「Nothing」と一致するもの

New Order - ele-king

 いまから20年後の未来では、音楽ファンはこう振り返るでしょう。「ああ、2020年の最悪な年にはニュー・オーダーが“ビー・ア・レベル(Be a Rebel)”を発表したっけ……」。ニュー・オーダーの5年ぶりの新曲、まあ、ずいぶん話題になりました。多くのリスナーのなかにNOには少なからず熱い思いがあるからでしょう。で、その熱い曲のミュージック・ヴィデオが公開されました。これもまた、シュールかつ暗示的な、なかなかの力作です。また、限定アナログ12インチが12月4日(金)に発売されます。こちらには、バーニーとステファンによりリミックス・ヴァージョンが収録されます。

[YouTube] https://youtu.be/JOoyPT6RoF4
[LISTEN & BUY] https://smarturl.it/nobar

■以下はレーベルからの資料より

 ミュージック・ヴィデオはスペインのNYSUが制作し、バンドは次のように述べている。

“マドリードのNYSUには、「レストレス」(最新アルバム『ミュージック・コンプリート』収録)のミュージック・ヴィデオを以前作ってもらったんだけど、彼らの映像に対するイマジネーションには僕らバンドも心底感銘を受けていたんだ。今回「Be a Rebel」で再び彼らとタッグを組んだんだけど、インスピレーションあふれる独特の美的感覚で独創的なヴィデオを作ってくれました”


 コロナ禍の影響により発売が延びていたアナログ12インチは、12月4日(金)に発売が決定した。この12インチには、オリジナルの他、バーナード・サムナー、スティーヴン・モリスのリミックスなど全4曲が収録されている。またバーナード・サムナーのリミックス「Be a Rebel (Bernard’ s Renegade Mix)」は、adidas Spezialとのコラボレーションで使用された曲のオリジナル・ヴァージョン。

[adidas Spezial CF/ YouTube]
https://bit.ly/3mvGsTg

 「タフな時代だからこそ、この曲をみんなに届けたかったんだ。ライヴはしばらくできないけれども、音楽は今なお私たちみんなで分かち合えるもの。楽しんでもらえると嬉しい……また会える日まで」──バーナード・サムナー

 本来この曲は、今年秋に予定されていた彼らのツアーに先駆けて発売される予定だったが、そのツアーは2021年に延期され、それでも困難な時にこの曲を発売することの意義をバンドが感じて発売に至った。また、今年3月に予定されていたジャパン・ツアーは、コロナ禍の影響により2022年1月に実施される。(https://www.creativeman.co.jp/event/neworder2020/)

「反逆者になろう 破壊者じゃなくて」と歌われるこの高揚感あふれる曲は、このタフな時代においてわれわれ自身を祝い、いま持っているものに感謝しようというメッセージが込められている。その歌詞の対訳は以下の通り。

■「ビー・ア・レベル」(Be a Rebel)歌詞対訳
https://trafficjpn.com/news/nobar/

■ジャパン・ツアー日程
大阪 2022年 1月24日(月) ZEPP OSAKA BAYSIDE
東京 2022年 1月26日(水) ZEPP HANEDA
東京 2022年 1月28日(金) ZEPP HANEDA
制作・招聘:クリエイティブマン 協力:Traffic
https://www.creativeman.co.jp/event/neworder2020/

■商品概要(アナログ12インチ)
NOBAR Insta Square 3.jpg
アーティスト: New Order
タイトル: Be a Rebel
発売日:2020年12月4日(金)

― Tracklist ―
A1. Be a Rebel
A2. Be a Rebel (Bernard’ s Renegade Mix)
B1. Be a Rebel (Stephen’ s T34 Mix)
B2. Be a Rebel (Bernard’ s Renegade Instrumental Mix)

