「Nothing」と一致するもの

さよなら原発映画祭 in 熊本 - ele-king

 福島第一原発事故以降、九州や沖縄に避難された方も少なくないと聞きますが、いよいよ九州の熊本市でも脱原発のイヴェントは開催されるようです! 近隣にお住まいの方は注目してください。OTOさんをはじめ、坂口恭平さんなどDOMMUNEに縁のある人たちも出演していますよ。


『さよなら原発映画祭 with Denkikan』

 <原発のない九州>という希望の糸で結ばれたガーランド(花の環)を
母なる大地に捧げます......すべての悲しみとともに <原発のない地球>へ

 311、福島原発事故で大量の放射性物質が日本中から世界へと流出し始めました。原発は日本になんと54基。私たちの住む九州にも玄海原発と川内 原発があります。こんな事態になってもまだ原発は必要なのでしょうか? この美しい水や大地は誰のものなのでしょうか? 原発事故は九州の原発でも起こりうる のです。再生可能エネルギーで電力はもうまかなえる時代になっているようです。この映画を観て、私たちの暮らしやエネルギーについて、母なる自然を敬う地 球市民の文化や社会のヴィジョンを共有し、みなさんとぷくぷく発酵させてゆきたいです。
(by Oto Ravi )

第一弾 『100,000年後の安全』 (7月 2日~7月15日)
第二弾 『ミツバチの羽音と地球の回転』 (7月30日~8月12日)
☆映画上映18:00PMより

上映後のトーク・ライヴ出演者(敬称略)
坂口恭平 / OTO / MOUTHPEACE / 大塚愛 / 菊地洋一 / 松下修 / 吉田俊郎 /
吉田ケンゴ / 正木ゆう子 / 川原一紗 / 鎌仲ひとみ / 東田トモヒロ / 杉田かおる

■料 金
一般¥1800・高大¥1500・3才~中学¥1000・シニア¥1000
身障者割引/留学生割引¥1000
■割引情報
●毎週月曜日:男性のみ 鑑賞料金¥1000
●毎週水曜日:女性のみ 鑑賞料金¥1000
●毎週金曜日:ペアーサービス 鑑賞料金¥1200
●毎月1日:映画の日 鑑賞料金¥1000

詳細

●第一弾 『100,000年後の安全』と上映後のトーク・ライヴ
監督・脚本:マイケル・マドセン(2009年/79分/デンマーク、フィンランド、スウェーデン、イタリア)
フィンランドのオルキルオトに建設中の、原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場"オンカロ(隠された場所)"と呼ばれる施設に、世界で初 めてカメラが潜入したドキュメンタリー作品。これから先10万年間、そこに暮らす人々に、危険性を確実に警告できる方法はあるだろうか。彼らはそれを私た ちの時代の遺跡や墓、宝物が隠されている場所だと思うかもしれない。そもそも、 未来の彼らは私たちの言語や記号を理解するのだろうか。誰にも保障できない10万年後の安全。

トーク・ライヴ日程 開演19時30分~
7月2日(土曜日) 坂口恭平(建築家) × OTO(音楽家)
トーク:「ゼロセンターの活動」
音楽:MOUTHPEACE
7月3日(日曜日) 大塚愛(福島県双葉郡川内村の自給自足の大工、避難者)
トーク:「福島から避難してきて」
7月9日(土曜日) 菊地洋一(元原発技術者)
トーク:「福島原発事故後の現在」
7月15日(金曜日) 松下修(パーマカルチャーネットワーク九州代表理事)
× 吉田俊郎(トランジション・タウン・ジャパン)
× 吉田ケンゴ(ミュージシャン、特殊造形アーティスト )
トーク:「シフト・ エナジー」

●第二弾 『ミツバチの羽音と地球の回転』と上映後のトーク・ライヴ
監督・脚本:鎌仲ひとみ(2010年、春、公開)
日本のエネルギーの最前線、上関原発計画に向き合う祝島の人々とスウェーデンで持続可能な社会を構築する人々の取り組みの両方を一本の映画で描い ている。いかにして、自分たちのエネルギーの未来を切り開くのか? 現場からの問いかけは私たちに選択を迫ってくる。また同時に不可能と思われていることを 可能にする人間のエネルギーが、私たちと同じ全く普通の人々の感性と思いが、国の違いを超えて交差し新しいビジョンを描き出すドキュメンタリー映画。

トーク・ライヴ日程 開演20:30pm~
7月30日(土曜日)正木ゆう子(俳人)× OTO(音楽家)
トーク:「精霊の声を聞く」
音楽:川原一紗
8月8日(月曜日) 鎌仲ひとみ(映画監督)× 東田トモヒロ(歌手)
トーク:「家庭のエネルギー・シフト始めました」
音楽:東田トモヒロ
8月9日(火曜日) 鎌仲ひとみ(映画監督)× 坂口恭平(建築家)
トーク:「郷里から始まる新政府」
8月10日(水曜日) 杉田かおる(俳優)
トーク:「九州でわたしにできること」

