「Nothing」と一致するもの

Swindle - ele-king

 先日のDBSで圧倒的なパフォーマンスを披露したUKアンダーグラウンドの雄=スウィンドルが、年明け1月25日にニュー・アルバムをリリースする。D・ダブル・EやP・マネーなど、おなじみのグライム勢に加え、なんと、いまをときめくヌバイア・ガルシアやマンスール・ブラウンといったUKジャズの精鋭たちも参加しているとのこと。そんな大胆な横断ができるのはスウィンドルならではですね。公開中の新曲“What We Do”はこちらから。

SWINDLE

UKアンダーグラウンド・ミュージックのリアルなヴァイブを伝える男、スウィンドルのニューアルバム『No More Normal』が2019年1月25日にリリース決定! ヌビア・ガルシア、ユセフ・デイズらサウスロンドン・ジャズ・シーンの面々も参加した今作からの新曲、“What We Do (Feat. Rider Shafiq, P Money, D Double E & Daley)”が公開!

ヌビア・ガルシア、ユセフ・デイズといったサウスロンドン・ジャズ・シーンのメンツに加え、D・ダブル・E、P・マニーらグライム・シーンを代表する面々が参加したスウィンドルのニュー・アルバム『No More Normal』が2019年1月25日にリリース決定! その中から、新曲“What We Do (Feat. Rider Shafiq, P Money, D Double E & Daley)”が公開となった。

試聴リンク:
https://brownswood-recordings.lnk.to/swindle-whatwedo

それぞれに独立していながら実は密接な関係があるという複数の音楽シーンがあるとき、そこに橋を架ける行為が新たな可能性を広げることがある。『No More Normal』において、スウィンドルはイギリスの音楽シーンが持つ様々な側面を、確信を持って捉えている。常にジャンルの限界を押し広げようとしているグライムやダブステップの世界にルーツを持つことを誇りにしながら、ロンドン育ちのプロデューサーは自らの音楽に対する視野を拡大し、このアルバムによってそこに次の一歩を印している。スウィンドルが結びつけたのは、創作について同じ基盤を共有する仲間たち、つまりUKジャズ、グライム、ヒップホップというジャンルに挟まれた創造性豊かな領域に集うグループだった。

「これは2018年のクラス写真なんだ。みんながこの写真に収まっていてほしい」という新作についてのスウィンドル自身の言葉が示す通り、本作に参加しているのは、まさにオールスターと言うべきメンバーだ。活況を呈すサウスロンドン・ジャズ・シーンからユセフ・デイズ、ヌビア・ガルシア他、ラッパーのコージェイ・ラディカル、D・ダブル・E、P・マニー等々、総勢10名以上のロンドンを代表するアーティストが参加。現在のUKのクラブ・ミュージックとジャズ・シーンのクロスオーバーを象徴する一枚となっている。

"『No More Normal』というのは、俺たちは自分たちのことを自分たちの流儀でやって、そこにはルールも限界もないという思想なんだ。グライムの影響を受けているのと同じようにジャズの影響を受けている。ロサンゼルスの影響を受けているのと同じようにロンドンの影響を受けている。俺はD・ダブル・Eともヌビア・ガルシアとも作品を作ることができるし、そうしてできたレコードは、僕の想像力を音楽という枠組みの中で現実化させたものだ" - Swindle

スウィンドル待望のニュー・アルバム『No More Normal』は2019年1月25日(金)世界同時リリース。国内盤CDにはボーナストラックが追加収録され、解説書が封入される。iTunes Storeでアルバムを予約すると、公開中の“What We Do (Feat. Rider Shafiq, P Money, D Double E & Daley)”、“Coming Home (Feat. Kojey Radical)”、“Reach The Stars (Feat. Andrew Ashong)”の3曲がいち早くダウンロードできる。

label: Brownswood / Beat Records
artist: Swindle
title: No More Normal

国内盤CD BRC-588 ¥2,400
ボーナストラック追加収録/解説書封入

[ご予約はこちら]
Beatink:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10006
Tower Records: https://bit.ly/2QC4P5a
HMV: https://bit.ly/2AI7vUI
Amazon: https://amzn.asia/d/33HCCXy
iTunes: https://apple.co/2zDqZtQ
Apple Music: https://apple.co/2KNl8Xf

Blood Orange - ele-king

 なるほどジョーダン・ピール監督の『ゲット・アウト』は、ブラック・ライヴス・マター時代において黒人たちが抱く恐怖だけでなくディプレッションについて言及しているという点でも現代性を持ち合わせていたのかもしれない。ということに思い至ったのは、ブラッド・オレンジの4枚めとなる『ニグロ・スワン』のテーマが「ブラック・ディプレッション」であると読んだからだ。『ゲット・アウト』では白人たちはすべて凶悪な存在であるいっぽうで、黒人同士の分断も仄めかされていた。立ち向かうための連帯も容易にはいかないのだと。だが、憂鬱や得体のしれない恐怖感というフィーリングでは繋がることができる……。現在ブラッド・オレンジを名乗るデヴ・ハインズもまた、ブラック・コミュニティに対してそのような認識を抱いているのだろうか。
 しかしながら、もちろん『ニグロ・スワン』が生み出す感覚は『ゲット・アウト』の恐怖ではない。どこまでも優しく、甘く、柔らかいチルなヴァイブ……。

