「Nothing」と一致するもの

Yoshinori Hayashi & DJ Today - ele-king

 昨年ノルウェイの良心〈Smalltown Supersound〉からファースト・アルバム『Ambivalence』を発表し、最近どんどん評価を高めているDJの Yoshinori Hayashi。一昨日のマシュー・ハーバートの来日公演でも身体にずしんと響く最高なテクノ・セットを披露してくれた彼が、詳細不明の謎の DJ Today とともにWWWβにてレギュラー・パーティをスタートさせることが決定。その名も《BRAIN MOSS/ノウコケ》。記念すべき第1回となる6月8日の前売り券には、Yoshinori Hayashi の未発表音源CDRも付属するとのこと。売り切れてしまう前にチェック!

BRAIN MOSS/ノウコケ

世界へ躍進する奇才プロデューサー/DJ Yoshinori Hayashi が詳細不明な DJ Today を召喚し、明快オブスキュアなレギュラー・パーティー《BRAIN MOSS/ノウコケ》をWWWβにて始動。前売には Yoshinori Hayashi の未発表音源CDR「Low rec series vol.2」付、合わせてY.Hオリジナル・グッズ、私物レコードなども販売予定。

2015年の〈Going Good〉からの衝撃デビュー作「終端イーピー」、Sotofett のリミックスも収録したEP「The Forgetting Curve」〈JINN Records〉等のリリース等を経て、2017年には Boiler Room に出演、2018年には「Uncountable Set」〈Disco Halal〉、「Harley's Dub」〈Jheri Tracks〉、そしてクラブ・ミュージック・シーンの外からも絶賛された 1st Album 『AMVIBALENCE』と怒涛のリリースで存在感を見せつけた Yoshinori Hayashi が、謎のベールに包まれた DJ Today と共にWWWβにて、レギュラー・パーティー《BRAIN MOSS/ノウコケ》を始動する。初回となる今回はレジデント2名によるオープンラストのセットを披露します。

特典として Yoshinori Hayashi の未発表音源CDR「Low rec series vol.2」を前売チケット購入者にプレゼント。
更にY.Hブランドのオリジナル・グッズや彼らのレコード・コレクションが少量、会場にて販売予定。

BRAIN MOSS / ノウコケ
LINE UP:Yoshinori Hayashi / DJ Today
2019/6/8 sat at WWWβ
OPEN / START 23:00
ADV ¥1,500 @RA + WWW店頭 w/ Yoshinori Hayashi Unreleased Track CDR
DOOR ¥1,500
※ 前売チケットを購入した方にはエントランスにて Yoshinori Hayashi の未発表音源を収録したCDR「Low rec series vol.2」をお渡します。
※ 未成年者の入場不可・要顔写真付きID / You must be 20 or over with Photo ID to enter

詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/011100.php
前売:https://jp.residentadvisor.net/events/1256849

Yoshinori Hayashi (Smalltown Supersound / Going Good)

18歳より独学で音楽制作をスタートさせた林良憲は、2008年に作曲家/ピアニスト/プロデューサーの野澤美香に師事することで、その稀有な才能を花開かせた。2015年、衝撃のデビュー作「終端イーピー」は、探究心旺盛なフリークスのみならず世界中のリスナーを驚かせ、決してフロアライクとは言えない内容ながら Juno plus Best of2015 : Top 50 Singles に於いて6位に選出される。その後も世界中の様々なレーベルから、精力的なリリースを続けることで、彼の音楽は多くの人々を魅了してきた。2018年10月待望のデビュー・アルバム『AMBIVALENCE』をオスロの老舗レーベル〈Smalltown Supersound〉より発売。青山の MANIAC LOVE からスタートしたDJキャリアは15年に及び、House、Techno、Disco、Leftfield を転がるように横断し、時に危ういボーダーさえも往来するプレイ・スタイルは、古典的でありながら実験性に富び、独自のオブスキュアを形成することでダンスフロアに貢献。欧州ツアーや Music Festival への出演を重ね、世界的注目を浴びる今、更なる飛躍が期待されている。音楽的ロジックを最優先する彼の感性は今まさに渇望されている。

https://m.soundcloud.com/yoshinorihayashi13
https://www.facebook.com/yoshinori.hayashi13

DJ TODAY

プログレッシブな展開を構築するスタイルを信条とする。

https://soundcloud.com/s5tzlhappveu/heavy-mix

荒野にて - ele-king

 ひとりの少年が一匹の馬と荒野を歩いている。どこまでもどこまでも……。だがこれは西部劇ではない。現代アメリカの物語だ。
 オルタナティヴ・カントリー・バンドのリッチモンド・フォンテーンのフロントマンでもあったウィリー・ヴローティンの原作小説を、イギリス人監督アンドリュー・ヘイが映画化した『荒野にて』は、いわば現代のアメリカ文学の在りかを探る作品だ。それは社会が見放した場所にあると、この映画は言う。主人公は貧しい暮らしをする15歳の少年で、彼はふとしたことから簡単に現代社会のセーフティネットから滑落してしまう。インヴィジブルな存在の彼(ら)の姿を、カメラだけが捉えうるということだ。

