「Nothing」と一致するもの

Djrum - ele-king

 インダストリアル系の暗いフィーリングを含みながら、甘美なソウル/ジャズがベース・ミュージックを通過したダウンテンポで再現されている。ということは、これは初期のポーティスヘッドやマッシヴ・アタックではないのか......と思いつつも、この手の音が好きな人間の気持ちを惑わせるものがDJラムのデビュー・アルバム『セヴン・ライズ』にはある。
 ダウンテンポという曖昧なサブジャンル名は、90年代当初はトリップホップと呼ばれていた。が、名前としてあまりにも評判が悪かったので、いつの間にかダウンテンポという実にいい加減な名前(アップテンポというサブジャンルはない)に置換されながらも、UKからその周辺諸国にあっという間に広がった。たしかにテンポを落としたダンス・ビートには、より多くのアイデアを組み込める。よってこのサブジャンルは、名前のいい加減さとは裏腹に、その後多くのマスターピースを生んでいる。

 ブリアルが登場したとき、やかましいリスナーは、こんなことはかつてマッシヴ・アタックがやっていたじゃないかと言った。ある意味ではその通りだが、初めて聴くに世代にしたら新鮮だったことだろう。DJラムの『セヴン・ライズ』にいたっては、セイバーズ・オブ・パラダイスの『ホーンティッド・ダンスホール』やナイトメアズ・オン・ワックスの『スモーカーズ・デライト』なんかも連想されるだろう。"Comos Los Cerdos"などはクルーダー&ドーフマイスターのダブステップ版だ。つまり、インダストリアルの側に侵入しながら、ヒップホップやソウル、ディープ・ハウスの側に留まっている。イラレヴェントに続くアンビエント・ベースの叙情詩だと言えよう。

 音楽を聴くときに、部屋を暗くして蝋燭に火をともすような年齢でもないが、どうも昔から僕はこの手の音楽に惹かれる。朝は早いし、夜更かしが好きなわけでもないのだが、メランコリックな音響に弱い。
 この4月は、〈ブラッケスト・エヴァー・ブラック〉が立て続けに新作を出したので、悪魔的な消費の欲望に駆られる自分を抑えるのに大変だった。ダークな恍惚に耽っている場合ではない、身をわきまえろ、そう言い聞かせながら台所の鍋に火を入れたものだ。
 『セヴン・ライズ』はサンプリングを基調とした音楽だが、ソースはつねに中古レコードにある。彼はレコード店をマメにまわって、掘って、探し続けているそうだ。ダウンテンポは、このような昔ながらのレアグルーヴ文化を継承しているジャンルでもある。サウンドから聞こえる温かさは、ネタの質というよりも、彼の音楽への関わり方からも来ているのだろう。明日の朝の起床時間など気にせず、心おきなく夜に耽りたい人に向いている。

NISENNENMONDAI - ele-king

 ノルウェーの〈スモールタウン・スーパーサウンド〉から作品を出したり、先日のソナーサウンド・トーキョーにも出演したり、海外にも多くのファンを持つ、女性3人による超クールなミニマル・ロック・バンド、「理工学系女子サウンド」代表、にせんねんもんだいの新作『N』が、彼女たち自身の〈美人レコード〉からリリースされる。
 そして、坂本慎太郎が主宰する〈zelone〉からは、新作の1曲+"appointmen"の新録ヴァージョンによる12インチのアナログ盤が出る。しかも、この、「理工学系女子サウンド」の裏方には、石原洋+中村宗一郎(ゆらゆら帝国~オウガ・ユー・アスホールでの仕事で知られる)がいる!
 6月2日には、アルバムの発売に先駆けて、渋谷の〈渋谷O-NEST 〉にてライヴもある。行きましょう。

■新作CD 『N』、7月2日(火)発売!

にせんねんもんだい
『N』
bijin records
曲目:
1. A
2. B-1
3. B-2 
価格: 1,800円 (税別)

■12inch vinyl:「NISENNENMONDAI EP」Produced by 石原洋

2013年夏発売予定
にせんねんもんだい
「NISENNENMONDAI EP」
zelone records
曲目: SIDE A: B-1 (You Ishihara Mix)
SIDE B: appointment (You Ishihara Mix)
価格: 1,200円 (税別)

■CD完成記念LIVE
6月2日 (sun)@渋谷O-NEST

■NISENNENMONDAI EUROPE TOUR 2013

JUNE 14 FR-Notre Dame de Monts@West Side Festival
JUNE 15 FR-Paris@Maroquinerie
JUNE 16 NL-Rotterdam@Worm
JUNE 17 BE-Kortrijk@De Kreun
JUNE 19 NL-Tilburg@013-Incubated night
JUNE 20 GER-Hamburg@Cloud Hills
JUNE 21 GER-Schiphorst HH@AVANT GARDE FESTIVAL
JUNE 22 GER-Berlin@Urban Spree
more info: nisennenmondai official HP: https://www.nisennenmondai.com/
official twitter: https://twitter.com/nisennenmondai0
official tumblr: https://nisennen.tumblr.com/

zelone records official HP:www.zelonerecords.com
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official face book: https://www.facebook.com/zelonerecords


interview with Little Boots - ele-king


Little Boots
Nocturns

Hostess / On Repeat

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 観られる商売というのは、偏見との闘いでもある。このリトル・ブーツに向けられる偏見たるや、彼女の名を知る人の9割くらいに心当たりがあるのではないだろうか。筆者ももちろん例外ではなく、彼女について調べる前は「ニュー・ディスコ・シーンのお人形ディーヴァ」というくらいの、失敬な先入観を抱いていたのだから人のことは言えない。リトル・ブーツことヴィクトリア・ヒスケスは、そもそもはUKのダンス・ポップ・ユニット、デッド・ディスコでの活動からキャリアをスタートさせた。そののちホット・チップのジョー・ゴッダード・プロデュースによるシングル『スタック・オン・リピート』のクラブ・ヒットによって脚光を浴びるようになり、2009年のデビュー作『ハンズ』はゴールドディスクを獲得、世界レベルのヒット作となる。エレクトロ・ポップのスターとして、シーンの名だたるプロデューサーたちと仕事をする彼女は、しかし、その美しい容姿を前面に押し出すように売り出されたこともあり、一見アーティスティックなヴィジョンなどほとんど持ち合わせてはいないようにも錯覚された。デビュー・アルバムのジャケット・デザインなどを思い浮かべれば、それも無理からぬことと納得してもらえるのではないだろうか。「トーキョーはどう?」「スシ食った?」「ネイルかわいいじゃーん」というインタヴューに終わったらどうしよう......彼女について調べる前はそんなふうに思っていたことも事実だ。しかし、もちろん、まったくそんなことはなかった!

