「Nothing」と一致するもの

る鹿 - ele-king

 モデルとして活動する一方、ゆらゆら帝国 “空洞です” のカヴァーで歌手としてもデビューを果たしている「る鹿」。昨秋リリースされたその最新シングル「体がしびれる 頭がよろこぶ」の7インチが7月17日に発売される。
 作詞は坂本慎太郎、作曲とプロデュースは山本精一という、豪華2名による書き下ろしの1曲。10月に出た12インチ・シングルには岡田拓郎食品まつりによるリミックスが収録されていたけれども、今回の7インチのB面ではなんと、いまぐんぐん注目度を高めている広島のエレクトロニック・プロデューサー、冥丁がリミックスを担当している。興味深い組み合わせによる化学反応、これは期待大です。

坂本慎太郎作詞、山本精一作曲・プロデュースによる、る鹿の3rdシングル曲「体がしびれる 頭がよろこぶ」と、世界のエレクトロニック~アンビエント・シーンで注目を集めるアーティスト、冥丁による同曲のリミックスをカップリングした7インチ・シングルのリリースが決定

モデルとして活動しながら、ゆらゆら帝国「空洞です」のカヴァーで2021年に歌手デビューしたる鹿。彼女が、真島昌利の楽曲提供による「遠い声」(21年)に続き、23年10月にリリースした3rdシングル「体がしびれる 頭がよろこぶ」。坂本慎太郎と山本精一という、日本のオルタナティヴ・シーンを牽引してきた二人の共作による書き下ろしで、キャッチーでダンサブルでありながらもサイケデリックな楽曲と、深遠でミステリアスな詩世界が絶妙に絡み合い、る鹿の新たな魅力を引き出している。その日本語ヴァージョンと、かつて存在した日本の情景をエレクトロニック、アンビエント、ヒップホップ、エクスペリメンタルを融合させたオリジナルな音楽で表現する広島在住のアーティスト、冥丁による同曲のリミックスをカップリングし、7インチ・シングルとしてリリースする。ホルガー・シューカイ「Persian Love」にも通じるねじれた浮遊感がたまらない冥丁のリミックスが含蓄に富んだ詩世界を増幅し、“頭がよろこぶ”こと必至。12インチに引き続き、アートワークには、1960年代からアートの最前線で作品を発表しつづける巨匠、沢渡朔による撮り下ろし写真を使用。また、4月3日より冥丁リミックスの先行配信も予定されている。

■る鹿(るか)
中国出身。2015年にスカウトされモデルとしてのキャリアをスタート。ファッション雑誌でモデルとして活動する傍ら、2021年にはビクターエンタテインメントより歌手デビュー。各界クリエイターも注目する話題曲のリリースが続き、唯一無二の存在としてアーティストとしての活動にも注目が集まる。また一児の母として、仕事と子育てに奮闘中。
https://www.instagram.com/luluxinggg

《商品情報》
アーティスト:る鹿
タイトル:体がしびれる 頭がよろこぶ
商品番号:P7-6612
フォーマット:7 INCH SINGLE
価格:定価:¥2,475(税抜¥2,250)
発売日:2024年7月17日(水)
初回生産限定盤

収録曲
A) 体がしびれる 頭がよろこぶ (Japanese)
B) 体がしびれる 頭がよろこぶ (冥丁Remix)

《ライブ情報》
UNION SODA “7th Anniv” Live
公演日:2024年4月5日(金)
会場:UNION SODA(〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名1-1-3-201)
ACT:荒谷翔太(solo set)、る鹿
FOOD & DRINK:出張ほぐれおにぎりスタンド / cocoperi(今泉スパイスカレー)/ Hobo Beer Store / UNION SODA
時間:OPEN 19:00 / START 20:00
チケット:前売 ¥4,500 / 当日 ¥5,000
※1 drink order 600円 / 全席自由 / 並び順入場 / スタンディング / ドリンク&フード持込み不可
※店頭での販売なし / お一人様2枚まで購入可
https://t.livepocket.jp/e/r1f6y
問合せ:070-5270-3937(平日11:00~18:00)
協力:bud music / Herbay / Luuna management / Cloudy

Ichiro Tanimoto - ele-king

 パンデミック以降の東京の地下シーンで絶大な支持を集める新世代のトランス・カルト・クルー〈みんなのきもち〉の中心人物であるIchiro Tanimotoが、デビュー・アルバム『Solace From The Sun』を発表する。7038634357などの作品を輩出した中国・上海発のインディペンデント・レーベル〈Genome 6.66 Mbp〉より3月16日にリリース。

 『Solace From The Sun』はIchiro Tanimotoが音楽家を志す契機となった2020年に端を発し、4年の制作期間とともに自身の揺れ動く心情や混乱のなか掴んだ美学を14曲に託した意欲作。アルバム・タイトルの「solace=慰め」とは、あらゆる失意や苦難を洗い流すかのような朝焼け──レイヴやパーティの最後に全身を包むあの朝日──にインスパイアされて名付けられたとのこと。トランス・ミュージックでありながらほぼ全編がビートレスという構成も特徴的で、2010年代にかけて局所的に発展したウィッチ・ハウス、デコンストラクテッド・クラブやハイパーポップの源流とされるバブルガム・ベースが再発掘したSupersawサウンドの美しさに迫る内容となっている。

 世界的なトランス・リヴァイヴァルの潮流に乗っているようで、決してそうではない二面性が感じられるベッドルーム発のイマジナリーなクラブ・ミュージック、あるいはパンデミック禍がもたらしたアンビエント・ミュージックの突然変異体とでも言えるだろうか。そんなIchiro Tanimoto率いる〈みんなのきもち〉は、3月から5月にかけて台北、愛知、東京、シンガポール、北京、上海、成都、深圳を巡るアジアツアーを敢行することも発表しており、また同クルーのレーベル・ラインである〈Mizuha 罔象〉においても複数のリリースが控えている。

