「Nothing」と一致するもの

Gr◯un土 (Chill Mountain) - ele-king

2014/10/15(wed)

Gr◯un土(ChillMountain)
◯S△K△生まれの古墳郡育ち。
今年10祭の誕生日を迎える大阪奥河内発のSoundCampParty (CHILL MOUNTAIN)主謀者。
全国各地大小様々なCLUB、LIVEHOUSE、BAR、CAFE、OPENAIRPARTY、寺社、はたまたTV塔展望台など。
DJをTOOLにRECORDSと供に年100回以上巡業するOSAKA UTORI世代 DJ。
大阪十三に四年間存在した幻しのDJ喫茶ChillMountainHutteを運営&プロデュース。
楽曲制作も行い
BLACK SHEEP ANTHOLOGY vol.1 LPにMOUNTAIN HOUSEが収録.
absolute timeとのスプリット12INCH(ChillMountainEp).
“御山△EDIT a.k.aTHE△EDIT”名義でMAGICWAND(UK)からの2枚の12inch.
ROTATING SOULS(US)からの1枚の12inch.
8枚のMIXCD.
FEELBACKRECからの計3枚のコンピCDにオリジナル楽曲を提供(ドイツのケーブルTVで使用放送される).
昨年ChillMountainRecより関西奇才19組大集合となる2枚組コンピCD
(ChillMountainClassics)をプロデュース。
自身初となるオリジナルALBUMが2015年の1月にリリース決定△

https://soundcloud.com/dj-ground

interview with Manners - ele-king


マナーズ
Facies

Pヴァイン

Jazz RockPopPsychedelic Rock

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 「はかなさ」という日本語では誤解を生むのだろう。こういうときは、ネットの類語辞典だ。ふむふむ、「何の甲斐もなく終わる」、これはいい、no good trying、シド・バレット……ああ、僕は、石原洋と会うと、シド・バレットやニック・ドレイクばかりを聴き漁っていた若かりし頃の自分に会ってしまうのだ。あまり言いたくは……いや、こういう時代だからこそ言うべきなのだろうか、サイケデリック・ロックと括れるロック以外には目むくれなかった頃の思いを。

 マナーズは、埋火(うずみび)を解散させた見汐麻衣が石原洋(+中村宗一郎)をプロデューサーに迎えての新プロジェクトである。以下は、そのふたりを迎えてのインタヴュー。取材において僕はかなり不注意にも、不躾に、しかし敢えて(多少ふっかけるつもりで)「シティ・ポップ」という言葉を使っている。若い人は、そんな当時の業界用語に囚われないでいただきたい。業界の関心の及ばない場所からこの音楽はやって来たのだから。

80年代頭の無意味さ、空っぽさみたいなものにも惹かれたんですよ。ポリティカルなものや思想的なロックとは実は無縁だったんです。ジャーマン・ロックにしてもフリー・ジャズにしてもサウンドの面白さという観点から入っていきました。──石原洋

マナーズはどうやってはじまったんですか?

見汐:最初は、石原さんのバンドに誘っていただいたんです。

前から接点があったんですか?

石原:そんなに接点はなかったです(笑)。

見汐:私が一方的に存じていました。

石原:ホワイト・ヘヴンのあとのスターズのことを知っていた、ということみたいです。

見汐:あと、石原さんと中村(宗一郎)さんが携わっている作品を高校生のときから聴いていたんです。ゆらゆら帝国はもちろん、朝生愛さんや栗原ミチオさんもです。とにかく好きだったんです。

石原ファンだったんですね?

見汐:いや、そういうわけじゃなかったんですけど(笑)。

ホワイト・ヘヴンやスターズが好きだったんなら相当なものですね。

見汐:ホワイト・ヘヴンのライヴは観たことがないんですけど、スターズはあります。大阪、東京でも拝見しました。

大阪にもいたんですね。

見汐:最初は佐賀、それから福岡にいて、姫路、大阪を経て東京に来ました。

埋火の解散後に見汐さんから石原さんに声をかけたんですか?

見汐:石原さんが不定期でやっている石原洋・ウィズ・フレンズに2年ほど前から最近までギターで参加させて頂いていたんですけど、そのときに初めてお話をしました。

そのときに見汐さんのなかでマナーズというコンセプトはあったんですか?

見汐:コンセプトはなくて、いままでやってきたものとは違うものを作りたいという話はしていたと思います。

石原さんが見汐さんをバンドにお誘いしたのにはどんな理由があったんですか?

石原:取り立てて理由はないんですけど(笑)。当時は3人でやっていて、ギターを弾きながら歌うのが面倒で、身近でギターを弾いてくれる人を探していたんですよ。それで、あまり弾きまくらず、かといって素人でもない人を探していて、軽く誘ったという感じですね。どういうギターを弾くかも知らずに(笑)。

見汐:そうなんですよ(笑)。だからとても大変でした。

マナーズのコンセプトはどのように生まれたんでしょうか?

見汐:埋火を12年やっていてメンバーに対してということではなくて、自分自身がやっていて、なんだろうな、おもしろくないなと思うようになっていて。そんなときに石原さんに誘っていただいたので、いろんな話をするようになりました。そのなかで、あらためて新しいことをはじめたいと思うようになり制作に気持ちが向かうようになりました。

埋火に限界を感じたのは音楽的にですか?

見汐:それもそうですし、物理的に距離の問題もありました。埋火の後半はとくに思ったように動けなくて。曲を作ってもなんか違うななんだろうなとかいうものが増えて。

埋火からマナーズに移行する期間に音楽的なものに関してこうしたいとか、マナーズに繋がるようなアイディアはあったんですか?

見汐:明確にあったわけではないですね。ないんですけど、いままでの作り方じゃない、別のやり方を考えるようになっていて。

石原さんだったら絶対におもしろいだろうという考えはありましたか?

見汐:石原さんとお話をさせていただく前は、作品を介してしか石原さんという人を音楽的にしか知れなかった。とにかく作品が好きだったんです。だからこの人にお願いして何か一緒にやっていただけるんだったら、もうゆだねようと。

石原作品のどんなところが好きなんですか? 

見汐:それはもう、いっぱいありますけど……。まず、音が好きというのが一番大きいです。そこは中村(宗一郎)さんの作りだす音が好きなんだと思います。埋火の最後のアルバム『ジオラマ』はピーススタジオで録音して、すべて中村さんにお願いしましたし。後は作品に潜む「暗さ」みたいなものですかね。光を当てる場所と加減が絶妙というか。ポップな曲でもはしゃいでない。つねに低温というか。上等な絹のような手触りがあって、安易に触らせてくれないような。一定のラインがあって、そこを突き抜けたら解放されて広がる手前をジリジリと攻めてくるアレンジの感じとか。または突き抜ける場所を選択するセンスとか、聴いてる人を拒む、突き放すような雰囲気というか。「人に向けてではなく、誰もいなくなったパーティ会場で演奏しているバンド」みたいな虚像が浮かんでくるんですけど。自分が知っている日本人の音楽でそういう感触を持てるバンドをあまり知らなかったので。

石原さんとしては、ポップスというものに真正面から向かい合った作品と言っていいんですかね?

石原:それをやってみようと思ったわけではないけれど、ゆらゆら帝国やオウガもそうだけど、極端にポップなものも入ってるし、ある種、実験的なこともやっている。結局、もらったもとの曲に対して自分なりの解釈をしてそっちのほうにグッと持っていくんです。それは僕が思う心地よいポップス、またはロックに近づいていく作業なんですけど。

誤解を恐れず敢えて極論すれば、マナーズの作品はゆらゆら帝国よりもシュガー・ベイブに近いと思うんですよ。

石原:相対的に見ればそうかもね。

ホント、極論ですけどね。シュガー・ベイブに毒はないので、オルタナティヴ・アーバン・ポップと言いますか……。

石原:ただ、そういう感覚は、僕のなかに、昔からあったテイストなので、否定はしないですね。シティ・ポップっぽいとか言われるんじゃないかということは、作っているときは全く思わなかったんです。作り終わってから、現在そういうシーンがあることを知ったんです。リヴァイヴァルであるとか若い子たちがやっていることとかね。

それと一緒にしないでくれっていう気持ちが石原さんにはあるでしょうから。

石原:それはありますよ。でも、何よりもまず洗練されたものを作りたかったんですよ。洗練されたポップス、でもチャラくない。洗練されててチャラいものっていうのはいっぱいあるんです。洗練されているけどチャラくなくて、ある程度メンタリティとしての重さも持ち合わせているんだけど、ヘヴィーすぎない、ドロドロしないものをこのプロジェクトでは作りたかったんですよ。

まったくそういう音だと思います(笑)。洗練されているけど、チャラくない。わかります。

石原:どうしてもそっちのほうへいけないんですよ。

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ずっとやりたかったですし、埋火をやっているときからも一貫したテーマでした。「場所」というか、「街」というか。今回はそこに「都市」というものも含まれてます。──見汐麻衣


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チャラさとはどういう意味なんですか? 媚びているっていうことですか?

石原:うーん、そうじゃないですね。例えば、確実に背景として何か異質なもののあるポップさと、どこかで聴いたいい曲を何曲か組み合わせて出来上がり、というのとは違うじゃないですか?

プロセスが結果には表れるものであると。

石原:曲が流れているぶんにはわからないかもしれないけど、聴く人によってはわかるんです。誰に聴かせたいかという問題は難しいですよ。表面的に似たようなサウンドでもある特殊な視点から見るとたちどころに峻別されていくものがあるじゃないですか? そこで簡単に峻別されて捨てられていくものは作りたくなかった。その神経質さは自分の属性だと思っているからしょうがない。

しかし、ゆら帝やオウガにないものがマナーズにはあるわけですよね?

