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BLACKCOFFEE
CRAZY(feat.THIWE)-QUENTIN HARRIS/CULOE DE SONG REMIXES
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CRAZY(feat.THIWE)-QUENTIN HARRIS/CULOE DE SONG REMIXES
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ジュリアナ・バーウィックがコクトー・ツインズとアニマル・コレクティヴの溝を埋めたとしたのなら、ニコラス・ジャーの『スペース・イズ・オンリー・ノイズ』はマシュー・ハーバートとリカルド・ヴィラロヴォスの溝を埋める作品である。いずれにせよ、ここ数年あまりパッとしなかったテクノ・シーンにおいて久しぶりの大器の登場......というわけで、すでに輸入盤店では評判になっているブルックリン在住の21歳、そのデビュー・アルバムだ。
ジャーは、昨年リリースしている何枚かのシングルではヴィラロヴォスの後継者と言われたようにミニマル・テクノ・ダンスを発表してきた若者、というか大学生で、アーティなノリが鼻につくとはいえ、それら作品はアイデアに富み、個性があって、魅力的なダンス・トラックであることは間違いない。ここ数年、どん詰まり気味に見えていたミニマル・テクノにおいて、「あー、まだこんなに新しいことができるんだ」と彼のシングルを聴くと感心する。
それはまあ、簡単に言えば知性による革新だが、感覚派が多数を占めるミニマル・テクノにおいて、知性派と言えばスティーヴ・ライヒを再評価するような、あるいはカールステン・ニコライを再評価する動きがあるけれど、そことも確実に一線を画する面白味というものがジャーにはある。現代音楽を真面目に学ぶ教室のなかでRケリーを高らかに歌う生徒を想像してみて欲しい。そして、フィリップ・グラスは知っていてもヒップホップを聴かない連中の前で一見アホらしいミニマル・テクノを演奏したときに、多くは眉をひそめるだろうが、しかし何人かは熱烈に拍手するだろう。そういう意味では、ニコラス・ジャーにはダダイストめいたところがあるのだ。実際の話、ジャーの最大の特徴をひと言で表せば、異なるジャンルの混合(コラージュ)ということになる。そして、その実験はつねにポップに響いている。
アルバムではダンスを控え、ダウンテンポでラウンジーな展開を披露しているものの、ハーバートを彷彿させる洒脱でユーモラスなセンスと彼の教養は充分に発揮されている。プリペアード・ピアノとブルースを重ね、ジェームス・ブレイクをミニマル・テクノでやったかと思えば、ゲンズブールがキャプテン・ビーフハートとラップトップでマカロニ・ウエスタンをやっているというか......レナード・コーエンを最大のヒーローとしているだけあって、歌心も忘れない。何よりも音楽を思い切り楽しもうという気概が気持ちよいし、それが老朽化したミニマルのクリシェを解体して、若々しい現在を主張している。
ともかく、これはジェームス・ブレイクと並んで2011年前半のエレクトロニック・ミュージックにおけるエポックメイキングな1枚になるので、未聴の方は早めにレコ屋にGO!
音楽が大好きな日本の皆さんを、何とか元気に出来る方法はないかと考えた、私なりの精一杯の支援方法です。音楽を楽しんでもらい、少しでも気持ちが明るくなったり、軽くなってくれたら......。これからもっと楽曲が増えていきますので、楽しみにしていて下さい!(浅沼優子)
日本支援プロジェクト
SOUL AID: music for japan
東北大震災とそれに伴う様々な被害や問題を受け、音楽の力で日本を支援するウェブサイトを立ち上げました。
URL: https://soulaid.org
アーティストたちに楽曲を「寄付」してもらい、それをメッセージと共に公開し、無料でシェアするというシンプルなプラットフォームです。
このサイトの最大の目的は日本の音楽ファンの方々に、日本でも人気の高いアーティストたちの心のこもった音楽と真摯な想いを届けることで、心理的・精神的にサポートし、元気を出してもらうことです。
二次的な目的は、この音楽の交流を通して国際的な音楽コミュニティに募金を呼びかけ、深刻な被害に苦しんでいる方々のための支援活動に少しでも金銭的な貢献をすることです。
募金はJustGiving を介して、全額を現在気仙沼市を中心に活動を展開している災害支援NGO、Civic Force に寄付します。
現在サイトにはThomas Fehlmann、Alexkid、International Feel、Nico Purman、Barker & Baumecker、Charles Webster、DJ Cosmo、Miss Kittin によって提供された8曲がアップされていますが、今後さらに増えていきます。
詳しい情報は、サイトの説明ページをご覧下さい。
