「Nothing」と一致するもの

Goku Green - ele-king

 今年の3月のことである。写真家の植本一子は「とうとう眉毛を整えたラッパーが出てきたぞ! と石田さん(夫であるECDのこと)が鼻息荒く教えてくれた」とツイートしていた。SALUのことだ。それがひどく印象に残ってしまい、機会あってECDにインタビューした際に、「SALUをはじめとする若手ラッパーについて、どう思いますか?」とたずねてみた。返答は思いがけないものだった。「SALUは作られているといった感じがするんだけれど、北海道のGoku Greenというラッパーは天然で......どちらかというと、僕に近い気がする」。もちろんこれは眉毛の話なんかではなく。

 ECDが1996年の七夕の日に日本語ラップ史に残るイベント「さんピンCAMP」を主催したのは有名な話だが、Goku Greenはそのちょうど1年後に生まれた。音楽好きの両親のもと、スヌープやボブ・マーリーを師と仰ぎながら育ち、高校入学と同時に本格的に音楽制作をはじめる。そして、昨年秋に無料ダウンロードで発表されたミックステープ『ハッパ・スクール』を契機にシーンの注目を集めることになる。ウィズ・カリファやカレンシーといった、いわゆるUSストーナー・ラップ直系のスムースでメロディがかったフローが持ち味で、SALUとはラップ・スタイルが近似しているためによく比較されていた(ともに影響を受けたアーティストとしてボブ・マーリーを挙げている)。しかし、前出のECDの言葉が端的に表しているように、この二者には違いがある。似たようなフローのなかにおいても、アクセントや節回しから90年代~00年代の日本語ラップの潮流を汲んでいるSALUに対して、GOKU GREENは、荒削りな原石としての輝きがある。発声法やトラックへ合わせたデリヴァリーしかり、洗練という意味では、SALUの方が上手かもしれない。だが、必ずしもスキルの優劣が音楽の良し悪しに直結するものではないことを僕らは知っているし、彼はそういうタイプの歌い手でもない。ヴォーカルのかぶせやエディットも最小限の簡素なつくりで、少々危うさもつきまとうボーカルだが、なにより華があるのだ。彼が「生まれながらのMC/ナチュラル・ボーン・ラッパー」と言われるゆえんであり、ECDに「天然」と指摘されもするそんな屈託のなさは、あるいは、かつての5lackの「テキトー」と言いかえてもいいのかもしれない。

 そんな彼のデビュー作は『ハイ・スクール』と題された。それはたんに、彼の日常の大きな比重を占めている場所を指しているのだろうか。大半の曲で歌われる内容は、ショーティー、マネーにウィ―ド......いずれもオーソドックスなヒップホップ・テーマの例に漏れないものばかりだが、「高校」という主題からはおおよそかけ離れているし、自分が高校生ということに言及している詞も少ない。にもかかわらず、こうしたタイトルをつけているのは、全編にただようモラトリアムなムードと、それを許している自身の生活・環境を考えてのことだろう。いわば、想像と夢に耽ることを許された時間。"キャン・ユー・フィール・イット"で聴けるライン「人生の計画は考えないでノリはEasy」なんてすがすがしいほどだ。また、"ネボー・ギャング"なんていう、彼らの仲間内で使われているキュートなスラングのように、ヒップホップ・マナーでもっていかに日々を楽しむかというゲームを行っているようなフシも感じとれる。今作が描き出す彼の日常は、"ドリーム・ライフ"の意味を「夢の日々」、もしくは「夢のような日々」のいずれに解釈するにしろ、現実感に付随する重さをきらい、若さに満ちた確証の持てない希望を、個人的な願望に置きかえて歌っている。ラップ・スタイルとしては、やはり5lackの系譜に連なるとは思うが、ストーナー・ラップの括りでいえば、ファンタジーを織り交ぜて東京という街を描出し、楽観的にも厭世的にもとれる平熱的な語り口を持つ詩人、ERAをも思い出させる。だがGOKU GREENはより初々しく甘酸っぱく、ドリーミーでポップだ。つまり、グリーンはグリーンでも、ストーンというよりはエヴァー・グリーン。思いがけないドラマに導かれた彼に言わせれば、ヒップホップのクリシェ「Life's A Bitch(人生はクソだ)」よりは、「Ma Life Iz Like A Movie」なのである。



 『ハイ・スクール』リリース後、GOKU GREENは8月にフリーのミックステープ『ダーティ・キッズ』を発表。こちらは発表直後から長らくダウンロードできなかったのだが、つい先ごろ2曲追加した形で再度発表された(ダウンロードはコチラ→)。『ダーティ・キッズ』はミックステープらしいつくりで、というのも、いくつかは既存の曲のビート・ジャックもので、フリースタイルでサクッと録ったような印象。だが、前半部を聴くだけでもビート・アプローチが確段にうまくなっていることがわかる。キャッチーなフックとフローのメロディ・センスは健在で、多幸感あふれるクローザー・トラック(その名も"ネボー!!!")まで心地よく聴かせられてしまう。総じて言えることではあるが、非常に軽い聴きざわりで、それが快い。目玉はLil'諭吉プロデュースの"キャンディ・キャンディ!!!!"で、テーマ・パークのメルヘンチックなBGMをサウス寄りのバウンシーなトラックにアレンジしたような好トラックだ。また、ニコラップをフィールドに活躍する気鋭のラッパーRAqやYURIKAといった客演陣は、非常に完成度の高いヴァースを提供しており、こちらも聴きごたえ十分。

 今年に入ってAKLO、LBとOtowaなど、ミックステープを主戦場として活動していたアーティストが有償かつフィジカルでのリリースを果たしている。そんななかでもGOKU GREENはミックステープ『ハッパ・スクール』のみを足がかりに、1年と経たずインディ・ヒップホップ専門の新興レーベル〈BLACK SWAN〉の第1弾アーティストとしてデビューを果たした。このアクションのはやさには「非メインストリームに潜むすばらしい音楽やアーティストを自由に紹介すること」をレーベル・ポリシーとして掲げる〈BLACK SWAN〉の強い思いがあったようだ。それにしても、THE OTOGIBANASHI'Sをはじめ、『REV TAPE』にも収録され話題となっていたdodoや、早くから騒がれていたRIKKIに、12月に〈LOW HIGH WHO?〉からデビューする女子高生ラッパーdaokoなどなど新たな世代の胎動と加速する若年化の波は、けっしてアイドル業界にかぎった話ではない。そんな過渡期ともいえるなか、先鞭をつけるかたちで若干16歳のGOKU GREENがアルバム・リリースを果たしたことの意味は大きい。長い目でみれば、『ハイ・スクール』は、ひとつの指標になり得る作品なのではないか。そう思ってしまうほどに、GOKU GREENはフレッシュで、ヒップホップ・ドリームをふたたび、僕らに夢見させてくれるのだ。

