「Nothing」と一致するもの

WWW & WWW X Anniversaries - ele-king

 これまで数々のイベントを企画・実現し、日本の音楽シーンに大きな影響を与えてきた、渋谷のライヴ・スペース「WWW」と上階の2号店「WWW X」。今秋、前者はオープン8周年を、後者は2周年を迎える。それら両会場の周年を記念し、特別シリーズの開催が決定した。題して「WWW & WWW X Anniversaries」。現在、6公演が発表されており、スネイル・メイル、D.A.N.、ジェイミー・アイザック、モーゼス・サムニー、イ・ラン、七尾旅人、エラースミスと、目のくらむような強力なアクトが勢ぞろいしている。さらに後日には追加発表もあるとのことで、10月は「WWW」と「WWW X」に入りびたることになりそうだ。詳細は下記よりチェック。

WWW & WWW X Anniversaries 第1弾発表 6公演

●10月6日(土)「SNAIL MAIL」 出演:SNAIL MAIL @ WWW X
●10月8日(月・祝)「TIMELESS #4」 出演:D.A.N. / Guest Act:Jamie Isaac @ WWW X
●10月9日(火) 「Hostess Club Presents Moses Sumney」 出演:Moses Sumney @ WWW X
●10月12日(金)「Emotions」 出演者近日発表 @ WWW & WWW X & WWW β
●10月13日(土)「In&Out」 出演:イ・ラン (from Korea) / 七尾旅人 @ WWW
●10月20日(土/深夜) 「Local X World」 出演:Errorsmith and more @ WWW X


WWW & WWW X Anniversaries
https://www-shibuya.jp/news/009343.php


あまりにも瑞々しいUSローファイ・ロックのニュースター、若干19歳のSNAIL MAIL(スネイル・メイル)。
早くも初来日公演が決定!!

タイトル:WWW & WWW X Anniversaries "SNAIL MAIL"
日程:10月6日(土)
会場:WWW X
出演:SNAIL MAIL
時間:OPEN 18:00 / START 19:00
料金:前売 ¥5,500 (税込 / ドリンク代別 / オールスタンディング)
一般発売:8/4 (土) 10:00~
e+ / ローソンチケット[L:73611] / チケットぴあ[P:124-356] / iFLYER / WWW店頭

公演詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/009277.php


D.A.N.によるレギュラー企画 “TIMELESS” #4の開催が決定。
ゲストは、先日初来日単独公演が発表された、話題のサウス・ロンドン出身24歳の新鋭Jamie Isaac(ジェイミー・アイザック)。
海を越え呼応する同世代のミニマル・メロウネスが2018年の東京で出会う一晩をお見逃し無く。

タイトル:WWW & WWW X Anniversaries “TIMELESS #4”
日程:2018年10月8日(月祝)
会場:WWW X
出演:D.A.N. / Guest Act: Jamie Isaac
時間:OPEN 18:00 / START 19:00
料金:前売 ¥3,800 (税込 / ドリンク代別 / オールスタンディング)
チケット
■先行予約:8/4(土)12:00~8/12(日)23:59 ※先着
https://eplus.jp/dan-jamie-timeless/
■一般発売:8/18(土)10:00~
e+ / チケットぴあ[P:126-358] / ローソンチケット[L:70429]

公演詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/009347.php


その甘美な歌声がデビュー前から話題を呼び、ジェイムス・ブレイクやスフィアン・スティーヴンスのUSツアーのオープニングに抜擢、そして今年3月には第90回アカデミー賞授賞式で映画『君の名前で僕を呼んで』の主題歌「Mystery of Love」をスフィアン・スティーヴンスやセイント・ヴィンセントに並び披露するなどアーティストからも厚い支持を得るカリフォルニア出身SSWモーゼス・サムニー。チケット即ソールドアウトとなった6月のソロセットでの初来日公演に続き、早くもバンドセットでの再来日が決定!

タイトル:Hostess Club Presents Moses Sumney
日程:2018年10月9日(火)
会場:WWW X
出演:Moses Sumney
時間:OPEN 19:00 / START 20:00
料金:¥6,800 (税込 / ドリンク代別 / オールスタンディング)
チケット
■先行予約:8月4日(土)10:00~
ticketboard
■一般発売日 8月18日(土)10:00~

公演詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/009348.php


シーンの変化を象徴する様々なジャンルのオルタナティブな新世代アーティストがラインアップされ、多様な「感情(Emotions)」の交わりから「現在(いま)」が浮かび上がるフライデーナイトパーティーシリーズ「Emotions」、第3弾開催決定! 詳細は後日発表!

タイトル:WWW & WWW X Anniversaries "Emotions"
日程:2018年10月12日(金)
会場:WWW・WWW X・WWWβ
詳細後日発表

公演詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/009326.php


WWWによるアジアインディロックシーンの交流地点シリーズ「In&Out」
アニバーサリー記念として開催する今回は、その歌声、文章、活動姿勢やインタビューを通しての発言が大きな注目を浴びている韓国ソウルのマルチ・アーティスト "イ・ラン" と、WWWでもこれまで「百人組手」、「兵士A」など衝撃的ライブパフォーマンスで数々の名演を生み出している "七尾旅人" が邂逅!

