なのに、指の間から取りこぼしてしまいそうだ。話しかけないで欲しい。さっきから同じ言葉を何度も打ち間違えている。もう、なにがなんだかわからなくなってきた...... もう、文章を書くのが面倒くさい...... ああ......

teams - ele-king

 スペースゴーストパープのデビュー・アルバム『Mysterious Phonk』のジャケを見たとき、このギャングスタみたいな見てくれの作品のどこがチルウェイヴと繋がっているのか見当つかない。しかし、いざレコードに針をおろしてみると......下北沢のジェットセットの試聴機で二木信が「これ、俺向きじゃないしょ!」と根を上げたように、そのサウンドはウィッチハウスやダークウェイヴそのもの......このチルウェイヴ以降のヒップホップにおける新しい展開、つまりクラウド・ラップのネクストとして注目されているがトリルウェイヴ。初期チルウェイヴやクラウド・ラップの代表格のリル・Bと違って、トリルウェイヴとは、 たとえば三田格がレヴューしていたメイン・アトラキオンズのように、ネタありきではなく、ポスト・チルウェイヴとしてのオリジナル・トラック、ラップのあるなしにかかわらず、クラムス・カジノ以降のヒップホップの流れのようだ。
 トリル──などという言葉を言われるとクラシック音楽の演奏におけるそれ(32分音符)、あるいはヘヴィーメタルのギターのそれを思い浮かべる人もい少なくないだろうが、あながち外れではない。トリルとは、音のああした震えのことを意味するわけで、"チル(沈静)"ウェイヴのネクストのひとつが、"トリル(震え)"ウェイヴだそうである。まだ、"クラウド(雲のような)"ラップと呼んだほうがしっくり来る気もするが、とにかく、そんな季節目の変わり目に、トリルウェイヴ/クラウド・ラップ系の使者が今週末、来日する! 東京では主宰の〈WHITE LILY〉レーベルをはじめ、〈コズ・ミー・ペイン〉も登場。大阪では本サイトも注目のMadeggも出演します。
 これはなかなか注目すべきイヴェント、真新しい現場を体験したい人、ぜひ!


 2011年に〈MEXICAN SUMMER〉からリリースされたSTAR SLINGER とのコラボ作「TEAMS VS. STAR SLINGER」も話題となった、マイアミの新世代ビート・メイカー、SEAN BOWIEによるソロ・プロジェクト、TEAMS。7月のデビュー・アルバム『Dxys Xff』の国内盤CD発売に先駆けて行われる初来日ツアー(東名阪)が今週末に開催されます!
 会場では東京公演を主宰するインディ・レーベル〈WHITE LILY〉とのコラボレーション盤も販売予定(※JET SETなど一部レコード・ショップでも販売中)。同作はTEAMSの最新録音となる完全未発表の新曲4曲に加えて、国内の気鋭5アーティス トによるリミックスを加えた全9曲を収録とのこと!

PLANCHA サイト内では前売りチケットの予約も受付中です。
<Teams Japan Tour 2012 チケットご予約フォーム>
https://www.artuniongroup.co.jp/plancha/top/teams-japan-tour-2012-form/

■Tokyo
White Lily Presents "CULT CLUB Vol.8″
――Teams Japan Tour Special!!! -

6/29(金)
at Lush (Shibuya)
Open & Start 24:00 -
前売り¥2,500(include 1 drink.) / 当日¥2,500(include 1 drink.)

Live:
Teams (from Los Angeles)
Nag Ar Juna
HNC

DJ:
Gikyo Nakamura (The Pegasuss)
YO!HEY!!(Threepee Boys)
Tetsuya Suzuki (TOP GUN)
Ozawa Gentaro-Z (Young Fidelity)
&
Cuz Me Pain DJs(YYOKKE/ODA/NITES)

https://whitelilyrecords.tumblr.com/

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■Nagoya
White/Black

6/30(土)
at Cipher
18:00~
前売り¥2,000 /当日¥2,500(without 1D)

LIVE:
Teams (from Los Angeles)
ORLAND
NILE LONG

DJ:
W/B DJs
Love Action DJs

https://www.underground.co.jp/cipher_top/schedule/

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■Osaka
INNIT

07/01(日)
at Grand Cafe Osaka
Open & Start 17:00
ADV/Bring Your Music:2300YEN (w1D)
DOOR:¥2,800(w1D)