[BUY] https://smarturl.it/nobar

■最新オリジナル・アルバム『ミュージック・コンプリート』(2015年)まとめ
https://bit.ly/1FHlnZJ

■ニュー・オーダー バイオグラフィ
https://trafficjpn.com/artists/new-order/

今里(STRUGGLE FOR PRIDE/LPS) - ele-king

敷居を高くしていないとご飯が食べられない人達のお茶碗を、
夜な夜な割っていく作業に従事しています。

1.META FLOWER /DOOM FRIENDS
誠実な人柄が全ての作品に現れていて、動向がとても気になる。LSBOYZのALBUMも最高でした。

2.JUMANJI/DAWN
くそみたいな気分で目が覚めた朝方でも、再生した瞬間にFRESHにしてくれる。

3.YOUNG GUV/RIPE 4 LUV
AOYAMA BOOK CENTERの店員さんが教えてくれた。どうもありがとうございます。

4.HATCHIE/KEEPSAKE
今は亡きBONJEUR RECORDS LUMINE新宿店の店員さんが教えてくれた。どうもありがとうございます。

5.ISAAC/RESUME
こういう気持ちにさせてくれる音楽が身近にあることに、心から感謝しています。

6.MULBE/FAST&SLOW
DO ORIGINOOを聴きながら豊洲を歩いていたら、一瞬どこに居るか解らなくなった。

7.SHOKO&THE AKILLA/SHOKO&THE AKILLA
武道館ライブ楽しみにしてます!

8.HIKARI SAKASHITA/IN CASUAL DAYS
誕生日を過剰にアピールしたら送ってくれた。どうもありがとう。

9.CAMPANELLA/AMULUE
今になって思うと待ち続けてた時間も楽しかったし、
聴いてすぐに報われた。

10.CENJU/CAKEZ
「もしもVINがいたらあんなもんじゃ済まなかった」って笑って帰宅して、
すぐに再生した。
発売には立ち会えなかったけど、当時の我々の空気が全て詰まってる。

Likwid Continual Space Motion - ele-king

 リキッド・コンティニュアル・スペース・モーション(LCSM)という名前は、かつてジョナ・シャープが1990年代にやっていたジャズ+ファンク+テクノ+エレクトロニカ・ユニットのスペースタイム・コンティニュウムを連想させると共に、ジョージ・クリントンやPファンク的なネーミング・センスを感じさせる。
 ちなみにリキッドの綴りがLiquidでなくLikwidとなっていて、ちょっと言葉遊び的な要素もある。そして、リリース元は〈スーパー・ソニック・ジャズ〉というサン・ラーのアルバム名から名づけられたオランダの名門〈キンドレッド・スピリッツ〉傘下のレーベル。すなわちサン・ラー~ファンカデリック/Pファンクというアフロ・フューチャリズムの継承者たちの先に、LCSMはあるということを暗示させる。
 アルバム名の『アースバウンド』はかつてキング・クリムゾンがライヴ・アルバムに用いたタイトルと同じだが、地球や大地に根ざしたとか、宇宙船が地球に帰還することを意味しているそうだ。やはりサン・ラー的なタイトルと言えよう。

 このLCSMはIGカルチャーのユニットで、そもそもは2003年に〈キンドレッド・スピリッツ〉がサン・ラーのトリビュート企画の『サン・ラー・デディケーション』を立ち上げ、IGが代表曲の“スペース・イズ・ザ・プレース”をカヴァーした際に用いたリキッド・コンティニュアル・スペース・モーション・オペラが発端である。
 この『サン・ラー・デディケーション』はセオ・パリシュ、キング・ブリット、カーク・ディジョージオ、リクルース、アレックス・アティアス、ジミ・テナー、ビルド・アン・アーク、マッドリブらと並び、サン・ラー・アーケストラの元ドラマーでカール・クレイグのインナーゾーン・オーケストラにも参加したフランシスコ・モラ・キャトレットも名を連ねるというスペシャルな企画だった。
 これ以後も〈キンドレッド・スピリッツ〉は定期的にサン・ラーのリイシューやリミックス企画を行ってきているのだが、今回のLCSMの『アースバウンド』は直接的にサン・ラーと結びつけてはいないものの、根底では一連のサン・ラー企画と繋がっているところはあるだろう。
 話を2003年に戻すと、当時はブロークンビーツの波が最高潮に達していた頃で、アレックス・アティアス、キング・ブリット、カーク・ディジョージオ、リクルースは軒並みにブロークンビーツ作品を作っていた。マッドリブでさえDJレルスというブロークンビーツ・ユニットをやっていたくらいだ。そうした波の張本人がIGカルチャーであり、フィル・アシャーと共にブロークンビーツのオリジネイターと言える人物だったのである。

