「Nothing」と一致するもの

Sugai Ken - ele-king

 電子音楽家スガイ・ケンの新作はシネマティックなムードを漂わすアンビエント/コンクレートの傑作であった。「シネマティック=映画的なアンビエント」とは何か。それは音楽/音響が、映画のサウンドをイメージさせるかのように「非同期的」(坂本龍一『アシンク(async)』)に構成された音響作品を意味する。「世界」の「豊穣さ」の音響・音楽表現でもある。
 『不浮不埋』おいても音楽、環境音、微細なノイズなどが非連続的に構成され、肉体的に慣習づけられた反復的なグル―ヴを解体するようにサウンドのエレメント(それは日本的であり、ミニチュアール/神的なものだ)が非反復的に編集・接続される。音による「光景」が生まれているのだ。

 1曲め“湧き祕”で滴り打ち落とされる水滴の音に導かれるようにはじまる2曲め“をちかえりと渦女”を聴けばわかるが、スティーヴ・ライヒ的なミニマリズム(反復性)は解体され、「和的」な具体音が非反復的/ステレオフォニックにコンポジションされている。やがてそれは時計の音へと変貌する。光景は消えて、時間だけが残る。そして、森の中の鳥の声と、その場所の音と、時計の針の音のような音が重なる3曲め“時鳥”への転換も、時間の経過を描写することで、映像作品のシークエンス転換のように耳の遠近法を変えてしまう。続く「「滝宮の念仏踊り」という郷土芸能から着想を得ている」と語る4曲め“桶楽”では、走るような足音と心の芯に響くようなドローン、微かな環境音などが非反復的/非同期的に連鎖し接続され、このアルバムのムードを聴き手の耳に浸透させる。

 2016年にオランダの〈ララバイ・フォー・インソムニアック(Lullabies For Insomniacs)〉からリリースされた『鯰上』でも追及されてきた緻密なコンポジションが、〈Rvng Intl.〉から送り出された『不浮不埋』ではより「深い」領域で表現されているように感じた。「深い」とは、スガイ・ケンは日本の伝統的な音楽や風習などをフィールドワークしつつ自身の曲を創作しているのだが、まずもって「音」と「世界」の方が先にあるのではないかと感じられたからだ。
 「音」が先にあること。「音と世界」を聴くこと。そのような世界=音への意識・態度が『不浮不埋』のシネマティックな音響空間の生成・構成に大きな影響を与えているように思えてならない。それゆえにスガイ・ケンの音楽は豊穣なのではないか、とも。

 ちなみに同じく〈Rvng Intl.〉からリリースされたヴィジブル・クロークス『ルアッサンブラージュ(Reassemblage)』も同様の響きと非連続性を感じた。『ルアッサンブラージュ』は80年代の日本産アンビエント/ニューエイジ・ミュージックという宝石を再発見し、それを現代的にコンクレートするアルバムであり、「ニューエイジ再評価の現代的アンビエント・サウンド」を象徴する傑作であった。むろん『ルアッサンブラージュ』とスガイ・ケンの『不浮不埋』では参照点や音楽のタイプは違うが、2作とも過去=未知の音への調査と探求を経たうえで、非連続的(非反復的)なアンビエントに解体/再構成する音楽作品という点では共通点がある。その意味で2017年の〈Rvng Intl.〉のキュレーションは同時代の潮流をとらえていた。

 私はスガイ・ケンの音楽を聴くと、ふと映画作家のジャン=リュック・ゴダールのソニマージュ実践や実験音楽家/美術家のクリスチャン・マークレーのターンテーブル・コラージュ作品を思う。コンポジションとエディットが同列に存在しているからだ。スガイ・ケンの楽曲には、どこか「作曲」という意識だけではなく、一種の音と記憶の「トラックメイク」を行っているという意志を強く感じるのである。音の接続による記憶の再構成とでもいうべきもの……。
 日本盤をリリースしているレーベル〈メルティング・ボット(melting bot)〉のサイトに、スガイ・ケン自身によるセルフ・ライナーノーツ的なテキストが掲載されているが、これを読むと彼が日本の伝統音楽を調査し体感していく過程で観た/聴いた/体験した「光景」を自身の音楽にフィードバックしていくさまが語られている。なかでも「京都の山中にある月輪寺を訪れた際、道中の林道がとても印象的な光景であった」ため、それをもとに制作された7曲め“堂尻”は、光景的かつ記憶的で、彼の音楽の本質を照らしているように思えた。

 調査と体験。体感と記憶。記憶と解体。解体から生成。彼は記憶と体験から「音の光景」を編集するように音楽を生成・構成する。そして、その「音=光景」の果てには「冥界」のイメージを強く感じる。「柳女のイメージ」で制作されたという10曲め“障り柳”に耳を澄ますと、現実の時間空間意識が消失し、冥界の淵に立っているような気分になるのだ。日本のさまざまな伝統音楽(のエレメント)が、21世紀の「耳」を通じて、新しいアンビエントとして生まれ変わったのである。

