「Nothing」と一致するもの

Chikashi Ishizuka (Nice&Slow) - ele-king

自身のレーベル、Nice & Slow より
Chikashi Ishizuka - Step Forward / Boogie Man
リリースされました。

www.chikashi.ishizuka@facebook.com

can you feel it 2013/08/09


1
George Duke - Feel - Mps

2
Chateau Flight - La Pregunta - Permanent Vacation

3
Pacific Horizons - Witches Of Castaneda - Pacipic Horizon

4
Claudio Passivanti - Fantasy - Sunlight

5
Mat Anthony - Lune Afrique - Aficionado

6
Finis Africae - Last Discovery - Em

7
Michael Booth Man - Waiting For Your Love - Invisible Touch

8
Manu Dibango - Kusini - Lpk

9
Missa Luba - Les Troubadours Du Roi Baudouin - Philips

10
Chikashi Ishizuka - Boogie Man - Nice&Slow

Detroit Report - ele-king

 廃墟、破綻、暴動、モーター・シティ。デトロイトと聞いてテクノ以外に対となる言葉はこんなとこだろう。愛、暖かい光、力強さ。そしてその間にある荒廃。眩しいぐらい前進する言葉が並ぶが、わたしが見たデトロイトは、まさにそれだった。乱反射する輝きに、荒廃する街は少し滲んで見えた。
 「デトロイト市財政破綻」のニュースが流れた直後の、7月31日から8月5日までのあいだデトロイトに滞在した。そんなにすぐに街に何か変化が出るわけではないとわかってはいたが、わたしは少々ナイーヴな時間を成田からデトロイトに到着するまでのあいだ過ごした。到着後、滞在予定のモーテルに向かう車内から外を眺めていると、瞬きをするように目に廃墟が飛び込んでくる。生気がなくなっている街には夏が似合わないな、と思いながら車に揺られた。しかし、この日からの毎日は報道されている「危険な街デトロイト」とはほど遠いものだった。
 水面が輝くデトロイト・リヴァー沿いを家族連れが散歩し、対岸に見えるカナダのウィンザーを眺めながらカップルは穏やかな休日を過ごしている。朝食を食べるダイナーは朝から賑わいを見せ、これから仕事に向かうであろう男性は隣の席に座る知らない青年に「おはよう」を投げかける。わたしはたくさんの人に抱きしめられ、「ようこそデトロイトへ!」と、そう、誇りに満ちた声で何度も歓迎を受けた。失礼かもしれないと思いつつ、わたしは出会った人たちに聞いてみた。「財政破綻で何か変わりそう?」と。「何も変わらない。ここでいつも通りの生活をするのみだよ」誰もがそう答えた。

 最終日の深夜、マイク・バンクスの案内により、この数日のあいだに感じたものと対極にあるデトロイトを見せつけられることになる。「廃墟は美しい」なんて軽い言葉は出ない、車の製造を辞め直視ができないぐらい朽ち果てたフィッシャー・ボディ社のビル。東側にある"リッチな"白人が住むエリア。ここは黒人が車で通ることさえも許されず、警察に見つかれば事情を聞かれる。黒人と白人が住む、ふたつのエリアを分ける光──。
 全体がオレンジ色に光る大きな家が並ぶエリアを通りぬけると、突然やってくる街灯はもちろん、店の明かりも何ひとつない闇の世界。輝く月さえも敵に回したようなこの闇から、あの空が明るく見えるほどの暖かい光はどんな風に見えていたのだろうか。
 4時間ほどかけた深夜のガイド・ツアーを終え、その夜に見たすべての景色を飲み込むようにマイク・バンクスは言った、「ここは素晴らしい人とたくさんの愛がある場所だ」と。それはありきたりだけど、この街には十分な言葉だった。
 綯い交ざる6日間の風景をうまく消化できないまま、数時間後には帰りの飛行機に乗り、きっとこれからもここデトロイトからたくさんの音楽が生まれ続けるのだろうと考えていた。

 さて、デトロイトのネクスト・ジェネレーションといえば、今年自身のレーベル〈Wild Outs〉からファースト・アルバム『The Boat Paty』をリリースしたカイル・ホールがいる。そのカイル・ホールとデトロイトで活動を共にしているジェイ・ダニエルは3年前にDJをはじめた。
 今回、デトロイトのBelle Isle Park で開催された「Backpack Music Festival」でジェイ・ダニエルのDJを聞くことができたが、わたしが見たデトロイトの風景とオーバーラップしたそのストーリーは、美しさと荒さが気持ち良いぐらいに混ざり合っていた。スモーキーなディープ・ハウスで空気を暖めたかと思ったら、乾いたパーカッションのみが青空の下で鳴り響いている。ときにはデトロイト・エレクトロや荒削りのシカゴ・ハウス、そしてそこに追い打ちをかけるようにトライバルなアフロリズムが投下される。縦横無人に行き来しながらも途切れないファンキーなグルーヴの力強さに、現在進行形のデトロイトを感じることができた。