 IGカルチャーは本名をイアン・グラントといい、アシッド・ジャズ期の1990年代初頭にドッジ・シティ・プロダクションズというジャズ・ヒップホップ・ユニットでキャリアをスタートさせている。
 ドッジ・シティはロニー・ジョーダンと共演したリ、マンデイ満ちるのアルバム制作に参加した後に解散し、それから時が経過して1990年代後半にIGはニュー・セクター・ムーヴメントというユニットでアフロ・ビートを発展させたようなブロークンビーツを始める。ヒップホップやブレイクビーツを基盤とするIGと、ハウス/テクノを基盤とするフィル・アッシャーのリズム感覚が混ざった上に、ドラムンベースから来た4ヒーローやドム、ジャズやフュージョン感覚に富むカイディ・テイサンらを含むバグズ・イン・ジ・アティックなどが加わり、ウェスト・ロンドンでブロークンビーツ・シーンは開花していく。
 現在のサウス・ロンドンの盛況ぶりに近いものが当時のウェスト・ロンドンにはあって、アレックス・アティアスやマーク・ド・クライヴ・ローなどイギリス以外の国から移住してきた人たちがいた。

 その後ブロークンビーツは下火になっても、IGカルチャーは地道に活動を続けていて、USのラッパーのジョン・ロビンソンとコラボしたり、2008年に『ゼン・バディズム』、2012年に『ソウルフル・シャンハイ』というソロ・アルバムをリースしている。『ゼン・バディズム』ではダグ・カーンの“リヴェレーション”やエディ・ケンドリックスの“ガール・ユー・ニード・チェンジ・オブ・マインド”、『ソウルフル・シャンハイ』ではハリー・ホイテカーの“ブラック・ルネッサンス”といったアンセム的な楽曲をカヴァーしており、ジャズ、ブルース、ソウル、ファンクというブラック・ミュージックのルーツに根ざした姿を見せていた。
 近年はと言うと、2019年にLCSM名義でEPをリリースしていて、ここにはナサニエル・クロス(モーズス・ボイド・エクソダス)、ウェイン・フランシス(ユナイテッド・ヴァイブレーションズ)、ニュー・グラフィック(ニュー・グラフィック・アンサンブル)、エディ・ヒック(ココロコ、サンズ・オブ・ケメット、ルビー・ラシュトン、ユナイティング・オブ・オポジッツ)と、いわゆるサウス・ロンドンのジャズ・シーンで活躍する面々が参加。レコーディングも聖地のトータル・リフレシュメント・センターで、IGとサウス・ロンドン勢の接近を感じさせるものだった。
 ブロークンビーツ全盛期の同志だったカイディ・テイタムやディーゴについても、近年はサウス・ロンドン勢からリスペクトを受けたり、コラボレーションを行う場面もあったりするのだが、親子ほど年齢の離れた彼らが世代を超えた結びつきを見せているのが現在のロンドンである。

 そのEPを発展させたのが今回の『アースバウンド』である。ナサニエル・クロス(トロンボーン)、ウェイン・フランシス(サックス、キーボード)、ニュー・グラフィック(キーボード)、エディ・ヒック(ドラムス)といったメンバーは引き続いており、EPではエンジニアを務めたアレックス・フォンツィがギターを演奏。彼はかつてバグズ・イン・ジ・アティックやネオン・フュージョンのメンバーで、IGと共にウェスト・ロンドンのブロークンビーツ時代を築いたひとりだ。IGはキーボード、パーカッション及び全体のプロダクションやビートメイクを行っている。“モア・ブリリアント・センター”という曲にあるように、今回もトータル・リフレッシュメント・センターで録音は行われた。
 その“モア・ブリリアント・センター”はジャズ・ファンクとアフロが結びついたナンバーで、アプローチとしてはブロークンビーツにジャズの即興演奏を交えたものとなっている。ニュー・グラフィック・アンサンブルやジョー・アーモン・ジョーンズのアルバムに通じるような楽曲である。
 今回のアルバムにはジョン・ロビンソンのようなラッパーは入っていないが、“ザ・ボックス”に見られるようなポエトリー・リーディングが随所に用いられている点も特徴だ。それによって“ザ・ワード”に見られるようなメッセージ性を生んでいる。
 楽曲は全般的にアフロ・ジャズ、スピリチュアル・ジャズをモチーフとした上で、“ワールド・オーダー・イズ・カオス”のようなアーサー・ラッセル的とも言えるアヴァンギャルド~ニュー・ウェイヴの要素も垣間見せる。

