「Nothing」と一致するもの

Hijokaidan - ele-king

 昨年から再発を続けている〈Alchemy Records〉だが、ついにあの名盤がリリースされる……非常階段が1982年にリリースした『蔵六の奇病』はジャパノイズの最重要作の1枚として知られているが、日野日出志の同名の漫画のイラストをあしらったジャケットもまた、あまりにもインパクトが強かった。『蔵六の奇病』を小学生のときに読んだ世代にとって、あれはもう、誰にも言えない秘密の暗号のようなものだったのである。
 その歴史的なアルバムが3/15(水)に再発リリースされる。また、今回特別ボーナストラックとして、限定14枚のみ販売されたEP「A Tribute To Icchie」も封入。これは、1984年に死去したイッチーこと市口章氏の追悼盤としてリリースされた超レア盤で、初の再発となる。

 ちなみに、現在diskunion ROCK in TOKYOにて、非常階段のリーダー、JOJO広重が主宰する〈Alchemy Records〉のリイシュー企画「Alchemy Records Essential Collections」のポップアップ・ショップが開催されている。
 この開催を記念し、今回のリイシュー企画の第一弾を飾ったS.O.B階段のTシャツをディスクユニオン各店とP-VINE OFFICIAL SHOP限定で発売。1月22日(日)には、湯浅学氏を招いての、JOJO広重トークイベント+サイン会も開催する。

非常階段
蔵六の奇病

LP+7インチ
P-VINE
価格:5,450円(税込 5,995円)

【LPトラックリスト】
Side A
1. マントヒヒ(大阪) April 26, 1981
2. 磔磔(京都) April 19, 1981
3. 創造道場(大阪) November 3rd, 1980
4. 新宿ロフト(東京) August 28, 1981

Side B
1. 慶応大学日吉315教室(神奈川) June 27, 1981
2. 同志社大学至誠館24教室(京都) November 27, 1981

【7インチトラックリスト】
Side A
1. A.A Tribute To Icchie
Side B
1. B.A Tribute To Icchie

【イベント情報】
【Alchemy Records ポップアップ・ショップ】
期間:1/17(火)~2/5(日)
場所:diskunion ROCK in TOKYO https://diskunion.net/shop/ct/rockintokyo
特典:期間中「Alchemy Records Essential Collections」の対象商品を購入で、「Alchemy Records ロゴ缶バッジ」をプレゼント

【JOJO広重トークイベント+サイン会】
日時:1/22(日) 15:00~
場所:diskunion ROCK in TOKYO https://diskunion.net/shop/ct/rockintokyo
出演者:JOJO広重、湯浅学、大久保 潤(ele-king books)

【P-VINE OFFICIAL SHOPでのご予約はこちら】
https://anywherestore.p-vine.jp/products/sobt-001
※受注受付期間:1/17(火)~2/5(日)

高橋幸宏 音楽の歴史 - ele-king

 高橋幸宏は1952年6月6日、東京で生まれた。父は会社経営をしており、自宅は200坪の敷地に建ち(もともとは天皇の運転手が建てた家だそうだ)、軽井沢には別荘を持っていた。
 後に音楽プロデューサーとなる兄に感化され、早くから音楽に親しみ、小学生のときにはドラムを始めている。このドラムという楽器を選んだ理由にはドラムの練習ができるほど広い家に住む子がなかなかいないからだったと後年明かしている。
 中学生のときにはユーミンが参加することもあったバンドを組み、高校生のときにはもうセッション・ミュージシャンの仕事を始めていたのだから早熟と言うほかないだろう。ドラムのうまい高校生がいるという噂を聞きつけて大学生だった細野晴臣が会いに来たのも高橋幸宏の高校時代のこと。大学に入るとガロに一時在籍するなど、すでにプロのミュージシャンとしての道も歩き始めていた。
 そんな高橋幸宏の転機となったのは、旧知の加藤和彦にサディスティック・ミカ・バンドへ勧誘されたことだろう。1972年のことだ。ここから、アーティストとしての高橋幸宏の人生が本格的にスタートした。
 本稿ではサディスティック・ミカ・バンド以降、波乱の、そして充実したアーティスト活動を辿り、そのときどきに残した名作を紹介していきたい。決して “ライディーン” だけの人ではなかったことがよくわかるはずだ。

サディスティック・ミカ・バンド『黒船』(1974)

 サディスティック・ミカ・バンドの2作目。英国で発売されたファースト・アルバムを聴いた英国人プロデューサーのクリス・トーマスがバンドに興味を持ち、プロデュースを申し入れた。当時ピンク・フロイドとの仕事で有名だったが、トーマスはそれまでビートルズやプロコム・ハルム、ロキシー・ミュージックといった高橋幸宏のルーツとなるアーティストを手がけていただけに、まさに運命の出会いでもあった。このアルバムでは高橋幸宏の楽曲は採用されていないが、やがてサディステック・ミカ・バンドでドラマーとしてだけではなく、作曲者としての才能も開花していくことになる。同バンドは1975年に英国でロキシー・ミュージックのツアーの前座を務め、観客として観に来ていた後のジャパンのスティーヴ・ジャンセンが高橋幸宏のドラミングに大きく影響されたというのは有名な逸話。日本のロックの歴史に残る名盤でもある。

 サディスティック・ミカ・バンドが1975年に解散したあとは、高橋幸宏はフュージョン・バンドのサディスティックスに在籍しつつ、セッション・ミュージシャンとしての活動を続けるが、1978年に細野晴臣からイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)に勧誘される。と同時に、坂本龍一をコ・プロデューサーとして初のソロ・アルバムも制作。

高橋ユキヒロ『サラヴァ!』(1978)

 直後のYMOやそれ以前のバンドのキャリアとはまたちがう、フレンチ・ポップやボサノヴァなど落ち着いた世界を提示したソロとしてのデビュー・アルバム。同時期にソロ・デビューを果たした坂本龍一のオーケストレーション、アレンジが耳を惹く。とても26歳の若者の作品とは思えないが、本人としてはヴォーカルの一部に不満を持っていたとのことで、2018年にヴォーカルのみを新録した『サラヴァ! サラヴァ!』を発表している。40年の時を経たシンガーとしての円熟が際立ったが、この若さあふれるオリジナルもやはりいい。

イエロー・マジック・オーケストラ『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』(1979)

 YMOのセカンド・アルバム。本作の収録の “ライディーン” は当時シングルで大ヒットしたにとどまらず、21世紀に至るまでCM曲、パチンコのBGM、携帯電話の着信音、はたまたプロ野球での応援曲などさまざまなシーンで流れる日本の風景の音となった。その “ライディーン” だけでなく、YMOのニューウェイヴ化を加速したアルバム・タイトル曲もYMOの歴史にとって重要な作品となった。

イエロー・マジック・オーケストラ『BGM』(1981)

 大ヒットして時代のアイコンとして消費されることに疲れたYMOが素となって脱ポップを行った一枚。TR-808とプロフェット5をメインの楽器とし、それまでのわかりやすいテクノポップとは一線を画すアルバムに。そんななかで高橋幸宏単独作の “バレエ” 、細野晴臣との共作曲 “キュー” にはデカダンなロマンティシズムが滲む高橋幸宏らしい楽曲に。神経症となっていた苦しみも見せる “カムフラージュ” も重要な作品だろう。

