「Nothing」と一致するもの

Cremation Lily - ele-king

 火葬された百合、クレメーション・リリィ。そんな不思議な名を持つユニットの新作がリリースされた。

 ロンドンを拠点とするクレメーション・リリィ(Cremation Lily)は、ゼン・ズイシゴ(Zen Zsigo)のソロ・プロジェクトである。彼は電子ノイズとシューゲイズの両極を往復するようなダーク・アンビエントを展開してきたアーティストだ。「火葬された百合」という名のとおり、どこか冥界を感じさせるムードのサウンドでもある。ゼン・ズイシゴの音には生と死の結晶がある、とはいささか大袈裟な物言いだろうか。
 くわえてゼン・ズイシゴはイギリスの現行のカセットテープ・カルチャーの重要人物でもある。ゼン・ズイシゴはクレメーション・リリィのほかにも、フォーエイジズ(Four Ages)、ライブモーケット(Livimorket)、ライフ・イン・ザ・ダーク(Life In The Dark)、ウィンター・オービット(Winter Orbit)名義/プロジェクトなどでもリリースを重ねてきた。現行ノイズ・アンビエント・アンダーグラウンド・カルチャーを、みずから主宰するカルト・レーベル〈Strange Rules〉をベースに、多数の名義を使いわけて、リゾーム状の活動を展開してきた人物なのだ。
 クレメーション・リリィとしては、〈Strange Rules〉からの多くのリリースをはじめ、ヘルムが運営するレーベル〈Alter〉からも音源(アルバム)をリリースをしてきた。個人的には〈Alter〉から2018年からリリースされた『In England Now, Underwater』、セルフリリースで発表された2020年の『More Songs About Drowning』にはかなりハマった記憶がある。
 初期作品では2017年に〈Strange Rules〉からリリースされた夢幻的なダーク・アンビエントの傑作『The Processes And Instruments Of Normal People; Trying And Failing, Falling And Water Running』などが強く印象に残っている。このレビューを書くたびに久しぶりに聴き直したが、今聴いても圧倒的な世界観/音響を実現しているように思えた。

 そして2022年、サンフランシスコの実験音楽レーベル〈Flenser Records〉から8作目のアルバム『Dreams Drenched in Static』がリリースされた。〈Flenser Records〉のレーベルカラーを実に体現した分類不能な作品でもあった。
 そう、この『Dreams Drenched in Static』は、ポスト・クラブ・ミュージック、ドローン、ノイズ、モダン・クラシカル、アンビエント、シューゲイズ、インダストリアル、ドゥーム、ブラックゲイズなどのサウンドが融解したエクストリームなサウンドなのである。

 『Dreams Drenched in Static』は全10曲によって構成されたアルバムだ。ミニマルなピアノ曲“Barely Remembered”で幕を開け、2曲目“Dreams Drenched In Static”、3曲目“Wavering Blood”では電子音のシャワーが光のようにトラックに降り注ぎ、粉々に破壊されたビートが断続的に鳴り響く。変調された「声」は歌の痕跡のようにそこにある。
 4曲目“I'm Done (Indefinite Light) ”以降は、刺激的な電子ノイズと沈み込むようなムードが共存しながらも、夢と現実の境界線が曖昧に溶け合ってしまうような音楽を展開する。5曲目“Body on a Lake ”は静謐なムードのなかダーク・アンビエントとヴェイパー・ウェイヴが入り混じるようなサウンドだ。6曲目“Moonlight Doses”は、月夜に鳴る壊れたオルゴールのごとき優美なアンビエント曲である。
 ここまで聴くと分かってくるように、このアルバムは、2曲目と3曲目では暴発する電子ノイズが湧き上がるエクストリームなトラックが展開されるのだが、次第に内省的なムードの曲調に変化していく構成になっている。絶頂へと至る快楽ではなく、夢のなかに彷徨うようなプラトー状態が続くとでもいうべきか。ノイズを基調にした音楽でこれは稀なことだ。いわばアンチ・クライマックスとでもいうようなアルバム構成なのである。
 シューゲイズ・ノイズ・アンビエント・R&Bとでもいうべき異形のトラックである7曲目“Selfless”では、ジャンルの領域が溶けだし、音楽と音の境界線が崩れ、心と知覚に雪崩こんでくるサウンドを生成する。崇高にしてジャンク、グリッチにして神秘的なムードがたまらない。8曲目“Overflowing Velvet Tide”ではギター・ノイズ的な音響によって生成されるアンビエント・トラック。9曲目“I Need To Stop Blaming Myself”は、7曲目と同様にアンビエント・R&B・シューゲイズとでも形容したい音楽性を展開するだろう。
 そしてアルバム最終曲にして10曲目“In Pain, Surrendering”はふたたび浮遊感のある白昼夢のようなピアノ主体の曲である。白昼夢から始まり、ふたたび新たな白昼夢へ。実に見事なアルバムの構成といえよう。
 