Quit Your Band! - ele-king

 日本人は、さんざん自分たちが海外文化をあれこれ好きに解釈してきたのに関わらず、海外人が日本の文化に口を出すことにまだあまり慣れていない。音楽界はとくにそうだ。オンラインマガジンをやって新たにわかったことのひとつ:海外からも読まれていること。当たり前だが、日本人が海外を見る、海外人も日本を見る。文化的内弁慶がなくなることはないかもしれないが、いずれ衰退はするだろう。パリの日本オタクに受けたことが真の意味での海外進出ではないし、海外とは韓国もインドネシアもそうであり、欧米だけのことではない。21世紀のデジタル・ネット時代を生きる音楽関係者にとってまず必要なことは、これまでドメスティックな評価だけで閉じていた日本の音楽に対して、海外からの解釈もあることを理解し、海外からの評価もまた同時に面白がれるぐらの寛大さを持つこと。

 ele-king booksからの今年最後の爆弾は、在日イギリス人ジャーナリスト、イアン・マーティンによる『バンドやめようぜ!』(原題:Quit Your Band! Musical Notes from the Japanese Underground)。
 本書は、広範囲にわたる日本ポップス・ロック通史と文化批評によって構成されている。通史のところには、解釈やニュアンスの違い、説明不足など重箱の隅を突かれるような箇所もある(その正確なところは北中正和『にほんのうた』や田川律『日本のフォーク&ロック史』などを読めばいい)。しかしながら裸のラリーズも松田聖子もスーパーカーもひとつの通史のうちに語る試みからは、ぼく自身も含めて日本の音楽メディアが分断を持ってこの国の音楽を語ってきたという事実が浮かび上がる。
 もっともこれは、メディアだけの問題ではない。日本の音楽産業界全体が批評性を求めていないし、我こそがこのアーティスト(ジャンル)の理解者であると言わんばかりのマウティングじみたレヴューばかりが無駄に増えていく。しかしこれでは結局は、産業以前の問題として、文化として脆弱になるのもむべなるかな……である。
 というわけにもいかないので、翻訳を刊行することにした。著者の好みもあろうが、日本ではまず批判されることのない大物の作品が批判され、悔しいが日本人ライターには言えないことを言っている。あるいは、日本音楽産業界では「当たり前」だと慣らされてしまっていることが、世界基準では奇妙に見えることをあらためて知ること。とくにアイドル論に関しては、セクシャリティ・ポリティクスに関する問題提起ないしは現代の日本文化批評にもなっている。
 日本では、ほとんど奇書扱いされたジュリアン・コープの『ジャップ・ロック・サンプラー』は、しかし海外において日本の音楽への注目の起爆剤になった(彼の妄想癖はともかく、せめてその成果は讃えるべきだろう)。マイケル・ボーダッシュによる『さよならアメリカ、さよならニッポン』は、はっぴいえんどの内なるアメリカへの憧憬とそのアンヴィバレンスを見抜きながら戦後ポップ史を分析した。さて、今回は、日本で10年以上暮らしているイギリス人ジャーナリストから見える日本のポップスおよびロック論である。高円寺をこよなく愛する著者は、おそらく日本でもっとも全国のライヴハウスに足を運んでいるライター。原書の副題はドストエフスキーの『地下生活者の手記』のもじり。あまりに構えたりせずに、愛情とユーモアの込められたその解釈を楽しんでいただきたい。(発売は11月25日)


イアン・F・マーティン(著)  坂本 麻里子(訳)
バンドやめようぜ!
──あるイギリス人のディープな現代日本ポップ・ロック界探検記

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■目次

プロローグ 

PART1 
僕はどんな風に日本の音楽シーンにたどり着いたのか、
そしてそこで僕が発見したのは何だったか 

序文 
ʼ97の世代 
日本の音楽について書くということ 

PART2 
総合的かつ完全に正確きわまりない日本のポピュラー・ミュージック通史

日本のポピュラー・ミュージックの初期展開 
ロックンロール、日本上陸 
ニュー・ロック 
ロックンロールとガソリンの臭い
薬物不法所持逮捕からニューミュージックまで 
成熟を迎えたポップと演歌の硬直化 
パンク 
ニュー・ウェイヴ 
アイドルと歌謡曲の死 
J‐ポップと現代日本音楽の誕生 
渋谷系、そしてインディを発見した日本 
日本音楽の歴史の終わりと永遠のナウの誕生 

PART3 
ライヴ・アクトたちを見舞う経済的、政治的、そして実際的な
危険の数々、もしくはバンドをやめずに続けるにはどうしたらいいか 
高円寺、東京にて 
海外へ 
日本の音楽は海外でどう受け取られているのか 
日本音楽の海外進出作戦 


愛のためでも金のためでもなく―ライヴ・ハウス事情 
シーン内の政治をさばくには 
シーンにある制約を克服するということ 
レーベルはくたばれ 
言い分は分かるけど、なんでCDの話になるの? 
言語と日本人らしさ 
すべてのアートは政治的である 
サブカルとアイドル
おがくずの詰まった操り人形、音を出す操り人形:―〝夢見るシャンソン人形〟 
ピンクのギター 
何だって好きなことを言うのも、何も言わないのも同じこと 
とは言っても、結局は…… 

補遺およびシーン観察記: 
この本のサウンドトラックとなった音楽とそれらが生まれた場所 
日本のレコード・レーベルと地方シーン 
オモチレコード 
関西アンダーグラウンド 
九州アンダーグラウンド 
名古屋アンダーグラウンド 
インディ・ポップ 
バウハウス/東京ノイズ 
テクノポップ/ポスト渋谷系 
東京ボアダム 
この他にどんなものが? 