Teams (from Los Angeles)
Seiho
Avec Avec
Taquwami
And Vice Versa
Magical Mistakes
Madegg
Ryuei Kotoge
Jemapur/Aspara
Keita Kawakami
VJ:Kezzardrix

HP:https://innitmusic.com/

[Electronic, House, Dubstep]#11 - ele-king

Swindle - Do The Jazz | Deep Medi Musik


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E王   「ジャズ・シング」(1990)、「ジャズ・イズ・ザ・ティーチャー」(1992)、「ハイテック・ジャズ」(1993)、「イッツ・ア・ジャズ・シング」(1994)......そして「ドゥ・ザ・ジャズ」(2012)。16分で打たれるハンドクラップ、ムーディーなハミング、アシッドな電子音とサブベース、コンクリートを砕くんじゃないかと思わせる迫力満点のユニゾンとドラム・パターン......「格好いいグライムください」と、下北沢のZEROで買ったのがコレ。ラップはないが、ストリート・ミュージックというものの魅力が満載のトラックで、メランコリックな上ものをミックスしながら脈打つビートはどう聴いてもパンク。
 "アンダー・ザ・サン"は、シルキー風のメロウな感じではじまり、そして雷鳴のような、ジュークのような好戦的なシンセサイザーがこじんまりとしたダンスフロアに一撃を加える。エレクトロのようなファンクの粘っこさもある。"イフ・アイ・ワズ"では、グライム式のR&Bを展開する。汚れて、そして、どこまで汚れている。歌は、何を言っているのかわからない。この先のことなど何もわからない。本当に素晴らしい"詐欺"からの1枚。グライム......ああ、痺れる。

Jessie Ware - Running | PMR Records


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 SBTRKT、あるいはジョーカーのアルバムでも歌っている女性シンガー、ジェシー・ウェアの2枚目のソロ・シングルで、両面ともにリミックスを担当しているのが前回のこのコーナーで紹介したディスクロシュア......このような形で頭角を現してきた。もっとも、ディスクロシュアが自分たちの曲でやっているUKガラージ風のビートはここにない。これはベース・ミュージックを通過した、完璧なハウス・ミュージックである(ジョイ・オービソンの流れ)。ジェシー・ウェアのまったくパワフルな歌/ヴォーカリゼーション、そしてキャッチーなメロディも肝だが、ディスクロシュアのグルーヴィーなビートも見事。いやー、素晴らしい。ダンスの魅力満載。3ヴァージョンとも輝いている。

Fresh Touch - The Ethiopian EP | Angular Recording Corporation


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 これは今日の(とくにイギリスでの)トレンドのひとつ、ワールド・ミュージックへのアプローチ。デイモン・アルバーンとのDRCミュージックで味をしめたのか、アデルで商業的な大成功をおさめた〈XL〉の社長、リチャード・ラッセルが同じDRCミュージックのメンバーでもあり、また、キング・クルエルやジ・XXなどの仕事をこなしているロダイド・マクドナルドとのコンビによるシングルで、エチオピアで現地の人たちと録音した音源をもとにベース・ミュージックへと変換した4曲が収録されている。エチオピア人のコーラスがこだまする1曲目の"ハーラー・リズム"も、2曲目の"68ジョイント"も、B面2曲目の"アダージ・ライト"も、ダブステップというよりはグライム。ワールドなテイストを除けば、アンダーグラウンドへと回帰しようとしているダブステップの動きとも重なる。

LA Vampires by Octo Octa - Freedom 2K | 100% Silk


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 これ、ハウスっす。ローファイでもなんでもなく、4/4キックドラムを使ったハウス・ミュージックです。ベテラン・リスナーは、1990年代なかばあたりのロン・トレントやシェ・ダミエのディープ・ハウスを思い出しましょう。あの頃のラリー・ハード・チルドレンたちのハウスを軽めに展開した感じとい言いますか......。ビート的な新しさはない。しかし、たとえば"ホエアエヴァー"のような曲ではハウスのクリシェを使いまくりながら、ドリーミーな上ものとアマンダのセクシャルなヴォーカリゼーションによって惹きつける。"ファウンド・ユー"などはダンス・ミュージックであり、ヒプナゴジック・ポップでもある。ロサンジェルスでは踊りながら眠っているのだろう。気持ちよすぎる。5曲+リミックス1曲、計6曲入りの......EPなのかLPなのか。ジャケのアートワークも最高。