 以上、全10曲。ここに収録された楽曲たちは、いわば聴き手の意識を別領域へと連れて行ってくれるようなサウンドだ。電子音とノイズが横溢し、ヴォイスとメロデイが「音楽の残骸」のように掠れた音を発している。
 サイケデリックでヘヴィ。トリッピーでチル。シューゲイズでグリッチ。さまざまな音が溶け合うクレメーション・リリィの最新作は、まさに「エレクトロニカ」と「ロック」と、「アンビエント」と「シューゲイザー」と「電子音響」と「実験音楽」が、波打ちぎわで消え去っていくような音を発している。まるで覚醒と夢のあいだを彷徨するような音響空間だ。「静電気を帯びた夢」という言葉そのものアルバムといえよう。

リコリス・ピザ - ele-king

 ちょうど1年ぐらい前に『男組』を読み直した。1974年から少年サンデーに連載された暴力マンガで、物語を駆動させていく原理が『北斗の拳』や『クローズ』と同じくテストステロンだけに依拠していた作品。「本物の男がどうした」とか「男同士だ」といったジェンダー・バイアスが他のあらゆるファクターを押さえ込み、屈託のないストーリーを可能にしていく。「男とは何か」という定義や説明はもちろんない。2001年からビッグコミックスピリッツで始まった『オメガトライブ』も同じように男たちの勢力争いを柱にした暴力マンガで、『男組』にSF的要素を加味し、ストリートの抗争から次第に自衛隊の改革へと論点が社会性を帯びていく。『オメガトライブ』が物語を駆動させる原理はしかし、「男」ではなく「ニーチェ」である。「力への意志」が男たちの抗争を焚きつけ、本当の絶望を味わった者だけが「超人」になれるというニーチェの思想にストーリー展開は規定され、「愚民を統率する」という『男組』のファンタジーは国民国家のスケールで上書きされていく。暴力革命を駆動する原理が「男」から「意志」に変化したということは実存主義が2000年代の少年マンガでは有効に機能していたことを示している。実存主義というのは人間が生きることに意味や目的はないとした思想で、人間が生きるのは意志によるものとした。それこそ世界は、理性的とはとてもいえない人間の意志がぐっちゃぐっちゃに渦巻く最悪の場所だとショーペンハウアーやニーチェは考えたのである。そう、ポール・トーマス・アンーダーソンの群像劇には必ずといっていいほど「意志の強い男」が登場し、これでもかと周囲を引きずり倒し、その行動も結果も滑稽を極めたものが多い。その頂点ともいえる作品が2017年の『ファントム・スレッド』で、ダニエル・デイ=ルイス演じる服の仕立て屋が芸術家じみたことを追求すればするほど滑稽度は増し、「意志の強い男」がどれだけチープな存在かということが完膚なきまでに描写されていた。無意味で無目的な世界にあって、何かを前に進めようとする人間の「意志」にも大した価値は認めない。そのように主張しているとしか思えないポール・トーマス・アンダーソンによる5年ぶりの新作が『リコリス・ピザ』である。マーク・ウォールバーグやホアキン・フェニックスに継いで、歴代の「意志の強い男」に抜擢されたのは誰かと思えば急逝したフィリップ・シーモア・ホフマンの息子、クーパー・ホフマンである(映画初出演)。