ご意見、ご質問はこちらまで:
浅沼優子/ SOUL AID
soulaid.org@gmail.com
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MORITZ VON OSWALD TRIO
Horizontal Structures
HONEST JONS / UK
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AREA
Tenderness EP
KIMOCHI / US
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LUCY
Wordplay for Working Bees
STROBOSCOPIC ARTEFACTS / JPN
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デリック・メイは怒っていた。3月17日、テレビでBBCを点けっぱなしにしながら原稿を書いていたら、連日トップ・ニュースとして報じている「JAPAN DISASTER」においてアナウンサーが「それにしてもなぜ福島の人たちは怒らないのでしょう」と口走った。こんな発言を聴くと「こうした事態になっても日本人は暴れることなく落ち着いて......」という褒め言葉も皮肉に思えてくる。いや、実際には怒っているのにもかかわらずその声がマスメディアでは報じられていないだけだろう。感情も制御されているようだし、いずれにしても3.11以降、夜は余震に起こされ、福島原発からは相変わらず放射性物質が漏れているようだ。コンビニに行っても食物はないし、雨には濡れるし、水道水を使わないわけにはいかないし、奇妙な自粛ムードが日本を支配している。静岡で毎年夏におこなわれる安倍川の花火大会の中止までもがこの時期に発表された。
デリック・メイが怒っていたのは、海外のニュース番組の報道についてだった。「あれを聞いたら誰も日本に来なくなる」と、地震から1週間後の成田に降りた彼は言った。「もう人が住む場所じゃないという感じで、とにかく大袈裟なんだ。そこで生活している人たちがいるというのに失礼だろ、このマザーファッカーめ!」と僕に向かって怒鳴った。
実際の話、海外のロックのライヴ公演はことごとく中止になっている。来日が予定されていたDJのキャンセルも相次いでいる。ほとんどの場合、4月も見通しが立っていないところが多く、ゴールデンウィークのスケジュールも揺らいでいる。「こんなときに日本に行くなんて、さすがに熱い男ですね」とベルリンにいる浅沼優子さんは感心していたけれど、海外メディアの報道を見たうえでこの時期に来日するのはそれなりに強い気持ちがいることだと思う。
アメリカからの成田行きの便は搭乗者が少なくことごとくキャンセルになっているので、デリック・メイはキャンセルを恐れ、スケジュールを前倒しにして入国した。彼はそれから宇川直宏に電話してDOMMUNEの出演を直訴した。あの番組を観ていた人には不自然に感じたことだろうけれど、WADAさんのDJが終わって僕と門井隆盛くんがマイクを持ってDJブースにいたのも、簡単にデリック・メイの心境を話してもらってからDJプレイに移りましょうと本人を交えて打ち合わせたうえでのことだった......が、しかし、あのように見事に裏切られた、というわけである。「さっさと出ていけ!」はないでしょう、いくらなんでも(笑)。
そして......およそ2週間ぶりにお客さんが入ったDOMMUNEには、クラブ・カルチャーの最良の雰囲気があった。その晩はバーテンをやっていた豪邸住まいのメタルに「クラブって良いな!」と肩を叩くと、前の週末の彼のパーティにもたくさんの人が集まったと自慢された。依然として楽観できる状況にはまったくいないけれど、こういうときは音楽好きで良かったとつくづく思う。とにかくわれわれには集まる場所があるのだ。
最初に僕に突破口を見せてくれたのはキラー・ボング(aka.ブラック・レイン)だった。僕は心底驚いた。3月20日のDOMMUNEのDJブースに立ったあの天才は、破壊されたこの世界においてさらなる破壊を試みた。慈愛の言葉があらゆる場面で飛び交い、そして自粛ムードという緊張感に覆われたこの世界において、あのプレイは誰にでもできることではない。もちろん3月13日のラリー・ハードをはじめとするすべての出演者、ムードマン、七尾旅人、ノブ、クラナカ、ロブ・スミスのプレイはまったくもって心がこもったものだったし、20日のシミラボとRAU DEF、PUNPEEとPSG、S.L.A.C.K.といった若い力もみんな美しかった。僕はその場にいなくても、ほとんどすべてを聴いていたし、それぞれの場面でずいぶんと感動したものだった。ただ......、そう、ただ、キラー・ボングだけは何か違うところを見ていた。
