「Nothing」と一致するもの

ミツメ - ele-king

 団地を切り取ったミニマルなカヴァー・アートが目を引く。規則正しく等間隔で並んだベランダには、それぞれ洗濯物、室外機、あるいは植物なんかが見えている。これはたとえば、この『ささやき』に収められた“公園”や“ボート”、“3年”の曲調のようなほほんとした単調さを持った生活感や、『eye』までのカヴァー・アートの少々感傷的でノスタルジックな感覚を想起させる。
 あるいは。アンドレアス・グルスキーがスーパーマーケットを切り取ったあの冷たいミニマリズム(そういえば、ポール・トーマス・アンダーソンは『パンチドランク・ラブ』のなかでグルスキーへのオマージュを捧げていた)のような居心地の悪さや気味悪さも感じられる。それは昨年のザ・ストレンジャーのアルバム・カヴァーのようなディストピックな閉塞感とも地続きにある、のだろう(大友克洋の『憧夢』も思い出される。「団地」というものはあまりにも多くの意味を孕んでいる)。
 『ささやき』のジャケットをLPサイズで眺めていると、微笑ましい生活感と悪夢のような冷たい反復との間で引き裂かれそうになり、くらくらと目眩がする。

 ミツメの3作めとなる『ささやき』はそういった両価性を持ったアルバムで、ミツメはここで弛緩と緊張とがともに存するような音楽を奏でている。
 “公園”や“ボート”にはふにゃふにゃと緩みきった気怠い反復があり、たとえば“ボート”には楽天的でトロピカルな感覚すらあるが、「ずっと前から 気にしてたけど/いいよ」「道連れにして うやむやになる」と諦めきった倦怠感が充満している。そして、“停滞夜”や“テレポート”などに特徴的だが、川辺のクルーナー・ヴォイスには深く深くリヴァーブがかけられ、口を開ききっていないようなそれこそささやくような──歌唱法でもって、ますますゴーストリーでこの世ならざる繊細さが表現され、空気へと分散し溶け込もうとしているかに感じられる。
 昨年のシングル『うつろ』について僕は「虚無感」「妙に重たくて気怠く、隙間だらけだが粘っこいグルーヴ」「ダーティでルーズで未整理な音」と書いたが、『ささやき』ではそういった感覚や方向性をさらに深化させているようだ。先の“ボート”などの他に“コース”や“クラーク”といったシンプルでルーズなロック・チューンでは(とくに後者で)ペイヴメントのようなだらけたグルーヴを展開しており──つまりこういった演奏ができるということは、ミツメの4人のアンサンブルはいまもっとも息があっているということなのだろう。

 一方、“いらだち”では『BGM』や『テクノデリック』の頃のYMOのドラム・サウンドを、“ささやき”では『青空百景』の頃のムーンライダーズのギター・サウンドをそれぞれ思い起こさせ、他にも“停滞夜”や“number”といった曲ではニューウェイヴへの指向性を一層深めている。ギター、ベース、ドラムスないしドラム・マシンが刻むミニマルなリズムがこういった楽曲の中心を占め、抑制や禁欲の美意識がゆき届いた緊張感、緊迫感を放っている。

 『ささやき』はどの曲も短く、収まりのいいエンディングを迎えないまま唐突に終わる。いくつかのインタヴューでは、プリプロ段階で録音したデモに残された偶発的なミスやフレーズをレコーディングにおいて再現した、ということが語られていたが、『ささやき』にはリハーサルを録音したプライヴェート・テープといった趣すらある(“ささやき”のドラムスを聴いてみよう。タムの捌き方やハイハットの開閉にはまるで演奏中に叩き方を考えながら叩いているかのような不安定さがある)。だけれども、だからこそ、ここには異様な緊張感と弛緩とが奇妙に同居している。
 アルバムを聴き終えたあとには、カヴァー・アートから感じるそれと相同の居心地悪さ、薄気味悪さが残るだろう。『うつろ』で踏み出したニュートラルでフラットでどっちつかずのグレーゾーンのその先で、霧と煙に取り巻かれて、ミツメは茫漠とした奇妙な像を結んでいる。

Asusu (Livity Sound / Project Squared) - ele-king

Asusuが3月29日に-Flower War- Life Forceで初来日する。彼はPeverelistとKowtonと同じレーベルでライブユニットである”Livity Sound”のメンバーで、UKブリストルから、ベースミュージック以降のシーンにテクノやハウスの実験精神を持って、ダブステップやダブの最良の部分を組み合わせたサウンドを追求し続けている。昨年はLivity Soundのセルフタイトルアルバムや、Pevとの共作シングルといった傑作をリリースし、2013年のRA Pollではレーベル部門で見事1位に輝いた。Asusuは3月28日(金)に豊橋Quark、29日(土)原宿The Sad Cafe STUDIOでは、90年代初頭より20年以上にも渡り、国内でオープンエアパーティー、ウェアハウスパーティーのカルチャーを根付かせてきたLife Forceに登場する。3月26日(水)にはDOMMUNEへの出演も予定されている。Asusuによるテクノとハウス、ガラージュ、ダブステップが融合した現行ブリストルサウンドをAsadaのサウンドデザインで是非体感してみてほしい。