 1970年代のロサンゼルス。15歳のゲイリー・ヴァレンタイン(クーパー・ホフマン)は25歳の撮影助手アラナ・ケイン(アラナ・ハイム)をデートに誘う。歳も離れているし、最初はまったく取り合わなかったアラナは意外にも誘いに応じ、数度の会話を経て次第に彼女が人生に迷い、いわゆる「クォーター・ライフ・クライシス」に陥っていることがわかってくる(そうでなければデートの誘いには応じなかっただろう)。ゲイリーは子役の俳優で、人気番組の端役として撮影に参加するためにロサンゼルスからニューヨークに飛び、ステージ・ママのスケジュールが合わないことからアラナが付き人として同行する。スージー・クアトロが流れる時点で何をか言わんやという感じだし、案の定、撮影の現場を経験することでアラナには微妙な変化が訪れる。ポール・トーマス・アンダーソンは『パンチドランク・ラブ』の「細い廊下」や『ザ・マスター』の「エレヴェーター」など狭いスペースに人々を詰め込むとなぜか印象的なシーンに仕上げる傾向があり、『リコリス・ピザ』でも楽屋からステージまでの「廊下」にスタッフやキャストが鈴なりになってスタンバッているシーンはやはり抜群で、妙な空気感を挟んで「観客の前に出る」という興奮がアラナに別世界を意識させたことがダイレクトに伝わってくる。そして、アラナはその撮影で知り合った別の俳優と交際を始め、「俳優が天職だ」と言っていたはずのゲイリーはウォーターベッドの販売に乗り出していく。アラナをデートに誘い、取材で顰蹙を買う発言をし、ウォーターベッドの販売を始めるなどゲイリーの役回りはストレートに「意志の強い男」で、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』や『ザ・マスター』といった大作とは影響を及ぼす範囲が小規模というだけで、意志の強さが随所で試される展開はこれまでの作品とまったく同じ。アラナもウォーターベッドの販売を手伝いはじめ、ある時、みんなで『カラーパープル』や『バットマン』を手掛けた映画プロデューサー、ジョン・ピーターズ(ブラッドリー・クーパー)にウォーターベッドを届けにいくことに。ここでトラブルが起きる。ウォーターベッドを設置したゲイリーたちはあれこれあって派手ないたずらを仕掛けた次の瞬間、自分たちも窮地に陥ってしまう。(以下、ネタバレといえばネタバレ、解釈といえば解釈)このトラブルを乗り切ったのがゲイリーではなく、アラナの「意志の強さ」なのである。「山師」を主人公にした『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』は石油を採掘する話がメインだったけれど、『リコリス・ピザ』にはオイルショックという時代背景が巧みに織り交ぜられ、アラナは必要なはずの石油を一滴も使わずにトラブルから抜け出してみせる。それはまるで石油の上に築かれたロサンゼルスという都市の繁栄や男性文化を逆回転させているようなシーンで、「人間の意志が渦巻く最悪の場所」がその出発点まで一気に押し戻されたような徒労感を伴うものだった。窮地を抜け出し、疲れ切ったアラナは、そして、ふと視界に入ったポスターを見て選挙活動のヴォランティアに応募する。商売人と宗教家しか出てこなかったポール・トーマス・アンダーソンの作品に政治家というものが初めて加わった。

 市長選に立候補しているジョエル・ワックス(ベニー・サフディ)はおそらくゲイを公言していた市会議員のハーヴィー・ミルクとイメージをダブらせたものだろう。意志の強さを示すことで「クォーター・ライフ・クライシス」を抜け出したアラナはワックスの元でその才覚を表し、議員のPR動画を企画して撮影するなど、今度はゲイリーがアラナの仕事を手伝うようになる。そして、ゲイリーは議員の事務所で「ピンボール・マシーンが違法ではなくなる」という情報を入手し、誰よりも早くピンボール・マシーンを揃えたゲーム・センターをオープンする。ピンボール・マシーンがアメリカで違法だったというのは初耳で、調べてみると1920年代に禁酒法が成立した後、同じようにピューリタン的な価値観でスロットマシンなどが問題視され、1940年代にはピンボール・マシーンも正式に違法になったのだという。村上春樹『1973年のピンボール』とかザ・フー“ピンボールの魔術師”はどういった文化的意味合いを持っていたのかなという疑問も浮かんではきたけれど、まあ、そこは飛ばそう。いずれにしろ1976年のアメリカでピンボール・マシーンは復活し、ゲイリーの店は初日から大変な賑わいを見せる。ロサンゼルスを変えてみせるという議員の意気込みに共鳴していたアラナはゲイリーの志の低さに憤り、ゲイリーの行動を巡って2人は口論になる。そして、ゲイリーは「僕が声をかけていなければ、君はまだ生徒たちの写真を撮っていた」と、アラナの現在を全否定してしまう。このセリフは、男がチャンスを与えなければ70年代のフェミニズムは始まりもしなかったという意味にも受け取れるし、「クォーター・ライフ・クライシスに陥っている女」は存在しても「意志の強い女」は存在しないとゲイリーが認識したがっているようにも受け取れる。そして同時にポール・トーマス・アンダーソンがこれまで描いてきた「意志の強い男」は男だけが意志を押し通せる社会を背景に生きてきたからそれが可能になっていただけで、必ずしも個人の力ではないことに気づいていないから滑稽に見えるのだということがあらわになっていく(ブラッドリー・クーパーやショーン・ペンの演技が本当にそのことを理解させてくれる。そう、『リコリス・ピザ』ではゲイリーやジョン・ピーターズだけでなくショーン・ペン演じるジャック・ホールデンも畳み掛けるようにして滑稽に描かれ、「意志の強い男」たちはまとめて葬り去られている)。しかし、ポール・トーマス・アンダーソンはそのような「意志の強い男」を見捨てるような結末にはしなかった。ゲイの描き方がどうだという議論もありそうだけれど、ワックスのパートナーが放った「みんなクズだよ」というセリフがマイティ・ワードと化してすべてを肯定し、それこそ『リコリス・ピザ』は少年マンガのようなエンディングに突入する。「理性的とはいえない人間の意志が渦巻く最悪の場所」が見事に幕を閉じるのである。