 質問中にも出てくるが、彼女には自分の演奏動画をビデオ・ブログのようにウェブにアップしていた時期がある。自室でのシンプルな弾き語りがメインだが、これらの映像を観れば、リトル・ブーツというアーティストが才能ある表現者であり歌い手であるということがよくわかるだろう。彼女がお人形などではなくて、クリエイティヴなモチヴェーションに溢れた人だということが伝わる。テノリオンを使いこなしたり、シンセばかりでなく新しいガジェット類に並々ならぬ関心を寄せているのも興味深い。それに加えて、頭の回転のはやい人だ。問いかけには非常に早口でよどみなく応対し、かつ明瞭な回答をくれた。勉強熱心で、さまざまな事柄について自身の意見をはっきりと持ってもいる。何より自分にとって音楽がどのようなものであり、これから何をしていきたいのか、どうするべきかということが、しっかりと見えている。今作はメジャーでの活動の反省から、自分自身が制作上の決定権を持てるようにレーベルまで興した。驚くべきバイタリティと信念だ。リトル・ブーツは、必ずやあなたの想像するリトル・ブーツの上を行く。まずはどうぞ、彼女の言葉をきいてみてほしい。

わたしにとっては、ダンス・ミュージックも歴史を理解しながら聴く対象だから、けっして子どもじみた態度ばかりで向かい合っているわけじゃない。100パーセント、オリジナルと同じものを作ることはできないけど、いい意味で昔をリサイクルしていまのかたちに出力することがすごく重要だと思う。

2009年、まさにニュー・ディスコやコズミック・ディスコがユース・カルチャーを席巻しているさなかに、象徴的に現れてきたアーティストのひとりがあなただったと思います。ご自身ではこのムーヴメントをどのように見ておられましたか?

ヴィクトリア:たしかにあのときは新しいカルチャーだったと思うんだけど、エレクトロとかと少し違って、ブレイクスルーしなかったジャンルって気がするかな。いまでもちゃんと走っていて、いいアーティストたちがたくさん生まれてるの。たとえばマジシャンとかトッド・テリエとか。こうやって持続してるのを見てると、ブレイクスルーしなかったのはいいことだったんじゃないかなって感じる。

なるほど。たとえばイタロ・ディスコとかバレアリックみたいなものも、きちんと再解釈されたからこそ長く生きれる力が生まれた、という面はあったかもしれないですよね。そうしたオリジナルの時代の音はどう思いますか?

ヴィクトリア:そういう古い音楽は自分にとっても大事だし、大好きなものなの。チージーな曲もあるけど、単純にとてもいいポップ・ソングが多いと思う。日本はどうかわからないけど、イギリスではディスコとかハウスにクロス・オーヴァーしているシーンがいまでもすごく盛んで、だから、こういうジャンルはなぜだか終わらないなって感じるわ。そんななかで今年はダフト・パンクも新作とともに戻ってくるし、ディスコ・フレンドリーな1年になるんじゃないかな。今朝も『ヴァイス』を読んでたら「この夏はディスコの夏か?」って見出しが出てて、すごくいま感じてることに共鳴してたから、やっぱり今年はディスコとかダンス・ミュージックが盛り上がると思う。

楽しみです。わたしの上司くらいの世代だと、それこそセカンド・サマー・オブ・ラヴなんかをリアルに経験していたりするわけですが、我々はそれを知らないでこの波に乗っているわけですよね。

ヴィクトリア:当時はきっと、ぜんぜん解釈が違ったんじゃないかな。その頃のシーンってゲイの人たちとか黒人とか、政治的なマイノリティの問題も多く含まれたものだったんだと思う。きっと、もっとずっと革新的なものだった。だからこそ自分は歴史についても学んでいるし、当時の状況を押さえながらディスコを吸収してるの。わたしにとっては、そういう頃の音って歴史を理解しながら聴く対象だから、けっして子どもじみた態度ばかりで向かい合っているわけじゃない。でもその世代の人たちは、いまのシーンにはちょっと違う感情を抱いているかもしれないわね。100パーセント、オリジナルと同じものを作ることはできないから、いい意味で昔をリサイクルしていまのかたちに出力することがすごく重要だと思う。

すごくポジティヴなご意見だと思います。歴史性もきちんと踏まえつつ、一方でいまのアーティストが雑食的であることもいいところだと思うんですが、プリンス・トーマスとかリンドストロームも、フュージョンが入ってたりとかしますよね。あなた自身には雑食的な部分を感じますか?

ヴィクトリア:ファースト・アルバムはエイティーズっぽいものにもろに影響を受けた作品だったと思うんだけど、2作めはひとつの時代を表現するアルバムではなくて、もっと大きくいろんなものを取り込みたいなって考えていたから、昔のディスコからハウス・ミュージック、モダンなダンス・ミュージックはほんとにいろいろ、トリップ・ホップまで入れたつもり。クラシックな音楽の上質なテイスティングができるアルバムにしたいと思ったの。いいアーティストってすごくいろんな音を聴いていることが多い。リンドストロームだってすごく聴いてると思う。自分もそうやっていろんな味を出せるようになりたいな。
 じつはリンドストロームとは共作をしたの。いつか何かのかたちで外に出そうと思ってるわ。

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メディアからの注目が高まってくると、レコード会社からの意向でなぜかレディ・ガガのプロデューサーと組むような流れになってしまって、いつのまにかわたし自身によるクリエイティヴ・コントロールを失うことになっていて......。だから、いまは最初に自分が立ってた場所、自分がやりたかったことに戻っているという気がするわ。


Little Boots
Nocturns

Hostess / On Repeat

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今作は〈DFA〉のティム・ゴールズワーシーやハーキュリーズ・アンド・ラブ・アフェアのアンディ・バトラーが参加してるということなんですが、彼らっていうのはどちらかというとインディ的なマインド・立ち位置で活躍している存在だと思います。なので、彼らを起用したことには、あなたがやりたいことをより自由にやれるようにという意図や、攻めのアルバムにしたいという気持ちがあったからではないかと感じるのですが、いかがでしょう?

ヴィクトリア:ほんとにそのとおりで、自分のやりたいことをもっと追求したかったし、すごく自由さを求めていたの。だから彼らとやることにした。最初に自分が音楽をやりはじめたときは、ホット・チップのジョー(・ゴッダード)と作ってたんだけど、メディアからの注目が高まってくると、レコード会社からの意向でなぜかレディ・ガガのプロデューサーと組むような流れになってしまって、いつのまにかわたし自身によるクリエイティヴ・コントロールを失うことになっていて......。だから、いまは最初に自分が立ってた場所、自分がやりたかったことに戻っているという気がするわ。

そもそもは、自宅での演奏を、ビデオ・ブログのように動画でアップするところからキャリアがはじまってますよね。いまのあなたもすごく輝いていると思いますが、わたしはその頃の動画もとても素敵だと思います。すごくD.I.Y.な......シンプルなシンセの弾き語りとか、ホット・チップのカヴァーなんかもテノリオンだけを使う、とてもミニマルなスタイルでしたよね。だけど、あなたがとっても表現力豊かなアーティストでありシンガーなんだなということが伝わるんですよ。あの頃というのは、やっぱりあなたにとってもひとつの原点として認識されているのでしょうか?