Asusu Tour Dates
3/26 (水) Life Force Presents BROADJ at DOMMUNE, 渋谷
3/28 (金) Paranoid at Grand Space Quark, 豊橋
3/29 (土) -Flower War- Life Force at The Sad Cafe STUDIO, 原宿

限定前売りチケット発売中 -Flower War- Life Force 3/29 (土)
Feelgood Shop

Asusu
Soundcloud | Facebook | Twitter

Life Force

a top 10 of old and new bits I'm playing at the moment...


1
Zenker Brothers - Vamp Like - Tresor

2
Iori - Wave - Phonica White

3
Kobosil - Aggregate - Unterton

4
Photek - Glamourama - Science

5
Hodge - Renegades - Ytivil Dnuos

6
Batu - Spooked / Clarity(Dismantled) - Ytivil Dnuos

7
Skudge - Wonder Stories - Skudge

8
DJ Dozia - Pop Culture #1 - Ovum Recordings

9
Elgato - We Dream Electric - Elgato

10
Rashad Becker - Traditional Music of Notional Species - PAN

SACHIHO (S) - ele-king

ミニマルやダブステップ、ブレイクビーツなどベースラインが心地よく、
重心低めに、様々なテンションで踊れる10曲をセレクト。

音攻めパーティ「S」@KOARAを不定期開催でオーガナイズ。
次回は春の舞、3/29(土)にDJ Kabutoを迎えて開催。

S blog https://ameblo.jp/s-3djs/

重心低め10曲 2014/03/01


1
SAMUEL L SESSION - Rhodes Island - Arts

2
Adam Beyer - Never Really Left Home - Drumcode

3
NAUTILUSS - Spidercrawl - Turbo

4
IPMAN - Aight (Killawatt Remix) - Pressed

5
NOMINE - Nomine's Sound - Tempa

6
MALA - NOCHES SUENOS (MALA & SIMBAD SUPER DUB) - BROWNSWOOD

7
SQUAREWAVE - Heartbeat Feat Dutty Ranks (Dub) - Boka

8
Iron Curtis - Super Sorry - Retreat

9
Khaki - Magic Hour - wiowio sounds

10
HB - HBHP - 残響レコード

Hakobune - ele-king

 世界各国のDIYレーベルから息つく暇もなく刺激的なドローン/アンビエント作品をリリースし続けるHakobuneこと依藤貴大。ある種の音響に耳のピントが合うものには、その名前はそこかしこで見聞きしたことがあるはずだ。2007年に京都を拠点に活動を開始。さまざまな手法で膨大なヴァリエーションのドローンを制作するほか、自身のレーベル〈トビラ・レコード〉を主宰。さらに四谷の文化サロン喫茶茶会記にて、東京で日々更新される実験音楽の現在を切り取ったイヴェント「音ほぐし」を冷泉、笹島裕樹と共同企画するなど、その影響はいまこの瞬間もゆるやかに広がり、美しい波紋様を描きながら世界の隅々にまで浸透している。
 
 そんなHakobuneがカリフォルニアのカセット・レーベル〈Constellation Tatsu〉からリリースした通算47作め(!)となるアルバム『Looping Around The Forest I Thought I Remembered』についてものする前に、ドローンがポップ・ミュージックの一要素として認知されはじめたころを回想してみる。それはSNSの普及により誰もが世界と接続可能になった時代よりも前のことであり、カセット・メディアへの再注目も手伝い、世界中に心あるスモール・レーベルが誕生した「テン年代以降」のノイズ/ドローン・シーンが形成される前の話。
 個人的音楽体験と照らし合わせてしまうが、その隆盛のきっかけはジム・オルークとデヴィッド・グラブスによるアンチ・ロック・アヴァン・デュオ=ガスター・デル・ソルの存在にあると考える。シカゴ音響派と呼ばれた彼らが実験音楽の老舗〈テーブル・オブ・ジ・エレメンツ〉からガスター史上もっとも緊張を強いられる問題作『ザ・ハープ・ファクトリー・オン・レイク・ストリート』をリリースしたのが95年(そこではヒステリックなドローン、けたたましい室内楽、調和しないピアノ、グラブスの歌、打楽器のような鍵盤が次々と連続する)。また、ヴァイオリン・ドローン〜ミニマルの巨匠トニー・コンラッドとのスプリット7インチをリリースし、さらに、同レーベルからオルークがプロデュース、グラブスがギターで参加したトニー・コンラッド至宝の名盤『スラッピング・ピタゴラス』がリリースされたのもこの年。ここでインディー・ミュージックとアヴァンギャルドの間でなにがしかの橋渡しがなされたことは間違いないだろう。それまでは現代音楽用語でしかなく、せいぜいザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドにおけるジョン・ケイルやその周辺(永久音楽劇場など)の所業を語る際に使われていたドローンがじわじわと地下から浮上し、エクスペリメンタル・ミュージックの名の下に地表に姿を現し、じりじりとポップ・シーンににじり寄りはじめたのだ。  