 ジェイ・ダニエルとカイル・ホールはふたりで「Fundamentals」というパーティを定期的に開催している。2年程続いている、"基本"とか"根源"とかの意味をもつこのパーティでは90年代のテクノやハウスも惜しみなくプレイされる。それは客層が10代~20代の若めのパーティということもある。もちろん、この地で生まれた音楽を紹介する意味も込められている。
 ハウス・ミュージックを聴く年齢層が高いデトロイトでは、このようにキッズが集まるパーティは少ない。本来、音楽というものは外側と内側、両者からの受容を繰り返し、その土地の人びとの魂とともに生きながらえているものだ。先人が作り上げたものを次の世代にへ伝えていくという彼らの意識の高さに、デトロイト・テクノやハウスにある種の伝統芸術を見ているような気がした。

 インタヴュー当日、彼は「オススメのレコード屋があるんだ」とデトロイトの街案内もかねて連れて行ってくれた。そこはジェイ・ダニエルが以前働いていたデトロイト西側にある〈Hello Record〉。主にファンク/ジャズ/ソウルを揃えているお店だ。テクノ/ハウスのコーナーはとても少ない。
 途中、彼の友人たちも合流し、その場はアニメや映画の話で盛り上がりを見せていた。ひとり寡言なジェイ・ダニエルに友人は「彼は音楽にしか興味がないのよ」と柔らかい表情で笑った。
 そんなジェイ・ダニエルにとっての初めてのEPがセオ・パリッシュのレーベル〈Sound Signature〉から発売される。その新曲についても話してもらいました。

ジェイ・ダニエル

このデトロイトで、エレクトロニック・ミュージック・シーンを先駆してきたアーティストたちはもう少しデトロイトの音楽シーンに貢献できたんじゃないかなって僕は思うんだ。デトロイトに1ヶ月滞在しても自分たちが観たいと思っているデトロイトのDJを観ることができないことだってあるからね。

デトロイト生まれですか?

ジェイ・ダニエル(JD):ワシントンDCで生まれて、2歳のときに母親とデトロイトに移り住んだ。いま22歳。DJをはじめてから3年かな。高校はメリーランドの高校に通っていたけれど、2009年に再びデトロイトに戻ってきて、後にDJをはじめたんだ。そこから1年後、カイル・ホールに出会ってすぐに打ち解けた。デトロイトにはいいレコードもたくさんあって、いつも何か新しいものが生まれている場所なんだ。

どういう音楽に影響を受けてきましたか?

JD:僕の母親もシンガーなんだ。1993年にカール・クレイグとレコードもリリースしてるよ(なんとあの名曲、"Stars"と"Feel the Fire"で歌っているナオミ・ダニエル!)。彼女の影響は大きかったね。幼少時代にハウス・ミュージック、オルタナティヴ・ミュージックもたくさん聴いていたよ。ジャズもね。WJLBっていう、地元のジャズのラジオ番組なんだけど、それをよく聴いていたよ。いろんな音楽を聴いて育って、折衷してきたものがいま僕のサウンドに反映されているんだ。

いつからDJはじめたのですか?

JD:DJをはじめたのは2010年。それ以前にはDJソフトをラップトップのなかにインストールしていて、「DJ」はかじっていたんだ。そのあとmp3で使っていたけれど、ターンテープルを持ったのは2010年だった。

デトロイトの音楽シーンをどう思っていますか?

JD:このデトロイトで、エレクトロニック・ミュージック・シーンを先駆してきたアーティストたちはもう少しデトロイトの音楽シーンに貢献できたんじゃないかなって僕は思うんだ。デトロイトに1ヶ月滞在しても自分たちが観たいと思っているデトロイトのDJを観ることができないことだってあるからね。ビジネス的なことを考えると、海外でDJをすることが多くなるのは自然なことだとわかっているけれど、ここデトロイトには他の場所にはない音楽のルーツ、基盤が存在するんだ。その基盤をもっと呼び起こしていきたいと、カイル・ホールと僕はここでの活動に力を入れているんだ。

「バックパック・ミュージック・フェスティヴァル」で他のDJたちはCDやPCでプレイをしていたのに対して、あなたが誰よりも若いDJなのにアナログを使ってたのが印象的でした。いつもアナログですか? アナログにこだわる理由があれば教えてください。

JD:そう、いつもレコードでプレイするよ。たまにCDも使うけどね、大抵はレコードだね。ラップトップは壊れたらそれっきりだけど、レコードはレコードをなくさない限りプレイできる。より強く音楽性を感じられるし、フィジカルに音楽と触れ合えるレコードにやっぱり魅力を感じるんだ。ラップトップのテクニカルな面だったり、DJコントローラーのことを気にする必要もない。レコードでしかみつけられない曲もあるしね。アナログがなによりも一番だと僕は思うんだ。

好きなDJや影響を受けたDJは誰ですか?