*当日に映画を観覧された方は、トーク・ライヴは無料になります。
*映画を観覧された方は半券をお持ちいただくとトーク・ライヴは500円で入場できます。

フード出店:とぅから家。(対放射能レシピを盛り込んだ屋台かふぇ)
(https://blog.goo.ne.jp/tukarasya)
Private Lodge
(https://www.private-lodge.net/)
ステージデコ :ひょうたんランプ社 (バリ島のアーティスト、ニョマン・サカと松本雅代の作品 )
(https://www.hyoutanlamp.com/)

主催 :Denkikan 〒860-0803 熊本市新市街8番2号
(https://www.denkikan.com/index_pc.html)
問合せ:映画 096-352-2121(Denkikan)
トーク・ライヴ 080-5266-3399(Ravi)

ライヴ・トーク企画 :さよなら原発映画祭実行委員会(Jayma TV:Ravi、Oto)
(https://annapurnafarm.com/archives/event/)
フライヤー・デザイン:Takao Suzuki(https://www.taka-suzuki.com)

追記:『さよなら原発映画祭』第三弾☆8月7日、玉名『ちゃぶ台』にて
宮田雪監督『ホピの予言』上映決定。黒澤明監督作品『夢』の映像を交えてのトーク予定。

Mazes - ele-king

 メイジズなるマンチェスターで結成された若いインディ・ロック・バンドのデビュー・アルバムを買った理由はレーベルが〈ファットキャット〉だからだ。久しぶりに聴いてみようかと思った。パンダ・ベアの7インチも〈ファットキャット〉から発表された曲がいちばん良かったし。店員さんからは「テレヴィジョン・パーソナリティーズっぽい」と言われ、『ガーディアン』には「ラモーンズとザ・キンクスの出会い」と書かれていたので、それなら悪くはなさそうだと思った。
 で、実際に、「テレヴィジョン・パーソナリティーズっぽい」し、「ラモーンズとザ・キンクスの出会い」というのも当たっていた。演奏も歌メロもUKらしいモッズ系のシンプルなロックに思えるが、『ピッチフォーク』には90年代のUSローファイ・インディの焼き直しに聴こえるらしい。そんなわけで『タイニー・ミックステープス』は「どんなバンドにも聴こえてしまうような、個性を欠いた、保守的なインディ・ギター・ロック・バンド」と酷評しているが、チルウェイヴからウェイヴスにいたるまでいまやローファイ・サウンドはトレンドだし、ダンス・ミュージックでさえ僕の世代が古いと感じるものが若い世代では新しいという、要するにリサイクルの時代に突入している。マンチェスター出身の彼らにとってこれは新しいのかもしれない。それにUSのインディ・ロックのウェイヴスやベスト・コーストやディアハンターだって、ただたんに、やたらリヴァーブを深くかけているだけとも言える。メイジズにはあの手のリヴァーブはない。

 〈ファットキャット〉がこんな音楽を出すことのほうが驚いた。このレーベルは、もともとはデトロイト・テクノに触発されたテクノ・レーベルだったが、ゼロ年代以降はシガー・ロスやアニマル・コレクティヴをはじめ、あるいはノー・エイジなど、時代を切り開いたとも言えるであろう、先鋭的なインディ・ロックの作品をリリースしている。もっとも尖ったレーベルのひとつだったが、その母体はコヴェント・ガーデンの服屋の地下にあったレコード店で、僕がレコード店をますます好きになった理由はすべてこの店にあった。

 UKのレコード店(量販店を除く)でレコードを何度も買った経験のある人ならわかる話だが、向こうは何かその店のスタッフが推している音楽を買うとレジで金を払うときに「グッド・チョイス」などと声をかけてくる。そして奥から、それと同系列の新譜を持ってきて「これ聴いた?」とか言ってくる。「聴いた」と言えば、その音楽がいかに素晴らしいか手短に説明する。「聴いてない」と答えれば、その場でそのレコードをかける。そして良い思えば買うし、金がなければ「欲しいけど金がない」と言うし、まあまあだった場合は「ありがとう、また来るよ」と言う。こうした細かい店員と客とのコミュニケーションが頻繁にある。たわいもないことかもしれないが、そうしたコミュニケーションが面白くて、僕はレコード店のファンになった。ときにそれは多様な情報交換の場としても機能するし、批評の場にもなるのだ。
 それで最近、僕がこの話を某レコード店勤務の女性に話したところ、「そうしたコミュニケーションがいまの若者はうざったいんです」と言われたが、本当にそうだろうか。だいたい、UKスタイルのレコード店が日本にどれほどあるというのだろう(もちろんないことはないが、圧倒的に少ないだろう)。消費活動において余計な情報交換などせず、機械のように提示された金額分の貨幣を支払うだけでいいのなら、ネット通販でこと足りる。店など閉めればいいし、行く必要もない。
 UKではフツーにおこなわれている、客と店員とのあいだで繰り返されるある種マニアックなコミュニケーションには、POSシステムのような(もちろんセトラル・バイイングのような)、売れるものだけをどんどん売りさばく経済効率優先のシステムが入り込む余地がない。店員も客もマニュアル化されない。僕が何度か行ったことのあるUKのとある小さな町のレコード店には、その常連に、ジャングルが好きで毎週のように12インチを買いに来る老紳士がいた。彼が来ると店員は自分が推薦するすべての新譜を部分的に再生して、「これはちょっとジャズっぽい」とか「これはベースが良い」とか言葉でも説明した。そして紳士はそのお礼にと、いつも帰り際に匂いのきつい自家栽培の野菜をおいていった。音楽文化の成熟度の高さを示すような、いい話じゃないか。
 かなり話が逸れたが、最初に僕にそうしたUKのレコード店文化を教えたのが〈ファットキャット〉だったのだ。だからこの新譜も買った。レコード店とはただレジの前に並んで商品との交換で貨幣を払うだけの場ではない。録音物というポップ・ミュージックにおける本質が最初に世に出る"現場"がレコード店なのだ。