 “アースバウンド”“マート・ライフ”“ザ・ウェイ”で見せるソリッドなビート・メイキングはブロークンビーツ時代から見せるIGならではのもので、生ドラムやパーカッションと結びついて有機性や強靭さを増している。“フリークエンシー”はどこかクラフトワークの“トランス・ヨーロッパ・エクスプレス”を思わせるフレーズが出てきて、LCSMの名前らしいコズミック・ジャズとなっている一方、同じコズミックな感覚でも“エイリアン・スフィア”では神秘的な方向性を見せる。
 スピード・ガレージ的なビートの“ピース・オブ・マインド”や、ラテンをモチーフとする“フォー・ザ・ピープル”はプログラミングやサンプリング中心で、IGがDJプロデューサー出身であることを再認識させてくれる。彼の音楽はミュージシャンが作るそれではなく、基本的にはダンス・ビートの上に成り立つものなのだ。ムーディーマンに近い“ソウル・イン・ヨー・マインド”やジャズ・ファンクの“アンリアル・ロック”もそうだし、サン・ラーの世界観を継承するようなコズミック・ジャズの“トウェルヴス・プラネット”にしても、IGの強くバウンシーなビートが軸になっている。
 ブロークンビーツ勢の中でもとりわけビートの探求心が強く、そうした点ではJディラに近いところも感じさせたIGだが(『ゼン・バディズム』のジャケではマルコムX、モハメド・アリ、サン・ラー、マーヴィン・ゲイなどと並んでJディラもオマージュに登場していた)、“アヌンナキ”における変則的だが永続性もあり、生楽器の即興演奏とも見事に融和してしまうビートこそ、IGのビート・サイエンティストぶりを証明するものだろう。

Battles - ele-king

 先日強者ぞろいの面子が参加したリミックスEP(ブラック・ミディ、シェッド、デルロイ・エドワーズ、DJニガ・フォックス)をリリースしたばかりのバトルズが、最新作『Juice B Crypts』収録曲 “Sugar Foot” のMVを公開している。

 日本のお祭りがモチーフとなった同映像には、コロナ禍で動けない音楽関係者や祭事関係者を励ます意図が込められているそう。暗いニュースが続く毎日だけれど、明けない夜はない。このMVを観て元気を出していこう!
 ちなみに、『Mirrored』時代のTシャツが復刻されるとのことなので、下記をチェック。

Kruder & Dorfmeister - ele-king

 クルーダー&ドーフマイスターとはジョイントの高級ブランド名ではない、オーストリアはウィーンのふたり組、90年代の音楽におけるとっておきのカードだ。彼らがシーンに登場したのは1993年、マッシヴ・アタックの『ブルー・ラインズ』(ないしはニンジャ・チューンやモ・ワックス)へのリアクションだった。サイモン&ガーファンクルによる名作『ブックエンド』のジャケットのパロディ(だからふたりの名字を名乗ったのだが、実際リチャード・ドーフマイスターがアート・ガーファンクルに似ているので、パっと見た目は『ブックエンド』と間違えそうになる)を意匠にしたそのデビューEPのタイトルは、モーツァルトからシューベルトと歴史あるクラシック音楽の街に似つかわしいとは思えない「G-Stoned」。そう、ガンジャ・ストーンド。Gは、彼らが住んでいた通り名の頭文字でもあるのだが、しかしもっとも重要なのは、どこまでもメランコリックな『ブルー・ラインズ』に対して、「G-Stoned」はとにかく至福の一服だったということである。

 欧州において音楽教育がとくにしっかりしている言われているウィーンのふたりは、トリップホップと呼ばれるスタイルではさまざま音楽を混ぜ合わせることができるというその可能性を早くから理解していた。「G-Stoned」のわずか4曲には、従来のトリップホップの主要要素であるヒップホップ、ファンク、ソウル、ダブやハウスに加えて、映画音楽やラウンジ音楽、そしてジャズやブラジル音楽の美味しいところも加えてある。のちに本人たちは「1日中吸っているのに飽きたから音楽を作った」などとうそぶいているが、本当のことを言えば彼らは友人のレコード・コレクションをサンプリングしまくり、そして綿密な構成を練って職人的なミキシングを施して(クルーダーはすでにスタジオで働いていた)作品を完成させたのだった。それは、同じようにサンプルデリックな傑作であるDJシャドウの『エンドロデューシング』の暗さやDJクラッシュの「Kemuri」のストイシズムともまったく対照的なサウンドの、自称“オリジナル・ベッドルーム・ロッカーズ”による完璧なデビューEPだった。未聴の方は、ぜひ“Hign Noon”から聴いて欲しい。