JD:デリック・メイとセオ・パリッシュ、リック・ウィルハイトかな。僕をはじめ、彼らから影響を受けたDJたちはたくさんいるよ。

デリック・メイとセオ・パリッシュのDJスタイルは違いますが、どちらがあなたのDJスタイルに影響していますか?

JD:おそらく、セオ・パリッシュのほうかな。ジャズやフュージョンをDJに多く取り込んでいる彼のスタイルに影響を受けていると思う。デリック・メイはもっとテクノ色が強いDJスタイルでビッグ・オーディエンス向けだよね。DJをはじめた当初、自分のスタイルを模索していたときに言われたことは、自分のセンス、音楽性で、自らの手で作り上げてくことでDJのスタイルは確立されるということ。僕のDJスタイルはリズムなんだ。

いつもレコードでプレイするよ。たまにCDも使うけどね、大抵はレコードだね。ラップトップは壊れたらそれっきりだけど、レコードはレコードをなくさない限りプレイできる。より強く音楽性を感じられるし、フィジカルに音楽と触れ合えるレコードにやっぱり魅力を感じるんだ。

新譜について訊かせてください。何故〈Sound Signature〉からリリースすることになったのでしょうか?

JD:ディープ・ハウスにテクノが融合しているトラックだよ。テープでレコーディングしたから独特の音色に仕上がっているんだ。あまり機材を持っていないから持っているものでできる限りのことをしたよ。セオ・パリッシュがデトロイトでDJをしているときに彼に僕の曲を手渡したんだ。その夜彼は僕の曲をプレイしなかったけれど、その後海外でプレイしてとても気に入ってくれて、〈Sound Signature〉からのリリースが決まった。

曲作りにおいてあなたのイマジネーションはどこからきてますか?

JD:どこからかな。過去の経験かな。人はひとりひとりそれぞれの人生を歩んで、それぞれの経験をするよね。アーティストの表現、イマジネーションにはそんなそれぞれが経験してきた良い出来事も、辛い出来事もすべてが糧になってアーティストの表現するものに投影されているんじゃないかな。僕は無口なほうなんだけど、僕が感じることを音楽を通して表現しているんだ。

もうその次の新譜も制作していますか? もし予定があるなら教えてください。

JD:作っているよ。〈Wild Out〉から年内にリリースを予定しているよ。いつも制作には取り組んでいるし、ミックスも手がけている。新しい機材も増やそうとしているんだ。もちろん音楽をつくるときに大事なのは機材を増やすことで音が良くなることよりも、どれだけクリエイティヴに自分のアイディアを作品に投入できるかだと考えているけどね。

ちなみに、どのような機材を使って曲作りをしていますか?

JD:使っている機材は、MPC1000、JUNO106、KORG DW-8000 テープを収録するミキサーをひとつ。 ドラムマシンはMPC、たくさんサンプルが入っているんだ。僕自身ドラムを演奏するんだよ。

これからDJと曲作り、どっちをメインにやっていきたいですか?

JD:もっと曲作りをやっていきたいと思っているよ。作曲をはじめてから自分のDJスタイルも変わってきたんだ。リズムが大事なんだ。いい楽曲があってのDJだから曲作りに力を入れていきたいと考えてるんだ。

デトロイト出身のアーティストは、海外に拠点を移し活動している人もいれば、絶対にデトロイトから離れない人もいますが、制作活動するにおいてデトロイトを拠点にするということは、あなたにとって重要ですか?

JD:制作する場所に関しては、どこに住んでいるかは関係ないと思うんだ。たしかにデトロイトはアーティストにとって、創作するスペースが十分にあるのではないかと感じる。ニューヨークや他のアメリカの都市はアーティストで混み過ぎているからね。とはいってもやっぱりどこに住んでいるかはあまり問題ではないと思う。自分の表現したいこと、クリエイティヴな発想が自分にしっかりある限りね。僕はおそらく、しばらくはデトロイトを拠点にすると思う。もし拠点を移すとすればロンドンかな。アメリカ国内ではないね。

続く

Lil Ugly Mane - ele-king

 僕のようなラップ・ミュージックのバッグ・グラウンドの乏しい人間がレヴューを書くべきでないのは重々承知の上であるが、本国での盛り上がりをよそに誰も書いてくれないので書きます。もう我慢できなかったんですよ!

