「Nothing」と一致するもの

 ヒップホップから政治コメンテイター、言論人としてマルチな活躍をしているダースレイダー、そして、社会ネタ通の時事芸人として名高いプチ鹿島。このふたりが配信する時事ネタYouTube番組『ヒルカラナンデス』は、この2年で、人気番組として定着してしまった。シリアスな政治問題を、笑いをもって語るのは、まるでPファンクのようで、じつに清々しいのだ。
 映画『劇場版 センキョナンデス』は、このコンビが監督する選挙ドキュメンタリーで、ふたりが2021年の衆院選、2022年の参院選、合計十数人の候補者に突撃取材を敢行した記録が収録されているのだが、これがまさに破天荒で、かなり面白い。いままで日本にはなかった、「やったれ」感が半端なく、いまの日本をものの見事に捉えた、即興的なロードムーヴィーとして楽しめる。「民主主義とは何かという問いへの答えを探す旅」という宣伝文句に偽りなし、だ。書を捨て映画館にいこう。

『劇場版 センキョナンデス』

2023年2月18日(土)より
渋谷シネクイント、ポレポレ東中野ほか全国順次ロードショー

監督:ダースレイダー プチ鹿島
エグゼクティブプロデューサー:平野 悠 加藤梅造
プロデューサー:大島 新 前田亜紀
音楽:The Bassons(ベーソンズ)
監督補:宮原 塁
撮影:LOFT PROJECT
編集:船木 光
音響効果:中嶋尊史
宣伝: Playtime
配給協力:ポレポレ東中野
配給:ネツゲン
2023年/日本/ドキュメンタリー/109分/DCP
公式Twitter @senkyonandesu 
公式サイト senkyonandesu.com
©「劇場版 センキョナンデス」製作委員会


ストーリー

「選挙はエモいね~!」
と言いながら高松市の商店街を歩くのは時事芸人のプチ鹿島。同行するバディ(=相棒)はラッパーのダースレイダーだ。風に乗って聞こえてくる街頭演説の声。「あ、デジタルって言った!」 思わず足早になる二人。商店街のその先に、どうしても会いたい人がいた……。

2020年4月17日金曜日。物語はこの日から始まった。東大中退のラッパー・ダースレイダーと、新聞14紙を毎日読み比べる時事芸人・プチ鹿島が、YouTubeの配信番組「ヒルカラナンデス(仮)」をスタートさせた。初めて経験するコロナ禍、1回目の緊急事態宣言が発出されてから10日後の、街中から人の姿が消えた時期だった。
 二人はアベノマスクや10万円給付をめぐるゴタゴタなど、コロナ禍で次々に起きる政治家の不思議な振る舞いについて毎週笑いに包みながら語り、それでいて本質的な議論を展開していった。

 そんな時に二人が出会ったのが映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』(2020/大島新監督)だった。立憲民主党(公開時は無所属)の小川淳也議員の17年に及ぶ活動を追った映画は、ドキュメンタリーとしては異例のヒットを記録、それまでほぼ無名だった小川氏に注目が集まっていた。一方、小川氏と同じ香川1区選出で、地元でシェア6割を誇る四国新聞のオーナー一族である平井卓也氏は、国会でワニの動画を見ていたことが判明。その後菅内閣が誕生すると、デジタル改革担当大臣に就任し、二人は平井氏を「ワニ大臣」という愛称で呼ぶようになる。
 2021年になると、平井氏によるオリパラアプリの事業費削減に関するいわゆる「脅し発言」がスクープされる。流出した音声は「脅しておいたほうがいい」「完全に干す」など、政治家としてあり得ない発言で、世間は仰天した。ところが、それを報じる地元紙・四国新聞は、「税金の無駄なくすための発言」という平井氏の言い分を見出しに使い、まるで良いことをしたかのように報じた。同紙は平井氏の弟が社長を務めている。
 ここで「新聞読みのプロ」であるプチ鹿島の魂に火が付いた。四国新聞の東京支社にわざわざ同紙を買いに行き、文春オンラインでその論調の不可解さを指摘すると、バズった。以降、文春オンラインでの鹿島の四国新聞ネタは、名物記事になっていく。四国新聞紙面では、2021年9月のデジタル庁発足の際には合計6面を使い大々的に報じる一方で、平井氏のライバルである小川淳也氏が、日本維新の会の候補者に対し出馬取り下げ要請をしたことが判明すると、本人に取材することなく批判的に取り上げた。その時期は衆議院選挙の直前。選挙前に特定の候補者を批判する際に、本人のコメントを取らずに紙面に乗せることは、ジャーナリズムの常識としてあり得ない。それをよく知る鹿島と、父親が著名な新聞記者だったダースレイダーは、四国新聞に逆取材をしてみたいと思うようになる。
 政治について語る配信を始めて1年半が過ぎ、二人はスタジオとして使っていたダースレイダーの自宅を飛び出し、番組のスピンオフ企画として2021年10月に行われた衆議院選挙の選挙取材を敢行。行先はもちろん香川1区、題して「香川1区ナンデス」だ。
 平井氏と小川氏に加え、日本維新の会から出馬した町川順子氏にも体当たり。さらに各陣営の事務所にも赴き、時には関係者から「招かれざる客」になりながら、ズケズケと話を聞いた。そして取材のハイライトは、ダース&鹿島vs四国新聞。令和の時代にあり得ない「FAXバトル」が勃発した!

香川1区で、選挙取材の楽しさに目覚めた二人は、2022年7月の参議院選挙も取材をしようと考えた。自分たちにしか持てない視点、テーマを絞った取材をしたい。二人が取材をする基準は「ヒリヒリする現場」である。そこで目を付けたのが、立憲民主党の菅直人元首相だった。ここ数年目立った動きのなかった菅氏だが、2022年に入ってから、突如日本維新の会に対して激しい批判をするようになった。Twitterでは維新の政治家をヒトラーになぞらえて物議をかもした。猛抗議を受けてもひるまず、「闘うリベラル宣言」と称して、参院選では維新の牙城・大阪に乗り込み、大阪特命担当として立憲の候補者の応援に入るという。「これは行かなければ!」と、二人は大阪に乗り込んだ。
 菅氏vs維新のバトルを存分に味わいつつ、辻元清美氏(立憲)、辰巳孝太郎氏(共産)、高木かおり氏(維新)、松川るい氏(自民)ら各候補者にもアタック。「野次馬系ユーチューバー」扱いを受けながらも、見応えのある映像を確実にものにしていった。

選挙戦後半は大阪に加え、自民・立憲・維新の三つ巴の激戦区と言われる京都にも乗り込む予定にしていた。ところが…
2022年7月8日金曜日。この日からまた関西での選挙取材を予定していた二人は、その前に大阪のホテルで毎週金曜に行っている「ヒルカラナンデス(仮)」のYouTube配信を始めた。時刻は昼の12時。配信画面に映し出された二人の表情からは、いつもの明るさが消え、饒舌さも失われていた。その10数分前に、奈良で安倍元首相が銃撃されたという一報が入ったのだ。状況をよく呑み込めず、沈痛な面持ちで訥々と語る二人。選挙の面白さや楽しさに気づき、「フェスだ祭りだ」と言って見てきた演説の現場で起きた言論を封殺する暴力は、まったく容認できない。しかし、選挙は最高のお祭りだ!と、常に笑いに包んで話してきた二人のスタンスが、銃撃事件を受けて不謹慎だと思われてしまわないか…