 アラナ・ケインを演じるアラナ・ハイムは3姉妹でロサンゼルスのロック・バンド、ハイムとして活動し、映画は初出演(3姉妹はそのまま姉妹役で出演)。音楽は『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』以来の付き合いとなるジョニー・グリーンウッド(レイディオヘッド、ザ・スマイル)。70年代のヒット曲が随所で流れるなか、ゲイリーとアラナがウォーターベッドに寝転ぶシーンでウイングスの“Let Me Roll It”がねっとりとした空気を運んできたのは、参りましたという感じ。

Lucrecia Dalt - ele-king

 昨年アーロン・ディロウェイとのすばらしい共作を送りだしたルクレシア・ダルト、コロンビア出身で現在はベルリンを拠点に活動しているこのプロデューサーが新作をリリースする。
 今春サム・ウォーカー監督のホラー映画『The Seed』で映画音楽デビューを飾っている彼女だが、つづいて今回はHBOのホラー・コメディ『The Baby』シリーズのスコアを担当。5/27に〈Invada〉と〈RVNG〉から発売される28曲収録のLPにおいて彼女は「奇妙な声、肉体の音、喉歌」を探求しているそうだ。現在 “Mareterna” が先行公開中です。


Nicolás Jaar, Other People - ele-king

 ニコラス・ジャーが新たにコンピを編纂している。20世紀後半のポーランドの前衛音楽/実験音楽を集めたもので、2枚に分散してのリリース。1959年から2001年まであったワルシャワのスタジオで録音されたもの。マトモスが先日発表した新作でもとりあげていたボグスワフ・シェッフェルはじめ、クシシュトフ・クニッテルやボフダン・マズレク、ヴォジミエシュ・コトニスキやエルジュビェタ・シコラなど、ポーランドの前衛音楽家/実験音楽家が多数ピックアップされている。これはチェックしておきたい。

artist: Various
title: Would It Sound Just As Bad If You Played It Backwards? A Collection of Sounds from the Studio Eksperymentalne Polskiego Radia (1959​-​2001) Vol. I
label: Other People
release: 20th May, 2022

tracklist:
01. Krzysztof Knittel - Lapis (1985)
02. Bohdan Mazurek - Canti (1973)
03. Magdalena Dàugosz - Yes and No (1990)
04. Barbara Zawadzka - Greya III (1991)
05. Barbara Zawadzka - Greya IV (1990)
06. Barbara Zawadzka - Greya II (1987)
07. Rudnik - Epitaph of Stones (1984)
08. Bogusław Shaeffer - Symphony. Electronic Music for Tape (perf. by Wolfram) (1964-66) - I
09. Bogusław Shaeffer - Symphony. Electronic Music for Tape (perf. by Wolfram) (1964-66) - II
10. Bogusław Shaeffer - Symphony. Electronic Music for Tape (perf. by Wolfram) (1964-66) - III
11. Bogusław Shaeffer - Symphony. Electronic Music for Tape (perf. by Wolfram) (1964-66) - IV


artist: Various
title: Would It Sound Just As Bad If You Played It Backwards? A Collection of Sounds from the Studio Eksperymentalne Polskiego Radia (1959​​-​​2001) Vol. II
label: Other People
release: 20th May, 2022

tracklist:
01. Wlodzimierz Kotoński - Study For One Cymbal Stroke (1951)
02. Symphony. Electronic Music For Tape Part I (performed by Bohdan Mazurek) (1966)
03. Elżbieta Sikora – Letters to M. (1980)
04. Bernadetta Matuszczak – Libera me (1991)
05. Elżbieta Sikora - View From the Window (1978)
06. Magdalena Długosz - Mictlan I (1987)
07. Barbara Zawadzka - Greya part V (1991)
08. Krzysztof Knittel - Poko (1986)