それは人間の不条理への呪いのようにはじまった。エフェクトがかけられた抽象的な音の不穏な渦巻きからビートが聴こえる。しばらくするとファラオ・サンダースがけたたましく吠えている。悲しみがすさまじい勢いで押し寄せる。ターンテーブルの上には不気味極まりない骸骨、歯模型、あるいは悪魔の人形が置かれている。骸骨がぐるぐるとまわるなかで、彼のなかの激しい感情が音になって暴れている。口当たりの良い音ではないし、「これはいま聴きたくない音だな」というツイートもあったが、実は僕は、そのときもっとも聴きたかった音だった。待っていたのはこれだ! という感じだった。彼のラディカルなダブミキシングによって無秩序にうごめいている音を聴いていると、不思議なことに"自由"が見えてくる。自由......それは命と同じように尊いものだ。
キラー・ボングの集中力が途切れることはなかった。彼は目を閉じて、始終音のみに集中していた(飲み物を差し出しても気がつかないほどに)。やがてシンク・タンクがミックスされ、それからウータン・クランとヘア・スタリスティックスの溝を埋めるような彼のミックス・ショーは、コンガのビートがファンクのうねりに絡みつくディアンジェロの"スパニッシュ・ジョイント"を最後のクライマックスとして、そしてフェイドアウトしていった......。それはアヴァンギャルドがこの瞬間(滅びた街々、汚染された環境、買い占めパニック、錯綜する情報などなど......)に向き合ったときの、素晴らしい声明に思えた。容赦のない怒りが噴出し、そして絶え間なく溢れる願いが氾濫した。音楽はときに隠された真実を引きずり出すのだ。
僕はあの濃密な1時間半の、キラー・ボングの破壊的なミックス・ショーが道を作ってくれた気がしている。あれがなければ多様であるべき感情表現すらも、あるいは自由であるべき表現さえもいまよりも不自由なままだったかもしれない。Last night DJ saved my lifeが起きたのだ(もちろん誰もがDOMMUNEを見ているわけではないが、こうしたささやかな亀裂やさざ波がいずれ大きく広がり物事を動かすことはある)。
ああ、そういういえば、あの日の僕は風邪で喉がガラガラで、実に聞き苦しい声で、視聴者の方にはたいへんな失礼をした。「何を悲痛な声で......」とキラー・ボングには笑われたけれど、このタイミングで風邪を引くというのも我ながら情けない。いまも身体がだるいなーと思いながらこの原稿も書いている。テレビではBBCが東電本社の前のデモをレポートしている。「こんな事態になっても人びとは無関心なようです」とイギリス人のレポーターは伝える。それから場面は浜岡原発へ......。震災のコメントでマユリちゃんや湯山玲子さんも言ってるけど、この災害を原発というものを考え直す良い機会にしなければならない。チャリティーも大切だが、これもまた未来に向けての重要な事柄。ヨーロッパでは、これは大袈裟な報道の恩恵とも言うのか、脱原発の世論が高まっている。すぐに停止というわけにはいかないだろうけれど、スイスは国民の健康を第一に考え、原発計画を凍結させ、UKも原発は必要としながらも老朽化した原発は閉鎖、イタリアでも原発再開を1年間凍結、ドイツでは25万人のデモ......。なにはともあれ、とにかく早いところ放射能の漏洩だけでも止めて欲しいわ、ホントに。
バンド・サウンド、ないしはバンドの肉体性というものが空洞化したなと感じはじめたのは2008年前後だっただろうか。90年代ロック......ニルヴァーナやレッド・ホット・チリ・ペッパーズ、レディオヘッドらまでは残っていた「バンド」という物語は、いまやすっかり解体されてしまった。ストロークスやホワイト・ストライプスにしても、「ガレージ・リヴァイヴァル」の名のとおり一周回ったバンド解釈であり、それが2008年頃にきて、ロクスリーやフラテリス、ザ・ヴューなどを最後の華として歴史のなかに回収されたという印象だ。ロクスリーのマージー・ビートやフラテリスのブギーに顕著だが、ラストが一様にブリティッシュ・マナーなバンド・サウンドだったのも印象的だ。その後完全にUKロック・シーンは停滞するからだ。
そしてサイケ・ポップにバレアリック・ムード、シンセ・ポップの新しい波が押し寄せ、シューゲイザー再燃の気運が、ローファイ再燃の気運と乗り入れて相乗的にブームを起こした。ローファイ勢はバンド・サウンドと呼べるだろうが、台頭したのはノー・エイジやベスト・コーストなどデュオ(やソロ)が多く、バンド形態に対する批評や距離が暗示されていたと考えてよいだろう。またサイケ・ポップ勢もバンドとはいえ、リズム隊+リード・ギターといったシンプルなフォーメーションを大きく逸脱していることはアニマル・コレクティヴを参照するまでもない。このあいだ、コミュニケーションの在りようも変化したのだ。3人以上の人間のあいだに生じる微妙で繊細な駆け引きよりも、デュオやソロの機動性と直接性に説得力が宿る。要はバンドというものがダサくなった。
個人的な感覚に過ぎるだろうか? ひとまわり歳の離れた私の弟たちを見ていても、バンドよりオタクである。ギターより2次元である。ひとりで発信し、ネット上で燃え上がるチルウェイヴの隆盛などは、音楽におけるオタク/ひきこもり的メンタリティの合理性や説得力を証すものだと言えないだろうか?