 COVID-19の影が世界を覆ったころ各地に撒かれた次世代の萌芽は、ポスト・コロナの時代を迎えたいま確実に花を咲かせはじめているようだ。

Ichiro Tanimoto – Solace From The Sun

Tracklist

01. New Dawn
02. Under The Same Sky
03. Sun Chorus
04. Lost Weekend (Spring)
05. 洗心
06. Green Sky
07. Yamatsumi
08. Still Air
09. 白夜 Midnight Sun
10. Lost Weekend (Winter)
11. Cave ft. Silént Phil
12. The Final Attempt Against Oblivion, 7 Minutes Before The Sunrise
13. Sunday Morning At Shibuya Crossing
14. A Worse Tomorrow

Artwork by Kazuma Watanabe (みんなのきもち)
Mastered by Lorenzi
Label: Genome 6.66 Mbp
Release Date:
Format: Digital

https://ichirotanimoto.bandcamp.com/album/gnm034-solace-from-the-sun

Seekersinternational & Juwanstockton - ele-king

 日本のダブ・レーベル〈Riddim Chango〉から初のアルバムがリリースされる。カナダのエクスペリメンタルなダブ作家チーム seekersinternational と juwanstockton による共作だ。サンプリング主体で制作されたというそのアルバムは、どこかJ・ディラ『Donuts』を彷彿させる感覚も持っているようだ。ヴァイナルを買おう。

Artist: seekersinternational & juwanstockton
Title: KINTSUGI SOUL STEPPERS
Catalog Number: RCLP001
Format: LP・アナログ盤

Side A:
1. AKAI Telecom
2. Bruk Encounter
3. Shinjuku Skanking
4. Never 4get EDIT

Side B:
5. Wind Rider
6. Mercury Rising
7. Riddim Changes pt.1 & 2

Recorded at Aquaboogie Studios, East Richmond, BC and Aki’s Kitchen

Tracks 2 & 5 featuring Manila Dread Horns, recorded at The Penthouse, Quezon City, Metro Manila

Artwork by Boram Momo Lee
Layout by Zongchang

■発売日:2024年3月15日

serpentwithfeet - ele-king

 エクスペリメンタルなR&Bでクィアなエロティシズムをエレガントかつ妖艶に奏でてきたサーペントウィズフィートことジョサイア・ワイズは、本作の予告的な位置づけだったという舞台作品『Heart of Brick』を昨年上演している。日本では観るすべがないので海外評などを読むしかないのだが、ブラック・クィアのクラビングを題材にしたもので、彼らの恋愛的ないざこざをクラブを舞台にして軽妙に描いたミュージカル的な作品だったようだ。想像するにブラックのゲイやクィアの恋愛や友情を飾らずに提示するものなのだろう。それはアメリカでもいまだポップ・カルチャーのなかであまり見られないもので、ワイズがサーペントウィズフィートの表現として意識的に世に出そうとしているのだと推察できる。〈ザ・ニューヨーク・タイムズ〉の劇評を読んでいて自分が興味を持ったのは、「だがほとんどの場合、このショーはセックスではなくゆっくりとしたロマンスの恩恵についての、心地よく快適な体験である。恋人たちは後ろからハグをするが、キスさえしない」という箇所だった。セックスへの期待や興奮よりも、リラックスした親密さこそがゲイ・クラブで求められているというのだ。何かとセクシュアルなイメージが求められるゲイのクラビングにおいて、これはけっこうレアな例ではないかと思う。
 ただ、それはサーペントウィズフィートが前作『DEACON』においても追及していたことだった。デビュー作『soil』では絢爛なオーケストラとともにドラマティックに性愛を描いていたワイズだが、『DEACON』ではもっと落ち着いた雰囲気で恋人と過ごす時間の心地よさを噛みしめていたのだ。とりわけ自分が惹かれたのはミドルテンポの柔らかいR&Bナンバー “Same Size Shoe” で、彼氏と靴のサイズが同じだから共有できるという内容のものだ。その他愛のなさ。けれどもそこでは、同性愛であること(同じサイズの靴)と日常的な安らぎの両方が鮮やかに示されていた。

 その点、3作目となる『GRIP』は『Heart of Brick』と同様ナイト・クラビングからインスピレーションを得た作品であり、タイ・ダラー・サインとヤング・ヤヤが参加した1曲目 “Damn Gloves” のダークなムードに象徴されるように、前作に比べて緊張感が戻ってきている。この曲はノサッジ・シングがプロデュースに入っており、もう1曲彼が参加した “Hummin'” といい、重たく硬めのビートによって前作に比べればハードな印象を与える。
 しかし同時に、“Safe Word” や “Lucky Me” といったラテン・フレイヴァーのあるアコースティック・ギターが耳に残るアトモスフェリックなソウル・チューンが醸すソフトな側面にぐっと引きこまれるアルバムでもある。ざっくり言えば1枚目と2枚目のよい部分を融合させた3枚目と位置づけられるかもしれないが、フランク・オーシャンの長い不在のなかで、サーペントウィズフィートはブラック・クィアとしての性愛表現とオルタナティヴR&Bの「次」を本作では模索しているようなのだ。
 深いリヴァーブによる濃密な空気に包まれた “Deep End” はアルバム中もっとも緊張感と親密さがせめぎ合う一曲で、そこでワイズは「ぼくたちが愛し合ったあとで、ぼくたちがファックしたあとで」と透明なファルセットで歌う。硬と柔、聖と俗、そしてメイク・ラヴとファックの間をさまようこと、あるいはそれらを行き来すること。クラブで出会った相手と「一夜限りの関係」が続けば、それは甘いロマンスになるのだろうか? そんなどこにでもある、しかし切実な問い。ゴスペルの影響は健在ながら、ホーリーなムードが強かった初期を思えば『GRIP』はより大衆的な場所でモダンR&Bとして実験とポップの駆け引きを演出するアルバムである。
 “Damn Gloves” でダーティなビートと戯れながら「きみにオペラより長いキスをする」と歌うのを聴きながら、あるいは “Lucky Me” でメロウなギター・サウンドに包まれながら「きみがいてくれて幸運だよ」と告げるのを聴きながら、あらためてジャケットを眺めてみる。大胆なイメージだと思う。けれどもそこでは、刹那的なエロスよりも肌と肌が重なることの心地よさと安らぎが希求されているのだ。