高橋幸宏『ニウ・ロマンティック』(1981)

  “ロマン神経症” という副題(邦題)もついたソロとしては3作目のアルバム。本作とYMOの『BGM』、鈴木慶一とのユニットのザ・ビートニクスの『出口主義』と1981年に発表された高橋幸宏の関連3作はどれも傑作で、この時期の創作に対する巨大なモチベーションには畏怖するほかはない。収録曲の “ドリップ・ドライ・アイズ” はもともとサンディーへの提供曲だが、ここでセルフ・カヴァー。デニス・ボヴェルは同曲を聴いて世界最高のダブ・ポップ・ソングだと驚愕したと後にインタビューで話している。

 YMO散開後、改めてソロ・アーティストとして歩んでいった高橋幸宏。その作品からはYMO時代のわかりやすい過激さや先進性は見えにくくなっていったが、そのぶん楽曲のよさが浮き彫りにもなっていった。

高橋幸宏『EGO』(1988)

 YMO散開後5年という節目の年にリリースされた9枚目のソロ・アルバム。親しい知己の死やさまざまな重圧を感じながら制作されたこのアルバムでは、冒頭のサイケデリックなビートルズ・カヴァー “トゥモロー・ネヴァー・ノウズ” や鈴木慶一作詞の “レフト・バンク” など重い曲の印象が強いが、高橋幸宏がキャリアを通して定期的に作っていったエレクトロ・ファンク曲の “エロティック” や80年代末シンセ・ポップのお手本のような “ルック・オブ・ラヴ” など隠れた名曲も配置されたバランスのよい中期の重要作。細野晴臣、坂本龍一、クリス・モズデルといったYMO人脈の恒常的な参加もここで一区切りつくことになる。

高橋幸宏『Heart of Hurt』(1993)

 高橋幸宏のソロとしてのキャリアを総括するセルフ・カヴァー・アルバム。デビュー作の “サラヴァ!” からJ-POPの最前線で奮闘した近作まで、アコースティックな響きで再構築。 “蜉蝣” には大貫妙子が、 “ドリップ・ドライ・アイズ” にはサンディーがゲスト・ヴォーカルで参加している。高橋幸宏の楽曲のよさとヴォーカリストとしての魅力を再確認するには最適の1枚。

高橋幸宏『ザ・ディアレスト・フール』(1999)

 1997年に立ち上げた自身のレーベル、コンシピオからの1枚。1990年代を通して続いたJ-POP的な立ち位置からはずれ、テクノや打ち込みの音楽への回帰が鮮明になってくる。収録曲の約半数が鈴木慶一とのザ・ビートニクスとしての共作だが、他の曲ではスティーヴ・ジャンセン、砂原良徳、元ストーン・ローゼズのギタリスト、アジズ・イブラヒムなども参加。21世紀の高橋幸宏の音楽の予告アルバムのような趣きもある。

 21世紀に入ると、高橋幸宏はソロ・アーティストとしての活動と並行して、ザ・ビートニクス、サディスティック・ミカ・バンド、YMO(さまざまな名義で)といったかつてのバンドの再始動とともに、若いアーティストたちとの新バンドの結成も行った。

スケッチ・ショウ『Loop Hole』(2003)

 細野晴臣とのユニットのセカンド・アルバム。デビュー作の『オーディオ・スポンジ』(2002)がエレクトロニカとポップ・ソングの折衷のアルバムで、それはそれで魅力があったのだが、エレクトロニカ、電子音楽に舵を振り切った本作がやはり映える。前作に続き坂本龍一が参加して後のYMOの再再結成へと繋がっていく一枚。小山田圭吾も参加して重要な役割を果たしている。

高橋幸宏『ブルー・ムーン・ブルー』(2006)

 スケッチ・ショウなどの課外活動が多かったため、6年半ぶりのリリースとなったひさしぶりのソロ・アルバム。21世紀以降のエレクトロニカ、電子音楽路線と、高橋幸宏ならではのロマンティックな作風が自然と融合した21世紀の高橋幸宏を代表する1枚となった。ブライアン・イーノ&ジョン・ケイルのカヴァー “レイ・マイ・ラヴ” のほか、80年代の名曲の再構築 “スティル・ウォーキング・トゥ・ザ・ビート” 、メルツのアルベルト・クンゼやハー・スペース・ホリディのマーク・ビアンキをゲストに迎えての曲など聴きどころが多い。

pupa 『Dreaming Pupa』(2010)

 高野寛、原田知世、高田漣、堀江博久、ゴンドウトモヒコとのバンドの2作目。まだどこか手探りの感があったファースト・アルバムにくらべて、多くのライヴをこなした後だけにそれぞれの個性が有機的に絡み合い、バンドとしてのその後が楽しみだったが高橋幸宏の死去によって活動が途絶えたまま本作がラスト・アルバムに。

高橋幸宏『Life Anew』(2013)

 ソロとしてのラスト・アルバムということになるが、実態としてはジェームズ・イハ、高桑圭、堀江博久、ゴンドウトモヒコとの新バンド、イン・フェイズのアルバムとなっている。高橋幸宏のルーツである60〜70年代のロック・サウンドに回帰した1枚。本作の制作前に自身の音楽ルーツを紹介する半自伝本『心に訊く音楽、心に効く音楽』(PHP新書)を上梓しており、この時期の高橋幸宏のモードがそちらに振れたということだろう。以降、ソロでの活動もその路線を踏襲していくことになった。

METAFIVE『Meta』(2016)

 ソロとは一線を画した最後のバンド活動がMETAFIVEだった。テイ・トウワ、小山田圭吾、砂原良徳、ゴンドウトモヒコ、LEO今井というそれぞれソロとしてのキャリアを確立していたアーティストたちによる、いわばエレクトロニック・スーパー・バンド、スーパー・セッション。以前から親交を重ねてきた間柄だけにこのファースト・アルバムからバンドとしての一体感は完成しており、ライヴ活動も盛んに行った。エレクトロ・ファンクの冒頭曲 “Don’t Move” から怒涛。

ザ・ビートニクス『Exitentialist A Xie Xie』(2018)

 1981年から断続的に活動してきた鈴木慶一とのユニットの最後のアルバム。pupaやMETAFIVEが幻となってしまったその先を見たかったという思いを抱かせるのに対して、本作は、本人たちにそのつもりはなかったはずだが、いま聴くと長年の活動を見事に完結させた作品とも思える。ニール・ヤングのカヴァー作品など同世代のふたりのルーツであるオールド・スクールのロック作品からユニットのデビュー作からここまでのさまざまな音楽的変遷がそこここに現れている。アルバムのラスト曲 “シェー・シェー・シェー・DA・DA・DA” は赤塚不二夫原作のアニメ “おそ松さん” の主題歌で、TRIOに影響を受けた明るく楽しいニューウェイヴ・ダンス・ポップ。ライヴではコミカルなフリ付きで演奏された。2018年の高橋幸宏の誕生パーティではDJがかけたこの曲に合わせて高橋幸宏と鈴木慶一がフリ付きで踊り、一般のファンも大勢いた会場内が熱く盛り上がったことをいまでも思い出す。

 ここに挙げたアルバム以外にも、高橋幸宏作品はどれもおもしろい。J-POPの本道をいくような作品も、椎名誠映画のサントラや山本耀司のショーのためのインストゥルメンタル・アルバムにも意外な魅力がある。プロデューサーとして手がけた多くの名作も忘れがたい。いつか機会があればそれらも紹介したい。
 幸宏さん、たくさんの素敵な音楽をありがとうございました!