 配信を終え大阪の街に出た二人は、この日、自分たちも含め、誰が何をどう考えたかを記録として残そう、と決意する。この日は街頭演説を中止する候補者がほとんどだったが、敢えて行う者もいた。夕方の梅田駅前。ダース&鹿島の目の前に、辻元清美氏の姿があった。言論を封殺するような事件が起きたからこそ、それに屈するわけにはいかないと、党の方針に反して選挙活動を再開したのだ。安倍氏とは考え方に違いはあったが、徹底議論をしてきた辻元氏。悲壮感漂う表情で、安倍元首相の無事を願った。演説後の囲み取材の中で声を震わせながら「安倍さん、がんばってや、という思い…」と話した直後、関係者から「亡くなりました」と告げられた。
「ええっ!」 絶句する辻元氏。目が泳ぐ。天を仰ぐ。言葉が出ない。しばしの沈黙の後、涙をぬぐいながら絞り出した辻元氏の言葉。ダース&鹿島は、数少ない目撃者であり、記録者となった。
 選挙とは、民主主義とは…答えの出ない問いを胸に、二人の旅は続いた。 

推薦コメント続々到着!(※到着順・敬称略)

■畠山理仁(フリーランスライター)
「上品な野次馬」ほど恐ろしいものはない。選挙の現場を笑顔で歩く2人は、ときにジャーナリストよりも鋭い質問を投げかける。こんなに賢い有権者が増えれば、もはや「偽者」は当選できない。選挙はあなたが主役のお祭りだ。

■いとうせいこう(作家など)
超面白い選挙ドキュメンタリー! 
「報道」が強固に統制されて見える時代に、彼ら愉快で誠実な二人組こそが、日本政治の難点を「報せる道」の上にいる。

■町山智浩(映画評論家)
なんと! 『香川1区』よりも果敢に平井陣営に食い込んでいる! 食らいついたら離さないプチ鹿島は指ハブか? それに、取材ツアー中に安倍元総理が暗殺され、それを知った瞬間の辻元清美議員の表情に彼女の真実が見えます。本当にいい人なんだなあ

■原一男(映画監督)
アポなし突撃インタビューといえばマイケル・ムーアが著名だが、これは本家のおもしろさをも凌ぐ、猪突猛進、融通無碍、自由自在、千変万化、波瀾万丈、そのジャーナリズム精神を爆発させるパワーが見せ場のアドベンチャー・ドキュメンタリーである。必見!

■中江有里(女優・作家) 
選挙は「フェス」だったのか!現場はこんなに熱かったのか! 
選挙の表と裏にぐいぐい突っ込み、奥の世界まで見せてしまう、大胆不敵な問題作が誕生した。

■能町みね子(エッセイスト)
情報が流れすぎる世の中で、忘れずに見続けていくことが大事だと強く感じる。
無茶を承知で言えば、年に1本作ってほしい。ぜひドキュメンタリー界の釣りバカ日誌に!

■青木美希(ジャーナリスト)
2人の突撃取材に候補者たちが意外な素顔を垣間見せます。皆様も街角で候補者を見かけたら、ぜひご質問を。そして政治家は「聞く力」を。
誹謗中傷や武器ではなく、対話で未来は切り拓けるはずだから。


■監督プロフィール
ダースレイダー
ラッパー。パリ生まれ、幼少期をロンドンで過ごす。全国東大模試6位の実力で東京大学に入学するも、浪人の時期に目覚めたラップ活動に傾倒し中退。2000年にMICADELICのメンバーとして本格デビュー。日本のヒップホップでは初となるアーティスト主導のインディーズ・レーベルDa.Me.Recordsの設立など、若手ラッパーの育成にも尽力する。2010年6月、イベントのMCの間に脳梗塞で倒れ、さらに合併症で左目を失明するも、その後は眼帯をトレードマークに復帰。現在はThe Bassonsのボーカルの他、各界の言論人との配信番組に多数出演。
著書に『武器としてのヒップホップ』(幻冬舎)などがある。

プチ鹿島(ぷちかしま)
時事芸人。新聞14紙を読み比べ、スポーツ、文化、政治と幅広いジャンルからニュースを読み解く。2019年に「ニュース時事能力検定」1級に合格。2021年より「朝日新聞デジタル」コメントプラスのコメンテーターを務める。コラム連載は月間17本で「読売中高生新聞」など10代向けも多数。最新著作に「ヤラセと情熱 水曜スペシャル『川口浩探検隊』の真実」(双葉社)。TBSーR「東京ポッド許可局」 YBSーR「キックス」 YBSーR「プチ鹿島のラジオ19××」などのレギュラー番組を持つ。

■両監督からのコメント

祭囃子が聞こえてくる。祭りには人を誘い出すエネルギーがある。民主主義の危機が世界中で指摘される中、まだそのエネルギーが感じられる祭りが選挙だ。ラッパーと芸人がこのエネルギーの正体を探しにいく。さあ、祭りの準備だ! ダースレイダー(監督)
「選挙」と聞くと身構える方はいませんか?そんな人にぜひ観てほしいです。いま起きていることを皆でわいわい共有するのが時事ネタの楽しさなら、この映画はその象徴です。自分なりの視点を持てばさらに面白くなります。劇場で確認して下さい。「一票」をお願いします。 プチ鹿島(監督)

■大島新(プロデューサー)からのコメント

「こんなものはドキュメンタリーじゃない!」そんな声が聞こえてきそうだが、それもまたよし。だって二人は、これまで誰もやっていないことに挑んでいるのだから。
この型破りな挑戦をサポートできることが、私は最高にうれしい。

Ishmael Reed - ele-king

 ジョージ・オーウェルの『1984』といえば、誰からも貶されない小説のひとつだと思っている人も多いだろう。モダンSFの金字塔、左翼のためのディストピア小説、あるいはまた、あれは反共産主義者や新保守主義者にとってはロシア(ソ連)を描いたものだと解釈されてきた。全体主義にビッグ・ブラザー、そして思想警察──まさにスターリズニム、東洋的専制政治そのものじゃないか、というわけだ。しかしながらひとり、その栄えある『1984』の功績を認めつつも、完璧に批判した人がいる。イシュメール・リードは1984年、かいつまんで言えばこう突っ込みをいれたのだ。あのなぁ、あんたらエリート白人にとっては1984が来るべき暗黒郷かもしれないが、私らアメリカの黒人は、かれこれ300年間も1984の世界を生きているんだがね。ぞっとすような全体主義にビッグ・ブラザー、そして思想警察に狙われてな。監視され、個人のプライヴァシーは暴かれ、マルコムXやキング牧師はFBIから自殺を勧められている。オーウェルにはそれを見通す力がなかった。こう言い放ったのである。
 イシュメール・リードはまた、アーサー・C・クラークとスタンリー・キューブリックの不朽の名作『2001年宇宙の旅』についても、彼らにとっての未来にはマイノリティの男性や女性がいないらしいと、40年も前に皮肉っている。アメリカからトランプが大統領として出てきたとき、1972年にリードが『マンボ・ジャンボ』で描いたとおりになったと指摘したのは、英『ガーディアン』だった。同書がいうように「アメリカは、自らのどん欲さをニューフロンティアと呼び、気紛れで、落ち着きがなく、暴力的だ」と。

 ジョージ・クリントンが映画化を望んだどころか、いまでは最高の小説のひとつとみなされ、ペンギン・クラシックス(すなわち歴史的古典)に認定されている『マンボ・ジャンボ』が日本で翻訳されたのは原書が出てから25年後のことだったが、古びていなかったし、予言的でもあった。当時はそれこそ平岡正明が同書に感銘を受けて、さっそく自らの論説に組み込んでいるのだが(『黒い神』を参照されたし)、それもまたよく理解できる話だ。コラージュめいた実験小説とも言えるその物語(寓話)は、ジャズを讃え、ジャズで踊る黒人たちを讃え、早い話「ジャズより他に神はなし」を神話化し、白いアメリカの思い上がった歴史を、黒い世界史をもってコミカルに相対化しているのだ。
 あんな芸当は、よほどの知性とガッツがなければできるものではないのだが、リードは文筆のかたわら、音楽家としても活動している。NY前衛ラテン・ジャズの旗手キップ・ハンラハンのプロデュースによる『Conjure』(1988)は、彼の詩の朗読を交えたアルバムで、長い間、イシュメール・リードの唯一の音楽作品として認知され、そして耳の肥えた連中から評価されていた。なにせこのアルバムは、参加しているミュージシャンの顔ぶれがすごい。アラン・トゥーサン、デイヴィッド・マレイ、スティーヴ・スワロウ、ビリー・ハート、カーラ・ブレイ、アート・リンゼイ、レスター・ボウイ、タジ・マハール……そしてキップ・ハンラハンと。だから、その実力者たちの洒脱な演奏によって評価されたきらいもあり、彼はそれを快く思わなかった。イシュメール・リードだからこそ集まったミュージシャンたちなのだが、この熱血漢ときたら、自分の実力で評価されたわけではないというわけだ。

