「Nothing」と一致するもの

Ssaliva - ele-king

 〈レッドブル・ミュージック・アカデミー〉が主催するイヴェントに招聘され、およそ2年ぶりに東京を訪れたマシューデイヴィッド。熱燗をグイグイ流し込みながら同じ話をえんえんと繰り返すさまを眺めながら、僕はこの男が短い休暇を存分に楽しんでいることを確信した。

 自身の作家活動とレーベル・ワークを持続させるのは難しい。〈リーヴィング・レコーズ〉はマシューの美意識の変容をDIYレーベルとして展開してきた。近年は〈ストーンズ・スロー〉のサポートによってLAビート・シーンの“ニュー・エイジ"サイドを担うカセット・レーベルの老舗といった風格すら漂よわせている。80~90年代のビザール・ニューエイジ系カセット・レーベルをディグることにもっぱら夢中になっていると漏らすマシューの最近の趣向が、なるほど、リーヴィングにも如実に表れている。とはいえ、新たなアーティストを発掘するだけでなく、レーベル・ファミリーといえるようなお馴染みのメンツたちもマシューと世界観を共有しながらそのサウンドを変容させているように思えるのは彼のカリスマ性ゆえであろうか?

 2011年、〈リーヴィング〉から『ソート・ハズ・ウィングス(Thought Has Wings)』をリリースしたベルギーのサリヴァ(Ssaliva)ことフランツ・ベーカーは、ヴェイパーウェイヴ黎明期を感じさせるそのズッコケ・テープワープ・ビートで当時密かな話題を呼んだ。別名義であるカップ・ケイヴ(Cup Cave)の精力的なエクスペリメンタル・ビートメイカーとしての活動を考慮すればサリヴァはフランツの考えるベッド・ルーム・ビートの定義なのかもしれない。

 約3年ぶりにサリヴァ名義で〈リーヴィング〉からリリースされた『パンターニ(Pantani)』は前作とは決定的に異なるビート・メイキングが収録されている。テープワープ、テープコンプといったローファイ・サウンドは鳴りを潜め、コズミック・シンセジスとスクリュード・ビートの融合とも呼べる新たなスタイルを提示。フラフラとした旅路で、日中は散歩をしながら写真などを撮り、夜な夜な異なる寝床でこのヘッドホン・ミュージックを制作したと語るフランツ。ヴァーチャルからリアルへ変化した彼のサウンド・スケープはまた我々に最高のトリップを約束してくれる。


OG from Militant B - ele-king

漆黒の大地を駆けろ!

ヴァイナルゾンビでありながらお祭り男OG。レゲエのバイブスを放つボムを日々現場に投下。Militant Bでの活動の他、現在はラッパーRUMIのライブDJとしても活躍中。3回目の登場ほぼゴリラのOGです。今回のランキングはダブ! ダブ! ダブ! 歌無し"ハーコーダブ"に焦点を絞って、70年代バンドサウンドから2014年産デジタルキラーなものまで幅広く挙げてみました。音の再構築、破壊と再生。大胆で繊細、最先端なレゲエミュージックを感じてみてください。REBELだろ?

11/4 吉祥寺cheeky "FORMATION"
11/7 山形tittytwister "LIVE AT HOPE"
11/8 秋田re:mix
11/12 新宿open "PSYCHO RHYTHMIC"
11/23 東高円寺grassroots
11/29 池袋bed "NEW TYPE DUB"
12/2 吉祥寺cheeky "FORMATION"
12/6 渋谷asia "IN TIME"
12/30 吉祥寺cheeky


SUN RA - ele-king

 『てなもんやSUN RA伝』は、湯浅学の傑作。この人のPファンクやサン・ラーについての語りは、本当に面白い。その面白さは、彼らの音楽の複層性──大らかだが反抗的で、社会的で、政治的で、実験的で、怒りながら荒唐無稽でしかも笑えるという特徴を巧妙に表している。『ミュージック・マガジン』での連載をまとめた『てなもんやSUN RA伝』は、サン・ラーの評伝であり、ディスクガイドであり、湯浅学の名エッセイ集である。ぜひ手にとって欲しい。