 さて、このドローン。もともとは間断することなく永久に続くかのような持続低音を指していたが、いまやその定義もあいまいとなり、一部のアンビエント同様、ある種のムードをたたえた、またそれに支えられた音楽になってしまっているような気もするが、いかがだろう? 
 しかし、しっかりと耳の折り目を正して音と対峙してほしい。明らかに中凡なものとは異なる確固たる内面性をもった、ただのスノビズムに終わらない趣深い実験に出会えるはずだから。  

 そこでHakobuneだ。86年生まれということなのでシカゴ音響云々なんて過去のもの。まさに身の周りにはテン年代以降の音響がすでにある世代。そして彼のドローン原体験がいったい何だったのかは不詳だが、Hakobuneが鳴らす豊かな音を聴くかぎり、新旧問わず世に漏れ落ちた潤沢なドローン/アンビエントを耳に留めては吸収し、自分のものにしているのは間違いないだろう。そして彼の出自が(シカゴ音響派の連中の多くがそうであったように)ハードコアにあることも興味深い事実だ。途切れることのないクリエイティヴィティ、静かに燃え立つDIY精神。時にストイックでハードボイルドな音を奏でるHakobuneだが、今作ではじつにまろやかな耳触りの音を鳴らし、四辺の空間をギタリストならではの美しいハーモニクスでまるごと包みこむ。  
 
 直訳するならば「記憶していたはずの森を彷徨うこと」と名づけられたこの作品。ご本人に話を訊くと、昔祖父とよく行った地元・兵庫の森にインスパイアされた作品だという。なんでも、帰省した折、ふと思い立って20年ぶりにその森に入ったものの道に迷い、数時間彷徨ったあげくようやく入った場所とは別のところから出てこられたという。そのまま帰宅し、ギターとエフェクターを用意して制作された6曲。そこには彼が彷徨い(ループし)ながら目にしたいつまでも続く同じような森の景色があり、迷いこんだ不安とは異なる精神の昂揚があり、そこはかとなく浮流する郷愁がある。ミズナラ、ブナ、モチノキ、ボダイジュ、ニレ、クスノキと、その森にあった木々から採られた曲名も味わい深く、すべての曲がジャスト5分で収まっているところにもドラマを感じて何だかざわざわと動揺してしまう。わずかに変化するギターフレーズ。その重なり合いのはざまに生じる陰影や色調。深いリヴァーブに包まれたロマンチックな旋律。森の中で体験した静かな昂揚と少しの不安が音となり、光となり、眩しく甘美なサンライト・ドローンとなって木立からカーテン状に降り注ぐ。濃くがあるのに淡味であり、淡味であるのに濃くがある。それはたどる記憶とゆらぐ時間を繋ぎとめて結晶化した永遠の30分を約束する。

 筆者は昨年5月末に、5年半に渡って住み続けたこの街を離れて東京に移住したのですが、7ヶ月ぶりに訪れたイギリスでは大荒れの天気が続いていました。各地で浸水の被害が深刻になっているようで、少し心配もしていたのですが、ロンドン市内はいつものように活気に満ちていて、毎日のように吹き荒れている暴風についても、こんなの普通と言わんばかりに平然と生活していました。

 おそらく今、ロンドンで暮らすミュージシャンたちはもちろんのこと、多くのオーディエンスがこの街のシーンのトレンドが変わりつつあるように感じていると思います。
 僕がこの街に引っ越して来た2007年末頃には、ダブステップという音楽がアンダーグラウンドの枠を飛び越えて、既に広く浸透しはじめていました。それからほどなくして、似て非なる音楽として『ポスト・ダブステップ』と呼ばれる音楽が注目されるようになり、日本でもお馴染みのJames BlakeやBurial、それにいまやシーンの中心人物のひとりでもあるJamie xxを擁するThe XXといったアーティストたちの成功により、そのムーヴメントはお茶の間にまで浸透し、いまや大手スーパーやデパート等でそういった音楽を耳にすることが珍しくなくなりました。トレンドの移り変わりの早さがよく取沙汰されるロンドンにおいて、これほどの規模でこんなにも長く続くとは誰も予想していなかったに違いありません。