 私が刑務所に行かなかったのはジャズのおかげだ。ジャズに夢中になりすぎて、悪さをする時間がなかった──これほどジャズを愛するリードが、本格的にジャズ・ピアノを学びはじめたのは60歳を過ぎてからだった。そして80もなかばに迫った昨年、リードは彼自身のピアノ演奏をフィーチャーしたソロ・アルバムを完成させ、発表した。10代前半でギターを覚えた人が20代前半でロック・バンドでデビューする、幼少期よりピアノを習っていた恵まれた人が20代前半でデビューする、こうした話は溢れている。だが、60を過ぎてからピアノを習い、70手前で癌が見つかった小説家が84歳になって正式なデビュー・アルバムをリリースするなんていう話は、なかなか希有ではないだろうか(もうあと数週間で85だ)。
 もっともこうした前情報は、本作を聴くうえで弊害になるおそれがある。作者の特別な物語が幻想を膨らませるだろうし、それが音楽的な成果として表れるとは限らないからだ。が、心配はご無用。それを思えばなおのこと、本作は感動的に思えてくる。つまり、60からジャズ・ピアノを学んだリードにしか作れない作品という意味で、まずは素晴らしいアルバムなのだ。こんな自由な発想は、幼少期からピアノを習っていたら逆に難しいだろう。

 本作『The Hands of Grace』の表題曲は、2021年に発表した戯作のために書いた曲で、アルバムのオープナーはその題材になったジャン=ミシェル・バスキアの名が曲名にある。『Wire』によればその舞台劇は、「NYのアート界を動かしている白人至上主義における資本主義の力学を、独特の痛快さとウィットをもって検証し、バスキアに寄生して利益を得ている人物たち(アンディ・ウォーホルも含む)を特定するもの」だという。落ち目だったウォーホル並びにNYアート界は、商品としてのバスキアをちやほやし、人間としてのバスキアを犠牲にした。じつを言えばリードは、この舞台劇の資金不足を補うために、本作の発売を思い立ったのだった。アルバムに収録された前半は、その戯作「キャビアを愛した奴隷(The Slave Who Loved Caviar)」のために書いた曲が収録されている。
 リードによるピアノの独奏を録音したその前半6曲は、唖然とするほどシンプルで、遊び心がふんだんにある。実験的と言ってもいいだろう。生演奏をそのまま録って、なんの加工もなくそのまま収録しているので、とうぜんミスも、鍵盤を叩く音やリズムを取る足の音なんかもそのまま録音されている。坂本龍一の『12』のように演奏者の呼吸まで聞こえる作品だが、こちらは一本のマイクで録ったのだろう、総じてローファイで、初期シカゴ・ハウスのように粗く、荒々しい。ジャズである。
 解説によればチャールズ・ミンガスの『ミンガス・プレイズ・ピアノ』を意識したようではあるが、あんな流暢な演奏はない。だが、じつに独特な雰囲気が創出されている。最初は、人を食ったようなあまりにも簡素な反復を、テンポが不安定なまま、エラーも込みで展開している。道化てみせながら相手を油断させるかのごとく、アルバムの中盤からはジャズの常套句を時折混ぜつつ、リスナーをいつの間にかこの音楽の虜にする、そんな感じだ。『マンボ・ジャンボ』で描かれた、誰もが踊ってしまう疫病「ジェス・グルー」、この演奏のなかにもそれがリンクしているんじゃないかと、同書を読んでいる人ならアートワークを見て察することだろう。
  “How High the Moon(月はいかほど高いか)” という詩の朗読もある。光沢あるジャズ・ピアノをバックに、曲のなかで月の高度(23万8900マイル)が計算される。その曲から最後までの4曲はほんとうに美しい。とくに最後の2曲は、いまは亡きパートナーと娘に捧げた曲で、アルバムの終わりには、娘ティモシーがリードの留守電に残したのであろう次のヴォイスメッセージで終わっている。「今日、外は綺麗。それだけを言いたかったの(It’s beautiful outside today, and that’s all I wanted to say.)」

 演奏によって語ることの意味を考えた小説家の、怒りと愛、瞑想と躍動、それから微笑みのこもったこのアルバムがリリースされたのは昨年末のことだが、これはもう、まったく予期しなかった嬉しいプレゼントをもらったような気分だ。こうしたソロ演奏主体の作品は、よくよく「親密的」などと評されるが、とてもじゃないけれどこれは「親密的」ではない。ぼくには遠い、ずっとずっと遠いところにある、なんというかある種の憧れだ。『Conjure』の1曲目のタイトルにもなった「ジェス・グルー」とは、そう、ジャズ/ブルース、世界を変えた黒いスピリットの根本原理、西洋的なるものを滅ぼす革命的種子を指している(たぶん)。『マンボ・ジャンボ』がいう。「黒人たちがやることはわけがわからん。で、わかったときには次のことをおっぱじめているんだ」。ちなみにイシュメール・リードについて「マイメン」とラップしたのは、ケンドリック・ラマーも尊敬するトゥパック、曲名は “Still I Rise(それでも俺は立ち上がる)” という。

(2月7日追記)イシュメール・リードに関しては、後藤譲の『黒人音楽史』にも詳しい。興味のある方はチェックして!

TechnoByobu - ele-king

 屏風と言えば狩野派、それはしかし江戸時代までのこと。21世紀の屏風界に新風吹きたるなり。君は「TechnoByobu(テクノ屏風)」を知っているか? それは音楽レーベルでもある〈ユーマ〉がこの度販売する、テクノのアートワークを洋金箔の上に施した屏風。第一弾となる「Electronic Fan Girl」は、アーティストのルー・ビーチ氏が、YMO世界デビュー時のワールドワイド版ファースト・アルバム『Yellow Magic Orchestra』のジャケットとして作成した有名なアートワークを、118年の歴史を持つ歴清社の技術により洋金箔(真鍮箔)の上に施したNFT証明書付き作品です。 
 
■オフィシャルムービー

 「2021年に設立20周年を迎えたユーマはTechnoByobuを同社の20周年記念プロジェクトと位置け、今後も国内外の著名なアーティスト、クリエイターによるアートを、日本の伝統の美および先端技術NFTと融合させ、テクノの精神を体現したアートピースを企画、販売していきます」とのことです。

Number:TB-01
Title:Electronic Fan Girl
Artist:Lou Beach
サイズ:五尺二曲(縦:約1500mm × 横:約1400mm)
重量:約4㎏
NFT証明書:Startrail PORT
価格:880,000円(税込)
販売数量:50隻
2023年3月3日よりWebサイト(https://technobyobu.jp/)にて受注販売を開始
また、販売を記念してTwitterキャンペーンも本日2月3日より行います。
Twitter