Nicola Cruz - ele-king

 〈MULTI CLUTI〉や〈ZZK〉からのリリースで知られるニコラ・クルースが初来日、神戸Troop Cafeと東京・代官山Unitでライヴを行います。ニコラ・クルースは、ニコラス・ジャーのステージでフロント・アクトをつとめたり、彼の主宰レーベル〈クラウン&サンセット〉のコンピにその名を連ねたことをきっかけに注目を集めた南米エクアドルの首都キトを拠点とするエレクトロニック・プロデューサーです。〈MULTI CLUTI〉や〈ZZK〉に加え、ニコ・デマスのワンダーホイールやエジプトのマジック・ムーヴメントにも楽曲やリミックスを残し、直近では、現在日本をツアー中のトーマッシュ主宰、ヴードーゥー・ホップのコンピ『Entropia Coletiva』のCD版にも新曲「Elephant」を提供しています。
 東京公演は野外フェスティバルRe:Birth主催のパーティで、ミニローグ、クニユキ・タカハシ、ミックスマスター・モリスも出演します。

■Nicola Cruz Japan Tour in Kobe

2017.11.23 THU

16:00 START - 23:00 CLOSE
Mail Resevation \2000(w/1D)Door \3000(w/1D)Under23 \1500(w/1D)

LINE UP :
Nicola Cruz -Live-
Shhhhh
KND -Live-
halptribe
FUKAMIDORI
職人
TAIPEIROD
KEYWON

SHOP :
DUMBO

FOOD :
tamu tamu cafe
Beinelmilel

COFFEE :
nomadika

https://troopcafe.jp/music-program/1388

■Nicola Cruz Japan Tour in Tokyo
Re:birth feat. El Folclore Paradox supported by Global Chillage

2017.11.24 FRI

OPEN : 23:00
START : 23:00
CHARGE :
ADV 3,000yen
DOOR 3,500yen
You must be 20 and older with photo ID

【UNIT】

LIVE :
Nicola Cruz
Marcus Henriksson aka Minilogue x Kuniyuki

DJ:
Shhhhh (El Folclore Paradox)
Kojiro (Re:birth)

【UNICE】

[new album "KiraKira" release special]
Mixmaster Morris
Peter Power (voodoohop)
Koss aka Kuniyuki
Hiyoshi (Labyrinth/Global Chillage)
7e

DECO:
聖紅 (seiko-nose.com)

LIGHTING:
Yamachang

https://www.unit-tokyo.com/schedule/2017/11/24/171124_rebirth_featefp.php

【Nicola Cruz ~ニコラ・クルス~】
彼は自分のサウンドを”andez step”と定義するDJ / プロデューサー。南米はエクアドルの都市キト在住。パーカッショニストとしてキャリアをスタートし、次第にそのリズムの感性と興味はエレクトリック・ミュージックにも向かう。同時に自身のルーツである南米大陸の儀式や音楽現象への探求を開始。2015年にデジタル・クンビアのレーベルとして日本でも紹介されたZZK Recordsよりアルバム、"Prender el Alma"をリリース。Nicolas Jaarの前座に指名され、翌年のバルセロナのソナー・フェスティバルを始めとする、欧米から南米のビッグフェスやBoiler Room にも出演。2017年、モントリオールのレーベル、Multi CultiよりEPを数タイトルリリース、他にもsoundcloudやBandcampにて、クオリティの高いトラックをハイペースで発表し続けている。2018年には新アルバムをリリース予定。
2010年代中盤から南米を中心に勃発した、過去と未来、伝統とモダンを行き来する進行系の現象。ナチュラルでオーガニック、世界各地の土着性を吸収した、BPM控えめで、ミニマル、スローハウス、ラテン/クンビアらを通過した酩酊しトランスするダンス・ミュージック・ムーヴメント。その動きの中でも代表的なアーティストである。待望の初来日。

Nils Frahm - ele-king

 モダン・クラシカルを牽引する〈Erased Tapes〉の看板、ニルス・フラームがついに、約4年ぶりとなるスタジオ・レコーディング・アルバムを完成させた。今回のレコーディングはなんと、そもそもスタジオを作る(!)ところから始められたのだという。これまでele-kingでも『Screws』『Solo』といった作品を取り上げてきたけれど、どうやら来るべき新作は、従来のアルバム以上に重要な意味を帯びた作品になっている模様。発売は来年1月26日。詳細は下記をご覧あれ。

ニルス・フラームが約4年振りとなるスタジオ・レコーディング・アルバムをリリース。スタジオを作るところから始めた壮大な計画は、自分の理想の音を自由に追求し続けた初めての作品。シンセサイザー/ハーモニウム/パイプオルガン/ピアノ/ヴォーカルなど多くの楽器が織りなす夢のような新世界。

彼のいままでのアルバムでは物語性を伴うものがいくつかありました。『Felt』(2011年)では、自身の古い寝室内のスタジオで夜遅く録音するとき、隣人への配慮からピアノのハンマーに気を使った事で生まれたに独特のピアノの音、続くアルバム『Screws』(2012年)では、親指を怪我したために残りの9本の指での演奏を強いられた事で生まれた繊細なタッチのサウンド。彼の制作してきた作品は何かに制限を受けてきたものが多く、思いついた多くのアイデアを自由に形にすることは行ってきませんでした。ベルリンに建築された自分の理想的なスタジオが完成した事で本当の意味での自由な音作りをする環境が整い、そして制作されたアルバム『All Melody』。今までの作品がすべてここに繋がっておくための準備期間だったのではと思わせるサウンドは、いままで聴き慣れたピアノからシンセサイザー/ハーモニウム/パイプオルガン/竹製の楽器、そして新たに取り入れたヴォーカル。間違いなく彼の今後の音楽活動の分岐点となる最重要作品の完成と言えるでしょう。