 一見、少年が馬と出会って成長していく昔ながらの物語のようでいて、そうではないというところに本作の立脚点はある。主人公チャーリーは明らかに養育能力がない父親とのふたり暮らしで、学校にも通っていない。あるとき競走馬の世話をする男デルと出会い、仕事を手伝うようになる。そのなかで、若くはない競走馬であるピートに特別な感情を抱き始めるチャーリー。だが同時期に父親が手を出した女の夫に撲殺され、チャーリーは保護者を失ってしまう。そしてもう勝てなくなったピートが売られてしまうと知ると、長い間会っていない叔母に助けを求めるため、ポートランドからワイオミングに向けてひとりで車を走らせる。つまり、これは少年がアイデンティティを探すための通過儀礼としての旅ではまったくなく、ただ庇護を求めるための命懸けの道程なのである。
 貧しさゆえに養育能力のない親は『フロリダ・プロジェクト』でも描かれていたが、現代アメリカのリアルな問題なのだろう。そして本作では、チャーリーを救済するシステムや組織のようなものさえ登場しない。大人も彼を救うことはできない。一瞬、アウトサイダーを演じることに長けたスティーヴ・ブシェミが扮するデルが父親代わりを務めるかに見えるが、彼もまた自分の生活に困窮しているため、その役目を引き受けることもない(できない)。ケン・ローチやアキ・カウリスマキの映画でいつも見られる貧しき者たちが手を取り合うコミュニティのあり方は、あくまで古き良きヨーロッパ的理想主義なのだと本作を見ていると身に染みる。ここでは誰もが生き延びるのに必死で、だからチャーリーも自力で生き延びる術を探さねばならない。スマートフォンにもインターネットにも無縁の彼の行く道は、あまりにも過酷だ。

 アンドリュー・ヘイは前作『さざなみ』で長く寝食をともにした夫がいながらも孤独に直面することになる老いた女性を繊細に描いていたが、21世紀のゲイ映画史に残る傑作『ウィークエンド』でもまた、じつに親密な映像で主人公たちの心の動きを捕まえていた。『荒野にて』においてもチャーリーとピートだけのシーンの叙情性が際立っており、彼らが向き合うときのカメラのふとした切り返しにさえ特別なものが宿っている。良い教育を受けてこなかったためだろう、大人の前ではあまり言葉を持たないチャーリーがピートだけに向けて想いを吐露する場面もまた、か弱い存在への優しい眼差しに貫かれている。その、誰も知らないその瞬間を共有するのが映画であると……ヘイはよくわかっている。そのとき、世界から見捨てられたチャーリーの寄る辺なさ、それでも沸き起こる生への渇望は観客ひとりひとりのものになる。
 そして、ラストで流れるボニー・プリンス・ビリーによるR. ケリーのカヴァー“The World's Greatest”が立ち上げるいじらしいまでのリリシズム。原曲では自分の存在を誇示するものだったはずが、フラジャイルなフォーク・ソングとなったこのヴァージョンでは、現代における敗残者をギリギリのところで支える歌になる。ウィル・オールダムが小さな声で歌う──僕は巨人、僕はワシ、僕はジャングルを駆けていくライオン、僕はこの世界の偉大な者……。それは、この世界から滑落する者がそれでも「偉大な者」であることを希求する祈りの声だ。

(ここから物語の結末に触れています)

 それにしても、チャーリーは保護者となる叔母に救われたからまだ良かったものの、そうでなければどうなっていたのだろう? あのままホームレスになっていたか、命を失っていたか……。途中、病院の医師や警察官が子どもを保護する施設の存在を言及するが、本作ではどうも信頼できないものとして扱われていたように感じる。そしてそれは、何だかんだ言って自助が良しとされるアメリカの現実を反映させたものなのだろう。車に跳ねられ死んでしまうピートは、保護者を見つけられなかった場合のチャーリーの姿にほかならない。
 アメリカにはいまも広大な荒野がある。そのなかで、並んで彼方を見つめるチャーリーとピートの姿は本当は「見えない存在」などではなく、誰もが見ようとしない存在ということだ。わたしたちは彼らの姿を探さなければない。その声に、耳を澄まさなければならない。

予告編

Visible Cloaks, Yoshio Ojima & Satsuki Shibano - ele-king

「FRKWYS」シリーズ15作めとしてヴィジブル・クロークスと尾島由郎、柴野さつきらのコラボレーション作品がリリースされた。レーベル・インフォメーションによれば、尾島の音楽の熱心な聴き手であったヴィジブル・クロークスが尾島にコンタクトを取ったことがはじまりらしい。その後、音源のやりとりを経て、2017年にヴィジブル・クロークス来日公演の際にスタジオに入りレコーディングをおこなったという。