タイトル:WWW & WWW X Anniversaries "In&Out"
日程:2018年10月13日(土)
会場:WWW
出演:イ・ラン (from Korea) / 七尾旅人
時間:OPEN 18:00 / SATRT 19:00
料金:前売 ¥3,800 / 当日 ¥4,300 (税込 / ドリンク代別 / オールスタンディング)
チケット:
■先行受付 8/4(土)10:00~8/12(日)18:00
e+
■一般発売 8/18(土)10:00~
e+ / ローソンチケット[L:70990] / チケットぴあ[P:126-056] / WWW店頭

公演詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/009327.php


フューチャー・クラシックなテクノ意匠! 13年ぶりのアルバムを〈PAN〉より投下、未曾有のアフロ&ダンスホール×ミニマルな大傑作で昨年の年間ベスト・チャートを賑わせたベルリンの異能 ERRORSMITH が満を持してWWW Xへ拡張された第10回記念のLocal X Worldに登場。RAにて枚数限定の早割¥1,300も販売開始。追加発表も乞うご期待!

タイトル:WWW & WWW X Anniversaries “Local X World Errorsmith”
日程:2018年10月20日(土)深夜
会場:WWW X
出演:Errorsmith [PAN | from Berlin] - LIVE - / + more
時間:OPEN 23:30 / START 23:30
料金:前売 ¥2,000 / 当日 ¥2,500 / U23 ¥1,500 / Early Bird ¥1,300 *枚数限定
チケット:
8月2日(木)19:00~ 枚数限定 Early Bird発売 @ Resident Advisor

公演詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/009325.php

Laraaji - ele-king

 まさに待望といっていいでしょう。70年代にストリートでパフォーマンスをはじめたところからキャリアをスタートし、ブライアン・イーノにその才を見出されたアンビエントの大御所、ララージ。近年のニューエイジ・ブームともリンクしながら、いまなお現役として新作の発表やさまざまなアーティストとのコラボを繰り広げている彼が、ついに来日ツアーを開催します。東京は単独公演、全席座りで2回のロング・セットを披露とのこと。大阪と京都もまわります。この絶好の機会を逃すなかれ。

Laraaji Boiler Room London - Deep Listening Session

[8/30追記]
ララージ待望の来日ツアーに、追加公演が決定しました。9月13日、渋谷WWW X にて開催。7FO、UNIT aa+畠山地平、Chee Shimizu も出演します。詳細は下記をご参照ください!

Laraaji Japan Tour 2018

澄み渡る空、開かれる静域。巨匠 Brian Eno に見出され、近年のニューエイジ/アンビエントの再興により生ける伝説となったNYCのパーカッション奏者/電子音楽家 Laraaji (ララージ)待望の単独初来日ツアー。

9.15 sat WWW Tokyo
9.16 sun Nanko Sunset Hall Osaka
9.17 mon Metro Kyoto

テン年代初頭よりエレクトロニック・ミュージックの新潮流の一つとして拡張を続けるニューエイジ/アンビエントの権化とも言える、ミュージシャン、パーカッション奏者、“笑い瞑想”の施術者でもある Laraaji (ララージ)の東京は単独公演、全席座りで2回のロング・セットを披露、大阪、京都を巡る待望の単独初来日ツアーが決定。そのキャリアは70年代のストリート・パフォーマンスから始まり、Brian Eno に発見されアンビエント・シリーズへ参加以降、Harold Budd、Bill Laswell、John Cale、細野晴臣、Audio Active などとコラボレーションを果たし、近年のニューエイジの再興から発掘音源含む再発で再び注目を集め、後世に影響を与えたオリジネーターとして新世代の音楽家 Blues Control、Sun Araw、Seahawks とのコラボレーション作品、遂には新譜もリリース、各国でのツアーやフェスティバルに出演し、ワールドワイドに活動の幅を広げている。風のようにそよぎ、水のように流れる瑞々しいアルペジオや朗らかなドローン、土のようにほっこりとしたソウルフルなボーカルや温かなアナログ・シンセ、ドラム・マシーン、テープ・サンプリング、瞑想的なアンビエントから時にボーカルも織り交ぜたパーカッシヴなシンセ・ポップ、ヨガのワークショップまでも展開。風、水、空、土といった自然への回帰と神秘さえも感じさせる圧倒的な心地良さと静的空間、情報渦巻く現代のデジタル社会に“癒し”として呼び起こされる懐かしくも新しいサウンドとヴィジョン、ニューエイジの真髄が遂に本邦初公開を迎える。

ツアー詳細:https://www-shibuya.jp/feature/009311.php

■9/15土 東京 単独公演 at Shibuya WWW
Title: Laraaji - Tokyo Premiere Shows -
1st set OPEN 16:00 / START 16:30
2nd set OPEN 19:00 / START 19:30
ADV ¥5,500+1D *各セット150席限定・全席座り / Limited to 150 seats for each set
Ticket Outlet: e+ / Lawson [L:73365] / PIA [P:125-858] / RA / WWW *8/1 (水) 一般発売
LIVE: Laraaji *solo long set
more info: https://www-shibuya.jp/schedule/009310.php

■9/16日 大阪 at Nanko Sunset Hall
Title: brane
OPEN 17:30 / START 18:00
ADV ¥4,800 / DOOR ¥5,500
Ticket Info: TBA
LIVE: Laraaji + more
Visual Installation: COSMIC LAB
info: https://www.newtone-records.com

■9/17月・祝 京都 at Metro
Title: Laraaji Japan Tour in Kyoto supported by 外/Meditations
OPEN 18:30 / START 19:30
ADV ¥4,500 / DOOR ¥5,000
Ticket Info: 公演日・お名前・枚数を(ticket@metro.ne.jp)までお送りください。
LIVE: Laraaji + more
more info: https://www.metro.ne.jp

Laraaji [from NYC]