[セルフライナーノーツから一部抜粋]
完成までの過程で、どのようなアルバムにおいても何を作り上げたという事だけでなく、もっと重要なことだと思えるのは何ができなかったかを明らかにすることだ。『All Melody』には時間の経過とともに非常に多くのイメージがあり、以前にもずっと沢山ありましたが、私がそれらを制作しようとした事はこれまでありません。いままで見た事も聴いた事もない、少女や少年たちによる人の声を伴った美しいドラムを聴きたかった。彼らはまさにこの世界で歌を唄い、別の場所から来たかのように聴こえるでしょう。私は『All Melody』を演奏するハーモニウムのような音を奏でるシンセサイザーを聴き、それらはシンセサイザーのようなハーモニウムの音色と共に混ざり合います。私のパイプオルガンはドラムマシーンとなり、私のドラムマシンは、息づかいを感じさせるフルートによるオーケストラのように聴こえるでしょう。ピアノはまさに声へと変わり、声は共鳴するストリングスとなります。私自身の中で聴いている音楽は決してレコードとして完成しないでしょう。それは自分のためにしか演奏することができないと思えるのです。このレコードには私が思いついたものを収録し、私が想像できる最良の方法で導き出した音楽について表現しています。
2017年10月 ニルス・フラーム

アーティスト: Nils Frahm (ニルス・フラーム)
タイトル: All Melody (オール・メロディー)
品番: AMIP-0126
価格: 2,400円+税
発売日: 2018年1月26日 (金)
バーコード: 4532813341262
レーベル: Erased Tapes
※ライナーノーツの日本語訳
※ボーナストラック1曲のDLコード収録

トラックリスト:
01. The Whole Universe Wants To Be Touched
02. Sunson
03. A Place
04. My Friend The Forest
05. Human Range
06. Forever Changeless
07. All Melody
08. #2
09. Momentum
10. Fundamental Values
11. Kaleidoscope
12. Harm Hymn

■プロフィール
ドイツのベルリンで活動する作曲家/ピアニスト。Peter Broderickがプロデュースした『The Bells』、友人へのクリスマス・プレゼントとして制作した『Wintermusik』をリリース。その後Efterklamgのレコーディングやツアーに参加。2011年のアルバム『Felt』で高い評価を受け大きな注目を受ける。『Screws』では負傷した親指を使わずゆっくり大事に演奏した作品はピアノ・ファンの枠を越え多くの人に愛される。彼が最も力を入れているグランドピアノ+ローズ+アナログシンセというセットでのライヴ音源を含む『Spaces』をリリース。2015年にはイギリスのBBC PromsによるRoyal Albert Hallでの圧巻のパフォーマンスを披露。2年の歳月をかけて制作したファンクハウス・スタジオでプロデューサーとしても活動する。

国内盤オフィシャルHP
https://www.inpartmaint.com/site/22483/

Flava D - ele-king

 昨年1月にスウィンドルとともに来日し、UKハウス、ガラージ、グライムなどを変幻自在に操るDJスタイルでフロアを熱狂させたフレイヴァ・Dが待望の再来日を果たす。前回の来日後も『FabricLive88』や、今年に入ってからはロイヤル・TおよびDJ Qとのユニット、t q dのアルバム『ukg』など快進撃を続けているだけに、いまの彼女がどこを向いているのか確認する良い機会となるだろう。ベース寄りになるのかハウス寄りになるのか、それとも……。詳細は下記より。

"FLavaD" Japan Tour 2017

UKガラージ、グライム、UKベース・ミュージック・シーン
最重要、女性プロデューサー/DJに君臨するFlavaD、待望の再来日決定!

[ツアー日程]
●11.21 (火) @Dommune (東京)

●11.22 (水/祝前日) @OUTER (高知)
https://outerkochi.strikingly.com/
open 21:00 adv: 2000 yen (+1d) / door: 3000 yen (+1d)

●11.24 (金) @CIRCUS TOKYO (東京)
https://circus-tokyo.jp/
open 23:00 adv: 2500 yen door: 3000 yen
ticket: https://ptix.co/2w9gyKQ

●11.25 (土) @CIRCUS OSAKA (大阪)
https://circus-osaka.com/
open 22:00 open 23:00 adv: 2000 yen (+1d) / door: 2500 yen (+1d)
ticket : https://ptix.co/2fcJnPN

[プロフィール]
■Flava D (Butterz, UK)
UKガラージ、グライム、UKベース・ミュージック・シーンにおいて最重要、女性プロデューサー/DJに君臨するFlavaD。幼少からカシオのキーボードに戯れ、14歳からレコード店で働き、16歳から独学でプロデュースを開始。当時住んでいたボーンマスでは地元の海賊放送Fire FMやUKガラージの大御所、DJ EZの『Pure Garage CD』を愛聴、NasやPete Rockにも傾倒したという。2009年以降、彼女のトラックはWileyを始め、多くのグライムMCに使用され、数々のコンピに名を残す。12年にはグライムDJ、Sir Spyroの〈Pitch Controller〉から自身の名義で初の「Strawberry EP」を発表、13年からは自身のBandcampから精力的なリリースを開始する。やがてDJ EZがプレイした彼女の“Hold On”を聴いたElijahからコンタクトを受け、彼が主宰する〈Butterz〉と契約。「Hold On / Home」のリリースを皮切りにRoyal Tとのコラボ「On My Mind」、またRoyal T、DJ Qとのユニット、tqdによる「Day & Night」などのリリースで評価を高め、UKハウス、ガラージ、グライム、ベースラインなどを自在に行き交うプロダクションと独創的なDJプレイで一気にブレイク。16年の『FabricLive88』を経て17年5月にtqdのデビュー・アルバム『ukg』をリリース、その勢いはますます加速している。

https://flavad.com/
https://soundcloud.com/flava_d
www.facebook.com/FlavaDMusic/
www.twitter.com/flavad