〈TEINEI〉 - ele-king

 東京から新たにアンビエントのレーベルが生まれた。その名も〈TEINEI〉。「丁寧」だろうか? ともあれ4月7日にまずは2作品が発売される。
 ひとつは、これまで自身のレーベル〈Purre Goohn〉から10年にわたり作品を発表しつづけている東京のアンビエント・アーティスト Haruhisa Tanaka によるアルバム。
 もうひとつは、フランスのレーベル〈LAAPS〉をはじめこちらも10年以上にわたりリリースを重ねているサウンド・アーティスト Tomotsugu Nakamura (坂本龍一トリビュート・コンピ『Micro Ambient Music』にも参加)のアルバムだ。
 〈TEINEI〉は今後も意欲的に活動を継続していくようで、注目しておきましょう。

アンビエントの新興レーベルTEINEIが
注目の邦人アーティスト2名のアルバム作品をデジタル配信とヴァイナルでそれぞれ
ダブルリリース!

東京を拠点する新興のアンビエント・アートレーベルTEINEIから、2名のアーティストのアルバム作品が配信とヴァイナルでそれぞれ4月7日に全世界向けにリリースされる。

TEINEIの第一作となるのは、カナダの老舗名門レーベル、Nettwerk Music Groupに所属したことでもしられる東京在住のアンビエント・ミュージシャン/音楽プロデューサー Haruhisa TanakaのNayuta。

Spotifyのアンビエントジャンルにおいて国内月間リスナー数No.1を誇り、Best of Ambient X 2023にも選出された現在最注目のアーティストの初ヴァイナル作品となる本作は、ギターレイヤーサウンドをベースに、環境音、アナログテープループ、オールドテクノロジーを駆使し、温かみのあるノスタルジックなサウンドが特徴の多幸アンビエント作品。

【リリース情報】
ARTIST : Haruhisa Tanaka
TITLE : Nayuta
CATALOG No : TEINEI-001
RELEASE DATE:2024/4/7
FORMAT:Digital / Streiming / Vinyl
LABEL:TEINEI

【トラックリスト】
01. Akatsuki
02. Waterfowl
03. Boundary
04. Nijimi
05. Hagoromo
06. Form
07. Kasumi
08. Cha tsu mi

TEINEI-001  Haruhisa Tanaka ”Nayuta”
https://linkco.re/EU4g4szG


同時発売となる第二作は、静寂をテーマとした坂本龍一氏のトリビュートアルバムMicro Ambient Musicにも参加し、2020年代に入ってフランスの有力アンビエントレーベルLAAPSから発売されたヴァイナル作品2作が軒並み完売となったサウンドアーティストTomotsugu NakamuraによるMoon Under Current。アコースティックサウンドとアナログシンセによって紡がれた今作は音と静寂の合間に生じる余白を楽しむことができるアンビエントミュージックの佳作となっている。

【リリース情報】
ARTIST : Tomotsugu Nakamura
TITLE : Moon Under Current
CATALOG No : TEINEI-002
RELEASE DATE:2024/4/7
FORMAT:Digital / Streiming / Vinyl
LABEL:TEINEI

【トラックリスト】
01. rain boundaries
02. dust
03. mahogany
04. moderate
05. temple / cathedral
06. blue lake
07. starfish
08. white screen

TEINEI-002   Tomotsugu Nakamura ”Moon Under Current”
https://linkco.re/ZA8e0Syt

同氏がレーベルオーナーをつとめるTEINEIは、アートレーベルと銘打っており、芸
術家、音楽家のコラボ出版を手がけるフランスのIIKKIなどとも連動しながら注目
の活動をつづけてゆくようだ。

https://teinei-label.com/
https://teinei.bandcamp.com/

Alex Deforce & Charlotte Jacobs - ele-king

 声と音。言葉と音。その交錯、その融合、その反発、その共存。独自の世界観を持ったアルバム『Kwart Voor Straks』は、それらの問題を考えるヒントが込められていた。非常に批評的な音楽作品であった。
では、このアルバムを作ったのは誰か。ひとりは、ベルギーはブリュッセルにおいて詩人として活動しているアレックス・ディフォースである。もう一人は、ブルックリンのサウンドアーティスト/ボーカリスト シャーロット・ジェイコブである。この二人のコラボレーション・アルバムが本作『Kwart Voor Straks』だ。
 リリースは、ベルギーのエクスペリメンタル・ミュージック・レーベル〈STROOM〉からである。この〈STROOM〉は、オランダのニューウェイヴ・バンドW.A.T.の『WORLD ACCORDING TO』の再発、ヴォイス・アクターのアルバムなど、リイシューから新譜まで広くリイシューしている注目のレーベルだ。 
 昨年リリースされたヴォイス・アクターの新作『Fake Sleep』もそうだったが、「声と電子音」のミックスも、このレーベルの方向性なのだろうか。じじつ本作『Kwart Voor Straks』も、アレックスとシャーロット、二人の声によるポエトリーリーディングと独創的でどこか優雅な電子音のミックスによる楽曲によって成立している。
 『Kwart Voor Straks』 のポエトリーリーディングとエレクトロニクスのコンビネーションによるサウンドは、なかなかユニークである。実験的な電子音楽からリズム/ビートを導入したトラックまで変幻自在なサウンドを展開し、そこにアレックスの言葉がレイヤーされ、まるで映画/演劇のサウンドのような音世界を存分に展開しているのだ。
 越境的な音楽・音響作品であり、ある意味では、アレックスとシャーロットによるヴォイス・パフォΩマンスを音源として定着した作品ともいえる。ここで語れている「詩」を理解できる能力を持たな自分としては、本作を(無理を承知で)まずもって声と電子音による「電子音楽作品」として位置付けしたい。