 が、しかしK&Dは、その後ミックスCDを出してはいるが、コンビでのオリジナル作品発表はすぐに途絶えてしまい、90年代半ばからはそれぞれがそれぞれのプロジェクトで作品を制作する。リチャード・ドーフマイスターは、ルパート・フバーとのToscaを始動させると、「Favourite Chocolate」や「Chocolate Elvis」、あるいは『Opera』や『Suzuki』といったヒット作を出しつつ、ここ数年はそれほど話題にならなかったとはいえ現在にいたるまでコンスタントに活動を続けている。いっぽうのピーター・クルーダーは、90年代にピース・オーケストラという名義で素晴らしいアルバムを2枚リリースしている。
 ちなみに90年代のジャケット・デザインにおいて個人的にベストだと思っているのが、ピース・オーケストラのファースト・アルバムだ。世界で唯一、(肌色のジャケットに)絆創膏の貼られたレコード/CDであるそれは、ラディカルなユートピア思想がなかば感傷的に表現されているとしか思えないという、ぼくにとっては哲学的と言えるアートワークだった。こればかりはアナログ盤の見開きジャケットでたしかめないと、その衝撃はわからないんだけれど。

 いずれにしても、ダンス・ミュージックを愛するリスナーにとってK&Dは立派なリジェンドなのだが、なんと……、そう、「なんと!」、1993年のデビュー以来27年目にしてのファースト・アルバムが先日リリースされたのである。で、そのタイトルは『1995』、日本人の感覚で言えば意味深くも思えるが、これはチルアウト黄金時代の年を指しているそうで、アルバムに収められた14曲は当時彼らが録音したDATからの発掘をもとに手を加えられたものらしい。まあ、再結成して新たに録音した代物ではないようだ。とはいえ、27年目のファースト・アルバムであることに違いはない。

 ロバート・ジョンソンのレコード(おそらく78回転の10インチ盤)をサンプリングした“Johnson”からはじまる『1995』は、K&Dの魅力を、もうこれ上ないくらいに絞り出している。肩の力の抜けたレイジーなグルーヴの魅力──K&Dはいつだって安モノのせこい品をまわしたりしたりはしなかったが、ここでも極上のストーナービートと気の利いたサンプリング(ラロ・シフリンからアントニオ・カルロス・ジョビンなど)がエレガントなミキシングによって展開されている。たとえば“Swallowed The Moon”や“Dope”などは、これこそチルアウトって曲だし、“King Size”にいたっては……たしかにぶっといものを口にくわえてるときのメロウなウィーン流のダブかもしれない。
 意外なところでは、13分にもおよぶ“One Break”がある。寒い冬の夜明け前のようにダークな曲で、リズムはいつものヒップホップ・ビートからドラムンベースへと展開する。クローサーのアンビエント・トラック“Love Talk”も彼らの試行錯誤の記録だろう。いろいろとやっていたんだなと。懐かしくもあり、グローバル・コミュニケーションの『76:14』がそうであるように、いま聴くと新鮮でもある。ただひとつ言えるのは、『1995』は思いも寄らぬ贈り物だということ。いまはもう寒い冬だけれど、1995年のように、意味もなくただただ愛を感じながら寝そべってみるのもいいかも、と思ったりもする。ピース・オーケストラの見開きジャケットが描いたあの凄まじい、あの時代ならではの光景は、現代では到底あり得ないのだろうけれど。


R.I.P. ディエゴ・マラドーナ - ele-king

 公園に行くと子どもたちがボールで遊んでいる。それはおそらくどこの国にでもあるのだろう、平和な風景のひとつだ。たとえ運動が苦手な子でも、体育の授業で走ったり、鉄棒や跳び箱したりよりは球技のほうがまだ楽しいはずだ。緊急事態宣言が発令されてからの数週間、ぼくの近所の公園では、いつも以上に子どもも大人もサッカーや野球といった球技に興じていた。ま、状況が状況だっただけに決して褒められたことではなかったのだが、しかしやはりそこにはボールがあった。地面の上を、あるいは空中を、ボールが動いていた。