 オッド・フューチャーをスケート・パンクとすれば、リル・アグリー・メーン(Lil Ugly Mane)はバンダナ・スラッシュであろうか。どちらも現在のUSを象徴するラップ・ミュージックだ。

 ショーン・ケンプ(Shawn Kemp)ことリル・アグリー・メーンはどうやら彗星のごとくシーンに現れたわけでもないようだ。現在もアクティヴなのかは定かでないが、ヘッド・モルト(Head Molt)という一聴するところのどうしようもないノイズ/パワエレ・バンドで活動していたトラヴィス・ミラー(本名)は、どうしようもないノイズ/パワエレを炸裂させる片手間、ショーン・ケンプとしてMCとビートを制作していたらしい。故郷のリッチモンドからフィリー、そしてウェスト・ボルチモアとマウントバーノンでこの『ミスタ・サグ・アイソレーション』を完成させ、再びリッチモンドで暮らす彼のドリフト生活遍歴。これらの土地から想起されるここ10年のUSインディー・シーンを照らし合わせば、なるほど彼の音楽遍歴がおのずと見えるではないか。ページ99(PG99)世代のヴァージニアの激情ハードコア・シーンで思春期を過ごした歪んだ美意識は、時を経て当時ドロ沼化していたであろうボルチモアの変態シーンで洗礼を受け、ある種のポップネスを開花させた。ピクチャープレーン(Pictureplane)やDJドッグディック(DJ Dogdick)、ソーン・レザー(Sewn Leather)らとの絡みも共鳴ゆえのものなわけだ。

 満を持してドラキュラ・ルイス(Dracula Lewis)率いる〈ハンデビス〉からの豪華極まるフィジカル・ヴァイナル盤がリリース。近年のUSアンダーグラウンド(でもイタリアのレーベルなんですけど......)発のトレンドを並べたレーベルから出ることは必然ともいえよう。

『ミスタ・サグ・アイソレーション』に捨て曲はない。ウィッチハウス、ヴェイパーウェーヴ、インダストリアルと昨今のキーワードがブラウン管に発光しながらもスクリュードされ、シンプルで野太いビートが際立った極上のトラック、偏執的サグ思考のリリック、これって何? ニューエイジ・ギャングスタラップ? あがるわー。

TRANCE - ele-king

 出だしのベタなはじまり方におっ、ついにダニー・ボイルもセル・アウトしたかと思ったが、だんだんとトランスな感じになっていく展開はさすがである。しかし、新作『トランス』は難しい映画である。

 難しいと言っても難解とかじゃなく、おもしろいような、おもしろくないような、どっちなのだろうと判定するのが難しいという意味である。

 『トランス』はダニー・ボイルのデビュー作『シャロウ・グレイブ』と同じく、利己主義者がどんどんと泥沼にハマっていく小洒落たサスペンスなのだが、どうも『シャロウ・グレイブ』のようにシャープでない。『ビーチ』が『トレインスポッティング』のようにシャープじゃなかったように。

 催眠療法というネタを持ってきたところが、物語からシンプルさを奪ってしまったと思う。いや、催眠療法があるから物語にトランス感を生んで、ドラッギーな部分が不安感からくる気持ちよさを生むのだが、無理があると思う。

 催眠で人間をコントロールできないというのは、僕でも知っている一般常識なので。

 でも、世の中変わっているかもしれないですよね。主人公が催眠治療を受ける治療院はアメリカの高級な精神科医の病院みたいで、僕が知っている頃の催眠治療って、中華街の片隅にあるようなうさん臭いところでしたから。

 『トランス』を観て、僕もいまから催眠術の資格とって金持ちになろうかと思った。

 犯罪者も変わっていている。金持ちそうだった。

 ダニー・ボイルの映画はそうやって時代の変化をちゃんと描いていると思う。

 日本の変化は全然気づいてないけどね。『トランス』のオチのひとつが日本ではまだ全然だめなことをダニー・ボイルは知らない。日本で観た人はオチを説明されるまでクエスチョン状態だと思う。