 この出会いと共作は必然だった。ヴィジブル・クロークスのスペンサー・ドーランは、『Fairlights, Mallets And Bamboo』というミックス音源や、吉村弘の『ミュージック・フォー・ナイン・ポストカード』の再発など、近年、日本のアンビエント・ミュージックの海外における再発見に尽力した人物でもある。その彼がかつてのインタヴューで日本の環境音楽について語る際に吉村弘、芦川聡らと共に尾島についても語っていたのだ。そう、80年代から90年代初頭に花開いた日本のアンビエント/環境音楽シーンにおいて、尾島は吉村と芦川らと共に重要な存在なのである。
 じじつ、尾島はワコールが文化の事業化を目指して建設した槇文彦設計による複合文化施設スパイラル(ワコールアートセンター)をはじめ、リビングデザインセンター OZONE、東京オペラシティ・ガレリア、キャナルシティ博多などの各種施設用の環境音楽を制作し、実に多岐に渡るサウンドデザインやサウンドシステムの開発に携わってきた音楽家だ。特にスパイラルの館内環境音楽として制作された『Une Collection Des Chainons I』と『Une Collection Des Chainons II』は、環境と音楽の関係性を澄んだミニマリズムで包み込んだアンビエント音楽の傑作として名高いアルバムだ。
 一方、柴田さつきは、エリック・サティの演奏における日本有数の現代音楽曲のピアニストであり(サティ研究家にして詩人、ピアニストのJ. J. バルビエに師事)、尾島との数々のコラボレーションでも知られている音楽家である。本作でもその緻密に電子加工されたサウンドの向こうにガラスの光のようなピアニズムが聴き取ることができる。

 ヴィジブル・クロークスのスペンサー・ドーランとライアン・カーライルが名作『Une Collection Des Chainons I』と『Une Collection Des Chainons II』のようなサウンドを本作の制作において求めていたかは知らない。が、実際にアルバムとしてまとまったサウンドを聴いていると、まさに「Une Collection Des Chainons」的なアンビエンスが、4人の見事なコラボレーションによって2010年代末期的で精密な音響工作による美しい電子音楽へと深化していたことに何より耳が奪われてしまった。80年代末期から90年代初頭の日本的環境音楽がモダンにアップデートされたように感じられたのである。
 アルバムには全8曲が収録されている。どの曲も電子音の微細な変化、ピアノの響きとその抽出と変化、声と人間とマシンの融解など、マシンとヒューマンの境界線が少しずつ溶け合っていくようなサウンドに仕上がっている。まさに光の粒子のように見事な音響空間だ。じっと聴いているだけで聴覚が洗浄されていくような感覚を覚えたほどである。

 この清冽な感覚は、80年代から90年代初頭の日本の環境音楽が持っていた「水と空気」のテーマを継承しているのではないか。じじつ、1曲め冒頭では水が滴り落ちるのだ。
 以降、アルバムは電子音、ピアノ、声、旋律、持続、反復し、磨き上げ抜かれた音を生成変化させていく。そしてフラグメンツの美学とでも形容すべき7曲め“Stratum”を経て、慎ましやかな感動を放つピュアにしてミニマルな終局“Canzona per sonare no.4”で終わる(日本盤はボーナストラックが1曲追加されている)とき、環境と音響と耳の関係が清冽に拡張されたような感覚を覚えた。ここにおいてアンビエントという概念すらも「音楽」という環境の中にゆったりと溶け合っていくさまを聴くことになる。繰り返し何度も何度も聴きたい。この音で耳と空間を潤したい。空間に優雅な香りをのこす上品な香水のような電子音楽アルバムである。

 何よりこのアルバムは、90年代の音響、00年代の残響を経た10年代的な環境を象徴する作品に思える。それは音響派、ポストクラシカル、アンビエントへの変化を意味する。近年の日本を含めた世界各国のニューエイジ音楽の再発見はそのことを証明していよう。
 本作は、そのような潮流のなかで生まれた世代を超えた見事な共作にして象徴的作品だ。話題のコンピレーション・アルバム『Kankyō Ongaku: Japanese Ambient, Environmental & New Age Music 1980-1990』を聴いた後にぜひ本作を続けて聴いてみてほしい。環境音楽の現在が瑞々しく鳴り響いていることに気がつくはずだ。これぞ Kankyō Ongaku 2019。