 実際にはそういった音楽の需要はまだたくさんあるようで、星の数ほど存在するインディー・レーベルからは、毎日のように新人アーティストによる作品が発表されています。XLの傘下であり、SBTRKTなどを擁する〈Young Turks〉のような広く知られたレーベルにおいても、FKA TwigsやKoreless等、トレンドの最新型と形容されるようなアーティストたちがデビューを果たしています。しかしながらまた違った動きを見せているレーベルもたくさんあり、Grimesの初期作品を発表していた〈No Pain In Pop〉などがいい例で、Forest SwordsやKaren Gwyer、それに最近〈WARP〉に移籍したPatten等、カテゴライズが難しいアーティストをたくさん抱えつつも、そのどれもが耳の早いリスナーたちから支持を得ています。

 シーンがそういった移り変わりの兆しを見せる一方で、現場事情、つまりロンドンのクラブシーンは以前と変わらず元気な印象を受けます。Dance TunnelやBirthdaysのような小さなクラブ、それにCafe Otoのようなライブミュージック中心のハコなどが多数存在するDalstonというエリアでは、週末の夜には通りがキッズたちで溢れ返っています。またTheo ParrishやFloating Pointsらがレジデントを務め、ビッグなシークレットゲストが度々登場することで知られるPlastic Peopleも、相変わらず根強い人気を誇っています。

 そんな中、2月8日(土)に現在EUツアー中のShigetoのロンドン公演が開催され、僕はオープニングアクトとして出演させてもらいました。会場となったElectrowerkzは、Angelという東京の代官山のような趣の町にあって、巨大なウェアハウスを改造して作ったような、どことなく漂うインダストリアルな雰囲気が特徴です。チケットは発売からほどなくしてソールドアウトとなり、キャパ300~400人ほどの会場は早い時間から数多くのヘッズで賑わっていました。

 先手である僕は21時30分にオンステージ。久々のロンドン公演ということもあり、事前にしっかりと準備をして臨みました。最近は70年代のアフロビートやハイライフといった音楽をよく聴いていて、その影響を反映させた楽曲を中心にセットリストを組んだのですが、新曲群には特に熱の入ったレスポンスをオーディエンスからもらって、確かな手応えを感じることができました。1時間に渡るセットで、絶え間なく大きな歓声を送ってもらって、やっぱりこの街のオーディエンスが好きだなぁと、改めて思いました。

 DJによる転換を挟み、いよいよ主役のShigetoが登場。彼がステージに上がるやいなや、大きな歓声がフロアから沸き起こり、期待度の高さを既に物語っていました。ShigetoはBrainfeederのアーティスト勢にも通じるような音楽性で、数多くのヘッズ達から支持を得ている注目プロデューサーであると同時に、実はかなりの敏腕ドラマーでもあります。
 余談ですが、以前はレーベルメイトでもあるSchool Of Seven Bellsというバンドのドラマーを務めていて、日本での初公演は彼らのものだったそうです。彼のライヴセットは、そのドラマーとしてのスキルを大いに活かしたもので、ラップトップでエレクトロニックな部分をコントロールしつつも、そこに生ドラムでのダイナミックな演奏を重ねることで、音源で聴くことのできる、メランコリックで抑制されたビートとは大きく違った一面を見せてくれます。
 集まったオーディエンスたちも、彼がドラムを激しく叩く時に、より大きな歓声を上げていたように思います。唯一残念だったのは演奏中にラップトップが2度に渡ってクラッシュし、演奏が中断されてしまうアクシデントがあったことですが、そのアクシデントを生ドラムの演奏でカバーする彼に、オーディエンスはより大きな歓声を送っていました。
 アクシデントはあったものの、終わってみればエレクトロニック系のライヴらしからぬ熱気が会場に満ちていて、誰もがそれを大いに楽しんだのがはっきりと伝わって来ました。

 DJを含んで、総出演者が計3人というとてもコンパクトな夜ではありましたが、エレクトロニックな音楽をライヴで楽しむというコンセプトが、とても良い形で実現された夜だったと思います。
 シーンがこの先どのように変化していったとしても、現場で生の音楽を楽しむというロンドンのオーディエンスのスタンスは決して変わらず、アーティストたちがその期待に応えることで、また新たな何かがが育まれていくのだろうと思います。