Autechre - ele-king

 忘れたころにやってくる、オウテカからのプレゼント。『AE_LIVE 2016​/​2018』と題された未発表ライヴ音源がバンドキャンプブリープにて販売されている。2015年にはじまり、2019年にどかっと追加された『AE_LIVE』シリーズ(WARP360)の続編、今回(WARP361)はタイトルどおり2016年と2018年、ザグレブ(クロアチア)、タリン(エストニア)、ヘルシンキ(フィンランド)、オスロ(ノルウェー)、ナイメーヘン(オランダ)、メルボルン(オーストラリア)、ダブリン(アイルランド)の7都市でおこなわれたライヴを収録したもの。トータルで7時間57分49秒。膨大なオウテカのライヴ・アーカイヴがさらに拡張されました。

artist: Autechre
title: AE_LIVE 2016​/​2018
label: Warp
release: 18th May, 2022

tracklist:
1. AE_LIVE_ZAGREB_061116
2. AE_LIVE_TALLINN_131116
3. AE_LIVE_HELSINKI_141116
4. AE_LIVE_OSLO_171116
5. AE_LIVE_NIJMEGEN_221116
6. AE_LIVE_MELBOURNE_210618
7. AE_LIVE_DUBLIN_150718

Jeff Mills - ele-king

 去る4月、ジェフ・ミルズ&ザ・ザンザ22名義にて「スロウライフ」のアイディアに触発されたアルバム『Wonderland』をリリースしたばかりだというのに、早くもソロ名義の新作『Mind Power Mind Control』が5月に送り出されている。「マインド・コントロール」なんて聞くとぎょっとするかもしれないが、膨大な情報に刺戟されつづけるネット時代、うつ病が深刻な問題になっている現代にあって、リスナーが心を掘り下げ、自分自身と向き合うためのコンセプト・アルバムだという。
 なおミルズは先日、アップル・ミュージックの新たな空間オーディオ対応DJミックスに「Outer To Inner Atmosphere: The Escape Velocity Mix」と題されたセットを提供してもいる。まったくスロウライフではないですね。

Artist: Jeff Mills
Title: Mind Power Mind Control
Label: Axis
Format: 12″x 2 vinyl / digital (with two bonus tracks)

track listing:
A1. Crossing The Threshold
A2. Scarlet
A3. Vibrant Sanguine
B. Hatsumi
C1. Vermillion
C2. Horizons
D. Transmutation

P.E. - ele-king

 青黒い煙の見えるサックスの音に電子音、ダンスビートとモダンなインディ・ロック、詩とパンク、P.E. が 2nd アルバムのなかで行き来するもの。ブルックリンのバンド P.E. が醸し出すアンダーグラウンドの匂いにどうしたって惹かれてしまう。アンダーグラウンドの匂いとは具体的にどんな匂いかと説明するのはまた難しいものだけど、明るい道から外れた香り立つ尖った匂いを持った音楽があることは間違いない。それはたとえば写真からですら何か普通ではないことが起きていると伝えてきたロンドンのデュオ、オーディオブックスだったり(“Dance Your Life Away” のキレ具合の衝撃)サウス・ロンドン・シーンの始祖たるファット・ホワイト・ファミリーの持つあの雰囲気だったりするけれど、このブルックリンのバンド P.E. からも負けず劣らず強烈な匂いが漂ってくる。

 ニューヨークを拠点に活動していたふたつのバンド、ピル(Pill)とイーターズ(Eaters)が合わさって出来た P.E.(Pill / Eaters)。ボデガがライヴをおこなおうと企画してピルとイーターズふたつのバンドに声をかけたが、ピルのメンバーのひとりとイーターズのメンバーひとりが参加することができなくなった。そこで残ったメンバーで一緒に演奏することにしたというのがこのプロジェクトの成り立ちらしいがこの話だけでもなんだかワクワクしてくる(偶然が必然を生み出す、バンドの結成にはしばしばこのようなエピソードがある)。はじめはその場限りの予定だったようだが、そこで何かを感じたふたつのバンドのメンバーはこのプロジェクトを継続しようと試みた。次々とアイデアが浮かび、これはやらない方がいい、こういう感じのフレーズを入れてみたいとテクスチャーにテクスチャーを重ね、感性のすり合わせがおこなわれ、そうして即興性と遊び心に溢れた凶暴なビートを持った 1st アルバムが生み出された。