石原:ゆら帝などに比べれば、良くも悪くも思想的な重さがない。重さというか、観念的な部分って言ってもいい。今回は女性っていうのもあるし。かつて朝生(愛)さんもやっていますけどそれと比べても、昔の言葉でいうヘヴィーさみたいなものはないので。そういう意味でアレンジはしやすいという気はしました。

いつかやってみたかったことでもあるんですよね?

石原:まぁ、実際はいろんなことをやってみたい気持ちはあります(笑)。

見汐さんと石原さんは世代が違います。いま石原さんがおっしゃったことで見汐さんが補足したいことはありますか?

見汐:私の世代は名盤といわれるものが並列に聴ける時代になっていたので、音楽の話をする時に石原さんによく言われたのは「リリースされた順番にあらためて聴いてみたら?」という話をされました。ランダムに聴くから発見できることもあるんですが、順立てて聴いていくと時代背景やその時代のムードもそうですし、この人がこのアルバムに参加した過程とか何枚目でこのプロデューサーに依頼してる、その意味とか、そのサウンドが生まれてきた必然性みたいなものが解ってくるというか。

石原さんの言う「チャラくない」ものの解釈として、70年代的なメンタリティがありますよね。ロックが、ものすごく雑食的に、いろんなものに化けていくような感じとう言いますか。プログレもクラウトロックもパンク・ロックもそうだし。

石原:80年代初頭のニューウェイヴにはそういうものを捨てた時期があるじゃないですか? いわゆるパンクからオルタナへの急激な流れのなかでロックのメンタリティがピークに達して、その反動でニューウェイヴが軽く意味のないものを目指した時期が短いながらもあった。

ディーヴォとか?

石原:ディーヴォはコンセプチュアルなことをやっていたんだけれど、もっと意味のないものもあったでしょ? それがよしとされている時期もあったんですよ。それは70年代の重みに対する反動ですよね。思想とか。

ある意味70年代のなかで否定されなければいけないものもあったんだろうなと思います。

石原:僕は当時その80年代頭の無意味さ、空っぽさみたいなものにも惹かれたんですよ。ポリティカルなものや思想的なロックとは実は無縁だったんです。ジャーマン・ロックにしてもフリー・ジャズにしてもサウンドの面白さという観点から入っていきました。歌詞に反応するようなことはそんなになかった。文学と音楽は別物と捉えてたので。だから、80年代の空虚さがすごく肌に合ったんです。84、5年を境にロックは無くなったのでやることが無くなったんですけど(笑)。
 そういう音があっても不自然ではなかったと思っているんですよ。去年やったにせんねんもんだいのリミックスも面白いのができたなと自分でも思ったんですけど、あれも作り終わってから、なんでこの音が80年代の初めになかったんだろうと思いましたね。

それはどういうことですか?

石原:80年代の初頭はサウンドも混沌としていてまだ細分化されてなかった。テクノ・ポップとかポストパンクやノイズ、ジャズっぽいのとか。そういう未分化な空気がニューウェイヴの時代にはあったわけですよね。そのなかににせんねんやマナーズみたいな作品があっても違和感はない。手法としてもすでにあったわけだし。当時の雑食性を現在において考えてみれば、プログレッシヴ・ロックというよりもむしろそっちのほうに近い。

ジェイムス・チャンスみたいなものではないですよね?

石原:違いますね。もっと表層的なモードみたいなものです。ポップ・グループみたいにラディカルなものでもないです。例えばウィークエンドみたいなものもあったわけじゃないですか? そういう形としてなら80年代にあっても不思議じゃなかったかもしれない。でも基本、古くさいロックを作りたくはないんですよね。つねに新譜を聴いているわけではないけど、肌で感じる時代性ってわかるじゃないですか。

そこでルーツに戻ってしまう人もいます。

石原:ルーツには戻りたくない(笑)。

ルーツに戻りたくない理由とはなんですか?

石原:自分になかに確固とした、思想面をも含むルーツがないんだと思います。やっぱりスートンズだとかジョン・レノンだとかがいる人は幸せだと思います。僕らの世代、グラム・ロックとかプログレって、そういうものが終ったあとですからね。

レピンク・フロイドやキング・クリムゾンもですか?

石原:フロイドやクリムゾンも70年代の人にとってはルーツなんだと思います。僕の場合は聴いてきたものが多岐に渡りすぎていたので。70年代にプログレを聴いていた人はいまだにみんなプログレですよ。ハード・ロックを聴いていた人はいまだにハード・ロックです。アメリカン・ロックもそう。でも僕はブリティッシュ・ロックもアメリカン・ロックも、シュガー・ベイブも、ちょっとおかしいチョイスの仕方で聴いていました。アモン・デュールとシュガー・ベイブは普通は一緒には聴かれないですよね(笑)。

ははは(笑)。レコメン系とかはどうですか?

石原:それはちょっと後なんですよ。高校、大学のときですかね。思想的な匂いが強かったので、レコメン系のクリス・カトラー、ヘンリー・カウやアートベアーズはそんなに好きじゃなかったんですよ。もっとダメなものが好きでしたね。

それはどうしてですか?

石原:そういう属性だから、としか言いようがないですね。何回も考えたことはあるんですけど、やはり明確な答えはでない。

作品には、元ゆらゆら帝国の亀川千代さんをはじめ、石橋英子さんのバンドでも一緒に演奏されている坂口光央さん、あだち麗三郎さんなど、腕利きの人たちが参加されていますね。 

見汐:メンツは自分が一緒にやりたいひとでなおかつ、プレイヤーとして本当に好きな人に声をかけてお願いしました。あだち君や坂口君はマナーズを始める以前に別のバンドなどで一緒にやっていたりもするんですが、録音に参加して頂くメンバーについてはすごく考えました。やってくれるかもわからなかったので、お願いするときはとても緊張していたんですけど、みなさん快く引き受けてくれました。

作曲は見汐さんが全部担当されているんですか?

見汐:4曲目以外はそうですね。最初にデモを作って、石原さんに投げて、話し合いながら作っていく作業でした。

今回はミニ・アルバムというか。4曲入りですもんね。

石原:本当はアルバムを作ろうと思ったんですけど、単純に曲が足りなかったんですよ(笑)。

この間ライヴをやられていたじゃないですか(笑)。

見汐:あれは録音後に作りました(笑)。

さっきから、シティ・ポップスという言葉を使っているのは、読者に誤解を生むかなと恐いと言えば恐いのですが、実際、「街」は、見汐さんの歌のなかで主題になっていますよね?

見汐:なっていますね。曲が先にあって作詞をするときに、いままで作っていた方法では書けないなと思いまして。どうしようかといろいろ考えて、テーマをひとつ決めるというのはいつもだいたいそうなんですが、そのテーマをどう広げていくか、言葉を書き出す前に頭のなかでごにゃごにゃと想像して、具体的に頭に浮かんでくる画像を待つという時間に比重を置いて、それがはっきり映像になった時点でそれを言葉にしていくというふうにして書きました。自分はいろいろな場所を点々としていて、8年前から東京に住んでいるんですけど、同じ場所に留まって暮らしている自分が考えていることが、年々自分から離脱していく感覚があるんですけど、そうう感覚を抽象的になりすぎないように具体的になりすぎないように含んで書けたらいいなと思っていました。まだまだできてないですけど……。

「街」という主題はずっとやりたかったんですか?

見汐:ずっとやりたかったですし、埋火をやっているときからも一貫したテーマでした。「場所」というか、「街」というか。今回はそこに「都市」というものも含まれてます。

石原さんもサウンドと歌詞の関連性を考えられてアレンジしたんですか?

石原:歌詞が先にあったわけではないので、とりあえず都会的な感覚のものを作りたかった。それで「シティ」なわけだけど「ポップ」かどうかはわからない。

いい意味でポップだと思いますよ。

石原:さっき言った洗練されたものというか、アーバンな感じっていうのは、自分のなかでは一貫してコンセプチュアルなものとして今回はありました。だから、歌詞と呼応してそうなったわけではなく、サウンドがそういうふうになったのは必然というか。

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いつでも音楽から逃げられるようにはしてあります。どこにも属したくないってつねに言っているけど、居場所はここではないよな、って思いながら何十年も経っていますから。つまり、ここからいつでも逃げられる状態でなければ音楽をやっていられないんです。──石原洋


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ジャズの要素はゆらゆら帝国やオウガにはないものだと思うんですが、そこは意識されましたか?

石原:ドラムのあだちくんはサックスができるから、ソロではなくて、ブラスっぽくして欲しいなと。それはたとえばニュークリアス(※UKのジャズ・ロック・バンド)とかは頭の中にあったかもね。

アーバンと言っても、いまのアーバンに浮かれた感じはないですからね。街の空気感も昔とは別モノですからね。

石原:早い話が落ちていってる感じがします。それは日々感じることで、おそらく多くの人も感じているでしょう。だから、ポップだけれどチャラくないのはそれが滲み出ているからかもしれない。そういう意味では時代性はあると思います。

見汐:石原さんと話すなかで、いま話していたチャラくないということが、最初どういうニュアンスなのか漠然としかわからなかったんです。石原さんがオススメしてくれるレコードなんかを聴いているうちに、感覚的に石原さんの言わんとしていることが理解できるようになってくるというか。石原さんの知識や経験のなかからアウトプットされる考えやアイデアに疑問を持たずすんなりうなずける事が増えるというか。私が言わんとしていることも一瞬で汲み取ってもらえますし。

見汐さんにとって表現のモチヴェーションになっているものはなんですか?