interview with Hot Chip - ele-king

 2006年のセカンド・フル・アルバム『ワーニング』は、ホット・チップの名を広く世に知らしめるとともに、こんにちまでのバンド・イメージを決定することになった代表作である。アレクシス・テイラー(ヴォーカル)の叙情的なソング・ライティングと、ジョー・ゴッダード(シンセサイザー)の乾いたサウンド・メイキングは、同時期にフェニックスが提示したようなダンス・フロア仕様のガレージ・ロックに交差する、エレクトロニックなディスコ・ポップの軌道を描いた。
 しかし〈DFA〉との邂逅によってスマートなダンス・アルバムとしてのアウト・プットを得たこの作品や、つづく『メイド・イン・ザ・ダーク』などの背後には、おそらくつねに2004年のデビュー作『カミング・オン・ストロング』がドグマとして意識されていたのではないかと思う。いま聴けば瀟洒なポップ・ソング集といったたたずまいのその作品は、実際にはそれぞれにマイナーなセンスを持っている彼らがなぜこんにちまでポップな表現にこだわってきたのかということの、ひとつの根拠となるようなアルバムである。

キミの両手にあるエンターテインメントの世界
腕の長さくらいの世界
"モーション・シックネス"


Hot Chip
In Our Heads

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 エンターテインメント(ポップ)の世界といっても、それは卑小なきみの両腕の長さに収まるものだ......ホット・チップには、つねに自らの拠って立つ場所に対するアイロニカルな認識があった。アイロニーとしてのポップというのは、それじたいはありふれた批評意識であるが、移り変わりのはやいポップ・ミュージックのシーンにあって実践をつづけることはむずかしい(また、その実践が目的化してしまっても意味がない)。
 5作目となる本作『イン・アワー・ヘッズ』で、彼らははじめてメンバー外の人間をプロデューサーとしてむかえた。それは彼らがなぜポップを志向し、ホット・チップというバンドをつづけているのかということの意味を整理するためではなかったかと思う。各メンバーはすでに優れたサイド・プロジェクトを持っていて、そこで自由にそれぞれの嗜好を試している。
 ホット・チップとはすでにただやりたいことをやるプロジェクトという以上のなにかだ。その互いのバランスを塩梅するのが今回のプロデューサー、マーク・ラルフということになるだろう。 "ルック・アット・ホエア・ウィ・アー"や"ナウ・ゼア・イズ・ナッシング"など今作には思いきってR&B調の歌ものトラックがいくつか収録されている。ながく聴いているリスナーには少々カドが取れたように感じられるかもしれないが、次のステージをめざすアルバムとして、誠実でリアルなヴィジョンがある。むしろよりひろく新しいリスナー層によって咀嚼されていく作品ではないだろうか。ドラムマシン担当のフェリックス・マーティンはほのぼのとした人柄をしのばせながら答えてくれている。

ダンス向きのサウンドにしたいと思ったし、押し出しの強い、シングル向きなサウンドというね。ダンスフロアでもいける、クラブでもいける、そういうものを目指してたんだ。

『Warning』まではホーム・レコーディングが基本スタイルで、前作『One LifeStand』もその原点に戻る作風でしたが、今回はマーク・ラルフとともにスタジオで制作が進められたのでしょうか?

フェリックス:これまでもアルバムのなかで3、4曲はスタジオでレコーディングしてたけど、1枚通して1箇所のスタジオでレコーディングするっていうのは初めてだった。レコードのサウンド的な面で必要だと思ったんだよ。そこに僕らの友だちのマーク・ラルフが来てくれて、プロデュースやレコードのエンジニアリングを努めてくれたんだ。共同プロデューサーとしてね。当然、彼はいろんな「おもちゃ」を持ってるからさ。音楽的なおもちゃをね。

レコーディングの模様を教えてください。

フェリックス:今回は時間をかけてじっくりと、去年の8月から今年の1月、2月くらいまで休み休みしながらやっていたんだ。あまり締切のこととかも考えずに、自分たちに作れる最高の音楽にすることだけを考えて。これまで作ったレコードのなかでもっともミックスやサウンド的に満足しているアルバムになったと思う。今回のスタジオはクラブ・ラルフというところだった。いままでやってたみたいに、家で半分作ってきて、っていうのもできたと思うけれど、せっかく機材がたくさんあったからね。ホーム・スタジオだとそうはいかないし、そばに何でもわかる人がいてくれて作業するほうがよっぽどわかりやすい。実際にできあがったものを見ても、やっぱりはっきりと違うと思った。ここが違う、って明確に名指しできることではないけれど、たしかに違いはあると思う。より大きく、よりひろがりがあると思ったよ。