 何かが劇的に変わったということはない。70年代のニュー・ソウルや80年代のエレクトロ・ファンクを21世紀のインディ・ポップのもとでアップデートするオルタナティヴR&Bであり、メロウなモダン・ソウルだ。16曲50分ほどのボリュームだが、劇的な緩急をつけずにあくまでなだらかに進行していく。やや増したジャズの要素が洗練味を与えてもいるが、手打ち感のあるドラム・マシーンによる線の細いビートや少ないレイヤーのシンセ・サウンドはベッドルーム・ポップとの繋がりをしっかりと保っている。先行して発表された“Charcoal Baby”がドリーム・ポップの幻影を巧みに作り上げるポーチズのアーロン・メインとの共作だというところにもよく表れているが、ブラッド・オレンジの「ブラック・ミュージック」はタフでパワフルなファンク・セッションではなく、DIYによって支えられたフラジャイルなパーソナル・ポップであり続ける。その弱々しさこそが彼のアイデンティティだと示すように。
 アルバムは雑踏のサンプリングで幕を開け、エレクトリック・ピアノがゆっくりとビタースウィートなファンクを導いてくる。その曲、“Orland”でハインズは10代のときに女子の格好をしていたことで暴行を受けた経験を歌う。穏やかなファルセットで……「ファースト・キスは床だった」。ピッチシフトされるバックグラウンドのシンセが奇妙な浮遊感を醸すダウンテンポ・チューン“Dagenham Dream”ではその事件の犯人が黒人の少年たちだったことが背景となっているそうだが、ここでハインズはクィアであった自分はブラックのなかでもより被差別の立場であったことを明示する。だがそれを糾弾しているわけではない。その痛ましい記憶が現在の自分を作っているのであり、そして逆説的に、そのことでこそブラック・コミュニティの一部であれるのだという。アルバムではヘテロセクシズムとともにレイシズムにつていも何度も言及されていて、そうしたものに対するトラウマあるいはディプレッションでこそ自分たちは共感し合うことができると示される。パフ・ダディやエイサップ・ロッキーといった「男性的な」ゲスト陣もここでは、ジェンダーレスな、あるいはジェンダー・フルイド的なブラッド・オレンジの世界に柔らかく迎え入れられる。清潔なピアノの打音とテイ・シの美麗なコーラスに包まれながら、そしてパフ・ダディは言う。「お前がやって来るときは、希望を持ってきてくれ」。曲のタイトルは、“Hope”。デヴ・ハインズは近年のメジャーなブラック・ミュージック・シーンにフランク・オーシャンとともにクィアな価値観を持ちこんだ立役者であり、『ニグロ・スワン』ではここ数年の止まらないそうした流れこそが「希望」であると宣言するかのようだ。
 そもそもアフリカ移民の両親のもとロンドンで育ち、ニュー・レイヴやチェンバー・ポップを通過してきたハインズはアメリカのブラック・ミュージック・シーンにおいて圧倒的によそ者であったはずだ。だが、ブラッド・オレンジではよそ者の意味を反転させることで、ブラック・コミュニティの融和を実現しようとしているのである。単純な僕はそれを愛と呼んでしまう誘惑にかられそうになっているが、ブラッド・オレンジのある種の政治性を孕む歌たちはそれでもラヴ・ソングであると思う。ここではそれぞれ立場の違う彼らや彼女らが悲しい記憶でこそ繋がり、そして、可能な限りの思いやりでその痛みを和らげようとしているからだ。
 アルバムではマイノリティのなかのマイノリティであるトランスジェンダーのアクティヴィスト、ジャネット・モックのスポークン・ワードに重要なポジションが与えられている。彼女はムーディなサックスの調べで告げる――「何が“家族”であるか問われれば、わたしはコミュニティが“家族”なのだと思う。あなた自身を縮めてしまう必要のないスペース、何かの振りをしたり、演じたりする必要のないスペースのことだと思う」。わたしはあなたのニグロではない。そうした多層的な声たちがここではそっと重ねられて、誰もが安らぎを覚えるダンス・チューンに変身している。

U_Know - ele-king

 2016年の『Word Of Words』が話題となったコンビ、福岡のビートメイカー=Olive Oil と、BLAHRMY の一員でもある藤沢のMC=Miles Word によるユニット、U_Know が再始動! 去る11月21日にニュー・アルバム『BELL』をリリースしたばかりの彼らだが、昨日新たに収録曲“In A Row”のMVが公開されている。映像を手がけたのはもちろん Popy Oil。まだ聴いていない方は要チェック。

U_Know [Olive Oil × Miles Word] - BELL

あの奇跡のコラボレーションはまだ序章に過ぎなかった……
Olive Oil × Miles Word [BLAHRMY] 再び!!!

2016年11月に発表された Olive Oil と Miles Word のジョイント・アルバム『Word Of Words』。福岡と藤沢、音楽が繋げた数奇な出会いは、このアルバムを聞けば必然であったことは疑いの余地がなかった。あれから2年、Olive Oil は全国でのライヴはもちろん、5lack や Wapper とのジョイント・アルバムなど、止まらずに楽曲を世に送り出し、Miles Word は仙人掌、I-DeA のアルバム他、ソロ、そして SHEEF THE 3RD との BLAHRMY として、ライヴ、客演などでその存在感を高めてきた。そんな、前作発表時よりもさらに進化した2人が帰ってきた。先行シングル的に夏に MV が解禁、7インチで限定発売(ジャケも最高◎)された、哀愁あるホーンと変則的なドラムが鳴り響くビートと、三拍子すらも、江ノ島の波の如くさらりと乗りこなすラップが極上だった“Sunny”をはじめ、前作を経たことでよりぶつかりながら融合するビートとライムは極上。いまだにある場所に安住せずに数々の挑戦と実験を繰り返して進み続けるふたりの新たな挑戦であり提示だ、しかと受け止めてほしい。