Josh Johnson - ele-king

 これまでジェフ・パーカーやマカヤ・マクレイヴン、マーク・ド・クライヴ=ロウといった才能たちを支えてきたサックス奏者にしてキーボード奏者、シカゴ出身で現在はLAを拠点とするジョシュ・ジョンソンのデビュー作『Freedom Exercise』がCD化されることになった。
 もともとは2020年にリリースされていたアルバムで、やはりシカゴの感覚というか、西海岸ともロンドンとも異なる独特の雰囲気が特徴の作品だ。ときにシンセも交えたクールな演奏をぜひこの機に。

ジェフ・パーカーやマカヤ・マクレイヴンといった、現在のジャズ・シーンを代表する様々なミュージシャンを支えてきた、シカゴ出身、LAを拠点に活動するサックス/キーボード奏者、ジョシュ・ジョンソン。名盤と評されたデビュー・アルバム『Freedom Exercise』がボーナストラックを加え、待望のCDリリースが決定!

ジョシュ・ジョンソンのデビュー・アルバムはもう2年以上前のリリースになるが、今以て瑞々しく美しい。ハービー・ハンコックとウェイン・ショーターから学ぶためにシカゴを離れてLAに移住した彼が、その地でジャズ/非ジャズを問わず様々な音楽家と交わり、学び、経験したことの全てがこのアルバムに表れている。「音楽的雑食性」を愛する友人であるグレゴリー・ユールマン、アンナ・バタース、アーロン・スティールと作り上げた本作は、レコードでも丁寧にリプレスされている。ジェフ・パーカーの『The New Breed』や『Suite for Max Brown』も、マカヤ・マクレイヴンの『Universal Beings』も、ジョシュ・ジョンソンがいなければ生まれなかった。そう言っても決して過言ではないほど、その存在は大きい。真に流動的な音楽を探求したこのアルバムが、何よりもその価値を教えてくれる。(原雅明 ringsプロデューサー)

ミュージシャン:
Josh Johnson (sax,key)

Featuring:
Gregory Uhlmann
Anna Butterss
Aaron Steele

Produced by:
Josh Johnson
Paul Bryan

Mastered by:
Dave Cooley

[リリース情報]
アーティスト名:Josh Johnson (ジョシュ・ジョンソン)
アルバム名:Freedom Exercise(フリーダム・エクササイズ)
リリース日:2023年03月22日(水)
フォーマット:CD
レーベル:rings
解説:原 雅明
品番:RINC98
価格:2,500円+税

[トラックリスト]
01. Nerf Day
02. 856
03. Western Ave
04. Bowed
05. Eclipsing
06. New July
07. False Choice
08. Punk
09. Simple Song
10. Return Recoil
11. Western Ave Mix (Extended Play) [Japan Bonus Track]

販売リンク:
https://rings.lnk.to/FdjWuuJX
オフィシャルURL:
https://www.ringstokyo.com/items/Josh-Johnson

R.I.P. Yukihiro Takahashi - ele-king

 高橋幸宏が亡くなった。今はただただ悲しい。寂しい。もちろん私はいちファン、いちリスナーでしかない。氏と交流のあった方の悲しみは、もっともっと深いだろう。坂本龍一のあのグレーのツイートのように。
 しかしわれわれファンも皆、深い喪失感に襲われているはずだ。あの高橋幸宏がこの世から旅立った。これから高橋幸宏のいない世界なのだ。悲しくてやりきれない。なぜだろう。答えは簡単だ。ある意味、高橋幸宏こそテクノポップだった。もちろんYMOは3人揃ってこそYMOだが、テクノポップとしてのYMOを象徴したのは高橋幸宏だったのではないかと私は思うのだ。彼のドラムはYMOの脈動だし、彼のヴォーカルはYMOのトレードマークだったし、彼のスタイリングはYMOの美意識だった。
 脈動。トレードマーク。美意識。ここから導きだされることは簡単だ。憧れだ。端的にいおう。皆、あなたのようになりたかった(でも誰もなれない。当たり前だ)。スタイリッシュでクール、ユーモアと優しさ。鋭さとセンチメリズム。そしてヨーロッパ的な美学。すべてが憧れだった。その高橋幸宏が消えた。旅立った。こうなりたかった「大人」が消えたのだ。悲しいに決まっている。
 それにしても「追悼、高橋幸宏」と書いたときの非現実感が凄まじい。それが現実であることの残酷さ、辛さを噛み締めつつ書いていこう。故人の才能と功績を思う存分讃えよう。それが追悼だ。魂を悼むのだ。

 最初に書いたように高橋幸宏は、日本のエレクトロニック・ミュージックを象徴するアーティストだ。テクノからエレクトロニカまで、彼が日本のポップ・ミュージックに海外のエレクトロニック・ミュージックの新しい潮流を導入した功績はあまりに大きい。80年代のソロ・ワークは、日本における最良のニューウェイヴだったことを思いだそう。
 もちろんリンゴ・スター直系のドラマーとして実力はいうまでもないし、ジョージ・ハリスン的な歌唱方法を、より硬質にしたヴォーカリストとしての魅力も言うまでもない。あえて言えば彼はビートルズのダークホースをひとりで体現した日本人ミュージシャンだったのだ。
 