 そのオチが『クライング・ゲーム』と同じで笑った。やっぱダニー・ボイル、イギリスの先輩監督、ニール・ジョーダンに影響受けているのかと思った。

 『クライング・ゲーム』の方は笑いとばすことじゃなく、深刻な問題ですけど。『トランス』は、えっ、そんな細かいことヨーロッパはまだ気にしているの、と思った。

 すいません、観てないと人には何の話かわからないですよね。でも、観たらこのネタは絶対大爆笑すると思う。

 難しいという意味はこういうことなのだ。恋人と観に行ったら、「いろいろ考えさせられるよね。」とオシャレにしゃべることもできそうな映画なのだが、友だちと見に行ったら、「なんかむちゃくちゃ過ぎない」とバカにして終わるような映画、一人で見に行ったら、友だちにどう説明したらいいのか悩む映画。

 ダニー・ボイルらしい映画だけど、もうちょっとシンプルにした方がよくなかったかいと思った。

Julia Holter - ele-king

 ジュリア・ホルターをポップ・シンガーとして認識する最初のアルバムになるかもしれない。"ディス・イズ・ア・トゥルー・ハート"などを聴けば驚く人もいるだろう。「モータリック・シャンソン」などとタイニー・ミックス・テープスなどは小粋な表現をしていたが、コズミックな音響とモータリックなビートに乗ったホルターのヴォーカルは、ファイストにもジョアンナ・ニューサムにもローラ・ダーリントンにも、ジョニ・ミッチェルにまで比較できるものだ。サックスがそのジャジーなヴォーカル・ラインを引き継いでしっとりと間奏を歌い上げ、やがてまたホルターへと手渡す。
 "イン・ザ・グリーン・ワイルド"も、ダブルベースが跳ね、ストリングスが不協和音を奏でる、ノワールで前衛的なムードのジャジー・ポップ。"ホルンズ・サラウンディング・ミー"はかなりクラッシュした曲だけれども、ドラムが8ビートで展開するのが意外な印象を与える。ヴォーカリゼーション同様に、ポップスの構造、ポップスの予定調和をかなりきっちりと組み立てていくこれらの楽曲を、筆者はとても新鮮な思いで聴いた。

 アカデミックな環境で育ち、高度な音楽教育も受け、大学ではローレル・ヘイローのクラスメイトでもあったというジュリア・ホルターは、〈リーヴィング〉などロサンゼルスの実験精神とインディ文化のリアルを体現する10年代の名門レーベルから寵愛を受け、存在感を増しつづける宅録女子アーティストたちの急先鋒として、アルバム一枚ごとに注目を集めてきた。
 おそらくははじめからクラシック畑で育ったのだろう。しかもよい距離を保って取り込まれていると感じる。根っからポップスのリズムやメロディの跡を感じさせず、かといってより伝統的な形式性にしばられることもなく、その複雑なプロデュースに反しておおらかな野生児の雰囲気を持っている。
 今作でも"マキシムズ・I"で幾重にも重ねられたサスペンダー・シンバルのディストーテッドなサウンド・スケープ、"マキシムズ・II"のつぶれたパイプ・オルガンとホーン、教会風のコーラスから、ノン・ビートのパート、ピアノとブラスの楽隊風ポップへと不定形に変化していく自由さ、また、ジョン・ケージに範を取り、メソスティックを用いたともいう即興技法の数々などには、これまでと変わらぬものを感じるし、さまざまな意匠がつくされていることがよくわかるが、同時にそうしたことのどれからも自由というか、野心ではなく童心で作っているように見えるところが彼女の素敵なところだ。ローレル・ヘイローにときどき息がつまることがあっても、ホルターで肩が凝るということはないだろう。もちろんどちらにも、だからこその魅力があるわけだけれども。
 今度はポップスをやってみました、という場当たり的なかたちではなく、彼女が手をのばした方向に音楽がついていってポップス風になった、そのような自然さを湛えた好盤だ。今作までのあいだにはもちろんさまざまな思索が重ねられ、たくさんのインプットもあったのだろうが、それが思いがけなくも色っぽい一面を見せたところが"ラウド・シティ・ソング"の果実である。これは「ソング」のアルバムであり、ジャケット・デザインの変化にもそれは著けく表れている。2種あるうちのどちらにも。
 けっして〈ドミノ〉に移籍したから、という理由ではないだろう。

オン・ザ・ロード - ele-king

 学生時代にアレン・ギンズバーグの詩集を読んでいたら、同級生の友人に笑われたことがある。要するにビート文学をいま読むことに意義はあるのか、ということで、当時そのことに腹が立ったのは図星だったからだろう。いまではいい思い出だ。ポスト・インターネット時代にこの国で生活をしていると、カウンター・カルチャーもビートもはるか遠い世界のことのように思えてくる。