ARTIST : U_Know [Olive Oil × Miles Word] (オリーヴオイル × マイルス・ワード)
TITLE : BELL (ベル)
LABEL : DLiP Records × OILWORKS Rec.
発売日 : 2018年11月21日(水)
CAT NO. : DLIL-0008
FORMAT : CD (デジパック) / DIGITAL
税抜価格 : 2,500円 / TBC
バーコード : 4526180463832

収録曲
01. Sonnnatoko
02. XX
03. Free Jazzz
04. Sunny
05. BACK AGAIN
06. オドラニャ
07. Nice
08. Stylee
09. ONEDAY
10. In A Row
11. Guess What
12. A SHIT A
13. マタフユ -Winter Again-
14. Midnight
15. Bell Remixx feat. DLiP

All Tracks Produced by Olive Oil
Mixed & Mastered by NOAH

■U_Know [Olive Oil × Miles Word] (ユーノー[オリーヴオイル × マイルス・ワード])
福岡(FKC)を拠点に活動する Olive Oil (OILWORKS Rec.)と湘南・藤沢(Moss Village)を拠点に活動する Miles Word (DLiP Records/BLAHRMY)によるユニット。2016年に発表したアルバム『Word Of Words』から2年、再び動き出す。

Mr Twin Sister - ele-king

 逃げたい。そう思うことは何も間違っていない。いや、というよりむしろそう思ったのなら一目散に逃げ出してしまったほうがいい。でも、なぜか、みんな、逃げない。
 ポピュラー・ミュージックにはある種の逃避性が具わっている。それは、目の前のつらい現実から遠く離れて浮遊しているかのような錯覚を引き起こす音響上の効果のことで、そういったサウンドに耽溺しているリスナーにたいしてはしばしば「現実逃避だ」とのそしりが寄せられるけれど、そのような非難の声は間違っている。なぜなら、音楽を聴いてもけっして現実から逃避などできないのだから。
 心地よく快適な音に身を浸したリスナーはまず間違いなく翌朝、いつもどおり会社なり学校なりに赴きいつもどおり自らのタスクをこなすことだろう。もちろんなかにはめんどくさくなって一日二日休んだりする人もいるかもしれないが、そのままどこかの山奥なり海底なり北国なり南国なりを目指して逃げて逃げて逃げて、ひたすら逃げて、そのまま二度ともとの生活に戻らないような人間はそうそういない。すくなくとも現行の秩序下で流通している音楽は、それがどれほど逃避を促す響きを有していようとも、じっさいに人を逃避させることはない。それはどこまでもリスナーをつらい現実へと引きとどめる。ようは一時的に気分を紛らわせる嗜好品とおなじで、音楽もまた資本主義社会があらかじめ用意しているあめ玉のひとつなのである。
 それでも。たとえ一時的であったとしても。音楽が私たちをつらい現実のくびきから解き放ってくれるのなら、それはとても素晴らしいことじゃないか――かつてチルウェイヴやドリーム・ポップをドライヴさせていたのは、そのような動機だったのではないか。

 トゥイン・シスターは引きこもりというわけではないが、そんな10年代初頭のムーヴメントとリンクするかたちで頭角を現してきたバンドである。にもかかわらず彼らはセカンド・アルバムにおいて、その文脈から距離をとることを願うかのようにテクノを導入し、作風(と名義)を変えてみせた。そして彼らはこのたびリリースされたサード・アルバムにおいてもまた、いくらか作風を変えている。
 今回とくに目立つのは、ジャズとファンクの要素だ。それはエリック・カルドナのサックスが夜のムードを演出する“Alien FM”や、ぶりっとしたベースが絶妙なグルーヴを生み出す“Tops And Bottoms”によく表れているが、加えてもうひとつ、“Taste In Movies”や“Jaipur”に見事に昇華されているように、ダブもまた本作の大きな特徴だろう。アンドレア・エステラのルーツを表現するためにスペイン語で歌われる“Deseo”においてそれは、ダブ・テクノとして実を結んでいる。いやはや、なんとも完成度は高い。

 興味深いのは、それらジャジーだったりファンキーだったり機能的だったりする曲たちが、昂揚や夢見心地なムードからは距離を置いているところだ。このどこか覚めた感じ、よそよそしい感じはいったい何に由来しているのだろう。
 中盤の“Buy To Return”では「返品するために買う」という消費をテーマにしたと思われるリリックが登場するが、歌詞のうえでより決定的なのは最後の“Set Me Free”だろう。「死ねば平穏になれるだろうか/それでも私の一部は泣き続けるだろうか?/べつの終わりを待っている」と歌われる同曲は、現代社会の出口のなさを表現しているとしか思えない。どれだけ逃げたつもりになっても、私たちはつねに囲いこまれている。「セット・ミー・フリー」という悲痛なフレーズが、霧がかったダブの彼方へとむなしく消えていく。
 この最終曲へとたどり着いたとき、本作のアートワークもまた強烈な意味をともなって私たちのもとへと迫ってくる。ジャケに掲げられたどこか悲しげなマリオネットは、エステラが手ずから制作したものだそうだけど、この構図を見るとオーディオ・アクティヴの『SPACED DOLLS』を思い出さずにはいられない。逃げたつもりでいても、手綱はしっかりと握られている――そのような逃避の不可能性こそが、本作を昂揚やハピネスから遠ざけているのではないか。