 そこで活動に区切りをつけても良かったのかもしれないが P.E. は歩みを止めなかった。1st アルバムのリリースから2年たった後に発表されたこの二枚目のアルバムはその攻撃性が洗練され陶酔感のある刃として姿を現している。
 電子音楽、ノーウェイヴ、エクスペリメンタル、様々な要素のなかを P.E. は行き来する。信じられないくらいに大仰でそれでいながら感傷的なムードを生み出す “Magic Hands”。サックスの音をアクセントにして電子音が心を引っかき回し混乱した対処できないような状況を伝え、ヴォーカルは主張せずにその状況のなかを漂い続ける。“Tears in the Rain” もやはり同じように感傷的で、暗闇のなかで歩みを進めるビートの上でサックスがムードを描き出す。夢のなかのお告げのように響くヴェロニカ・トーレスのヴォーカルとそれに加わるゲスト参加のパーケイ・コーツのアンドリュー・サヴェージの歌声も同様に曲のなかでガイドラインを引くようにして流れていく。ネオンの軌跡を示すようなそれは濃密で陶酔感を生み出すようなもので、より一層にムードを伝える。そうかと思えばけたたましくサックスが暴れだし、“Contradiction Of Wants ” のような曲はスクイッドが次のアルバムの路線で採用してもおかしくないような繰り返しの波があり(つまりはノイ!をLCDサウンドシステムでかき回した感じだ)、“86ed” というアンビエント・ピアノの曲を挟み “Majesty” で再び感傷を尖ったビートや電子音のざらつきのなかに溶け込ませる。それは痛みのなかの甘さのようなもので、P.E. のこのアルバムはエディットと生の音を行き来してどんよりとした鈍い陶酔感と舌がシビれるようなスリルを同時に味あわさせるのだ。いずれにしてもそのイメージは地下であり夜であって、その匂いに引き寄せられてしまう。

 アンダーグラウンドの匂いというものがあるとしたらそれは繁華街の路地裏や地下から漂ってくるその匂いなのだろう。それはある意味で体が求めるジャンクフードのようなもので、健やかな肉体を育む栄養素とは無縁のものだがこうしたいというアイデアと欲求に突き動かされたその匂いに僕らはどうしよもなく惹かれていく。惹かれ、何の匂いなのかを考え、匂いの元を探し、そうな風にしてその匂いに取り憑かれるのだ。そうやって家に帰って体に染みついた残り香に気がついてシーンやムードについて思いを巡らす。空間を切り裂くサックスの音はいつから響いていったいいつまで続くのだろう? アルバムのなか、電子音と混ざったこの音はそれでもクールで変わらず新鮮に響き続ける。そのなかで僕たちは人の気配を感じそうやってまた次の音楽を待ち続けるのだ。
 P.E.『The Leather Lemon』はとても刺激な匂いがする。

7g classic's - ele-king

 ジャズを出自に持ちながら、80年代はRCサクセションのキーボーディストとして活躍、バンドにニューウェイヴのセンスを持ち込んだり、エレクトロな名盤「BΛmp!」はいまだマニアには評価の高い、gee2wo(当時はG2と表記)。1990年4月のRC脱退後、いっさいの声明を出していなかったgee2woだったが、昨年リリースされたRCサクセション『PHAPSODY NAKED』のデラックス盤のブックレットには、東芝EMI時代の担当だった高橋康浩氏によるgee2woのインタヴューが掲載されている。その貴重な取材によれば、RC脱退後は世界中(おもに中東)を旅して、それら行き先で演奏し、現在は長野にスタジオを作って、ミュージシャンとして、プロデューサー‏‏‏/エンジニアとして音楽活動をしているとのこと。
 gee2woの新プロジェクト、7g classic'sが先月、デビュー・アルバム『くろすけ』をリリースした。これは八ヶ岳南麓に暮らすシンガーソングライター、ナナマリとのデュオで、ギターとピアノが心地よい、エレガントなポップ・アルバムに仕上がっている。RCのメンバーとして数々の名演を果たしてきたgee2woのピアノ——ジャズやブルースなどなど——がおよそ30年ぶりにたっぷり聴けるのも嬉しい限りだ。チェックしましょう。