磯部 涼 (編著) - ele-king

 いつそれが「わたしの問題」になってくるのか、ひとまずクラブなどの与える恩恵に浴してこなかった筆者にはそこが問題である。同じような距離感でこの一連の騒動を眺めているかたには、この本は手頃なガイドになるだろう。たとえばこのことが「クラブが警察によって取り締まりを受けている」という事実描写にとどまるかぎり、筆者にとっては対岸の火事である。しかし「踊ると取り締まりの対象になるらしいよ?」という言い方になれば話は別だ。それはクラブに通う通わないを問わず、踊る踊らないということすらこえかねない種類の問題へと拡大される。またここに「何のために取り締まるのか」「そもそもそれで誰が得を?」というような視点が加われば、思いがけない角度から危惧を感じることにもなるだろう。この本はそのようにさまざまな視点と経路をとりながら、ダンス規制法としての風営法やクラブ閉鎖問題が「いつわたしの問題になるのか」を考える手がかりを与えてくれる。

 宮台真司はまずクラブという場所が持つ意味を語り直す。かつてほとんど同内容の証言を野田努から得たのだが、筆者をふくめかなり多くの人がクラブとディスコのイメージを混同していないだろうか。宮台は両者をハレとケとで分類し、ケとしてのクラブの意義を強調する。そこは素の自分を出してリラックスできる居場所であったとして「善の場所」と回顧され、クラブの持っていた包摂的な機能が指摘されている。何千人で盛り上がるレイヴに対し、10人ほどの音楽鑑賞会的な集まりを思い浮かべれば、おのずとダンスのイメージも多重化するだろう。それをすべて犯罪の温床であるかのように見倣すのはかなり無理がある。

 いっぽうで、そもそもダンスというものが人間の生の営みのなかでどのような役割を果たすものであるかという原理的な問いからこの問題を観察しているのが、佐々木中や千葉雅也らである。彼らの述べていることは同じではないが、ダンスを大きく生の比喩としてとらえようとするところには共通するものがある。無理に要約するならば、そこでは生というものの本質が、何らかの型へと押し込まれ飼いならされていくことに抗おうとする運動としてとらえられ、ダンスも同様にイメージされている。またそれぞれに、風営法は憲法違反だとしたり、法の有効な誤読をうながしたりと、大本の枠組を読み換えようとするアイディアにも通じるところがある。

 ダンス=生=反抗といった感覚はよく理解できるものだが、佐々木においてはそうした図式がややロマンチックに用いられすぎている印象がある。アメノウズメノミコトが世界に朝を取り戻したように、はたしてわれわれは踊りつづけることで(日本の)夜明けを迎えることができるのか。ただ生きていることがすなわちダンスであるとしながら、ここでいわれるダンスとは、反抗であり戦いであり、つまりはただ息をしているという意味での生とは釣り合わない、とてもレベルの高いものであるようにみえる。クラブで日夜おこなわれているダンスは、実際、その意味でのダンスを担えるものなのか。そしてそうではないダンス(=戦わない生――戦わないということ自体が生と矛盾するため、このような表現はナンセンスということになるだろうが――)の、おそらくは数多に及ぶ存在は、氏によってどのように評価されるのか。筆者にはそのへんがよくわからなかった。また、ロベスピエールのギロチンの犠牲者たちのためにも生存権は守られるべきだという主張はもっともだが、だから風営法を見直しましょうというのは現実を動かすためにはやはり難度の高いロジックであり、そうした難度が、ここでは生の概念や一連の論旨をむしろ耽美的で虚無的なものへと転換してしまうように感じた。

 対して千葉はマイナーな生への寛容さをうながす意味でこうした法規制の批判を展開する。「性道徳の紊乱と奔放な射幸心を生じやすい為にこれを規制し」という驚くべき規制理由を引用しながら、なぜ「奔放な射幸心を生じ」てはいけないのかと問い返し、多くの人が法を内面化したがるメカニズムや、享楽性が不可解なまでに忌避されてしまう現象について考察し、強まりつつある「アンチ不道徳」な風潮を危ぶむ。これは宮台とモーリー・ロバートソンの対談でもひとつの焦点となっていた、誤ったクリーン志向を危惧する視点に通じるものである。「危険なものを目に見えない場所へと排除することで、本当に危険なものは地下にもぐり、いたちごっこのように規制は強化され、警察の権益も増す」といった状況を危険視するこうした指摘は、松沢呉一など、おもに風俗産業と風営法との歴史を追うルポルタージュにも繰り返されているほか、この本の秀逸な帯文「健全で清潔な社会は好きですか?」にも色濃く、この本の大きなテーマのひとつであることがわかる。

 このように、法による過剰規制をめぐる原理的な問いとして、クラブ規制問題が抽象化されれば、筆者にとってはもっとも理解しやすく興味深いところとなる。他方で、法改正やリアルなクラブ経営のための実地な取り組みとして、この問題にどう効率的なアクションを起こせるかという点から明快な提案を行う津田大介の話もおもしろかった。坂口恭平の「クラブへの金本位制導入」といったいたずらっぽいプレゼンテーションもキュートな感じの印象で彩りを添えている。

 とはいえ、風営法やクラブ規制問題について切実な利害関係を持たない筆者にとって、一連の議論は、知的な好奇心を刺激する以上のなにものかではない。それは論者の問題ではなく筆者の問題である。考えれば考えるほど、知的な興味関心以上に自分に関わってくるところを想像できず、またその点によってこそそれは切実な「わたしの問題」となって立ち現れてくるように感じられる。筆者にとってこの問題との唯一の接点であり、つらい部分でもあるのは、これらクラブ規制問題のまわりには、それと無関係でいることを許さない空気が生まれてしまうことだ。

 じつは「レッツ・ダンス」という署名運動に流れで署名してしまったことをとても後悔している。無論、この署名活動自体はまじめな取り組みであり、運動の側にまったく非があるわけではない。悪いのは自分で、「書いて」と言われて断れずになんとなく書いてしまった自分のなさがほとほと情けなくいやなのである。あのとき自分は必ずしも署名したいわけではなかった。だがこの取り組みにおいて掲げられている「表現の自由を守る」という題目の威力には、どこか思考する前に屈服させられるようなところがあって、訴えられている内容自体に何の異論もなくとも、自分の意思でないものに腕をつかまれて署名を行ってしまったというような、いかんともしがたい違和感と自身の空虚さへの嫌悪がつのり、自分のなかに変な後味を残したのだ。