そのかたわらでままごとのようにバンド形態を謳歌していたのが、『c86』リヴァイヴァリストたちである。80年代英国インディーズへのノスタルジーは、新世代シューゲイザーの盛り上がりとも重なり、〈サラ〉、〈エル〉、〈スランバーランド〉ものの再発掘やニュー・リリースへの注目に熱を帯びさせた。なるほど「ギター・ポップ」というカードは、かつて与えられた符号どおりエヴァー・グリーン......無期限に有効であるらしい。時代に背くように、あるいは時代性をシャット・アウトするように、彼らはエヴァー・グリーン・シェルターのなかでエヴァー・グリーンを偽装し、再生産しつづける。バンドという物語は、このシェルターのなかでは永遠に生きることができるのだ。そして、そうした物語を必要とする者にとってこの世界は得難い場所だ。ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートは、こうしたノスタルジーが生み出したなかでも飛び抜けて優秀なバンドである。
ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートのデビュー・フルは、国内では「CDショップ大賞」の洋楽部門準大賞にまで選出された。ファズの効いたノイジーなシュガー・ポップ&男女ヴォーカルという鉄板シューゲイズに加え、ブラック・タンバリンやロケット・シップ、あるいはフィールド・マイスなど、ギター・ポップ~ネオ・アコースティックのオリジネイターへの参照点も非常に的確かつオタク的である。アート・ワークの参照ポイントも同様で、旧世代には懐かしく、新世代には新鮮に映るじつに巧いジャケットだった。メロディ・センスも図抜けている。あらゆるポイントで高得点だ。
セカンド・アルバムとなる本作も基本的には前作の延長なのだが、特筆ポイントは表題曲でもある"ビロング"のサウンドだと言えよう。そこで鳴っているのはスマッシング・パンプキンズだ。金属的で重めのギターがバンド・サウンドの亡霊を神々しく召喚する。なにしろプロデューサーにフラッド、ミックスにアラン・モウルダーを配しているのだ。どういう経緯かはわからないが戦略的で効果的な陣形である。おそらく純粋な憧れだけではあるまい。4枚ものアルバムがプラチナ・ディスクに輝いたザ・オルタナティヴ・ロック=スマッシング・パンプキンズをいま鳴らすことが、昨今の超インディ志向なガレージ・ポップに対するなんの問いかけにもなっていないはずがない。もちろん楽曲も粒揃いで、ドライヴ感を大事にしたラフさは出しつつ丁寧に目の配られたプロダクションである。彼らが重要で存在感のあるバンドだということを証明した、じつに堂々たるセカンド・アルバムだ。
まず、3月11日に発生した東北関東大震災により被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。3月18日、日本から1万km以上離れたデトロイトにおいて日本救済チャリティイベント"Detroit Loves Japan"が開催されました。Diviniti、Pirahnahead、Rick Wilhiteらが中心となり、Mike Clark、Delano Smith、Norm Tallyらビートダウン・ブラザーズ、Los HermanosのGerald Mitchell、Urban TribeのKemetrixらが参加し、$1000以上の義援金を募ることに成功しました。
これを受けて日本でも当日の音源が聴けるサイト"Detroit Loves Japan Website" を立ち上げました。イベント当日に現地で録音されたDJ Mix、日本への想いを綴ったコメントなどをお楽しみいただけます。現在までにPirahnahead、Mike Clark、KemetrixのDJ Mixがアップされています。今後、Gerald Mitchell、DJ MinxらのMix音源を随時更新していきます。
さらに当日のイベントには参加できなかったアーティストたちも、次々と賛同&協力を表明してくれています。3月27日にはJeff Millsが今回の震災のために制作した"Phoenix" (The Rising) for Japan Relief MissionのPV、Free MP3ダウンロード、そしてコメントを提供してくれました。またTerrence Parkerも日本のためのDJ Mix、そして「人生の厳しい局面に対峙したときに聴く音楽」としてゴスペルの曲を選んでくれました。今後、Claude Young Jr.などの参加が予定されています。
みなさんもご存知のとおり、復興には時間がかかります。Detroit Loves Japan Websiteでは継続的に義援金を募っていきたいと考えています。本サイトにおける義援金の受付はDOMMUNEも採用しているCIVIC FORCEという団体を通じて被災者へと届けられます。寄付に関わる手数料などがかからないので、100%全額が被災者へ渡るシステムです。ぜひご協力をお願いします。(決して海外のイベントに送金して、まわりまわって日本へ、、というシステムではありません!)