 もはやチルウェイヴやドリーム・ポップといったタームとはほとんど縁のないサウンドへと到達したミスター・トゥイン・シスター、彼らが前作で名を改め、段階を踏んでサウンドを変容させていったのは、現実逃避が現実逃避にならないこと、むしろ一時的な現実逃避こそが現実への隷属をより強固にすることに気がついたからなのではないか。
 子どもの頃は『デ・ジ・キャラット』がお気に入りだったというアンドレア・エステラ、高畑勲が亡くなった際には「あなたの暗闇のおかげで私は自分の暗闇を乗り切ることができた」と意味深な言い回しで追悼の辞を述べていた彼女は、他方で何度かインスタに綾波を滑り込ませていることから察するに、少なくとも一度は碇少年の「逃げちゃダメだ」という言葉の意味をかみ締めたことがあるにちがいない。それが社会の要請の強烈な内面化であること、そこから逃れようとしても逃れられないこと、資本主義に外部など存在しないということ、音楽がときに私たちをそのようなつらい現実へとつきかえす門番でもありうること――つまりは、山奥なり海底なり北国なり南国なりを目指して逃げて逃げて逃げて、ひたすら逃げて、そのまま二度ともとの生活に戻らないなんてことがどうしようもなく不可能であること、彼らがドリーミーなムードと手を切ったのは、そういった絶望を真摯に受け止めるためではないだろうか。

Kode9 - ele-king

 名ミックスCDシリーズ「Fabric」の最終作をベリアルとともに担当して話題をかっさらったばかりのコード9が、なんと、年末に来日ツアーを敢行するとの情報が飛び込んでまいりました。昨年は日本のゲーム音楽にフォーカスしたコンピ『Diggin In The Carts』のリリース記念イベントのために来日していたコード9ですが、今回の12月29日の東京公演@CIRCUS TOKYOでは3時間のロング・セットを披露予定とのこと。12月30日の大阪公演@クリエイティブセンター大阪では《THE STAR FESTIVAL 2018 CLOSING》パーティに出演、そちらは Cassy、D.J.FULLTONO の追加出演も決定しています。年末年始へ向けてすでにさまざまなイベントの情報が出てきていますが、これまた見逃し厳禁な案件です!

〈Hyperdub〉のボス、KODE 9が年の瀬Asia tourを敢行!!

【東京公演】
TITLE: KODE 9 ASIA TOUR in TOKYO
DATE: 2018.12.29 (SAT)
OPEN: 23:00

LINE UP:
KODE9 (Hyperdub / UK) -3hours set-
Romy Mays (解体新書 / N.O.S.)
and more...

ADV: ¥2,500
DOOR: ¥3,000

プレイガイド:
【ローソンチケット: L-CODE (75574) / イープラス: https://eplus.jp / Peatix: https://hyperdubkode9.peatix.com/ / RA: https://jp.residentadvisor.net/events/1193428

VENUE: CIRCUS TOKYO
〒150-0002
東京都渋谷区渋谷3-26-16
03-6419-7520
https://www.circus-tokyo.jp

【大阪公演】
TITLE: THE STAR FESTIVAL 2018 CLOSING
DATE: 2018.12.30 (SUN)
OPEN: 21:00~ ALL NIGHT

LINE UP:
Peter Van Hoesen (Time to express / Berlin)
Metrik (Hospital Records / UK)
Cassy (Kwench / UK) -NEW-
Kode9 (Hyperdub / UK) -NEW-
yahyel
EYヨ (Boredoms)
AOKI takamasa -live set-
BO NINGEN
環ROY
SEIHO -live set-
Tohji (and Mall Boyz)
D.J.FULLTONO -NEW-
YUMY

VJ: KOZEE
LIGHTING: SOLA

OPEN AIR BOOTH:
YASUHISA / KUNIMITSU / MONASHEE / KEIBUERGER / AKNL / MITSUYAS / DJ KENZ1 / 81BLEND / GT

ADV: ¥3,500
DOOR: ¥4,000
GROUP TICKET (4枚組): ¥12,000 (別途1ドリンク代金¥600必要)

プレイガイド:
【チケットぴあ: P-CODE (133-585) / ローソンチケット: L-CODE (54171) / イープラス https://eplus.jp / Peatix: https://tsfclosing.peatix.com/

VENUE: Creative center osaka (Studio partita & Black chamber & Red frame)
〒559-0011
大阪市住之江区北加賀屋4-1-55 名村造船旧大阪工場跡
06-4702-7085
https://www.namura.cc/

TOTAL INFO:
https://thestarfestival.com/

KODE9 (コードナイン)
コードナインは、ブリアルや、今は亡きDJ ラシャド、ほか多くのアーティストが所属するレーベルとして有名な〈ハイパーダブ〉の主宰者である。自身のレーベルからは、ザ・スペースエイプと共同で2枚のアルバム、10枚以上のシングルをリリースしており、さらに〈K7〉、〈リンス〉、〈オンユー・サウンド〉、〈ワープ〉、〈ドミノ〉、〈ゴーストリー〉、〈テンパ〉、〈リフレックス〉などのレーベルからもリリース、リミックス、DJコンピレーションを手掛けてきた。ヨーロッパ全域、北アメリカ、アジアなど広範囲においてDJをしてきた彼は、《ソナー》、《コアチェラ》、《グラストンベリー》、《ミューテック》、《アンサウンド》といった最先端のエレクトロニック・フェスティバルでパフォーマンスを披露。去年の夏、コードナインは最新EP「キリング・シーズン」を、2014 年に他界したザ・スペースエイプとともにリリースした。本名のスティーヴ・グッドマン名義では、2010 年に、著書『ソニック・ワーフェア』をMITプレスから出版。人工頭脳文化研究団(CCRU)の一員であった彼は、AUDINTという音波研究組織の一員でもあり、(トビー・ヘイズとともに)、北アメリカとヨーロッパでインスタレーションを作成し、2014 年には、「マーシャル・ホントロジー」プロジェクト(本/レコード/印刷物)を発表している。2015年にはともに制作をしてきたスペースエイプ、DJラシャドを失った喪失感から制作に取り組んだというソロ名義でのファースト・アルバム『ナッシング』をリリースした。そして、2018年にはコード9とブリアルが〈Fabric〉のミックス・シリーズ最終章に登場し大きな話題となった。
https://www.hyperdub.net/