本名エドワード・ラリー・ゴードン・ジュニア、1943年生まれのアメリカ人。ツィターによる瞑想的な演奏と共に、ニューエイジ/アンビエント・ミュージックの生ける伝説として知られる。70年代にストリート・パフォーマンスをはじめ、ワシントン・スクエア公園で演奏していた Laraaji を見かけた Brian Eno に声をかけられたことから、1980年リリースの名作、アンビエント・シリーズ第3弾『Ambient 3: Day of Radiance』に参加し、脚光をあびる。その他の代表作には、神々しい弦の反響と反復を繰り返す『Celestial Vibration』、電子モードのツィターが天空のドローンを描く『Essence / Universe』、大胆なボーカルとともに深く拡張していく Audio Active とのダブ作『The Way Out Is The Way In』などがあり、また Harold Budd、Brian Eno、Bill Laswell、John Cale、細野晴臣などとのコラボレーションやライブ音源含め、これまでに多数の作品を発表している。近年は〈All Saints〉から新作『Bring On The Sun』やコンピレーション『Celestial Music 1978 - 2011』に加え、Blues Control (〈RVNG Intl.〉より)や Sun Araw、最新作ではSeahwks とのコラボレーション、また〈Leaving Records〉からの発掘音源など、近年のニューエイジ/アンビエントのリヴァイヴァルも相交わり新旧共に活発なリリースとライブを展開中。音楽と平行して笑い瞑想のワークショップも行っている。

https://laraaji.blogspot.com

Laraaji - Celestial Music 1978 - 2011 [All Saints RE2013]
https://laraajimusic.bandcamp.com/album/celestial-music-1978-2011

■9/13木 追加公演 at WWW X

Title: Balearic Park - Laraaji - *FLOOR LIVE
OPEN / START 19:00
ADV ¥3,300 / DOOR ¥3,800 / U23 ¥2,800
Ticket Outlet: e+ / Lawson [L:71297] / PIA [P:127-579] / RA / WWW *8/22 (水) 一般発売

Laraaji [from NYC]
7FO [EM Records / RVNG Intl.]
UNIT aa (YoshidaDaikiti & KyuRi) + Chihei Hatakeyama [White Paddy Mountain]
Chee Shimizu [Organic Music / 17853 Records]

ニューエイジの権化 Laraaji 追加公演! 都市型アンビエント・イベント《Balearic Park》 WWW X 初開催のフロア・ライヴに登場。国内からは昨年NYの〈RVNG Intl.〉からアルバムを発表、間もなく〈EM Records〉よりリリースされるニューエイジ・ダブな最新作『竜のぬけがら』で更なる反響を呼ぶ大阪の電子音楽家 7FO、古典から電子音楽まで様々なフィールドで活躍するシタール奏者 YoshidaDaikiti とタブラ奏者 KyuRi による UNIT aa に数々の作品を残すアンビエント/ドローン作家、レーベル〈White Paddy Mountain〉主宰の Chihei Hatakeyama 参加のスペシャル・セッション、そしてディスク・ガイド、再発、コンピレーションの監修等、日本含め様々なオブスキュアを世界へ広める東京屈指のディガー Chee Shimizu (Organic Music) がDJ出演。今回は Laraaji のチターを始め、ギター、シタール、タブラ等の生楽器を主体としたフロア・ライブをフィーチャー、Gigi Masin、Suzanne Kraft、Andras、Visible Cloaks に続く《Balearic Park》の新境地をお見逃しなく。

https://www-shibuya.jp/schedule/009420.php

Imaizumi Koichi - ele-king

 LGBTブームとともに日本社会にも変化の季節は訪れているようにも見える。件の「生産性」発言にしても、ある意味では、近年の潮流が日本の保守的な価値観をも揺らがし、脅威を与えていることの表れだとも捉えられるかもしれない。しかしながら、海外のようにそこに文化が連動しているのだろうか……というのが、『ゲイ・カルチャーの未来へ』の重要な問題提起のひとつだった。
 今泉浩一は、日本においてインディペンデントでゲイ映画を地道に、ひたすら地道に作り続けてきたこの国では非常に稀有な映画作家である。彼の映画には、日本の片隅に生きるリアルなゲイたちの姿がたしかに息づいていたはずだ。その最新作にして、海外のクィア映画祭を中心にすでに評価を集めている『伯林漂流』が日本で初公開される。脚本を務めたのは先日『弟の夫』がアイズナー賞を受賞したことでますます注目を集める田亀源五郎。日本のゲイ文化にとっても重要な意味をなす作品だろう。
 渋谷で2日間限定の上映。併せて過去作の上映と、様々なゲストとのトークも予定されている。日本のゲイ文化が培った今泉浩一による「リアル」の現在地を目撃しない手はないだろう。 (木津毅)

『伯林漂流(Berlin Drifters)』国内初上映&関連企画上映
今泉浩一 生前追悼上映会
‘Pre-departure’ mourning screening of works by actor-director Imaizumi Koichi

2018年8月11日(土)&12日(日)@ Galaxy - Gingakei

今泉浩一は1985年より「東京グランギニョル」に参加、その後二代目一条さゆりの黒子として全国のストリップ劇場を巡業する。1990年、佐藤寿保監督『激射・なぶる!』で映画俳優としてデビューし、佐藤監督、佐野和宏監督らのピンク映画を中心に約100本の映像作品に出演した。1999年、岩佐浩樹とともに映画・音楽制作レーベル〈habakari-cinema+records〉を立ち上げ自主映画の制作を開始し、現在に至るまでに5本の長編作と3本の短編作を監督した。2008年に監督した、ある高校生のゲイとしてのアイデンティティーの目覚めを描いた長編作『初戀』はベルリン国際映画祭パノラマ部門にも公式招待されている。