  2020年11月25日、ボールを扱うことの天才がこの世を去った。それはそれは、彼ほどの天才はいないんじゃないかと思えるほどの天才だった。残されている彼の映像のいちばん古いヤツ、ファンにはお馴染みのまだ10代前半の彼の映像を見ても、その天才ぶりはわかる。なんていうか、ボールのほうが彼と離れたがらない。そう見えてしまうリフティング。サッカーをはじめた誰もが憧れるアレだ。

 しかもだ。この天才は、ほとんどすべてのテクニックと、そしてゲームにおける狡猾さをアルゼンチンのスラム街仕込みのストリートワイズとして会得した。それは、親父さんが靴を買ってくれるまでの、素足で蹴っていた頃から蓄積された技術であり経験値であって、あの予測不能なフェイントは部活やクラブのコーチに学んだことではない。いまブエノスアイレスでは彼の棺を見送るために人びとが集まり、最終的には100万人以上が集まるのではないかと言われているが、それはわかる。彼を育てたのはアルゼンチンだった。彼はいつでも、彼の階級、出自、そしてアルゼンチンを誇りにしていたのだから。

 彼の死を悼んでマッシヴ・アタックやらリアム・ギャラガーやらが哀悼の声明を出しているのも、わかる。この天才は、サッカーというスポーツを芸術の領域にまで拡張させたのだった。大衆を魅了するずば抜けたテクニックとロマンティックなまでの勝負強さを持って大きな存在となった彼は、まあ政治的(反米主義)でもあったし、富の世界が嫌がるようなこと(たとえば選手における労働権の主張であるとか)でさえもバシバシ言う人だった。手短に言って、反抗者。いや、それ以上にハンパない成り上がりだったがゆえ、コカインををはじめとする幾多のスキャンダルに乗じて権力およびワイドショー的世間は何度も何度も彼をねじ伏せようと躍起になったものの、ディエゴ・マラドーナは一度としてへたこられなかった。全盛期と言われているナポリ時代、すでに痛めた身体をもって鎮痛剤なしでは眠れぬほどの夜を過ごしていたのに関わらず。
 彼はグローバルなスーパースターでもあったし、良いのか悪いのかわからないが、正論というものを越えることができた人だった。そこにはつねにボールがあったし、ボールは彼の味方だった。ブエノスアイレスに集まっている人たちと同じように昨日から涙が止まらない。さようなら天才。


Underground Resistance - ele-king

 ついに動き出した。
 アンダーグラウンド・レジスタンスが新たに12曲入りのCD『Assembly Unite Resist Change』をリリースする。“Message To The Majors” や “Riot”、『Revolution For Change』所収の “Code Of Honor” や X-101 の “Sonic Destroyer” といった初期のハードな曲、あるいは「Electronic Warfare」や「同 2.0」からのタフめな曲がセレクトされている点、あるいは「集結、連帯、抵抗、変革」なる直球のタイトル、赤と黒のアートワークなどから勝手に想像するに、これは2020年という状況に対するURからの応答であり、のろしのようなものではなかろうか。

 ちなみに、URのマッド・マイク&コーネリアス・ハリスの最新インタヴューが『別冊ele-king ブラック・パワーに捧ぐ』に掲載中ですので、未読の方はぜひチェックを。

Underground Resistance
Assembly Unite Resist Change

UR / Submerge
UR2018/D
27th Nov, 2020

01. Kill My Radio Station
02. Kut (Heavy Analog Deployment)
03. Message To The Majors
04. Riot
05. The Force
06. Sonic Destroyer
07. I AM UR
08. Silicon Saigon
09. Code Of Honor
10. Electronic Warfare
11. The Safety Is Off
12. Hold My Own

James Blake - ele-king

 この9月にフランク・オーシャンのカヴァー曲を発表、つい先月はEP「Before」をサプライズ・リリースし、きたる12月にはカヴァー曲集EP「Covers」の発売を控えるジェイムス・ブレイクが、新たな試みを明らかにしている。