 ハウス・ミュージックは、今日世界でもっとも広く愛されているダンス・ミュージックのスタイルのひとつ。そのスタイルは1980年代のシカゴで発明されていることは有名だが、それはアンダーグラウドで起きたため、当時の状況や細かい経緯についてはあまり明らかにされていなかった。ジェシー・サンダースが『ハウス・ミュージック──その真実の物語』を著すまでは。
 ジェシー・サンダースは、いちおう歴史上最初にハウスのレコードを作ったと言われている人物で、また、栄光と悪名にまみれた〈Trax〉レーベルの設立者のひとりでもある。そして、最初のハウスのヒット作、“Love Can't Turn Around”の作者のひとりでもある(もうひとりは、そう、ファーリー・ジャックマスター・ファンクだ)。
 不思議なもので、ひとを惹きつける音楽作品には、個人の才能だけでは生まれ得ない何かがある。UKのポストパンクやジャマイカのレゲエ、NYのディスコや初期ヒップホップなんかのように、時代と環境が音楽に魅力を与えることはおうおうにしてある。その後スキル的にも環境的にも向上したのに関わらず、乱雑さのなかで生まれた初期作品の魅力を越えることができなかったというアーティストは珍しくない。
 シカゴ・ハウスも時代と環境が作った音楽と言える。シカゴ・ハウスとは、そう、ハウスの原点であり、いまではハウス・ミュージックは、世代的にもひとまわりしてしまい、若い世代の音楽にもなっている。世代や国に関係なく、たくさんのひとを踊らせる音楽として広がっている。『ハウス・ミュージック──その真実の物語』はその起源についての、その時代と環境についての物語だ。もちろん、ほとんど同時代に生まれたデトロイトのテクノ、NYのガラージュとの繋がりについても触れられている。
 発売は今週水曜日(4月26日)。これを読むと、ますますハウスが好きになること請け合いです。
 また、『ハウス・ミュージック──その真実の物語』と同時に、ジェシー・サンダースが最初に関わった伝説のハウス・バンド、Z・ファクターの幻のアルバム『ダンス・パーティー・アルバム』も再発される。シカゴ・ハウス・フリークにはマストな作品で、まだニューウェイヴ・ディスコの延長だったプレ・シカゴ・ハウスの若々しさ、楽しさが詰まっている。こちらのほうもチェックしてみてください。

『ハウス・ミュージック──その真実の物語』
ジェシー・サンダース(著) 
東海林修+市川恵子(訳)
西村公輝(解説)
2019/4/24 
本体 2,800円+税 
ISBN:978-4-909483-27-0

Disk Uunion
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【アルバム詳細】
Z-FACTOR Feat. JESSE SAUNDERS 『Dance Party Album』
Z・ファクター・フィーチャリング・ジェシー・サンダース 
『ダンス・パーティー・アルバム』
発売日:2019年4月26日
価格:¥2,400+税
品番:PCD-24836
★解説:解説:Dr. Nishimura (Sunline Records/Lighthouse Records/悪魔の沼) 
★世界初CD化

【Track List】
1. I Am The DJ
2. Fantasy (vocal)
3. Thorns
4. Fantasy (Instrumental)
5. Fast Cars
6. My Ride
7. Her Way

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Shafiq Husayn - ele-king

 ジュラシック5、ファラオ・モンチからN.E.R.D.、エリカ・バドゥまで、様々なアーティストのプロデュースやリミックスを手がけ、さらに自らの名義でもシングルやアルバムを多数リリースし、一時はカニエ・ウェストのレーベル、〈グッド・ミュージック〉と契約を結ぶなど、2000年代のLAシーンにて飛ぶ鳥を落とす勢いであった、オマス・キース、タズ・アーノルド、シャフィーク・フセインからなるグループ、サーラー・クリエイティブ・パートナーズ(以下、サーラー)。ヒップホップをバックボーンにしながら、フューチャリスティックなR&Bやファンクの要素も巧みにミックスしたサーラーのサウンドは、まさに時代を先取ったものであった。さらにサーラーの活動停止後も、メンバー3人の幅広い人脈によって、ケンドリック・ラマーアンダーソン・パーク、さらに現行のLAジャズ・シーンに至るまで、実に幅広く影響を及ぼしている。そんなサーラーのメンバーの中で、当時はキャラクター的に一番目立たない存在でありながらも、実はサウンド的には最も重要なポジションにいたのがシャフィーク・フセインだ。その彼がソロ・アルバムとしては約10年ぶりとなるセカンド・アルバム『The Loop』をリリースした。