 じっさい声と電子音というのは不思議と相性が良い。有機的なものと無機的なものという対称的なものだからという面もあるだろう。声の持っている「音の肌理」と電子音が放つ「音の肌理」の相性はとても良いように感じるのだ。どちらの「音」のテクスチャーが複雑かつ繊細、かつ強靭という意味で。
 アルバムには全7曲収録されている。1曲目“Kwart Voor Straks (Deel 1) ”では、アレックスによる詩を朗読する「声」がグリッチ状に加工され、そこに透明なシャーロットの歌声に近い「声」が折り重なる。この見事に対称的な音/声は、本作のサウンドを象徴しているように感じられた。声がエディットされ電子音に近くなることで、より物質的な音になるし、なにより「声」の言葉を伝えるという機能性が若干「遅延」するような感覚も生まれ、その「ズレ」の感覚こそ、本作の肝ではないかと思ったのだ。2曲目“Kwart Voor Straks (Deel 2+3)”は曲名からして、1曲目からして連作だが、ミニマルで乾いた音色のピアノに、シャーロットの歌声が折り重なる曲だ。どこかフォーキーな印象があるが、時折、挿入されるアレックスの声/朗読と微かなノイズがレイヤーされていく。
 3曲目“Aeiou”(どうやら日本語モチーフにした言葉らしい)は声と電子音のコラージュ的な楽曲だ。4曲目“Turquoise”は二人の声のコンビネーションに、アトモスフィリックな電子音とどこか古典的な電子音のアルペジオが展開し、どこか映画の1シーンのようなサウンドを展開する曲である。5曲目“Mantra Voor Mikes”も声と電子音のコラージュ的なトラックだ。楽曲前半では実験的なドローン・サウンドに、二人の声による朗読と歌声が交錯し、中盤以降は、分断されたビートのようなサウンドへと変化していく。本作中でも多彩な音楽性が圧縮された曲といえよう。
 6曲目“Umami”(この曲名も日本語由来だという)では、リズムが明瞭化し、ウワモノのシンセがコードを鳴らすにより、さらに「楽曲」的になっていく。二人もユニゾンで朗読すれる。その結果、」「声」と「電子音」が一体化する。アルバムに満ちていた「ズレ」と」「遅延」の感覚が希薄なり、何かが統合されたような、感動的ともいえる躍動感に満ちた曲に仕上がっている。まさにこの曲こそアルバムのクライマックスともいえよう。アルバム最終曲にして7曲目“Dit Gedicht”もアレックスとシャーロットのユニゾンによる朗読に、透明な電子音が重なり、アルバムは終焉を迎えていくだろう……。

 『Kwart Voor Straks』は、電子音はドローン、ノイズ、テクノ、アンビエントと多彩なサウンドを展開しつつ、アレックスとシャーロットの朗読/歌声によって、どこか「アルバム全体でひとつの楽曲」とでもいうような不思議な統一感が生まれている作品だ。
 何より、他にはない独自の世界観に満ちているアルバムなのである。エレクトロニック・ミュージックの形式を包括しつつも、しかし、ジャンル内の方法論のマナーにとらわれることなく、自由に音楽/音響世界を展開している、とでもいうべきか。だからといって破壊的というわけでもない。どこか優雅なのだ。貴族的な実験音楽作品?
 しかし不穏と不安に満ちた現在において、この「優雅さ」はとても貴重とも思う。未聴の方は日常のふとした隙間にこのアルバムを1曲目から聴いてみてほしい。時代の空気から浮遊しているような、エレガントな電子音楽作品とわかるはず。何より声と電子音のエレガントな舞踏のように鳴り響いていることに驚きを感じるはずだ。声と音。歌声と電子音。声とノイズ。有機と無機の交錯。そんな優雅で実験的な音の舞、音の舞曲、それがこの『Kwart Voor Straks』なのである。


Philip Glass - ele-king

 2024年1月にリリースされた『フィリップ・グラス・ソロ』は、フィリップ・グラスが、彼自身の曲を、彼がいつも作曲で使っている自宅のピアノで弾いた、隅々までグラス本人の息がかかったアルバムである。
 この個人的で親密なアルバムを作ったきっかけはCOVID-19のパンデミックだ。あれから4年も経ったのかと、今考えると遠い日々のようにも思えるが、2020年4月頃からしばらくの間、これまでの価値観、生活習慣、経済や社会の仕組みなど、多かれ少なかれ世界中の誰もが再考を迫られた。音楽界への影響として、コンサートや音楽フェスティヴァルの中止の知らせが常に国内外を駆け巡り、その代わりにコンテンツ配信が盛んになった。長年マンハッタンに暮らすグラスにももちろんパンデミックの影響があった。
 収録曲は全7曲。1曲目 “オープニング(Opening)” は1981年に作曲され、1982年のアルバム『グラスワークス(Glassworks)』に収録されている。2曲目 “マッド・ラッシュ(Mad Rush)” は元々ダライ・ラマのニューヨーク初訪問を記念したオルガン曲として1979年に作曲された。後にピアノ・ソロに編曲され、グラス自身もこの曲をコンサートで演奏することが多い。3〜6曲目 “メタモルフォーシス(Metamorphosis)”I , Ⅱ, Ⅲ, Ⅴはカフカの小説『変身』から着想を得たピアノ曲で、作曲は1988年。音楽的には、この曲は1曲目の “オープニング” をさらに発展させた楽曲といえる。この2曲の関係に限らず、グラスの楽曲では、一つのテーマやパターンを他の曲と共有していることがしばしば起こる。それゆえに、どの曲を聴いてもなんとなく似ている印象を与える。7曲目の“トゥルーマン・スリープス(Truman Sleeps)” は1998年に公開された映画『トゥルーマン・ショー(The Truman Show)』のサウンドトラックをピアノ・ソロへと再構成したもの。どの曲も今ではコンサートのレパートリーとして、グラスのみならず、世界各国のピアニストによって数多く演奏されており、このアルバムの選曲はグラスのピアノ曲のベスト盤と呼べるだろう。
 1937年生まれのグラスは音楽家として半世紀以上にわたって絶えず音楽活動を続けてきた。ミニマル音楽の創始者のひとりであると同時に、今では映画音楽、交響曲、オペラの分野でも活躍している。パンデミック以前は作曲、演奏、新作初演といった慌ただしいスケジュールに追われて世界を飛び回っていた彼だが、他の多くのミュージシャンと同じく、パンデミックによって対外的なスケジュールのすべてが止まってしまった。その期間、つまり2020年から2021年の間は、彼自身が何年も演奏してきた自作のピアノ曲に改めて向き合う期間となった。「このアルバムは2021年のタイムカプセルのようなものであり、また、この数十年の作曲と演奏のふりかえりでもある。言い換えると、私の最近の音楽観のドキュメントなのだ。」*1と彼は語る。
 ミニマル音楽の作曲家(本人はこう呼ばれるのが本意ではないらしいが)として知られているグラスは、作曲活動と同じくらい演奏活動にも積極的にかかわってきた。高度な演奏技術と、時に作曲家の哲学と独自の方法のもとで記された楽譜の解読を要する現代音楽の場合、作曲家は作曲に徹し、演奏はその道のプロフェッショナルな演奏家に託すのが一般的だ。だが、グラスはこのような分業性をあまり好まない。