[The Greg Foat Group] - ele-king

 最近はフローティング・ポイントの〈エグロ〉レーベルの諸作、あるいは〈ブラウンウッド〉からデビューしたギャング・カラーズのような、ダブステップを経たUKのクラブ・カルチャーからも期待が膨らむジャズ系の、今日的なメロウな感性(それはチルウェイヴはもちろんのこと、フォルティDLやボックスカッター、下手したらOFWGKTOのようなヒップホップにまで通底する)をもった印象的な作品が出ている。
 そういうなか、ジャズの再発で知られる〈ジャズマン〉からデビューの新人というのも場違いな印象を持ちかねないが、すでに都内の輸入盤店でも話題のザ・グレッグ・フォート・グループは、その新しい"ヴィンテージ・サウンド"もさることながら、快楽的でチルアウトな演奏を展開する。しかもこれがいま、チルウェイヴやポスト・ダブステップを聴くような若者に受けているそうじゃないですか。
 日本盤は7月20日、Pヴァインから。けっこうな注目株ですよ!

LITTLE TEMPO - ele-king

 3年前の『山と海』について、こだま和文は「遠足の前日のようなウキウキした気分」が詰まったアルバムだと表現した。昔、UAにリトテンのどこが良いと思うのか訊ねたところ、「ああいう人たちがいるだけで良い」と言った。いるだけで「良い」というレヴェルはつまり愛されるべき存在だという意味だ。異論はない。リトルテンポは愛されるべきバンドだと思う。『太陽の花嫁』という身も蓋もない、いまどき「ベタだな~」と嘲笑されかねないタイトルを堂々と付けるバンドだ。『山と海』、そして『太陽の花嫁』......何も恥ずかしがることはない。力のあるタイトルだし、音が聴こえてきそうな言葉だ。それはきっと、生命そのものの美しさを喩えているのだろう。

 日本という文化土壌における生活者としてレゲエを翻訳したミュート・ビート門下生のひとりであり、交通事故で片眼を失った土生"TICO"剛というスティールパン奏者を中心とするリトルテンポは、この20年間、東京で暮らしながらカリブ海(ときには南米やアジア、アフリカ)と交信するインストゥルメンタル・バンドとして活動している。その音楽は、音楽は何のためにあるのかという問いに対して、うろたえることなく、はっきりと答えている。その毅然とした佇まいが、まずはこのバンドの最高の魅力だが、では、その答えが何であるか僕はここで書かない。それを記述してしまうよりは、リスナーが聴き取ったほうが良いに違いない。難しいことをやっているバンドではないし。
 リトルテンポはさっぱりしている。内面旅行的ではないし、ちょっとバカを装っているところもある。リトルテンポの音楽はたとえどんなに重たい毎日があっても、その重たさを見せつけるようなタイプのものではない。土生剛の人生は決して順風満帆なものではないはずだが、彼の音楽には日々の重さを引き受けたうえでの軽さのようなものがつねにある。彼は、彼の人生のハードな部分をリスナーに共有させようとはしない。そして、こうしたもっともらしい説明にはどうも違和感を覚えるというのが土生剛なので、そういう意味ではややこしいとも言える。
 
 僕が初めて聴いたのはリコ・ロドリゲスらが参加している1995年の『ラティチュード』からで、以来、基本的にはひとりのファンとして聴き続けているつもりだが、近年のリトルテンポには何か吹っ切れたものを感じている。いままで以上の清々しさを感じている。その感じは『山と海』や『太陽の花嫁』といったタイトルにも表れている。リトルテンポにはすでに『ロン・リディム』(1999年)や『ケダコ・サウンズ』(2001年)、『ミュージカル・ブレイン・フッド』(2003年)や『スーパー・テンポ』(2005年)といった名作がある。それはそれぞれ魅力がある。しかし......『山と海』や『太陽の花嫁』が良いのだ。それはヒップホップやダブにはじまり、ある種のワールド・ミュージック的展開というか、この20年、さまざまな音楽的挑戦を経験してきたバンドが辿り着いた、なにかしらの境地にも思える。スカ~ロックステディ期のジャマイカの音楽において、あれ? これってどっかで聴いたことがあるメロディだな~と思いつつ、途中から微妙に違ってくるような、そういう、この際細かいことはどーでもいいやっと思える大らかさがある。