 今年は、サン・ラー生誕100周年。この音楽家は、人類の時間軸では1914年に生まれ、1993年に他界したことになっているが、地球は自分の故郷ではないと主張したことで知られている。もし地球が自分の故郷であるなら差別や戦争があるはずがない、ゆえに自分は宇宙からやって来た。サン・ラーは、彼自身の説明によれば土星人であり、彼のジャズ楽団アーケストラは早い時期から電子機材を取り入れたことでも知られている。40年代から活動をしている彼は、エジプトのマントと宇宙カブトをかぶったピアニストである。50年代にはローファイな宅録作品、ドゥーワップやスウィング・ジャズの楽曲も多く残している。60年代にはヒッピーから愛され、サイケデリック、スペース・オペラ、フリー・ジャズやアヴァンギャルドとも交わり、晩年にはDJカルチャーからも愛されている。彼は地球時間40年もの活動のなかで、100枚ほどの作品を残している。彼のハンドメイドのレコード(サターン盤)は、いまで言えば会場で売られているCDR作品にも近く、世界のコレクターが探している超レア盤だが、この20年のあいだの再発のおかげで、ずいぶん身近に聴けるものとなった。この度も、生誕100周年を記念して、2枚の名盤が日本盤としてリイシューされる。
 1978年の作品『ディスコ3000』、1979年の『スリーピング・ビューティ』、ともに彼のディスコグラフィーのなかでもいくつかあるハイライトの1枚に数えられるだろう。前者はアーケストラのエネルギッシュなスペース・フリー・ジャズを、そして後者では宇宙規模のチルアウト・ソウル・ジャズを堪能できる。とくにフライング・ロータスの新作を評価するあなたは、避けては通れないはずだ。

湯浅学
てなもんやSUN RA伝
音盤でたどる土星から来たジャズ偉人の歩み

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サン・ラー
ディスコ3000【デラックス・エディション】 Limited Edition

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サン・ラー・アンド・ヒズ・アーケストラ
スリーピング・ビューティ Limited Edition

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Serph x 河野愛 - ele-king

 サーフがこれまでわれわれに見せてくれた桃源の夢──それは毒に同義であることをサーフ自身が弊誌インタヴュー(『ele-king vol.』)にて語ってくれたのだが──は、もう一本の柱によって支えられている。河野愛のイラストだ。これまでサーフの作品や活動の多くに関わってきたイラストレーターである。古代ギリシャのモチーフ、架空の生物たちの跋扈、魚も鳥も家も同居する空間……時間と場所がねじ曲がり、あるべきでない時代とあるべきでない空間とが接続され、しかしそのことが奇妙な均衡を生み出す河野のタッチに、すでにサーフの音を連想してしまう人もいるのではないだろうか。一枚の絵の中に、微細な描き込みと神話的な圧縮性をもって世界を埋め込むようなその手つきは、サーフ版マジック・リアリズムとも呼ぶべき、あの強烈な世界構築にしずかに寄り添っている。

 そんなふたりのコラボレーションを、より純度の高いかたちで結晶させるようなプロジェクトがはじまっている。クラウドファンディングを利用したCD付きアートブックの制作だ。これまでのコラボレーションの記録に加え、書き下ろし&描き下ろしの作品、アルバム未収曲のコンピCDも付くようで、通常のパッケージ・リリースでは実現しにくい仕様を楽しめる。また、協力する度合いによって幾パターンものリターンが準備されているから、ファンならばじっくりと頭を悩ませながら参加したいところだ。
 募集期間は11月28日(金)まで。ダイレクトにこの素敵な作品を支えてみよう。

【Serph x 河野愛 コラボレーション・アートブック制作プロジェクト】

■情報掲載日:掲載中
■クラウドファンディング・サイト:CAMPFIRE
■プロジェクトURL: https://camp-fire.jp/projects/view/1267
■ 募集期間:10/15~11/28(45日間)
■ 目標金額:1,350,000円
■プロジェクト概要
このプロジェクトは、電子音楽家Serphとイラストレーター河野愛による、CD付きコ
ラボレーション・アートブックの制作を目指すものです。
Serphは、nobleへの移籍後初リリースとなる2ndアルバム『vent』(2010年作)以降、
今月6日に発表した最新EP『Spring Field EP』まで、その全作品のアートワークを、
イラストレーターの河野愛とのコラボレーションで制作してきました。ノベルティや
MVの為に制作したアートワークも含めるとその数は数十点にも及び、Serphの音楽を
世に問う上で、今や河野愛のアートワークは欠かせないものとなりました。
そこでこのたび、これまでの河野愛によるアートワークを数点の描き下しとともに一
冊の本にまとめ、Serphのレア音源集CDを付けた、Serphと河野愛によるコラボレー
ション・アートブックの制作を思いつきました。
Serphと河野愛のこれまでのコラボレーションの記録となるこのアートブックを、ク
ラウドファンディングを通じて皆さまと共に作り上げる事が出来ればと思っています。
このプロジェクトに参加してくださる皆さまの為に、ジャケットの原画やSerphによ
る書き下し楽曲のプレゼントなど、この場限りの様々なリターンをご用意しました。
少しでもご興味をお持ち頂けたら、ぜひ皆さまのお力をお貸しください。プロジェク
トが無事成立し、このアート本を世に送り出せる事を楽しみにしています。
アートブック制作の実現へ向け、皆さまのご協力をどうぞ宜しくお願いします。