 先日もフェラ・クティの『シャカラ‎』や『ゾンビー』を聴いておりました。いや、アフロ・ビートというんじゃなく、ディスコ・クラシックとしてなんですけどね。当たり前ですが、いま聴いてもまったく色あせず、素晴らしい音楽です。
 ここ数年アフリカのリズムとヨーロッパのエレクトロニック・ミュージックとの邂逅が続いていますが、ことの発端にあったのは、ロンドンの〈ホネスト・ジョンズ〉という音楽をよく知ってらっしゃるレーベルが、2006年にフェラ・クティ&アフリカ70のリード・ドラマーだったトニー・アレンのアルバム『Lagos No Shaking』を出したことがきっかけになっているのではないでしょうか。その数年前にデイモン・アルバーンなんてというロックスターが手を出しているのですが、そんなものよりも、2006年にくだんのアルバムに収録された曲をデトロイトのカール・クレイグ、そしてベルリンのモーリッツ・フォン・オズワルドとマーク・エルネストゥス等々のリミックスを収録した12インチ・シングルのシリーズのほうがインパクトがありました。で、それを契機に、ヨーロッパの先鋭的なエレクトロニックは、アフリカへのアプローチを加速させたのです。
 アフロビートを創ったのは、もちろんフェラ・クティでしたが、彼の70年代のバンド、アフリカ70の打楽器のリーダーはトニー・アレンでした。フェラ・クティ亡きこの時代、トニー・アレンは、ただ稀代の打楽器奏者というだけではなく、当時を一緒に生き抜き、演奏してきた歴史的な人物です。その偉人が、来週の火曜日、リキッドルームに来ます。共演者は、モーリッツ・フォン・オズワルド(と、マックス・ローデンバウアー)です。行くしかないでしょう。

3.4 tue @ LIQUIDROOM
Live: MORITZ VON OSWALD TRIO featuring TONY ALLEN and MAX LODERBAUER

DJ: SOUL BONANZA SOUND SYSTEM

Open 20:00 / Start 21:00
Advance: 4,500 yen / Door 5,000 yen plus 1 Drink Charged @ Door

Information: 03-5464-0800 (LIQUIDROOM) https://www.liquidroom.net/
Ticket Outlets: PIA (223-581), LAWSON (79986), e+ (eplus.jp), DISK UNION CLUB MUSIC SHOP (渋谷, 新宿, 下北沢), DISK UNION (お茶の水駅前店, 吉祥寺店), JAZZY SPORT MUSIC SHOP TOKYO, JET SET Tokyo, Lighthouse Records, TECHNIQUE and LIQUIDROOM - NOW on SALE!!

Information: 03-5464-0800 (LIQUIDROOM) https://www.liquidroom.net/

【レクチャー】 講師: Moritz von Oswald 18:00-20:00 限定招待制 @ Time Out Cafe & Diner SOLD OUT

Moritz von Oswald Trio featuring Tony Allen and Max Loderbauer
モーリッツ・フォン・オズワルド・トリオ(以下MvOT)は、モーリッツ・フォン・オズワルド(Basic Channel)とマックス・ローダーバウアー(サン・エレクトリック、NSI)とヴラディスラヴ・ディレイ(ルオモ、ウージタロー)という、90年代ベルリンに於いてエレクトロニック・ミュージック・シーンに改革をもたらした3人のパイオニアによって結成されたパフォーマンス・プロジェクトである。2008年結成、僅か5年の間に3枚のスタジオ・アルバムと1枚のライヴ・アルバム(カール・クレイグとフランソワ・ケヴォーキアンが参加)と2枚の12インチ・シングルを発表した。2013年、ヴラディスラヴ・ディレイの離脱によって、新たにドラマーとして加入したのはアフロビートの創始者ブラック・プレジデントことフェラ・クティの右腕として知られるナイジェリア人ドラマー、トニー・アレンである。このメンバー刷新よって、よりリズミカルな鼓動を前面に押し出した新たなアフロビートとエレクトロニカが融合したトライバルかつヒプノティックなグルーヴを、エレクトロニクスとサスペンドしたシンセ音を何層にも重ねて、流れるような脱構築テクノを聴かせてくれるだろう。

MORITZ VON OSWALD(モーリッツ・フォン・オズワルド)
1980年代半ば、トーマス・フェルマンも在籍していたジャーマン・ニュー・ウェイヴ(ノイエ・ドイチェ・ヴェレ)の旗手、パレ・シャンブルクのパーカッショニストとして活動を始める。1993年、マーク・エルネストゥスと共に独ミニマル・テクノ不滅の金字塔となったプロジェクト<Basic Channel>を筆頭に多数のサブ・レーベルやプロジェクトを立ち上げた。それら<Chain Reaction> <Main Street> <Burial Mix> <Basic Replay> <Rhythm & Sound>は現在も計り知れない影響をエレクトロニック・ミュージック・シーンに与える続けている。世界随一のクラシック・レーベルである独グラモフォンから2008年にリリースされたカール・クレイグとのコラボ・アルバム『RECOMPOSED』は各方面で大絶賛を浴びた。2013年、デトロイト・テクノのオリジネーター、ホアン・アトキンスとのコラボ・アルバム『Borderland』をリリースしている。

MAX LODERBAUER(マックス・ローダーバウアー)
1990年代を通じ、ベルリンのユニット、サン・エレクトリックのメンバーとして、R&S / Apolloからアンビエント・テクノの傑作を数多く発表。現在は、トビアス・フロイントと新たなユニットNSI(Non Standard Institute)を結成し、ルチアーノ主宰のCadenzaやフィンランドのSahkoなどからエクスペリメンタルなミニマル作品をリリースしている。あのリカルド・ヴィラロボスが最も信頼を寄せるコラボレーターとして多数のプロダクション・ワークやリミックス・ワークを共同制作している。