 前作『Shafiq En' A-Free-Ka』ではサーラーのサウンドから、さらにアフロビートやミニマルなエレクトロニック・サウンドの要素を強く取り入れるなど、攻めた音作りを行なっていたシャフィークだが、時代がようやくサーラーに追いついたとも言えるこのタイミングだからこそ、本作での彼のサウンドはいまの時代のムードに見事にフィットしている。サンダーキャットカマシ・ワシントンクリス・デイヴ、ミゲル・アトウッド・ファーガソンといった名うてのミュージシャンとのセッションを基盤に、エリカ・バドゥ、アンダーソン・パーク、ロバート・グラスパー、ビラル、ハイエイタス・カイヨーテ、ファティマ、ジメッタ・ローズなど実に多彩なゲスト・アーティストを迎え(さらにフライング・ロータスが一曲プロデュースで参加)、この有機的なコネクションによって構築されたサウンドには、プリミティヴでありながらも、宇宙や未来、あるいは宗教的な要素までも、全てを内包する。日本人アーティストの青山トキオ氏が手がけたジャケット・カバーも、本作のそんなイメージを見事に表現しており、アルバム全体から溢れ出る厚みと温もりのある豊かな音の広がりは、ダイレクトに聴き手の心を揺さぶる。さらに加えると、低音の効いたシャフィークの声もひとつの大きな魅力になっており、要所要所で出てくる彼のヴォーカルと女性コーラスとの絡みは、実に刺激的だ。3曲目の“My-Story Of Love”はそんな彼の声の魅力を堪能出来る一曲であり、さらにこの曲から“DTM (The Whill)”、ビラルをフィーチャした“Between Us 2”へと続く流れは、個人的にも本作のピークとも言えるほどの輝きを放つ。

 アルバム後半にはサーラーのオマス・キースもゲスト参加しているが、本作リリースから数日後にシャフィークは自らのサウンドクラウドのアカウントで、オマス・キースとタズ・アーノルドのふたりがゲスト参加した“If You Miss You Kiss You”という曲を公開した。サーラー的スローバラードとも言えるこの曲は、おそらく本作のために制作されたものの残念ながら未収録となった一曲と思われるが、彼らのSNS上ではサーラーの復活を匂わせるような投稿も見られ、彼らのファンとして、今後の動きに期待したい。

 日本のサイケデリック・ロック・バンドのアシッド・マザーズ・テンプルは、1年に1回、4月になるとNYに帰って来る。それはもう春の恒例行事となりつつある。で、今年はDIYスペースの元祖マーケット・ホテルに帰って来た。

 マーケット・ホテルは、2008年にブッシュウィックにオープンしたDIYスペース。アートのシーンがウィリアムスバーグからブッシュウィックに移動する最中に生まれている。ライトニングボルト、DMBQ、アニマル・コレクティヴ、ブラック・ダイスなど数々のゼロ年代以降のバンドがそこでプレイした。当時は、「とりあえずマーケット・ホテルに行ってみるか」という感じで、ミュージシャン、アーティストたちの交流の場でもあった。同所は2010年、NYPD(ニューヨーク警察)から閉鎖に追い込まれるというピンチを迎えてもいるが、しかし合法的に経営するためビルディングを大掛かりに改装。そして、2015年に再オープンするという根性を見せた。いろんな問題を乗り越えている同所を経営しているのは、この連載ではお馴染みのDIYマスター、トッドP(https://www.ele-king.net/columns/regulars/randomaccessny/002015/)。

 ちなみに、マーケット・ホテル再オープンのこけら落としは、アルバム『No citIra to Love』リリース時のスリーター・キニーだった。そのときは、久しぶりに熱いモッシュがブッシュウィックに戻ってきた。ウィリアムスバーグのシーンが終わって、DIYに陰りが出てきた頃だったので、マーケット・ホテルの再オープンは新しいDIY時代の幕開けを意味してもいた。
 その伝説の場所でアシッド・マザーが観れるのは完璧でしょう。マーケット・ホテルのおさるのサインに迎えられ、数々の物販を横目に(最近の物販の種類の多さには目を見張る)フロアに行くと、キチンとしたバーがあり、ステージからは相変わらずJMZの電車が丸々見える。
 オープニングは、カナダのヤマンタカ//ソニック・タイタン。柔道着を着て歌舞伎メイクをしているアジアン・ルーツのグループ。太鼓やティンシャ鈴などの打楽器を織り交ぜ、フライングVのギター、犬の遠吠えのようなヴォーカルなど、ドラゴンボールのメンバーがバンドを組んだらこうなるのかもというパフォーマンスだった。

 「thank you for waiting. Good evening」というKawabataさんの挨拶があって、アシッド・マザーズ・テンプルの演奏がはじまった。SCRAAAEEEOWSCRRRRRWEAAAHEEEEEEEEとバカテクのギターを中心に、ドラム、ベース、シンセによる爆音洪水。スリリングなノイズが怒濤のように続く。たまに入るJyonson tsuのチャンティングなヴォーカルが泉の様な役割をする。
 とはいっても、ノイズ一辺倒ではない。機械のようなドラムソロからグルーヴ感あるベース・ソロ、そしてギター、シンセと、どんどん音を重ね、それぞれのメンバーの凄腕さも見せてくれる。彼らのライヴはエンターテイメントでもある。それぞれの音が合わさって、アシッド・マザーの半端ない宇宙の威力が爆発していた。