 『太陽の花嫁』は、録音の真っ直なかに地震があって、中断を余儀なくされた作品だという。それが作品にどのような影響を与えているのかはわからない。ここには『山と海』以降の彼らのケレンミのない演奏が披露されてはいるものの、「ウキウキした気分」という感じでは決してない。いつものように娯楽に徹してはいるが、より力強さのようなものを感じる。1曲目の"太陽の花嫁"がマイナー調であることがそう思わせるのかもしれないけれど、前作よりも重めで、録音は前作以上に削ぎ落としている感がある。
 とはいえ、この音楽の伝えるところは変わっていない。"水平線"や"トワイライト・ダンディ"のようになサックスを活かした曲、フルートが印象的な"そよかぜ通り"、アフロ・キューバンのクラシック"南京豆売り"のカヴァー......そして何よりも、"ときめき☆リダイヤル"というアホなタイトルの付いた、しかし実に美しい情感をもったクローザー・トラック。どこかで聴いたことがるあるような、しかしこの際細かいことはどーでもいいやっと思える大らかさは、20年演奏し続けてきた者たちから滲み出る力強さと同義である。また、『太陽の花嫁』には何回も繰り返し聴いても飽きないような、気の効いたアレンジが随所に見られる。が、何よりも重要なことは、このアルバムがザ・ソウル・ブラザーズからティト・プエンテ、そしてもちろんトリニダード・トバゴ生まれのスティールパン等々、基本的には中米音楽の要素を持ちながら、それが異国情緒にとどまらずにこの国のリアリズムへと繋がっていることだ。

Chart by STRADA RECORDS 2011.06.21 - ele-king

Shop Chart


1

DJ HARVEY pres.LOCUSSOLUS

DJ HARVEY pres.LOCUSSOLUS LOCUSSOLUS(W-PACK) INTERNATIONAL FEEL(EU) »COMMENT GET MUSIC
DJ HarveyのユニットLocussolusによる1stアルバムからのアナログ・カット!大ヒット曲「I Want It」のLindstrom & Prins Thomasによるリミックスや「Throwdown」の Harvey自身によるリミックス等、強力すぎる2枚組重量盤仕様の2枚組12インチ!

2

BRAD PETERSON

BRAD PETERSON MIDNIGHT ESCAPE MOODS AND GROOVES (US) »COMMENT GET MUSIC
2004年にもこのレーベルから上質な12インチをリリースしていたBRAD PETERSONが久々に12インチをリリース!またしてもハイ・クオリティーなシリアスかつディープインスト・ハウスのオンパレード!要チェック!

3

ABOUT GROUP

ABOUT GROUP YOU'RE NO GOOD-A THEO PARRISH TRANSLATION DOMINO(UK) »COMMENT GET MUSIC
【アナログのみの初回プレス限定盤!】SpiritualizedのギタリストJohn Coxon、Hot ChipのAlexis Taylorらによる注目ユニットABOUT GROUPの作品をナントTheo Parrishがリミックス!ファンクネス溢れる濃厚でソウルフルなトラックが圧巻の黒いハウス・リミックスです!

4

LOGIC SYSTEM

LOGIC SYSTEM RMXLOGIX(with SPECIAL TRACKS) MOTION±(UK) »COMMENT GET MUSIC
YMO第4のメンバーと呼ばれ現日本シンセサイザープログラマー協会会長でもある松武秀樹のユニットLOGIC SYSTEMの名曲をLOCUSSOULSでのプロデュースも好評のDJ HARVEYがリミックス!A面には、豪華リミキサー陣が話題のLOGIC SYSTEMの新作『RMXLOGIX』収録のDJ HARVEYリミックス、B面には90年代初頭録音の貴重な未発表音源「TRAFFIC CIRCUIT」、「TURNING POINTS」を33回転で収録!

5

SPEKTER

SPEKTER PIPE BOMB SOUND SIGNATURE (US) »COMMENT GET MUSIC
THEO PARRISHジャパン・ツアーでのヘヴィー・プレイで話題となっていたANDRES ORDONEZのユニットSPEKTERの12インチがSOUND SIGNATUREより満を持して登場!スペインのホワイト盤レーベルDOWNBEATやPATRICE SCOTTのSISTRUMなどでも活躍するなどアンダーグラウンド・シーンで注目度赤丸急上昇なSPEKTER、本作ではオールドスクール・シカゴを継承するTR-707主体のビートにドープで幻想的な上モノを配したマッドなミニマル・ハウスを披露!

6

MOODYMANN

MOODYMANN PRIVATE COLLECTION 3 WHITE (FR) »COMMENT GET MUSIC
MOODYMANN aka KENNY DIXON JRによる、今となってはレアな音源をコンパイルしたEPシリーズ第3弾が入荷!Gilles PetersonのレーベルBrownswoodからリリースされていたJose Jamesのリミックスや、幻のKDJ1番「Moody Trax EP 」収録曲等、今回も見逃せない濃い内容!

7

OWINY SIGOMA BAND

OWINY SIGOMA BAND WIRES-THEO PARRISH REMIX BROWNSWOOD (UK) »COMMENT GET MUSIC
Gilles Petersonが主宰するレーベルBrownswoodからトロピカルな1枚!しかもリミキサーはTheo Parrishで、そのトロピカルなオリジナルを一転、ドープで色濃い作品に仕上げています!エンジニアであのFloating Pointsも参加している見逃せない1枚です!