 断る理由は本当にない。筆者はもとより「表現の自由」を侵す取り決めに対して不快を示すものである。それは守られるべき(というかただ行使すべきものだとも思うが......)権利であると認めるし、筆者自身の表現活動が何らかのかたちで取り締まられれば不当だと感じるだろう。しかしこのことを切実な問題としない第三者にあえて意思表示を求めたり、こちらの考え方を強要したりするつもりはない。同様に、自分が本当に理解し、愛しているわけではないかもしれない事柄について、つまりその責任をとれるかどうかわからないレベルの事柄について、不正直な協力をしたくないと思う。真剣にクラブを、ひいては生や自由を守り、不穏な権益の増大を抑制し、あるいは社会の成熟を企図し、あるべき共同体の姿を模索し、といった取り組みをおこなう人には、自分自身も恥じるところのない態度で向かいあいたいという気持ちがある。

 それが余計な、誰の得にもならない考えだったにしろ、だったらそういうつまらなさ、超マイナーなあり方を許してもらうことはできないだろうか。許してもらうべく自身の態度を決することができなかったことを恥じている。もしかするとくだらなく感じられることかもしれないが、それは筆者にとってこの問題と誠実に向かいあうための唯一のつながりである。自由という理念の、というか、自由ということが理念になるときに生じる抑圧的な力が、いまより大きくこの問題の周辺にあらわれてくることがあれば、筆者は当事者としてあらためて向かいあいたいと思う。

倉本諒 - ele-king

Dreampusherというワンマン・バンドで今年から後ろ向きに活動しています。愛称はドリシャです。
先日M. Geddes Gengrasとのセッションをレコーディングしました。気が向いたら形にします。

Crooked TapesからはNNF主催Britt BrownとAlex Brownによる負のオーラ全開のデュオ、Robedoorの"City of Scum"と、Metal Rougeの"Live Dead Elk"をリリースします。
というかもうしてます。ウェブの更新が億劫なだけです。
https://crooked-tapes.com

ジャケのアートワーク及び刷りを手掛けた若手Samantha GrassのLPが〈NNF〉から出ました。2ないし3色x500枚以上のいままでにない量で初めて腰をやられました。
DIYの肉体の限界に挑みます。

他もろもろ、あくまでコッソリとやったり目論んだりしているやらいないやらしてます。

2012 summer-autumn Smoker's Delight


1
M.Geddes Gengras / Personable LP (Peakoil)

2
Pete Swanson / Alone Together #5 7'(Emerald Cocoon)

3
Sean McCann & Matthew Sullivan / Vanity Fair LP(Recital One)

4
Sewn Leather / Feel The Lack CS(Chondritic Sound)

5
Ras G / El-Aylien Pt. II : C.razy A.lien 7'+CS(Leaving Records)

6
OM / Advaitic Songs LP (Drag City)

7
Sylvester Anfang II / John Changs Komische Hand : Moordende Maan 7'(the Great Pop Supplement)

8
Swans / The Seer LP(Young God)

9
Villains / Road to Ruin LP(Nuclear War Now !)

10
EYEHATEGOD / New Orleans is the New Vietnam 7'(A389 Recordings)

Andrea Parker Et Daz Quayle - ele-king

 デヴィッド・クローネンバーグが新作『危険なメソッド』でユングの半生を扱っている。最初は腑に落ちない組み合わせだと思ったものの、すべてをリビドー(性衝動)で説明しようとするフロイトに反発し、性に対する抑圧やその解放を自ら経験しつつ、前後して神秘主義に足を踏み入れる頃には『ヴィデオドローム』(82)や『クラッシュ』(96)といった過去の作品とも重なるものが見えはじめる。なんとも穏やかなラスト・シーンに至ってはかつての世紀末的と評されたエンディングの数々を包み込んで成仏させるような趣きまであった。ユングとフロイトというよりは、ユングと冒頭でユングの診療室に運び込まれてくるザビーナ・シュピールラインという元患者にして、後にロシアでたくさんの弟子を育てる精神分析医の関係が物語の中心となっていて、僕は不勉強でよく知らなかったけれど、この女性の生い立ちがまた凄絶そのものだった(彼女がユングとの恋愛を題材にした論文はフロイトをしてタナトスの概念にも影響を与えたとか)。(日本人にエスプリやフランスの政治はわからないという判断だったのか)劇場未公開だったミシェル・ルクレール監督『戦争よりも愛のカンケイ』(傑作!)は女性に対する性的虐待をファンタジーの領域で逆転させた快作だったけれど、『危険なメソッド』はこれを正攻法で扱い、世界史を構成する不可思議な歯車として認識させてしまう。パク・チャヌク監督『サイボーグでも大丈夫』といい、松尾スズキ監督『クワイエットルームへようこそ』といい、病院に運び込まれてくる女性たちをなめてはいけませんね。

 病院に運び込まれたかどうかはわからないけれど、二度に渡る脳卒中で音楽を諦めることになったダフニー・オーラムは03年に死去してから、ようやく生前の音源がリリースされはじめた。彼女が残した膨大なアーカイヴを整理していたヒュー・デイヴィスも途中で逝去してしまったため、どこでどういうプロセスを辿ったのか、07年に『オーラミックス』がリリースされても内容に不満を持った者が多かったらしく、昨年から改めて『ジ・オーラム・テープス Vol.1』というシリーズが開始されている(いずれも2CDないしアナログ4枚組)。そして、これによって早くから電子音楽を扱っていた女性の表現としてはなかなか意外な相貌が浮かび上がってきた。僕も同時期のアメリカにありがちなシューとかピロピロみたいな無邪気な電子音を想像していたので、むしろミュージック・コンクレートに近い作風がのしかかってきた時には少々面食らった。録音時期が判明しているものでも58年から67年とあり、多くは60年代前半に集中している("脳卒中"と題された曲も......)。

 前述したシュピールラインとその娘たちがナチスによって殺された年、オーラムはBBCでサウンド・エンジニアの職を得ている。戦後のイギリスは男性の数が激減したため、意外な場所に仕事を得た女性が多かった。オーラムはリーダー的な気質だったのか、1958年にはTVとラジオの効果音を製作するBBCレイディオフォニック・ワークショップを組織し、この集団にはジョン・ベイカーをはじめ、後にホワイト・ノイズを結成するブライアン・ホジスンやデリア・ダービーシャイアも所属していた。しかし、1年も経たないうちにオーラムはBBCから不興を示され、同社を退くことになる。以後は財団のサポートを受けて世界でも初めて電子楽器のスタジオを持った女性となり、かなりな数の作品を録音したようだけど、前述した通り、レコードなどでリリースされることはほとんどなかったらしい(https://en.wikipedia.org/wiki/Daphne_Oram)。また、BBCレイディオフォニック・ワークショップがその後も制作し続けた効果音は現在までにけっこうな数がレコード化され、19作目には今年のレコード・ストア・デイで34年ぶりにオリジナル・ジャケットで復刻された『ドクター・フー』も混ざっている。ザ・KLFがタイムローズの名義でナンバー1・ヒットを飛ばした「ドクトリン・ザ・ターディス」はこれの主題歌をサンプリングしたものである(リズムはゲイリー・グリッター......って、いまから思えば単なるマッシュ・アップでしたねw)。