Melanie De Biasio - ele-king

 「モントルー・ジャズ・フェスティヴァル・ジャパン」で2015年、2016年と続けて来日公演を行ったメラニー・デ・ビアシオ。ベルギー出身の女性ジャズ・シンガーのメラニーだが、彼女を通常のジャズ・ヴォーカリストという区分ではあまり見ないほうがいい。確かにニーナ・シモンやビリー・ホリデイなどブルースに通じたジャズ・シンガーの影響は見られるし、幼少期はクラシックを学んでブリュッセル王立学院でジャズを専攻し、フルートも演奏するという経歴は彼女をジャズ・ミュージシャンたらしめている。しかし、彼女のセカンド・アルバムにあたる『ノー・ディール』(2013年)を聴いたとき、ニーナ・シモンやビリー・ホリデイなどと共に個人的に思い起こしたのは、ポーティスヘッドのベス・ギボンズだった。比較的オーソドックスなジャズ・バンド・スタイルで録音されたファースト・アルバム『ア・ストマック・イズ・バーニング』(2007年)と異なり、『ノー・ディール』はベース奏者不在で、メラニーのヴォーカルとフルート、そして最小限の鍵盤楽器とアナログ・シンセ、ドラムスによるミニマムな編成により、音数も絞った録音だった。その結果、バックのサウンドは音響を重視したダークな質感のもので、ジャズ演奏でありながらエレクトロニカ的なニュアンスも帯びていた。そうしたサウンドに、暗い情念に満ちたメラニーのヴォーカルが幽玄のように交わる。コンテンポラリー・ジャズにロック的なアプローチを取り入れたものでは、メロディ・ガルドーの『カレンシー・オブ・マン』などもあるが、『ノー・ディール』は圧倒的にダウナーで重厚、そして退廃的で、その音や声のありかたがジャンルは違えどポーティスヘッドを想起させたのだった。ジャズ・シンガーでいけばノーマ・ウィンストンやカーリン・クロッグなどの前衛的な唱法を持つタイプに近く、そこにビリー・ホリデイやニーナ・シモンに代表されるブルース・フィーリングを合わせたシンガーとなるかもしれない。

 ブリュッセル王立学院に進学する前は、ニルヴァーナに影響されたロック・バンドを組んでいたことがあり、インタヴューで「私にとってのベスト・シンガーはマイルス・デイヴィス、ベスト・ドラマーはジミ・ヘンドリックスよ」と随分とひねくれた受け答えをしているあたり、ひとことで言うならメラニーはオルタナティヴなシンガーだろう。レディオヘッドのフィリップ・セルウェイは、そんな彼女に恐らく自身と同じような部分を感じ取ったのであろう。自身が選ぶ2013年のベスト・アルバムの第1位に『ノー・ディール』を取り上げている。その後、ジャイルス・ピーターソンが監修した『ノー・ディール』のリミックス集に続き、2016年にリリースされたEP「ブラックンド・シティーズ」は、24分を超える大作1曲のみという異色の内容で、サウンドもプログレとジャズ・ロックの中間的なもの。ここでのメラニーのヴォーカルは歌というよりむしろ楽器の一部となっていた。それから1年ぶりにリリースとなった通算3枚目のアルバムが『リリーズ』である。“ユア・フリーダム・イズ・ザ・エンド・オブ・ミー”は、ますますポーティスヘッド色の強いロー・ビートの曲。歌詞はフォンテラ・バスの“レスキュー・ミー”にインスパイアされたものだろうか、彼女が参加したシネマティック・オーケストラの重厚な世界にも通じる。全体的には『ノー・ディール』以上にロック~オルタナ色が強まり、“ゴールド・ジャンキーズ”のようなインディ・ブルース・ロックも。“オール・マイ・ワールズ”でのメラニーの歌は、まるでヴェルヴェット・アンダーグランドにおけるニコのようでもある。“アンド・マイ・ハート・ゴーズ・オン”は土着的なフルートとモノローグのようなヴォイスによる神秘的な曲。5拍子の“レット・ミー・ラヴ・ユー”はエレクトロニカとジャズが結びつき、メラニーの退廃的なヴォーカルがミスティックな世界へと誘う。ここでも“ユア・フリーダム・イズ・ザ・エンド・オブ・ミー”にあった「レスキュー・ミー」というワードが登場するように、アルバム全体で魂の救済というのがテーマのひとつのようだ。魂の救済とは、すなわちブルースである。表題曲や“シッティング・イン・ザ・ステアウェル”、“ブラザー”は極力余分な音を排し、そのぶんメラニーの歌を際立たせたミニマルな楽曲で、彼女の歌からは強烈なブルース・フィーリングが漂ってくる。アフロ・キューバンの古典にして数多くのジャズ・シンガーが取り上げた“アフロ・ブルー”は、通常ならば強烈なブルース・フィーリングに彩られるはずだが、ここでは逆にブルース・フィーリングを表立たせずに、エレクトリックな音響の中で亡霊のように浮かび上がらせている。CDショップで本作はジャズのコーナーに並べられるのだろうが、そうしたジャンルにとらわれずにポーティスヘッドからレディオヘッドなどと並列して聴きたいアルバムである。


Taylor Deupree & Marcus Fischer - ele-king

 最近ではマーカス・フィッシャーの『Loss』など、順調に優良な作品のリリースを続けているブルックリンのレーベル、〈12k〉。その主宰者であり、坂本龍一や青葉市子とのコラボでも知られるサウンド・アーティスト、テイラー・デュプリーが、マーカス・フィッシャーとともに急遽来日することが発表された。11月18日のTokyo Festival of Modular 2017を皮切りに、奈良、岡山、東京を巡回する。ILLUHA伊達伯欣の相棒を務めているコーリー・フラーらも参加。最終日の東京公演は、今年で20周年を迎える同レーベルの記念公演となっており、世界で唯一のアニヴァーサリー・イベントだそう。いやあ、これは行きたい。

坂本龍一や青葉市子とのコラボレーションも行なうサウンド・アーティスト、テイラー・デュプリー主宰の電子音響レーベル〈12k〉が今年20周年を迎えます。

これまで数多くのアーティストを輩出した同レーベルは20年間の長きに渡り電子音楽界において多大なる功績を残してきました。 その主宰であるテイラー・デュプリーと所属アーティスト、マーカス・フィッシャーが来日し、Tokyo Festival of Modularを皮切りに、奈良、岡山、東京と4公演に出演します。奈良、岡山、東京公演には日本在住の〈12k〉アーティストCorey Fuller(ILLUHA)、Sawako、Moskitooらも出演し、最終日の東京公演は、世界で唯一の〈12k〉による20周年記念イベントが開催されます。すべてのアンビエント~実験音楽~電子音楽ファンに。絶対にお見逃しなく!