 ジャック・ケルアックの『路上/オン・ザ・ロード』の映画化にいま、喜ぶのは誰なのだろう。......いや、そのような問いは不毛なのかもしれない。「ビート文学の不朽の名作」を、「フランシス・フォード・コッポラが長年の苦難の末に実現した」ものなのだから、それだけでありがたいものなのだろう。が、どうしても気にかかってしまうのは、いまこれが、若者のための映画となり得るかどうかだ。「おっさんたちのノスタルジー」だと若者に言われたら、誰がどんな風に反論するのだろう。

 実際、監督ウォルター・サレス、撮影エリック・ゴーティエの『モーターサイクル・ダイアリーズ』タッグによる風景映像はどこまでも瑞々しく、美しい。そしてその瑞々しさ、美しさがこの映画の最大の魅力であり、最大の問題点であるだろう。主人公サル、すなわちケルアックを『コントロール』でイアン・カーティスを演じたサム・ライリーにやらせるというのも、何だか周到すぎるように思える。絵に描いたような青春映画、ロード・ムーヴィーとして『オン・ザ・ロード』はあり、しかしこれ以外に映画化の着地点が思いつかないという点で、製作総指揮のコッポラは何も間違ってはいないだろう。全編にわたって生命力に満ちたジャズが流れ、インターネットが若者を部屋に閉じ込めてしまうはるか以前の物語が、「路上」に自由を求めた魂たちが活写される。結局このノスタルジックな輝きにどうしても抗えない僕は、同世代の連中に笑われても仕方ないのだろう。(そしてこれは、現在の洋楽受容問題とどこか似ている。)
 映画は断片的なエピソードの積み重ねであった小説を再構築し、サルと破天荒なディーンとの関係を中心に据えることで、一種のブロマンス的側面をかなり前に出しているように見える。ここは今回の映画化では現代的なところで、自由を求めて旅に出るようなことが過去の遺産になったのだとしたら、当時の彼らの青春を観客と近いものにするために、そこにあるきわめて緊密な関係性を見せることは理に適っている。ただそれゆえに、ジャズ文体と言われた即興的な原作の持ち味はここにはあまりなく、ふたりの友情と愛憎の物語に回収されてしまう面もある。

 だから、非常にアンビヴァレントな気持ちで映画を......ふたりの出会いと別れの物語を僕は観ていたのだが、映画の終わりでこの映画化の意義を「耳にする」。3週間でこの小説を書き上げたというケルアックによる、タイプライターの激しい打音。それ自体が、この映画の鼓動になっていくようだった。普遍的、なんて言葉は簡単に使いたくはない。なぜなら、ここにある「自由への渇望」も「路上」も、「魂の開放」も、過去の遺産になってしまった時代にわたしたちは生きているからである。けれども、タイプライターのその音は、おそらくいまもまだどこかで鳴っているものだ。
 いまビート文学を回顧することは、ノスタルジーか、さもなければたんに歴史の確認なのかもしれない。しかしこの映画には、そのことを理解した上で、先達の創作欲求を深くリスペクトする。現代の路上はもはやインターネット上にあるのかもしれない、が、そこから何かを生み出す若い才能はきっと似た目をしている。

予告編


Volcano Choir - ele-king

 この熱。火山を名前に冠したこのバンドの音は、まさに山から噴出する溶岩の赤の鮮烈さを思わせる。脈を打つようなドラム、あまりにも雄弁なギター・ワーク。血液の流れのようなドローン、陶酔的なアンビエンス、繊細なエレクトロニカ、ときに烈しさすら伴うゴスペルとソウル......。ヴォルケーノ・クワイアの音楽はつねに実験性の高さに貫かれながらも、それ以上にほとばしるような熱さこそがたまらない。これはまるで、生き物そのものだ。彼らが好んでモチーフに使う自然の風景それが、たしかに生きていることを音で示すようだ。