 このようなオーラムの未発表音源に手を加えてリリースしたのが、なんと、アンドリア・パーカーだった。チェロ・プレイヤーからDJに転向し、〈ファット・キャット・レコーズ〉のアレックス・ナイトらとインキー・ブラックヌスとしてデビューしたパーカーは、90年代後半になるとエレクトロのプロデューサーとして〈モワックス〉などからリリースを重ね、やはりエレクトロを専門に扱う〈タッチング・ベース〉を主宰してきた渋いお姉ちゃんである。ライナーによると以前からオーラムにインスピレイションを得ていたパーカーが、偶然にもロイヤル・アルバート・ホールで行われたオーラムの回顧イヴェントでオーラムの曲を再現しないかと誘われたことから話ははじまっている(08年)。「アメリカにロバート・モーグが、イギリスにはダフニー・オーラムというパイオニアがいた」という思いを強くしたパーカーは、いまだ公にされていないオーラムのアーカイヴをすべて聴くチャンスを得て、ダズ・クエールとともに膨大な量のサンプリングを繰り返し、オーラムのダークサイドを抽出したものが『プライヴェート・ドリームズ・アンド・パブリック・ナイトメアーズ』(以下、『PD & PN』)の中核となっていく。面白いのはインナーに使われている写真がオーラムの少女時代のもので、『オーラミックス』や『ジ・オーラム・テープス』に使われていたのがイギリスのがんこババアみたいな写真ばかりだったことと大きな差を感じることである。オーラムの音と向き合うなかで何かを感じたのだろう。

 オーラムのナレイションをフィーチャーした"女の時間"で幕を開ける『PD & PN』はたしかにオーラムのそれよりもゴシック係数が高く、オーラムが影響を受けたミュージック・コンクレートよりも最近の感性に移し変えられている。これはオーラムだけに言えることではないけれど、かつての実験音楽はあえて感情を排しているものが多く、スキルや音の鳴りに興味がなければジョン・コルトレーンなんか、何をがんばってるのかさっぱりわからないことさえあるし、スロッビング・グリッスル以下のノイズ・ミュージックがむしろ感情表現に変革を起こした実験音楽として聴かれていた可能性もあるだろう(でなければ中原昌也のような存在がそれに続くか?)。01年にクォーターマスからリリースしたセカンド・アルバムに『ザ・ダーク・エイジス』というタイトルをつけていたこととも相俟って、パーカーがここで試みていることはオーラムが残した闇のトーンに感情的な奥行きを与えることではないかとまずは推測できる。オーラムの時代には必要なかったのかもしれないけれど、怒りや悲しみを表す場所がいまやアンダーグラウンドに押しやられている可能性もあるだろうし(ヒット・チャートにあふれている音楽のほうがかつての実験音楽のように感情を排しているとしか思えなかったりするし)、感情表現が過去と接続するための単なる媒介になっているとも考えられる。実際、『PD & PN』を聴いていると少し重いなと思ってオーラムのオリジナルに替えたり、オーラムを聴いていると物足りなくなって『PD & PN』に戻したりしてしまうし。

 オーラムが舞台用に手がけた「ハムレット」(63)を基にした"ゴースト・ハムレット"ではパーカーが得意とするエレクトロも顔を出す。パーカーがクエールとともに大きな意味でウェザオール・ファミリーの一員だったことをこの曲は想起させる。ウェザオールがイン・ザ・ナーゼリー改めレ・ジュメにリミックスをオファーする感覚がこの曲にも流れていて、エンディングでそのホラー趣味は頂点を極める。このような曲に「永遠に、そして、いつもここに」というタイトルを与えることはそのままイギリス人の人生観を表しているのではないだろうか。評価されることもなく、忘れ去られていたオーラムが「永遠に、そして、いつもここに」いると、重苦しい曲のなかから語りかけてくる。『ドリアン・グレイの肖像』じゃないけれど、彼らにとってこれは美を意味しているのではないだろうか。聴き終える頃には少女時代のオーラムが最初と同じ感覚では見られなくなっている。心霊写真のように傷ついた写真はまさにオーラムが「いつもここに」いたように見えてくる。

 オーラムに刺激されたか、今年に入ってから女性の電子音楽家が次々と発掘されている。イタリアからはドリス・ノートンのファースト・アルバム『ラプス』が30年目にして復刻され、それほど不遇ではなかったものの、アンディ・ヴォーテルはスザンヌ・チアーニの初期音源を『リクシヴィアション』にまとめ(ライナーでは性転換したんだからウォルター・カーロスも女性として扱おうとヴォーテルは提案している)、タレンテルのジャフレ・キャントゥ・レデスマはアカデミズム畑からマギ・ペインのアンビエント作品を『アー・アー ミュージック・フォー・エド・タンネンバウムズ・テクノロジカル・フィーツ 1984-1987』にまとめている(どう考えても、この流れは流行りですね)。また、今月はこれらに加えて(まだ観てないけれど、アメリカ版『バトル・ロワイヤル』としか思えない)フェイスブック世代の内面をとらえたといわれるゲイリー・ロス監督『ハンガー・ゲーム』に「セディメント」が使われたというローリー・シュピーゲルが1980年にプライヴェート盤として制作した事実上のファースト・アルバム『ジ・イクスパンディング・ユニヴァース』も再発され、快楽主義というフィルターを通過した実験音楽として聴けるものが多いなかでも、驚くほど現代風のアンビエント・ドローンやシンセ-ポップ風のコンポジションを2CDに渡ってこれでもかと聴かせてくれる。それこそモーション・シックネスやメデリン・マーキーに続く新人といわれても気がつかなかったかもしれないし、年代が20年ほど違うとはいえ、そのような比較のなかでもオーラムとパーカーの仕事は異彩を放っていると結論づけることもできる。もちろん、ジョン・ケージと出会ってピアノを売り払い、シンセサイザーに手を染めたテレーザ・ランパッツィやフランカ・サッキなどあまり知られていない女性の電子音楽家は探しはじめれば切りがない。ニーチェの系譜学ではないけれど、歴史とは誰にとって都合がいいものとして書かれてきたのかということを考えはじめるとき、ダフニー・オーラムが忘れ去られた理由も浮かび上がってくるだろうと思うばかりである。