今泉浩一の最新長編作『伯林漂流(Berlin Drifters)』は、日本からベルリンに辿り着いたゲイの漂流者たちの物語である。脚本は今作で初めて映画の脚本を手掛ける事となった、日本を代表するゲイ・エロティック・アーティストである田亀源五郎(ただし本作は『弟の夫』を含む、これまで田亀が描いてきたマンガ作品の映画化ではなくオリジナル)この10年で日本のゲイの恋愛とセックスを取り巻く何が変わり、そして何が変わらなかったのか?を「ベルリン」という反射鏡を触媒として描き出す。彷徨い続ける男たちが踊る、21世紀版『ラスト・タンゴ・イン・パリ(・オヴ・ゲイ)』。香港を皮切りにポルトガル、ドイツ、オーストリア、アメリカでの上映を経ての日本初上映となる。

『伯林漂流』予告編
https://vimeo.com/225738258

8月11日(土・祝)は新作『伯林漂流』の上映に加え、『初戀』以降の長編、短編作を制作年順に上映し、8月12日(日)には『伯林漂流』と共に、ピンク映画俳優として今泉浩一が過去に出演したピンク映画を上映する。また各回の上映後には多彩なゲストを迎えたトークを予定している。

【上映会の詳細は以下のページで】
https://www.shiroari.com/habakari/Tokyo_BerlinDrifters2018.html

会場:Galaxy - Gingakei
東京都渋谷区神宮前5-27-7-B1
TEL: 03-6427-2099
https://www.thegalaxy.jp/

※各回完全入替制で当日券のみ、また作品ごとに料金が違います。
※8/11の『初戀』は15歳以上、それ以外の全ての作品は18歳以上が入場可能です(要ID)。

facebook
https://www.facebook.com/habakari
twitter
https://www.twitter.com/hbkrcar

 新作『Sonatine』が絶好調のD.A.N.の新しいPVが公開された。映像を手掛けるのはオオクボリュウ。デビューEPの「Ghana」以来3年ぶりの共演になるそうで、オオクボリュウのミニマルな叙情性がばっちりハマっておりますね。

D.A.N. - Sundance (Official Video)

 なお、周知のようにD.A.N.はこの秋、全国ツアーを控えています。チケットの先行発売も受付中なので、確実に行く人は申し込んじゃいましょう。

<D.A.N. TOUR 2018 "Sonatine">

- CHINA -
9月05日(水) 成都(Chengdu)@Little Bar Space
9月06日(木) 深圳(Shenzhen)@B10 Live
9月07日(金) 北京(Beijing)@YugongYishan
9月08日(土) 上海(Shanghai)@Mao Livehouse

- TAIWAN -
9月20日(木) 台北(Taipei)@THE WALL
9月21日(金) 高雄(Kaohsiung)@Live Warehouse

- THAILAND -
9月23日(日) バンコク(Bangkok)@PLAY YARD by Studio Bar

- JAPAN TOUR -

11月17日(土) 仙台 darwin
11月21日(水) 福岡 BEAT STAITON
11月23日(金祝) 岡山 YEBISU YA PRO
11月30日(金) 札幌 PENNY LANE24
12月05日(水) 大阪 梅田CLUB QUATTRO
12月06日(木) 名古屋 BOTTOM LINE
12月08日(土) 金沢 vanvan V4
12月09日(日) 新潟 CLUB RIVERST
12月20日(木) 東京 新木場STUDIO COAST

<D.A.N. オフィシャル先行受付中>
https://d-a-n-music.com/news/d-a-n-tour-2018-sonatine/

【受付期間】7/25(水)20:00 〜 8/6(月)23:59

【枚数制限】お1人様4枚まで申し込み可
【入場制限】小学生以上有料/未就学児童無料(保護者同伴の場合に限る)

https://d-a-n-music.com/

Kajsa Lindgren - ele-king

 W杯期間中、とうぜんJ1リーグはお休みで、その間それぞれのチームは休養したり、練習したりしていたわけだが、ぼくが応援している清水エスパルスというここ数年ぱっとしないチームは、18チームのなかでもっとも長い休暇を取っていた。長谷川健太が指揮を執るFC東京などほぼ休みナシで練習していたというのに、スウェーデン人のヤン・ヨンソンが監督を務める清水エスパルスは16日間も休んでいたし、練習再開後も休みが多いので、サポーターは「大丈夫かよ?」と不安視しているのだが、考えてみればスウェーデンは「短縮労働」の先進国だ。高度化した育児休暇制度をはじめ、「フレキシブル・ワーク」の一般化のみならず、1日6時間労働による生産性の向上という実験もはじめている。欧米では評価されているこうしたスウェーデン式だが、忙しくしていないと落ち着かないという日本社会ではまだまだ浮いてしまっているのが実情だろう。

 カイサ・リンドグレンはスウェーデンの作曲家/エレクトロニック・ミュージッシャンで、本作『ウーム(子宮)』は彼女のファースト・アルバムになる。自然、そして身体におけるフィールド・レコーディングの素材をさらに水中で再構成したという作品で、まったく独特の音響が生成されている。アンビエントともウェイトレスとも言いたくない、引き合いに出されているのはイーノとジョン・ハッセルの『Possible Musics(第四世界の鼓動)』だが、というのもこのアルバムは、まだ見たことのない(聴いたことのない)世界を表現したいという欲望による、ある種の異世界を描いているからだ。彼女は最終的には、無生物の世界さえも空想しているようだ。