 作曲家に演奏のスキルは必要ないという考えがどこから来たのか、私にはまったくわからない。曲を書くのと演奏するのは別だとしてしまうなんて、ばかげている。音楽の根本的な性質を誤解している。音楽とは何よりもまず奏でるものであり、単なる研究対象ではない。
 私にとって、演奏は作曲にとって欠かせない部分だ。今の若い作曲家たちを見ると、みな演奏もしている。それは私の世代に勇気づけられてのことだ。われわれはみな演奏家だった。自分の曲の解釈を自ら行うということ自体が、われわれの反抗の一部だったのだ。*2

 グラスの言葉をふまえると、彼の肩書きをコンポーザー・パフォーマー(作曲家兼演奏家)、または、単に音楽家やミュージシャンとした方が彼の信念と活動に即しているのかもしれない。
 フィリップ・グラス・アンサンブルを率いるグラス、ドローン音楽の「グル」として影響力を持ち続けるラ・モンテ・ヤング、日本滞在5年目を迎えたテリー・ライリー、今もステージに立って「クラッピング・ミュージック(Clapping Music)」を自ら演奏するスティーヴ・ライヒ—ミニマル音楽の第一世代とされる彼らの出発点は、自身の音楽を演奏するために結成されたアンサンブルやパフォーマンスのグループだった。誰かが演奏してくれるのを待つのではなく、自分の音楽を自分たちで演奏して、観客の反応を直に感じ取る。これはインディーズやメジャーを問わず、バンドやミュージシャンにとっては当たり前のことだ。だが、グラスをはじめとするミニマル音楽の長老たちは、1950年代、60年代の現代音楽、前衛音楽、実験音楽の文脈のなかで高度に分業化されてしまった慣習に異を唱えながら、コンポーザー・パフォーマーとしての態度を一貫してきた。アルバム『フィリップ・グラス・ソロ』はピアノと真摯に向き合う彼の姿を聴くことができる。
 ジュリアード音楽院で作曲を志すようになってからもピアノの練習を欠かさず、グラスはピアノの技術を磨いてきた。また、彼は作曲の大半をピアノで行っている。彼にとってピアノは特別な、そして最もなじみ深い楽器のひとつである。だが、彼のピアノ演奏は技術を披瀝するためのものではない。むしろ、音、音楽、作曲、楽器へのアプローチを彼自身が一演奏者として客観的に確かめていく手段なのだろう。このアルバムに収録されている全7曲はピアノ演奏の難易度でいえば、間違えず楽譜通りに弾くだけなら、むしろ易しい部類に入る。ピアノを齧ったことのある人向けにより具体的な例をあげると、チェルニーの30番練習曲(正式名称はカール・チェルニーによる『30の技巧練習曲』作品849)程度を弾ければ、この7曲を難なく弾くことができるはずだ。繰り返すが、楽譜通りに弾くだけならば。
 グラスのピアノ曲はリズム・パターンを何度も何度も繰り返しながら、新たな和音やパターンへとゆっくりと変化する。ほとんど全部の楽曲がこの方法で構成されていて、見ようによっては(聴きようによっては)、とても単調でつまらない音楽に聴こえてしまうだろう。しかし、パターンの変化の様子を詳しく見てみると、調(キー)と和音(コード)の特徴を知り尽くしたうえでの緻密な音の操作によってできていることがわかる。グラデーションのように変化するパターンと、その構成力はグラスの職人技といってもよい。
 一見、誰も弾けそうなピアノ曲を作曲者であるグラスはどのように弾いているのだろうか。彼は自分の曲だからといって好き勝手に歪曲させることはなく、出版されている楽譜通りのテンポ、強弱、抑揚その他の演奏記号や演奏指示に忠実に弾いている。筆者は実際に楽譜と突き合わせながら彼の演奏を聴いてみて、そのことを確かめた。彼は専業ピアニストではないし、今はかなりの高齢でもある。彼が1980年代に録音した同じ曲の演奏*3と比べると、このアルバムでの演奏には曲中のすばやいパッセージではリズムの粒が揃っていない箇所も散見される。だが、そんなことを指摘しても、ここに収められているグラスのピアノ演奏に対する評価としては無意味だ。他のピアニストたちによるこなれた演奏*4とは明らかに違う観察眼で、彼は自分が過去に書いた音を一つ一つ注意深く確かめながらピアノを弾いている。
 先に引いたグラスの言葉を思い出すと、このアルバムはひとりの音楽家のドキュメントである。そのドキュメントは、音楽を追うだけでなく、音楽家の日常生活の一端を見せる生々しさを呈する。時折、ピアノの音色の背景で微かに聴こえる警報器の音や雑踏が、このドキュメントをより鮮明に描いている。

*1 Philip Glass, “Glass Notes: Philip Glass Solo,” https://philipglass.com/glassnotes/philip-glass-solo/ Accessed February 2024.