 このエモーションの奔流がどこで生まれたか、それを思うたびに僕はジャスティン・ヴァーノンの左胸のタトゥーのことを考える。誇らしげに刻まれたウィスコンシンの地形図......ボン・イヴェールのデビュー作が人びとの心を奪ったのは、その豊かな叙情がアメリカの片田舎のその奥からひっそりと声を上げたからである。だがそれは、けっして彼個人の才能に集約されるものではなかった......そこには彼のファミリーがいた。血縁だけでない、ともに音楽すなわちハーモニーを奏でる仲間たちだ。古くからの友情で成り立っているヴォルケーノ・クワイアは、ヴァーノンがグラミー賞のレッド・カーペットのその嘘くさい華やかさに背を向けて、帰る場所として選ぶのに相応しいバンドであり、共同体であったと、そういうことだ。
 ここからは堅い信頼が聞こえてくる。すでに豊かな叙情性に恵まれていたデビュー作『アンマップ』ですら、本作『リペイヴ』を聴くとまだ未完成のプロジェクトによる習作だったのだと思わされる。『アンマップ』の時点では、前身をペレとするコレクションズ・コロニーズ・オブ・ビーズポスト・ロック、ジョン・ミューラーのドローン、トーマス・ウィンセックのエレクトロニカ、ジャスティン・ヴァーノンのアンビエント・フォークとゴスペル、といったように簡単に見取り図が描けたのだが、日本ツアーを経てファームなバンドとなった後の本作では、それら個々人の音楽的語彙がすべてシームレスになり、そしてその上でスタジアム・バンドを思わせるほどのアンセミックな展開が用意されている。とくに前半4曲の勢いはドラマティックで、"タイドレイズ"でのじっくりと演奏されるアコースティック・ギターのイントロが、シングル"バイゴーン"でのヴァーノンの叫びに向かって開かれていく流れはそれだけでひとつの物語のようだ。全体的に言えばボン・イヴェールのセカンドと『アンマップ』の間のどこかに位置しているかもしれないが、前者より複雑な実験性があり、後者よりもメロディアスでポップな感触がある。
 穏やかなアンビエント・フォーク・ナンバー"アラスカンズ"で始まるアルバム後半は、よりねじれたソウルへと分け入っていく。なかでもロバート・ワイアットがブライアン・イーノのサウンドで聖歌を歌うような"キール"、そしてエレクトロニクスとギターがスリリングなせめぎ合いを見せる"アルマナク"のラスト2曲は、メロディ・ラインの半音のニュアンスに背中を撫でられているような生々しさを覚える。今回ヴァーノンは楽器をほとんど弾かずに歌に専念しているせいもあるだろう、アルバムを通して低音からファルセット、エフェクト・ヴォイスまでを駆使しながらほぼひとりで「聖歌隊」の多彩なエモーションを次々と産み落としていく。

 "アラスカンズ"で引用されているサンプリングは、死について書かれたチャールズ・ブコウスキーの詩の朗読だという。思えばブコウスキーもまた、強烈なパーソナリティを持っていながらも、アメリカの埋もれた生を象徴するような存在だ。忘れ去られた場所から生まれるエモーションや死生観......ヴォルケーノ・クワイアが鳴らしているのもまた、そのようなものではないか。
 しかしながら結局のところ、バンドは素朴な前向きさに突き動かされているように僕には思える。この凛とした音には、太い背骨があるからだ。浮ついた世界とは無縁の連中が、地面に足をつけてまっすぐに立っている音楽だ。"バイゴーン"でヴァーノンが「Set Sail!」、すなわち「出帆だ!」と叫ぶとき、それを聴くわたしたちの視界はどこまでも開かれている。

- ele-king

45 ザ・KLF伝 - ele-king

"エルヴィス・プレスリーからカート・コバーン、ジョニー・ロットンを押しのけて、雑誌『セレクト』が選んだポップ界のもっともクールな100人の第1位に選ばれた、ビル・ドラモンド。
稼いだ金を燃やした元ポップ・スターの回想録。ポストパンク~アシッド・ハウス世代の最高の知性、初の翻訳!

ポストパンク時代のリヴァプールに何が起きていたのか? エコー&ザ・バニーメンを売り出し、UKヒップホップのプロジェクト『ザ・JAMS』として街に落書きしてまわり、そしてチルアウトという造語を流行らせ、ザ・KLFとしてトランスのシングルを連続ヒットさせ、最後にK・ファウンデーションとして稼いだ金100万ポンドを燃やした……
マルコム・マクラレンが嫉妬したアーティスト、ビル・ドラモンドが振り返る半生。
本国イギリスでもっとも評価の高い『45』の完訳。ビル・ドラモンド年表付き。