<Serphプロフィール>

東京在住の男性によるソロ・プロジェクト。2009年7月にピアノと作曲を始めてわず
か3年で完成させたアルバム『accidental tourist』をelegant discよりリリース。2010
年からはレーベルをnobleに移し、同年7月に2ndアルバム『vent』をリリース。以降、
2枚のフルアルバムといくつかのミニアルバムを発表している。
2014年1月には、自身初となるライブ・パフォーマンスを単独公演にて開催し、満員
御礼のリキッドルームで見事に成功させた。
より先鋭的でダンスミュージックに特化した別プロジェクトReliqや、ボーカリスト
NozomiとのユニットN-qiaのトラックメーカーとしても活動している。

<河野愛プロフィール>

1984年1月千葉県生まれ。2008年からフリーのイラストレーターとして、雑誌、広
告、映像、WEB、CDジャケットなど幅広いアートワークに携わっている。一部挙げ
るとソラリアプラザ、URBAN RESEARCH、Panasonic、Bunkamura、講談社、
KADOKAWA、ワコール、Serph、ほぼ日、その他多数。細密画をベースに形や大き
さや色、固定観念にとらわれず共存しあう空間を描く。
https://aikohno.com/

■河野愛からのメッセージ
これまでSerphのアートワークで様々な作品を生み出してきました。
それは、私が今迄自分だけの発想で描き上げたものとは違い、音のイメージにあった
テーマに沿ったもので、一人ではなくデザイナーやレーベル関係者の方とアイデアを
共有し、新しい発想の元、描いた事ないような描き方で描き上げ、素晴らしい仕上が
りとなって世に送り出してきました。
そんな作品も今では数十枚となり、それぞれ思い入れのある作品となり、一挙に集め
て、一冊の本になったら嬉しいな、って思っていました。
そんな中、レーベルの方に声をかけてもらい、一気に企画が進み、作品集として本を
販売する企画が実現するまで、あと一歩ということころまできました。
その、あと一歩、皆さんの力をお借りしたいです。
今迄、個人としての作品集を制作していないことから、この企画が実現出来れば、初
めての作品集が世に送り出せる事になります。
私の絵は、細密をベースにしているので、じっくり見て頂きたい想いがあります。
是非、ご協力頂けたら嬉しいです。

■Serphからのメッセージ
亜空間の原風景
蜃気楼の絵筆、デスティネーション・パステル
いつもSerphの作品世界を彩ってくれている河野さんの絵。
音に奥行きを与え、視界から音楽が流れていきます。
Serph体験をより濃厚にしてくれるアートワークを網羅する、必ず素敵な本になると
思います。皆様のご協力をお待ちしてます。

■アートブックの仕様について
・カラー40ページ+CD
・サイズ:A4変形(21cm x 25cm)
・シリアルナンバー入り
※新たな描き下し数点を含む、河野愛によるSerphの全アートワークを掲載予定。
★CD収録楽曲:
アートブック用に書き下ろす新曲含む、雑誌のサンプラー収録音源、ECサイトおよび
配信サイトの購入者特典用音源、1stコンサート用のリアレンジ音源など、全てアルバ
ム未収録の楽曲を8~10曲ほどコンパイルしたSerphのレア音源集。