本サイトに収録されている、すべてのビート、すべてのサウンドには、日本への「愛」がこめられています。私は震災直後の東京で余震や原発に怯えながら、何をすればいいのかもわからない、ショック状態の中で、彼らの音楽を聴きました。そして、本当に強く励まされました。 前向きな気持ちを、元気を、希望を、少しずつ抱くことができるようになりました。 このような状況下で、音楽に関わる自分は無力感に襲われました。しかし、音楽には力があると信じることができました。デトロイトの音楽を紹介してきた自分にできることは限られています。それは微力かもしれません。でも、萎縮しあきらめてしまっては無力になってしまいます。そして、彼らの音楽を日本の皆さんにシェアしなければいけないと強く思い、このサイトを立ち上げることにしました。たったひとりでは「微力」でも、この想いに共鳴してくれる人々の「微力」が集まれば、「大きな力」にすることができます。皆さんのご支援、ご協力を宜しくお願いします。
良かった良かった。今週末、4月2日(土)、3日(日)のソナー・サウンド・トーキョー、無事開催されます。詳しい出演者はここ→https://www.sonarsound.jp/en/を見てください。フライング・ロータスやバトルズといった人気者から、ハドソン・モホークやドリアン・コンセプトといった次世代のビートメイカー、ダブステップからはコード9、あるいは砂原良徳やDJクラッシュといったベテランに池田亮司や高木正勝といったレフトフィールドなアーティストなどなど、豪華な顔ぶれが並んでいます。なお、土曜日はオールナイト、日曜日は昼過ぎからのスタートなので、間違えないように。また、関西方面の方は、4月1日のZETTAI-MUがありますからね。
来日DJやバンドのキャンセルが相次ぐなか、こうして音楽フェスティヴァルが開催されることが嬉しいです!
A面はレーベルの首領でありエレクトロからトランスまで実験精神に溢れたトラックを頻発するPeter Van Hoesenと前回のレヴューでも紹介したモダン・アシッド、ミニマル・トランスを次々と生み出すイタリアのDonato Dozzyによる最新狂作。昨年〈CURLE〉からふたりの作でリリースされたダブステップのグルーヴに一歩も引けを取らない、幼女の柔肌のように繊細かつ柔軟なテック・ハウス"Tails"から一転、今回の"Elektra"ではレーベルのカラーに合わせ、モノトーンで金属的な質感のミニマル・テクノを基調としている。トリッピーな飛び音のシンセ、シャープで図太いシンセのリフも良い。ヴァイナルで聴くとJames Ruskinのようなオールド・スクールなミニマルよりも音圧は薄く少々味気なく感じるが、隙間があって軽さを持たせたグルーヴは心地よいダンスを見事に誘発する。
B面は各国の主要レーベルと契りまくる沖縄在住の大魔神Ioriと先日まで東京で活動していた友だち思いのイギリス人、Dave Twomeyの変名であるTr_nchによる奇跡の狂作。電気の武者"Elektra"とほぼ同様のカラーで構成された深海魚"Barreleye"はシカゴ・アシッドの質感を残したスネアのプログラミングがいい意味でのテクノのエグさを引き出している!! 奥行きのある空間で、過剰に歪められ凶暴に響くベースシンセがねっとりと絡みつく。そうまさにそれは深い海の底、あるいは熟女の執念のような深い闇を見事に写し出している。スタイルの違いを考慮しても、強度や深さ、アイデアにおいて"Barreleye"の深度が劣っていることはない。そう、このトラックこそがもっとも深いテクノである。
先日リリースされた田中フミヤのシングルも〈PERLON〉の作品に劣らないクオリティだったし、あまり言われてないことだが、現在の日本のテクノは素晴らしい。Ioriはアンビエントもたくさん作り貯めしていると言っていたし、これからもっとも期待ができるアーティストだといって間違いない。