 去る11月20日、アメリカのラジオ局 RADIO.COM に出演した彼は、「特定のジャンルに縛られたくないんだ」と語り、それを受け聞き手のブライス・シーガルが「そういえばディプロがアンビエント・アルバムを出しましたよね」と返すと、「や、じつは、じぶんにもその用意があってさ」「しかもアルバムでね!」と答えている。

 ストレスや不安に襲われているとき、ブライアン・イーノ坂本龍一の音楽だけが落ち着いた気分にさせてくれた──とブレイクは続ける。だから、じぶんでもそういう音楽をつくってみようと思い至ったんだそうな。ビートにうんざりしてしまい、ちょっとした “ビートの休日” が必要だった、と。

 とはいえアンビエントというのは──ブレイクによれば──繊細で、たんにドラムのビートを省くだけで完成させられるものではない。ゆえに不安だったのだろう、彼はつくりあげた音源をゴッドファーザーたるイーノ本人に送り、助言をもとめた。結果、肯定的な意見~建設的な批判を得ることができ、勇気づけられたという(ブレイクとイーノは2013年の『Overgrown』で共作済み)。

 ただし、いつリリースするかは未定とのこと。ポスト・ダブステップに出自を持つシンガーソングライターが奏でるアンビエント・ミュージックとは、いったいいかなるものに仕上がっているのか? 楽しみに待っていようではないか。

https://omny.fm/shows/radio-com-audio/james-blake-new-arrivals

Autechre - ele-king

 オウテカが、本当にオウテカらしくなったのは『LP5』(1998)からだろう。それ以前の4枚のアルバムには、シーンからの影響がある程度わかりやすく残されている。『インキュナブラ』(1993)にはエレクトロ/ヒップホップ、『アンバー』(1994)にはアンビエント、『トライ・レパテエ』(1995)と『キアスティック・スライド』(1997)にはインダストリアル……しかし『LP5』にはそうした既存の何かを引き合いに出すことが難しい、いま我々が知るところのオウテカがいる。
 ジャケットからしてそうだ。黒いケースにはタイトルの表記はなく、エンボスでautechreとあるのみ。白いステッカーにはこのアルバムにはタイトルがなく、便宜上『LP5』となっている旨が記されている。そこに記録されている音を聴く以外のほかはどうでも良いとでも言いたげなのだが、さらに続いてリリースされた「ep7」は『LP5』とほぼ同じ収録時間で曲数も同じ11曲、しかしそれでもこれは「ep」なのだ。Discogsでもそう区分けされている。が、じつは、LP/EPというカテゴライズ自体がもはや意味をなさないと。ゆえに近年のオウテカの膨大なライヴ音源リリースも、90年代末の時点でアルバム単位というものを相対化しているのだから、わからなくもない。フォーマットはどうでもいいから聴いてくれやである。

 メロディアスな『SIGN』に対してリズミックな『PLUS』。アンビエントな前者に対してビートがある後者。まったく正確な言い方ではないが、大雑把な印象ではそう言えるだろう。磨り潰されたノイズが脈打つ“DekDre Scap B”を序とする『PLUS』は、2曲目“7FM ic”でさっそく彼らの異次元ファンクをお披露目する。コラージュ音を派手に乱舞させながらリズミックに展開し、我々が認識する世界の外側へと連れ出すかのようだ。これはアルバムの目玉のひとつである。
 “marhide”ではいっきに音数を減らしながら、言うなれば、無機質なリズムに、気体となった音をかぶせている。そしてふたたびメタリックなファンク“ecol4”へと続くという具合だ。15分もあるトラックは、奇妙なメロディとアシッド・ハウス流のベースをともなって、半分過ぎにある長めのブレイクのあと折り返す。で、オプティミスティックでドリーミーな“lux 106 mod”を挟んで、もうひとつのクライマックス“X4”が待っている。ややAFXにも似たこの曲を聴いていると、自分が機械であることを忘れたドラムマシンが暴れまくっている光景を思い浮かべてしまうのだが、あなたはどうだろうか。
 オウテカのユーモアは“esle 0”の似非シンフォニーにも見て取れるが、トドメは“TM1 open”(オリジナル盤の最終曲)が引き受けている。高速で打ち鳴らすキックドラムの上を電子音が蝿のように旋回する様は、アフロにもアシッドにも聴こえる。曲は終わりに向けて静けさに包まれ、優雅な気配において締めるという案配だ。蜃気楼のようなボーナストラックの“p1p2”も、その最後の静けさを延長している。