会いに行ける〈raster-noton〉。 - ele-king

 Olaf Benderとともにドイツのエレクトロニック・ミュージック・レーベル〈raster-noton〉の共同設立者として知られるFrank Bretschneiderの来日ツアーが行われる。東京公演は落合soupの6周年記念イベントとともなっており、スタッフ諸氏にも熱が入る。

 新宿区の落合を拠点として東京のDIYスペースの中でも異彩を放つsoupは、これまでに5周年記念としてMika Vainio(ex-Pan sonic)を迎える他、Mark Fell (SND)の単独ソロ公演やMark McGuire (Emeralds)のアンコール公演&DJ、日本初の100% Silkレーベル・ナイト、Dustin Wongの100分間ノンストップ・ソロ公演等々、「銭湯下のDIYスペース」という特殊な場所性を彩ってきた。配管工事や内装、音響設計、現場の進行やPAにいたるまですべてをDIYに行っているばかりか、スタッフ全員がノー・ギャランティ(売り上げはすべてサウンド・システムや店舗工事に回しているとのこと!)でイヴェントに携わるといった驚くべきアティテュードで運営されている。それぞれにラーメン屋を、電気技師を、保育士をと別々の仕事に従事しながら、音楽を紐帯として結びつく彼らは、みな90年代後半から2000年代の〈raster-noton〉などウルトラ・ミニマリズムに強く影響を受けてきたといい、今回の招聘にいたった背景がほの見えてくる。

 ツアーにはFrank Bretschneiderによるプロデュースのもと〈raster-noton〉初の女性アーティストとして注目を集めるkyokaが全公演に帯同。公演によってはフランク自身によるレクチャーなども開催予定とのことで見逃せない。

https://ochiaisoup.tumblr.com/post/..

 追加のDJに関しては、お客さんにライヴに集中していただきたいということで公表はしない方針のようである。

Frank Bretschneider & kyoka Japan Tour 2012

カールステン・ニコライ(aka. Noto/Alva Noto)らと共にベルリンを拠点に活動する、raster-notonの共同設立者、フランク・ブレットシュナイダーが来日ツアーを行います。
演奏家/作曲家/映像作家であり、レーベルraster-notonの運営と並行してエレクトロニック・ミュージックの過激な還元化と、サウンドとヴィジュアルとの相互作用から生じる美学の最前線を切り拓いてきた彼は、90年代後半のウルトラ・ミニマリズムやサウンドアートを強力に牽引、現在に至るまで絶大な影響力を誇っています。

■2012.10.10 (Wed) at Sapporo Provo
Open/Start 20:00/20:30

Frank Bretschneider
kyoka
sofheso
jealousguy

DJ: Mitayo

https://d.hatena.ne.jp/meddle/20121010

■2012.10.12 (Fri) "時間の音楽" at Kanazawa beta lounge
START 23:00

Frank Bretschneider
kyoka
Riow Arai
Kyosuke Fujita
Susumu Kakuda

https://susumukakuda.tumblr.com/post/31120576060

■2012.10.12 (Fri) Frank Bretschneider 特別レクチャー
"音と映像との相互アクション" at Kanazawa NEW ACCIDENT

20:00-21:00

*20名の入場制限があります。当日はお早めにご来場ください。
https://susumukakuda.tumblr.com/post/31120371870/frank

■2012.10.14 (Sun) "patchware on demand
-shrine.jp 15th anniversary party-" at Kyoto Metro

Open/Start 18:00

guest live :
Frank Bretschneider (Komet, raster-noton)
Christopher Willits (12k, Ghostly International, Sub Rosa)
kyoka (raster-noton)

shrine.jp live :
Toru Yamanaka
Marihiko Hara
dagshenma(higuchi eitaro) + Ikeguchi Takayoshi
genseiichi
HIRAMATSU TOSHIYUKI
plan+e
(大堀秀一[armchair reflection]&荻野真也&糸魚健一[PsysEx]+古舘健[ekran])

act :
tsukasa (post or dry?)
tatsuya (night cruising)

https://www.metro.ne.jp/schedule/2012/10/14/index.html

more lectures to be announced.


*ライヴ公演は10/10(水)札幌Provo、10/12(金)金沢beta lounge、10/13(土)落合soup、10/14(日)京都Metroとなります。

■Frank Bretschneider

プロフィールはこちらから

■Kyoka (onpa/raster-noton)

2012年にドイツのraster-notonより、レーベル初の女性ソロアーティストとなる作品『iSH』をリリース。これまでに坂本龍一等とのStop Rokkasho 企画、及び、chain music、Nobuko HoriとのユニットGroopies、Minutemen/The Stoogesのマイク・ワットとのプロジェクト、onpa)))))レーベルから3枚のソロアルバムなど、ヨーロッパを中心に活躍してきたKyoka。
ポップと実験要素がカオティックに融合された大胆かつ繊細なサウンドは、これまでも世界の多くの人を魅了してきた。
2012年4月にはSonar Sound Tokyoに出演、6月にはパリのセレクトショップcoletteのコンピレーションに楽曲「ybeybe (ybayba editon)」を提供。現在、フルアルバム制作中。

「どういう音楽を聴いてきたら、こういうものを作る女性になっちゃうんだろう?」─坂本龍一─

 13年前、ニューヨークに拠点を移して以来、ホームタウンの大阪にじっくり滞在することはほとんどなかったが、9月の2週間大阪に滞在した。今回はいろんな角度から大阪のシーンを見ることができたのでレポートする。

 大阪とニューヨークは、長いあいだ直行便がなかったのだが、2011年4月からチャイナ・エアラインが、週に3、4日、JFK-KIXのサービスをはじめた。この13年間、ニューヨークから大阪への直行便はなかったので、個人的に嬉しかったが、JFKのターミナルで、エア・チャイナと間違え、長いターミナル移動をさせられ、出発は機内に乗ってから2時間以上も待たされた。フライト・アテンダンスに理由を聞くと出発する飛行機が多く、順番待ちなのだそう。メジャーなエアラインはどんどん飛びたっているのに、やっぱりまだ肩身が狭いのだろうか。

 大阪到着、著者は大阪の下町、商店街もある谷6出身である。知らないあいだに、近所はどんどん変化し、友達にコンタクトを取ると、その中の何人かが偶然にも谷6周辺に引っ越していた。近所を散策すると、このエリアについての冊子もでていた。