■Lou Beach(ルー・ビーチ)
マドンナ、ポリスなどのアルバムアートワークを手掛け、70〜80年代に大活躍したアメリカのコラージュアーティスト。「Electronic Fan Girl(TB-01)」のイラストは、1979年に日本が誇るテクノポップ・バンド、Yellow Magic Orchestra(細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏)のワールドワイド版ファースト・アルバムのジャケットとして描かれた作品です。
世界30か国以上で発売されたこのアルバムは世界各国で熱狂的に愛されましたが、それにはルー・ビーチ氏によるこのイラストレーションも大きく寄与しました。1979年当時、フジヤマ・ゲイシャというイメージだった日本は、同時に、ハイテクやハイファッションの国に変わりつつありました。ルー・ビーチ氏のこのイラストレーションは、そんな伝統と未来が同居する日本の新しいイメージを、YMOの楽曲とともに広めたのです。
2011年、YMOがおよそ30年ぶりのアメリカ・ツアーを行ったとき、このイラストレーションのタトゥーを入れたアメリカ人ファンを目にしてメンバーが驚いたという逸話は有名です。それほど熱狂的に愛されるイラストレーションを纏ったTechnoByobuは、日本のみならずインターナショナルでも熱く愛されるに違いありません。
URL:https://loubeach.com/
Twitter:https://twitter.com/XActo11

■ユーマ株式会社 U/M/A/A Inc. (United Music And Arts)(企画・製作・販売)
国内外の音楽とアート(メディアアート、ファッション、アニメ、ゲーム、マンガ、ガジェット等)をUniteしていく新しいカタチのレコード会社です。クラブ / エレクトロニック・ミュージックからインターネット発ボーカロイド/アニメソング・プロデューサーまで、クオリティー・ミュージックをジャンルレスに展開しています。1970年代末に日本が世界に誇るイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の音楽を生み出したアルファレコードに勤務していた創業者が、YMOのテクノ・ポップの先進性とユニークネスを現代に継承する会社として設立したのがユーマであり、今回その精神を持って企画したのがTechnoByobuとなります。YMOメンバーによるユニット、Sketch Show(2003)、HAS(2004)のヨーロッパ公演や、YMOのトリビュートバンド『Yellow Magic Children #01』(2019)のリリース等、YMOに関連する事業も行っています。

■歴清社(屏風)
https://rekiseisha.com/
広島で118年の歴史を持つ「歴清社」。特許をもつ洋金箔押紙の製造方法は海外でも認められる唯一無二の伝統技術。帝国ホテル、宮内庁、西本願寺はもとより、CHANEL、GUCCIなどの高級ファッションブランドまで、その製造方法により生み出された様々な箔製品のクオリティーは国内のみならず、世界で評価を得ています。

■Startrail PORT(NFT証明書)
https://startrail.io/
TechnoByobuには、NFT(Non-Fungible Token)を活用したアート証明書「Startrail PORT」が実装されています。作品に埋め込まれたチップをスマートフォンで読み込むことでNFT証明書を確認できます。TechnoByobuの一隻一隻には固有のNFT証明書アドレスが割り振られており、作品の真性が保証されるとともに来歴も明らかになり、従来難しかったセキュアな証明書管理や2次取引から作家、ライセンスホルダーへの収益還元等の実験的なエコシステムを創出しま

■立花ハジメ(ロゴデザイン)
このTechnoByobuのロゴは音楽家、アーティストとしてYMOとならび1970年代末からテクノを実践してきた立花ハジメ氏(ソロのほか、プラスチックス、Hmなど)によるものです。立花ハジメ氏は1970年代からグラフィック・デザイナーとしても活躍されていて、これまで多くのグラフィック作品、舞台美術、ロゴ・デザインを手がけています。

■発売記念Twitterキャンペーン開催
発売を記念してTwitterキャンペーンを開催します(2023年2月3日〜2月23日)。
・参加者全員に非売品のTechnoByobu Compact Repli-card (1/8スケール)をプレゼント。
・さらに2/13以降に配送される“TechnoByobu Compact Repri-card“の写真を撮ってツイートしてくれた方の中から優秀賞に選ばれた10名様を、3月3日に都内で開催予定の“TechnoByobuお披露目イベント”へご招待。
<参加方法>
◆2/3〜2/12
1.TechnoByobuのTwitterアカウント(https://twitter.com/TechnoByobu)をフォローし、キャンペーンのツイートをRT
2.ツイートに記載されたリンクよりフォームに回答
◆2/13〜2/23
3.2/13以降に発送される“TechnoByobu Compact Repri-card“の写真を撮って写真にメンション@TechnoByobuを付けてツイート

 

ジャン=リュック・ゴダールの革命 - ele-king

誰よりもかっこよくポップで常に新しく倫理的だった映画作家

『勝手にしやがれ』での鮮烈なデビュー以来、常に映画を革新してきた戦後最大の映画革命家、ジャン=リュック・ゴダールが2022年9月13日、91歳で自らの意志により生涯を閉じました。
ヌーヴェル・ヴァーグの旗手としての華々しい登場以来およそ60年にわたり、大きな存在感を示し続けたこの偉大な映画作家について、フィルモグラフィー紹介とコラム、対談記事でその全貌に迫ります。

対談:浅田彰+菊地成孔
鼎談:阿部和重+佐々木敦+中原昌也
執筆:堀潤之、後藤護、真魚八重子、渡邉大輔、上條葉月、西田博至、児玉美月、山本貴光、細馬宏通

目次

Biography ジャン=リュック・ゴダールの映画的人生 (堀潤之)

対談 浅田彰+菊地成孔「こんなかっこいい人はいない」
鼎談 阿部和重+佐々木敦+中原昌也「もっとも倫理的な映画作家」

Filmography
勝「手」に盗め――帰ってきたカッパライ 『勝手にしやがれ』 (後藤護)
1960—1966 アンナ・カリーナ時代のゴダール (真魚八重子)
1967—1968 映像と音、映画とは何かの探究の時代 (上條葉月)
1969—1972 「めざめよと、われらに呼ばわるオプティカルな声ら」――ジガ・ヴェルトフ集団時代 (西田博至)
1973—1987 ミエヴィルとの共闘――〈ソニマージュ〉の設立と商業映画への帰還 (児玉美月)
1988—1998 1990年代――『映画史』へと至る10年 (山本貴光)
2001—2018 21世紀のゴダール (細馬宏通)

Column
ヌーヴェル・ヴァーグとゴダール (渡邉大輔)
ヌーヴェル・ヴァーグ後のゴダールをめぐる人物たち (渡邉大輔)
ゴダールの〈仲間〉たち (上條葉月)

ゴダール監督作品リスト
索引
プロフィール

オンラインにてお買い求めいただける店舗一覧
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Rakuten ブックス
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紀伊國屋書店
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有隣堂
くまざわ書店
TSUTAYA
未来屋書店/アシーネ

* 発売日以降にリンク先を追加予定。

Matthewdavid - ele-king

 LAのアンビエント/ニューエイジ・シーンの筆頭にして、レーベル〈Leaving〉の主宰者としても知られるプロデューサー、マシューデイヴィッド。その新作EPが1月31日にリリースされている。タイトルはストレートに「マッシュルームについて」。年内に予定されている久しぶりのフル・アルバム『菌糸体音楽』と対をなすものだという。明確にトリップを志向しています。きらきらした夢見心地の音楽を楽しみましょう。

Leaving Recordsの創設者Matthewdavidが今年リリース予定の待望の新作アルバム
『Mycelium Music』に先立つEP「On Mushrooms」をリリース

Leaving Recordsの創設者でもあるMatthewdavidが今年リリース予定の待望の新作フル・アルバム『Mycelium Music』に先立つプライマーとして、アルバムと対をなすEP「On Mushrooms」をリリースしました。
このEP、アルバムの両作品は同じ生態系から表現され、同じ生地から切り出されたものであり、Matthewdavidの最新のサウンドの探求がどこへ向かうのかを予感させる表現力豊かで、エレクトロニックなエネルギーとアンビエントな反射音が合流し、鮮やかな輝きを放っている、来る新作フル・アルバムへの期待が否応無しに膨らむEPです。