8

OSUNLADE

OSUNLADE IDIOSYNCRACY(10inch) YORUBA (UK) »COMMENT GET MUSIC
アルバムからのシングル・カット!B面にはアルバムには未収録の楽曲が収録されており、コレがまた良い!ミニマルに刻み込まれるファットなビートにディープなシンセや男性のヴォイス・サンプリングがアクセントとなったディーーープな作品!タイトル曲はINNERVISIONS系のサウンドを彷彿とさせるトリッピーでエレクトリカルなテック・ハウスです!

9

STEFFI

STEFFI REMIXES OSTGUT TON(GER) »COMMENT GET MUSIC
OSTGUT TONからのアルバム「YOURS & MINE」の大ヒットで注目を集めるベルリンPANORAMA BARの女性レジデントDJ、STEFFIの同アルバムからのリミックス12インチをリリース!オールド・シカゴ直系のビート&ベースにLARRY HEARDを思わせるロマンティックで華麗な上ものが美しい「ARMS」のLONEによるリミックスが素晴らしすぎる!

10

JIMMY MAHERAS

JIMMY MAHERAS SPACE JAM REBELLION(UK) »COMMENT GET MUSIC
ナント!Carl Craigの名曲「At Les」をネタに使ったドープなダブ・ハウス!あのアンビエントな上モノにBasic Channelライクなトラックが合体したカッコ良すぎる仕上がり!

Chart by UNION 2011.06.21 - ele-king

Shop Chart


1

HARVEY PRESENTS LOCUSSOLUS

HARVEY PRESENTS LOCUSSOLUS Locussolus (国内仕様盤) INTERNATIONAL EFEL / URG »COMMENT GET MUSIC
IFEELからの先行シングルも大きな話題となり遂に迎えたDJ HARVEYの新プロジェクトLOCUSSOLUS 待望の1stアルバム!長いキャリアの中でこれまでに触れてきた膨大な音、ジャンルを越えたダンス・クラシックス、ハウス~バレアリック、それらを現在のクラブシーンの音へと繋ぎ合わせることで、想像をはるかに超えたサウンド・フォルムへと仕上がった!

2

V.A.(MOODYMANN,JUAN ATKINS,ALTON MILLER,ABACUS)

V.A.(MOODYMANN,JUAN ATKINS,ALTON MILLER,ABACUS) Music Institute Pt 3 NDATL MUZIK / US »COMMENT GET MUSIC
MoodymannことKenny Dixon Jr.、デトロイトテクノ創始者の一人Juan Atkins、デトロイトハウスの重鎮Alton Miller、そしてミシガン湖を挟んだカナダより古くから交流のあるAbacusの4アーチストが大名曲Alexander Robotnick - Problemes D'AmourをRe-Touch!!『限定盤』につきお早めにチェックを!

3

BRUNO PRONSATO

BRUNO PRONSATO Lovers Do (国内仕様盤) THESONGSAYS / GER »COMMENT GET MUSIC
SAMMY DEE(PERLON)とのユニット・HALF HAWAIIやTHOMAS MELCHIOR(aka BABYFORD)との共作、さらにSERGIO GIORGINIとタッグを組んだNDFではあのDFAからデビューを飾り、いきなりPITCHFOLKのTRACKS OF THE YEARに選出されるなど多方面で注目が集まっているミニマルシーン随一の才能・BRUNO PRONSATO!名作「WHY CAN'T WE BE LIKE US」から4年・・・2年の歳月をかけて制作されたNEWアルバムが遂にリリース!丹念にトリートメントされた繊細な音の結晶、このユニーク極まりないミニマル/ハウスをぜひ多くのリスナーに味わってもらいたい。

4

VOICES FROM THE LAKE FEAT. DONATO DOZZY & NEEL

VOICES FROM THE LAKE FEAT. DONATO DOZZY & NEEL Silent Drops E.P PROLOGUE / GER »COMMENT GET MUSIC
イタリアの湖に捧げるというコンセプトを掲げた鬼才DONATO DOZZYとNEELによる要注目プロジェクトのファースト・リリースがドイツ優良アンダーグラウンド・ミニマルレーベルPROLOGUEより到着!!一貫して最奥を深く這い、時に妖しい美しさを湛え、時に鬼気迫る表情を魅せながら展開する徹底したアンダーグラウンド・サウンド!!

5

GLOBAL COMMUNICATION

GLOBAL COMMUNICATION Back In The Box(Mix) (国内仕様盤) NRK / UK »COMMENT GET MUSIC
これまでにJOEY NEGRO、DJ SNEAK、LOUIE VEGAなどシーンを黎明期から支えてきた大物が原点回帰をコンセプトに贅沢極まりないミックスを披露してきた"BACK IN THE BOX"に、テクノ/アンビエント史に燦然と輝く名盤「76:14」で知られるTOM MIDDLETONとMARK PRITCHARDによるユニット・GLOBAL COMMUNICATIONが登場!BFC(CARL CRAIG)はじめデトロイト・テクノのレア・トラックも満載!!