■資金の使い道について
・本印刷代
・版下作成代
・デザイン代
・CDプレス代
・著作権使用料
・ ファンディング運営会社手数料

■プロジェクトがマッチング(成立)出来なかった場合:
商品の発売を中止とさせて頂きます。

■リターン内容
<500円>
・Serphと河野愛のお礼メッセージ
<3,000円>
・Serphと河野愛のお礼メッセージ
・完成した本を1冊
<5,000円>
・Serphと河野愛の直筆お礼メッセージ付きのオリジナルポストカード
・本のサンクスクレジットへお名前を掲載
・完成した本をSerphと河野愛のサイン入りで1冊
<8,000円>
5,000円のリターン内容に加えて、
・プロジェクト限定の非売品オリジナルTシャツ
・Serphの未発表音源2曲
※楽曲データのDLリンクを送ります。
<50,000円>限定1個
8,000円のリターン内容に加えて、
・Serph『Event Horizon』のジャケット原画を額装してプレゼント。
<50,000円>限定1個
8,000円のリターン内容に加えて、
・Serph『Winter Alchemy』の盤面に使用した原画を額装してプレゼント。
<100,000円>限定1個
8,000円のリターン内容に加えて、
・Serph『Winter Alchemy』のジャケット原画を額装してプレゼント。
<100,000円>限定1個
8,000円のリターン内容に加えて、
・Serph『Heartstrings』の中面に使用した原画を額装してプレゼント。
<100,000円>限定1個
8,000円のリターン内容に加えて、
・Serph『Candyman Imaginarium EP』のジャケット原画を額装してプレゼント。
<100,000円>限定5個
8,000円のリターン内容に加えて、
・あなたのテーマで河野愛が絵を描き、原画を額装してプレゼント。
<150,000円>限定3個
8,000円のリターン内容に加えて、
・Serphがあなたの楽曲を1曲リミックスします。
<200,000円>限定2個
8,000円のリターン内容に加えて、
・あなたのテーマでSerphが曲を作り、河野愛がジャケットを描きます。
・完成したジャケットと楽曲はデータにてプレゼント。
・描いた原画を額装してプレゼント。


DJ 威力 - ele-king

廉価で手に入れた古書10選

本とレコードを買うことの境目があまりありません。
最近、天神橋筋商店街の天牛書店にて、内容の割にかなり廉価で手に入れた古書10選です。
音の出ないレコード。

『dublub.jp OSAKA #11』at GalaxyGallery
Mark Frosty / MAYUMIKILLER / 威力

10.25.SAT
『TROPICAL HOLE』at PINEAPPLE EXPRESS
BING aka Toshio Kajiwara / Hobobrazil / 威力 / 池田社長 / GYOKU

11.1.SAT
『GORF meets ECHOES』at FROG
αAREA、PPMG、SPINNUTS、THE KLO、威力、KURITA、sonic、SB10、OLEO、NxOxT

11.23.SUN
『ECHOES』at atmosphäre
sonic、pulseman、orhythmo、DNT、SPINNUTS、CJ、行松陽介、威力

twitter.com/iiimmrrarrmmiii
https://yofukenoongakufan.tumblr.com/

Katakoto - ele-king

 2014年、衝撃のデビュー・アルバムを発表した、愉快なヒップホップ・グループのカタコト──人気絵描きのドラゴン(『ボブ・ディランは何を歌ってきたのか』の表紙イラストもこの人)、人気ラッパーのヤノシット、快速テツマルを擁する──がいっきに4つのPVを公開。そして、REMIX&マッシュアップ音源の絶賛フリーDLサイトも公開中です。1曲、group_inouのimaiがリミックス。これはけっこう、面白いです。ちなみに、借りたいDVDがわからないときは、木津毅か三田格かテツマルに訊くのが良いみたいです。


HELLO KATY MV

Man In Da Mirror MV

デス!プルーフ MV

ピアノ教室の悪魔MV

眠りたい音楽、眠らせないイヴェント - ele-king

 早耳のリスナーの間ではすでに注目されている気鋭の若手バンド、Taiko Super Kicks。今年8月には彼らの持ち味でもある浮遊感のあるスローテンポな曲群が収録された初の5曲入りミニ・アルバム『霊感』(限定店舗とライヴ会場、Bandcampのみでリリース)が話題となったが、そんな彼らが初の自主企画〈o m a t s u r i〉を10月31日に開催する。