Matthewdavid new EP “On Mushrooms” out now

Artist: Matthewdavid
Title: On Mushrooms (A Primer for Mycelium Music)
Label: PLANCHA / Leaving Records
Format: Digital EP
Release Date: 2023.01.31
Buy/Listen: https://orcd.co/obb5g8d

1. Culebra with Wilkes (feat. Sam Wilkes)
2. Under a Tree
3. A New Ambient
4. Dampener
5. Too High to Play Bear’s Campout (feat. Brin)
6. One4G

*all music + engineering by MatthewDavid except track 1 is a collaboration with Sam Wilkes, and track 5 is a collaboration with Brin.
*artwork + design Sam Klickner
*tracks 1 & 2 performed and recorded for Listen to Music Outside in the Daylight Under a Tree, at La Tierra de la Culebra, in Highland Park, Los Angeles
*tracks 3-6 recorded at home in Los Angeles

“私の音楽は真実を明らかにするための幸せな偶然への果てしない探求の結果です。私の部屋にある秘密の抜け穴は、いつもそこにあった答えの境地へと繋がっています。”

決して型にはまらないレコード・レーベル/実験的コミュニティとして絶大な地位を確立しているLAのLeaving Recordsの創始者であるMatthewdavidが今年リリース予定の待望の新作フル・アルバム『Mycelium Music』に先立つプライマーとしてEP「On Mushrooms」を発表。個性的でエッジの効いた、没入感のあるMatthewdavidらしい “ニュー・アンビエント”。

『On Mushrooms』は、LAにあるLa Tierra de la Culebraコミュニティ・アート・パークで定期的に行われているLeaving Recordのイベント「Listen to Music Outside in the Daylight Under a Tree」(日中の屋外で音楽を聴くイベント)で録音された2曲で幕を開ける。生命力溢れるコレクションに相応しく、レーベルメイトのSam Wilkesをフィーチャーした冒頭のトラック「Culebra With Wilkes」ではリヴァービーで穏やかなギターのフレーズにアンビエント的音像が浮遊し、ヒプノティックな世界観が広がる。続く「Under a Tree」では、繊細でミニマルなシンセサイザーが漂い、徐々に天空へと誘われるかのようなサウンドが形成されている。その後はガムランの囁きとドローンがゆっくりと滑らかに交錯し、オーディオリズム奏者Brinとのコラボ曲「Too High To Play Bear’s Campout」では緻密なレイヤー波がうねり、「A New Ambient」での暗号のようなサウンド・コード、そしてクロージング・トラックの「One4G」は、反響の中を沈んでいくように音が広がり幕を閉じる。実験的ながら心地よく幻想的な作品に仕上がっており、Matthewdavidの最新のサウンドの探求がどこへ向かうのかを予感させる表現力豊かなもので、エレクトロニックなエネルギーとアンビエントな反射音が合流し、鮮やかな輝きを放っている。来るフル・アルバムへの期待が否応無しに膨らむEPだ。

以下は、Matt Baldwin(カリフォルニアの著名なギタリスト、作家、サイケデリック心理療法の訓練を受けた心理療法士)が書いた試聴体験談です。

Matthewdavidの新しい音楽を聴きながらケタミン空間(200mgのロゼンジを経口投与)に身を投じたとき、私ははっきりと同様の印象を受けた。特に、この音楽は私が知る前に私のことを知っていて、私に会うために非常に長い間待っていたのだ、ということだ。この音楽は、他の人の意識を媒介にして、ついにその全体性を表現する機会を待ち望んでいたのである。音楽は、空気の圧力波を媒介にして、他人の内面に意味を伝える日常的なテレパシーの一種である。色と音の波が私を貫いていくとき、私は深い相互関係についての非常に明確なメッセージに圧倒され、まさにこの言葉で定式化された。

私たちは、ほとんどの時間を、同じ人間ではないふりをしながら過ごしています。

私たちのコミュニティの重なり合う円は、輝く生きた曼荼羅として私たちの前に横たわっています。

私たちがお願いしたいのは、あなたがここで感じたことを認め、決して忘れないと約束していただくことだけです。

この音楽との出会いは、自分の部屋の床に秘密の抜け穴を見つけて、足元にきらめく洞窟の果てしないネットワークが常に存在していたことに気付くようなものです。さらに、洞窟はどういうわけか生きていて、月相のツィター(スロベニア、オーストリア、ハンガリーなどで見られる、日本の琴を短くしたような弦楽器)の曲の微妙な火が刻まれた秘密のシジル(主に西洋魔術で使われる図形)の淡い金色の線条細工でネットワーク化されています。なお、夢分析では、隠された空間を見つける夢は、自己の可能性の広がりを象徴していることが多い。

Matthewdavidは、静寂と暗闇の隠された双子のような作品を作り上げた。恐怖や孤独の闇ではなく、新しい形を優しく愛撫しながら発芽するビロードのような闇。この音楽の喜びは、その深いプライバシーにある。太陽の光で煌めき、ヒノキの枝のように一日中、夜の断片を抱え込んでいる。それは磁気の光の波に乗って私たちを前進させ、私たちは人間の傷が永遠に癒され、想像力以外の法がない世界の端の向こうの霧深い森に連れて行かれることに気づく。

Rainbow Disco Club 2023 - ele-king

 GW中の、4月29日〜5月1日の3日間に渡って静岡県東伊豆クロスカントリーコースにて開催される〈レインボー・ディスコ・クラブ2023〉、今年もまた出演者が豪華過ぎます。まずはジェフ・ミルズ、もう説明不要でしょう。彼のことですから、野外でやるからには選曲もまた考えてくることでしょうし、うん。ほか、エレキング的に注目したいのは、Special RequestとChaos In The CBD。前者は、近年のジャングルにおいてもっともカッコいいプロデューサー、後者は、近年のハウスにジャジーなヴァイブを加味した人気のプロジェクトです。それからもうひとり、現在ロンドンを拠点に活動しているChangsieにも注目でしょう。
 ほかにもDJ NOBやBen UFOのような安定した人気を誇るDJもいるし、RDCの精神的支柱の瀧見憲司もおります。早割とかバスツアーとかいろいろあるので、詳しくはオフィシャルサイトをチェックしましょう。とにかく、これは楽しみですね。

開 催 概 要

名 称:
Rainbow Disco Club 2023

日 時:
2023年4月29日(土)9:00開場/12:00開演~5月1日(月)19:00終演

会 場:
東伊豆クロスカントリーコース特設ステージ(静岡県)

出 演:
DJ / LIVE (A to Z):
Alex Kassian
Antal & Hunee
Ben UFO
Changsie
Chaos In The CBD
Daphni
DJ Nobu x Eris Drew
Jeff Mills
Kamma & Masalo
Kenji Takimi
Kikiorix
Lars Bartkuhn (live)
Little Dead Girl
Monkey Timers
Moxie
Occa
Palms Trax
San Proper
Sisi
Special Request
Yoshinori Hayashi (live)
Yu Su

