「Nothing」と一致するもの

ラリ・プナだって! - ele-king

 〈Morr Music〉を筆頭に、「あの頃のエレクトロニカ」にもふたたび光が当たりつつあるのかもしれない。ラリ・プナの再来日が10年ぶりというのは、その背後にさらにいろいろなものの“10年ぶり”をしたがえているように思えてならない。あのあたたかくつめたい音を、ある人々はなつかしく、ある人々は新鮮に聴くことになるだろう。
 来年2月の来日は一夜限り。逃すのはもったいない機会だ。

■LALI PUNA Live in Tokyo 2015
with special guest TRAMPAULINE

 ドイツのMorr Musicの看板アーティストとして、2000年代初頭のエレクトロニカ・ブームの寵児とも言える存在だったラリ・プナだが、その後も寡作でマイペースな活動ぶりながら一作ごとに新たな顔を見せ、ヴァレリー嬢の唯一無二のヴォーカルも相俟って、その作品群はいま聴いても全く色褪せていない。日本初となる単独公演では、新旧の楽曲を織り交ぜたロングセットで、定評があるライブ・バンドとしての魅力も余すところなく伝えてくれるだろう。そして、2015年1月にラリ・プナのドイツ・ツアーでサポート・アクトをつとめることになった韓国のエレクトロ・ポップ・バンド、トランポリンが東京公演にも特別出演決定! 2012年の初来日公演でも絶賛を浴びたクールで熱い彼女たちのパフォーマンスも見逃せない。

■公演詳細
2015 年 2 月 11 日(水・祝)
代官山 UNIT
開場 18:00 /開演 19:00
前売 4,800 円/当日 5,300 円
チケット取扱: e+, ローソンチケット
お問い合わせ:
代官山 UNIT TEL:03-3464-1012 https://www.unit-tokyo.com/
DUM-DUM LLP 03-6304-9255
https://dum-dum.tv
チケット一般発売: 12/ 28( 日 ) 10:00 ~
◎先行予約 ; 12 月 20 日(土)18:00~ 12 月 23 日(火)23:00

■ヴォーカル、ヴァレリー・トレベルヤーからのメッセージ
「久しぶりに東京に行って演奏できることをとても楽しみにしています。前回東京に行ったのは4年前、高橋幸宏さんが私をゲストシンガーとして招いてくださった時でしたが、2005年に初めて東京と大阪、それに京都を訪れた時、私たちはすっかり日本の虜になりました。ラリ・プナの一員として再び日本で演奏できることを嬉しく思います。そして、トランポリンとのコラボレーションもとても楽しみです。彼女たちのヴィデオをYouTubeで観て、私は即座に彼女たちの演奏に魅了され、ラリ・プナとの相性もいいだろうと確信しました。そして、実際にそうだと分かりました。私たちは2曲を一緒に作ることにした
のですが、とてもうまく行ったんです。」──ヴァレリー・トレベルヤー(ラリ・プナ)

■ラリ・プナ(Lali Puna)
1998年初頭、ドイツ・ミュンヘンにて、ヴァレリー・トレベルヤーのソロ・プロジェクトとして始動。間もなく、ザ・ノーツイスト(The Notwist)やタイド&ティクルド・トリオ(Tied & Tickled Trio)のメンバーとしても知られるマルクス・アッハーが加入。同年8月にHausmusikより7インチ・シングルをリリースした後、レコーディングのみならずライブ演奏も志向していく過程で、ドラムのクリストフ・ブランドナーとキーボードのフロリアン・ツィマーも加わり、4人組のバンド編成となる。1999年9月、まだ設立後間もないベルリンのレーベル、Morr Musicよりデビュー・アルバム『Tridecoder』をリリース。2001年9月に発表したセカンド・アルバム『Scary World Theory』は、歌ものエレクトロニカの可能性を押し広げた作品として絶賛を浴び、ラリ・プナのみならず、Morr Musicの人気とレーベル・カラーを決定づける作品にもなった。2002年秋には初のUSツアーを敢行するが、その数ヶ月後に、フロリアンが、自身のプロジェクト、Iso68に専念するためバンドを脱退、後任としてクリスチャン・ハイスが加入。2004年4月には、ギターを多用し、ロック色を強めたサード・アルバム『Faking the Books』をリリース。2005年5月には、ドイツのエレクトロ/インディーポップ寄りのアーティストが多数集結して東京と大阪で行われたイベント「Soundz from Germany 2005」で初来日。2010年4月、長いブランクを経て、6年ぶりの新作『Our Inventions』を発表し、これまで以上に精緻で研ぎ澄まされたエレクトロ・ポップを聴かせた。バンド名の「ラリ」はヴァレリーの幼少時のあだ名、「プナ」は彼女の出生地である韓国のプサンのことを指している。