▶〈Hyperdub〉を主宰するKODE 9と、レーベルを代表するアーティスト、BurialがミックスCDシリーズの頂点たるFABRICシリーズの最終章に登場!
Fabriclive 100 "Kode9 & Burial"
https://www.fabriclondon.com/store/FABRICLIVE-100-vinyl.html

BES & ISSUGI - ele-king

 今年2月に話題のジョイント・アルバム『VIRIDIAN SHOOT』を発表したBES & ISSUGI。なんと、同作のリミックス盤『VIRIDIAN SHOOT - Remix & Instrumentals』が12月26日にリリースされます。『VIRIDIAN SHOOT』収録曲のリミックスやインストゥルメンタルはもちろん、GWOP SULLIVANがトラックを手がけた新録音源“HONEY”まで収録されるとのこと。『VIRIDIAN SHOOT』の新たな魅力が浮かび上がる1枚に仕上がっている模様です。

BESとISSUGIによるクラシック確定なジョイント・アルバム『VIRIDIAN SHOOT』収録曲のリミックスとインストに新曲も加えたスペシャルなエディションがリリース決定!

◆ SWANKY SWIPE / SCARSとしての活動でも知られる国内ヒップホップ・シーンでもっともドープなラッパー、BES。MONJU / SICK TEAM のラッパーとしても活動し、16FLIP の名でビートメーカーとしても類稀なるセンスを発揮するなどシーン内外で圧倒的な存在感を放っているラッパー、ISSUGI。ともにリスペクトし合うこの両者が手を組み、今年2月にリリースしたジョイント・アルバム『VIRIDIAN SHOOT』!
◆ 5月には東京・池袋BEDでCARHARTT WIPのサポートによるリリース・パーティを開催し、そのダイジェスト映像を OLLIE MAGAZINE とのコラボレーションで YouTube にて公開。アルバムリリース後、全国約20箇所にも及ぶライブツアーを周る中、8月にはリリース・パーティを福岡でも開催し、また Skateboader/Videographer の森田貴宏氏(FESN)とのスケートボードとヒップホップの化学反応を映し出した Redbull 企画によるジョイント・ムービーの制作等、それぞれのソロ活動として並行し、BES & ISSUGI としての活動も継続している最中、新たなるプロジェクトのリリースが決定!
◆ 今作は『VIRIDIAN SHOOT』収録楽曲のリミックスと前作と今作から選んだインストゥルメンタル、さらにGWOP SULLIVAN による BES & ISSUGI としての新録音源も加えてパッケージしたスペシャルなエディション! リミキサーには、DEVIN MORRISON、GWOP SULLIVAN、16FLIP、GRADIS NICE、DJ SCRATCH NICE が参加。『VIRIDIAN SHOOT』同様にマスターピースとなる事は確実!

[アルバム情報]
アーティスト: BES & ISSUGI (ベス&イスギ)
タイトル: VIRIDIAN SHOOT - Remix & Instrumentals (ヴィリジアン・シュート - リミックス&インストゥルメンタルズ)
レーベル: P-VINE / Dogear Records
品番: PCD-25269
発売日: 2018年12月26日(水)
税抜販売価格: 2,500円

[トラックリスト]
01. 247 - 16FLIP REMIX
02. NO PAIN MO GAIN - GRADIS NICE REMIX
03. NO PAIN MO GAIN - GRADIS NICE REMIX2
04. HONEY / Prod by GWOP SULLIVAN
05. BIL feat. MICHINO - GWOP SULLIVAN REMIX
06. RULES - 16FLIP REMIX
07. HIGHEST feat. 仙人掌, Mr.PUG - DEVIN MORRISON REMIX
08. BOOM BAP - DJ SCRATCH NICE & 16FLIP REMIX
09. 247 - 16FLIP INSTRUMENTAL
10. HIGHEST - GWOP SULLIVAN INSTRUMENTAL
11. RULES - 16FLIP INSTRUMENTAL
12. HIGHEST - DEVIN MORRISON INSTRUMENTAL
13. BOOM BAP - DJ SCRATCH NICE INSTRUMENTAL
14. WE SHINE - GRADIS NICE INSTRUMENTAL
15. BOOM BAP - DJ SCRATCH NICE & 16FLIP INSTRUMENTAL

*BES & ISSUGI - BOOM BAP (BLACK FILE exclusive MV “NEIGHBORHOOD”)
https://youtu.be/BWZTCfCvhYo

*BES & ISSUGI “RULES” (Official Video)
https://youtu.be/HDdNxzvk_RA

[BES & ISSUGI - Profile]
SWANKY SWIPE / SCARS としての活動でも知られ、SCARS『THE ALBUM』(06年)、SWANKY SWIPE『Bunks Marmalade』(06年)、ファースト・ソロ・アルバム『REBUILD』(08年)といったクラシック作品をリリースし、人気/評価を不動のものとしたラッパー、BES(ベス)。〈DOGEAR RECORDS〉に所属し、MONJU / SICK TEAM / DOWN NORTH CAMPのメンバーとして、そしてソロ・アーティストとしてこれまでに膨大な音源をリリースしてきたISSUGI(イスギ)。今年リリースした『VIRIDIAN SHOOT』以降もお互いにソロ・アルバムを1枚ずつリリース。2人のフロウは今日も水のように流れる。