6

HARVEY PRESENTS LOCUSSOLUS

HARVEY PRESENTS LOCUSSOLUS Locussolus (2 x 12") INTERNATIONAL FEEL / URG »COMMENT GET MUSIC
アルバム収録曲からリミックス音源がアナログカット!エンペラーマシーン、アンドリュー・ウェザーオール(Sabres Of Paradise, Two Lone Swordsmen)、リンドストローム&プリンス・トーマス、そしてハーヴィー自身のリミックス収録!ワンショット限定盤とのことなのでチェックはお早めに!

7

DEZ ANDRES

DEZ ANDRES As We Rock On/A Time To Boogie SPILLS / US »COMMENT GET MUSIC
新レーベルSPILLS第一弾はDJ DEZ=ANDRESがMJをビートダウンミックス!ANDRESの1STアルバムを彷彿とさせる哀愁漂うトラックメイク、絡むマイケルの歌声・・・両サイドとも極上!

8

LOTI

LOTI What's Lord Got To Do With It? AMERICAN STANDARD / US »COMMENT GET MUSIC
純LA地下産NU DISCO, BALEARICレーベルAMERICAN STANDARDから新鋭Lotiの新作が限定500枚でリリース!これからの季節にもマッチするリキッドな感覚を醸し出したバレアリックフィールなトラックでCottamやSleazyBeatsも絶賛の1枚!

9

JOHN BELTRAN

JOHN BELTRAN Ambient Selections (国内仕様盤) DELSIN / NED »COMMENT GET MUSIC
CARL CRAIGのRETROACTIVEからデビューを果たし、「EARTH & NIGHTFALL」(R&S)や「TEN DAYS OF BLUE」(PEACEFROG)、PLACID ANGELS名義の「CRY」など90年代前半~中盤にかけて粒揃いの傑作アルバムを発表、デトロイト・テクノ・ファンを中心に今な熱烈な支持者の多いベテランJOHN BELTRANによる"アンビエント"ベストがオランダの名門DELSINから登場!

10

BEAT BROKER

BEAT BROKER Pacific Break ADULT CONTEMPORARY / US »COMMENT GET MUSIC
SENTRALLレーベルからリリースされた"Deep Sleep"が長期に渡ってクラブプレイされスマッシュヒットとなったBEAT BROKERがAMERICAN STANDARD系列の新レーベルADULT CONTEMPORARYの第一弾に登場!オリジナルは柔らかなキーの音色と幾重にも重なった鮮やかなバックレイヤーの見事なコントラスト、そして緩やかなピークとブレイクを備えこれからの季節に間違いなくハマるレイドバック感を演出。フリップサイドにはPhil Mison & Pete HerbertによるユニットReverso 68のリミックスで、一つ一つの音像をソリッドかつエフェクティヴに仕上げクラブ映えを意識したミックスに!!

[Amon Tobin] - ele-king

 先日、素晴らしいアルバム『ISAM』を発表したアモン・トビンのモントリオールでのライヴ映像です。これ、かなりすごいですよ。いまIDMって、こういう発展の仕方しているんですね。

Chad VanGaalen - ele-king

 インディ音楽において、作り手から直接音楽が届けられている実感というのはどの程度重要なのだろうか? 最近、ときどきそんなことを考える。というのは、ここのところこれだけ宅録、ローファイというものがキーワードになっているのは、良くも悪くも音楽の受け取り手がアーティストの側により生々しい表現を求めていて、できるだけそこに手が加わらないことを期待しているからではないか、と推測するからである。ネットを通してそれに直に触れられるインフラが整ったこともあるだろう。ディアハンターのようにそれが功を奏している例もあるが、現在のローファイ・サウンドの多くは、ある意味ではその拙さを屈託なく晒すことによって、生々しさであるとか本物らしさであるとかを割と気軽に自己演出している面があるのではないか。そこに共感が生まれるのであれば、それはコミュニケーションとしてやや安直に思えるところがある。

 USインディの90年代においてローファイ・サウンドが大きく浮上したのは、その頃には巨大産業として成立していた音楽業界に対するアンチの意味もこめられていた。だが、もはやアメリカにおいて音楽業界がかつてのように力を持たなくなった昨今では、ローファイの価値観も変わってきたように思うのだ。昨年ペイヴメントの再結成ライヴ――僕は初めてだったが、予想以上にいい加減で痛快なものだった――を観て感じたのは、「自分たちは選択の下にこれをやっているのだ」という自覚と「自分たちは洗練にははじめから興味がない」という少しばかりシニカルな目線だった。かつてのローファイ・サウンドには、たしかにそれだけの気骨のようなものがあった。