 あるいはまた、フランスの実験派の女性アーティスト、フェリシア・アトキンソンと比較されるリンドグレンは、安易な音旅行には舵を取らず、音響の深海へと潜水しているかのようだ。水中ミキシングということで涼を求めるなんてとんでもないです。とはいえ、この音楽は耳障りなわけではないし、人を動揺させるものでもない。極めて静的な音楽だ。
 彼女はこのアルバムのリリースにあわせて、ストックホルムでは水中コンサートを開いたそうだが、なんかそれも生活のなかに気持ちの余裕のあるスウェーデンらしさがゆえの実験なのだろうか。こんな生産性のないことに夢中になれることが羨ましい。それにしても最近は、エレクトロニック・ミュージックにおいて、聴いて良かったので作者を調べてみたら女性だったということがじつに多い。

Tony Allen × Jeff Mills - ele-king

 これは事件です。2016年の末、パリのジャズ・クラブにて共演を果たしたトニー・アレンとジェフ・ミルズの両巨頭ですが、その奇蹟のようなコラボがついにレコードへと結実。9月28日に10インチとしてリリースされます。しかも、レーベルは〈ブルー・ノート〉。このデトロイト・テクノの伝説とアフロビートの伝説との邂逅を逃す手はありません。先行公開されている収録曲“The Seed”を聴きながら、首を長くして待ちましょう。

artist: Tony Allen & Jeff Mills
title: Tomorrow Comes The Harvest
label: Blue Note
format: 10"
release: September 28th
EAN / JAN: 0602567786306

[tracklist]
A1. Locked And Loaded
A2. Altitudes
B1. On The Run
B2. The Seed

Amazon
disk union
HMV

Ali Shaheed Muhammad & Adrian Younge - ele-king

 おそらくウィルソン・ピケットの楽曲を由来とするのであろう『ザ・ミッドナイト・アワー』というアルバム。真夜中のソウルという言葉が実にふさわしいこのアルバムは、ア・トライブ・コールド・クエストのDJ/プロデューサーのアリ・シャヒード・ムハマドと、マルチ・ミュージシャンでプロデューサーのエイドリアン・ヤングのプロジェクトによるものだ。アリとエイドリアンの共演は、エイドリアンのプロデュースするソウルズ・オブ・ミスチーフのアルバム『ゼア・イズ・オンリー・ナウ』(2014年)にアリがフィーチャーされたことがきっかけで、その後TVドラマのサントラとなる『ルーク・ケイジ』(2016年)も共同制作している。その頃より『ザ・ミッドナイト・アワー』の制作は開始され、当初は2016年末頃にはリリース予定だったが、ここにようやく発表された。

 DJで熱心なレコード・ディガーであり、また法律の博士号も持つエイドリアンは、奥方と一緒にロサンゼルスでレコード・ショップ兼ジュエリー・ショップを経営し、また〈リニア・ラブズ〉というレーベルも運営している。もともとDJ/トラックメイカーだが、ヒップホップなどの元ネタから古いレコードをコレクトするようになり、そこからさらに楽器演奏を独学で学んでいった。1968年から1973年までを音楽の黄金時代ととらえ、その時期のソウル、ファンク、ジャズ、リズム・アンド・ブルース、ロックなどが好みという。当時のアナログな楽器や録音機材が生み出す温もりや奥行きのあるサウンドに魅入られ、自身で作品を作るときもそうした機材を導入するという凝りようだ。こうしたエイドリアンのこだわりにシンパシーを感じるアーティストは多く、これまでにアリやソウルズ・オブ・ミスチーフはじめ、デルフォニックス、ゴーストフェイス・キラー、ビラル、RZA、バスタ・ライムズ、スヌープ・ドッグ、ケンドリック・ラマーなどと作品制作、コラボ、共演している。ハモンド・オルガン、ミニ・モーグ、フェンダー・ローズなど鍵盤類から、サックス、ベース、ギターまで操る彼は、ヴェニス・ドーンというバンドも率いて『サムシング・アバウト・エイプリル』(2011年)、その第2集(2016年)もリリースしている。ヒップホップ方面との交流が深いエイドリアンだが、この第2集にはステレオラブのレティシア・サディエールをフィーチャーし、幅広い交友関係も見せている。そのレティシアと共演した“メモリーズ・オブ・ウォー”では、サントラのようにジャジーでシネマティックな曲作りも見せていたが、エイドリアンにとってサントラというのも重要なキーワードのひとつである。前述の『ルーク・ケイジ』ほか、デビュー作の『ブラック・ダイナマイト』(2009年)もブラックスプロイテーション映画のサントラだった。また、『サムシング・アバウト・エイプリル』も架空のサントラという設定で、ゴーストフェイス・キラーなどとのコラボ作にもそうした雰囲気が持ち込まれている。アイザック・ヘイズからモリコーネのサントラに影響を受け、ムーディーな音作りを好むというところも、彼のレコード・マニアたるゆえんだろう。