見汐:出来上がったものを聴いたときに、それが自分で作ったものだとは思えない、他人の作品と思えるものになるといいな、ということですかね。

言葉を綴る上でのモチヴェーションは?

見汐:「言わないなかでどれだけ言えるか」を考えていたことですかね。レコーディング中に石原さんに「もうちょっとサウンドを信じなさい」って言われたのが印象的でした。たぶん、自分は言葉に頼りすぎてマスを埋めてしまうというか……。そこは音で歌っているのに、そこに言葉を乗せる必要はあるのかとか。言葉を削るっていう作業が今回は難しかったです。
 もともと自分は小中学生のときから叔父の影響でURC、ベルウッド関連が好きで。ヨーロッパ、アメリカのSSWものとか好んでよく聴いていましたし。埋火のときはまず歌(言葉)があってという考えで作っていて。それがいままでとは違うやり方だったので、言葉の削り方、言い過ぎないよにするなど、考えて作りました。

アホな質問ですが、見汐さんは何で音楽をやっているんですか?

見汐:他にやることがないからです(笑)。

他にやることがあったら、音楽じゃなくてもよかったんですか?

見汐:どうだろう……よかったと思いますね。歌うことや(歌詞を)書くことに関してその行為事体が「音楽」だという意識が希薄なところがあって。楽器を弾く、曲を作るというのは自分にとって「音楽」なんですけど。他に切実に取り組めるものがあればそれをやっていたと思います。ただ「唄う」だけなら、歌はどこでもいつでも歌えますし。書くこともしかりで。

石原さんを見ていると音楽以外はありえないって感じがするんです。

石原:いつでも音楽から逃げられるようにはしてあります。どこにも属したくないってつねに言っているけど、居場所はここではないよな、って思いながら何十年も経っていますから。つまり、ここからいつでも逃げられる状態でなければ音楽をやっていられないんです。みんな自分探しとか、ここは自分がいるべき場所だとか言うじゃないですか? でも、そんなもの最初からどこにも無いのはわかっているんです。だからひとつの場所にたどり着いたとしても、「俺はここに属していないぞ」という意識がつねにある。そうじゃないと成り立たない。

そうした漂泊感はマナーズからは感じられます。

石原:言葉を信用しないわけではないですが、言葉に感化される自分が許せない部分はあります。

ははは(笑)。それは一般的にそうですよね。ですが、サウンドも人を感化させる力があります。

石原:でもサウンドはもっと感覚的で抽象度が高いですよ。

抽象度が高いからタチが悪いんです。言葉みたいにロジックは要らないから信じやすいし、コマーシャルな音楽はそこに突っ込むわけで。

石原:でも、「これいいでしょ?」っていうのと、「◯◯さんがXXって言っている」って言葉で引用するのでは意味が違いますよ。

僕は、音だから優位であるとは思いたくないんです。

石原:優位だとは思っていないですよ。ただ、どうしても言葉がインチキに思えることがあるんです。

音だってインチキなやつが多いじゃないですか(笑)。

石原:そりゃそうだ(笑)。騙すんならもっとうまくやれよって感じだよね。

ちなみにマナーズはどうしてマナーズという名前なんですか?

見汐:マナーズという言葉自体が持ってる意味はありますが、この名前にした意味はないです。意味があるものがあまり好きじゃないということもあるんです。ただ単に「マナーズっていいな。これにしよ!」って感じで決めました。名前を決めなきゃいけなくて迷っていたときに呼んでいた本にかいてあったような気がします。

石原:野田さんがやっているele-kingが扱っている音楽のなかで、マナ—ズはどういう位置にありますか?

ele-king的に言えば、ゆらゆら帝国、オウガの次に石原洋が何をやっているかということがデカいですよ。で、さっきから言ってるように、石原さんがポップスを試みているって感じです。

石原:それもわかるんですけど、でもポップスだったら僕がやらなくてもいいわけで。知識や技術があればやれることではなくて、自分のなかにはもう少し切実なものがあるんですよね。それはポップスの職人的なひとや、敏腕のアレンジャーや、深い知識を作品に流用できるひともいるわけですが、僕はそういうタイプじゃない。

最近の日本のポップスは消費者を飽きさせないためにコード展開がコロコロ変わるんですね。そういう意味でのポップスとは真逆ですよね。かといって、成熟した大人の音っていうことでもないんでしょうね。

石原:今回の作品を聴いて、「昔はこういう音あったよね」という受け取り方だけではなく若い世代にも響くんではなかろうかという自負があったんですよ。いわゆる、オヤジのロックに接近したくないんです。渋みとか言い出したら終わりだと思っていますから(笑)。パンクからもはや何十年も経っているじゃないですか。当時、パンクやノイズ、ノイズっていう言い方は好きじゃないですけど、そういうサウンドに興奮していたヤツらが、いま言った渋さのほうへいってしまうのを僕は見てきたから。「なんだよ、パンクが好きだったのは気の迷いだったのかよ」ってなるわけですよ(笑)。ただ、いまパンクをやるというのとはまったく意味が違いますけど。

石原さんは、洒落まくっている感じがあるからなー(笑)。

石原:僕は貧乏臭い、というかショボくれて同情を引こうとするような音楽が嫌いなんですよ。

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マナーズという言葉自体が持ってる意味はありますが、この名前にした意味はないです。意味があるものがあまり好きじゃないということもあるんです。ただ単に「マナーズっていいな。これにしよ!」って感じで決めました。──見汐麻衣


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ちなみにマナーズには今後どのような予定が組まれているんですか?

見汐:曲を作ります。ライヴをやる必要性は感じるんですけど、それと自分がライヴをやりたいと思うことは違うので。リリース・ツアーなど以外ならライヴは最低でも年に6回くらいできればいいかなと……。いや、でもわかりません。たくさんやるかもです。

石原さんは、プロデューサーとしてつねに自分自信に高いハードルを課しているんですね。

石原:自分がやっちゃいけないこと、やってみてこれはやるべきじゃないこととか、そういうことはありますよね。それは音のチョイスもそうだけど、自分のなかにサウンドの扱いに対する基本理念みたいなものがあるんです。それに従ってやらないことはありますね。アレンジがある程度進んでいても途中でやめたりもします。いろんなことをやっているけど、それがあるから自分の色が出ているんだと思います。

(※以下、余談です)自分をストイックだと思いますか? 

石原:そんなことないですよ。

見汐:ストイックだと思います。

石原:ストイックという言葉はちょっと違うと思うな。

完璧主義者?

石原:終ったあとに、こうすりゃよかったって思いますね。

見汐:私はこの1、2年で話をするようになったので、先生みたいなところはありますけどね。

そう言われるのは嬉しくはないでしょう(笑)。

石原:でも、そう言われることも多いんですよ。年齢も上なほうなので。でも出来れば対等でいたいですよね。

見汐:ここ2年の間に、いままで聴いてきた石原さんが関係した作品もですし、いままで聴いていたレコードもそうなんですけど聴いていると聴き方が変わってくるんですよ。アレンジだったり、緩急の付け方だったり。いままで自分が意識して聴かなかったところに注目するようになってきてて、知らず知らずに影響を受けているんだなと思います。やっぱり先生みたいな感じですね。

石原さんは、レコードを全部で何枚くらい持っているんですか?

石原:すごく少ないですよ。多分2,000枚くらい。でもこの先、一生聴かないなってやつは処分してしまいますね。

尊敬できるプロデューサーは誰ですか?

石原:何かの作品をやっているときに、あの人だったこうするだろうな、とは考えます。だけど、プロデューサーにこだわって聴いたことはないんです。例えば、70年代にボブ・エズリンとか、ロイ・トーマス・ベイカーとか、現在プロデューサー としてあまり研究されたりかえりみられない人もいるわけですよ。ルー・リードの『ベルリン』みたいなドラマチックなものを作っちゃうボブ・エズリン、クイーンのセカンドやサードみたいに中域がみっちり入っていて、こみ入ってるけど理路整然と考え抜かれたアレンジをするロイ・トーマス・ベイカーとか。音のつまり方がすごいわけです。

オーディオ・マニアでしたか?

石原:レコードを買うのに忙しくて、普通のステレオを使っていた気がします。僕の場合は、中学のときにドイツ・ロックを聴いたのがデカかったと思います。ほとんどのライナーノーツを間章を書いていました。日本コロンビアのヴァージンも間章が書いていましたから。クラウス・シュルツとかファウストとか。当時は何を言っているのかよくわからなかったですけど、やばいものに手を出したと思いましたね(笑)。シュルツの『タイムウィンド』を評するのに、どうして西脇順三郎の詩が引用されるんだろうって思いました(笑)。いまみたいに情報もないしね。例えば、ライナー・ノーツに出てくるウィンドウペインとかカリフォルニア・サンシャインの意味を解するのに何年要したことか……(笑)。

あははは、そこは僕も同じです(笑)。カンの『タゴ・マゴ』の日本盤はどこでしたっけ?

石原:東芝ですね。『タゴ・マゴ』と『エーゲ・バミヤージ』が東芝。東芝はタンジェリン・ドリームやアモン・デュールも出してましたね。

リアル・タイムで買ってましたか?