 チャド・ヴァンガーレンはカナダはカルガリー出身のシンガーソングライターで、本作『ディアパー・アイランド』は4作目となる。すべて〈サブ・ポップ〉からのリリースであることは、彼が大きく北米のインディ・ミュージックの一員であることを示している。そして彼の音からは、「かつてのローファイ・サウンド」を目指しているような気概を感じる。あらゆる楽器を自分で演奏し、それらを組み立てて力の抜けたバンド・サウンドを鳴らしているのだが、どこかが壊れている。正確なピッチを外すギターの音色や、不安定なヴォーカル、揺らぎのあるリズムにそういったものを感じるのだろう。ペイヴメントやセバドーを連想する"ピース・オン・ザ・ライズ"や"バーニング・フォトグラフ"といったバンドっぽい音を、ひとりで作り上げているのはそれだけその辺りのサウンドに執着していることの表れだ。関節がひとつ外れたようなギター・サウンドの"キャン・ユー・ビリーヴ・イット!?"などに顕著だが、あり方としては『オディレイ!』の頃のベックに通じる部分もある。明らかに、最近のローファイよりも90年代のオルタナティヴと呼ばれた頃のそれを思い出させるものだ。いま30代のインディ・リスナーには懐かしいところがあるだろうし、20代にはかえって新鮮に聞こえるかもしれない。

 ヴァンガーレンはノイジーなギター・サウンドを鳴らす同じくカナダのバンド、ウィミンのプロデューサーとしても知られているが、彼の音は実のところよくコントロールされている。情報としては、地下室でのレコーディングであった過去3作とは異なり、本作は広いスタジオで制作されたそうだ。しっかり練られ、音にこだわりつつ構築されたローファイ・サウンド。その意味で、そこには倒錯がある。
 だが、それでも彼の音楽から聞こえてくるものは、危うさや彼個人の生々しいエモーションである。内省的なトーンのリリックもそうだが、「サラ、家にいるときは僕を起こしてくれ」と震える声で繰り返す"サラ"や、"ワンダリング・スピリット"の物悲しい歌声が危なっかしいバランスで成り立っている演奏と重ねられているのを聴いていると、それが気軽なものには思えない。彼が8、90年代のバンド・サウンドを執念のようにひとりで作り上げているのは、スタイルや美学と言うよりは、自らの感情の受け皿として適しているからだという判断、切実な選択があったのではないだろうか。

 最後の"シェイヴ・マイ・プッシー"では、素朴な弾き語りに微かにノイズを重ねながら、ヘロヘロした声で「ベイビー、僕を愛してくれるかい?/僕はほんとうにいやな気分だよ」と歌う。それは孤独な呟きで、聴き手である僕たちには簡単にそれを理解したり共感したりすることはできない。あるいは、ジャケットを開くと出てくるヴァンガーレン本人のイラストによるアートワークでは、腹の辺りから植物のようなものが生えてきている、寄生された人間が累々と横たわるシュールで不気味な光景が描かれている。それもまた奇妙で、独特の居心地の悪さを覚える。そして僕は、そんなミステリアスな奥行きこそがチャド・ヴァンガーレンの音楽の魅力だと思う。たしかに生々しい感情がここにはこめられているはずなのに、いっぽうで簡単に共感されるのを拒むかのような複雑な構造を内包している。そしてその正体が知りたくて、何度も繰り返し聴きたくなってしまう。ジャケットに描かれている鬱蒼とした森に分け入っていくような、そんな体験を誘発する1枚である。

Chart by JET SET 2011.06.20 - ele-king

Shop Chart


1

V.A.

V.A. THERE IS MUSIC »COMMENT GET MUSIC
今、我々に出来ること。多くのアーティストがその思いを形にしてくれました。Kenny Dixon Jr.a.k.a. Moodymann、Morgan Geist、Kuniyuki、9dw、DJ Yogurt & Koyas、Jebski、Inner Scienceと豪華面々から音源を届けて頂きました。

2

LOGIC SYSTEM

LOGIC SYSTEM RMXLOGIX (WITH SPECIAL TRACKS) »COMMENT GET MUSIC
事件です!!「YMO第4のメンバー」と呼ばれた人間国宝級プログラマー、松武秀樹による名曲のHarveyリミックスが待望のアナログカット。豪華リミキサー陣も話題のLogic System久々のリリース『RMXLOGIX』から、最大の注目作であるHarveyリミックスと、90年代初頭に録音された未発表音源"Traffic Circuit"、"Turning Point"を抜粋したアナログ12"が登場!!

3

JERRY WILLIAMS

JERRY WILLIAMS EASY ON YOURSELF »COMMENT GET MUSIC
DJ Harvey, Prins Thomas, Mudd, Darshan Jesrani (Metro Area)が絶賛する話題作が入荷しました!!これまでHarveyをはじめ、Nick The RecordやFoolish Felixらのサポートで注目を集めてきたUSリエディット・レーベル"Ghost Town"最新作。The Beat Brokerによる傑作ダブ・ミックスが一押しです!!

4

JAMES PANTS / MAYER HAWTHORNE

JAMES PANTS / MAYER HAWTHORNE GREEN EYED LOVE / THIN MOON »COMMENT GET MUSIC
先行デジタルリリースで話題になっていたブツが限定7"で登場! James Pantsが"Green Eyed Love"を、Mayerが"Thin Moon"をカバー。リプレスの予定は今のところ無いそうなのでお早めに!