 ここまで書けば分かる。彼はエレクトロニック・ミュージックに留まらず、70年代以降の日本のポップ・ミュージックを代表するような稀有な存在なのである。
 加藤和彦、細野晴臣、坂本龍一、鈴木慶一、スティーブ・ジャンセン、高野寛、東京スカパラダイスオーケストラ、砂原良徳、小山田圭吾、原田知世、LEO今井、ラブサイケデリコなど、錚々たる面々の、個性の異なる優れた音楽家たちとつながってきた。そう、高橋幸宏は音楽家と音楽家、ひいては音楽と人を繋ぐ人だった。
 だからバンドの数も多い。関わった自身のバンド名をあげるだけでも目眩がする。サディスティック・ミカ・バンド、サディスティックス、YMO、ビートニクス、パルス、スケッチショウ、ヒューマン・オーディオ・スポンジ、HASYMO、ピューパ、イン・フェーズ、メタファイヴ……。そのどれもが日本のポップ・ミュージックの豊穣さを体現するバンドばかりだ。この目も眩むようなリストのなかで私がとくに愛するのは再生YMO『テクノドン』(1993)、ビートニクス『M.R.I』(2001)、スケッチショウ『LOOPHOLE』(2003)、ピューパ『floating pupa』(2008)だ。 
 もちろんミュージシャン/ドラマーとしての客演は星の数ほどあり、私などよりマニアの方が詳しいだろう。個人的に印象深い参加アルバムと言えば加藤和彦のヨーロッパ三部作(『パパ・ヘミングウェイ』『うたかたのオペラ』『ベル・エキセントリック』)だろうか。
 また高橋幸宏のドラミングといえば、スネアの鋭い音が魅力だが、個人的にはハイハットの細かな刻みも大好きだった。彼のドラミングの鋭さを知りたい方はまずはイエロー・マジック・オーケストラのグリークシアターの1979年のライヴ映像を観てほしい。録音としては『GijónYMO - Yellow Magic Orchestra Live In Gijón 19/6 08』(2008)、『LondonYMO - Yellow Magic Orchestra Live In London 15/6 08』(2008)、『No Nukes 2012』(2015)など、00年代以降のYMOのライヴ録音を熟成されたドラミングを満喫できる。
 何よりソロ・ワークを忘れてはならない。私が彼のアルバムでもっとも愛するのは『ニウロマンティック』(1981)と『Ray Of Hope』(1998)と『ブルー・ムーン・ブルー』(2006)である。この3枚を聴いても分かるように高橋幸宏のソロ・アルバムは時代をサウンドのモードを象徴してきた。80年代のニューウェイヴ(シンセ・ポップ)、90年代のフォーキーなポップ・ミュージック、00年代のエレクトロニカ、10年代のルーツ・バック的なロック・バンド編成の再解釈と時代を超えてさまざまなスタイルの音楽を奏でてきた。その上でいえば、80年代のYMO以降、「テクノ」を忘れずに追求してきたのも彼だった。その総決算がメタファイヴの2枚だったように思う(彼のソロ・ワークに必ずテクノ・トラックが入っていたことを思い出そう)。
 コラボレーション/ゲスト参加では、ドイツのフォークトロニカ・ユニット、ラリ・プナ『Our Inventions』(2010)の収録曲“Out There”が忘れ難いように、彼は00年代エレクトロニカを積極的に紹介した功労者でもある。ちなみに最後のレコーディングは、2022年8月にリリースされた大貫妙子の“ふたりの星をさがそう”(網守将平・編曲)のセルフカヴァーだったという(網守将平のツイートによる)。
 プロデュース・ワークも数多くあるが、意外なところでユニコーンのEBIが1991年にリリースしたアルバム『MUSEE』を思い出す人も多いのではないか。プロデュースをムーンライダーズの面々と分け合っており、幸宏サイトではスティーブ・ジャンセンも参加しているという隠れ(?)名盤である。

 この多彩な音楽遍歴の過程において、高橋幸宏の周りには、いつも多く音楽家が集まり、新しい音楽を奏でていた。しかし中心にいるはずの彼は少し離れた場所から、集まった音楽家たちを見つめ、穏やかな微笑をたたえている、そんな印象がある。
 その鋭いドラミングとは相反するような微笑。微笑の向こうに、いいようのない孤独さがあるようにも思えた。それこそ高橋幸宏のロマンティシズムとセンチメンタリズムの結晶のようなものだったのかもしれない。
 でもそこに生を否定するものは何ひとつなかった。師であるはずの加藤和彦が亡くなったときも、私の知る限りではメディアで受けたインタヴューはひとつだけで、その死について語ることはなかったはず。彼は生きることで死者への追悼としたのだと思う。
 だからわれわれもそうしなければならない。最後の彼の曲はメタファイヴの“シー・ユー・アゲイン”だった。また、会おう。最後に残したツイートは、みんなありがとうだった。

 訃報を知って私はスケッチショウの『LOOPHOLE』の最後に収録された“ステラ”を聴いた。星屑、スターダストになってしまった人たちへの優しいレクイエムのような美しいフォークトロニカだ。
 ベタベタした悲しみは高橋幸宏には似合わない。青空のしたで少しだけ泣くような気高いロマンティシズムこそ高橋幸宏だ。でも、今はこの曲を聴いて乾いた瞳を濡らすことを許してほしい。あなたの存在を感じることができなくなったから。でも、ボク、大丈夫!といえるときは必ずくる。なぜって?あなたの音楽はここにあるから。明日も明後日もその次も。『サラヴァ!』ではじまって、“シー・ユー・アゲイン”で終わる粋な音楽人生のすべてがあるのだから。

 “ドリップ・ドライ・アイズ”、“元気ならうれしいね”、“シー・ユー・アゲイン”、“ステラ”、“今日の空”を心の中で再生しながら(今はまだ聴けない。いや、本当のことをいえば“ステラ”だけは一度聴いた)、この文章を書き上げました。どうか安らかに。その魂に平穏を。

audiot909 & Vinny Blackberry - ele-king

 南アフリカ生まれのダンス・ミュージック、アマピアノはこの2年でいろんなところに拡散し、世界中で愛されているダンスの一種となった。そしてここ日本にも、アマピアノに感化されたDJがいる。もともとハウスDJだったaudiot909がアマピアノに衝撃を受け、「Japanese Amapiano」を発信しはじめたのは2020年のこと。そんな彼がラッパーのVinny Blackberryをプロデュース。去る1月6日にデビュー・シングル「Willy Nilly」をリリースした。カッコいいので、ぜひ聴いてみて。


audiot909 & Vinny Blackberry
Willy Nilly

https://linkco.re/GUvPu8Se

■audiot909
元々ハウスDJだったが2020年正月に南アフリカ発のダンスミュージックAmapianoに出会ったことにより元々行なっていたトラックメイクを本格的に再開。 日本人によるAmapianoの制作は可能か否かの命題に真っ向から取り組み、2020年12月にリリースされた「This is Japanese Amapiano EP」(USI KUVO)はタイトル通り日本人で初めてEP単位でリリースされた作品となり話題になる。 
2022年にリリースされたラッパーのあっこゴリラをフィーチャーしたシングルRAT-TAT-TATはSpotifyの公式プレイリスト+81 Connect、Tokyo Rising、Electropolisなど複数のプレイリストに組まれるなど自主リリースながら異例のヒットを飛ばす。並行して執筆や対談、現地のプロデューサーへのインタビュー、J-WAVE 81.3 FM SONAR MUSICへのラジオ出演など様々なメディアにてAmapianoの魅力を発信し続けている。

Cornelius - ele-king

 コーネリアスが、2月22日に「変わる消える」のアナログ12インチ・シングル盤をリリースする。同曲は、mei eharaをヴォーカリストに迎え、現在配信中の楽曲だが、今回は小山田圭吾本人のヴォーカル・ヴァージョン。また2011年にsalyuxsalyuに提供した楽曲「続きを」のセルフ・カヴァーも収録。両曲とも初発表のヴァージョンとなる。あわせて現在配信中のバージョンもカップリングとして収録、待望のアナログ盤リリースとなる。

Cornelius
変わる消える

収録曲
Side A
1 変わる消える
2 続きを
Side B
1 変わる消える (feat. mei ehara)
2 変わる消える (feat. mei ehara) [John Carroll Kirby Remix] 
   Lyrics by Shintaro Sakamoto / Music by Keigo Oyamada

2月22日発売
WPJL-10178
¥2,400(税抜)/ ¥2,640(税込)
アナログ12インチ・シングル
https://cornelius.lnk.to/changeandvanish

Tomoyoshi Date - ele-king

 2022年、夏。日本ではブライアン・イーノの存在感が強まっていた。ゴージャスで華々しい大興行というわけではない展覧会「AMBIENT KYOTO」が想像以上の盛り上がりを見せたことは、暴力の吹きすさぶ大変な年にあって、落ち着いて物事を考えたいと願う人びとが多くいたことのあらわれだったのかもしれない。
 あるいは土壌が整っていたからとも言える。海外から眺めたとき、横田進吉村弘など、日本はアンビエント大国に映るだろう。伊達伯欣(トモヨシ)もまた、盟友ともいえる畠山地平と並び、00年代後半以降の日本のアンビエントを代表するプロデューサーだ。その新作は、イーノ『Music for Airports』を想起させる。12月19日にリリースされた同作は、日本の人びとがあらためてオリジナルの「アンビエント」に向き合うことになった2022年を締めくくるにふさわしく、そして、年始のどこか虚ろなこのムードにも適した音楽に仕上がっている。