 谷6繋がりで、家から5分とかからない場所に、元あふりらんぽのピカチュウが主催するグループ、taiyo33osaka のオフィスがあり、お邪魔した。そこでは、2013.3.11プロジェクトのために、ミーティングが行われていて、ピカチュウやメンバーらの活動話しを聞きつつ、勉強会と称して映画鑑賞をした。オフィスの下には、昭和な雰囲気のたこ焼きカフェがある、心地良い場所だった。大阪力の発信地を間近で見た。

 そのピカチュウも「斬ラレスト」として出演した「子供鉅人」という劇団の演劇を見に行った。子供鉅人の隊長は谷6で「ポコペン」というバーを営んでいて(現在は休業中)、著者も以前にお邪魔したことがあったが、彼らの舞台を見るのは初めて。ポコペンで話したときから、普通でないキャラを感じたが、舞台は彼の才能と人を仕切る力が見事に活かされていた。
 大阪5公演はすべてソールド・アウト。作品としても、エンターティメントとしても、プロフェッショナルで、出演者のキャラクターを活かした人物設定、演技、台詞、話の間や転換、ゲストとのバランス、現代的で、皮肉的で、最初から最後まで見所満載のチャンバラ劇であった。
 ピカチュウは、文明開化の代表として、歌いながら斬られていく役を立派に果たしていた。別の日の「斬ラレスト」には、私がよく行くカフェのマスターの名前もあった。他のゲストが、どんな風に登場するのかも楽しみ。東京は10/4からなので是非見る事をお勧めする。

 先出のカフェのマスターとは、大阪のアメリカ村にあるdig me out(ディグ・ミー・アウト)というアート・ダイナーで、FM802とコラボレートし大阪のアートを応援している(彼も谷6仲間)。彼と仲間が、ニューヨークに来たこともあり、かれこれ10年以上の知り合いである。そのディグ・ミー・アウトの6周年記念ライヴにお邪魔した。ラインナップは、アジアン・カンフー・ジェネレーショ((アコースティック)、イエ?イエ、プリドーン、そしてジェイムス・イハのツアーに同行していたスティーヴのバンド、ハリケーン・ベルズであった。フレーク・レコーズとの共同開催で(こちらも6周年)、会場は日曜日だというのに、たくさんの人で埋まっていた。日本のバンド2組(イエ?イエとプリドーン)は女の子ひとりで、小さい体から懸命に声を出し、オーガニックで、木綿が似合う印象だった。アジアン・カンフー・ジェネレーションは、ナダ・サーフのメンバーと話したときに、名前が出て知ってはいたが、曲を聴くのは初めて。自虐的なMCで会場を沸かせ、別活動も興味深く聞かせて頂いた。ハリケーン・ベルズは元ロング・ウェイヴというバンドのメンバー。新旧の曲をアコースティックで演奏。これだけたくさん見て、終わったのが10時だという時間配分も素晴らしい。

 谷6の知られざる潜水艦バー(?)にも潜入。全くの口コミらしいが、著者が行った時も満席。平日の11時ぐらい、終電は大丈夫なのか?驚いたのは、その内装(外装も!)、維新派という劇団のメンバーが廃材から作ったらしいが、完成度が高すぎる。本物の潜水艦の内部は知らないが、本物より本物っぽいし、細部がより細かい。これだけでも満足だが、ドリンクも美味しく、グラスはピカピカに磨かれ、マスターのキャラも最高。お客とはほとんど話さず、営業中の2/3は、地道にアイスピックでアイスを形創っていた。あまりの衝撃に思わずリピートさせて頂いた。


 別の日には、鰻谷のコンパスに石橋英子さんのショーを見に行った。ゲストは山本精一さん。どちらも見るのは初めてだったが、肩に力が入っていない、自然体なショーだった。山本さんは、ドラム、キーボード、 ギター/ヴォーカルの3人体制。歌ものの良さを素直に感じさせる、ほんのりしたショー。
 石橋英子さんは、もう死んだ人たち(=ジム・オルーク、須藤俊明、山本達久、波多野敦子)、という名義のバンドで登場。今回はさらに、スティールパン、クラリネットのゲストが参加していた。石橋英子さんの柔らかい声を中心に、ギター、ペダルスチール、ベース、ドラム、シンセサイザー、ヴァイオリン、チェロ、クラリネットなどのさまざまな音が織り成し重なりあい、インプロヴィゼーションあり、歌ものありの大洪水。お客さんもインターナショナルで、子供鉅人の演劇にも来たという、ベルギー人の女の子もいた。

 最終日は、元あふりらんぽのオニが主催する「誰も知らないモノマネ大会」を日本橋の本屋喫茶に見に行った。台風のため、一時は中止かと思われたが、時間通りに行くと、リハーサルも終え、コスチュームできめたオニが「やる」と。
 「誰も知らないモノマネ大会」は、出演者のオシリペンペンズ、アウトドアホームレス、赤犬、ウォーター?ファイ、子供鉅人などのメンバーが学校の先生や近所の人など、その人しか知らない人、もしくは実在しない人物のモノマネをして、審査員が点数を付ける。優勝者にはオニのお母さんのハワイの土地の1坪がプレゼントされるというもの。
 誰も知らない人のモノマネをするので、実際それが似ているのかどうなのか、想像でしかわからない。期待半分で行くと、モノマネ大会とは仮の姿か、と思うほどみんな真剣。出演者、司会者、審査員、すべてが役者揃いで、内容、効果音、コメントなど含め、さすがお笑いが根底にある大阪人、のど自慢大会を見ているような、ほんわか気分にさせつつ、みんなの本気度、完成度、そしてテンポの良さに、息つく暇もなく笑せて頂いた。オニの段取りも、気が利いていたし、出演者の別面の才能が開花していた。

 他にも、京都の「ナノ」というライヴ・ハウスに知り合いのショーを見に行ったり、大阪の鰻谷のロックポップ・バーに行ったり、千日前の色濃いギャラリーにリッキー・パウエルの写真展を見に行き、ひとつずつシーンを確認し、駆け足だったが、内容の濃い大阪滞在だった。
 著者の回りの人なので、偏りはあるが、大阪には面白い人が集まっているのを体感できた。こうやって地元シーンは育って行くのだろう。こういった情報をこまめに得たり、ショーケース/クロスするにはまた別の努力が必要である。

DJ Nobu - ele-king

 昨年から今年にかけてDJ NOBUには何度落ちた気分を救われたことだろう? 3月ASIAでのPARTY、Liquidroomでの7時間セット、そしてFREEDOMMUNEのときの名だたる世界中のアーティストの中でのPLAY。どれも私にとっては年間BEST PARTYに入ると言っても過言では無い感動をもらった。そんなDJ NOBUが新たに始動したレーベル〈Bitta〉と、彼の地元千葉で様々なPARTYを展開する「SOUND BAR mui」による共同オーガナイズPARTYが原宿神宮前の新スポット「garaxy」にて開催される。