TONY ALLEN(トニー・アレン)
ブラック・プレジデントことフェラ・クティの右腕として、アフリカン・ファンクの強靭さとハイライフが持つ繊細なクロス・リズムを融合させたアフロビートを生み出した、ナイジェリア人ドラマー。ここ最近ではブラーのデーモン・アルバーンとレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーと結成したロケットジュース・アンド・ザ・ムーンでアルバムをリリースしている。


Neneh Cherry - ele-king

 ネナ・チェリーの登場は、パンク・シーンに突然黒いディーヴァがやってきたような衝撃だった。その衝撃のでかさは、いまで言うとビヨンセ、レディ・ガガを超えていたと思う。少なくとも、僕のなかでは。
 ネナ・チェリーが出てくるまで、パンク、ニューウェイヴ、ポスト・パンク・シーンには本物のブラック・ソウルの魂がなかったと言うと言いすぎだろうか? スペシェルズ、セレクター、Xレイ・スペックスがいただろうという声が聞こえてきそうだが、僕には映画『さらば青春の光』の黒人のキャラみたいな感じがしてしかたがなかった。白人の中にポッツンといる異端な奴。売人だったり、喧嘩が強かったりして一目置かれているんだけど、それ以上でもなく、それ以下でもない人。
 そんななか、ネナ・チェリーというか、リップ・リグ・アンド・パニックの12インチ・シングル「ユー・アー・マイ・カインド・オブ・クライメイト」のソウル、ファンクネス、そして彼女のヴォーカルは、パンクやニューウェイヴもまたアフリカを起源とする音楽なんだという当たり前のことを思い出させてくれた。
 いや、それまでは「白人のビートをゲットするぜ運動」にやっきになっていたとも言えるんだけど、みんなそういうことに疲れだしていたのだ。だからスリッツ、ピッグ・パグなどのような存在も生まれてきはじめていたわけだが、ネナ・チェリーの声にはそんなシーンの疲れを癒してくれる女神のようなあたたかさがあった。しかも、その歌声はそんなあたたかさだけじゃなく、分断しがちな黒人と白人のシーンを取り持つような柔軟性ももっていた。

 なんで彼女がそんな存在なのか、謎である。でも、もっと謎なのは、そんな彼女がビヨンセやレディ・ガガのように売れなかったことだ。リップ・リグ・アンド・パニック、フロート・アップ・C.P.、どれもうまくいかなかった。だめかなと思っていたら、突然ソロ・アルバム『ロウ・ライク・スシ(Raw Like Sushi)』で売れた。
 本当に不思議な人である。
 ウィキペディアなんかを読むかぎりでも、彼女の生い立ちはスリッツのメンバーたちと変わらない。突然出てきたとはじめに書いたが、じつは彼女は初期の頃からパンク・シーンにいた女性の一人だったりする。ドン・チェリーの娘として当時話題になったが、じつは義理の父で、血が繋がっていたりはしない。

 今回もまた不思議である。突然のリリース、しかもなんとフォー・テットがプロデュース。ビョークとLFOがやったときと似ているようでぜんぜん違う。『ブランク・プロジェクト』の方がもっと有機的、テクノに潜む土着的なビートをネナ・チェリーが呼び起こしているかのようである。アシッド・ハウス時代からこういう音楽は生まれるだろうと予想されていたのだが、ついに謎の人、ネナ・チェリーがやってくれたのだ。
 そこには彼女の母親の死も関係しているかもしれない。PILの名曲“デス・ディスコ”がジョン・ライドンの母親の死を歌ったように。『ブランク・プロジェクト』を聴いていると、ネナ・チェリーがいたリップ・リグ・アンド・パニックを思い出す。実験的、でもどこかニューウェイヴ的ポップである。母親の死が彼女を彼女の原点に向かわせたような気がする。それがこのアルバムを素晴らしくしている。でもやはり毎度のことだが、ネナ・チェリーのナチュラルさがいいですね。菩薩のような。大地の母のような。そんなふうに言ってしまうと少し安易かもしれないけど、でも彼女の声を聞いていると僕は安心するのだ。

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 - ele-king

 ネブラスカ州といえばスプリングスティーンのアルバムを思い出すひとも多いだろうが、南部でも西部でももちろんベイエリアでもなく、中西部を描くことは何かアメリカの本質に迫るようなところがあるのだろう。ネブラスカ出身のアレクサンダー・ペイン監督が故郷の風景を豊かな白黒映像で映す『ネブラスカ』は、しかし、スプリングスティーンと言うよりもスフィアン・スティーヴンス『イリノイ』に近い。パーソナルであると同時に優れたフィクション性があり、ユーモラスでペーソスに溢れていて、そして前作『ファミリー・ツリー』よりも踏み込んでアメリカの老いを語っている。