石原:結構買いましたね。イギリスのプログレに飽きた友だちも買っていました。ファウストの『IV』の邦題が『廃墟と青空』ですからね。

すごいっすね(笑)。

石原:バタイユですからね(笑)。間章の入れ知恵でしょう。

実際のファウストには、もっと諧謔というか、ギャグも入っていましたよね。

石原:でも、間章的にはバタイユだったんでしょう(笑)。

アモン・デュールを中学のときに聴いてどうでしたか?

石原:よくわからなかったです。でも、わかんないから何回も聴くじゃないですか。最初に聴いたのは『野ネズミの踊り』の2枚組で、『ロック共同体』って邦題でした。

『Yeti』の邦題が『地獄』でしたっけ?

石原:『地獄』です。14、5歳とかだったから怖かったですね。

UKのプログレは聴かなかったんですか?

石原:ピンク・フロイドとかクリムゾンとか聴いていましたよ。ただ、友だちにひとり、クリムゾンでは満足できないという早熟なヤツがいて、もっとすごいものはないかと探したときに「俺はこれからドイツの音楽を聴く」と言ってね。僕はそいつに感化されて、レコード屋でアモン・デュールを見つけました。当時は、ドイツ・ロックと言えばノイとかよりもアモン・デュールのイメージが強かったんです。アモン・デュールは何故か今野雄二がライナーを書いていたし。間章はその頃はまだジャズにいたんじゃないかな。

マグマとかそっちのほうはいかなかったんですか?

石原:マグマは日本盤が1枚しか出てなかった。『呪われし地球人たちへ』っていうタイトルだったんだけど(笑)。それは立川直樹がライナーでしたね。

ジャズを聴くのは、そのあとですか?

石原:フリー・ジャズは70年代末から80年代半ばまでよく聴いていました。デレク・ベイリーとかエリック・ドルフィー、ミルフォード・グレイブスとか。ありがちですけど。

この話をはじめると終わりそうにないので、ぜひ、近々続きをお願いします。今日はどうもありがとうございました。

Pharmakon - ele-king

 前作『アバンドン』の喉がちぎれるような血染めの絶叫からはじまる幕開けも強烈だったが、今作では「はーはー」耳に息を吹きかけられるようにリアルでエロチックな吐息のループ“ヴァキューム”からはじまり、またしても耳はビンビンに硬直。とにかくアートワークがエグい。エゲつない。エライことに。ノイズ3Eである。『アバンドン』のジャケットもグロ素晴らしかったけれど、そこにはファルマコンことマーガレット・チャーディエットのスラリと伸びた白い太ももがクローズアップされていたりして(しかし、その肢体には大量のウジ虫がうじゃうじゃまとわりついている……)、曲がりなりにもガーリー気分がなくもなかったのだが(いや、ないない)、今作のアートワークはまったく救いようがない。骨つきカルビのような脊髄に、ぬめっとしたレバーもあらわに悪趣味の極みをつくした人体の不思議展……鶏の爪と化した指……臓器の女体盛り……もう誰も止められない。

 17歳の頃から音楽活動を開始したというNY出身のマーガレット・チャーディエット。昨年、ブルックリンの〈セイクレッド・ボーンズ〉からリリースされたデビュー作『アバンドン』が与えたインパクトはほんとに凄まじかった。スノビズムをくすぐるだけの浮かれたインダストリアル・ムードにトドメをさす剥き出しのパワー・エレクトロニクスと野蛮な絶叫。ブラックメタル的オカルティズム。往年の工業ノイズ好きの耳と下半身をくすぐる恍惚。しかも、そんなケダモノのようなごつごつとした音の塊をブチまけるのが22歳の可憐な金髪女子なんだから仰天するしかないわけだ。

 さて、本作。すでにファルマコンと対峙するためのこちらの免疫力もついているので、ファースト・インパクトこそ薄れたものの、その破壊力とキレは鋭さを増すばかり。垂れ流しの即興ノイズではなく、重く脈打つビートを主軸に、エレクトロニクスがかろうじて楽曲の態を保ちながらうろうろと逸脱。ずぶずぶと迂路。しまいにはうめき声のようなハイパー・スクリーミングが狂ったヘビのようにノイズにからまりついたりして、聴くものを興奮のるつぼへと叩きこむ。今作のテーマは「精神と肉体の間に存在する隔たり」ということだが、3曲め“ボディ・ビトレイズ・イットセルフ”がその縮図といえるだろう。昨年、良性腫瘍の摘出という大手術を経験したマーガレットが、3週間の入院生活でひらめいたというこのコンセプト。彼女の意思から切り離された肉体が、コントロール不能な見知らぬ脅威となり彼女を裏切る。精神と内臓の衰弱と崩壊。肉の塊と化すわたし。我一塊の肉塊なり、ってこれは戸川純さんか……。

 かのブライアン・イーノが交通事故で入院中にアンビエントを発想した、というのは有名な話だが、ファルマコンはその経験からデス・インダストリアルに磨きをかける。地を這うようなエレクトロニクスとハウリングの裂け目、意識と本能の裂け目から最高潮のテンションで絶叫が放出される“インテント・オア・インスティンクト”。非常階段の“マントヒヒ”よろしく、鼓動のようなビートの上を嗚咽やら咳払いやら唾吐き(!)が延々と続くスカミーな“プリミティヴ・ストラグル”。スロッビング・グリッスルの“サブヒューマン”“ディシプリン”(もしくは“ヴェリー・フレンドリー”でもいい)ばりのリズムとアジテーションをギリギリまでディストートさせて、より暴力的に尖らせたような“オート・イミューン”。不穏なエレクトロニクスをバックに、いつになくもの柔らかな甘い声で言葉を乗せて一瞬キュンとさせられるかと思いきや、ごく自然な調子で絶叫天国へと場面転換する変態瞬発力抜群の“ベスチャル・バーデン”など、ただの怖いもの見たさに終わらせない持久力の高いエンターテイメント性、そして、こちらの官能をそそり立たせるたまらない愉悦が音塊のすき間からちらちらと顔をのぞかせる。

 世界への違和感がつきまとい、もはや生活のすべてが懐疑から逃れられないものとなってしまっている現在、ファルマコンのスクリーミングはそんな世界のおぞましさにはっきりと抵抗する。現実の背後に回りこみ、美しさと醜さ、薬と毒という両面価値(=ファルマコン)を武器に世界との馴れ合いを徹底的に拒絶するのだ。折をみて、動画サイトにアップされているファルマコンのライヴ映像をチェックしてほしい。まるでジェネシス・P・オリッジのように、群がるオーディエンスの顔面を凝視し、マイクを手にして絶叫しながらするするとフロアに分け入り孤軍奮闘するマーガレットの姿があるはずだ。リアクションが取れずにぼう然と立ちつくす観客。気品を漂わせながら恐怖のなかで冷笑するファルマコン。おどろおどろしくも華やかに。じつに感動的である。
 
 現在スワンズと一緒にヨーロッパ・ツアー中というファルマコン。US暗黒シーンの闇と懐はどこまでも深い。


V.A.
Fresh Evil Dead

Pヴァイン

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 現東京のアンダーグラウンド・パーティ・シーンから新しいパーティのかたちを発信しつつ、その営みごとパッケージングするように作品リリースも行い、自身らと参加者との生命の火を燃やしつづける〈SCUM PARK〉〈歌舞伎町Forever Free!!!〉とその周辺。あなたもその激しくも切なくもバカバカしくも最高に楽しい場所の、生きた記録・生きた記憶になろう!
 これまでに登場したアーティストを中心に収録し、彼らの活動と価値観とが示されたコンピ『FRESH EVIL DEAD』の発売を記念した完全無料パーティ〈歌舞伎町Forever Free!!!〉がいよいよ明日にせまっている。出演者・タイムテーブルが公開されたのでチェックしてみよう。
 Have A Nice Day! 、Nature Danger Gang、GORO GOLOなどコンピレーション参加アーティスト12組に加え、Limited Express (has gone?)、MANGA SHOCK、BOOLをゲストに招いて金曜の夜から朝まで入場完全無料だ。

■音楽前夜社 & SCUM PARK presents
歌舞伎町Forever Free!!!

新宿LOFT
10/17(金)
19:30-28:30
入場完全無料!!!!!
-V/A FRESH EVIL DEADレコ発編-

Have A Nice Day!
Nature Danger Gang
GORO GOLO
チミドロ
Fat Fox Fanclub
Limited Express (has gone?)
MANGA SHOCK
D.J.APRIL(BOOTY TUNE)
Harley&Quin
ALchinBond
RAP BRAINS
Y.I.M
GLOCAL PUSSYS
mirrorball inferno
BOOL
(順不同)

■タイムテーブル
Open/Start19:30

Floor:20:00-20:30 D.J.APRIL
Stage:20:30-21:00 Fat Fox Fanclub
Floor:21:00-21:30 mirroball inferno
Stage21:30-22:00 GORO GOLO
Floor:22:00-22:30 Y.I.M
Stage22:30-23:00 Limited Express (has gone?)
Floor:23:00-23:30 BOOL
Stage23:30-24:00 NATURE DANGER GANG
Floor:24:00-24:30 Rap Brains
Stage24:30-25:00 Have A Nice Day!
Floor:25:00-25:30 ALchinBond
Stage25:30-26:00 Harley&Quin
Floor:26:00-26:30 GLOCAL PUSSYS
Stage26:30-27:00 MANGA SHOCK
Floor:27:00-27:30 D.J.APRIL
Stage27:30-28:00 チミドロ


今回で4度めとなる同パーティの本質に迫るドキュメンタリー映像も公開中。撮影/編集はYEALO!