 今回彼らが招聘するのはドイツのアンダーグラウンド・クラブ・ミュージック最重要レーベル〈Workshop〉だ。
 レーベルにスタンプのみをプリントしただけの謎めいたアートワークと、その優れた空間性を持つユニークかつ越境的なサウンドにより 世界中に熱狂的な信者を持つ、ドイツのアンダーグラウンド・ヴァイナル・レーベル。
 今回はレーベル・ショーケースということで同レーベルの看板アーティストであるKassem Mosse(カッセム・モッセ)によるLiveとレーベルを主催するLowtec(ロウテック)によるDJ、そしてDJ NOBU、GENKI NAGAKURAのDJというラインナップ。聞き覚えの無い方もいるかもしれないが、かつてMo' Waxのメイン・ヴィジュアル・ディレクターとして名を馳せ、いまはHonest Jon'sやスケートボード・ブランドのPalaceのアートワークを手掛ける英国の人気グラフィック・デザイナー、Will Bankhead(ウィル・バンクヘッド)のお気に入りのアーティストがKassem Mosseだ。またWillが運営する自主レーベル"Trilogy Tapes"から10年にKassem Mosseによる無題のカセットテープ作品が、また今年に入ってMix Mupとの共作LP"MM/KM"がリリースされており、その縁もあってかKassemのUKでの活動は純粋なテクノ/ハウス系というよりはダブステップ以降のボーダーレスな感覚を共有するパーティへの出演が多い。

 なお、前日は名古屋で良質なPARTYを発信し続けるClub MAGOでも同レーベルのショーケース・パーティが開催される。(五十嵐慎太郎)

workshop night

Featuring 
KASSEM MOSSE (WORKSHOP / MIKRODISKO / FXHE - LIVE) *EXCLUSIVE LIVE IN TOKYO
LOWTEC (WORKSHOP / NONPLUS / LAID - DJ)
DJ NOBU (FUTURE TERROR / BITTA - DJ)
GENKI NAGAKURA (STEELO - DJ)

2012.10.20 saturday night
at Galaxy

B1F 5-27-7 Jingu-mae, Shibuya-ku, Tokyo
open/start 22:00
adv 2,500yen  door 3,000yen

presented by Bitta & SOUND BAR mui

Ticket available at DISK UNION(SHIBUYA CLUB MUSIC SHOP, SHINJUKU CLUB MUSIC SHOP, SHIMOKITAZAWA CLUB MUSIC SHOP, CHIBA)、TECHNIQUE

*limited 200 people only 
*If you buy a ticket, you can enter with precedence
*You must be 20 and over with photo ID

*本公演は入場者200名限定での公演となります。
*開演時のご入場は前売り券をお持ちの方を優先させていただきます。
*20歳未満の方、写真付身分証明書をお持ちでない方のご入場はお断りさせて頂きます。

https://www.futureterror.net/news/dj_nobu/workshop_night.html 

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workshop night (Nagoya)

Featuring
Kassem Mosse (Workshop / Mikrodisko / FXHE (live))
Lowtec (Workshop / Nonplus+ / Laid - DJ & Live)
DJ Nobu (Future Terror / Bitta - DJ)
Se-1 (Black Cream - DJ)

Second Floor "旅路" @ Lounge Vio
DJs
Chee (Discosession/Organic Music)
Kaneda
DJ Avan (Pigeon Records)

2012.10.19 friday night
at CLUB MAGO

open/start 23:00
adv 2,500yen(1day) door: 3,000yen

presented by Gash & Black Cream
tour coodinated by Bitta

https://club-mago.co.jp/


 さらに、10/19(Fri)@名古屋MAGO、10/20(Sat)@ 神宮前Galaxyでのworkshopレーベルショーケースの開催を記念して、今回workshopが来日企画として特別に制作した日本限定発売の12インチ盤を各会場にて販売する事が決定!
 いまのところ詳細不明ですが内容はKassem MosseとLowtecの楽曲を収録したものとなる模様。
 プレス枚数は全世界で超限定50枚というプレミア必至の激レア盤です!

David Byrne & St.Vincent - ele-king

 デヴィッド・バーンにはダーティ・プロジェクターズとのあいだにすばらしいコラボレーション曲がある。『ダーク・ワズ・ザ・ナイト』というコンピレーションの冒頭をかざる曲だが、このコンピ自体が2009年前後のブルックリンやUSのインディ・シーンの活況と成果を伝える名盤として記憶されるべき作品だ。チャリティ目的ではあったが、ボン・イヴェールからイヤーセイヤー、アントニー・ハガティ、デヴィッド・シーテック、ブックス、グリズリー・ベアファイスト......等々、ディスク2枚にわたり、すべて名を挙げ切らねばきまり悪く感じられるほどじつに筋の通ったディレクションがなされている。これらの若いアーティストのなかにデヴィッド・バーンやクロノス・カルテットの名が混じっていることにもあっと思わされた。なるほどデヴィッド・バーンは精神的にも彼らの直の先輩と言えるかもしれない。また、いま彼がいきいきと立てる場所があるとすれば、それはニューヨーク・パンクの記憶のなかではなく、こうした才能たちのあいだにあるのではないか。もしこの時点で『アクター』がリリースされていれば、必ずやセント・ヴィンセントもここに名を連ねていただろう。アーティな佇まいといい、知的で旺盛な実験精神をたずさえた音楽性といい、デヴィッド・バーンをふくめて『ダーク・ワズ・ザ・ナイト』が濃縮していたものは彼女が体現したものでもあり、まるで収録アーティストであったかのように錯覚させる。

 よってこのふたりの邂逅はとても納得のできるものでもあった。両者が描く軌道は、おそらくは自然に交わるものであったのだろう。なんとも名状のしがたいいびつさと気難しさを、しかしファニーにまとうアート・ワークには、ゆずらない彼らの個性が拮抗しているようですこし笑ってしまった。ダーティ・プロジェクターズとデヴィッド・バーンとは、思うさま歌い合い、唱和することそのもののエネルギーのなかで両者の才能をスパークさせていた。またコラボのなかでデイヴ・ロングストレスは自らにもっとポップで、もっとストレートに前向きであることを許していたかに見えた。だがそうしたダイナミックで肉感的なセッションとは対照的に、このカップルは弁証法的に、対話によってこのアルバムを鍛えたという雰囲気がある。作業方法も音源を送りあってアレンジやメロディを加えていくというスタイルでおこなわれたということだ。「さまざまな面においてデモクラティックな作業だった」とバーンはおどける。筆者は、そのデモクラティックな音楽的対話のハブになったのがブラス・サウンドではないかと思う。