ヴィクトリア:そう、ほんとに自分のルーツだと思ってる。自分でも大切な場所。だけどいまそこに戻れるかというと、戻れるわけではないわ。失ってしまったものもいろいろとあるから。まさにそのD.I.Yな精神を取り戻すために自分でレーベルを作ったり、いまみたいな活動をしているんだけど、前回のレコード会社に入ったときにはほんとにコマーシャルなキャラクターにさせられてしまって。それに、当時、名もない女の子がパジャマでああいう動画をアップしてたのはおもしろかったかもしれないけど、もう名の知れてしまった自分がまたあれをやっても楽しんでもらえないと思うしね。だから戻れない場所ではあるけど、大事な場所、そんなとこかな。

よくわかる気がします。音楽産業にとってはCDやレコードの販売枚数も大切だと思うんですが、音楽それ自体にとっては、こういうインターネットを舞台にした投稿動画文化が照らし出していく新しいリアリティだったり、うねりだったりというものがとても大きな影響をもたらしていると思います。こうした動きについてお考えがありますか?

ヴィクトリア:いまはイギリスの音楽業界も、自分がデビューしたときと比較しても全然違う世界になっているかな。でも、だからこそ自由度が生まれてきていて、新しいかたちで何かを表現したり届けたりしなければいけないという精神が強くなってきている気もする。自分自身もそんななかで自由にクリエイティヴィティを発揮できるようになったし、どうやったらみんなにおもしろいものが届けられるのかって考えるようになったわ。いろんなかたちで表現できるようになったし、そうした行為に対してもいろんな数字が関係してくるとは思うけど、そういうことを抜きにして人々におもしろいものを届ける、それがすごく重要なことじゃないかなと思ってる。

うーん、なるほど。先ほど、自分がいかにコマーシャルにキャラづけされてしまったかというお話をされてましたが、まさにこれまで流通してきたあなたのヴィジュアル・イメージなどからは、あなたがとてもしっかりと自分のやるべきことについて自覚した、自立したアーティストなのだということが伝わりにくい気がしますね。だから今日はお話がきけてほんとによかったです。

ヴィクトリア:ドウモアリガトウ。そうなの、わたしのイメージということに関してもまったく異論はないわ。

ふふふ。じゃあもうちょっと時間があるのでアルバムの話に戻りたいんですが、たとえば"ビート・ビート"とかはすごくファンキーなソウル・ナンバーで、先ほどおっしゃっていたようにいろんな音楽性が取り込まれている。音楽的な幅も広がっているし、アダルトな、まさにタイトル通りに「夜の」感じがあるんですけれども、音のコンセプトの傍らには、ファッション的なコンセプトもあったりしたんですか?

ヴィクトリア:ファッションと音楽はわたしのなかでは重要な結びつきをしていることは確かね。ただ、どんな場合でも音楽が先。音楽があって、ジャケットのアートワークや、ステージで着るものなんかが決まっていくの。この曲の自分のなかのヴィジュアル・イメージとしては、LAで――昔のね――女の子がローラー・スケートをしている感じだった。

なるほど。イクイップメントについてはどうでしょう? 動画だとお部屋にJUNOとか置かれてるのが映ってますし、先ほどのテノリオンやコルグのモノトロンなど、シンセ好きで新しいインターフェイスにもとても興味を持たれている様子がうかがわれますね。最近気になっているものとか、今回とくにこだわって使用したものなどがあったら教えてください。

ヴィクトリア:日本でいま開発中の「ポコポコ」っていう機材があって、首都大学東京の生徒さんが作ってるんだけど、それがとってもおもしろいの。1年前ぐらいから彼らとやりとりしているんだけど、それをライヴで使えるようにいろいろ試してるところ。昨日も彼らと会っていて。ボタンがいくつかあって、そのボタンが3Dで浮き出てくるんだけど......(携帯で撮った映像を見せてくれる※)、それぞれが光ってね、このボタンで音のプログラミングができるの。見てて楽しい機材ね! ただ、開発段階だからライヴには使えない。ライヴに持っていける日が楽しみだな。日本は機材面ででもつながりが深くて、日本のほうでもわたしがこういうアーティストだということを知っていてくれるから、ほんとに話や雰囲気が合うの。ポコポコを通して、また新しい音を皆さんに届けたいと思っています。

※パッドのついたサンプラーの、パッド部分が3Dで飛び出すようなイメージでした。ごく3秒ほどの記憶ですが......。

では最後に、そんな日本について。ダンス・ミュージックにはとても人気がありますが、日本人は比較的踊らないとか、クラブに行ってもDJばっかり見ているとか言われたりもします。何を隠そうわたし自身がその筆頭かもしれないのですが、クラブで踊るためのアドヴァイスをいただけませんか?

ヴィクトリア:あはは! そうね、クラブに行く前にすっごくきついお酒を飲むこと(笑)。まあそれはジョークだけど、クラブ・カルチャーについて言うと、クラブに行く時間っていうのは、仕事もしていない自分の時間、楽しむべき時間だと思う。その場所と音楽に身をゆだねること。もちろん、そのためにはいい音楽といいDJである必要があるんだけど! 今回のわたしのアルバムは、クラブでかけるだけじゃなくて、パーソナルな時間帯に浸ってもらうこともできる作品になっていると思うからそんなふうにも楽しんでくださいね。

Chart - JET SET 2013.05.13 - ele-king

Shop Chart


1

!!! - Thr!!!er (Warp)
2010年の『Strange weather, isn't it?』に続く約3年ぶり通算5枚目のフル・アルバム。これまでになくタイトでポップな仕上がりとなった会心作!!

2

J Dilla - Lost Tapes, Reels + More (Mahogani Music)
ローカル・レベルでMoodymannやAndres、Amp Fiddlerあたりとも強く結び付いていた事は周知の事実ですが、その関係もあってか今回もMahoganiからのリリース。今回もアナログ・オンリーとの事!

3

Vampire Weekend - Modern Vampires Of The City (Xl)
2010年の『Contra』に続く3枚目のフル・アルバム!!Us/Xl盤アナログ、ダウンロード・コード封入!!

4

Factory Floor & Peter Gordon - Beachcombing / C Side (Optimo Music)
70年代後期のNy地下シーンで活躍、DfaからのEpリリースも記憶に新しい御大Peter Gordonとのコラボレートを展開したUk気鋭トリオFactory Floorによる話題の最新Ep!!

5

Bibio - Silver Wilkinson (Warp)
2011年の『Mind Bokeh』以来となる4枚目のフル・アルバム!!今回もUk/Warpからのリリース。ダウンロード・コード封入です。

6

Yatha Bhuta Jazz Combo - S.t. (All City)
ごぞんじ大人気クリエイターOnraと、その友人で、Roy Ayersのカヴァーでその名を広めたBuddy Sativaが組んだ話題必至のユニットがアルバム・リリース!!