『Music for Airports』を継承しようとする意志は、2011年のセカンド『Otoha』にすでによくあらわれていた。ピアノ以外にもギターやヴィブラフォン、アコーディオンなど多くの楽器がフィーチャーされた賑やかなファースト『Human Being』(2008)から一転、思い切ってピアノの旋律とフィールド・レコーディングとの共存に力点を置いた『Otoha』は、現代において『Music for Airports』の復権と更新を宣言するアルバムだったと言える。いかに『Music for Airports』を継承し、発展させていくか──それが音楽家としての伊達の使命だ。単独名義としては3枚目となる『438Hz As It Is, As You Are』もその系譜に連なる、ピアノが印象的な作品である。端的に、すごくいいアンビエント・アルバムだと思う。
 本作は「古いピアノを438Hzに調律して録音し、レコードのピッチを、その時の気分に合わせて自由に調整する」というコンセプトでつくられている。彼史上もっとも音質にこだわった作品でもあるという。『Music for Airports』同様、曲数は4。デジタル版にはそれぞれの45回転と33回転、計8トラックが収録されている。
 かさかさと微細な具体音がピアノを引き立てる “光”。あたたかな音階にベルがさりげない彩りを添える “熱”。じっさいにフィールド・レコーディングされた水音を交えつつも、あくまでピアノでその穏やかさを表現する “水”。小刻みに震える電子音と鳥たちの鳴き声がコントラストをなす “土”。どの曲も穏やかで、やさしい。
 振り返れば、彼の関わる作品のほとんどは明るく平穏で、日だまりのような安らぎに満ちていた。ダークで重々しかったり、寂寥感を漂わせる類のアンビエントとは真逆のアプローチだ。伊達の朗らかなサウンドは、シューゲイズから影響を受け、ときにサイケデリックな表情を見せる畠山とも異なっている。2007年のデビュー作、すなわち畠山とのオピトープ(Opitope)のアルバムは、そんな両者のよい部分がうまく折衷された作品だった。
 現時点で4枚(うち1枚は坂本龍一との共演盤)を残すメイン・プロジェクト、コリー・フラーとのイルハ(Illuha)もそうだし、ベットウィーン(Between)やメロディア(Melodía)といったユニット、近年のスタン・フヴァール(Stijn Hüwels)Asuna らとのコラボもそうだ。伊達のやさしさはおそらく、医者という職業よりもむしろ、彼の人柄に由来するものなのだろうと思う。それは本作のタイトル、「あるがまま、あなたのままに」ということばにもよくあらわれている。

 近年はクレア・ロウセイウラフェリシア・アトキンソンといった才能が頭角をあらわし高く評価されている。そういった音楽のファンで、すでに20年近くこの国で活躍している伊達の音楽をまだ知らないひとは、ぜひとも彼に注目してほしい。それは、この暗いご時世にひとときのカームダウンを体験させてくれるからという理由だけではない。最初の「アンビエント」がどのような音楽だったのか、思い出させてもくれるから。

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け - ele-king

 『彼女は話した』ーー観終わったあとにこれほど納得のいくタイトルもなかった。「#MeToo」運動が世界で拡大するきっかけとなった記事をニューヨークタイムズの記者2人が書き上げるまでのプロセスを追ったファクション(ファクト+フィクション)。オープニング・シーンは92年のアイルランド。犬を連れた若い女性が海岸沿いを歩いていると不思議な光景に出くわす。それは映画の撮影現場で、彼女は友人に呼ばれてここに来たらしい。続いてキャリー・マリガン演じるミーガン・トゥーイー記者が恐怖の表情で路上を疾走する短いシーン。トランプ支持者からの脅迫に怯え、何かから全力で逃げている状態を表した心象風景か。1年ほど時間軸を遡って16年のニューヨーク。トゥーイーはクリントンとトランプが争う大統領選の最中にトランプにセクハラされたという女性から証言を得る。ここからゾーイ・カザン演じるジョディ・カンター記者がハーヴィー・ワインスタイン(作中ではワインスティーンと発音)を追うシーンと、トゥーイーがトランプの取材を続けるシーンが短く交互に差し挟まれる。トゥーイーは妊娠していて臨月に近く、出産直前にトランプ本人から電話で罵声を浴びせられ、記事が世に出ると何者かから脅迫が届くようになる。大統領選でトランプが勝ち、トゥーイーは出産して産後鬱に。一方でカンターはワインスタインの元で働いていた女性が不自然なかたちで辞職していることに気づき、連絡先を探すが見つからず、その娘の家を訪ねると偶然にも本人に会うことができ、カンターは「25年も待っていた」と歓迎されたかと思うと、帰り際には「やはり話はできない」と取材を断られてしまう。私にはもうできないとジャーナリストの仕事を諦めかけていたトゥーイーは閉塞状況に耐えかねて再びオフォスを訪ね、彼女の様子を見たデスクのレベッカ・コーベット(パトリシア・クラークソン)にカンターの取材に合流したらどうかと示唆される。トゥーイーはカンターとタッグを組み、ハーヴィー・ワインスタインの周辺を調べ始める。トゥーイーとカンターはまず3人の女性に話を訊いてみようとするが、彼女たちとは会えないか、会えてもやはり話すことはできないと断られる。本当は、しかし、彼女たちは話したがっているのではないかと感じた2人は、なんとか話を聞き出す方法はないかと思案していると、2人の動きに気づいたワインスタインがニューヨーク・タイムズに弁護士を送り込んでくる。

 ハーヴィー・ワインスタインはすでに現実の世界で有罪となり、収監されて刑務所内でコロナになったことも報じられている通り。『セックスと嘘とビデオテープ』や『アタメ』などアートハウス系の作品を次々とヒットさせ、タランティーノを世に送り出したワインスタインは『スクリーム』『イングリッシュ・ペイシェント』『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』と、本当に多岐に渡るヒット作をプロデュースし、『もののけ姫』 英語版、『アザーズ』『ロード・オブ・ザ・リング』と90年代をリードしたプロデューサーの1人であることは確か。その裏で何が起きていたかをトゥーイーとカンターが調べ、証拠を探し出そうとするも、ワインスタインの権力があまりに絶大で、あらゆるところに情報網を敷いているため2人はなかなか証拠に近づくことができない。取材の途中、トゥーイーは企業の情報を公開している政府内の独立機関EEOCがなぜかセクハラ訴訟の回数だけは非公開にしていることに気づき、思わず電話で対応している女性に「あなた個人はおかしいと思わないのか」と声を荒げてしまう。取材の突破口となったゼルダ・パーキンス(サマンサ・モートン)がカンターに語った言葉のなかにも「法律は性加害者に有利にできている」と静かに怒りを述べる場面があり、僕にはこのひと言がこの作品で最も重く感じられる主張となった。(以下、ネタバレ)これらのシーンはこの作品が糾弾しているのはワインスタイン個人ではなく、もっと大きなものだということを観客に告げている。トゥーイーが作品の冒頭でトランプの取材を諦めなければならなかったことがどういうことなのか、パーキンスの言葉がすべてを表し、そして、パーキンスが口を開くまで、この映画のタイトルは『SHE DON”T SAY』が相応しかったのに、ここから一気に『SHE SAID』に転じていく。世界初のセクハラ裁判を映画化した『スタンドアップ』では最初に立ち上がるジョージー・エイムズ(シャーリーズ・セロン)がいて、それに追従する女性たちが「#私も」と現れるという流れだったけれど、『SHE SAID』ではほぼ全員が最初に声を出す1人になる。実際に声をあげた1人であるアシュレイ・ジャッドは本人役で出演もしている。また、トゥーイーとカンターの取材活動を支える多くの男性たちが綿密に描かれていると同時に、その男性たちの多くが権力者だということは両義的な意味を持っていると思ったことも付け加えておきたい。言い方を変えれば沢山の男たちにゲートを開けてもらわなければ2人は先に進めなかったのが現実だったと見えたのである。