FRESH EVIL DEAD tumblr
https://welcome2scumpark.tumblr.com

音楽前夜社 tumblr
https://ongakuzenyasya.tumblr.com

YEALO!
https://yealo.jp


Form A Log - ele-king

 これは2014年のギャグ・アルバム、No.1でしょう。マティアス・アグアーヨやメリディアン・ブラザーズなど、ここ数年、南米に持っていかれっぱなしだった笑いをアメリカに取り戻した3人組。フィラデルフィアからプロフライゲイト(Profligate)ことノア・アンソニー(Noah Anthony)、コンテナー(Container)ことレン・ショーフィールド(Ren Schofield)、ディナー・ミュージック(Dinner Music)ことリック・ウィーヴァー(Rick Weaver)によるスラップスティックの玉手箱です。アナログ盤としては『ザ・トゥー・ベンジーズ(The Two Benji's)に続く2作めで、笑いの角度が少し内側に向くことで弾けるような攻撃性よりもじわじわと効いてくるタイプに発展途上しています。最近のコメディ映画でいえば『なんちゃって家族』よりも『俺たちニュースキャスター』か。感傷性の裏打ちではなく、フォックスTVの右傾化を揶揄しまくった毒のある感じを思わせる。

 〈ノット・ノット・ファン〉からデビューしたプロフライゲイトは基調がどこまでもインダストリアルだったし、〈スペクトラム・シュプール〉から2枚のアルバムをリリースしているコンテナーはインダストリアル・イタロ・ディスコとでもいいたくなるテクノ未満の強迫的なビートの反復がメイン。しかし、同じようにアンダーグラウンドに沈みきっていてもカセットばかり出しまくるディナー・ミュージックは奇怪な作風に振り切れまくり、何が中心にあるかもわからない存在なので、アンソニーもショーフィールドもこの人の磁場に引きずりこまれて、いつしか接点がお笑いになってしまったと考えるのが自然なのだろうか(リリー・フランキーやピエール瀧が集まると老人殺しの映画になる感じ?)。
 ある意味、ディナー・ミュージックの八方破りな音楽性はこれでもひとつの方向性を持つようになったといえ、少しは掴みどころというものができたというか。かつてゼロ年代にウルフ・アイズやバーニング・スター・コアといった混沌から最終的にはアンビエント・ドローンが導かれていったパターンとは異なる混沌からちがう種類のものが生まれつつあるのかもしれない。どこから来るのか、その余裕。ジャケットがどうして法廷なんだろうと思ったら、実際にニュー・ヨークの法廷でライヴ録音されたものだという。3人とも演奏しているのはテープのみ。

 オープニングはそれこそディナー・ミュージック。ジャズ・ピアノの響きと木槌を叩く音と傍聴席のざわめきにはじまり、ハーシュ・ノイズにグルーヴィーなベース・ライン、さらにはギター・ソロのループに各種のブリープ音と容易には把握しきれない音楽性の洪水がつづく。ただし、グジャグジャではない。リズムもシャッフルを効かせたものが何曲か。ジャド・フェアーとマウス・オン・マーズを足してミュージック・コンクレートで割った感じだったり、ピエール・アンリとディーヴォをアレックス・パタースンがマッシュ・アップしているようだったり、もしくはバットホール・サーファーズがノイエ・ドイッチェ・ヴェレと化したとも、ハーバートがフライング・リザーズをリミックスしたとも(あ、なんで、それないんだ?)。ポップ・ミュージックではよく「なんでもあり」という形容がされるけれど、実験音楽でそのような状態になったものと思えばいいのかもしれない。つーか、ポップ・ミュージックと実験音楽の境すらないに等しいかも。千変万化のおもしろさです。

 ベルギーのフィオーク(Fyoelk)やナスラックス、アメリカのナッティマルに日本の食品まつり……笑わせてくれる人はみんな好きだなー。

interview with Caribou - ele-king


Caribou - Our Love

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 あなたはカリブーをどこから聴いているだろう。『スイム』から? それともマニトバ名義のころから? だとすれば『スタート・ブレイキング・マイ・ハート』か、『アンドラ』か、それとも……? すべてリアル・タイムでという方も多いかもしれないが、どの作品から聴いたかということでこれほどジャンルのイメージが混乱してしまうアーティストもめずらしい。

 そもそもは〈リーフ〉からのデビューということもあり、ロンドンを拠点に活躍する彼ことダン・スナイスはエレクトロニカのアーティストだという認識が一般的だった。フォークトロニカという言葉があったが、そうしたニュアンスの中でボーズ・オブ・カナダに比較されたり、またフォー・テットが彼から影響を受けるというような系統図もそれに加担しただろう。しかし2007年の『アンドラ』はまるでソフト・サイケの発掘盤というようなたたずまいで現れ、2010年の『スイム』では、それが完全にフロア仕様のダンス・アルバムへと変貌していた。さらには名義も変更されたため、彼のディスコグラフィはまぶしく乱反射を招く。

 しかし、それでいてまったくカリブー=マニトバ=スナイスとしか思えない、あるつよい紐帯によってそれらが結ばれているのもたしかなのだ。
 あなたはカリブーのどこを聴いているだろう? という点においてはおそらくそんなにブレることはない──旋律、歌、エモーション、薄青く揺らぐビート。“オール・アイ・エヴァー・ニード”の柔らかいシンセ、あるいは“マーズ”のフルートに似たウワモノが踏むよるべないステップ、“ダイヴ”のラストを飾るアルペジオなどには、全時期を通したダン・スナイスの、彼でしかありえない刻印がある。

 本作は、ヒット作として彼のキャリアにひとつの折り返し点をつけた『スイム』から、過去のカタログを逆照射するような作品であるように思われる。はっきりとダンス・ミュージックでありながら、「歌う」ことを手放さない。それは、主に彼のダンス・サイドを切り出すプロジェクトであるダフニが、オーウェン・パレットを迎えてシングルをリリース(『Julia / Tiberius』、2014年)していることにも明らかであるし、むしろ、ダフニ名義や自身のダンス・レーベル〈ジャオロン〉での活動が本格化しているからこそ可能であることのようにも思われる。今作についてスナイスは、「感情に溺れるリスクをおかした」と述べているが、彼はこれまでもずっと、そのリスクの淵から音楽を放ってきたのだ──。

カナダ出身ロンドン在住、かつてはマニトバ名義で活躍していたプロデューサー、ダン・スナイスによるソロ・プロジェクト。エレクトロニカ/音響系レーベル〈リーフ〉からデビューし、2001年の『スタート・ブレイキング・マイ・ハート』はメディアからも高い評価とともに迎えられた。ボーズ・オブ・カナダなどドリーミーなエレクトロニカと比較されながらも、フォークトロニカやサイケ・ポップなどへと音楽性を広げ、4thアルバム『アンドラ』ではカナダの「マーキュリー・プライズ」にあたる国民的音楽賞「ポラリス・ミュージック・プライズ」を受賞、クラブ・ミュージックへと寄った2010年の『スイム』の反響も大きく、別名義ダフニの活動も活発化させながら、今年2014年、4年ぶりとなる新作『アワー・ラヴ』を完成させた。


2010年の『スイム(Swim)』から、すごく反応が大きくて。音楽がいままでとはちがう方法で人々と繋がりを持った感じがしたんだ。

このインタヴューに先立っていただいたコメントのなかの「感情に溺れるリスクをおかす、あるいは感情的になることをゆるす(At the risk of being maudlin - I made this album for all of you.)」、というあなたの言明がとても心に残りました。

スナイス:このレコードは僕にとって……むかしは、レコードはほぼすべて自分のために作っていた。音楽や音楽をプロデュースすることにただただ興奮していたからね。でもカリブーとしてリリースした2010年の前回のレコード(『スイム(Swim)』)から、すごく反応が大きくて。音楽がいままでとはちがう方法で人々と繋がりを持った感じがしたんだ。それが、俺の音楽の世界観を変えた。なぜ音楽を作るのか、誰のために音楽を作るのか、というところをね。だからこのレコードは、自分自身が楽しむだけじゃなくて他のみんなのことを意識して作ったんだ。自己中心的なレコードじゃなくて、もっと寛大なレコードを作りたかった。

ある種の音楽や表現行為において、あるいは人間のふるまいにおいて、感情に溺れるということが否定的にとらえられることがありますね。それを気にされてもいるのかなと思ったのですが。

スナイス:自分の感情をあまりにも音楽の中でさらけだしすぎると何か言われるときがあるけど、逆にリスナーことを意識しすぎてもそれは誠実さに反すると批評されたりもする。俺はもう長いこと音楽を作ってるけど、自分が作りたいものを作るのと、聴く人のことを考えて作るということの間に矛盾を感じたことはまったくないね。あとは、僕がもっとも好きな音楽はファラオ・サンダースやアリス・コルトレーン、ジョン・コルトレーン、スティーヴィー・ワンダーのような定番のソウル・レコードだけど、そういう音楽はすごくあたたかいし、感情が詰まってる。そしてオープンだね。俺が好む音楽はすべて、そのクオリティを持っているんだ。

抒情的でメロディアスな音楽に対しても抑圧的な評価が下されることがあります。あなたの音楽は2001年のデビュー作から高い評価を受けつづけてきましたが、もしかするとそうしたメロディへの抑圧的な評価と闘ってきたようなところもあるのではないですか?