■トランポリン(Trampauline)
韓国・ソウルにて、チャ・ヒョソンのソロ・プロジェクトとして始動。2008年にフォーキーなエレクトロニカを換骨奪胎したような清新なサウンドが光るデビュー・アルバムを発表。2011年には、ギタリストのキム・ナウンをメンバーに迎え、ヒョソンの独特な英語詞の歌い回しとクセのあるエレクトロ・ポップが見事に融合したセカンド・アルバム『This Is Why We Are Falling For Each Other』を発表。同年の韓国大衆音楽賞で2部門にノミネートされる。2012年6月には、IRMA Records Japanよりセカンド・アルバムの日本盤がリリースされ、同年9月には初来日、VOGUE JAPAN誌主催のファッションイベントの一環としてagnes bの表参道店にてライヴを行い、渋谷O-nestでも公演した。2015年1月には、ドイツでラリ・プナと3公演を行う他、2月には韓国のソウルとプサンでの共演も決定している。ヴォーカル/シンセサイザーを担当するヒョソンを軸としたバンド編成は流動的だが、現在はキム・ナウンとベースのチョン・ダヨンを加えた3人を正式メンバーとして活動している。


David Sylvian - ele-king

 デヴィッド・シルヴィアンは20世紀最後のロマン主義者だ。ロマン主義とは「夜」を好む芸術である。そして、彼の近作は夜の音楽なのだ。たとえば2009年にリリースされた『マナフォン』の、あの音、あの気配、あの空気。真夜中の密やかさと、ざわめきのような音楽。
 2014年暮れ、わたしたちのもとに突如届けられた新作もまた夜の音楽である。より正確に言うならば、本当の光=朝を希求するための真の夜の音楽とでもいうべきか(リリースは彼自身のレーベル〈サマディサウンド〉から)。

 本作は、シルヴィアンが敬愛するという米国の詩人フランツ・ライトとのコラボレーション作品である。フランツ・ライトの朗読に、シルヴィアンらが作り上げた幽玄なトラックが折り重なる音響作品に仕上がっており、彼のヴォーカル作品とはちがうラインに属しているといえる。インスト作品の系列だ。
 しかし、これは彼のサイドワークではない。これまでもシルヴィアンはインスト楽曲/作品を発表している。そしてそれらは彼の芸術を考えていくうえで欠くことのできない重要な仕事であった。むしろデヴィッド・シルヴィアンという音楽家の本質は、そこにこそ息づいているようにすら思える。たとえばセカンド・アルバム『ゴーン・トゥー・アース』(1986年)はヴォーカル盤とインスト盤との2枚組だったし、近年の『ウェン・ラウド・ウェザー・バフィテッド・ナオシマ』(2007年)や、ステファン・マシューとのコラボレーション作品『ワンダーミューデ』(2012年)、ヤン・バング、エリック・オノレらとの共作『アンコモン・ディアティーズ』(2013年)など、エレクトロニカ/音響以降の手法を昇華したインスト・アルバムをリリースしている。そのどれもが素晴らしいアトモスフィアを発している作品であった。
 本作は、それらのアルバム以上にシルヴィアンの美意識と個を強烈に感じる作品である。たしかにフランツ・ライトとの詞から受けたインスパイアが創作の源泉には違いないし、近年重要なコラボレーターでもあるクリスチャン・フェネスも全面的に参加している。そのうえAMMやモートン・フェルドマンの録音でも知られるピアニスト・ジョン・ティルバリーや、ノルウェイのトランペッター・アルヴェ・ヘンリクセンなどが素晴らしい演奏を添えてはいる。
 しかし、本作が放つ音の夜の闇のような深い色彩は、まさにシルヴィアンのソロ・アルバムといっても過言ではない。「ああ、この音響空間こそ00年代以降のデヴィッド・シルヴィアンが至った境地なのだ」と、深い溜息が漏れ出てしまう。