 『ザ・ミッドナイト・アワー』のプロジェクトに関して、エイドリアンはサンプリングなどをせず、全て楽器演奏だけで作ってみようと提案したそうだ。アリはソウルズ・オブ・ミスチーフの『ゼア・イズ・オンリー・ナウ』のリミックス・アルバムを手掛け、そのときは全ての楽曲を生演奏のみで作り変えた。アリにとって初めての楽器演奏によるアルバムとなったが、それが自信となって『ザ・ミッドナイト・アワー』の制作へと繋がっていったのである。ATCQが実際にサンプリング・ネタにしてもおかしくないようなアルバム、というのが念頭にあったそうだ。全部で20曲収録というたいへんヴォリュームのあるアルバムで、演奏はエイドリアンとアリのほか、ヴェニス・ドーンのメンバーらが参加している。従ってエイドリアン・ヤング、及びヴェニス・ドーンのアルバムの延長線上に位置する作品と言えるだろう。ゲスト・アーティストもエイドリアンやアリに関連する人が多く、ビラルやレティシア・サディエールに始まり、シーロー、ラファエル・サディーク、マーシャ・アンブロージアス、クエストラヴ、ジェイムズ・ポイザー、キーヨン・ハロルドらが参加。“ソー・アメイジング”にはルーサー・ヴァンドロスがフィーチャーされているが、彼が生前の1986年に残した歌を、アリとエイドリアンの新たな演奏に乗せる形となっている。“クエスチョンズ”は未完成段階のトラックをケンドリック・ラマーが聴いて気に入り、自身のヴァースを乗せて『アンタイトルド・アンマスタード』(2016年)に収録していた。そこでは“アンタイトルド・06”となっていたが、シーローの歌を入れて完成したヴァージョンとなる。

 ビラルの歌う“ドゥ・イット・トゥゲザー”は、ロータリー・コネクションの系譜に位置するような作品で、エイドリアンが自身の音楽を呼ぶダーク・サイケデリック・ソウルという言葉がピッタリだ。エイドリアンはビラルの『イン・アナザー・ライフ』(2015年)のプロデュースを行なったが、ゴスペル的なエモーショナルさを持ちつつも、オルタナティヴなテイストもあるビラルの歌の特性を生かした曲となっている。レティシア・サディエールが歌い、キーヨン・ハロルドがトランペット、クエストラヴがドラムを演奏する“ダンス・アス・モーメント・デランス”は、基本的にはビート感の強いジャズ・ファンクだが、レティシアのスキャットによって優美さや浮遊感が生まれており、相反する要素をひとつにまとめた好例と言えるだろう。新進女性シンガーのエリン・アレン・ケインが歌う“ラヴ・イズ・フリー”は、『ザ・ミッドナイト・アワー』全体のカラーに通じるヴィンテージ感を醸し出すR&B。ストリングスを用いたゴージャスなサウンドは、往年の〈モータウン〉や〈スタックス〉などの音作りを彷彿とさせる。“ダンス・アス・モーメント・デランス”も“ラヴ・イズ・フリー”も、一聴瞭然なのはドラムの音の太さで、これはやはりアナログ・テープで録音しないと生み出せないものだろう。『ザ・ミッドナイト・アワー』は、そうした音に対する贅沢なこだわり、飽くなき追求が見られるアルバムだ。

Likkle Mai - ele-king

 リクル・マイは、日本のレゲエ・シンガーとして国際舞台でもっとも評価されているひとりで、強いてたとえるなら日本のマーシャ・グリフィスと言えるような素晴らしいアーティストだ。彼女は、世界中の誰もがルーツ・レゲエは時代遅れだと認識していた90年代に真っ直ぐなルーツ・レゲエをやって世界を驚かせたバンド、ドライ&ヘヴィーのヴォーカリストとして登場した。バンドを脱退した後もソロ活動を続けているわけだが、すでに『Roots Candy』や『Dub Is The Universe』、『mairation』など魅力的な作品を残している。2014年には3・11への彼女なりのアンサーとして、レゲエと民謡を融和させた『きたぐにのはる』も話題になった。
 リクル・マイはいつだってレゲエをベースにしながら、人生や社会に関して、シンプルで力強い言葉をソウフルな声で歌う。彼女の音楽はいつだって大らかで、なおかつプロテスト・ミュージックで、いつだって人を元気にさせる。去る7月18日に、4年ぶりのミニアルバム『Rise Up』がリリースされた。ソウル・フラワー・ユニオンの中川敬が参加し、彼女の盟友でもあるブリストルのロブ・スミスが1曲、ミックスしている。リクル・マイらしい、ポジティヴなヴァイブレーションのじつに溌剌とした作品だが、なによりもすごいのは、長年続けてきている人が持ち得る感情の深みが見えること。ぜひぜひチェックして欲しい。
 また、リクル・マイは精力的なライヴ活動もしている。10月からは「Likkle Mai Rise Up TOUR 2018」も予定されているので、近場の人はぜひ! 彼女のライヴは最高なんで。詳しくはリクル・マイのホームページをご覧ください。

https://likklemai.com/2/live-schedule/



LIKKLE MAI
Rise Up

Hanx Records/MK STARLINER
Amazon

Blawan - ele-king

 2010年に〈Hessle Audio〉から「Fram」をリリースしてクラブ・シーンに登場した Blawan こと Jamie Roberts は、翌2011年に数多くの優れた作品を発表して一躍注目のプロデューサーに。同年 Radiohead が“Bloom”の REMIXER に抜擢したことがそれを象徴的に表している。初期の作品は元ドラマーゆえか、複雑なリズム構成とリズムトラックの高音域の独特な抜けの良いサウンドが特徴的で、この頃はまだクリーンなサウンドの UK BASS といった感じだったが、Alberto Marini と Domenico Cipriani のユニット The Analogue Cops との共同制作の経験を通して、彼の制作スタイルは大きく変化した。その経緯についてはこちらのインタヴュー記事が参考になると思うが、簡単に言うと Ableton (PC)主体からハードウェア主体へと移行し、それ以降のプロダクションではざらついた音色が増えることに。