 そもそも、冒頭で高速道路を徘徊していて警察に保護されてしまう老人=父を、アメリカン・ニューシネマ以来の俳優ブルース・ダーンが演じているという時点で、その姿に20世紀のアメリカからの遺産を嗅ぎ取ってみたくなる。だから『ファミリー・ツリー』は夫と妻の物語だったのに対して、『ネブラスカ』は典型的に父と息子の物語なのである。宝くじで100万ドルが当たったという出版社のインチキ広告を真に受けた父がモンタナからネブラスカまで行くと言うので、仕方なく息子が連れて行くうちに両親のルーツに出会うこととなる。典型的なロード・ムーヴィーでもあり、ペイン監督がアメリカ映画の伝統を強く意識していることは疑いようがない。
 しかしながら、そうして描かれるネブラスカの町はどうだろう。親子は親戚を訪ねることになるのだが、ほとんどが老人たちで彼らはほとんど喋ることもなく、あとは無職者とか……。ハリウッド映画が描いてきた豊かなアメリカと遠いのは当然だが、たとえばヴィム・ヴェンダースが異邦人の目線で描いた叙情的なアメリカとも決定的に異なっている。アメリカの内部で育った人間が見た、どうしようもなく寂れていく田舎の風景がここにはある。僕は、スフィアン・スティーヴンスが『ミシガン』でデトロイトの産業の衰退を慈しみをこめて歌っていたことを思い出す。映画は父の過去を見つめながら、忘れ去られていく中西部で生きた人間たちの気配を立ち上がらせる。



 しかしそんな寂れた町の住民にまで父は(アメリカが誇る名優のブルース・ダーンが!)、「哀れだ」と言われてしまう。長い間飲んだくれて、気がつけばすっかりヨボヨボの父は、本当にそれほど同情されるべき存在なのだろうか? 息子を演じるコメディアンのウィル・フォーテは父を見ながらずっと、なんとも困った表情をするばかりである。
 そしてその困り顔は、わたしたちがアメリカの斜陽を見るときのそれであると、映画の終わりのほうで明らかになる。どうしてそんなにも父が100万ドルにこだわったのか、口数の少ない彼がようやく明らかにするとき、悲しいとも愛おしいとも言いがたい、説明できない感情が沸きあがってくる。だから、アメリカの遺産の多くを受け取っているであろう「息子」であるわたしたちは、「たくさんのものを、たくさんのものをもらってるよ!」とスクリーンのなかの「父」に向かって心のなかで叫びながら、親子の旅を笑顔で見送るのである。落ちぶれていくアメリカに対する、同情と哀れみ、慈愛と懐かしさが複雑に絡み合ったわたしたちの想いを、こんなにも正確に浮かび上がらせる映画作家はアレクサンダー・ペインを置いて他にいない。

予告編

Record Store Day 2014 - ele-king

 音楽メディア/文筆業をはじめて以来、レコード店で音楽ライターに会ったためしがないんですよ。ワタクシ野田よりも年配のライターの方にはディスクユニオンなどでお会いすることもあるし、三田格とは会いたくもないのに会ってしまったりするものなのですが……。ほかに僕が知っている顔とはまず会わないのです。

 レコード店は、たんにモノの売り場というだけではありません。音楽シーンのメディア(情報発信地)であります。とくに洋楽なんぞを好きなリスナーが本当にフレッシュな音に出会いたければ、輸入盤を扱っているレコード店に行くしかないでしょう。すべてが並列しているネット通販などと違って、その扱われ方、置き場所にも触発されますし、隣り合わせの盤など自分の未開拓領域との出会いもあります。ナイスなレコード店のスタッフは自分たちの持っている知識を分け与えてもくれます。

 近年のネット通販の普及やDL問題などによってかどうか、レコード店は(音楽メディアと同様に)危機に瀕しています。こりゃまずいと、USのインディ・シーンで、ミュージシャンやレーベルなどが小さなレコード店を支援するために立ち上がり、はじまったのがレコード・ストア・デイ。その日に限り小さなレコード店でしか買えないレコードを売る。予約もなし、お店に行くしか買えないというわけであります。

 さて、少々気が早い、2014年4月19日土曜日のレコード・ストア・デイですが、大ニュース。なんと今回、坂本慎太郎&メイヤー・ホーソーンのスプリット7インチ・シングルが出ます。zelone recordsから届いた資料によれば、「これは、メイヤー・ホーソーンが、坂本慎太郎の1stアルバム『幻とのつきあい方』(US盤: Other Music Recording & Co.)を愛聴していて、『坂本とメイヤーで2014年の全米のレコード・ストア・デイで一緒に7inch出さないか?』とNYのOther Musicに連絡して来たことから始まりました」という話だ。そして、「お互いのインスト・ヴァージョンのオリジナル・マスターを使用してそれぞれ英語/日本語での訳詞ヴァージョンでレコーディングしよう、という事になり、遂に実現/完成しました」
 