Renick Bell - ele-king

 つい5年前は本当にベース・ミュージックがブームだったのかと思うほど、最近はベースの存在感がない。ウエイトレスやアフロビートはパーカッションやドラムが曲を推進していくし、食品まつりもジュークからベースを抜いてしまった。OPNに至っては「窓が割れるから」という意味不明な理由でベースを遠ざけている。もちろんドラムン・ベースがダンスホールを取り込み、サンダーキャットも超絶技巧でクラブ・ジャズの改良には余念がない。しかし、パブリック・エナミーが「ベース!」と叫んで30年、ついにあのマジック・ワードがクラブ・ミュージック全体を覆うことはなくなり、必ずしも相撲界が貴乃花を必要としない事態と同じことになっている。ヒトラーが演説するときは土のなかに埋めたスピーカーから低音を出していたように、低音は共同体意識を増強させるものだと言われてきた。ということはクラブ・ミュージックと共同体意識はとっくに乖離し、SNSで結びついた村がたくさん集まったもの(=それは90年代に流行った島宇宙論を踏襲する構造)にクラブ・ミュージックも等しくなったということだろう。フロアでSNSを見ている人は多い。5年前のベース・ミュージックは最後のあがきだったのかもしれないし、孤独を誤魔化すためのニュー・エイジがマルチカルチャリズムを否定し、共同体意識のイミテーションづくりに邁進している現状にも合点が行く。EDMの合言葉はちなみに「フューチャー・ベース」である(大笑い)。
 ベースレスのトレンドを決定づけたのはアルカだろう。彼のデビュー作『ゼン』(13)はインダストリアル・リヴァイヴァルを洗練させ、刺々しい感触だけを残して下部構造を捨ててしまったことでステータスをなした。これが様式性として反復・強化され、レイビットやロティックに至る過程はここ数年の白眉だったといっていい。たいていはハードにするか、グラマラスに盛り付けるかで、オリジナルを超えた気分を味わえた。しかし、その本質はファッションであり、それに耐えうるだけのものをアルカは用意していたといえる。「死」を内包したファッションほど強いものはない。ジョイ・ディヴィジョンしかり、ドレクシアしかり。『ゼン』はそうした古典のひとつに数えられる作品になるだろう。

 テキサス出身で多摩美を出てから東京で教師をしているというレニック・ベルによる今年、2枚目のアルバム『ターニング・ポインツ』はベースレスの流れにあって、どこかアルカの様式性に反旗を翻し、ベース・ミュージックが持っていたヴァイブレーションへの回帰を促そうと、必要以上にもがき苦しんでいる印象を残す。パーカッションを多用し、曲が進むにつれてビートの叩き方はだんだんとマイク・パラディナスのような暴走状態となり、かえって淀んだ空気を引き立てている。作曲方法はプログラムとインプロヴィゼーションとオープン・ソースを使った自動作曲を混ぜ合わせたアルゴレイヴと呼ばれるもので、ライヴでは二度と同じことが繰り返されないことが特徴だという。そのようにして出来上がったサウンドがオウテカと比較されるのもなるほどで、それはファッションの外側に抜け出したいという衝動を意味しているのだろう、そのような葛藤を共有できるレーベルはむしろ〈パン〉ではないのかと思うけれど、『ターニング・ポインツ』はアイワやジェイ・グラス・ダブスをリリースしてきたカセット・レーベル〈シーグレイヴ(海の墓場)〉からとなった(デビュー・シングルはリー・ギャンブルの〈UIQ〉、デビュー・アルバムはレイビット主催の〈ハルシオン・ヴェイル〉から)。この、痒い所に手が届かないもどかしさは近い将来、何かを生み出すのではないかという予感に満ち、どこか先が読めてしまうアルカ・フォロワーよりも僕には新鮮だし、未完成の魅力がこれでもかと詰まっている。テクニックが向上したら面白くなくなってしまうという可能性もはらんではいるものの、だとしたら、楽しめるのはいまだとも言えるし(ウェルメイドしか聴かないという人には、だからオススメしませんけれど)、“ Splitting”によるビートの躓き具合なんて、期せずしてJ・ディラを乗り越えているとも言える(多分、違うと思うけど)。3月にリリースされた1作目の『ウェイリー(用心深い)』ではまだここまでパーカッションがボカスカ打ち鳴らされることはなかった。ベースで曲を転がすのではなく、パーカッションやドラムでグルーヴを生み出そうとした結果、このようなフリーク・ビートが導き出されることになったのだろう。この先どっちに向かうのかは見当もつかないけれど(自分で『ターニング・ポインツ』といっているぐらいだし)、いい意味で洗練されていけばいいなと思う。