 The Analogue Cops とは以降も度々共作し、3人で Parassela としても作品を発表するなど、Jamie が彼らから大きな影響を受けていることは、リンク先のインタヴュー記事での発言からもうかがい知れる。
 そして新たな制作スタイルの獲得と Pariah こと Arthur Cayzer との出会いが上手く符合したのか、ふたりのユニット Karenn も2011年に始動し、同年〈Works The Long Nights〉から 12" をリリース。Karenn での活動についてはこちらの記事に詳しく書かれていて、この頃から Jamie はモジュラーシンセにはまっていったようだ。

 2013年には Surgeon とも共作し、Trade 名義で 12" をリリース。2015年に自身のレーベル〈Ternesc〉を立ち上げて、モジュラーシンセ道を邁進。2016年は Bored Young Adults 名義でBPMを落として Jamie 流実験的ハウス 12" を〈The Trilogy Tapes〉から、さらに Shifted の〈Avian〉から Kilner 名義でモジュラーシンセが炸裂する実験的テクノ・トラック集『Walk Type』をリリース。『Walk Type』と2017年に〈Ternesc〉からリリースした『Nutrition』はどちらも大作だが、この2作はあくまでも 12"×2 という体裁でのリリースだった。そして2018年、遂に Blawan が初のアルバム『Wet Will Always Dry』を発表した。

 アルバム冒頭にふさわしく、しばらくの間 BPM を取れない細かく不安定なリズムが刻まれ、緩やかに入って来た持続音だけが取り残される不思議な展開で幕を開ける“Klade”。やがてハイハットが刻まれはじめ、クレッシェンドしていき、変則打ちのキックが入ってくる。持続音はキックに寄り添うように緩やかにうねりながら歪(いびつ)に歪(ひず)んだり、ヴォリュームが大きくなったり小さくなったりしながら、全体的にはクレッシェンドしていき、聴く者の気分を高揚させる。短いブレークが明けると2拍4拍に高音のアクセントが入ってきて興奮はいやまし、リズムトラックにもキックより少し高いタムが加わり勢いは増す。出ている音の構成要素としてはこれぐらいのもので、シンプルであるがゆえの力強さとヴァリエーションを増す持続音のうねりが相まって、早くも最高潮に達する興奮が冷めやらぬうちにリズム隊がひとつひとつ抜けていき、最後に残された持続音も間も無く終息する。

 小節頭にアタックが来る、リズムと柔軟な持続音(歪なメロディー)を兼ねた音が印象的な“Careless”。ボトムを重たくキープする4つ打ちと裏打ちハイハットにアルペジオ・シークエンスが隠し味的に繰り返される上を主旋律たる歪に揺らぐメロディーが響き渡ることで絶妙なグルーヴが生まれ、そこに Jamie お得意のヴォイスサンプルが被さってくる。ブレークが明けて8小節後に16分で刻むハイハットが入ってくるところが、たまらなくかっこいい。

 曲の冒頭から繰り返されるシークエンスの拍頭と感じていた音が、キックの小節1拍目とずれていて、さらに3小節置きに2拍裏でアクセントが入るので拍を追いながら聴いているとかなり混乱してしまうトリッキーな“Vented”。こういう曲はシンプルな4つ打ちの2拍4拍にスネアが入る曲と MIX すると、それまで頭が引っぱられていた聴こえ方とまったく違う印象でシークエンスが聴こえるようになるから面白い。人間の脳はいろいろと錯覚する。お化けでも出てきそうなひょろひょろとした音が漂うブレークが明けると、16分刻みのハイハットを伴ったキックが勢いを増して帰ってくる。やがて再び冒頭のシークエンスが入ってきて、また頭が若干混乱することで曲の勢いが鈍るように感じるのは自分が悪いのか。

 “North”はいきなりモジュラーシンセの柔軟で変化に富んだフレーズが飛び込んでくる。そして間髪入れずにフルスロットルの4つ打ちキックが打ち鳴らされ、ハイハットが加わる。ほぼこれだけで後はモジュラーを巧みに変化させていけば曲はできたようなものだ、と言わんばかりのシンプルさだが、力強くてかっこいい。ブレークではさらに混沌としたフレーズが一瞬挿入されるが、それもかっこいい。中盤のキックメインのパートの上をレゾナンスとヴォリューム控え目で漂うモジュラーも気持ち良い。とくにブレークでキックが抜けると不安定さが際立ってその気持ち悪さが気持ち良く、そこからシームレスにメインのフレーズへと変化していき、帰ってきたキックと共に最後まで走り抜ける。

https://soundcloud.com/ternesc/north

 “Stell”の冒頭から繰り返されるシークエンスはのちにメインフレーズへと変化する種のようなもので、突然変異のように音が引き伸ばされた様な、Arca のジャケットを音に変換した様な、そんな主旋律が非常に印象的。4つ打ちのキックの上を16分裏で小さめに、8分裏で普通(音量)にハイハットを、2拍目にスネア、8分裏にハイハットを入れることでビートがスイングして、グルーヴを生んでいる。ブレークでは細かく刻まれながらタイムストレッチして多様に変化するハイハットとリヴァーブの彼方へ遠ざかっていく主旋律が合わさって、めちゃくちゃかっこいい。

https://soundcloud.com/redbullmusicacademy/blawan-stell-first-floor-premiere

 そしてラストを飾るのが新機軸の“Nims”。これまでに Blawan がこれほどメロディアスなアルペジオ・シークエンスを主軸に据えたことがあっただろうか。たしかに Bored Young Adults の“But We Need This Bench”でもキラキラとしたフレーズは鳴っていたが、これほど前面には出ておらず、主役はあくまでもどこか鬱屈とした低音域の旋律だった。初めてのアルバムを出すに当たって、こういう曲を作れるようになったということも大きいのではないだろうか。このアルバムではモジュラーシンセにより習熟したという自信が、勢いとなって全曲に漲っているように感じる。一皮剥けた、こなれた、という感じがする。もはやかつてのように複雑に組み込まれたリズムは必要ない。事実このアルバムでは1曲目の“Klade”を除いて全てイーヴンキックで構成されている。それでも工夫を凝らせばグルーヴは生まれるし、かつシンプルにすることで生まれる力強さが備わっている。そして全曲にモジュラーシンセによる印象的なフレーズが炸裂している。6分前後の曲が8曲収録されているが、少しもダレることがなく、一気に聴き通せる快作。