*2 フィリップ・グラス『フィリップ・グラス自伝 音楽のない言葉』高橋智子監訳、藤村奈緒美訳、東京:ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス、2016年、118頁。

*3 グラス自身がピアノを弾いているアルバム『グラスワークス(Glassworks)』(1982)と『ピアノ・ソロ(Piano Solo)』(1989)のなかで『フィリップ・グラス・ソロ』に収録されている曲を聴くことができる。聴き比べてみるとおもしろい。

*4 たとえば、アイスランド出身のピアニスト、ヴィキングル・オラフソンのアルバム『フィリップ・グラス ピアノ曲集(Philip Glass: Piano Works)』(2017)での “グラスワークス:オープニング” の演奏は、音の強弱の付け方やテンポのゆらぎの点で、グラスの抑制された演奏とは違う、よりロマンティックな解釈だ。

 松岡正剛さんとデイヴィッド・ボウイは似ている。いや、外見の話ではないですよ。ともに読書家でともに独学者ということを言いたいわけでもない。階級社会のイギリスの、こと左派圏内では「独学」の意義も評価も日本とはだいぶ違う。ブライアン・イーノも独学者のひとりだし、本の虫で知られるアフロ・フューチャリストのサン・ラーもそう、『遊』もまた独学推奨の一面をもった雑誌だった。が、ぼくがここで問題にしたいのは、ともに「自然であることは単なるポーズ」といったオスカー・ワイルドを愛読したという共通項でもなく、つまりこういうこと──ボウイの作品においてはロックンロールもひとつの手段に過ぎず、ミュージック・ホールもエレクトロニクスもフォークもヘヴィメタルもジャズもソウルも、ヘンドリックスもディランも、ニーチェもバロウズも、歌舞伎もリンゼイ・ケンプも好きなように自在に借用する。自らを「コピーマシン」と称したこのひとこそ、ポップ史上もっとも編集感覚を武器としたポップ・ミュージシャンにほかならない(そして「もどき」を大衆化した罪深き第一人者である)。

 松岡さんの研究と関心(ないしは批評対象)の範囲は広大で、情報として享受できるものほぼすべてにある。なにせあの「千夜千冊」のひとだ。いったい松岡正剛とは何者なのかと若い世代が杳茫たる気持ちになるのも無理はないけれど、ぼくが思うにその多岐にわたる活動の核にあるのは「編集」だ。いまから35年前のことである。「野田ぁ、俺は生涯一編集者だ」と松岡さんは言った。もちろんこれは野村克也の「生涯一捕手」のパロディでありオマージュだが、松岡さんにとって「編集」とは自分の帰る家であって自らの思想、ぼくはそう受け止めている。それは世界を見るうえでの知的技術であって、わかりやすく近視眼的に喩えるなら「ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを知っていることが重要ではなく、美空ひばりも同じように知っているかどうか」という35年前に言われた話になる。大きく喩えるなら、日本という国は編集されてきたという表現へと発展する。

 『情報の歴史』プロジェクトを聞いたのは35年前、いや、36年前、いやいや37年前だったかもしれない。当時これは松岡さんの「編集工学」というコンセプトを具体化するもっとも初期の試みだった。いま思えば面白いことに、実験的といえるこの編集作業をはじめる際に言われたのは、たったのひと言、「年表だけの本を作る」。説明も写真もなく、代わりに編集的な「リード」「見出し」「小見出し」が入った年表、そして専門的に分けられている分野(世界史、日本史だけならともかく、文学史、哲学史、科学史、美術史、風俗史、大衆文化史などすべて)をヨーロッパ中心主義にはならぬよう並列させるという大胆な「編集」によって、まったく斬新な年表が具現化されていった。

 話は逸れるが、松岡さんの功績のひとつは海外文化ばかりを追いかけている若者に日本文化の魅力を伝え、唯物論者に宗教学を、哲学好きに民俗学を、文学青年に理系の面白さを説いたところにある。ハイ・カルチャーしか知らないひとにロー・カルチャーを教え、その逆もやると。『情報の歴史』はそうした越境的な流動性と編集技術を極限まで活かした松岡イズムの賜物だ。初版本の制作に関わらせていただいた身(縄文時代担当)として、もうひとつ書いておきたいことがある。現代ならインターネットを利用してその年の出来事など簡単に探査できるのだろうが、当時そんな便利な物はなく、図書館でなるべく多くの書物にあたって調べ、年表化していったことは少なくない。『情報の歴史』に参考文献を掲載したら、とんでもない量のリストになるだろう。骨の折れる作業だったけれど、たしかにこれは編集力で作る本だった。

 年表は二次元世界の表現だが、「見出し」「小見出し」という編集技術の遠近法が時代の臨場感を創出している。資料というよりは読んで楽しめる本になっているから、5刷りまでいくほど売れたのだろう。だいたい歴史を俯瞰できるということはなかなか爽快な経験で、気づきの契機をうながしもする。この本においては、いま自分が飲んでいるペットボトルが中東社会とも宇宙のブラックホールとも無関係にあるとは言えなくなるのだ。というわけで、「個人的なことは政治的」というポストパンクのモットーもこの年表のパースペクティヴのなかに読み取ることができるかもしれない。

 マーシャル・マクルーハンがじつに編集的な著書『グーテンベルクの銀河系』において、電子メディアの普及(この当時は電話回線などを指している)によって現出されるであろう「グローバル・ヴィレッジ」を説いたのはザ・ビートルズが登場する1962年、スチュワート・ブランドが『ホール・アース・カタログ』を創刊したのはザ・ビートルズが世界初の衛星中継にて“愛こそすべて”を歌った翌年の1968年、『情報の歴史』は、ポスト60年代をじゅうぶんに予見したこれら二冊に対する松岡さんからの回答のようにぼくは思っていたが、『情報の歴史21』をぱらぱらとめくって、その考えをあらためて強めた。2010年以降の「見出し」「小見出し」にはweb2.0以降の文化環境を象徴する言葉が目につき、当たり前といえば当たり前の話だけれど、ここ20年で起きたメディア環境の破壊的な変化をとうてい無視することができない松岡さんがいる。皮肉なことに、マクルーハンの言った「グローバル・ヴィレッジ」はまさにいま電子のムラ社会を生んだ。さらなる皮肉もある。松岡さんが「年表」のサブジェクトに「情報」という言葉を使ったことは先見の明だったが、21世紀では音楽のほとんどが「作品」ではなく「情報」として消費されている。