VISUAL:
Realrockdesign
Colo Müller
Kozee
VJ Manami

LASER & LIGHTING:
Yamachang

オフィシャルサイト:
http://www.rainbowdiscoclub.com

Weldon Irvine - ele-king

 21世紀になって、20世紀にはあまり語られなかった歴史に脚光が当たっている。音楽においても、ときの商業主義やジャーナリズムには乗れなかったものの、それを知るミュージシャンたちからは発見/リスペクトされ続けていた作品やアーティストが広く掘り起こされ、再評価されているのは周知の通りである。
 ウェルドン・アーヴィンの名前を知らない人でも、彼の曲を知らない人はまずいないだろう。もっとも有名な曲のひとつ “I Love You” を大胆にルーピングした曲を、シーンに登場したばかりのセオ・パリッシュは “Black Music” という、最大限のリスペクトを込めたタイトルをもって発表した。それというのも、アーヴィンが作詞し、ニーナ・シモンが歌った超名曲 “To Be Young, Gifted and Black” は公民権運動の公式アンセムとまで呼ばれている曲で、この曲をカヴァーしたアーティストたるや、アリサ・フランクリン、ダニー・ハザーウェイをはじめ、カリブ海からはプリンス・バスター、ボブ・アンディ&マルーシャ・グリフィス、ザ・ヘプトーンズ……、あるいは、エルトン・ジョンまでが手がけているという、つまり、ポップ史および社会運動史においても決定的な曲である。セオはその意味もわかったうえで、アーヴィンの “I Love You” を “Black Music” と呼んだのだろう。
 もっともウェルドン・アーヴィンに関しては、ア・トライブ・コールド・クエストの 人気曲のひとつ、“Award Tour” におけるサンプリング・ソース(We Gettin' Down)としてのほうが有名だろうか。Q-Tipはのちにリリックのなかでもアーヴィンの功績を讃えているが、ほかにアーヴィン崇拝者として知られているラッパーと言えば、コンシャス・ラップの代表格、モス・デフとタリブ・クエリの二人である。アーヴィンは彼らの名作『Black Star』(1998)収録の “Astronomy ” において鍵盤を弾いているばかりか、モス・デフのソロ作 “Umi Says” でもフィーチャーされており、タリブ・クエリも負けじとソロ作“Too Late” でキーボードを弾いてもらっているうえに “Where Do We Go(私たちが行くところ)” という曲の副題を “ウェルドン・アーヴィンに捧ぐ” としている。
 もちろん、ここでマッドリブのことを忘れるわけにはいかないだろう。アーヴィンの死後、彼はイエスタデイズ・ニュー・クインテット名義でトリビュート作『Suite For Weldon Irvine』(2003)を発表、その翌年にはモンク・ヒューズ名義でカヴァー・アルバム『A Tribute To Brother Weldon』までリリースしたほどだった。
 まだまだ例はある。ドラムンベースのファンなら、LTJブケムの〈Good Looking〉からのBig Budのアルバム『Late Night Blues』(2000)でフィーチャーされていることを憶えているだろうし、テクノ・ファンならアズ・ワンことカーク・ディジョージオがそれこそ“I Love You” をカヴァーしていることを思い出して欲しい(東京のクラブでよくかかったなぁ)。また、竹村延和のスピリチュアル・ヴァイブスが1993年の時点でいちはやくアーヴィンの “De Ja Vu” をカヴァーしているのは、もう、さすがというか。
 いずれにせよ、多くの音楽ファンが、どこかでウェルドン・アーヴィンと出会っているはず。映画『サマー・オブ・ソウル』において、ニーナ・シモンが “To Be Young, Gifted and Black” を歌っている最後の感動的な場面も記憶に新しい。
 そう、ウェルドン・アーヴィンこそがニーナ・シモンの黄金期における音楽の重要パートナーだった。とはいえ彼の活動領域は、ジャズ、ファンク、リズム&ブルース、ゴスペルなど広範囲にわたるもので、アーヴィンは生涯を通じて、500曲以上のいろんな楽曲で、演奏、作詞、作曲などに関わっている。
 ソロ・アーティストとしては70年代以降、いくつもの名盤/人気作をリリースしているが、なかでも『Liberated Brother』(1972)、『Time Capsule』(1973)、『In Harmony』(1974)の3枚は、黒人音楽ファンおよびディガーたちからこの時期のジャズ・ファンクの金字塔に認定されている。2002年、なんと銃によって自害してしまったウェルドン・アーヴィンだが、しかし彼の輝かしいレガシーは年々輝きを増し、最近ではイハラカンタロウもカヴァーしたように、新しいリスナーを絶えず呼び込んでもいるのだ。
 
 ブラック・ミュージックにおけるいわば知る人ぞ知る至宝、ウェルドン・アーヴィンの諸作の権利を 〈Pヴァイン〉が遺族から収得した。今後、アーヴィン作品のリイシューをがんがんに展開します。まずは2月15日に、「CAPSULE ep」の10インチ・アナログ盤をリリース(同時期にはTシャツも販売)。どうぞ注目してください。

 
 
 

R.I.P. 鮎川誠 - ele-king

 連日レジェンド級のアーティストたちの訃報が続き、堪えるなと思っていたところへまたひとり……シーナ&ロケッツの、そして日本を代表するロックンロール・ギタリストの鮎川誠が1月29日午前5時47分(シーナ!)に亡くなった。享年74歳。日本中のロックンロール・ファンがいま、悲しみに暮れている。
 昨年5月に膵臓がんで余命5ヶ月を宣告されてからも「一本でも多くライヴをしたい」とツアーを続け、近年ではもっともライヴの多い一年になったという。最後までロックとライヴにこだわった生涯だった。
 11月にはシーナ&ロケッツ45周年ワンマンを新宿ロフトで行った。ライヴ中にウィルコ・ジョンソンの訃報が入り、「ウィルコの分までロックするぜぃ!」と叫ぶ姿がYouTubeに投稿されている。
 そんなウィルコ・ジョンソンやイギー・ポップといった鮎川とも交流のあったアーティストたちと同様に、鮎川はパンク以前とパンク以後、メジャーとアンダーグラウンドを自在に行き来した存在だった。鮎川の人生は日本のロック史と、そして日本の戦後史とも寄り添っている。

 アメリカ兵の父と日本人の母の間に生まれ、母子家庭で育った鮎川少年はラジオで50年代のロックンロールと出会う。次第に音楽に惹かれていく中でビートルズ、そしてローリング・ストーンズとの出会いが彼の一生を決めた。
 地元久留米のダンスホールに入り浸る高校時代。そして「音楽をやるために」九州大学へ進学、柴山俊之(菊)らと71年にサンハウスを結成する。サンハウスはメンバー全員が熱心なレコードマニアであり、それぞれにブルースから最新のロックまであらゆる音楽を吸収し、ブルースのカヴァーを中心にレパートリーを増やしていく。
 そんな中でブルースの次に目指したのが「日本語のロック」だった。奇しくも『ニューミュージックマガジン』に「日本語ロック論争」と呼ばれる記事が掲載されたのと同時期だが特にそれを意識したものではないようだ。ある日柴山が書いてきた「俺の身体は黒くて長い、夜になったら抜け出して」で始まる歌詞に鮎川が曲をつけて出来上がった「キングスネークブルース」は、それまでの日本の歌謡曲とも、はっぴいえんどの「日本語ロック」とも異なる、ブルースの泥々したエロティックな世界を日本語で表現したものだった。
 今でこそ福岡は日本のロックの大きな拠点のひとつとして知られているが、サンハウスが活動を始めた当初はシーンなど存在していなかった。米兵を相手にしたダンスホールが閉店していくと、彼らは地元のホールなどを借りて自主コンサートという形で活動を続けていく。そんな彼らを見て育ったのがルースターズやロッカーズをはじめとする「めんたいロック」第二世代勢である。福岡にロック・シーンを築いたのがサンハウスだったのだ。
 その後、伝説のフェス「郡山ワンステップ・フェスティバル」出演などで注目を集め、75年にはメジャー・デビュー・アルバム『有頂天』をリリース。テイチクから「ヒット賞」をもらうほどのヒットとなったという。
 生涯の伴侶となるシーナとの出会いも、サンハウスのライヴだった。ある日、バンドが演奏しているダンスホールにふらっと入ってきた青いスーツ姿のロック少女。高校生ながら東京、京都とロック・バンドを求めて旅をした帰りに、福岡の街を歩いていると聞こえてきたサウンドに耳を惹かれて立ち寄ったのだという。そのまま二人はすぐに意気投合。数日後には同棲を始め、サンハウスのセカンド・アルバム『仁輪加』リリース直前の76年に結婚する。
 78年にサンハウスが解散すると、鮎川はシーナの親の後押しもあり、単身東京へ出る。当初はスタジオ・ミュージシャンとして身を立てていくつもりだったのだが、後日様子を見に上京したシーナが「歌いたい」と言い出したことがシーナ&ロケッツの結成につながっていく。