スナイス:まあ、そういう評価を下す人も中にはいるね。でも音楽はバラエティに富んでいて、評価に関しても同じくらいさまざまな意見がある。インストの音楽の中だけの狭い考えで言うとそうかもしれないけど、世の中でリリースされている音楽のほとんどが抒情的でメロディアスだと思うし、俺はまったくそんなこと思わないけど。インストであっても、複雑であっても、人に何かを感じさせることができることが大事なわけで。俺が好きな音楽の多くはそういう音楽だからね。

あなたは〈Leaf〉からデビューし、当時のエレクトロニカやフォークトロニカといったブームの一端を象徴する存在でもあったと思います。さんざん比較されてきたかとは思いますが、ボーズ・オブ・カナダや、あるいはフォー・テットといった名前をどのように意識していましたか?

スナイス:俺は当時ボーズ・オブ・カナダの音楽の大ファンだった。まさに彼らの音楽はいま話に出ていたセンチメンタル・ミュージックだし。で、フォー・テットとは、仕事仲間以上に友だちとしての繋がりがあった。もちろん彼の音楽も大好きだし。彼は俺が最初に音楽をリリースするのを手伝ってくれた人物なんだ。彼に会ったとき、ビビビときてすぐ友だちになった。いまでは家族の一人みたいな存在だよ。俺たちは音楽に対する世界観も似ていて、いままでのすべてのレコードにおいて彼のフィードバックを大切にしてきた。俺は誰よりも彼の意見を信用しているし、何かのセカンド・オピニオンを求めるときにもいつも彼に訊くようにしてるんだ。

では、彼らと比較されることへの違和感はほとんどなかったんですね?

スナイス:なかったよ。すべての音楽において、何かに影響された部分っていうのは必ずあるものだからね。彼らは両方ともいい影響だし。彼らからは自分でも影響を受けていると思うから、比較されて当たり前だと思っていたよ。


いま思うと変な感じがするよ。60年代の俺のお気に入りのアーティストは、当時、みんなできるだけ未来的なサウンドを作ろうとしていたのに。

ソフト・サイケの埋もれた名盤というような雰囲気さえ感じられる『アンドラ』など、その後のあなたには狭い意味でのエレクトロニカや音響というものから自由なイメージがありました。実際のところどんなふうにキャリアを築いていこうと思っていたのですか?

スナイス:当時あのアルバムを作っていたときは、60年代のサイケ・ポップ・ミュージックのようなサウンドを参考にしていたんだ。あのアルバムは俺にとって……さっきも話していたように、すべてのレコードはいまよりもすごくパーソナルなものだったから、自分が当時何に興味を持っていたかを示すものだと思う。あのアルバムで意識していたのは、ハーモニックな構成とアレンジメント、そしてソングライティング。キャリアをどう築いていこうとか、そういうのを前もってプランしたことはいままで一度もないんだ。人が聴こうが聴くまいが、とにかく自分が興味のあることをやっていた。
 だからいま『アンドラ』を振り返ってひとつだけ思い出せるのは、自分が1960年代のサウンドを再現しようとしていたこと。いま思うと変な感じがするよ。60年代の俺のお気に入りのアーティストは、当時、みんなできるだけ未来的なサウンドを作ろうとしていたのに。でも俺は、その時代を振り返るのにエネルギーと時間を使っていた。それもあるのか、『アンドラ』以降の俺のレコードは、もっと先を見た、よりコンテンポラリーなものになってると思う。

UKで活動をしていると、ベース・ミュージックなどの盛り上がりに接近しないことのほうが難しいかもしれませんが、『スイム』であなたの音楽とダンス・フロアとの結びつきが強まるのは、やはりそうしたシーンの影響からでしょうか?
だとすれば、とくにどういったアーティストに触発されてきましたか?

スナイス:そのとおり。まさにあれを作っていた2008年~2009年頃はロンドンにいて、フローティング・ポインツ(Floating Points)や、ジョイ・オービソン(Joy Orbison)、ブリアル(Burial)、ピアソン・サウンド(Pearson Sound)のような若いアーティストが出てきている時期だった。そういったアーティストがファースト・レコードを出した後くらいの時期で、ロンドンにとってすごくエキサイティングな時期だったんだ。そういったアーティストがプレイするのをよく観に行ってたよ。当時はそういった音楽に囲まれていたんだ。
 いま振り返ってみると、『アンドラ』のあとはもっとコンテンポラリーな音楽を作りたがっている自分がいた。その理由のひとつは、こういったエキサイティングな音楽に自分が囲まれていたからだろうね。そのシーンのアーティストと仲良くもなったし。だから、ダンス・フロアとの結びつきが強まるっていうのは俺にとっては自然なことだったんだ。とくに影響を受けたのは、さっき言ったフローティング・ポインツやピアソン・サウンド、ジョイ・オービソンのようなアーティストだね。みんな近い友人でもあるし。

一方で、今作には『スタート・ブレイキング・マイ・ハート(Start Breaking My Heart)』などを思い出させる部分も強く、あなたのなかの変わらないものと変化したものとが濃く対照をなして表れているようにも思います。ご自身のなかで、ここは変わりたくない、守りたいというようなものはありますか?

スナイス:たしかに。このアルバムには僕の最初の頃のスタイルも入っている。メロディやあたたかさ、エレクトロニカのプロダクションのサウンドとか。そういったものは最初のレコードに入っていたからね。僕自身は最近あのレコードは聴いてないけど……自分の昔のレコードって聴かないんだよな(笑)。でも振り返ってみると、そういったアイディアと繋がる。まあ、あの時代からもう15年も経ってるから人生も変わったし、自分自身も、音楽も変わったとは思う。でも、やっぱり作っているのは僕という同じ人物だから、カリブー・サウンドっていうことに変わりはないんだよね。「僕のサウンド」っていう部分が、変わっていない部分だと思う。

カリブーらしさとは? という質問は、俺の人生とは? と訊かれているようなものなんだ。

 さまざまなアーティストがいて、みんなさまざまなものに影響を受けているけど、僕の場合は音楽が僕についてだから、歌詞がまずパーソナルだし、言葉では説明しにくいけど、サウンドも僕なんだよね。すべてのレコードにおいて、ある感覚が共通してるんだ。すべてのレコードをその感覚が繋ぎ合わせているというか。音楽を作れば作るほど、どの曲をプレイしてもみんなに「あ、これダンっぽいな」と思ってもらいたいんだ。そのユニークさっていうのはずっと守っていきたいと思う部分だね。自分自身のサウンドを作るっていうアイディアはこれからもずっと持っていきたい。

もうちょっと、そのカリブーらしさというところをお訊きしたいです。たとえば“マーズ(Mars)”“ユア・ラヴ・ウィル・セット・ユー・フリー(Your Love Will Set You Free)”などでは、あなた独特の旋律やシンセのタッチなどが、いっきにカリブー的な世界観を立ち上げていると感じますが。

スナイス:カリブーのレコードでは、できるだけ自分の人生を捉えようとしてるんだ。自分の人生で起こっていることのすべて。それをできるだけ音の中に取り込もうとしている。アルバムや日記のようにね。だから、カリブーらしさとは? という質問は、俺の人生とは? と訊かれているようなものなんだ。だから答えるのはちょっと難しい(笑)。人生においてひとつだけたしかなのは、僕が音楽に対して感じる興奮がどんどん大きくなっていっているということ。新しい音楽も昔の音楽も、すべてがいまだにエキサイティングなんだ。音楽に囲まれているというスリルを感じなくなってしまうアーティストも少なくはない。でも僕は、それが大きくなっていく一方なんだ。それはいいことだと思う。未来が楽しみになるし。


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まず最初に大事だったのは、親友とコラボするということ。ただスタジオに入ってきた歌えるアーティスト、とかじゃなくてね。

すごいですね。そういったモチヴェーションはどこから来るのでしょう?

スナイス:考える必要がないんだ。自由時間があったとしても、僕はスタジオに下りていって音楽を作るだろうね。それが俺がやりたいことだから。いまは娘もいるし、家族との人生もある。だからバランスも保たないといけないんだけど、でも自分自身のモチヴェーションを高めるためにあえて何かしないといけないとか、そういうのがないんだよ。アイディアにつまったりすることもない。何かがつねに起こってるからね。

では逆に、何か最初の頃とくらべて変わったなと思うことはありますか?