 エレキング年末号では、驚くなかれ、オウテカの4万5千字インタヴューを掲載している。彼らは、『PLUS』が『SIGN』の残り物ではないことを強調していたが、それはわかる。茶目っ気は、たしかにこちらにある。『PLUS』は嬉しいアルバムなのだ。

Cuushe - ele-king

 京都から世界にむけてドリーミーなエレクトロニカ・ポップを発信してきたクーシェ(Mayuko Hitotsuyanagi)が、前作EP「Night Line」から5年の歳月を経て待望の新作アルバムをリリースした。アルバムとしては2013年の『Butterfly Case』より7年ぶりである。
 エレクトロニカ・リスナーにとっては、まさに待望のという言葉に相応しいアルバムだが、そんな聴き手の思い入れを吹き飛ばすほどに、とても強い意志が光のシャワーのように溢れていた。
 とはいっても過激な音楽というわけではない。2009年のファースト・アルバム『Red Rocket Telepathy』から続くエレガントでポップな音楽世界がアルバム全編にわたって展開されており、聴きはじめた瞬間にクーシェならではの透明な世界観に一気に引き込まれてしまうことに変わりはない。だから過去2枚のアルバムを長年愛聴してきた熱心なリスナーは安心してクーシェ的電子音楽世界に飛び込んでいってほしい。

 と同時に『WAKEN』には明らかに進化している面がある。変化ではなく進化だ(深化といってもいいかもしれない)。「WAKEN」というアルバム名どおり、朝の目覚めのような生命力に満ちたエレクトロニック・ミュージックとなっているのだ。
 まず、楽曲を包み込むサウンド・レイヤーの緻密さ、美しさが、これまでのアルバム以上に磨きがかかっている点だ。たとえば1曲め “Hold Half” を聴いてほしい。電子音、アナログ・シンセサイザー、ギター、彼女の声が折り重なりあい、大きなハーモニーを形成し、清冽な音響を展開していることがわかるはずである。
 続く2曲め “Magic” はややダークなムードのなか、少しずつ光が差し込んでいくような楽曲だ。無駄のないトラックの構成、和声感とメロディの絶妙さに聴き入ってしまう。ディレクター田島太雄、アニメーション・ディレクター久野遥子が手掛けたMVも楽曲の世界観を見事に映像化した傑作だ。

 加えてビート/リズムの深化にも注目したい。クラブ・ミュージックの音響と音圧を取り込んだ複雑かつ大胆なビートは、クーシェの歌と絡み合うことによって、彼女の音楽にかつてないほど疾走感を生み出すことに成功している。
 特にUKガラージ的なビートと、水墨画のような音世界のなかで、エモーショナルなヴォーカルを展開する “Emergence”、ドラムンベースを導入したミニマル・ポップな “Not to Blame”、重低音のキックに優雅なピアノを交錯する “Drip” などは、クーシェがこれまでと違うフェーズに突入したことを告げる楽曲たちである。
 そして最終曲 “Spread” では日本語の歌詞をはっきりとした声で歌唱する。ヴォイスのまわりに電子音のレイヤーが美麗に重なり、まるでエレクトロニカ・ウォール・オブ・サウンドのように壮大な音響を生成していく。アルバムの最後を飾るに相応しい曲であり、自分と心の中の宇宙とが交信していくような壮大で感動的な曲である。アルバムを聴き終えたとき、一作の物語を読み終えたような感慨に耽ってしまったほどだ。

 全曲、これまでのアルバム・楽曲以上に、メロディが明瞭になり、歌詞などの言葉と共に「伝えたい意志」がより明確になっていた。そしてベースとコードとビートの関係が密接になることでより疾走するようなエモーショナルな感覚が楽曲に生まれてもいた。
 かつて瀟洒なエレクトロニカ・ドリーム・ポップによって多くのリスナーを魅了したクーシェは、「夢」の世界から目覚めて、この不穏な「現実」を肯定し、2020年の世を力強く生きていく「意志」の音楽を作り上げた。
 その「肯定の意志」こそ、この現代おいて、とても大切な「希望」をわれわれに伝えてくれるものではないかと思う。多くの音楽ファンに届いてほしいアルバムである。

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