 アルゴレイヴについて詳しくは→https://www.renickbell.net/doku.php?id=about


Marie Davidson - ele-king

 労働者階級の女──タイトルからして、未聴の人には政治的な音楽なんじゃないかという先入観を与えるかもしれないが、マリー・デヴィッドソンのこのアルバムが良いのは、ファンキーであること。ユーモラスであること。まずはこれに尽きる。そして型にはまらない表現であること。100%クラブ・ミュージックでありテクノではあるが、デヴィッドソンは詩の朗読や歌、言葉によってリスナーやダンサーの感覚を容赦なく刺激する。たとえばそれはディーヴォやB52'sで笑ったときのような感覚。そう、皮肉が効いているのだ。
 アルバムは、ぶっ飛んでいるクラバーをいじくりまくるかのような“Your Biggest Fan”からはじまる。自分を嘲笑し、セックスを笑い、ドラッグを笑い、笑いながら挑発する。で、これに続く“Work It”は最高の曲のひとつ。「I work, All the fucking time, From Monday to Friday, Friday to Sunday......」。ドライで、シャキッとしたリズム。ちょっと『ベルリン・トラックス』時代の石野卓球を思い出すようなトラックをバックに彼女は喋りまくる。自分の毎日そのものがロボット化している/オートマティックになっているということを描いているようだ。モントリオールで活動しているデヴィッドソンだが、ベルリンに住んでいたこともあるそうで、その影響がアルバムの随所に反映されているのだろう。
 深いアシッド・サウンドをバックに、患者と医師との会話が展開される“The Psychologist(精神科医)”もドラッグ体験をギャグにしているんじゃないかと思う。笑い声、わめき声は、言うなればアシッド・ハウスの先駆的作品、スリージー・Dの“I've Lost Control”からフューチャーの“Acid Tracks”、ないしはバム・バムの“Where's Your Child?”のような曲における精神錯乱というテーマをパロディにしているかのようだ。
 んで、他方ではドレクシア流のダーク・エレクトロの“Lara”もあり、あるいはAFX流のクレイジーなエレクトロの“Workaholic Paranoid Bitch”のようなトラックもある(後者においてはニナ・クラヴィッツによるリミックスもあり、そのヴァージョンも最高!)。ぼくは“So Right”という曲も大好きで、これはもう、フランキー・ナックルズ/ジェイミー・プリンシプルによる官能的な“Baby, Want to Ride”へのオマージュじゃないかと勝手に妄想している。
 言葉が強いということもあってかインスト版のアルバムもある。たしかにサウンドだけでも充分トランスできる完成度の高いダンス・アルバムなのだけれど、彼女の含みのある言葉の数々が『労働者階級の女』を特別な作品にしていることは間違いない。年間ベスト・アルバムの1枚です。 

I-LP-ON - ele-king

 パン・ソニックの強靭/強力なノイズとビートの波動がここに復活した。これこそパン・ソニックの新作と読んでも差し支えないのではないか……。
 パン・ソニックのイルポ・ヴァイサネン が〈エディションズ・メゴ〉よりリリースした I-LP-ON 名義の『ÄÄNET』を聴くと、思わずそんな大袈裟な断言(放言)をしてしまいたくもなる。つまり電子音響の傑作なのだ。
 いや、じっさいレーベル・インフォメーションによって、2000年におこなわれたパン・ソニックのツアー(クオピオ、バルセロナ、カルチュラ)で録音された音素材を使っていることが明言されているのだから、あながち誇大妄想ともいえない。
 イルポ・ヴァイサネンは過去素材を用いながらも、「より抽象的なアヴァンギャルドな傾向を持ったクラブの美学を取り入れて、実験的なエレクトロニック・ミュージックとして再定義」し、新しいサウンドを作り上げた。過去と現在をリミックスし、リコンポジションしたわけである。2017年にこの世を去った盟友ミカ・ヴァイニオの追悼アルバムとしての意味合いも強いのかもしれない。

 アルバムには全12曲が収録されていて、マシンビートからドローン、そしてノイズが交錯するトラックを存分に満喫することができる。収録曲数は違うもののパン・ソニックが2004年にリリースしたCD 4枚組のアルバム『Kesto』に近いムードだ。サウンドのヴァリエーションが豊かで、その音楽/音響から得られるインスピレーションが多様な点が共通している。ちなみにアルバム名『ÄÄNET』はフィンランド語で「SOUNDS」という意味らしい。

 そしてさらに思い出すアルバムが2作品ある。まず、2016年にリリースされ、パン・ソニックのラスト・アルバムとされていたサウンドトラック・アルバム『Atomin Paluu』だ。『Atomin Paluu』は、ミカ・ヴァイニオがまとめあげたアルバムである。対して本作『ÄÄNET』はイルポ・ヴァイサネンによってパン・ソニックの2000年のライヴ音源を用いて制作されたアルバムだ。この二作の成り立ちはどこか似ている。終わってしまったパン・ソニックというユニットへの追悼とでもいうかのように。
 追悼という意味からディルク・ドレッセルハウス(シュナイダーTM)とイルポ・ヴァイサネンのユニット die ANGEL の2017年作品『Entropien I』も挙げられる。『Entropien I』は、制作中にミカが亡くなってしまったことで、結果としてミカ・ヴァイニオ追悼アルバムになったとはいえ、制作自体はミカの存命時からおこなわれていた。となれば、この『ÄÄNET』こそ、ミカの死を受けて、その盟友(の記憶)と共に最後に共に創り上げた作品になるのではないか。
 じじつ、1曲め“SYRJÄYTYVÄ”、2曲め“RAAVITTUA KROKODILIÄ”、3曲め“TURUN SATTUMA”などの冒頭3曲からして、極めてパン・ソニック的なマシン/パルス・ビート的なトラックを展開しているのだ。
 同時に、そこかしこにイルポ・ヴァイサネンのプロジェクト I-LP-O In Dub のようなダブな音響を展開している点にも注目したい。例えば“TURUN SATTUMA”後半のダビィな展開を経て、環境音とノイズが深いリヴァーブの中で融解するような4曲め“MUISTOISSA 1, 2, 3”などはほぼノンビートのサウンドのなか、ダブと環境音が融解するようなサウンドが生成されるなど、まさに近年のイルポ的音響といえる。続く5曲め“POBLE DUB”も雨のようなノイズとさまざまな具体音が響き合うトラックである(個人的にはこの3曲が本作の特徴を表している重要なトラックに思えた)。59秒の短いインタールード的“ALUSSA”から“SEATTLE 1”、“SAN FRANCISCO KESKUSTELU”への展開も、ビートから環境音による音響へといった具合に、記憶を逆回転するように展開していく。
 アルバムはパン・ソニック的なトラックとイルポ的マシン・ダブのサウンドを交錯させつつ進行し、ラスト曲“MANAT”では、2010年リリース作『Gravitoni』の最後に収録された“Pan Finale”の終局のようにピュアな電子音の持続音の持続で幕を閉じる。『Gravitoni』は彼らの実質上のラスト・アルバムであり、となるとこれはやはり意図した符号に思えてならない。イルポは本作においてパン・ソニックの終わりを意図しているのはないか。