7g classic's
くろすけ

Forest Group
発売中
https://nanamari.com/cdkurosuke

【ナナマリ (Vocal, Guitar, Composer etc.)】
高校生の時にギターと出会い、ロックやポップスバンドを組んで音楽活動をスタート。独学で音楽理論を学び、TV番組やメジャーアーティストなどへの楽曲提供も行う。2004年に山梨へ移住後は、ブラジル音楽(特にボサノヴァ)に傾倒し、ギター弾き語りスタイルでのライブ活動を開始。2008年1st Album「雨粒」をはじめ、カヴァー作品を含む計5枚のCDをリリース。

【gee2wo (Piano, Keyboard, Composer etc.)】
1980年代ロックバンド「RCサクセション」にてキーボードを担当。RC退団後は世界(主に中東)を旅し、のちに自然豊かな信州に移住。ジャズ、ブラジル音楽、ロック、レゲエなど様々なジャンルの音楽を追求し、新たなスタイルの確立を目指す。2020年長野市内にプライベートスタジオが完成。

【2022年ライヴ・スケジュール】
6/17 GNU 2nd(長野県松本市)
6/18 Booze Shelter(長野県信濃町)
6/26 メルローズイタリアーノ(山梨県北杜市)
7/29 Live Jazz ケルン(静岡県富士市)
7/30 DOXY(愛知県名古屋市)

Sam Gendel & Antonia Cytrynowicz - ele-king

 6月26日に開催される東京は立川《FESTIVAL FRUEZINHO 2022》への出演に加え、名古屋&大阪公演も決定しているLAのプロデューサー、サム・ゲンデル。その新作はアントニア・サイトリノウィックスなる新人との共作なのだが、なんとまだ11歳だという。両者の即興でつくられたアルバムは、いったいどんな内容に仕上がっているのか。発売は7月6日。

Sam Gendel & Antonia Cytrynowicz 『Live a Little』

折坂悠太の楽曲への参加等、勢いが止まらないサム・ゲンデルが、11歳の少女と完全即興で創り上げた奇跡の1枚がCDリリース決定!! クリエイティブとはどういうことか、イマジネーションとはなにか、なぜ人は音楽を紡ぐのかということを考えずにはいられない、アートのもつ普遍的で根源的な美しさが結晶された、圧倒的な作品!!

11歳の少女が口遊んだメロディと歌詞に、サム・ゲンデルが導かれて演奏するなんて、出来すぎた話だと思った。でも、このアルバムには、その奇蹟的で美しい即興の交わりが確かに収められている。サム・ゲンデルのディスコグラフィーの中で、最もイマジネイティヴで希望に満ちた作品として、このアルバムは残ると思う。(原 雅明 ringsプロデューサー)

アーティスト:Sam Gendel & Antonia Cytrynowicz(サム・ゲンデル&アントニア・サイトリノウィックス)
タイトル:Live a Little(ライヴ・ア・リトル)
発売日:2022/07/06
価格:2,500円+税
レーベル:rings / Psychic Hotline
品番:RINC90
解説:原 雅明
フォーマット:CD

Official HP : https://bit.ly/37X0vrA

Terao Saho - ele-king

 シンガーソングライター、寺尾紗穂が6月22日にニュー・アルバム『余白のメロディ』をリリースする。間に『わたしの好きなわらべうた2』を挟みつつの、前作『北へ向かう』からは2年ぶりとなる新作で、オリジナル・アルバムとしては通算10枚目を数える。自身も参加するバンド冬にわかれてのあだち麗三郎や伊賀航ほか、多くのアーティストが参加。さらなる深みを増した歌に注目しよう。