7

Rsd - Perfect Timing (Zamzam Sounds)
Ukダブ・マスターたちとエレクトロニック・ニューダブ勢の音源を並列にリリースするUs重要レーベルZamzam Soundsから、Smith & Mightyの片割れRob Smithが登場です!!

8

Coyote Clean Up - 2 Hot 2 Wait (100% Silk)
デトロイト在住のクリエイター、Christian Jay Sienkiewiczによるソロ・プロジェクト、Coyote Clean Upのファースト・フル・アルバム!!

9

Roger Eno / Plumbline - Endless City / Concrete Garden (Hydrogen Dukebox)
ごぞんじBrian Enoの弟Roger EnoとPlumblineによる、2006年以来となる久々のコラボ作が限定アナログ・リリース

10

Phoenix - Bankrupt! (Glassnote)
説明不要のフレンチ・ロック最高峰4ピース。グラミーを獲得した2009年の『Wolfgang Amadeus Phoenix』以来となる、全世界注目のニュー・アルバム!!

Robedoor - ele-king

 ローブドアのアクトを初めて観た日の記憶は決して忘れることなどできまい。

 ローブドアは〈ノット・ノット・ファン〉主宰としてして知られるブリット・ブラウンがレーベル発足と同時にアレックス・ブラウンとともに活動をはじめたデュオだ。(ちなみに彼らは兄弟ではない。たまたまふたりともブラウン姓というだけである。)あらゆるフォーマットで膨大な量のリリースを積み重ねてきた彼らの(改めて「ディスコグス」を見ると本当に驚くべき軌跡だ。)サウンドは結成から現在まで首尾一貫してブリットのヴィジョンを、彼に言わせるところの「Caveman's Rock(洞穴人のロックとでも訳すべきであろうか......)」を具現化することにある。

 初期の彼等のサウンドは2000年代を象徴するサンの贖罪とも言える「僕もわたしも演奏はできないけどこれならできるかも!? ドローン・ミュージック」......的ムーヴメントの影響下にあったことは否定できないものの、ブリットが持つ世界観の特徴のひとつである非常にドライな虚無感がそれを単なるエクストリームな表現に終わらせないものに仕上げている。

 2007年に発表された『ランカー・キーパー』(〈リリース・ザ・バッツ〉)と2008年の『エンドレスリー・ブレイジング』(〈ウッジスト〉)は初期のデュオ編成での作品群のなかでもアカ抜けたセンスの光る2枚だ。

 話は再びあの晩に遡る。そう、初めて観るローブドアのアクトに僕は完全に消し飛ばされた。それは久々に感じる芸術行為がもたらす最高の恍惚状態。いわゆる自分が誰で何処にいて何をしているのかが認識できなくなる文字通りのアレだ。サイケ・クラウト、ラーガ・フォークロア、Dビート・クラスト、インダストリアル・ノイズ、ドゥーム・マントラ等々、いくら自分の好物だからといってそれを全部一皿に盛りつけたら普通は激不味になるのがセオリーだが、彼等のサウンドは初めて体験するそれらの奇跡の共存であった。

 ゲド・ゲングラスを新たなメンバーとして迎え入れたことはローブドアにとって大きなターニング・ポイントとなった。トリオ編成として発表した音源『レイダーズEP』(2009年)、『バーナーズLP』(2010年)、『ペイガン・ドラッグスEP』(2009年)はどれも後にマジで死ぬほど聴いた。人工の楽園であるLAに巣食う闇(例えばのマンソン・ファミリーからポール・シンメルのヘルター・スケルター展までに連続する暗黒LA史をイメージして頂きたい)をテーマにしたソング・ライティングや象徴的な言葉選びの退廃的なリリックも秀逸だ。

 その晩の彼等のライヴ・セットは当時リリース間近であった『バーナーズ』からの選曲であったと記憶している。プリミティヴなビートのなかにもダビーなグルーヴを含むゲドのドラミングはブレイクごとに振り上げるスティックとともに僕の魂を高揚させ、アレックスのクソ・カシオ・キーボードと安物ペダルが紡ぎ上げる在り得ないハーモニーはSunn O)))Beta Leadアンプのコーンをブッ飛ばさん限りの音波となり僕の全身の血液を逆流させ、そしてブリットの情熱的なギターと呪術的なヴォーカルが僕の脳髄を麻痺させた。前年からの精力的なツアーを経た彼等はバンドとして最も熟した状態にあったことに間違いはない。

 2011年に発表した『トゥー・ドーン・トゥ・ダイ』でこれらのサウンド・スタイルはひとつの完成を迎える。クソッタレ・ロス市警の乱入で惜しくも対バンできなかったこの年(......というか日本で考えれば夜中に民家の点在する丘の上のスケート・パークで無許可かつ超爆音でパーティを催していれば当然なわけで......その辺りがLAクオリティー)も彼らは圧倒的なパフォーマンスを披露してくれた。大曲"パラレル・ワンダラー"のライヴ・セットはレコーディングを遥かに凌ぐ完成度であったことをここに明記しておこう。また、この頃から彼等は新たなサウンド・スタイルの模索を開始する。同時期にゲドの家のポーチを寝床にしていた僕は、彼等が毎週バカバカしいほどの機材を机に並べ、暗闇でキャンドルを灯し、ワイン瓶とジョイントを廻しながら試行錯誤するなかにコッソリと紛れ込み、儀式的様相を呈する彼等の模索を存分に満喫していた。ブリットのヴィジョンである「ケイヴマンズ・ロック」はよりサイファイ色を帯び、嗜好はインダストリアルに傾倒しはじめていた。僕はこの素晴らしいトリオが新たなフェイズに移行していくのを非常に楽しみにしていた......が、残念ながら同年ゲドはローブドアを脱退することとなる。

 昨年の夏頃、僕はブリットに「多分近々LAに行くのでそっちでくさ代を賄うためにローブドアのテープを作らせてくんろ。それが駄目ならせめて最近の〈NNF〉のレコードの間にあしっどを挟んでこっちに送ってくれたまえ」......というような旨を伝え、半ば脅迫でゲットした音源を聴きながら白熱していた。再びデュオ編成となったローブドアの新境地は僕の予想を遥かに越えていた。凄まじく土臭いマシン・ビート、ブレることのないヴィジョン、衰えるどころか増していくネガティヴィティー......その後のLAでの対バンではメタル・パーカッションとマシン・ビートを大々的にフィーチャーした新たに獲得したバンド・フォームを披露してくれた。