スナイス:明らかなちがいは、以前はインストだけの音楽を作っていて、いまは歌が入ってる。その歌という部分が、自分により大きな自信を与えてくれたっていうのは変化だね。自分にできることが、より心地よくできるようになってきた。曲の作り方に対しても、歌い方に対しても、より自信が持てているんだ。前はオーディエンスの前で歌うのがすごく怖かった。いまのような状態になるには何年もかかったんだ。俺はヴォーカルのトレーニングを受けてきたわけじゃないしね。他の若いミュージシャンにもよくあることだと思うけど、最初は不安だらけだと思う。次のレコードでみんなが自分の音楽に興味を失ったらどうしようとか、もう音楽を作れないんじゃないか、とか。僕もスタートしたてのときはそういうすべての不安があった。でもだんだんそういう心配が減ってきて、自信に変わっていったんだ。作業しつづけているうちにね。

あなたは、たとえ歌ものでなくとも、自分自身の旋律によって大いに「歌う」アーティストだったと思うのですが、“セカンド・チャンス”のようにシンガーを歌わせることはあなたの音に何をもたらしていると思いますか? この曲も素晴らしいですが、わたしはあなたの、どこかベッドルーム的に閉じたような音楽がとても好きなんです。

スナイス:ジェシー・ランザ(Jessy Lanza)の参加は、僕にとっては大きなちがいをもたらした。まず最初に大事だったのは、親友とコラボするということ。ただスタジオに入ってきた歌えるアーティスト、とかじゃなくてね。ジェシーもオーウェン・パレットも親友で、それは僕にとって大きなことだった。将来自分の音楽を振り返ったときにそういったパーソナルな繋がりを思い出したいし、自分の友だちと作業するっていうのは楽しいしね。ジェシーが参加しているトラックでは、彼女がメロディと歌詞を書いた。ほぼすべてのヴォーカル・パートを彼女が書いたんだ。
 よくあるんだよね、ある時点まで自分で書いて、そこからどうしようかと考えることが。あのトラックはとくに、インストにしようかとも迷ったし、ヴォーカルを入れてみようと思って入れてもうまくいかなかったりした。それで彼女に参加してもらったら、曲がぐんと変化したんだ。ポップとR&Bというか。ポップなメロディが前面にでて。レコードを作っていて、僕が好きなのはああいう瞬間。何かが、自分が予想していなかったまったくちがうものに進化する瞬間が好きなんだ。ジェシーがいなかったら、あの曲は完成していたかさえもわからない。本当にどうしたらいいかわからなかったから。


このアルバムを作りはじめたとき、僕はこのレコードがもっとR&Bに影響を受けたものになるだろうと思っていた。でもまわりの流れをみていると、R&Bはもう十分なんじゃないかって気がして。


Caribou - Our Love

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また、いまおっしゃったようにこの曲はR&B調の仕上がりになっていますが、最近はそうした曲や歌ものづくりにも意欲的なのでしょうか?

スナイス:あのトラックはちょっと変わったヴァージョンのR&Bなんだ。ビートがないから。ここ数年、R&Bではエキサイティングなことがたくさん起きているよね。コマーシャルなものも増えてきたし。このアルバムを作りはじめたとき、僕はこのレコードがもっとR&Bに影響を受けたものになるだろうと思っていた。でも結果的にそれよりももっと広い、より多くの要素が入ったレコードになったんだ。もちろんR&Bも入ってはいるけど。とくにあのトラックには。でも、そこまでそういった曲や歌ものづくりに意欲的なわけじゃない。このアルバムを制作しているうちに、R&Bはより多くの場所で聴くようになったから。メインストリームだけじゃなく、インディ・バンドもR&Bの要素を入れはじめたし、ヒップホップのプロデューサーたちもそう。そういう流れをみていると、R&Bはもう十分なんじゃないかって気がして。

ダフニ(Daphni)での活動が、むしろカリブーを原点に向かわせるということはないですか?

スナイス:ダフニではもっとダンス・フロアを意識して曲を作っている。トラックはすごくはやく作るし、一曲ごとに数個のサウンドしかない。君が言うように、ベーシックでシンプルなものにしてるよね。僕はいつも、たくさんのアイディアやサウンドを音楽に入れ込む傾向があるんだけど、このニュー・アルバムでは、もう少しシンプル化して、より扱いやすいものにするのもいいんじゃないかと思った。だからいくつかのトラックのアプローチに関しては、ダフニの活動に影響を受けているね。

アルバム全体のモチーフには、一組の男女の繊細な関係性も描かれているように思いますが、あなたはこの作品を一人称的な、私小説的な作品だというふうに説明しますか?

スナイス:このアルバムは、タイトルどおり「愛」についてのアルバム。もちろん一部は一組の男女についてでもある。僕と妻との関係とか、僕の友人とそのパートナーの関係とか。でも同時に、自分の人生やみんなの人生の中にあるあらゆる愛についてでもあるんだ。娘や家族、友人、音楽に対する僕の愛。このアルバムを聴くリスナーとそういう愛を共有したいんだよ。だから一人称や私小説的とは思わない。歌詞の一部は離婚を経験した僕の友人についてだったり、そういうパーソナルなこともある。でもそれ以上にみんなが繋がりを感じることができる内容になってると思うんだ。そういった出来事をみんなが自由に自分の人生の何かと繋ぎ合わせてもらえればいいと思う。


人生における何においても、俺にとってベストなのは、すべてのミックス。悲劇すぎる音楽も、喜劇すぎる音楽も作りたいとは思わない。

ご自身が楽曲に用いるコードには、なにかクセや傾向性があると思いますか?

スナイス:いい質問だね。みんな、楽器を長いこと演奏していると、あるパターンに戻ってくるんだ。それが癖なんだと思う。誰にも自分独自のアプローチがある。それがどういう癖なのか自分では説明できないけど……。僕っぽいサウンドっていうのはそういった癖からも生まれているんじゃないかな。言葉で説明するより、聴いたほうがわかると思う。長年演奏することで自然と確立されてくるものだと思うよ。

悲劇を好みますか、それとも喜劇を好みますか?

スナイス:人生における何においても、俺にとってベストなのは、すべてのミックス。悲劇すぎる音楽も、喜劇すぎる音楽も作りたいとは思わない。人生ってそういうものだろ? すべてが混ざってる。俺が好きなのは、悲劇も喜劇もすべてがミックスされたものなんだ。

今作に「love」という言葉を用いずにタイトルをつけるとすれば、どんなものになると思いますか?

スナイス:これもいい質問だね。このアルバムでは、本当にたくさんのタイトルを考えたんだ。「love」が入っていないもので候補に上がっていたのは、最終的にあまり好きじゃなかったから使わなかったけど、「With You」とか、そういった「いっしょにいる」という意味を持った言葉があった。娘といっしょ、リスナーといっしょ……いっしょにいる相手は誰でもいい。そういった誰かの存在を意味する言葉。すべてのアルバム・タイトルが、俺にとってパーソナルでエモーショナルなんだ。


■Caribouが来日!
2015年2月21日、22日に新木場スタジオコーストにて行われる〈ホステス・クラブ・ウィークエンダー〉に、Caribouも出演することが決定している。
今回のラインナップは、BELLE AND SEBASTIANにST.VINCENT、TUNE-YARDS、REAL ESTATE、そしてHOW TO DRESS WELL……完全に当たり回だ(いつもすばらしいけれども)。
すべてのベッドルーマーとリアル・インディ・ロック・ファンへ!
詳細 https://goo.gl/tHm2UH


ソニック・ブームにThe Novembers - ele-king

 紙の『ele-king Vol.8』で紹介したのでもう一年以上前となる、2013年春夏なので正確には3シーズン前のコレクションであの裸のラリーズをモチーフにもちいた〈LAD MUSICIAN〉は音楽と洋服の融合を基本コンセプトに掲げる、弊媒体読者にもまことに親和性の高いブランドだが、その〈LAD MUSICIAN〉が20周年(祝!)となるコレクションを、来る10月20日(月)恵比寿ガーデンホールにて発表する。

 上述のとおりアニバーサリーコレクションにあたる今季は、ショー終了後のアフターパーティの開催が決定している。しかもその内容がいかにも彼ららしい。
 UKからジェイソン・ピアーズとのスペースメン3でサイケデリックおよびシューゲイザー・シーンに多大な影響をあたえ、現在はスペクトラムとE.A.R.(エクスペリメンタル・オーディオ・リサーチ)の二足のわらじでサイケリアの新しい領土をもくもくと踏破しつづけるソニック・ブームが来日、スペシャル・ライヴを披露してくれるというのだ。

 ele-kingではこのアフターパーティの招待枠をいただきました!

 下記〈LAD MUSICIAN〉都内4店舗にてINVITATION(招待状)をご用意しておりますので、ご来場をご希望の方はお近くの直営店までご来店ください。というか、招待数にかぎりがあり、規定数に達ししだい配布終了となりますので、〈LAD MUSICIAN〉直営店へ、読者諸兄よ、いまからダッシュしましょう。

■配布期間
10/15(WED)~10/19(SUN)12:00~20:00
*お一人様 2名様分までとさせていただきます

■日時/会場
LAD MUSICIAN 20TH ANNIVERSARY AFTER PARTY

10/20(MON)  OPEN 20:00 START 20:30
*当日は招待状をお持ちの方のみの入場となります

PLACE:THE GARDEN HALL / YEBISU GARDEN PLACE

LIVE: SONIC BOOM, THE NOVEMBERS

DJ:HIROSHI FUTAMI

VJ:DOMMUNE VIDEO SYNDICATE

■配布店舗住所/問い合わせ先
〈INVITATION〉配布店舗

LAD MUSICIAN FLAG SHOP

DAIKANNYAMA / 〒150-0034東京都渋谷区代官山町18-7-B1F / Tel 03-5457-1005
HARAJUKU / 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-26-35 / Tel 03-3470-6760
SHINJUKU / 〒160-0022 東京都新宿区新宿3-31-6-1F / Tel 03-6457-7957
SHIBUYA / 〒150-0041 東京都渋谷区神南1-5-7-1F / Tel. 03-6416-1813


ele-king vol.14 - ele-king

特集:エイフェックス・ツイン
第二特集:ナショナリズムとグローバリゼーション
特別寄稿:現地取材による、シカゴ・フットワーク/ジューク・レポート    他
電子書籍版へのアクセスキーがついています

Mr Twin Sister - ele-king

 「ツイン・シスター」から「ミスター・ツイン・シスター」への改名は、とくに音楽的な再出発を暗示したりするわけでなく、「ポリティカルな理由」からだというが、それでもトランスジェンダーなその名を気に入っているという旨の発言は複数のインタヴューからうかがわれる。彼女らは音においても越境的だったけれど、なるほどそれは同格のものを異種交配させるという手つきではなくて、ツイン・シスターに「ミスター」をつけることで名の意味を溶かすような、そういうあり方だったようにも思えてくる。今作においてミスター・ツイン・シスターは、たとえばハードでミニマルなテクノと溶け合い、ツイン・シスターという位相をずらす。