 冒頭から鳴り響く、無調の中にほんの少しのロマンティシズムの香水を落としたようなジョン・ティルバリーのクリスタルなピアノ。そこに絡む強烈なノイズ。フランツ・ライドのメタリックな声。フェネスの演奏と思えるエレクトリック・ギターと音響構築。さらには『マナフォン』でのレコーディング・セッションでの音源も見事にリサイクルされていく。それら肌理細やかなコンポジションは、徹底的に研ぎ澄まされており、しかし機械のような無機質さというよりは、空気のような抽象性を獲得しているのだ。
 かつて武満徹は『エンバー・グラス』(現在はCD盤『アプローチング・サイレンス』(1999)に収録)、とくに2分ほどの小品“エピファニー”(!)を絶賛したが、もしも武満が本作を聴いたら同じように称賛の声をあげたのではないか。このアルバムには、あの“エピファニー”にあった(声と音響の)モンタージュというシネマ的な方法論が存分に拡張されているからである。映画的といってもよいが、それはデジタル・ハイヴィジョンな映像というよりは、フィルム的な質感を思い起こさせるものだ。モンタージュといっても、細やかにカットを繋いでいく映画ではなく、キャメラの長回しのような感覚である。そう、シルヴィアンや武満徹が敬愛する、あのタルコフスキーの映画のように……。

 音楽家デヴィッド・シルヴィアンの手腕が存分に発揮された濃密なトラック(60分もの長尺!)は、静寂の中にある音の蠢きをじっくりと掬いあげていく(『ブレミッシュ』(2003)、『マナフォン』以降、ギターやコンピューターなど、コ・プロデューサー的な役割でシルヴィアンをサポートするクリスチャン・フェネスの音響処理も見事)。とくに弦楽器のレイヤーが醸し出す緊張感は、彼自身も深くリスペクトする武満徹作品を思わせもするし、グスタフ・マーラーが轟音のオーケストレーションの裏側に潜ませておいた闇夜の静寂なロマンティシズムとでもいうような、シルキーな音の連鎖/感覚もある。夜とは昼の裏側にある世界だ。そこにある深い静寂を、シルヴィアンは強く希求しているのではないか。
 静寂な夜の森に満ちている気配のような音。密やか音。微かなノイズ。エレクトロニクス化したモートン・フェルドマンのごとき音。そこにあるロマンティシズムの残滓。闇の中で変化する色彩のような音。ピアノの点描的な演奏/配置。絹のような弦楽器のレイヤーとコンポジション。それは不穏であり、清冽であり、複雑であり、単純であり、冷たくひんやりした空気のようであり、気配の充満した静寂のようでもある。
 
 夜の音楽。夜の音響。この2014年の黄昏に、この作品が世に出たことは記念すべきことだ。騒々しく変化し続ける世界に背を向け、真夜中の静寂と、幾千の音の蠢きに耳を澄ますこと。1970年代の終わりごろ、若きシルヴィアンが、彼の住むロンドンのフラットで、武満徹の“鳥は星形の庭に降りる”に何度も耳を澄ましていたときのように、われわれもまた本作に何度も耳を澄ますことになるだろう。それは音楽と芸術によって、世界をもう一度再生する試みである。だからこそ本作の終焉、まるで真夜中から朝への移り変わりのような弦楽器(まるでドビュッシーのような!)の響きが、あれほど鮮烈に鳴っているのだと思いたい。
 夜を経由した、まっさらで、透明で、クリスタルな、本当の「朝」の生成。本作のコーダには、そんな奇跡的な朝の気配が生まれている。いわば、新しい生のはじまり。だが、それは真の「夜」があるからこそ生まれる奇跡、とはいえないか。