 クセのあるヴォーカル、クセのある音楽性、両者のアクの強さを緩衝するために、本作の基礎となるブラス・セクションはちょうどよい機能を果たしている。ジャジーな用いられ方ではなく、フォーマルな雰囲気をたたえるアレンジは、ジャケットのイメージとも重なりながらアニー・クラーク(セント・ヴィンセント)とデヴィッド・バーンの劇場へとわれわれを誘うだろう。奇妙な、しかし明瞭な思考が往復する寸劇をすこしぎこちなく筆者は眺める。

 屈曲の多いブラス・ロック"フー"からはじまり、"ウィークエンド・イン・ザ・ダスト"はクラークが、"ディナー・フォー・トゥー"はバーンがおもにヴォーカルをとって展開する。おたがいの独特の節回しの特徴がよくわかる。コラボ作品の良さでもあり弱さでもあるが、思い描く音のために組まれたのではなく、組むことを前提に生まれてきた楽曲だという印象は否めない。しかし、それぞれに好きなアーティストがいっしょに課外活動をするということの独特の楽しみはあるものだ。筆者には"ザ・フォレスト・アウェイクス"が好みに思われた。どちらがメインでメロディを引っぱるのかという点では、曲ごとにかなりくっきりと分かれている。この曲はクラークが主導で、彼女の展開やアレンジがつねにわずかに感じさせるコズミックな感覚、それもあてどない宇宙ではなく、女性的な身体性とひとつながりの空間だという感じがよく出ている。"ザ・ワン・フー・ブローク・ユア・ハート"はバーンの面目躍如たるアフロ・ビートがいかにもバーンらしい歌い回しとともに展開してじつに気持ちよく愉快だ。ブラスがファンキーなリズムを端正に彫り出している。

『アクター』『ストレンジ・マーシー』を手がけたプロデューサー、ジョン・コングルトンがプログラミングに加わり、パーカッションなども数度にわたって細かく重ねられている他、ブラス・セクションも若い演奏者たちをつかって録りおろしているようだが、携わった人間の多さにかかわらず、クラークとバーンの掛け合いで展開するアルバムであるという点は変わらない。そうしたスタイルはすこし珍しいように思う。コーラスやアレンジにおいてではなく、ヴォーカルとしての掛け合いが聴けるのは終曲である。マーヴィン・ゲイとダイアナ・ロスとはいかないが、そこではようやくすこし艶っぽい。甘やかなバラードは意外にも新鮮にも感じられる。もちろん、どこか奇妙な印象を残しながらではあるのだが。

 昨年開催した一回目の「シブカル祭。」は、アート(立体、平面)からファッションから写真からパフォーマンスからフードまで、「女の子のための」と謳われていただけあって、妙齢のオッサンである私なんか、その、なんというか陽(ヤン)なパワーに圧倒されて、会場の渋谷のパルコから走って家に帰った憶えがあるが、前回の好評を受け、「シブカル祭。」が帰ってきました!

 2012年の「女子」たちに課せられたテーマは「女子のミックスカルチャー祭」。なんでも、昨年秋の第一回で、展示で隣り合ったクリエイター同士が意気投合して、合同展や共同制作の話がもちあがるなど、個を集めたフェスティヴァルから横軸の視点へ、「シブカル」という器そのものが参加クリエイターとの相互作用で、変質しつつあることを象徴するテーマが、今回は設けられました。つまり「ガーリー」のいいかえだと思われた「女子」カルチャーがその射程をじょじょに広げつつある現状を体現する文化祭が「シブカル祭。2012」といえるわけで、そんなこともあり、われわれ「ele-king」も、「シブカル」とコラボレートすることになりました。

 10月22日(月)の渋谷クラブ・クアトロ。

 この日は「ele-king LIVE at シブカル」と銘打って、TADZIO、平賀さち枝、Sapphire Slows、石橋英子、2012年秋にele-kingがレコメンドしたい4組のアーティストにご登場いただきます。
 今年リリースした『23歳』で、躍動感あふれるキュートな歌世界を構築した平賀さち枝、その風貌に似つかわしくないささくれだったガレージ・サウンドで好事家のみならず、ファンが急増中のTADZIO、紙『ele-king』Vol.6の特集でもブレないスタンスを表明し、海外での評価も高いSapphire Slows、ライヴの1週間前にピアノ・ソロ作『I'm armed』(傑作です)をリリースする石橋英子。かそけき音から轟音まで、フォークからIDMまで、弾き語り女子から宅録女子まで、ほかでは考えつかない、まさに「ele-king」らしいダイナミック・レンジを体感できる「ele-king LIVE at シブカル」にぜひおこしください! 当日は、メイン・アクト以外にも、DJやパフォーマンスで、意外なゲストもあるかもしれません。 (編集部M)

 ele-kingでは「ele-king LIVE at シブカル」に読者ご招待します。info@ele-king.netに、お名前とご連絡先、件名に「シブカル祭読者招待」と明記の上、メールしてください。抽選の上、当選者の方にご連絡さしあげます。締切は10/19(金)までとさせていただきます。


平賀さち枝

Sapphire Slows

TADZIO

石橋英子


シブカル祭。音楽祭2012
ele-king LIVE at シブカル

10.22 (Mon) @渋谷CLUB QUATTRO

石橋英子
平賀さち枝
Sapphire Slows
TADZIO
and more...

18:00 OPEN/START

チケット前売り:¥2,000(tax in / 1 drink order ¥500 / 整理番号付)

チケットぴあ:0570-02-9999(Pコード:181-353)
ローソンチケット:0570-084-003(Lコード:72495)
e+:https://eplus.jp

主催:シブカル祭。2012実行委員会 www.shibukaru.com

KEIHIN (ALMADELLA) - ele-king

テクノ以外で最近良くかける曲です。チェックしてみて下さい。で、気になったらパーティーにも是非!!
https://www.facebook.com/djKEIHIN
https://twitter.com/KEIHIN_
https://almadella-keihin.blogspot.com/

ALMADELLA 2012


1
Pinch - Retribution - Swamp 81

2
Shackleton - There Is A Place For Us - Woe To The Septic Heart!

3
Peverelist - Salt Water - Livity Sound

4
2562 - Solitary Sheepbell - When In Doubt

5
Lucy - Milgram Experiment - Stroboscopic Artefacts

6
Kowton - Dub Bisous - Pale Fire

7
Midland & Pariah - SHEWORKS003 - Works The Long Nights

8
Anthone - Destabilize - Weevil Series

9
Alex Coulton - Bounce (Pev Version) - Dnous Ytivil

10
Szare - Rex Desert - Krill Music
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