 この度、三田氏が大絶賛するカンクンのリリースが記憶に新しいフランスの〈ハンズ・イン・ザ・ダーク〉よりドロップされたこの『プライマル・スフィア』には彼等が昨年から築き上げた新生デュオ・ローブドアとしてのトラックが収録されている。彼等の新たなサウンドを耳にする度に高まるミュージシャン、ブリット・ブラウンへの尊敬の念。それはヒップなレコード・レーベルのオーナーとしての彼とは完全に断絶していると言っても過言ではない。もちろん、インダストリアルというタームにおいては(なんせ紙エレキングで声高に言っちゃってるからね......)今日的な風潮を感じ取れる作風かもしれない。しかしながら僕は彼ほど自身のヴィジョンをストイックに追い続ける、いや、もとい、自身の「洞窟」を掘り下げるアーティストを他に知らない。

 おそらくこの音源も含め、ローブドアが大々的なブレイクを遂げることはないであろう。何故ならばその「洞窟」の深い闇のなかには日の光など届く筈はない。しかし勇気があるなら松明の明かりを頼りにひたすら下っていくといい。道はひとつだから迷うことはないだろう。気がつけば天にはこの世のものではない星空が輝き、その先にふたりがあなたを待っているだろう。

Jake Bugg - ele-king

 僕は酔っていたが、ステージの彼は醒めていた。未成年だから飲むわけにはいかないにしても、フロアの興奮と熱狂に対して、ジェイク・バグは始終、理性的だった。デビュー・アルバムのジャケの写真の、力のある眼差しのように、彼はしゃんとして歌った。はしゃいでもいないし、乱れることもなかった。イキがってもいなければ、自分を大きく見せようともしなかった。うつろでもなく、泣いてもいなければ、ドリーミーでもなかった。
 ジェイク・バグは、そういう意味では、季節に酔って登場した、歴史的なロック・バンドたちとは違う。

 そして、僕は、とにかく、この感動的な夜を終えて、無意識だったにせよ、なんだかんだと言いながら、自分やいろいろな物事が、いかに311というトラウマから逃れたがっていたのかについて、あるいはロマンティックな抵抗について、思いを馳せていた。これはまったく予想外の展開だった。大災害が起きたあとなので、無理もないと言えば無理もないのだろうが、ジェイク・バグの迷いのない音楽を聴いたあとでは、そんなところにまで思いが広がった(結局のところ、マイブラがバカ受けしたのも、チルウェイヴもジェイムズ・ブレイクも、みんな似たようなものだろう......ネガティヴな意味ではない、ひとつの認識だ)。
 それほど久しぶりに、浮つくことのない、足下をしっかり見ている、自分を見失わない音楽、というものと直面したような気がする。

 僕はいまでもドリーミーな音楽を好む。悪夢のトリップはごめんだが、手のひらを返してサイケデリックを否定するつもりはない。色のついた液体も飲んでいる。ドリーミーな抵抗精神を忘れるつもりなども毛頭ない。が、しかしこの晩は、ドリーミーではないことの素晴らしさ、しらふの快感、現実を生きることの悦びを噛みしめた。ベンゲルではなく、ファーガソン監督の素晴らしさを思った。金や時間や健康や体力や記憶や視力や......いろいろなものを失っても、さまざまな思いを飲み込みながら、今日もまた灰色の1日を生きることの、バランスを失わないことの深い意味に思いを巡らせたのである。三上寛と話したときのことを思い出す。

 ジェイク・バグには、ひとりのギター弾きとして、ひとりの歌手として、僕なんかが思っていたよりもずっと素晴らしいスキルがあった。はっきり言って、うまい。間違いなく、一生懸命に練習しているのだろう。そして、アンコールの"ブロークン"はブリリアント過ぎた。それでも、フロアがロックンロールに酔って、熱狂の度合いをどんどん上昇させようとも、彼はギターを替えても演奏のテンションは変えなかった。
 熱狂でも興奮でも陶酔でも過剰でもない。まどろんでもいなければ、ハードコアでもない。もっと、より根源的なもの、シラフの良さ、平温で歌われる"トゥ・フィンガーズ"、最後に歌った平温そのものの"ライトニング・ボルト"のような逆説的な高揚が、きっといま必要なのだ。なんだか妙な感動の仕方をしてしまった。ニヤつきのない、大人びた若い青年の音楽に。(彼は1994年2月生まれである)

interview with Still Corners (Greg Hughes) - ele-king


Still Corners
Strange Pleasures

Sub Pop / Traffic

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 跳ねない。それがスティル・コーナーズのひとつの特徴だ。リズム、旋律、パフォーマンス、そして心も。急激な動きを嫌うように、テッサのウィスパー・ヴォイスはリヴァービーに烟るグレッグの音の底へとゆっくり沈んでいく。この感覚をどこかで知っているなと思う。気怠く、物憂く、蘭の匂いが立ち込めている――

 スティル・コーナーズの音楽は、ステレオラブやブロードキャストなどによく比較されているが、そこにサウンド・キャリアーズやコットン・ジョーンズ、ビーチ・ハウスなどを補助線として引くと、彼らのなかのコズミックな感覚やクラウトロック志向のわきに、スモール・タウン・ミュージック的な、フォーキーで温もりあるUSインディ・ポップの系譜、そしてそれらをつなぐように新旧のシューゲイズ・バンドの姿などが浮かび上がってくる。さらに当人らが影響源だとあかすジョルジオ・モロダーを加えれば、ばっちりとスティル・コーナーズの肖像が立ち上がるだろう。成熟と耽美と、わずかな瑞々しさからなるドリーミー・ディスコ・ポップ。〈メキシカン・サマー〉も〈4AD〉も、エメラルズも〈イタリアンズ・ドゥ・イット・ベター〉も存在する後期2000年代の座標軸の上で、彼らの音はにぶく輝いている。現実を離って遠くへ行くための、しかし人肌の記憶は捨てきれないというような、「誰ぞ彼」=たそがれ時の青い時間が立ち上がってくる。

 2011年、ロンドンで活動するこの4人組は『クリーチャーズ・オブ・アン・アワー』というフル・アルバムでデビューした。そのころのビビッドな存在感は、時とトレンドの推移とともに少しくすんだようにも思える。だが、セカンド・アルバムとなる今作『ストレンジ・プレジャーズ』では、グッと作家性を上げてきた。詞の上質なヤンデレ感もより強度を増し、サウンドはリッチに、クリアに。もともと持っていた世界観をよく磨いている。文脈や時代性に依らず純粋に作品を眺めるならば、間違いなく本作のほうがいい。傍目には地味な変化かもしれないが、艶の出た各楽曲をわれわれは長く愛でていくことができるだろう。

"ベルリン・ラヴァーズ"なんか5分くらいで作って、テッサと僕なんかその曲を作り終わったら部屋中でダンスしはじめちゃったりしたんだからね!(グレッグ・ヒューズ)

『ファイヤーファイルズ』(シングル)のアート・ワークはまさに60'sのサイケデリック・バンドの諸作品を彷彿とさせるものでしたが、音の方はというとレトロなシンセ・ポップやインダストリアル的ですらあるビートが参照されていて、前作と今作の特徴や差異をくっきりとあぶり出すように思いました。実際のところ、このシングルはどんな作品だと認識していますか?