 Karenn での相方、Pariah もソロとしては6年、Karenn でのリリースからも4年のブランクを経て、これまでの〈R&S〉からではなく、〈Houndstooth〉からアンビエント・スタイルの美しい作品『Here From Where We Are』をリリース。またふたりでやってくれることを期待しながら、ふたりの最新作同士をロングミックスして擬似 Karenn プレイを楽しみたい。

『Wet Will Always Dry』
 豪雨被害に遭われた方々の濡れた心が、いつの日か乾くことを願って

 『NYタイムス』の記事で、坂本龍一がよく行く日本食レストランの話があった。彼はその店の音楽が嫌いで、普通なら何も言わないでそこを立ち去るのだが、そのレストランは彼のお気に入りなので、音楽の選曲を担当させてくれないかと申し出た、という。ふんふんと頷きながらこの記事を読み進めていくと、同時に『CODA』が紹介されていた。


https://coda.mubi.com

 2014年6月、咽喉癌の段階3と診断された彼は、7月10日に公表し、治療に専念することにした。Alejandro González Iñárritu監督から突然電話があったのは、何ラウンドかの化学治療を終えた翌年の春のことだった。坂本龍一は、明日もし可能ならLAに来てくれないか、と言われた。起きたばかりでボーとしていたこともあり、休養期間にも関わらず、イエスと答えていた。20代から仕事をし、こんなに長く休んだのは初めてで、仕事をしないことが悪に感じていた頃だった。生命の危険を経験したことで、彼の創造力のモチベーションが上がり、音への追求が果てしなくはじまった。

 という、彼が癌治療をはじめてからの、休養期間に撮影されたドキュメンタリーだ。彼のミュージシャンとして、そしてひとりの人間として、音への情熱、社会に貢献する姿勢、癌後の人生についてなどが、彼の作品や昔の映像を合わせながら綴られている。彼のひと言ひと言に頷き、作品の美しさに体が震え、人間味溢れるキャラクターに親近感を覚えた。

 彼は2011年、津波の被害にあった福島に赴き、原子力反対の運動に積極的に参加し、津波の後に生き残ったピアノで、疎開している人達のためにコンサートを開き、現地のアイコンとなった。ピアノを弾き、災害の後に残ったこれこそが、自然の調律になっている、と彼は思ったと言う。物は自然のままが真の姿なわけだが、現代に生きる私たちは、それを忘れがちだ。

 雨の降る音、鳥が飛び交う音、木がそよぐ音など、自然の音に反応し、北極に行って水の音を録音したり、大雨の降る日に外に出てバケツを頭から被り音を感じたり、シンバルを持ち込んで、バイオリンの弦をあてたり、コーヒーカップで円を描くように音を出したり、理想の音を求め続ける姿が描かれる。

 彼の昔のバンド、テクノ・ポップのイエロー・マジック・オーケストラのライヴ映像や、若かりし日々の坂本さんのインタヴューや音楽、そして俳優としての姿──『戦場のメリークリスマス』や『ラストエンペラー』の映像(ベスト・オリジナル・スコア賞を受賞)ばかりか、昔の東京の映像なども盛り込まれている。時代背景からも様々な想いを馳せることができる映画だ。

 この映画は、威厳としたリンカン・センター(https://www.lincolncenter.org)で見るのが筋かと思ったが(NYは7月末から公開で2映画館のみ)、坂本さんの家にも近い、こじんまりしたシネマ・ヴィレッジ(https://www.cinemavillage.com/)で観賞した。ゆるい雰囲気で、広告もほとんどなく、売り切れにもならず、何気に心地よい。『CODA』のおかげで新しい映画館も発見できた。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727 728 729 730 731 732 733 734 735 736 737 738 739 740 741 742 743 744 745 746 747 748 749 750 751 752 753 754 755 756 757 758 759 760 761 762 763 764 765 766 767 768 769 770 771 772 773 774 775 776 777 778 779 780 781 782 783 784 785 786 787 788 789 790 791 792 793 794 795 796 797 798 799 800 801 802 803 804 805 806 807 808 809 810 811 812 813 814 815 816 817 818 819 820 821 822 823 824 825 826 827 828 829 830 831 832 833 834 835 836 837 838 839 840 841 842 843 844 845 846 847 848 849 850 851 852 853 854 855 856 857 858 859 860 861 862 863 864 865 866 867 868 869 870 871 872 873 874 875 876 877 878 879 880 881 882 883 884 885 886 887 888 889 890 891 892 893 894 895 896 897 898 899 900 901 902 903 904 905 906 907 908 909 910 911 912 913 914 915 916 917 918 919 920 921 922 923 924 925 926 927 928 929 930 931 932 933 934 935 936 937 938 939 940 941 942 943 944 945 946 947 948 949 950 951 952 953 954 955 956 957 958 959 960 961 962 963 964 965 966 967 968 969 970 971 972