音色もアレンジも豊富で、情緒的なソングライティングが基調となった前作『One Life Stand』に対して、今作はよりハードでディスコ寄りな作品であると感じます。制作にあたってメンバー間ではそうしたコンセプトが共有されていたのでしょうか。

フェリックス:そう、ダンス向きのサウンドにしたいと思ったし、押し出しの強い、シングル向きなサウンドというね。ダンスフロアでもいける、クラブでもいける、そういうものを目指してたんだ。それが僕らにとって大事なことだったから。それだけじゃなくて"ルック・アット・ホエア・ウィ・アー"や"ナウ・ゼア・イズ・ナッシング"のように内省的な曲もあるけど、それはアレクシスが書きたいと思う曲だったんだ。それもアルバムのいち部だし、それがなかったらホット・チップじゃない、と思うんだよね。ハウス・ミュージックとクラブ・ミュージックとのラヴ・アフェアがあってこそのサウンドだと思ってる。

『イン・アワ・ヘッズ』というタイトルがアルバムの内容を指したものだとすれば、いまあなたがたの頭のなかや音楽は、とてもすっきりと整理されているように思われますが、いかがでしょう?

フェリックス:そうだね、実際は歌詞から取ったんだけど。1曲目の"モーション・シックネス"のなかに出てくる歌詞なんだ。それから、最後の曲にも出てくるかな。このレコードを聴いている70分くらいの間は、僕らの頭のなかが少しのぞけるよ、という意味もあるね。アルバムのタイトルをつけるときに、単純にシングルとか、アルバムの曲のタイトルにするのはイヤだったんだ。もう、それはやりつくしちゃったからね。

"ルック・アット・ホエア・ウィ・アー"や"ナウ・ゼア・イズ・ナッシング"といった、R&B的でときにブルージーですらあるナンバーは、これまでのホット・チップからすれば異質なキャラクターを持っていますね。作品のなかでも絶妙なタイミングではさまれます。これらはどのように生まれてきた曲なのですか?

フェリックス: "ルック・アット・ホエア・ウィ・アー"は僕らがアメリカンR&Bを聴くのが好きなことから生まれた曲だね。古いデスティニーズ・チャイルドとか、Rケリーとか。この曲はアメリカでシングルとしてアピールすると思うんだ。"ナウ・ゼア・イズ・ナッシング"はアレクシスが途中まで書いて、いちどやめて、もういちど書き直したといういきさつがあるんだよ。ちょっとビートルズ風というかポール・マッカートニー風でね。僕らはみんなマッカートニー・ファンなんだよ。

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チャールズ・ヘイワードやロバート・ワイアットともまたやりたいと思うし。プロデューサーだったらティンバランドやブライアン・イーノとか。どうせだったらデヴィッド・ボウイも言っちゃおうかな(笑)。


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今作『イン・アワ・ヘッズ』でアレクシスとジョーが手掛けた曲はホット・チップ以外の活動期間に作られているものも多いということですが、アバウト・グループや2ベアーズでの経験からのフィードバックは感じますか?

フェリックス:たしかに、他のプロジェクトに参加して、いろんなテクニックとか新しいワザを覚えてくることはあるよね。他のミュージシャンと一緒に仕事することで学ぶことはたくさんあると思うし。それをホット・チップに持ち帰ってくることはあると思う。でもホット・チップで大事なことはジョーとアレクシスとみんなが参加して作ること。それがグループとして、バンドとしての意義だと思うんだ。彼らがサイド・プロジェクトを持っている、ということは、ホット・チップにとってというより、彼らにとって意味のあることなんだろうね。アレクシスはアバウト・グループが好きで、ああいうサウンドの音楽が好きなんだけど、ホット・チップに戻ってきたら、頭をきり替えてポップの考え方に変わるんだ。

チャールズ・ヘイワード(ディス・ヒート)は引き続きの参加となりましたが、彼が加わることには音楽的にどんな効果を期待していましたか?