グレッグ:数年前にスコット・キャンベルに会ったんだけど、僕らは彼の作品に一発で惚れ込んじゃって、それから僕らのカヴァーをやってもらいはじめたんだ。彼にこの曲を送って「ここから感じるものを表現して!」って言ったんだよ。思うに、この歌のカラフルなヴァイブスをうまく捉えてるよね。
"ファイヤーファイルズ"はこのアルバムの他の曲と同様に前作『クリーチャーズ・オヴ・アワー』以降に書いた曲なんだけど、以前のものよりポップで視野が広がった感じで、でもみんなで話しあったりして狙って作ったものじゃないんだよ。そんな感じにはしたくなかったし、自然に生まれてきたまんまだね。

とてもリズム・コンシャスなアルバムだと感じました。しかし、ダンス・アルバムにしたという意識はありました?

グレッグ:そうだね、僕らは踊るのが好きだし、僕がいきなりいろんなビート素材をたくさん作って、そこから曲を作ったりするんだ。"ベルリン・ラヴァーズ"なんか5分くらいで作って、テッサと僕なんかその曲を作り終わったら部屋中でダンスしはじめちゃったりしたんだからね!

ゲート・リヴァーブのようなエフェクトをめいっぱい効かせたりと、80'sっぽいサウンドを参照するのはなぜなのでしょう?

グレッグ:好きなリヴァーブを使ってるってだけだと思うよ。べつにそれが特別なサウンドだと思わないし、好きで選んでるからそれについての理由なんて考えたりもしないし。実際にアルバムで使ってるリヴァーブは、すべてサウンド的に厚みのあるプレート・リバーブだね。僕的にはほんとに全部、リヴァーブだらけにしちゃいたいくらいだから、今回それにかなり近い感じにできたね。

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僕らのサウンドは「ドリーミー」というよりは「ムーディー」と言った方が正確かもしれない。「ドリーミー」って僕的にいうとソフトでやんわりとした感じ、ほかにもチルアウト的な意味合いが強いし。(グレッグ・ヒューズ)


Still Corners
Strange Pleasures

Sub Pop / Traffic

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今作も男女の恋愛関係が繊細な感覚でシネマティックに描かれています。ですが前作が手に入らない愛を求めるような作品だったとすれば、今作は愛を失うことをおそれる作品という対称があるように思われました。あなたがたの場合、詞作は音に大きく影響を及ぼしたりするのですか?

グレッグ:素晴らしい質問だね! 前作は手の届かない愛について、今作は愛を失いたくない思い、どちらの解釈も正しいよ。メロディと歌詞は相互に絡み合ってお互いを映し出し、聴く人々を惹きつける輝きを放ちながら、雰囲気やヴァイブスをいっしょになって作り出していくものだと思ってる。

"ビギニング・トゥ・ブルー"という曲がありますが、あなたがたの音はまさに「ブルー」ではなく「ビギニング・トゥ・ブルー」だと思います。ご自身たちではどう感じますか?

グレッグ:僕にとってこの歌は、現在の関係性が以前のものとはまったく違うことを悟ってしまう瞬間みたいなものを歌ったもので、それってかなり哀しい感じだよね。だから僕は今回「ブルー」を「ブルーになる」という意味で使ったんだ。たぶんこれはマイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』からとったんだと思う。マイルスが自分のレコードにどんなタイトルをつけるか悩んでたときにバンド・メンバーのひとりが「ブルーっぽい(kind of blue)感じのサウンドだよね」と言ったって話を読んで、メランコリックな雰囲気がそのアルバムには漂ってるし、その表現は間違いないって思ったよ。

今作のコンセプトやモチーフは自然に生まれてきたものなのですか? 今作までのあいだにとくにハマっていた音楽や作品などがあれば教えてください。

グレッグ:「コンセプトを持ってない」ってことがこのアルバムのコンセプトかな。その方がアルバムが楽しくなるし。僕がまず曲を上げてテッサがそれに手を入れたり歌を被せたりしながら、メンバーで新しいアイデアがないかを出し合うんだ。よさげなアイデアを誰かが出したらそれをもうちょっと詰めてく、みたいな。もしかしたら今回はいつもよりちょっとだけ荘厳な感じを目指したのかもしれないね。

リヴァービーな音作りはあなたがたの音楽性の重要な部分を占めていますが、それはドリーミーと呼ばれるゆえんでもあると思います。どのくらい「ドリーミー」ということを意識されていますか?

グレッグ:僕らのサウンドは「ドリーミー」というよりは「ムーディー」と言った方が正確かもしれない。「ドリーミー」って僕的にいうとソフトでやんわりとした感じ、ほかにもチルアウト的な意味合いが強いし。僕らの曲みんながそんな感じだとは思ってないけど。もちろん、僕が曲を書いたからってその曲のことをいちばん知ってるってわけじゃないしね。

ステレオラブやブロードキャスト、またビーチ・ハウスらと比較されるのはどのように感じますか?

グレッグ:それはすごいね、どのバンドもすごく好きだよ。それに加えてカン、ジョルジオ・モロダー、それにモリコーネなんかもそのなかにいれてもらえたら、ね。

テッサには何かロール・モデルとなるような歌い手がいますか?

テッサ:ジョニ・ミッチェル、エリザベス・フレイザーそれにケイト・ブッシュはもうずっと好きだわ。

マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの新作はどう思いましたか?

テッサ:すごく好きだよ。前作につづいて素晴らしいよね!

DJ KAZUSHI (DUB FRONTIER) - ele-king

blog : https://djkazushi.blogspot.jp
Twitter : https://twitter.com/DJ_KAZUSHI
Face Book : https://www.facebook.com/kazushi.minakawa

DJ Schedule
13.6.8(sat) DUB FRONTIER@仙台CLUB ADD
13.6.5(wed) Light my fire 1st anniversary@仙台CLUB ADD
13.5.31(fri) ZOO DISCO@米沢ARB
13.5.25(sat) まともがわからない満月夜@盛岡MOTHER
13.5.24(fri) @三軒茶屋天狗食堂
13.5.23(thu) @高円寺GRASSROOTS
13.5.19(sun) Sunday chill-out@仙台壱弐参横町 和音
13.5.17(fri) @vinyl diz
13.5.12(sun) Gnu@仙台CLUB ADD
13.5.12(sun) Sunday chill out@仙台壱弐参横町 和音
13.5.5(sun) ZUNDOKO DISCO@仙台CLUB SHAFT
13.5.5(sun) Sunday chill out@仙台壱弐参横町 和音

dilute colord thinly


1
Dub Diablo - A LESSON IN STYLE - JOINT RECORDS

2
NIGHTMARES ON WAX - PRETTY DARK - WARP RECORDS

3
THE IRRESISTIBLE FORCE - POWER - Ninja Tune

4
Lemon jelly - Ramblin' Man - Xl Recordings

5
pizzicato five - 愛餓を - HEAT WAVE

6
Little Tempo - 無能の人 - cutting edge

7
WILD RUMPUS - ROCK THE JOINT - Bitches Brew

8
U2 - LEMON(Bad Yard Club) - island Records

9
HERE COMES THE SUNBURST BAND - Monte Carlo - Z Records

10
atlantic conveyor feat. Habibur Romman - Open Your Soul(Music Box mix) - untracked recordings