■Tokyo Festival of Modular 2017
日時:11月18日(土) 17:00~21:00
会場:渋谷contact (渋谷区道玄坂2-10-12 新大宗ビルB2)
料金:1day Pass ¥3,000(当日券のみ)(※2day Passもあり。詳細はTokyo Festival of Modular公式ウェブサイトをご覧ください)
出演:Marcus Fischer & Taylor Deupree, Baseck, Sarah Davashi, Hataken featuring SUGIZO, Rodent, Hisashi Saito and more...

チケット・イベント詳細:Tokyo Festival of Modular
https://tfom.info/tfom-2017/

■岡山公演
日時:11月19日(日) OPEN 17:30 / START 18:00
会場:cafe moyau (岡山市北区出石町1−10−2)
料金:予約 ¥3,500 / 当日 ¥4,000(全席自由)
出演:Corey Fuller (ILLUHA), Taylor Deupree, Marcus Fischer, 松本一哉, nensow

◎メール予約:madronemu@gmail.com
※公演名・お名前・人数・連絡先をご明記のうえお申し込み下さい。
チケット取扱店:padang padang、cafe moyau、グリーンハウス倉敷店、グリーンハウ
ス岡山店、レコード屋、FOLKLORE
協力:全ド連 / padang padang / night cruising / moderado music / cafe moyau
詳細:moderado music
https://moderado.jugem.jp/?eid=360&PHPSESSID=rd5ok709t6gpb8romtglih3391

■奈良公演
日時:11月22日(水) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:sonihouse (奈良市四条大路1-2-3)
参加費:¥3,600(1drink order)
出演:Corey Fuller (ILLUHA), Taylor Deupree, Marcus Fischer

◎メール予約:「11/22の参加予約」をタイトルに「お名前・人数・電話番号」を記載の
うえinfo@sonihouse.netまでご連絡ください。
*静寂を大切にした音楽のため、小学生未満のお子様のご来場はご遠慮いただいております。
詳細:sonihouse
https://www.sonihouse.net/journal/?p=8096

■東京公演 / 12k 20th anniversary in Tokyo
日時:11月25日(土) OPEN 16:30 / START 17:00
会場:光明寺 (港区虎ノ門3-25-1)
料金:予約 ¥2,500 / 当日 ¥3,000
出演:Taylor Deupree & Corey Fuller (Illuha), Marcus Fischer & Sawako, Moskitoo

◎ご予約:Peatixご予約受付ページ
https://12k20.peatix.com/
※Peatixへのご登録が必要となります。
※前売りが予定枚数に達した際は当日券の発売はございません。
主催・制作:cubic music
協力:Fly sound、誰そ彼、Inpartmaint Inc./ p*dis、安永哲郎事務室
詳細:cubic music
https://12k20th.cubicmusic.com/

Keith & Tex - ele-king

 ビースティ・ボーイズ『Paul's Boutique』の最後を飾るメドレー、“B-Boy Bouillabaisse”でサンプリングされていたロックステディの名曲“Stop That Train”をご存じでしょうか。あの名曲を歌うロックステディのレジェント2人組、キース&テックスが3年ぶりに日本に帰ってきます!
 前回の来日公演では、〈Rocksteady Legend〉でカールトン&ザ・シューズ、リロイ・シブルス、ストレンジャー・コールらと共演してきた日本が誇るジャマイカン・ヴィンテージ・ミュージック・バンド、マット・サウンズがバックを務めていましたが、今回もふたたびその共演が実現するとのこと。
 60~70年代のジャマイカ音楽愛好家のかたは必見ですよ~。

 前回の来日公演の模様は、以下のヴィデオをチェック。

Keith & Tex JAPAN TOUR 2017

【東京公演概要】
出演:Keith & Tex、Matt Sounds、Tommy Far East
日時:2017年12月10日(日) 開場 19:00 / 開演 20:00
会場:渋谷クラブクアトロ
INFO:OVERHEAT MUSIC(03-3406-8970)
特設サイト:https://www.overheat.com/keithandtex2017

前売りチケット:4,500円(+Drink Charge)
前売り【Tシャツ付限定割引】チケット(ローソンチケット):7,000円(+Drink Charge)
当日チケット:5,500円(+Drink Charge)

■チケット取扱店
Far East Records(042-705-3374)
HESHDAWGZ(03-3475-3475)
Dub Store(03-3364-5251)
Coco-isle(03-3770-1909)
JET SET 下北沢店(03-5452-2262)
HMV record shop 渋谷(03-5784-1390)
REDPOT(048-854-0930)
OR GLORY 神宮前店(03-3423-9368)