 それにしても、生前のミカ・ヴァイニオも、彼の没後のイルポ・ヴァイサネンも、ともにパン・ソニックというユニット=存在のまわりを周回している。これはいったいどういうことか。
 端的にいってユニットやバンドというものは、終わりという概念を超越している。50年ほどが経ってもビートルズは未発表音源やリミックスがリリースされ続けているし、YMOも活動開始から40年が経過してもなお新しいコンピレーション・アルバムが新作のような新鮮さを纏ってリリースされる。ユニットやバンドは一度結成し、リスナーから認知されれば、永遠の存在となる。メンバー個人を超えた存在になってしまうのだ。
 それゆえパン・ソニックもまた終わることはないのかもしれない。もちろんミカ・ヴァイニオはもうこの世にはいない。イルポ・ヴァイサネンは、ひとりではこのユニット名を名乗ることはないだろう。パン・ソニックというユニットは実体的には終わった。だが、しかし、その音は、ノイズは、ビートは、反復は、持続は、いまだ生々しく耳の奥に、身体に、空間に、残存している。音楽家の身体がこの世から消えても、彼が発した音の記憶はいまだ蠢いている。
 「パン・ソニックの生涯からインスピレーションを受けた」という、I-LP-ON『ÄÄNET』を聴き、そんな思いを持ってしまった。そもそも追悼とは新たな始まりの儀式でもあるはずだ。

Fit Siegel Japan Tour 2018 - ele-king

 フィット・シーゲルは、21世紀のデトロイトのアンダーグラウンドの主要人物のひとり、オマーSの〈FXHE〉から登場し、DJ Sotofettとのコラボレーション作品でいちやく脚光を浴びたDJ/プロデューサー。12月に初来日が決定した。
 we must go there!

■Fit Siegel Japan Tour 2018
12.15 (SAT) 東京 Nakameguro Solfa
- Fit Siegel Japan Tour 2018 supported by bamboo -

ROOM 1
FIT SIEGEL (FIT Sound/FXHE)
COMPUMA
KABUTO (DAZE OF PHAZE/LAIR)
U-T (bamboo)
FAT PEACE (bamboo)

ROOM 2
Wataru Sakuraba
DJ Razz
DAIZEN (LAMERACT)
kenjamode (Mo’House)
Takuya Honda
bungo

Open 21:00
Door 3000yen / With Flyer 2500yen / Entry Before 11PM 2000yen

Info: solfa https://www.nakameguro-solfa.com
東京都目黒区青葉台1-20-5 oak build.B1F TEL 03-6231-9051

自身の主宰するレーベルFit Sound、ディストリビューション会社”Fit Distribution”を運営し現在のデトロイトのミュージックシーンを根底から支えるFIT SIGELが来日。2012年にOmar Sのレーベル、FXHEからのリリースを皮切りに今年度はDJ Sotofettとのプロジェクト、S & M Trading Co.でのリリース、現在のデトロイトアンダーグラウンドの支柱となるアーティストの来日に期待が高まる。競演には、長いキャリアの中で今もなお、日々フレッシュでユニークなジャンルを横断したイマジナリーな音楽世界の探求を続けFit SiegelもNYで氏のMIX CDを購入しラブコールを送るCOMPUMA、自身の主宰するパーティーDAZE OF PHAZEでは世界各地の実力派DJを招聘しながらも、世界のアーティストを相手に全く引けを取らないプレイで日本国内のパーティークオリティを見せ続けるKABUTOを始め、各地で活躍するDJが集結。年の瀬に相応しいスペシャルな一夜となっている。

12.16 (SUN) 大阪 Compufunk Records
- Compufunk Records feat. FIT Siegel -
Guest: FIT Siegel (Fit Sound/FXHE)
MITSUKI (Mole Music)
COTA (NIAGARA)
DJ Compufunk

Open 18:00
Advance 2000yen with 1Drink
Door 2500yen with 1Drink

Info: Compufunk Records https://www.compufunk.com/?mode=f3
大阪市中央区北浜東1-29 北浜ビル2号館2F TEL 06-6314-6541


FIT Siegel (Fit Sound/FXHE)
FIT Siegel(a.k.a FIT)は、デトロイト・アンダーグラウンドの支柱となるべく、静かに立ち上がっている。Underground Resistanceの本部、Submergeの”Mad” Mike Banksから音楽制作を学び、2012年にOmar Sのレーベル、FXHEから『Tonite』でデビュー。
O.m.a.r - S & L'Renee『S.E.X.』のリミックス制作に関わったり、Gunnar WendelことKassem Mosseとのコラボレーション、FIT Featuring Gunnar Wendel『Enter The Fog』をFXHEからリリース。2015年リリース作、FIT Siegel名義でのEP『Carmine』は各方面から高く評価されることとなった。2018年にはDJ Sotofettとのプロジェクト、S & M Trading Co.『Metal Surface Repair』をリリースしている。レーベル"Fit Sound"とディストリビューション会社"Fit Distribution"を運営し、そこにはURやFXHEの持つ猛烈なDIY精神を内在している。
DJとしては、ジャンルレスなアプローチを好み、DiscoやPunk~現在デトロイトで作り出される異例なテクノやハウス・ミュージックを自由に横断する。自身のDJ活動や音楽制作と並行して、レーベルとディストリビューション運営の役目を平衡し、今後もその創造的追求を極めていくだろう。

Facebook https://www.facebook.com/fitofdetroit/
Soundcloud https://soundcloud.com/fit


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