きのこ帝国 - ele-king

 GW真っ直中のこどもの日の夕刻、初夏の香りの漂う下北沢は、びっくりするほど若者たちで賑わっている。人混みを避けるように、僕は菊地祐樹と茶沢通りのコンビニで待ち合わせた。「しかしあれだね、この爽やか休日の、幸福そうな若者で溢れている町中を、若きニート=菊地と廃人のおっさん=僕が一緒に歩いているのも、面白いというか、なんというか」「ハハハハ、そうですね」......とか笑いながら、下津光史の弾き語りを聴くために風知空知へと向かった。
 下津は、「俺はいま禁酒しんてるんや。もう2週間もやで」と言って、我々を迎えた。席について、演奏を聴きながら、しばらくして僕は言った。「キクリン、下津の禁酒がいつまで続くか賭けないか?」「いいですよ」「俺はさ、もってあと1週間。今週末には飲んでいると思うね」「僕は、実はすでに飲んでいるに賭けます」......と話していたちょうどそのときだった。数曲歌え終えた下津は、ステージの脇にギターを置くと、足下に置いてあったミネラルウォーターのボトルを指さして、「なんやねん、この液体は。なんで透明なんやねん」とわめきながら、「俺が欲しいのは、もっと色がついているやつや」と声を荒げたあとに、子猫のような声で「すんません、コロナ、1本もらえますか」とスタッフに言った。

 翌日の6時過ぎ、場所は代官山UNIT、若者とおっさんは、きのこ帝国のワンマン・ライヴを見に行った。チケットはソールドアウトだったので、当たり前だが、ものすごい人だった。酸素が薄く感じるほど、超満員である。
 自分たちがどう見られるかばかりを気にするバンドが多いなか、きのこ帝国は、人目など気にせずに自分たちのやりたいことをやってきている。それがこのバンドの最大の強みだと思う。
 僕がこのバンドを初めて見たのは、およそ1年前の、5月26日の下北沢GARAGEだった。小さいライヴハウスに、お客さんが20人いるかいないか、しかもその場にいる20人は対バンのお客、そんななかでの演奏だった。それでも8月に下北沢のERAで見たときには、50人以上はいただろうか、それなりに埋まっていた。
 だいたい、100人も入れば埋まるようなライヴハウスで演奏を見ていると、身内の多いバンドかそうではないバンドかがわかるものだが、きのこ帝国は後者だった。いつもの取り巻きがいるわけではないし身内でわいわい盛り上がっている感じもない。そんなきのこ帝国は、この1年で、代官山UNITをチケット売り切れの満員にするほどのバンドとなった。地道なライヴ活動と2枚のCD、自分たちの音楽だけで。

 ドアを開ければそこは人垣だった。フロアの、僕は前へと突進して、最初はステージの近くで聴くことにした。ライヴは、テルミン(あらかじめ決められた恋人たちへのクリテツさんによる)電子音を響かせながら、"足首"ではじまった。じっくりと音を重ねがら、ゆっくりとアップリフティングしていく。さあ、ノイズ・ギターにまみれた魂のドラマのはじまりだ。
 ステージにいるのは1年前と変わらないきのこ帝国だった。愛想のない佐藤がいて、愛想の良いギターのあーちゃんがいる、物静かでシャイなふたりの青年がリズムを支えている。たまにあーちゃんが喋るくらいで、ほとんどMCはなく、淡々と演奏は続く。
 変わったのは、聴きに来ている人たちの数だったが、バンドはその夜もまた、ストイックだった。しかし、3曲目の"夜鷹"の孤独な思いが反響すると、おそらくは多くのオーディエンスの感情は、ゆるみはじめ......、ストロボの激しい点滅のなかで演奏された"暇つぶし"でたくさんの耳と心は釘付けにされた。我慢できずに、大粒の涙を流している人もいた。

 きのこ帝国が素晴らしいのは、血みどろの恋愛劇、傷つけあい続ける人間関係を勇気を持って描いているからである。傷つけ、傷つき合うことを忌避するあまりだろうか、歌のなかでも、あるいは休日の下北沢でも、オブラートに包んだような人間関係ばかりが目につくようになった。しかしときには、当人たちの望んだことではないにせよ、それが真剣であればあるほど、こと恋人同士とは傷つき合うことから逃げられないものだ。それは心を重層的なものにさせる。佐藤の歌には、その重層性がある。魂の地層をほじくり返すように彼女が歌うとき、オーディエンスの内部もほじくり返され、自らのそれに気がつくのだ。
 途中、僕は前列から退避して、後半は最後列で聴いた。"春と修羅"はアルバムよりもライヴ演奏のほうが、僕にはよく聴こえた。わめき散らされる感情は、生で聴いたほうがいい。いちばん後ろまでいって立っていると、すぐ隣には、色のついた液体を片手に持った下津光史がいた。
 1時間半ほどの演奏が終わるとアンコールが2回あって、2回目のアンコールでは新曲をやった。フロアを埋め尽くしている多くが若く、男女比率6:4ぐらいだったろうか、それほど女性客が目に付き、開演中にツイッターをしているような輩はものの見事ひとりとして見なかった。

追記:きのこ帝国から涙を完璧に吸い取って、歯切れ良くポスト・パンク
へと変換するとサヴェージズになるのだろうか......というのは飛躍し過ぎだろうねぇ。

tofubeats - ele-king

 インターネット・インディ、とでも言うのだろうか。サウンドクラウドやバンドキャンプの普及によって無限に拡張された「音楽を発表する権利」、その意義や可能性は、いつまでも手放しで称賛されていいものではないのかもしれない。『ele-king』では昨年、その象徴というか、あくまで端的な例としてヴェイパーウェイヴの紹介にかなり固執したけれど、一年が終わるころにはその反動を肌で感じるようになったし、個人的にはその思いを紙版『vol.8』号に書いたつもりだ。
 ひとつのキッカケになったのは間違いなくアルーナジョージの取った軌跡であり、シングル・デビューから〈Def Jam〉あたりが完全包囲していてもよさそうなこの逸材が、最終的には〈アイランド〉にたどり着きつつも、どこかもどかしいステップを踏んだことに違和感があったのだ。もちろん、強力な刺激を求めていくマーケットの要請に、より過剰な人材の投入で応えざるを得ないメジャーの音楽が一方的に退屈だと言うつもりはないし、インターネットが解放したインディの新領域にあらゆる自由があるとも思わない。
 そう、現時点ではまだ、「メジャーとインディとのあいだにある種の倒錯が起きている」というのはあまりフェアではない。だが、少なくとも、生まれたばかりのデモ音源(ときにメジャー契約にあるミュージシャンの新作)が、レコード会社の担当部門だけではなくインターネット上にも流布される現在、だからこそそのスピード感(やレーベルの度胸)という点で、ヤキモキした思いを抱かされるリスナーは決して少なくないと思う。