 アシッド・マザーはもう何回も見ているが、今回のライヴは、いままで見たなかでもいちばんまとまりが良かった。音がひとつひとつ明確に聞こえてくる。以前のライヴでは昔からのファンが多かったが、今回は場所のせいもあるのか若い人が多かった。隣りの男の子と話すと、彼は21歳で、「僕のだちが絶対見た方がい、ってチケットを買ってくれたんだ」という。こんな感じで、SNSばかりであまり外に出ない世代の若い人たちがDIY文化に戻って来ている。物販にも長い行列ができていたし、バンドも嬉しそうだった。

 今回のNYライヴは、彼らは46日間のツアーにおける半分(27日)ぐらいのところ。この後もまだアメリカを回っていく。いずれにせよアシッド・マザー・テンプルのライヴは何が何でも行くべきものだ。ただし、耳栓は忘れずにね。


Plaid - ele-king

 きました。今年30周年を迎える〈Warp〉の良心、プラッドが新たなアルバムをリリースします。同レーベルを初期から支え続け、多くの名作を送り出してきた彼らデュオですが、今度はいったいどんな試みにチャレンジしているのでしょう。現在、“Maru”と“Recall”の2曲が公開中。躍動的なビートと美しいメロディの映える前者、インダストリアルで重厚な後者、どちらもたまりません。発売日は6月7日。ああ、プラッドよ。

P L A I D

今年30周年を迎える〈WARP〉のオリジネーター、プラッドが6月に待望の最新作『Polymer』 をリリース! 先行シングル「Maru」と「Recall」が解禁!

エイフェックス・ツインやオウテカと共に長きに渡ってエレクトロニック・ミュージック・シーンを牽引する〈WARP〉の看板アーティスト、プラッド。大胆で、心に響くエレクトロニック・ミュージックを創り出している彼らが、10枚目となるスタジオ・アルバム『Polymer』を6月7日にリリースすることを発表すると同時に、アルバムより“Maru”と“Recall”の2曲を先行解禁した。

Maru:
https://www.youtube.com/watch?v=mBpVycuV7xM
Recall:
https://www.youtube.com/watch?v=EYXiESVnERY

反復される機械的なビートに美しいメロディが心地よい“Maru”、そして“Recall”ではOPNのサンプリング使いも思い起こさせるかのようなビートに加え、インダストリアルなサウンドが聞こえてくる、紛れもなく〈WARP〉、そしてプラッドのサウンドを奏でている。

エネルギッシュなサウンド、明るくメロディックで体の奥に響くリズム、催眠剤のようなテクスチュアーを駆使してクリエイトしたアルバム『Polymer』は、おそらく彼らにとって今までで最もまとまりのあるダイレクトな作品といえるだろう。感情のうねり、感化、インスピレーションなど幅広く網羅した『Polymer』は、今の時代のために作られたアルバムだ。特徴的なポリフォニー、公害、政治から影響を受けており、環境、合成品、生存と死、人々の繋がりと断絶といったテーマをぶつけている。

革新的なデュオ、エド・ハンドリーとアンディ・ターナーは、90年代初期に所属していたザ・ブラック・ドッグから枝分かれし、プラッドとして活動を始めた頃から、エレクトロ・ミュージックの領域を大きく広げてきた。2019年に設立30周年を迎える〈Warp Records〉の大黒柱として、エイフェックス・ツイン、オウテカ、ナイトメアズ・オン・ワックスらと共に、レーベルの輝かしい功績を称える存在となっている。持ち前の冒険心と遊び心溢れるアプローチが、ビョークとの共作に繋がったり、また、マーク・ベル(LFO)、アルカ、ハクサン・クロークといったアーティストとのコラボレーションに繋がっている。

『Polymer』で扱っている問題点や利点は、このアルバムにとって良いテーマになるだろうと感じた。反復性の強さ、忍耐力と厄介な固執、天然物 vs 人工物、シルクとシリコン、それらがぼくらの生活に与える重要な影響だ ──Plaid

プラッドの最新作『Polymer』は6月7日(金)に世界同時リリース。国内盤にはボーナストラック“Sol”が追加収録され、さらに解説書が封入される。iTunes でアルバムを予約すると、公開中の“Maru”と“Recall”がいち早くダウンロードできる。

label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: PLAID
title: POLYMER
release: 2019.06.07 fri ON SALE

国内盤CD:BRC-601 ¥2,400+tax
ボーナストラック追加収録/解説書封入

[ご予約はこちら]
BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10233
iTunes : https://apple.co/2ZlbUs3
Apple Music : https://apple.co/2DkUYIP