フェリックス:彼はすばらしいミュージシャン、ドラマーで独特なプレイスタイルを持ってるし、スタジオでも前向きなパワーを出してくれているんだ。彼が部屋にいてくれるだけで素晴らしいと思うような、みんながすごく影響されるエネルギーを出してくれるんだ。彼がいっしょにプレイしてくれるだけで光栄だと思うよ。

生ドラムの使用はあなたの視点からするとホット・チップの音楽にどのような影響を与えていると思いますか?

フェリックス:そう。レオ・タイラーもまたドラムを叩いてくれてるし、ほかにもパーカッションではいろんなミュージシャンに来てもらってるし、バンドのライヴでプレイしてくれるロブ・スモウトンとか、彼もすばらしいギタリストだと思う。多くのミュージシャンに来てもらって、彼らの解釈によって曲が変わるのを聴くのがとても好きなんだ。だからそういう人たちに来てもらうことができて、とてもうれしく思ってるんだ。

曲順について特に意識されている部分はありますか? 毎回かなりの曲数になりますね。

フェリックス:うん。すごく意識するよ。アルバムのなかで曲の流れとか、アルバムとしての一体感を考えてどうするべきか、考えるのはとても大事なことだと思ってる。まず1曲目はアルバムの導入としても大事だから、あの曲があってよかったと思う。そこから、聴く人の興味をそらさないように、流れを変えないように気をつけた。それはDJをやってて覚えたことだと思うんだよ。人の気持ちを盛り上げて、それを維持していく方法って。DJでは大事なことだから。曲数に関しては、本当はもっと入れたいと思ったんだけどね。でも10曲、11曲に収めなくちゃいけないから。だから本当はアルバムに入れたかったのに、さまざまな理由で入れられなかった曲がたくさんあるから、近々Bサイド・アルバムを出したいと思ってる。

"ウォント・ウォッシュ"のようなサイケデリックな作品は『メイド・イン・ザ・ダーク』以降には出てきませんが、ありえたかもしれないホット・チップのもうひとつの姿として、エスニックな要素やサイケデリックな表現、あるいはアンビエントな作風を思い描くことはできますか?

フェリックス:あの曲はちょっと変わったサウンドだよね。他にあんなサウンドの曲は作ってないから。将来的にまたやってみようと思うかもしれないけど、いまのところは思いつかないし......。でも、あの曲のことを持ち出すなんておもしろいね。もし、こういう曲が好きなんだったら、ほかの連中にも伝えとくよ(笑)。もっとできるかもしれない。

2008年リリースのレコード・ストア・デイ限定シングルは「ナイト・アンド・デイ」のダフニ(カリブー)によるリミックスでした。ダフニ自身もその名義ではエスニックなサイケデリアを追求していますが、どういう経緯で彼が手掛けたのですか?

フェリックス:彼はむかしからの友だちでね、もう何年も前からいつかやってくれと話してたんだけど、ようやく実現したんだよ。リミックスとDJと。携帯のなかの「電話帳」探してたら、彼がいたからかけてみたらOKしてくれた、って感じだね。

その「ナイト・アンド・デイ」では政治的な詩作で知られるロバート・ワイアットのような大御所、「アイ・フィール・ベター」(2010)でのボニー・'プリンス'・ビリーとのコラボレーションまで、ポップスに収まらないディープな方向性を持ちあわせたホット・チップですが、あなたがいま注目したりいっしょに仕事をしてみたいと思うアーティストはいますか?

フェリックス:プリンスなんかいいよね。誰でもいいんだったらやってみたいよ。もちろん、ロバート・ワイアットともまたやりたいと思うし。プロデューサーだったらティンバランドやブライアン・イーノとか。どうせだったらデヴィッド・ボウイも言っちゃおうかな(笑)。いまは自分たちだけで手いっぱいだけど、ツアーが終わったらやってみたいことはいっぱいあるよ。もうすぐ日本のツアーもあるしね。

〈ドミノ〉移籍となったことでバンドにとって大きな変化はありましたか?

フェリックス:もともとむかしから知ってた人たちだし、友だちだったからとてもよくしてくれてるし、自由を与えてもらってるよ。だから移籍してよかったと思ってる。

あなたにとって今作中どの曲がもっとも印象深いでしょう?

フェリックス:僕がいちばんすきなのは1曲目の"モーション・シックネス"かな。シングルの"ナイト・アンド・デイ"もライヴではすごくいいと思うんだ。

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