 とすれば、トーフビーツの登場は、ある意味では遅すぎ、ある意味では早すぎたというほかない。もちろん、ここ数年の活動――アイドル・ポップのプロデュースやリミックス、バンドキャンプからの配信――が単なる消耗戦だったというつもりはない。だが、〈WIRE〉への初出演からも、あるいはいまでこそ文句なしの代表曲となっている"水星"が初めて世に問われたときからも、すでに数年が経過している。彼が(インターネット・インディ以降の)J-POPにおける試金石であるなら、この事実は軽視されるべきではないだろう。
 「すっかり"メジャーなんて"みたいな言われ方する時代になったけど、10年前の俺はメジャーデビューしたくて仕方なかったなぁ。早く音楽だけやってていいようにならないかなって毎日思ってた。」――これは、とある(メジャー契約にある)ロック・バンドのヴォーカリストの言葉だが、"朝が来るまで終わる事の無いダンスを"や"水星"のミキシングが少しずつアップデートされ、少しずつ多くの人の耳に届いていく様子から、僕はトーフビーツの言葉にならない胸の内を見せられた気がした。
 彼の初期のデモ音源集『2006-2009 demo tracks』に、"Bonjour at 5:00AM"という曲があるが、トラックに挿し込まれたタイピングの作業音は、無名のトラックメイカーがなんの約束もない未来を、ベッドルームでひとり想像する孤独な姿を浮かび上がらせる。とすれば、本作の"Intro"に収められた音が割れるほどのエールを聴けば、彼(ら)がどのような世界を手に入れつつあるのかを高い熱量で伝える。とてもアンビヴァレントに。
 そしてトラックメイカーは、また部屋へと戻っていく。そう、多くの思いを胸にしまい、いつものたれ流しUstreamを聴かせるような驚くほど軽いタッチで、『lost decade』は幕を開ける。

 "SO WHAT!?"はさしずめ「ひとりモーニング娘。」状態で、ヴォーカルを取る仮谷せいらのノリノリなコーラスでこのアルバムは急発進する(ちなみにこの二人はティーンエイジ・ポップの傑作"大人になる前に"をリリース済み)。これと好対照をなすと言えるだろう、ファンキーなベース・ラインが妖艶に体をくねらす"No.1"は、G.RINAの艶がかったヴォーカルによって夜のラヴァーズ・ソウルに生まれ変わっている。
 逆に男子校的なノリでやんちゃに遊び回るのは、パンピー(from PSG)をフィートした"Les Aventuriers"、SKY-HI(a.k.a. 日高光啓)が参加した"Fresh Salad"などで、いずれも性急なBPMに合わせた高速ラップが原動力となり、甘いポップスを期待して『lost decade』を手に取ったリスナーを挑発するように激しく動き回っている。
 とすれば、ストリートとクラウドを行き来するラッパー・ERAとマイクをバトンするドリーミー・ラップ"夢の中まで"は、遊び疲れた男たちの涙、報われることのない涙だ。

 そして、理屈から言えば"No.1"のように強力なポップ・アンセムに再録できたであろう"touch A"や"synthesizer"といったトラックは、いずれも既発のヴァージョンで残してあり(本音を言えば、専門のヴォーカリストでいつかリテイクして欲しい!)、その余裕がなせる業だろうか、"I don't care"や"time thieves"といったエッジーなビートものもガッツリ収録してある。そのふり幅、その落差こそが、本作の肝のひとつだろう。
 ブックオフで250円のJ-R&Bやアイドル・ポップから、中古レコード屋で拾ったようなディスコやソウル、同時代のダンス・ミュージック、果てはヴェイパーウェイヴに象徴されるウェヴのフリー・ミュージックまで、彼がツイッターなどでリスナーを誘い込んできた音楽の世界の、その遠い射程を追体験させるような仕掛けが、『lost decade』にはあると思う(だいたい、"水星"の元ネタを水星以前に認知していた人なんてどれくらいいたんだろうか?)。
 トーフビーツの描いてきた軌跡でもって、インディという概念が次のパラダイムに突入したことを――アルーナジョージやスカイ・フェレイラの登場がおそらくは欧米の若いリスナーのあいだでそう機能したように――多くの人が感じ取っているのもまたたしかだろう。だが(この話題をグズグズ引っ張って申し訳ないが)、いくつかの収録曲が、もう何か月も前にバンドキャンプで聴くことができた、ということを考えれば、『lost decade』のリリースはあと1年くらい早くてもよかったのでは......、というか、そうあるべきだったのではとも思ってしまう。

 小さなポップと、その新しい輝きについて――。「きらきら光る星のはざまでふたりおどりあかしたら/もっと輝くところに君を連れて行くよ」――ここにもまた、明るい未来への兆しがある。しかし、ますます真実味を帯びていくこの"水星"のキラー・センテンスが2013年という季節に含むのは、決してプリミティヴな高揚だけではないハズだ。
 だが、やがて『lost decade』は、南波志帆を招いてのタイトル・ソング、パーティの終わりにピッタリの"LOST DECADE"で大団円を迎える。いま、たったこの瞬間を祝福し続けることで、次の10年を繋げていこうというような願いが、さまざまなネガティヴの気配を追い払うように、この5分40秒を堅守する。それは感動的でさえある。僕たちはどうにかして彼を発見したし、この迷える時代に、彼によって発見されもしたハズだ。それがどれほど彼を待たせた結果であったとしても。

 今年の7月にようやく発売されるアルーナジョージのフルレンス・アルバム『Body Music』と、この『lost decade』によって、インターネット・インディとメジャー・レーベルの関係がうまく仕切り直しになればいいなと思う。トーフビーツのメジャー進出は、それくらいの意味をきっと持つ。
 ところで相変わらず、歴史性を欠いたままに惰性とノスタルジーとだけが蔓延しているように思えるJ-POPは、どのように再編可能なのだろうか? そのヒントになるかはわからないが、そういえば昨年、トーフビーツがツイートしているという「だけ」の理由で、森高千里やモーニング娘。をよく聴いた。もちろん、〈マルチネ〉が配信する『街の踊り』や『PR0P0SE』とともに。そこを繋ぐ架け橋、という言葉ではあまりにクリシェだが、彼(ら)が照らす未来を僕はそろそろ待ちきれない。この作品がまた、未来の誰か――ニュータウンや地方都市の片隅に生きる名もない若者たち――を勇気づけることを祈って、僕もその先を考えていきたい。時代に負けるな!

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