【Keith & Tex 他会場ツアー日程】
大阪公演 12月8日(金)SOCORE FACTORY


Keith & Tex(キース・アンド・テックス)
誰でも一度は聴いたことがある“Stop That Train”と“Tonight”という大ヒット曲を持つKeith & Tex。特に“Stop That Train”はジャマイカ最初の映画『The Harder They Come』でScottyの「Draw Your Brakes」名義で使用され、その後89 年にはBeastie Boysの“B-Boy Bouillabaisse: Stop That Train”で使われ、そのトラックは何度もリメイクされている超メジャー・チューン。他に“Let Me Be The One”などたくさんのヒットを持ち世界中のライヴで大合唱となる。現在もニュー・アルバムが完成しツアーを続ける現役バリバリのアーティスト。


Matt Sounds(マット・サウンズ)
今年4 月に1st アルバム『Matt Sounds』を発売、5 月にはBB シートンと東名阪ツアー、7 月にはフジロックフェスへの出演と順調に実力を発揮しているMatt。すでにジャマイカン・ヴィンテージ・ミュージックを演奏させたら世界でも右に出るものはいない? と噂されている。記念すべきキース&テックスのバックから始まり、カールトン&ザ・シューズ、リロイ・シブルス、ストレンジャー・コール、クリストファー・エリスらのバックを完璧に努め、彼らから「こんないいバンドがあったのか?」と驚嘆されてきた。それもそのはず直接ジャマイカン・レジェンドたちからリハと本番で細かく手ほどきを受け60 年代ジャマイカ音楽の黄金期を再現できる世界にも稀なバンドが誕生。Matt が遂にKeith & Texと3 年ぶりの再会。
https://www.mattsounds.tokyo

L.A. Witch - ele-king

 エレキング読者がカリフォルニアと聞いて思い浮かべるのは、フライング・ロータスだろうか。いや、ファッションが好きなご年配の方ならアナーキック・アジャストメントかもしれない……なんてことを徒然と考えながら書いてるが、筆者はどちらでもない。カリフォルニア州ロサンゼルスのロック・シーンを追っているからだ。

 最近のLAロック・シーンには面白いバンドがたくさんいる。ラテンノリのポスト・パンク・サウンドが売りのシスター・マントス、パンクとクンビアを掛け合わせたザ・コモンズ、モデルのスタッズ・リンデス率いるザ・パラノイズ、ファッション・ブランドのプリティー・グリーンによるキャンペーン・ヴィデオで曲が起用されたウォーブリー・ジェッツなど、早耳の音楽ファンなら誰もが知るバンドがずらりと並ぶ。
 なかでもザ・パラノイズは、エディ・スリマンがお気に入りということもあって、ファッション・アイコン的な人気もあるバンドだ。ささくれ立ったラウドなギター・サウンドも好評で、ダイヴのサポート・バンドとして全米各地を巡っている。ロックの影響力は弱まりつつあると言われて久しいが、ロックの虜になる者たちは今も世界中で後を絶たない。

 そんなLAロック・シーンから、またひとつ面白いアルバムが生まれた。『L.A. Witch』と名付けられたそれは、L.A.ウィッチというバンドによるものだ。
 L.A.ウィッチは、セイディ(ヴォーカル/ギター)、イリータ(ベース/オルガン)、エリー(ドラム)の3人組。2012年にシングル「Your Ways」を自主制作でリリースした彼女たちは、その後しばらくはレーベルをつけずに活動し、多くのライヴを重ねてきた。
 そうした彼女たちに目をつけたのが、アイアン・アンド・ワインやヘルスなどの作品をリリースしてきた〈Suicide Squeeze〉だ。いくつかのプロモ盤を配ってサポートしつつ、彼女たちにデビュー・アルバムである『L.A. Witch』を作らせた。「Your Ways」から約5年の歳月が経ってのリリースと考えれば、それなりの下積み期間を積んだうえでの制作と言える。

 このような道程の末に生まれたデビュー・アルバムは、彼女たちの魅力が詰まった最良の作品に仕上がった。ザ・ガン・クラブといったLAの先達パンク・バンドに通じるサウンドを匂わせつつ、ザ・ストゥージズを彷彿させるガレージ・ロックもあるし、ザ・クランプス直系のサイコビリーも見いだせる。そこにサイケデリックなフィーリングを少々振りかければ、L.A.ウィッチのサウンドは完成する。様々な要素で構成されているが、基本的には古のロック、それもアメリカを参照にした曲が多い。

 一方“Drive Your Car”といった曲ではポスト・パンクの要素も見られ、ダークでゴシックな雰囲気を醸すサウンドは、初期のスージー・アンド・ザ・バンシーズを連想させる。このゴシックな側面は彼女たちに欠かせないもので、アーティスト写真、ツアー・ポスター、MVでもオカルトチックな色合いをたびたび強調している。これはおそらく、『サスペリア』などのホラー映画が好きだと公言する彼女たちの嗜好も影響してるだろう。音楽以外の要素も積極的に取り入れて表現するあたりは、ただの懐古趣味ではない今のセンスを持つバンドなんだなと実感する。

 『L.A. Witch』を聴くと、他の音楽と同様ロックも更新されているというあたりまえの事実にあらためて気づく。先述したように、ロックはかつての強い影響力を失ったが、ロックそのものは今も存在する。メディアが騒ぎ立てなくなったことが、そのジャンルの死を意味するわけではないのだ。

Oneohtrix Point Never - ele-king

 昨年同様オリジナル・アルバムのリリースはなかったものの、坂本龍一のリミックスイシュマイル・バトラーとのコラボなど、今年も何かと話題の尽きないワンオートリックス・ポイント・ネヴァーことダニエル・ロパティン。夏には映画『グッド・タイム』のサウンドトラックを、そして先日はそのディレクターズ・カット版をリリースしたばかりの彼が、今度はUKの音楽メディア『FACT』の企画「FACT mix」の一貫として、新たなミックス音源を公開している。ジョルジオ・モロダーから幕を開けるそのミックスは、ロパティンが『グッド・タイム』の劇伴を制作するにあたって影響を受けた曲を集めたものとなっており、彼の音楽的なバックグラウンドの一部を探ることができる。しっかり芸能山城組も入っており、じつに興味の尽きないミックスである。

ONEOHTRIX POINT NEVER
話題の映画『グッド・タイム』のUKプレミアに合わせて
映画音楽制作のインスピレーションになった音源ばかりをフィーチャーした最新MIX音源を公開!