 Taiko Super Kicksの音楽がどういうものか知らない人に説明するとしたらそれは、「ゆったりとしたBPM」がキモの「ギターの絡みが気持ちいい正統派オルタナ・ロック」だろうか。PavementやYo La Tengoといった90年代オルタナUSロックをフェイヴァリットに挙げ、22歳の瑞々しい感性で書き上げる曲は『霊感』をはじめ、総じて「気怠さ」を伴うところがポイントだとボーカル/ギターの伊藤暁里は言う。「最初はサイケっぽいものがやりたかった。次第に「気怠さ」に惹かれて曲作りを行うようになった。そのきっかけは村上龍の『限りなく透明に近いブルー』を読んでて、どんよりと倦怠感に包まれている、それまでにあまり知らなかったイメージだったこともあり、その感じを音に出したかった」。“霊感”“Ringo no Sitsukan”などの曲……具象を避け、雲をつかむようでいて親密、室内的で幽玄としたサウンドスケープ。それでいて、ちゃんと捻りの効いたロックをやっている。「眠気を誘うような、気怠い音楽をさらに突き詰めたいと思ったきっかけは去年のグルーパーやジュリアナ・バーウィックみたいなアンビエントっぽい女性ヴォーカルものを聴いて。霊感はそういうイメージで作ってました。すごいシンプルで寝ながら聴く音楽。その頃はライヴでも「客が眠りたいと思わせるような感じでやろう」とか言ってて(笑)」。

 自主企画のタイトルは〈o m a t s u r i〉、場所は〈o-nest〉でフロアとラウンジの2ステージで行い、moools、Lantern Paradeといった先輩バンドからLUCKY TAPES、New HouseよりPunPunCircleといった若手のバンドまでヴァラエティに富んだメンツ。さらには、先日アルバムをリリースしたばかりのnohtenkigengo、そしてミツメのnakayaan、『霊感』のジャケットも手掛けたmay.eと、彼らと親交の深いアーティストも参加する充実のラインナップに加え、ラウンジエリアにはココナッツディスクの出店とフリーマーケットなんかもある。
 「ライヴハウスに行ってスマホみるしかないとかつまんない時間を過ごさないようにしようっていうのがあって。待ち時間にしたくない。カッコいいバンドを集めただけのイヴントってのも熱いとは思うんですけど疲れるだけっていうのもあって、なのでできるだけヴァラエティを持たせて。あとは、同年代だけのバンド、勢いのあるバンドだけを呼ぶのも嫌なのもあり、こうなりました。絶対に誰でも必ずハマれる要素、瞬間を用意しています。ひとりで来ても楽しい、新しい何かに出会えると思います。」
 10月31日はお祭りへどうぞ。

■Taiko Super Kicks presents
” o m a t s u r i ”

10/31(Fri) @渋谷TSUTAYA O-nest
OPEN: 18:30 / START: 18:30
ADV: 2000 / DOOR: 2500 (ドリンク別)

【5F】
Taiko Super Kicks
moools
Lantern Parade(3人編成)
LUCKY TAPES

【6F】
may.e
nohtenkigengo
PunPunCircle(New House)

【DJ】
nakayaan(ミツメ)
A Taut Line(Greeen Linez)

【出店】
ココナッツディスク
オマツリフリーマーケット(7A 理科 出演者の皆様)

【チケット情報】
※以下プレイガイド及びメール、または各出演者様に直接お取り置きをお願い致します。ローソンチケット: 76511

e+

メール予約: omatsuri.info@gmail.com  (お名前と枚数をご明記ください)


あの一夜を着る - ele-king

ここまでアブストラクトにデザインされたイヴェントTシャツが過去にあっただろうか!?

10月2日に行われた〈ele-king night OGRE YOU ASSHOLE vs 森は生きている〉の記念TシャツをANYWHERE STOREにて販売いたします!

 先日行われたイヴェント、〈ele-king night OGRE YOU ASSHOLE vs 森は生きている〉。滅多にないこの組み合わせのライヴは、来場した方々より絶賛の声を多数頂きました。

 そしてこの事実を記録すべく制作し、当日は会場でも販売いたしました記念Tシャツが、ANYWHERE STOREでもお買い求めいただけることになりました。

 デザインは、紙版『ele-king vol.14』(売り切れが危ぶまれているエイフェックス・ツイン表紙号!)のアート・ディレクターを務めた気鋭のデザイナー・鈴木聖。

 両バンドの音のイメージをアブストラクトに表現した、他のイヴェントTシャツとは一線を画したデザインではないでしょうか!?

 背中にさり気なく、このイヴェントが行われたことを記録してございます。


Tシャツ前面にプリントされている2つのテクスチャー。
柔らかい素材で、首回りの詰まりすぎないTシャツです。

■お買い求めはこちらから!