 サンハウス解散時にはパンクに夢中になっていた鮎川とシーナが同時に惹かれていたのは、フィル・スペクターなどの50年代のメロディだったという(それもまたラモーンズやニューヨーク・ド-ルズがロックにもたらしたものだった)。パンク/ニューウェイヴとそれ以前のロックを結びつけるシナロケの基本的な構想は、YMOファミリーと出会う前からあったものだとわかる。東京ではパンクに理解のあるミュージシャンとなかなか出会えず、結局末期サンハウスのメンバーだった浅田猛と川嶋一秀を迎えてシーナ&ロケッツが結成された。
 エルヴィス・コステロの来日公演でシナロケが前座をつとめた際に観客として訪れた高橋幸宏が仲立ちとなり、細野晴臣プロデュースによるセカンド・アルバム『真空パック』が録音される。同時期にYMOの『ソリッド・ステイト・サバイバー』のレコーディングにも参加している。このときのエピソードについては最近もテレビで語られたりしているのでご存じの方も多いだろう。
 その後もYMOファミリーとの関係は続き、シナロケのサード・アルバム『Channel Good』やシーナのソロ・アルバム『いつだってビューティフル』は前作に続き細野がプロデュースし、YMO関係者が演奏に参加している。
 サンハウス時代のブルース・ロックから一転してニューウェイヴ/テクノポップ・サウンドに身を包んだシーナ&ロケッツは「YMOファミリー」として一躍人気を得る。これ以降はテレビ出演の機会なども増え、お茶の間での知名度も上がっていった。おそらくこの時期に彼らのことを知った人が多いだろう。コンビニやカップラーメンなど、九州ローカルのCMなどもいろいろと出演している(そんなCMでもかっこいいのが流石である)。

 シンガーとしても独特な朴訥した魅力があった。81年の日比谷野音でのライヴから鮎川が歌った曲を集めた『クール・ソロ』、シーナの産休中にロケッツ名義でリリースされた『ロケット・サイズ』など鮎川のヴォーカルをフィーチャーしたアルバムも何枚かリリースされている。中でも特筆したいのは、盟友ウィルコ・ジョンソンのプロデュースによる『ロンドン・セッション#1』『#2』の2枚だ。ウィルコとそのバンド・メンバーをはじめ、ハーピストのルー・ルイス、エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズのスティーヴ・ナイーヴなどパブ・ロックの名手が参加し、ジーン・ヴィンセントやリンク・レイ、チャック・ベリー、BBキングなどロックンロールやブルースの名曲を伸び伸びと演奏している。

 ルーツ音楽を追求する一方でコンピュータやインターネットに興味を持つのも早く、96年には自身の手による公式ホームページ「ロケット・ウェブ」を作成。同年には名著『DOS/Vブルース』を刊行している。このロケット・ウェブは立ち上げが早かっただけでなく、最後まで当初の形を残したまま更新が続いていたということも特筆しておきたい。ディスコグラフィーには詳細な本人解説がつき、ほぼすべてのライヴのセットリストが翌日にはアップされていた(昨年12/19に三宅伸治のライヴにゲスト出演したものが最後になっている)。今見るとちょっと懐かしいような昔ながらの「ホームページ」だが、その無骨な感じが鮎川らしい。

 鮎川の、というかシーナ&ロケッツについて特に重要なのは、シーナは子どもを生んでから初めて音楽活動を開始したということだ。それまでステージ経験のまったくなかった女性が出産後にバンド活動を始めるというのはかなりレアなケースだと思う。『女パンクの逆襲』でも書かれているように、出産をきっかけに女性アーティストがいったんキャリアを中断せざるをえなくなるケースは枚挙にいとまがない。そんななか、周囲のサポートと本人たちの強い意志でバンド活動を継続していった鮎川夫妻の提示した家族像は極めて新しいものだったのではないだろうか。その後は長女がバンドのロゴをデザインし、次女がマネージメントに携わり、2015年にシーナが亡くなった後は三女が母に代わってステージに立つに至る。

 新旧のロック、ブルース、ソウルへの造詣の深さは評論家顔負けのものがあった。雑誌の企画でおすすめ版を求められればスリム・ハーポからアラン・ヴェガまで様々なレコードが挙がる。彼の監修したディスクガイド『200CDロックンロール』はブルースからR&B、正統派ロックにパンク/ニューウェーヴまでを網羅したこれまた名著である(個人的にはニューヨーク・ドールズでセカンドを推しているあたりに膝を打った)。60年代ガレージ・パンクのコンピレーション・シリーズ「ペブルス」から鮎川が選りすぐって選曲した『ペブルスの真髄』も名コンピである。筆者はここからガレージの世界にはまっていったものだ。

 そんな鮎川誠というミュージシャンだが、「代表作」を挙げにくいという問題がある。もっともヒットしたのは『真空パック』だろうが、やはりYMO色が強すぎる。やはり鮎川はライヴでこそその真価を発揮するタイプのアーティストだったのだと思う。
 対バンのあるイベントで見るとよくわかるのだが、まずシナロケは常にどのバンドよりも音がでかい。そして長年連れ添ったレスポールから発するあの爆音は、エフェクターなしでどうやったらあんな音が出るのかまったく見当もつかない。3年ほど前に、ピータ・バラカンと鮎川の対談イベントというのがあり、その際にちょっとしたミニライヴがあったのだが、バラカン氏も「ものすごい音ですね、なにか特別なアンプを使っているんですか?」と尋ねていたものである。
 はっきり言ってしまえばテクニック的に彼よりうまいギタリストは正直いくらでもいる。しかしながらステージに現れてEコードを一発鳴らしただけですべてを納得させてしまうサウンド、そしてその佇まいの問答無用のかっこよさ。
 あれほどまで「ロック」を体現したギタリストは誰もいなかったし、これからも現れないだろう。あの雷鳴のようなすさまじいギターには代わるものがない。あれがもう聴けなくなってしまったことがただただ残念で仕方がない。

Yves Tumor - ele-king

 エクスペリメンタルな電子音楽家として〈PAN〉からデビュー、その後〈Warp〉と契約してからは一気にグラム・ロックへと舵を切りその地位を確立したイヴ・トゥモア。パンデミックど真ん中にリリースされた前作から3年、4枚目となるニュー・アルバムが3月17日に発売されることになった。『齧るが喰わぬ主君を讃えろ』なる意味深なタイトルも気になるが、先行シングルとして公開中の “Echolalia” のMVも興味をそそられる映像なのでチェックしておきたい(スウィフトの小説『ガリヴァー旅行記』にインスパイアされたという)。現代のきらびやかなアイコンによる次の一手に期待しよう。

覚醒!!!

異形のロックスター、イヴ・トゥモアが最新アルバム『PRAISE A LORD WHO CHEWS BUT WHICH DOES NOT CONSUME; (OR SIMPLY, HOT BETWEEN WORLDS)』のリリースを発表!

新曲 “ECHOLALIA” 解禁!

国内盤CDとデジタル配信は3月17日!
日本限定カラーのTシャツセットも同時発売!
5月には日本語帯付き限定LPもリリース!