本年度のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出され、主演のロバート・パティンソンが彼のキャリア史上最高の演技を披露していると話題を呼んでいる映画『グッド・タイム』が、先週の日本公開に続き、11月17日(金)よりUKでも公開される。それに合わせ、音楽を手がけたワンオートリックス・ポイント・ネヴァーが、本映画の音楽制作において、インスピレーションになったという音楽ばかりをフィーチャーした最新MIX音源を、『FACT』にて公開した。

FACT mix 627: Oneohtrix Point Never
https://www.factmag.com/2017/11/13/oneohtrix-point-never-fact-mix-good-time/

Giorgio Moroder – "Cacophony"
Bernard Szajner – "Welcome (To Death Row)"
Alan Parker – "Synchrotech"
Abigail Mead – "Ruins"
Brad Fiedel – "Tunnel Chase"
Daft Punk – "Television Rules The Nation"
Geinoh Yamashirogumi – "Requiem"
Dopplereffekt – "Z Boson"
Howard Shore – "01 – 9PM"
Harold Faltermeyer – "Main Title, Fight Escape"
Giorgio Moroder – "Chase"
Sick Le Lapin – "Flashcore Mix"
Heldon – "Le Retour Des Soucoupes Volantes"
Lewis – "Like To See You Again (OPN Remix)"
John Abercrombie – "Timeless"
Steve Hillage – "Palm Trees (Love Guitar)"

アメリカで8月に公開された際には、セレーナ・ゴメスやザ・ウィークエンドが大絶賛するなど注目を集めると同時に、音楽を手がけたワンオートリックス・ポイント・ネヴァーことダニエル・ロパティンが、本年度のカンヌ・サウンドトラック賞を受賞。映画のエンディング・テーマにもなっている“The Pure and the Damned”でイギー・ポップとコラボレートしたことも大きな話題となった。

同映画のサウンドトラック『Good Time Original Motion Picture Soundtrack』は、8月のアメリカ公開に合わせてリリースされている。また日本公開時には、監督を務めたジョシュ・サフディの意向で、『グッド・タイム』の世界観をより深く理解するためのフォーマットとして、全曲フィルム・エディットで収録されたディレクターズ・カット版『Good Time... Raw』も日本限定でCD化されている。また対象店舗にて、『Good Time... Raw』、『Good Time Original Motion Picture Soundtrack』のいずれかを購入すると、オリジナル・クリアファイルが先着でもらえるキャンペーンを実施中。

label: Warp Records / Beat Records
artist: Oneohtrix Point Never
title: Good Time... Raw
cat no.: BRC-561
release date: 2017/11/03 FRI ON SALE
国内限定盤CD: ジョシュ・サフディによるライナーノーツ、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーとジョシュ・サフディによるスペシャル対談封入
定価: ¥2,000+税

【ご予約はこちら】
beatkart: https://shop.beatink.com/shopdetail/000000002199
amazon: https://amzn.asia/gxW5H63
tower records: https://tower.jp/item/4619899/Good-Time----Raw
hmv: https://www.hmv.co.jp/artist_Oneohtrix-Point-Never_000000000424647/item_Good-Time-Raw_8282459

【商品詳細はこちら】
https://www.beatink.com/Labels/Warp-Records/Oneohtrix-Point-Never/BRC-561

label: Warp Records / Beat Records
artist: Oneohtrix Point Never
title: Good Time Original Motion Picture Soundtrack
cat no.: BRC-558
release date: 2017/08/11 FRI ON SALE
国内盤CD: ボーナストラック追加収録/解説書封入
定価: ¥2,200+税

【ご購入はこちら】
beatkart: https://shop.beatink.com/shopdetail/000000002171
amazon: https://amzn.asia/6kMFQnV
iTunes Store: https://apple.co/2rMT8JI

【商品詳細はこちら】
https://www.beatink.com/Labels/Warp-Records/Oneohtrix-Point-Never/BRC-558

映画『グッド・タイム』
2017年11月3日(祝・金)公開
第70回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門選出作品

Good Time | Official Trailer HD | A24
https://youtu.be/AVyGCxHZ_Ko

東京国際映画祭グランプリ&監督賞のW受賞を『神様なんかくそくらえ』で成し遂げたジョシュア&ベニー・サフディ兄弟による最新作。

出演:ロバート・パティンソン(『トワイライト』、『ディーン、君がいた瞬間』)、ベニー・サフディ(監督兼任)、ジェニファー・ジェイソン・リー(『ヘイト・フルエイト』)、バーカッド・アブティ(『キャプテン・フィリップス』)
監督:ジョシュア&ベニー・サフディ兄弟(『神様なんかくそくらえ』)

ニューヨークの最下層で生きるコニーと知的障がい者の弟ニック。
2人は銀行強盗を行うが、弟が捕まり投獄されてしまう。しかし獄中で暴れ病院へ送られると、それを聞いたコニーは病院へ忍び込み、警察が監視するなか弟ニックを取り返そうとするが……。

2017/アメリカ/カラー/英語/100分
(C) 2017 Hercules Film Investments, SARL

配給:ファインフィルムズ


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