 J.R.R.トールキンの世界に惑溺したマーク・ボランは数々の名曲を作りグラム・ロックのスターになった。が、その寿命は短く、数年後には行き詰まってもいる。若い頃はなんども失敗を重ね、何かひとつのことにアイデンティファイしなかったデイヴィッド・ボウイは編集的な自由を得たことでジギーとなり、最後の作品においても後ろ向きになるどころか当時の彼の共感(ヒップホップやジャズ)が編集されている。ボランは天才肌のひとで、ある意味作家タイプだったといえるなら、「編集」は、天才でも作家でもないひとにとっては有益なメソッドになりうるだろう。

 『情報の歴史21』のページをめくりながら、情報の氾濫と言われている昨今の、この先の情報の歴史はどうなるのだろうかという話にもなってくる。19世紀にはごく一部の西欧エリートが訴えていた進歩への懐疑も今日では音楽やら映画やら大衆文化の一部となっている。とはいえ歴史とは、過去が淡い色のユートピアではなかったことを教えてくれる。忘れがちだが、いまのほうがいいことだってある。誰もが思い描くディストピア物語ではない、前向きな未来への筋書きをここからどう描いていけるのか、そのヒントも『情報の歴史21』にはあるはず、と生涯一編集者の背中を見ながら20代を過ごしたぼくは思うのである。

Shuta Hasunuma - ele-king

 昨秋、聴きどころ満載のソロ・インスト・アルバム『unpeople』を送り出した音楽家の蓮沼執太。同作をサウンド・インスタレーション化した『unpeople -初演-』が3月20日に開催される。会場は草月プラザのイサムノグチ石庭で、展示とライヴのあいだのようなパフォーマンスになるそうだ。公演は3回に分けられているため訪れやすい上に、なんとお土産(ライヴ音源)まであるという。詳しくは下記をご確認あれ。

蓮沼執太
unpeople -初演-
草月プラザ イサムノグチ石庭『天国』回遊型

2024年3月20日の春分の日、草月プラザにあるイサムノグチによる石庭『天国』にて、蓮沼執太によるライヴ・サウンド・インスタレーション『unpeople -初演-』を開催します。

本公演は2023年10月にリリースされた蓮沼執太ソロ・アルバム 『unpeople』のリリースを記念し、同アルバムをサウンド・インスタレーション化した音空間の中で行われるライヴ・パフォーマンスです。草月プラザ・イサムノグチの石庭を舞台にパフォーマンスとインスタレーションを行き来する1日限りの特別な公演。サイト・スペシフィックなコラボレーションにぜひお立ち合いください。

【メッセージ】

草月プラザ・イサムノグチ石庭『天国』でパフォーマンス作品発表をします。

公演は3つの時間帯にわかれています。お好きな時間帯をお選びください。会場は草月プラザ内にあるイサムノグチによる花と石と水の広場『天国』です。

オーディエンスのみなさんは、草月プラザ全体を回遊しながら石庭、立体音響、パフォーマンスなどの作品鑑賞が出来ます。

石庭内に15個ほどのスピーカーを配置し、立体音響空間を作ります。そして、数箇所の演奏エリアを設け、僕がそのエリアで演奏をします。サウンド・インスタレーションだけの時間もあれば、その音に合わせて僕が音を重ねる時間もある、という展示とライブの間のような公演になります。

さらに、佐藤円さんによる光と影、清水花さんによる映像投影、fragrance yes 山野辺喜子さんによる香り、ハラサオリさんによる僕の身体を使った指示書など、この石庭ではさまざまな要素が混じり合い、この日限りの特別な環境を作り上げます。

自然光がたくさん入る石庭では3つの時間帯でそれぞれ表情が変わっていきます。すべての時間帯で上演されるサウンド・インスタレーションは同じ楽曲を予定していますが、僕自身が演奏パフォーマンスする楽曲は毎回異なる予定です。僕もみなさんと同じように回遊型に参加しながら、即興的にパフォーマンスしたいと考えています。

今回の公演会場は、段差が多く安全柵の設置がないため、小さなお子様の入場ができません。また、車椅子でご参加される方は石庭のプラザ内に入ることは難しいのですが、会場エントランスにて、パフォーマンスの響く音、映像をモニターで楽しめるようにしております。

最後に。ご来場者の方にお土産(ライブ音源)を用意しています。後日配布されるお土産音源から、今回の公演空間の空気を思い出せますように。

蓮沼執太

【開催概要】
日時:2024年3月20日(水・春分の日)

会場:
草月プラザ
〒107-8505 東京都港区赤坂7-2-21 1階
https://www.sogetsu.or.jp/about/hq-building/plaza/

公演時間:
1st:Open 10:30 / Start 11:00 / 12:00
2nd:Open 13:00 / Start 13:30 / 14:30
3rd:Open 15:30 / Start 16:00 / 17:00

チケット料金:
5,000円(税込)音源付き

チケット取扱:
shutahasunuma.shop
https://shutahasunuma.shop/

お問い合わせ
windandwindows Inc. 
https://windandwindows.com/ info@windandwindows.com

音響:葛西敏彦、久保二朗(アコースティックフィールド)
映像:清水花
コレオグラフド·ドローイング:ハラサオリ
フレグランス:山野辺喜子(fragrance yes)
美術:中村俵太(HYOTA)
照明:佐藤円
舞台監督:高野洋
宣伝美術:田中せり
webサイト:石黒宇宙(gmprojects)
テクニカル協力:アコースティックフィールド
記録映像:井前隆一朗
記録写真:後藤武浩
制作:吉田裕一(SETENV)、河村美帆香
主催・企画制作:windandwindows Inc.