 しかも、今回の7インチがすごいのは、「坂本慎太郎が、メイヤーの最新アルバム『Where Does This Door Go』から、ファレル・ウイリアムスのプロデュース楽曲“Wine Glass Woman”のオリジナル・トラックに日本語で歌詞を付けて歌い、メイヤー・ホーソーンは、坂本の1stアルバムから「幽霊の気分で (In a Phantom Mood)」のオリジナル・トラックに英語の歌詞を付けて歌った、つまり、坂本慎太郎がファレルのトラックで歌い、メイヤー・ホーソーンが坂本のトラックで歌うという、なかなかあり得ない日米のコラボレーション/スプリット7inchです!」という点にあるのです。
 坂本慎太郎がファレルのトラックで歌っているなんて……!

 さあ、2014年4月19日 (土) 発売! 店頭のみの販売。web・予約販売は無し。

Ásgeir - ele-king

 ソチ五輪はロシアで弾圧されるゲイたちに心を飛ばしつつ、主にカナダや北ヨーロッパの髭面の男たちを応援していた。とくに、2回目の転覆にもめげずに3回目の滑走をしたカナダのボブスレー・チームの不屈さと(心身両方の)逞しさには涙したのだが、せっかくオリンピックなんだから日本選手以外もテレビでもっと放映すればいいのにと思う。若者が洋楽から離れるわけですね。とはいえ、冬季五輪は北欧の住民たちを身近に感じられるのがいい。スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド……強豪選手が山ほどいて、遠い北国の彼らの情熱に痺れることができる。しかしアイスランドは……というか、アイスランド、出てたっけ? (調べたら出てました。5人。)

 音楽ファンにとってはアイスランドと言えばビョークとシガー・ロスがあまりにビッグなためそのイメージが強いけれども、ときどき、エレクトロニカやフォークなどでワールドワイドな才能が飛び出してくるのが面白いところだ。本稿の主人公であるシンガーソングライター、アウスゲイルはかの地から飛び出して久々に大きな注目を集めている存在である。21歳。しかも生まれ育ったロイガルバッキというところは40人あまりの集落だというから、間違いなく、この音楽がなければ彼の存在に触れることはできなかったろう。
 本作はアイスランドで国民的大ヒットとなったデビュー作『ディールズ・イ・ドィーザソッグン』の英語版で、英訳詞を担当したのがアイスランドに移住したジョン・グラントだという。僕がアウスゲイルに興味を持ったのはまさにグラントを媒介としてだが、本作自体がそういう構造になって出来上がっている。英語が母語ではないひとが歌う発音は英語を母語としない人間にはとても聞き取りやすく、だから本作は日本とアイスランドとの距離を一気に飛び越える。メロディがとてもキャッチーなフォークトロニカ・ポップで、青年が歌う素朴な愛や風景はとても親しみやすい。ファルセット・ヴォイスということもあって、そのフォーキーでほどよくアンビエントな音はボン・イヴェール+シガー・ロスのヨンシーのソロといったところ。5曲目の“ワズ・ゼア・ナッシング?”なんかはボン・イヴェールそのままだと言ってもいい。それが悪いということではなくて、ボン・イヴェール以降のフォークをマジメにポップ・ミュージックにする新人が、アイスランドから出てくること自体が興味深い出来事に感じられる。
 ジョン・グラントがコスプレをして登場するヴィデオがなんだかシュールな“キング・アンド・クロス”がもっとも完成度の高いナンバーだが、1曲のなかでボサノヴァやエレクトロニカ、フォーク、カントリーが手際よく配合されているのは見事というほかない。アウスゲイル自身の強い個性はいまのところ際立ってはいないけれども、そもそものアイスランド語の歌詞も彼自身によるものではなくて、ライナーノーツによれば72歳の彼の父親によるものだそうだから、彼自身の内面や魂を吐露するタイプのシンガーソングライターではないのだろう。これもMORと言えるのだろうか、とても耳に優しいポップスで、心がざわついているときよりも平穏なときにすっと馴染む。アイスランド語版も聴いてみて、なるほどそちらのほうが神秘性は高く聞こえたが、アウスゲイルのアーティスト性には英語版のカジュアルさもとても合っているように思う。
 アルバムにはこれからの展開の予感が散見され、ボン・イヴェールのようにポスト・ロックに接近もできるだろうし、ビョークのようにエレクトロニックなダンス・サウンドだってできるだろう。ジョン・グラントに触発されてヘヴィなソウルをやるかもしれない。オリンピックが終わってしまえば応援していた選手の4年後の年齢をすぐ考えてしまうが、アウスゲイルにはもちろん引退の心配なんてない。アイスランドの集落から世界に広がる未来ばかりがある。それにしても……早く4年後にならないものだろうか(ピョンチャン!)。

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