TRACKLISTING
01. Meds Fade
02. Los
03. Maru
04. Ops
05. Drowned Sea
06. The Pale Moth
07. Dancers
08. Nurula
09. Recall
10. All To Get Her
11. Dust
12. Crown Shy
13. Praze
14. Sol (Bonus Track for Japan)

SCARS - ele-king

 これは朗報だ。リーダーの A-THUG を筆頭に、SEEDASTICKYBES、bay4k に MANNY に SAC に I-DeA にと、そうそうたる面子が名を連ねる川崎のヒップホップ・グループ、SCARS。現在の日本語ラップを考えるうえでも重要な彼らの2006年のファースト・アルバム、長らく入手困難だった『The Album』のリイシューが決定した。発売日は6月19日。一躍彼らの名を轟かすことになったクラシックを、この機会にぜひ。

A-THUG を中心に SEEDA、STICKY、BES、bay4k らが名を連ねる日本語ラップ・シーン最重要グループ、SCARS! 廃盤状態で入手激困難だった2006年リリースの傑作ファースト・アルバム『THE ALBUM』がリイシュー決定!

リーダーである A-THUG を筆頭にSEEDA、STICKY、BES、bay4k、MANNY、SAC、I-DeA らが名を連ねた日本語ラップ・シーン最重要な伝説的グループ、SCARS。BLACK EYE PATCH とのコラボレーション等で A-THUG、SEEDA、STICKY、BES を中心にリユニオンを果たし、再びその名を目にすることが多くなった昨今……散発的に行われているライブでも披露されている名曲群を収録した2006年リリースの傑作にして超問題作なファースト・アルバム『THE ALBUM』がまさかのリイシュー決定!

ハスリング・ラップ最高峰のアルバムとしてシーンに大きな衝撃を与え、一躍 SCARS やメンバーの名前を広めた屈指の名盤ながら長きに渡って入手困難な状況が続いて界隈では高値でディールされていたブツ!

[アルバム情報]
アーティスト:SCARS(スカーズ)
タイトル:The Album(ジ・アルバム)
レーベル:SCARS ENT
品番:SCARS-001
発売日:2019年6月19日(水)

TRACK LIST:
1. In Dro (Lyrics by "A"THUG, bay4k, BES, SEEDA, STICKY)
2. Showtime For Life (Lyrics by "A"THUG, bay4k, BES, SEEDA)
3. 1 Step,2 Step (Lyrics by BES)
4. YOU ALREADY KNOW (Lyrics by STICKY)
5. Homie Homie Remix feat. SWANKY SWIPE (Lyrics by bay4k, BES, EISHIN, SEEDA)
6. SCARS (Lyrics by "A"THUG, bay4k, BES, SEEDA, STICKY)
7. Bring Da Shit (Lyric by bay4k)
8. ばっくれ (Lyrics by BES, SEEDA, STICKY)
9. あの街この街… feat. GANGSTA TAKA (Lyrics by MANNY, SEEDA, GANGSTA TAKA)
10. Love Life (Lyric by "A"THUG)
11. Junk Music (Lyrics by bay4k, SEEDA, STICKY)
12. 日付変更線 (Lyrics by BES, SEEDA, STICKY)
13. Outraw (Lyrics by "A"THUG, bay4k, SEEDA)

Matmos - ele-king

 ここ数作でもっともファンキーなアルバムなのではないだろうか。そしてそれは、リズムパターン以上に音色によって醸される印象によるところが大きい。すでに明らかにされている通り、マトモスの通算11作目となる『Plastic Anniversary』はすべてプラスティックが「鳴らす」音によって構成されている。プラスティックをおそらく棒状のもので打楽器のように叩いて発生させたボン、ボヨン、ボコンというような気の抜けた音が連なりパターンを生むことで、ファニーで脱臼感のあるグルーヴが生み出される。オープニングの“Breaking Bread”がこのアルバムのムードを完璧にプレゼンしている――子どもがその辺のプラスティックオモチャを叩いた音が、そのままダンス・ミュージックになったような無邪気なリズム。身体に直接響く愉しさ。だがプラスティックの使用はパーカッションに留まらず、筒状のものに空気を通すことで管楽器として用いたり、擦って弦楽器を模した旋律やノイズを発生させたりといったものにも及んでいる。この多彩なサウンド……「企業の持ち物だから」という理由でプリセット音を使用しないことで有名なのはマシュー・ハーバートだが、マトモスはここで企業が廃棄したジャンクから膨大な種類の音を生み出している。それはもちろん、わたしたちの現代生活がいかに膨大なプラスティック製品に囲まれているかを示すことでもある。
 その主題にエコロジーがあることは間違いなく、昨年のG7においてプラスティック製品ゴミを減らすことが提唱された「海洋プラスティック憲章」にアメリカが署名しなかったことが直接のモチベーションになっているだろう(ちなみに、もう一カ国署名しなかったのは日本である)。昨年末の紙エレキングでも言及されたように、いま音楽の様々な層でエコロジーがコンセプトになっているのは、オバマ時代に進んだことがトランプ政権以降一気に逆戻りしたような気分を多くの人間が噛みしめているからだ。無茶苦茶な言動で暴れるトランプ政治に対してこうした一枚上手の発想でアンチを繰り広げるのは、さすがアイデアという名の知性を重んじてきたマトモスだと……まずそこを強調しておきたい。