ザ・KLF──1980年代から1990年代にかけてのUKの音楽を聴いていた人間にはお馴染みの名前だ。
何度もチャートの1位になり、何度も雑誌の表紙を飾った、歴としたポップ・スターである。と同時に、逮捕されても繰り返された街中での落書き、ブリッツアワード授賞式中での乱闘騒ぎ、そして100万ポンドを燃やしたり、破天荒な行動でもよく知られている。音楽業界、アート業界を小馬鹿にするようなスキャンダルな行動によって、ダンス・ミュージックの歴史を塗り替え、ポップのあり方、ロックの意味をつねに問うてきた。 その張本人であるビル・ドラモンドは、本国では著述家としても人気がある。『45』は、彼の自叙伝であり、ドラモンドの数ある著作のなかでももっとも評価が高い。もともと、ビッグ・イン・ジャパンというリヴァプールのパンク・バンドから音楽を活動をはじめたビル・ドラモンドは、その後、エコー・アンド・ザ・バニーメンとジュリアン・コープを見いだし、これらバンドのマネージャーでもあった。『45』の前半には、ポストパンク時代のリヴァプール、そしてエコー・アンド・ザ・バニーメンについての話が綴られているので、ニューウェイヴ・ファンも必読な内容となっている。また、90年代後半の、ザ・KLF解散後のビル・ドラモンドの活動についても多く触れられている。日本でもいまだ根強いファンを持つザ・KLFだが、ファンにとっては待望の1冊であることは間違いない。とくに現在のように、90年代リヴァイヴァルが最新モードとなっている時代では、パンク~ニューウェイヴ~ヒップホップ~ハウスを聴いてきた世代ばかりではなく、若い世代にとっても興味深い本になるだろう。日本版だけに加筆された序文あり!"

PRIMAL - ele-king

 前作『眠る男』の"1week feat. Watashi"が大好きでいまでも年がら年中聴いているせいか、あまり時が経ったように感じない。自分が中年になったせいか。いや、しかし。6年といえば小1が小6に、中1が高3になるわけで。やはり長い。PRIMALはいったい6年も何をやっていたのだろうか?

「バンドでアルバムやろうとしてたけど、ベースができないって言いはじめてポシャって、クルーでアルバムって話もあったけどそれもダメで。2009年の夏から1年ぐらいはラップはもうフィーチャリングとライヴ言ってくれたのをやるだけでした。ラップやめる気はありませんでしたけど、病んだり、働いたりの繰り返しでしたね。その生活の打破を目指したのがこのアルバム製作です」(『Proletariat』資料より)

 なるほど。この話を聞くとリード曲"Proletariat feat. PONY"の「働き蜂 磨く己の暮らし 勝ち取る価値 親から巣立ち 猫からタチ」というパンチラインが素直に頭に入ってくる。――まったくうまくいかない。生活の歯車が噛み合ない。空回る。だけど気合い入れなきゃいけない。

 そんなおのれを鼓舞する表現に「猫からタチ」って言葉を選ぶあたりはさすがの一言。「てめえがマグロじゃオンナはイカせらんねえぞ」と。PRIMALも悶々としてたんだなあ。でもそんななかからひねり出したきた言葉だから強い。ラッパーのリリックにおいて最も重要なのはリアルだ。

 たとえばKOHEI JAPANのアルバム『Family』。このアルバムでKOHEI JAPANは、リアルの定義を文字通りの意味に置き換えた。つまり、当時の彼のとってのリアルは、ドラッグディールでも、デカい車でも、セクシーな女でもなく、小さな子どもとの生活、そして家族との日常だった。たとえ刺激的ではないトピックであっても、それを自分にとってウソのない言葉でおもしろく表現することこそがリアルなのだと宣言した。

 この『Family』がリリースされたのは奇しくもPRIMALのファースト・アルバム『眠る男』が発売される3カ月前、2007年6月。『Proletariat』には表現の方向性こそ違うが、『Family』と同じベクトルのリアルが込められている。子どもができて以前よりも自由になる金も少なくなり、おまけに景気はどんどん悪くなっていく。「IQ高くてもThank You 言えぬ奴」(「Proletariat feat. PONY」)が跋扈し、生きるだけでストレスが溜まる。だが「ぶっちゃけ病んでるRapperのパパ」は「必死にやってる一児のママ」と息子のために、「働き蜂 磨く己の暮らし 勝ち取る価値 親から巣立ち 猫からタチ」と『眠る男』とは違う意味での武闘宣言、"武闘宣言 2.0"を叫ぶのだ。

 最後に。最終曲"岐路 feat. TABOO1, 漢, RUMI"について。この曲はThe Anticipation Illicit Tsuboiがプロデュースしたもので、Theo Parrishの"Friendly Children"を思わせる子どもの歌声がサンプリングされた、メランコリックなナンバーだ。この曲の冒頭でPRIMALは先日急逝したMAKI THE MAGICへの弔辞ともいえるフリースタイルを披露する。本編のリリックでは、TABOO1、漢、RUMIとともに友情をテーマにしたラップを聴かせてくれる。そして最後の最後に収められているIllicit Tsuboiの約1分以上におよぶスクラッチはクレイジーで美しく、悲しい。

 今後どんな作品がリリースされるかわからないが、俺はこのアルバムが2013年最高のアルバムだと断言する。

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