ANYWHERE STORE (https://anywherestore.ele-king.net/?pid=82487259


森は生きている - ele-king

 もう秋だ、冬だ。2014年を振り返ってみると、UKのエレクトロニック・ミュージックと日本のインディ・ロックの1年だったという印象を受ける。たとえば坂本慎太郎の『ナマで踊ろう』、オウガ・ユー・アスホールの『ペーパークラフト』……などなど、そして森は生きているのセカンド・アルバム『煙夜の夢』。
 ele-kingの12インチ・シリーズの第三弾は、森は生きているのキラー・トラック「ロンド」、GONNOによるリミックスである。ライヴでも甘美この上ない演奏のこの曲は、読者諸氏にはもはや説明不要であろう。A面では、メンバー自らの再ミキシング・ヴァージョン、B面は世界を股にかける男、GONNOによるハウス・ミックス・ヴァージョン。これがまた、醒めたくない夢そのもので……。
 斜に構えて、洒落ている世代が台頭しつつある。スタイルをばっちり身につけている。森は生きているは、ソフト・ロックを徹底的に参照するだけでは飽き足らず、新作ではもっとダイナミックな飛翔を遂げているが、それはまた別の機会に。

森は生きている
ロンド EP feat. Gonno

Pヴァイン

Phychedelic RockSoft RockDeep House

Amazon


- ele-king

 ここ数年、戦前歌謡曲の熱が高まっている(と思う)。とくに、戦前のレア音源を積極的に発掘・紹介する〈ぐらもくらぶ〉というレーベルが、一部で好評を得ている。貴重な復刻作業を続けてきたその〈ぐらもくらぶ〉が満を持してリリースしたのが、泊の『霽月小曲集』だ。

 僕が泊の演奏を初めて聴いたのは、今年のゴールデン・ウィーク、江戸東京博物館でのことである。そのときはたしか、昭和初期のエロ歌謡や二村定一の曲などを歌っていた。このレパートリーからもわかるように、泊というバンドは、〈ぐらもくらぶ〉というレーベルにふさわしく、戦前から戦後すぐあたりの歌謡曲を基調にしている。笹山鳩(漫画家の山田参助である)の歌唱は、丸山明宏とあがた森魚を足したようだ。戦前の歌謡曲と言うと、いかにも古臭い民謡や、あるいは物騒な軍歌などをイメージするかもしれないが、必ずしもそうとは言えない。大衆モダン文化が華やいだ昭和初期の音楽は、ジャズを巧みに取り入れたハイブリッドなポップスとして展開されていたのである。「架空流行歌ユニット」を標榜する泊は、そのような時代の音楽の形態模写をしていると、ひとまずは言える。三拍子で小気味よくスウィングするアコーディオンとギター/マンドリンと、そのうえでのびやかに歌われる曲たちは、昭和初期におけるジャズソングの記憶を喚起する。とくに“マルゲリータ・ハポネサ”のスウィング感などは、現在の音楽ではなかなか聴くことのできないものである。

しかし、本作が一部の戦前歌謡曲ファンのものにとどまってしまうことがあるとすれば、それはあまりにも惜しい。戦前歌謡曲のスタイルとは言え、泊はもちろん現在のバンドとして活動しているし、聴き手もまた現在を生きている。泊自身、とくに本作では、当時の音楽をいかに現代的に響かせるか、ということを意識している感じがする。だから本作は、ele-king読者諸兄のなかにもいるだろう、オルタナ・ファンのような人にこそ届いてほしい。そう、『霽月小曲集』は、オルタナティヴ・戦前歌謡なのだ。
 いや、これはあながち冗談でもない。本人たちが意識しているかどうかは別として、本作を聴いていると、ときどき本当にオルタナ的な響きを感じ取ることがある。本作のライナーを書いている音楽評論家・小川真一は、武村篤彦の「相の手のような、呟きのような」ギターに、マーク・リボーとビル・フリゼールを思い出していたが、なるほど共感する部分はある。僕は、基本的に歌謡曲ファンとして泊を聴いていたが、本作については、ニック・ドレイク~デヴェンドラ・バンハートといったアシッド・フォーク/フリー・フォークの延長で聴いている感覚も間違いなくある。とくに“げんごろう小唄”は、和製アシッド・フォークの大傑作である。とても感動した。この格別に美しい曲は、途中、香取光一郎のフルートが挿入されるのだが、これが往年の木田高介(休みの国、ザ・ジャックス他)を彷彿とさせる。木田高介好きとしては、とくに感銘を受けざるをえない。
 本作は、戦前歌謡曲でありながら、かつオルタナである。それは単なる勘違いだろうか? もしかしたら、そうかもしれない。でも、そういう勘違いはたぶん大事だ。僕は、デヴェンドラ・バンハートやアニマル・コレクティヴが好きなようなリスナーに、本作をおすすめしてみたい。

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