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MARCUS WORGULL

MARCUS WORGULL LONG WAY / COPPA »COMMENT GET MUSIC
Prins Thomas全面協力のInnervisions大注目作!!Jazzanova一派Marcus WorgullによるInnervisions第3弾シングルは意外な展開。A面"Long Way"ではドラム/ギター、そしてヴォーカルをPrins Thomasが提供。なんともブルージーで沁みる名曲が誕生しました!!

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ANTHONY MANSFIELD

ANTHONY MANSFIELD TALES FROM THE GULCH »COMMENT GET MUSIC
Tal M. Kleinとの合作で御馴染みの才人によるWhiskey Disco最新作!!Aniligital MusicやHector WorksからのTal M. Kleinとの合作で知られるサンフランシスコの気鋭プロデューサーAnthony Mansfieldによる新作リエディット。Jacques Renault, Chris Todd (Crazy P)らがサポート!!

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NOTTZ RAW X ASHER ROTH

NOTTZ RAW X ASHER ROTH RAWTH EP »COMMENT GET MUSIC
Rah Digga, Stacy Eppsらも所属するRaw Konceptから、大人気のレーベル筆頭プロデューサーNottzとAsher RothによるコラボEPが登場! ダウンロード・コード付です。

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HYPNOLOVE

HYPNOLOVE HOLIDAY REVERIE »COMMENT GET MUSIC
Mickey Moonlight(a.k.a. Midnight Mike)によるグレイトなダブも含め大推薦!!ポストSebastian Tellierと期待されながらも'06年の1st.アルバム『Eurolove』以来音沙汰の無かったフレンチ・トリオによる久々の12"EPはMickey Moonlightのプロデュースで登場。

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BEASTIE BOYS

BEASTIE BOYS HOT SAUCE COMMITTEE PART TWO »COMMENT GET MUSIC
MCAの病気のため発売延期となっていたニュー・アルバム。先に"part Two"がリリースとなりました。180グラム重量盤2枚組。

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T.W.I.C.E.

T.W.I.C.E. DUBBING OF MY SOUL »COMMENT GET MUSIC
期待のFiakun、第3弾には大注目のロシアン新星Volta Cabリミックスを収録!!瀧見憲司、Eric Duncan、Ashley Beedle、The Revenge、Jimpster、dOP等が絶賛した前2作も大好評、一味違うヴォーカル・ハウスを提供してきたFiakunからの極上の新作!!

Julianna Barwick & Ikue Mori - ele-king

 これは思いもよらない喜びのアルバムだ。イクエ・モリ(ノーウェイヴ時代のニューヨークにおける最高のバンド、DNAのメンバー)、そして、今年、本当に素晴らしいアルバム『ザ・マジック・プレイス』を〈アスマティック・キティ〉(スフィアン・スティーヴンのリリースで知られる)から発表したジュリアンナ・バーウィックとのコラボレーション・アルバムである。
 アルバムのなかにホチキスで止められたハンドメイドの写真集が封入されている(それはそれでひとつの作品と言える)。ページをめくるとふたりの録音風景がある。小さな机の向かって左にバーウィックがいる。彼女の前にはミキサーとマイク、小さなエフェクターが置かれている。反対側にはイクエ・モリがいる。彼女の前にはラップトップとミキサーがある。バーウィックは歌い、その声はコンピュータに注がれ、加工され、消えてしまいそうなギリギリのところでループする。静謐さのなかでモリは控えめながら点滅する光のような電子音、そよ風のような、川のせせらぎのような、あぶくのような電子音を重ねていく。優しい電子の口笛が聴こえる。70年代半ばにおけるイーノのアンビエント・ミュージックでさえも力みが入っていると思えるほどの、綿のように柔らかく軽やかな音がスピーカーから広がっている。時折、抜き差しならぬ緊張感――ふたりは対決しているような感覚――がしないでもないが、即興で録音されたこの演奏を、その場で聴いていた人たちは雲の上を歩いているような、さぞかし極上の気分を味わったことだろう。
 曲名を収録順に言えば、"夢のシーケンス(Dream Sequence)""鍾乳石の城(Stalactite Castle)""蓮の池の雨と陽光(Rain and Shine at the Lotus Pond)""応答(Rejoinder)"。録音は2010年の10月29日と11月16日の2回にわたっておこなわれている。『ザ・マジック・プレイス』にイクエ・モリが参加したような......と言えるかもしれない。つまり、この音楽の下地を作っているのはバーウィックだと思われる。それは複数の声のループにそれぞれ変化を与えながら重ねていくスタイルで、イクエ・モリが発信するまるでコンラッド・シュニッツラーのような、あるいは中原昌也のような、まったくの機械の(ときにノイジーな)音は、しかしそれが鼓膜を震わせ脳に信号が送られるときには機械音ではない何か別の音に変化させる。そう、生活感はまるでなく、コンラッド・シュニッツラーが美しい森のなかで舞い上がっていくような、感動的なまでの夢の音楽だ。というか、このジャケが格好良過ぎるでしょう。


追記:6月18日、埼玉スタジアムの浦和戦での清水エスパルスの高原直泰のダイビング・ヘッド、久しぶりにスポーツを見ていて涙が出た。魂のこもった本当に素晴らしいゴールだった。

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