 『SHE SAID』を観ながら嫌でも思い出してしまったのが『テルマ&ルイーズ』と『大統領の陰謀』、そして昨秋のTVドラマ『エルピス』。前者は女性2人が戦っているところが同じというだけなんだけれど、『ドライヴ』や『未来を花束にして』(これも女性参政権のために爆弾闘争を行った女性活動家たちを描いた作品)で可愛らしい顔立ちを見せていたキャリー・マリガンがすっかり大人の表情を見せるようになっていてスーザン・サランドンとダブって見えたということもある。ウォーターゲート事件を扱った『大統領の陰謀』もジャーナリストが権力と戦うというところだけが同じで、これはスピルバーグも『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』でしっかりと引用したばかり。安倍政権下で日本のTVがライセンス事業であることをチラつかされ、報道番組がものの見事に萎縮してしまったことを反省的に回顧する『エルピス』は麻生太郎としか思えない政治家が殺人事件の隠蔽に関わっているという筋立てで、やはり真実を明らかにするために権力と対峙するところが想起のポイントではあるのだけれど、『エルピス』が自己実現のために真実を追求しようとする青春ドラマだったのに対し、あくまでも人権のために動く『SHE SAID』は掛け値なしの社会派ドラマであり、性被害に遭った女性たちにトゥーイーが「あなたの過去は変えられないけれど、次の犠牲者を出さないために(話してくれ)」というところは誰のためにやっているのか(少なくとも自分だけのためではない)ということが強調され、おそらくこういった人権意識を前景化させれば日本でこの手のドラマは視聴者を増やすことはないだろうということも同時に考えざるを得なかった。『エルピス』で長澤まさみ演じる浅川恵那は第2話で「キャスターとして自分の伝えた事がどれほど真実だったのか。それを考えると息が苦しくなる。今の自分はその時の罰を受けている(彼女の背景には福島原発事故当時の専門家の発言や安倍晋三の「アンダーコントロール」発言の映像が流れる)」と自分自身の贖罪意識に帰結させることで問題を小さなものにしてしまうともいえる。青春と社会では人が置かれている場所があまりにも違う。日本だけで「#MeToo」がもうひとつ盛り上がらなかった理由もそこにあるのだろう。それでも『エルピス』は現在の日本で考えられる限り最上の政治ドラマだったと思うし、これがヒットした意味は大きい。

 昨22年に「起きた」ことで最も驚いたのはやはり安倍銃撃事件であり、その余波が収まったとはまだまだ言えないけれど、「起きなかったこと」で驚いたのはサンフランシスコ講和条約から70年が経ち、日本が主権を回復したことを誰も祝わなかったことだった。沖縄本土復帰50周年は朝ドラから何から記念行事を山と積み上げていて、それはまあ、米軍基地を押しつけていることに引け目があるから過剰にそうなるのかもしれないけれど、起源にこだわる建国記念日にはなんだかんだあっても国家として主権を回復したことに誰も興味がないというのはどういうことなんだろうと思うし、主権意識に乏しい日本人が責任感もなく、自信もないまま生きているのは致し方ないことで、そういったことはすべて整合性のあることなんだとも思わざるを得なかった。もちろん、人権意識が極端な場合は戦争を引き起こすという側面もある。ワインスタインも裁判で自分の非は認めず、「#MeToo」運動が魔女狩りのような一面も持ち合わせていたことはワインスタインのやっていたことを知っていたとされるメリル・ストリープの自宅が落書きだらけになったことにも表れている。さらにいえば「#MeToo」運動自体に懐疑的だったフランスという例があったことも考えさせられる一面は持っていた。また、ワインスタインがやったことは「彼女たちが話した」通りだとして、一方で湧き上がるのはそんなことを続けながら彼はさらに『世界にひとつだけのプレイブック』『英国王のスピーチ』『フルートベール駅で』といった繊細な作品を世に送り続け、民主党支持者だけあって『華氏911』や『コンフェッション』といった政治的プロパガンダも臆さず、単なるエンターテイメント作品で終わらない『アビエイター』『シン・シティ』『ザ・マスター』といった名作も完成させてきたという不思議さである。二面性というにはあまりに極端だし、それこそ昼はリベラル、夜は殺人鬼と化していた『アメリカン・サイコ』そのままではないか。これだけの作品を世に送り出すために、彼にはセクハラや性暴力が必要だったとして、どこでそれらは折り合いをつけていたのだろうか。『SHE SAID』にはそこまで求めるものではないにせよ、ハリウッド映画の新たな謎としていつか本人か誰かが一定の解釈を与えてくれることを望みたい。それですら作品にしてしまうのがハリウッドだろうし。ちなみに日本では「#MeToo」運動と「Time's Up運動」がごっちゃにされていて、この映画で扱われているのは「#MeToo」運動が拡大する1日前までの話であり、取材を始めた頃にカンターは記事が出ても「無視されるのが一番怖い」と、記事が与える影響についてはあくまでも未知数としてこれに取り組んでいたことがとても印象的だった。

Theo Parrish - ele-king

猪股恭哉

 ダンス・ミュージックにおけるミックスCDというフォーマットは、重要な表現手段としてかつて機能していた。クラブでのプレイをライヴ・レコーディングしたものから、よりアルバム的な、コンセプトを定め微細な箇所まで作り込んだ作品が精力的に発表されていた。フランソワK『Essential Mix』、リッチー・ホウティン『De9: Closer to the Edit』などなど。現在ではインターネット上でオフィシャル、アンオフィシャル問わず、無限に広がり続けていくミックス音源は、自身のスタイルを提示する名刺としての役割へ変化していくことになった。
とはいえ、DJやプロデューサーが貴重なレア音源や忘れ去られていた作品をセレクトしたり、自分のお気に入りのフレッシュな才能を世の中に送り出すキュレーションとしての機能は、かつても現在も駆動し続けている。