初期には先鋭的な電子音楽作品で独特のアート性と実験性を提示し、〈Warp〉と契約した2018年以降は、グラムロックに接近すると、独自のロック・サウンドを展開しながら大胆に音楽性をスケールアップさせてきたイヴ・トゥモア。いまや次世代のロックスターへと変貌を遂げたイヴ・トゥモアが、キャリア史上最も完成度の高い最新作『Praise A Lord Who Chews But Which Does Not Consume; (Or Simply, Hot Between Worlds)』のリリースを発表! 異形のロック・アイコンとして覚醒したことを確信させる最新作では、ロック、サイケデリア、エレクトロニカを融合させ、ポップミュージックの概念を再構築すると同時に、現代アートとカルチャーの境界線を自由自在に往来する。イヴ・トゥモアの芸術性が頂点に到達したことを証明する名盤となっている。

『齧るが喰わぬ主君を讃えろ』という謎めていて壮大なアルバム・タイトルを冠した本作は、イヴ・トゥモアにとってこれまでで最も私的なステートメントでもあり、暗闇と光、ポップと革新、不協和音と崇高な静寂という相反する要素を織り交ぜながら、多様な精神の旅へとリスナーを導くものである。昨年11月にリリースされたシングル “God is a Circle” を出発点とするアルバムは、一度聴いたら耳から離れない中毒性のあるメロディーと革新的なアレンジに満ち溢れており、あわせて解禁された新曲 “Echolalia” でも、それが見事に証明されている。映像アーティストのジョーダン・ヘミングウェイが監督を務めた “Echolalia” のミュージックビデオは、ガリバー旅行記へのオマージュを込めたコンセプチュアルな映像となっている。

Echolalia (Official Video)
https://youtu.be/Cxk-QeZ6Rus
God Is a Circle (Official Video)
https://youtu.be/dLzFdcNewKU

『Praise A Lord Who Chews But Which Does Not Consume; (Or Simply, Hot Between Worlds)』は、フランク・オーシャン、アーケイド・ファイア、カニエ・ウェストなどラップ/ヒップホップを中心に多方面で活躍するノア・ゴールドスタインをプロデューサーに迎え、ミックスはマイ・ブラッディ・ヴァレンタインやナイン・インチ・ネイルズを手掛けるアラン・モウルダーが担当。イヴ・トゥモアの特徴的なサウンドをさらに増幅させ、抽象的なものに意味を与え、不協和音を調和させることで、現実を希薄化するというイヴ・トゥモアのビジョンを具現化した唯一無二のサウンドが完成した。またコーチェラ・フェスティバルを皮切りに、ワールドツアーを開催することもあわせて発表している。

最新アルバム『Praise A Lord Who Chews But Which Does Not Consume; (Or Simply, Hot Between Worlds)』は、3月17日(金)に国内盤CDとデジタル配信でリリース! 輸入盤CD/LP/カセットテープは5月12日にリリースされ、LPは通常盤(ブラック・ヴァイナル)に加え、限定盤(イエロー・ヴァイナル)、限定盤2LPエディション(ブラック・ヴァイナル)、日本語帯付き仕様盤(イエロー・ヴァイナル/歌詞対訳・解説書付)の4形態で発売される。さらに、国内盤CDと日本語帯付き仕様盤LPは、日本限定カラーのTシャツセットでも発売される。

label: Warp Records
artist: YVES TUMOR
title: Praise A Lord Who Chews But Which Does Not Consume; (Or Simply, Hot Between Worlds)
release (国内盤CD): 2023.03.17
release (輸入盤各種): 2023.05.12

BEATINK.COM (国内盤CD)
BEATINK.COM (輸入盤各種)
BEATINK.COM (限定輸入盤2LP)

tracklist
01. God Is a Circle
02. Lovely Sewer
03. Meteora Blues
04. Interlude
05. Parody
06. Heaven Surrounds Us Like a Hood
07. Operator
08. In Spite of War
09. Echolalia
10. Fear Evil Like Fire
11. Purified By the Fire
12. Ebony Eye

Rob Mazurek - ele-king

 シカゴ・ジャズ・シーンにおけるキーマン、かつてガスター・デル・ソルやトータスの作品に参加しポスト・ロックの文脈でもその名が知られる作曲家/トランペット奏者のロブ・マズレク(現在はテキサスのマーファ在住の模様)が、ニュー・アルバムを送り出す。古くからの仲間と言えるジェフ・パーカーを筆頭に、クレイグ・テイボーンやデイモン・ロックスといったメンバーが終結。ブラジル在住時の経験がインスピレーションになっているそうだ。昨年亡くなったジャズ・トランぺット奏者、ジェイミー・ブランチに捧げられた作品とのこと。発売は4月5日、チェックしておきましょう。

Rob Mazurek - Exploding Star Orchestra
『Lightning Dreamers』

2023.04.05(水)CD Release

シカゴ・アンダーグラウンド、アイソトープ217°、サンパウロ・アンダーグラウンドで知られる作曲家/トランペット奏者のロブ・マズレクによる、エクスプローディング・スター・オーケストラ名義の最新作。ジェフ・パーカーを筆頭に豪華メンバーが集結してグルーヴ感溢れる演奏を聴かせる中、故ジェイミー・ブランチも参加し、彼女に捧げたアルバムとして完成された。ボーナストラックを追加し、日本限定盤ハイレゾMQA対応仕様のCDでリリース!!

ジェフ・パーカーとの共作 “Future Shaman” でスタートするロブ・マズレクの新作は、流れるようなグルーヴ、宇宙空間を漂うようなメロディラインと音響によって彩られている。それは、彼が3年間住んでいたブラジル、マナウスで、リオ・ネグロ(黒川)とリオ・ソリモンエス(白川)の合流地点にインスパイアされた感覚の表明でもある。アマゾンの支流を船で日々移動することは、過去、現在、未来の精神を呼び起こしたのだという。画家でもあるマズレクの視覚と聴覚へのアプローチも、エクスプローディング・スター・オーケストラというプロジェクトの目的も、水の流れ、時の流れから彼が掴んだ一種の再生の表現だ。故ジェイミー・ブランチも参加し、彼女に捧げられているアルバムに相応しいテーマである。(原 雅明 ringsプロデューサー)

ミュージシャン:
All music composed by Rob Mazurek (OLHO, ASCAP).
Words by Damon Locks.
Recorded at Sonic Ranch, Tornillo, TX, September 23rd & 24th, 2021.

Rob Mazurek (director, composer, trumpets, voice, launeddas, electronic treatments)
Jeff Parker (guitar)
Craig Taborn (wurlitzer, moog matriarch)
Angelica Sanchez (wurlitzer, piano, moog sub 37)
Damon Locks (voice, electronics, samplers, text)
Gerald Cleaver (drums)
Mauricio Takara (electronic percussion, percussion)
Nicole Mitchell (flute, voice)

Engineered by Dave Vettraino.
Additional Recording by Jeff Parker, Mauricio Takara, Nicole Mitchell,
and Rob Mazurek.
Produced and Mixed by Dave Vettraino & Rob Mazurek.
Mastered by David Allen

Album art by Rob Mazurek Radical Chimeric #1 #2 (mesh, screen, mylar, canvas, video projection) 2022.
Insert Photo by Britt Mazurek.
Design by Craig Hansen.
Thank You Britt Mazurek.
This album is dedicated to jaimie branch.


[リリース情報]
Artist:Rob Mazurek - Exploding Star Orchestra(ロブマズレク・エクスプローデイング・スター・オーケストラ)
Title:Lightning Dreamers(ライトニング・ドリーマーズ)
価格:2,600円+税
レーベル:rings / International Anthem
品番:RINC99
ライナーノーツ解説:細田成嗣
フォーマット:CD(MQA仕様)

*MQA-CDとは?
通常のプレーヤーで再生できるCDでありながら、MQAフォーマット対応機器で再生することにより、元となっているマスター・クオリティの音源により近い音をお楽しみいただけるCDです。

[トラックリスト]
01. Future Shaman
02. Dream Sleeper
03. Shape Shifter
04. Black River
05. White River
+Japan Bonus Track 収録

https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008618139
https://www.ringstokyo.com/items/Rob-Mazurek---Exploding-Star-Orchestra

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