 ただ聴きながらいろいろと考えていると、次第に本作がもっと多層的な問いを含んでいることがわかってくる。本作はカップルであるドリュー・ダニエルとマーティン・シュミットのアニヴァーサリーを祝したものだそうだが、そこに「プラスティック」という冠がつくのは、ふたりがゲイだからだ。つまり、プラスティックが「偽物」のメタファーとして使われてきたことをアイロニカルに効かせているのである。タイトル・トラック“Plastic Anniversary”ではまるで結婚式のようなファンファーレが高らかに、しかし微妙に音程を外しつつ奏でられる。ヘテロ・カップルのそれと比べて「偽物」だとされているゲイのリレーションシップが、そこではプラスティックの力で祝福される。そうした「偽物性」への言及は、深読みすると、オーセンティックな生音による音楽に比べて下に見られることが少なくなかったエレクトロニック・ミュージックも射程にしていて、あからさまに初期エレクトロを意識したと思われる“Silicone Gel Implant”などは、ふたりからのエレクトロニック・ミュージックへの愛の表明に思えてくる。実際本トラックはアルバムでももっともチャーミングで思わず微笑まずにはいられない。もっとも馬鹿げたトラックはデタラメなサンバのリズムとホイッスルが野放図に鳴り響く“Collapse of the Fourth Kingdom”で、純粋主義者が聴いたら怒鳴り出すんじゃないかと心配になるほどふざけている。だが僕たちは知っている……この素っ頓狂なユーモアこそがマトモスであり、そしてたぶん、「インテリジェント・ダンス・ミュージック」だ。
 いっぽうで警察がデモを圧するときに使用されるライオット・シールドから発生させた音を使った“Thermoplastic Riot Shield”は不穏な音響と高圧的なインダストリアル的打音に覆われており、対立が激化する現代のBGMのようだ。総じて本作はプラスティックという「偽物」に支えられ、そして破壊される現代社会の(矛盾に満ちた)ポートレイトであり、その混沌のなかでそれでも遊ぼうとする図太い姿勢の表れである。実験性とコンセプト性に支えられたIDMが再び重要性を増すなかで、マシュー・ハーバートとマトモスというかつて「コンセプトロニカ」とも呼ばれた才能が、いまだにアイデアを失わずに独創的なやり方で闘っていることに何だか救われる想いがすると言うと大げさだろうか。だが、相変わらず愉快で妙ちくりんなダンス・ミュージックが詰まった本作に、彼らの闘志をいつにも増して見てしまうのは僕だけではないはずだ。


 10年以上にわたり、アート・パンク・バンド、ノー・エイジのヴィジュアル・ワークを担当してきたロサンゼルスを拠点に活動するグラフィック・アーティスト、ブライアン・ローティンジャーの個展が本日より開催される。
 ノー・エイジだけでなく、ジェイ・Zやマリリン・マンソンといったアーティストのジャケット・アートワークを手がけてきたブライアン・ローティンジャー。なかでもノー・エイジの『ノウンズ』とジェイ・Zの『マグナ・カルタ...ホーリー・グレイル』では、グラミー賞の最優秀レコーディング・パッケージ賞にノミネートされるなど、きわめて高い評価を受けている。また、サンローランやヘルムートラングといったファッション・ブランドにグラフィックを提供している。
 本展のキュレーションはローティンジャー、およびノー・エイジの二人、ディーン・スパントとランディ・ランドールと交流の深いカトマン(ドットラインサークル)が担当。
 また、本展では2018年に400部限定で発行され、完売となっていたローティンジャーとノー・エイジのコラボレーション作品アーカイヴ集『Graphic Archive 2007-18』が日本限定で再販される。
 5月5日(日)にはライヴで来日しているノー・エイジの二人が在廊予定。
 併設するマスタードホテル渋谷のエントランスサイネージでローティンジャーのアーカイヴ作品が展示されるほか、1階のBAR & PATISSERIE Meganにて彼のプレイリストを聴くことができる。

《展覧会情報》
No Age & Brian Roettinger Graphic Archive 2007-18 Exhibition
4月18日(木)~5月6日(月)12:00-19:00
会場:渋谷 CONNECT
〒150-0011 東京都渋谷区東1-29-3 渋谷ブリッジ B 1F
定休日:日・月曜日(5月5日、5月6日を除く)
“No Age & Brian Roettinger Graphic Archive 2007-18 Exhibition”

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