 さて、セオ・パリッシュのDJ-KICKSである。自身のレーベル〈Sound Signature〉から数多のミックス音源をリリースしてきた彼によるオムニバス的な側面ではない、初のオフィシャルなミックス作品である。DJとしての評価は揺るがないものを確立し長いキャリアを重ねてきたベテランとしては意外かもしれないが、様々なジャンルや歴史を横断する彼のスタイルを踏まえるとライセンス問題をクリアするのが困難だったのかも知れない(余談ではあるが、かつてMinistry of Soundが一世を風靡した人気ミックス・シリーズ「Masterpiece」にセオが登場するのでは? という噂があった。真偽のほどは不明ながら実現していれば……)。

 本作は、『Detroit Forward』という副題がつけられているとおり、デトロイトのアーティストたちで構成されており、地元音楽コミュニティをセオがキュレーターとして紹介する形をとっているといえるだろう。セオ自身がクレジットされているのは1曲のみで、他はすべてがデトロイトを中心としたローカルな才能たち。アンプ・フィドラーのリミックスを手掛け、近年はソロ活動を積極的に行っているビートメイカーであるメフタ。独特の浮遊感を漂わせるビートメイキングがラッパーJOHN C.とのコラボでも非凡なプロデュースセンスを発揮する。鍵盤奏者としてアンドレスやオマーS、スコット・グルーヴス作品に参加してきたイアン・フィンクが、セオ・パリッシュのクラシック”Moonlite”をカヴァー(コンガでアンドレスも参加している)。マッド・マイク譲りのモーターシティ・ソウルを受け継ぐマルチ・プロデューサーのジョン・ディクソン。デトロイトではないが〈Sound Signature〉からアルバムもリリースしたDJのスペクターがパワフルでタフなジャズ・ビートダウンを提供。セオやアンドレス、ワジードといったプロデューサーから、スカイズー、ドゥウェレ、エルザイらヒップホップ・アーティスト作品にも携わる女性シンガー、モニカ・ブレア。
 そして、本作にクレジットされたアーティストのうち唯一3曲も参加しているデショーン・ジョーンズ。マッド・マイクの薫陶を受け、デトロイトが誇る偉大なトランペット奏者であるマーカス・ベルグレイヴの弟子であり、グラミー賞へのノミネート経験もあるサックス・プレイヤーによる秘蔵トラック。シンガー・イディーヤとコラボしたメロウR&Bに、シンガーやラッパーをフィーチャーした濃厚なファンク、ホーンとコンガとピアノによる巧みなコンビネーションが冴えるハウスまで、名うてのトランペット奏者の知られざる一面を引き出したセオの彗眼に唸らされる。
 ほかにも、YouTubeで公開されている公式ショートフィルムでもフィーチャーされているDJのフーダットとシンガーソングライター・ソフィアEが手掛けたミニマルなデトロイトハウス、プロデューサー/ドラマーのノヴァ・ザイイがヴォーカリスト・ケスワを迎えたスペーシーでサイケデリックなモダンソウル……。
 事程左様にローカルな才能が結集し、様々なスタイルの音楽が次々を広がっていく様は、まるでセオが率いるバンドが演奏しているようで、グルーヴとストーリーが独特の時間軸の変化を見せ聴き手を魅了する(全体のプロデュースをセオがコントロールしているような統一感!)。音楽の街デトロイトで脈々と受け継がれてきたコミュニティが、最高のDJの手でミックスCDとしてキュレートされ、メディアとして世界へ発信される。デトロイト・パワー。

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野田努

 『J・ディラと《ドーナッツ》のビート革命』は良いところもある本だが、ひとつ、大きな間違いがある。アメリカ人の著者が、おそらくは自分が読んだ記事のみによって、デトロイトのクラブ・シーンを「テクノに支配されていた」と紹介している下りである。んなわけないだろ。少なくとも90年代は、デトロイトもほかのアメリカの都市と同様、ロックとヒップホップが人気であって、テクノやハウスなんて音楽は少数派の音楽だったし、そもそもクラブ・シーンと言えるほどのシーンもなかった。
 また、ローカルにおいてはラップとテクノは繋がってもいる。昨年の元スラム・ヴィレッジのワージードのアルバム『Memoirs Of Hi-Tech Jazz』(完璧なテクノ作品)はその好例で、昔で言えば、たとえば同書で鬼の首を取ったように述べている「ジット」(昔ながらのチンピラ風情)、彼らをデトロイト・テクノ第一世代が拒絶したのは書かれている通りだが(喩えれば、高校の文化祭を荒らしに来るヤンキーを追っ払うようなものだから)、しかしその「ジット」にリンクしているシーンこそ、かの地でもっとも大衆的に盛り上がっているエレクトロのシーンであって、そこから出てきたのがオックス88やドレクシア、そのシーンとテクノとの回路を作ったのが(初期においてヒップホップの影響を受けていた)URだ。デトロイト・テクノがブリング・ブリング・シットや不良自慢と距離を持とうとしたのはまったくの事実だが、これはこれでじつに意味のある話なので、いつかしてみたい。

 いずれにせよ、デトロイト・テクノおよびハウス、ひいてはハウス・ミュージックそのものがアメリカ内部においてはいまだに理解が浅いのだろう。そういう観点からすると、ビヨンセがハウスをもってアルバムを作り、彼女以前にラナ・デル・レイやドレイクがムーディーマンをフィーチャーしたのは(ずいぶん前の話になるがミッシー・エリオットがサイボトロンを引用したのも)、アメリカにおいては文化闘争と言える。大袈裟に思われるかもしれないが、スペシャル・インタレストのようなアメリカのパンク・バンドの口からジェフ・ミルズやドレクシアの名前が出るのは、ぼくからしたらかなり例外的なことだったりするのだ。
 だいたい、アメリカの先鋭的なブラック・エレクトロニック・ダンス・ミュージックは、60年代〜70年代のジャズのように、母国よりもヨーロッパにおいて評価され、多くは大西洋を渡ったところに活動の場を見出している。そして、ゼロ年代において、UKを拠点に活動しているエレクトロニック・ミュージシャンを取材した際に、もっとも多くインスピレーションの源として名前を聞いたのがセオ・パリッシュだった。