 はじまりは穏やかだ。ヴィブラフォンのような音がなぞるアルペジオに導かれて、わたしたちはあの緩くてドリーミーなツイン・シスターのサイケデリック・ポップへと踏み入っていく。嫌味なく洒脱なAOR調が心地よい。ジョナサン・ロウによるところだろうか、プロダクションはクリアさを増してアンドレア・エステラのポップ・シンガーとしての輪郭をさらに磨き出すように感じられる。あくまでエクスペリメンタルなサイケ・ポップであろうとするようなビーチ・ハウスよりも、上質なポップスへの志向性を強めたスティル・コーナーズに近くなった印象だ。

 ツイン・シスターは2010年の前後2年ずつくらいのインディ・シーンを彩った、ドリーミーなサイケデリック・ポップのトレンドのなかに現れ、その一角を象徴するように『イン・ヘヴン』(2011年)という傑作を生んだバンドである。一方の極にはディアハンターのようにシューゲイズと結びつけて語られる音があり、もう一方の極にはチルウェイヴなどがあり、そうしたいくつかの極を星形につないだゾーンに個性豊かなアーティストたちがひしめいていた。ツイン・シスターのシンセ・ポップにはフォーキーなテイストがあり、ブロードキャストに比較されるクラウトロック的な要素、あるいはマーク・マッガイアのギター・アンビエントへと接続するような広がりも感じられた。逃避的な音がことさらヒップに感じられる時期ではあったが、そのムードを飛びぬけて心地よくポップス側に転換した才能のひとつだともいえる。ケンドリック・ラマ―が彼女らのトラックをサンプリングしたという語られ尽くした話題も、この間のインディが何を発信していたのかということを物語るものだ。そして本作『ミスター・ツイン・シスター』は、その『イン・ヘヴン』ののち初となるフル・アルバムである。

 以前は「ポップス側に振れた」といっても、ラフでリヴァービーなプロダクションが気分であり、ツイン・シスターの音もその範疇だった。しかしまどろみの時期を抜けたいま、彼女らがテクノに、あるいはよりスマートなポップ・ソングに向かうのはとてもポジティヴなことだと思う。また、ミスター・ツイン・シスターはそれが得意だということがわかる。“トゥエルヴ・エンジェルズ”などはそうした新機軸を誇らかに象徴する曲で、アイデンティティを失わずに、むしろビートを飲み込むように成立しているダークなテクノ。ここでのエステラのパフォーマンスは、かつてのツイン・シスターからとても遠いところにあって驚いてしまう。ヴォーカルとしての運動神経が優れた人なのだろう。シルキーでアダルトなR&Bを基調とする前半の展開、とくにレトロなタッチのディスコ・ナンバー“イン・ザ・ハウス・オブ・イエス”などでは、こんなにフットワークの軽いバンドだったのかとため息さえ出るだろう。“メッドフォード”のアンビエントや、“クライム・シーン”などに残された以前の面影をたどりながらアルバムは閉じるが、ヴァリエーションがあるというような安直なまとめかたをゆるさない、奇妙で豪華な変貌を見せる新作だ。「ミスター」という装いのもとに、彼女たちは新しい夢を見はじめた。

DBS -MALA&COKI (Digital Mystikz) - ele-king

 みなさま、いよいよです。スーパー台風明けの今週末、マーラとコーキがデジタル・ミスティックズとして日本へやってきます! ダブステップをサウス・ロンドンで開発したオリジネーターが揃って来日するのは今回が初めて。日本での彼らのホームであるDBSでどのようなプレイを見せてくれるのでしょうか。前回のマーラとコーキのDBSでのDJプレイはこちらでチェックできます。

DBS presents "MALA IN JAPAN"

DBS 16th. Anniversary feat. COKI & SILKIE

 マーラとコーキがダブステップ最重要レーベル〈dmz〉からリリースを開始したのは2004年。リチャード・D・ジェームスも関わる〈リフレックス〉から、ふたりが参加したコンピレーション『グライム2』が発売されたのも実はこの年なんです。
 レーベル開始当初からロンドンのブリクストンで開かれる、〈dmz〉のパーティは現在も大変な人気を誇っています。キャッチ・コピーは「Come meditate on bass weight!」。ジェイムズ・ブレイクがデジタル・ミスティックズが出るイベントの常連だったことは有名なエピソードですね。先日来日した〈ナイト・スラッグス〉のボク・ボクも〈dmz〉から大きな影響を受けたプロデューサーのひとり。マーラとコーキがいない現在の音楽シーンを想像することは不可能です。
 日本を代表するプロデューサーであり、デジタル・ミスティックズのふたりと共にダブステップのシーンの形成に携わった〈バック・トゥ・チル〉のゴス・トラッドも当日は駆けつけます! 前回のピンチ来日時に素晴らしいDJを披露したシバライダーもプレイ!
 デジタル・ミスティックズの10年の節目にみんなで瞑想しようぜ!

DBS - A Red Bull Music Academy Special with MALA&COKI (Digital Mystikz)

日時:10月18日 (土) OPEN / START 23:30
会場:代官山UNIT
料金:前売3,000円 / 当日3,500円
出演:
MALA & COKI (Digital Mystikz)
GOTH-TRAD (deep-medi,BTC)
SIVARIDER
VJ:SO IN THE HOUSE

Saloon:
LAO
Ekali
DJ STITCH
TETSUJI TANAKA
KEN

MALA & COKI (DIGITAL MYSTIKZ)

ダブステップのパイオニア、DIGITAL MYSTIKZはサウス・ロンドン出身のMALAとCOKIの2人組。ジャングル/ドラム&ベース、ダブ/ルーツ・レゲエ、UKガラージ等の影響下に育った彼らは、独自の重低音ビーツを生み出すべく制作を始め、アンダーグラウンドから胎動したダブステップ・シーンの中核となる。
'03年にBig Apple Recordsから"Pathways EP"をリリース、'04年には盟友のLOEFAHを交え自分達のレーベル、DMZを旗揚げ、本格的なリリースを展開していく。そして名門Rephlexのコンピレーション『GRIME 2』にフィーチャーされ、脚光を浴びる。また'05年からDMZのクラブナイトを開催、ブリクストン、リーズでのレギュラーで着実に支持者を増やし、ヨーロッパ各国やアメリカにも波及する。
'06年にはSoul Jazzからの2枚のシングル・リリースでダブステップとDIGITAL MYSTIKZ の知名度を一気に高め、DMZの作品もロングセラーを続ける。また同年にMALAは個人レーベル、Deep Medi Musikを設立、以来自作の他にもGOTH-TRAD、KROMESTAR、SKREAM、SILKIE、CALIBRE、PINCHらの作品を続々と送り出し、シーンの最前線に立つ。一方のCOKIは'07年にBENGAと共作した"Night"をTempaから発表、キャッチーな同曲は'08年に爆発的ヒットとなり、ダブステップの一般的普及に大きく貢献する。
そして'10年にはDIGITAL MYSTIKZ 名義によるMALAの1st.アルバム『RETURN II SPACE』がアナログ3枚組でリリース、壮大なスケールでMALAのスピリチュアルな音宇宙を明示する。そしてCOKIも同年末、やはりDIGITAL MYSTIKZ 名義でアルバム『URBAN ETHICS』を発表(P-VINEより日本盤発売)、血肉となるレゲエへの愛情と野性味溢れる独自のサウンドを披露する。その後もDMZから"Don't Get It Twistes"、Tempaから"Boomba"等、コンスタントに良質なリリースを重ねつつ、11年から謎のホワイト・レーベルのAWDで著名アーティストのリワークを発表、そして12年、遂に自己のレーベル、Don't Get It Twistedを立ち上げ、"Bob's Pillow/Spooky"を発表。
MALAはGILLESの発案で'11年、彼と一緒にキューバを訪れる。そしてMALAは現地の音楽家とセッションを重ね、持ち帰った膨大なサンプル音源を再構築し、'12年9月、GILLESのBrownswoodからアルバム『MALA IN CUBA』を発表(Beatinkから日本盤発売)、キューバのルーツ・ミュージックとMALAのエクスペリメンタルなサウンドが融合し、ワールド・ミュージック/エレクトロニック・ミュージックを革新する。
"Come meditate on bass weight!"

前売り情報:
PIA (0570-02-9999/P-code: 241-304)、 LAWSON (L-code: 70720)
e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
clubberia/https://www.clubberia.com/store/
渋谷/disk union CLUB MUSIC SHOP (3476-2627)、TECHNIQUE(5458-4143)、GANBAN(3477-5701)
代官山/UNIT (5459-8630)、Bonjour Records (5458-6020)
原宿/GLOCAL RECORDS(090-3807-2073)
下北沢/DISC SHOP ZERO (5432-6129)、JET SET TOKYO (5452-2262)、disk union CLUB MUSIC SHOP(5738-2971)
新宿/disk union CLUB MUSIC SHOP (5919-2422)、Dub Store Record Mart (3364-5251)
吉祥寺/Jar-Beat Record (0422-42-4877)、disk union (0422-20-8062)
町田/disk union (042-720-7240)
千葉/disk union (043-224-6372)

UNIT
Za HOUSE BLD.
1-34-17 EBISU-NISHI, SHIBUYA-KU, TOKYO
TEL:03-5459-8630
www.unit-tokyo.com


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