寺尾紗穂による記念すべき通算10作目のオリジナル・アルバム『余白のメロディ』が完成。今再び、全ての人を歌の生まれる場所へと誘い出す、珠玉の作品集。

2006年のデビュー以来、現代日本を代表するシンガー・ソングライターとして数々の歌を作り続けてきた寺尾紗穂。2022年6月22日、記念すべき通算10枚目のオリジナル・アルバム『余白のメロディ』を発表する。
この世界の深淵に潜む様々な感情、光景、出来事を、類まれな才能ですくい取ってきた歌世界は、ここに至って、さらなる広がりと奥行きを獲得した。彼女の歌には、ときに鋭く社会的な問題意識も反映されてきたが、もちろん、それだけが理由で多くの者の心を捉えてきたのではない。寺尾紗穂の歌は、これまでも常に「言葉にし得ないもの」への関心と近しさを湛えており、だからこそ、聴く者の内にある深い部分に触れてきたのだ。
本作は、とりわけ「楕円の夢」以降寺尾が探求してきた、正論や正義、漂白されていく社会から距離をとった「余白」と、そこにこそ息づく希望や夢といったテーマが、最も美しい形で結晶した、キャリア史上に輝く傑作だと断言できる。日々「変わりつづける世界」への疲弊と、無情にも「変わらない世界」への絶望。あなたやわたしを取り囲む孤独が氷のように固まってしまっても、寺尾の音楽は、人がこの世界にひとしく生まれ落ちた事実を希望として浮かび上がらせ、そのこわばりをゆっくりと溶かしていく。
『余白のメロディ』は、不信に唆され、ついには歌うことのできなくなった人々を、今再び歌の生まれる場所へと誘い出す。
バンド「冬にわかれて」での活動を通し更に紐帯を強めたあだち麗三郎、伊賀航をはじめ、池田若菜、高橋三太、未知瑠、そして新進気鋭のシンガーソングライター/トラックメイカーMomの他、多くのアーティストが録音に参加し、より一層の壮麗さと繊細を増した寺尾の歌唱/ピアノ演奏を支える。
本作の核とでもいうべき曲「歌の生まれる場所」をはじめ、オリジナル曲の充実ぶりは、まさに至高といえる領域へと達した。また、「良い帰結(Good End)」ではMC.sirafuが、「期待などすてて」「灰のうた」では松井一平が歌詞を提供しており、お互いのクリエイティビティが溶け合った見事なコラボレーションを聴かせてくれる。加えて、寺尾にとっては歌の道を選ぶことになるきっかけとなった重要曲、西岡恭蔵「Glory Hallelujah」を収録、原曲の魅力を汲み取りつつ、そこへ新たな生命を吹き込んでいる。

寺尾紗穂 10th album
『余白のメロディ』

2022.06.22 in stores
品番:KHGCD-002
CD定価:¥3,000+税
発売元:こほろぎ舎
CD販売元:PCI MUSIC

01.灰のうた
 作詞:松井一平 作曲:寺尾紗穂
02.良い帰結(Good End)
 作詞:MC.sirafu 作曲:寺尾紗穂
03.確かなことはなにも
 作詞・作曲:寺尾紗穂
04.ニセアカシアの木の下で
 作詞・作曲:寺尾紗穂
05.期待などすてて
 作詞:松井一平 作曲:寺尾紗穂
06.森の小径
 作詞:佐伯孝夫 作曲:灰田有紀彦
07.光のたましい
 作詞・作曲:寺尾紗穂
08.僕の片割れ
 作詞・作曲:寺尾紗穂
09.歌の生まれる場所
 作詞・作曲:寺尾紗穂
10.Glory Hallelujah
 作詞・作曲:西岡恭蔵

[寺尾紗穂 プロフィール]
1981年11月7日生まれ。東京出身。
大学時代に結成したバンドThousands Birdies' Legsでボーカル、作詞作曲を務める傍ら、弾き語りの活動を始める。2007年ピアノ弾き語りによるメジャーデビューアルバム「御身」が各方面で話題になり,坂本龍一や大貫妙子らから賛辞が寄せられる。大林宣彦監督作品「転校生 さよならあなた」、安藤桃子監督作品「0.5 ミリ」(安藤サクラ主演)の主題歌を担当した他、CM、エッセイの分野でも活躍中。2009年よりビッグイシューサポートライブ「りんりんふぇす」を主催。2019年まで10年続けることを目標に取り組んでいる。2020年3月に最新アルバム「北へ向かう」を発表。坂口恭平バンドやあだち麗三郎、伊賀航と組んだ3ピースバンド“冬にわかれて”でも活動中。2021年「冬にわかれて」および自身の音楽レーベルとして「こほろぎ舎」を立ち上げる。
著書に「評伝 川島芳子」(文春新書)「愛し、日々」(天然文庫)「原発労働者」(講談社現代文庫)「南洋と私」(リトルモア)「あのころのパラオをさがして 日本統治下の南洋を生きた人々」(集英社)「彗星の孤独」(スタンドブックス)、『天使日記』(スタンドブックス)があり、新聞、ウェブ、雑誌などでの連載を多数持つ。

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