 ベルリンの〈!K7〉レーベルによる「DJ-Kicks」は、DJによるミックスCDの長寿シリーズで、2016年にはムーディーマンの魅力的な1枚をリリースしているのだが、DJミックスがネットで無料で聴けてしまう今日においては、ますます存在意義が問われてもいる。選曲に関しても、すべてをフラットにしたがる情報過多な現代では、そこに実験音楽があろうがJ-POPがあろうが誰も驚きはしない。よほどの何かがなければ、商品として成立しないだろう。
 セオ・パリッシュは、ある意味まっとうなコンセプトでミックスCDの意義を我々に再確認させる。ここに収められている20曲中19曲が未発表で(ほとんど新曲のようだ)、クレジットされている17人のプロデューサーは、セオ本人(それからジョン・ディクソン)を除けば格段有名なわけではない。しかしどうだ、みたことかと、素晴らしいなんてももんじゃない、驚きの連続なのである。
 これらハウスやテクノの進化形を聴いていると、デトロイトで何が起きていたのかまだ外の人間が知らなかった時代の、デリック・メイのDJミックスの音源(当時はカセットテープ)を思い出す。ほとんど知られていないシカゴのアブストラクトなディープ・ハウスばかりがミックスされたそれは、「音楽研究所(ミュージック・インスティテュート)」と呼ぶに相応しい、アンダーグラウンドという実験場からの生々しいレポートだった。『デトロイトの前線(Detroit Forward)』と銘打たれたセオ・パリッシュのこれは、いまだかの地において音楽研究が続行されていることを明白に訴えている。そして、デトロイトの神話体系の外側、すなわちメディアやネット系プラットフォームが目配せしないところにこそ、もっともスリリングなサウンドがあるのだと主張しているようでもある。
 ゼロ年代以降のセオ・パリッシュが彼のディープ・ハウス・スタイルを追求しながら平行して手がけていたのは、「レジスタンス年代記」と命名されたサン・ラーへのトリビュート作の発表、あるいは〈Black Jazz〉レーベルの編集盤の監修といった、70年代スピリチュアル・ジャズとの接合である。それを思えば、彼のセレクションにジャズ色が際立っているのは必然なのだろう。本作において唯一3曲に絡んでいるDe'Sean Jonesはスティーヴィー・ワンダーのバックも務めていたこともあるその筋のエリートで、彼はマカヤ・マクレヴェンのバンドでも演奏している。タイムライン(URのサブプロジェクト)のメンバーとして日本で演奏経験もあるサックス奏者だが、彼が入ったときのライヴはほとんどフリー・ジャズで、これまで何度もあったURの来日ライヴのなかの3本の指に入るインパクトだった。
 で、そのDe'Sean JonesとアイディーヤのR&Bヴォーカルによる“Pressure”というダウンテンポの曲がアルバムのオープナーとなっている。凄腕の楽器奏者としてのジョーンズはそこそこ知られているかもしれないが、ここではトラックメイカーとしての彼の姿が表出している。“Flash Spain”という曲ではラテン・ジャズ・ハウスを、“Psalm 23”ではハード・ゴスペル(とでも呼びたくなるような曲)を試みているが、どの曲も大胆さを忘れていない。
 デトロイト・テクノの発展型を知りたければDeon Jamarの“North End Funk”をお薦めするが、その叙情性はWhodatとSophiyah Eによる“Don't Know”にも受け継がれている。ドラム奏者のMeftahによる“When The Sun Falls”と“Full”という曲も深夜の友になりえる恍惚としたアンビエント・ハウスだ。
 かつてサブマージからアルバム(ウマー・ビン・ハッサンやバーニー・ウォーレルがフィーチャーされていた)を出したことのあるDuminie DePorresは、セオ・パリッシュとともに、それこそジュリアス・イーストマンの前衛にリンクするであろう、ジャジーなミニマルを見せている。もうひとつ、実験精神に関しては、セオの〈Sound Signature〉からも作品を出しているH-Fusionによる、テリー・ライリーとドレクシアが出会ったかのような“Experiment 10”が突出している。彼はこの先、ヨーロッパで影響力を持つことになるかもしれない。
 女性アーティストでは、Monica Blaire(mBtheLight名義で〈マホガニー〉からアルバムを出しているが、本作でも同名義の曲がセオによってリエディットされ収録されている)とKesswaがこの先期待大の独創的なサウンドを披露している。そして、カーティス・フラーやフィル・ラネリンなどレジェンドたちと共演経験のある気鋭のジャズ・ピアニスト、Ian Finkelsteinがセオ・パリッシュの曲“Moonlite”をそのエレガントなピアノ演奏によってカヴァーすれば、Sterling Toleは“Janis”という曲によってデトロイト・ヒップホップのファンキーな側面を強調する。

 昨年はディフォレスト・ブラウン・ジュニアが著書『黒いカウンター・カルチャー集会(Assembling a Black Counter Culture)』をとうとう上梓し、デトロイト・テクノの政治的な文脈をより深く紐解いている。こうした新たなデトロイト研究が顕在化している最中、セオ・パリッシュによる『デトロイトの前線』が、モーターシティの音楽がいまも成長しその幅を押し広げていることを見せ、目立ちはしないがそれは音楽の価値やブラック・ミュージックの気高さとは無関係であるとあらためて証明したことの意味は、そう、じつに大きい。

宇宙こそ帰る場所──新訳サン・ラー伝 - ele-king

世界で唯一にして決定版、サン・ラー評伝、待望の新訳

近年ますます人気を拡大し、生前以上に聴かれている稀なジャズ・アーティスト
インディ・ロック・バンドからクラブ系のジャズ・バンドまでがカヴァーし、
レディ・ガガがその楽曲を引用するほど
その幅広いリスナー層はマイルス・デイヴィスに匹敵する

自分は地球人ではないし、ましてや黒人でもない
家族もいないし、生まれてさえいない
生涯をかけて作り上げた寓話を生き抜いた音楽家の
彼が消し去った地球での全人生を描いた大著

モーダルなジャズから電子音、
サイケデリック、大アンサンブル、
フリー・ジャズ、そしてアフロフューチャリズムの原点……
その影響力と功績において
欧州ではマイルス、コルトレーンとならべて語られる巨匠
サン・ラーのすべてがここにある!

目次

序奏

CHAPTER 1 バーミングハム
CHAPTER 2 シカゴ
CHAPTER 3 シカゴ pt.2
CHAPTER 4 ニュー・ヨーク・シティ
CHAPTER 5 フィラデルフィア
CHAPTER 6 世界・未来・宇宙

謝辞
出典/註記
主な参考文献リスト
サン・ラー・ディスコグラフィ
索引

[プロフィール]
ジョン・F・スウェッド(John F. Szwed)
1936年生まれ。イェール大学名誉教授(人類学、アフリカン・アメリカン研究、映画学)、コロンビア大学名誉教授(同大学ジャズ研究センター教授、センター長を歴任し、現在非常勤上級研究員)。グッゲンハイムおよびロックフェラー財団フェロウシップ。マイルズ・デイヴィス、ビリー・ホリデイ、アラン・ローマックス等々に関する著作が多数あり、その代表的なジャズ研究書『Jazz 101: A Complete Guide to Learning and Loving Jazz』(2000)は、『ジャズ・ヒストリー』として邦訳されている(諸岡敏行訳、青土社/2004)。また、CDセット『Jelly Roll Morton: The Complete Library of Congress Recordings by Alan Lomax』《ラウンダー・レコーズ/2005》のブックレット「Doctor Jazz」で、同年のグラミー/ベスト・アルバム・ノート賞を受賞している。

鈴木孝弥(すずき・こうや)
1966年生まれ。音楽ライター、翻訳家(仏・英)。主な著書・監著書に『REGGAE definitive』(Pヴァイン、2021年)、ディスク・ガイド&クロニクル・シリーズ『ルーツ・ロック・レゲエ』(シンコー・ミュージック、2002/2004年)、『定本リー “スクラッチ” ペリー』(リットー・ミュージック、2005年)など。翻訳書にボリス・ヴィアン『ボリス・ヴィアンのジャズ入門』(シンコー・ミュージック、2009年)、フランソワ・ダンベルトン『セルジュ・ゲンズブール──バンド・デシネで読むその人生と女たち』(DU BOOKS、2016年)、パノニカ・ドゥ・コーニグズウォーター『ジャズ・ミュージシャン3つの願い』(スペースシャワーネットワーク、2009年)、アレクサンドル・グロンドー『レゲエ・アンバサダーズ──現代のロッカーズ』(DU BOOKS、2017年)、ステファン・ジェルクン『超プロテスト・ミュージック・ガイド』(Pヴァイン、2018年)ほか多数。

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