葛西敏彦
サウンドエンジニア。スタジオ録音からライブPAなど、場所を問わず音へのアプローチを続ける音響技師。主に蓮沼執太、高木正勝、大友良英などを手がける他、舞台作品への参加やサウンドプロデュースも行うなど、活動の幅を広げている。

久保二朗
立体音響を中心とする音響システムデザイン・技術開発・サウンドデザイン・コンサルティング等を専門とする音響エンジニア。ヘッドフォンおよびイヤフォンでの音楽リスニングに特化した高音質バイノーラルプロセッシング技術「HPL」の開発者。2007年株式会社アコースティックフィールドを設立。

佐藤円
音楽への照明デザインを軸にインスタレーション、展示空間、ダンス、写真、映像など、ジャンルの異なる分野のアーティストの作品に携わる

清水花
石川県出身。現在は東京を中心に映像制作を行う。

ハラサオリ
美術家、振付家、ダンサー。1988年東京生まれ。「環境と身体」をテーマに、自らの身体、光、音、テキスト、ドローイングなど多様なメディアを用いた上演型作品を制作する。約10年に渡るベルリン滞在を経て、2023年より東京、横浜、神戸、京都など国内各都市で活動を行う。2015年東京芸術大学デザイン科修了。2018年ベルリン芸術大学舞踊科修了。

fragrance yes 山野辺喜子
セラピスト/フレグランスコーディネーター。自身のアレルギー改善のため植物療法や食事療法を学び、家族の病を機に整体・介護などの技術も習得。身につけた知識や実体験を活かし、心身を癒すセラピストとして活動をスタート。オリジナルブランドfragrance yesでは「日々の暮らしに香り を添えこころとからだを整える」セルフケアというライフスタイルを提案し、ナチュラル・オーガニック素材を丁寧に選び、お子さまやお肌の弱い方でも安心してお使いいただけるスキンケア・ アロマ製品を提供している。

【公演の注意事項】
本公演は草月プラザ・イサムノグチ石庭『天国』内を回遊しながらご覧いただく公演です
・専有いただけるお座席はございません
・動きやすい靴、軽装でのご来場をおすすめいたします
・お荷物のお預かりはできません
・飲食物(ペットボトルのお飲み物以外)の持ち込みはできません
・段差が多く、安全柵の設置もないため、未就学児童のご入場はご遠慮いただいております
・車椅子でご参加される方は段差が多く石庭内へのご案内はできませんが、会場エントランスにて映像モニターでの鑑賞スペースにてご覧いただけます。事前に info@windandwindows.com までご一報ください

【チケット購入にあたっての注意事項】
・受付開始・開場は開演の30分前です
・お支払いはクレジットカード決済のみとなります
・決済完了後のお客様都合によるキャンセル、変更はできません

【ご入場方法】
・チケットを購入いただくと、ご登録のメールアドレス宛にチケットへのリンクが通知されます
・「チケットを表示する」をクリックするとQRコードを表示させることができます
・QRコードを窓口にご提示ください(スマートフォンでも紙に印刷したものでも構いません)

Shabaka - ele-king

 UKジャズ最重要サックス奏者のシャバカ・ハッチングス。これまでサンズ・オブ・ケメットシャバカ・アンド・ジ・アンセスターズコメット・イズ・カミングなどで果敢に音楽的冒険を繰り広げてきた彼だけれども、シャバカ名義によるフル・アルバム『美の恵み』がいよいよリリースされることになった。
 2022年のミニ・アルバム『Afrikan Culture』につづく作品で、フルート、クラリネット、尺八をメインに演奏。ゲストとしてブランディ・ヤンガー、カルロス・ニーニョ、アンドレ・3000、ミゲル・アトウッド・ファーガソン、フローティング・ポインツらが参加している。発売は4月12日。これは聴き逃せないでしょう!

Shabaka / Perceive its Beauty, Acknowledge its Grace
シャバカ
『美の恵み』

2024.4.12 ON SALE

SHM-CD:UCCI-1061
¥2,860 (TAX IN)
Impulse! / Universal Music

フルートを携えたシャバカの新たな挑戦の始まり
シャバカ名義でのデビュー・アルバム!
カルロス・ニーニョ、アンドレ・3000、フローティング・ポインツ等豪華アーティスト参加!

●UK屈指のサックス奏者で「新世代UKジャズ界のキング」と称され、サンズ・オブ・ケメット、シャバカ・アンド・ジ・アンセスターズ、コメット・イズ・カミングと3つのバンドを行き来しながら活動していたシャバカ・ハッチングス。この度ソロ名義の“シャバカ”として、アルバム『美の恵み(原題: Perceive Its Beauty, Acknowledge Its Grace)』をリリースすることとなった。

●今作は2022年にリリースしたEP『Afrikan Culture』をベースに、さらにシャバカらしさを追求した。

●シャバカはこのアルバムで、フルート、クラリネット、尺八を主に演奏。参加アーティストは、グラミー・アーティストのエスペランサ・スポルディング、ハープ奏者のブランディ・ヤンガー、カルロス・ニーニョ、アンドレ・3000、ミゲル・アトウッド・ファーガソン、フローティング・ポインツ、リアン・ラ・ハヴァス等、ジャンルを超えた精鋭アーティストが集結している。

●今作に関してシャバカは「このアルバムは私にとって、本当の意味での出発点です。私が演奏し、多くの方に認知されることになったバンドからの旅立ち、そして、フルートが私のもとにやって来ました。
このアルバムではたくさんのフルートを取り入れて、様々な音の領域を探求しています。先行シングルの「エンド・オブ・イノセンス」ではクラリネットを用いました。
私の人生初めての楽器はクラリネットで、私にとってメインの楽器であると考えています。だからこそ、自分が一番心地よい状態に立ち返ることが出来るんです。
参加メンバーに関しては、過去数年間の全米ツアーで出会い、尊敬してきたミュージシャンたちに声をかけたところ、全員がイエスと言ってくれました。彼らの演奏はいつも息を呑むほど素晴らしいです。
レコーディングは、私の音楽的素養を形成してきた多くのジャズ・アルバムのサウンドに影響を与えた、歴史的なスタジオのルディ・ヴァン・ゲルダースタジオに集まって行われました。ヘッドホンもセパレーションもない部屋での演奏は、ただその空間で一緒に演奏している雰囲気を捉えることが出来ました。」と語った。

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