 デヴィッド・シルヴィアンは「夜」の音楽を生み出している。何故なら彼こそ20世紀最後のロマン主義者であり、21世紀においてロマン派芸術の思想と美意識を受け継ぐアーティストだからである。シルヴィアンは夜が生み出す「浄化」の力を、強く、深く、信じている。本作は、そんな彼の思想と美意識の結晶である。

jjj - ele-king

 『YACHT CLUB』を最初に聴いた感想は、パブリック・エネミーやアイス・キューブ『アメリカズ・モスト・ウォンテッド』のプロデュースで知られるボムスクワッドのハンク・ショックリーの次の言葉に集約される。「音楽は組織化されたノイズに他ならない」というものだ。『YACHT CLUB』は実際にすさまじいノイズの美学で、フロウ、レイヤリング、ラプチャーという、90年代にトリーシャ・ローズが『ブラック・ノイズ』(1994年)で定義したヒップホップの三大コンセプトを否応なしに彷彿させる。

音数の多さとドリフト走行をくり返す激しい展開にまず圧倒される。一曲のなかで複数のキック(バスドラ)、スネア、ハイハット、あるときはリムショットを用い、いくつものサンプリング・ソースをレイヤリングしていく。ブルース・ロックのギターが唸りを上げ、オルガンのビター・スウィートな音色が響き渡り、パーカッションがカツカツカツカツと打ち鳴らされ、レコードを引っ掻く針の音が次のヴァースへの高揚感をギギギギーと煽る。そうかと思えば、唐突にそれまでの展開を切断する(=ラプチャー)ビート・パターンやシンセ音を大胆にくり出し、聴く者を翻弄し、ソファにふんぞりかえる鑑賞者になる余裕を与えない。jjjは「アメブレイク」のインタヴューで、「サンプリング6:シンセ4って感じですね。音源は、聴こえないところとかで隠して使ってますね」と語っているが、いずれにせよ、この騒々しさと疾走感にぐるぐると目が回るのはたしかだ。全17曲中のいくつかは、さながら暴走特急である。

 僕と同世代のあるビートメイカーは、jjjのトラックのこの騒々しさについていけないと漏らしたが、言いたいことはわかる。これは、若さの速度であり、若さのエネルギーの放出であり、89年生まれのjjj流のクールなバカ騒ぎだ。そして、このけたたましい騒音のなかに潜り込み、強い意志のこもった言葉と毅然とした態度でスピットし、切れ味の鋭いライミングを優雅に披露していく。ビートと併走しながら、シュッシュッシュッと忍者のようにあちこちに飛び回る俊敏なフロウで音の時空をコントロールし、jjjの暴走特急は終着駅までぶっ飛ばす。さあ、参考までに、ボクシングの試合開始を告げるカンカンカンというゴングの音が闘争心を高める次の曲を聴いてほしい。NYのハーレムに移り住んだキッド・フレシノをフィーチャーし、ミュージック・ヴィデオはNYで撮影されている。


jjj - vaquero! ft. KID FRESINO (prod.jjj)

 jjjのラップや断片的なリリックに意味や主張がないとは言わないが、リズム楽器としての切り返しの鋭さの魅力が勝っている。池袋の〈bed〉でライヴを観たとき、同じステージに立つ、酩酊気味で覇気のない仲間のラッパーたちに対して、「ヨレてんじゃねえよ!」という叱咤の言葉を吐き出したjjjの容赦のない表情をいまでも鮮明に覚えているが、jjjのビート/トラックとラップのヨレの無さそのものが彼の主張であり、メッセージだろう。
 「PAINやGAINの話じゃねえ/すべて向き合った上/HAVE A NICE DAY!」(“Fla$hBackS”)というパンチラインで、日本のラップ・ミュージックの新しい時代の幕開けを予感させた色男である。そう簡単に、わかりやすい言葉でわれわれを納得させたり、期待させたり、甘い夢をみせるような野暮な真似をしないだろう。密かな野心とクールな立ち居振る舞いと厳しい表情というものが、jjjにはよく似合っている。

 さて、ここで触れるべきことにも触れておきたい。フラッシュバックスのメイン・トラックメイカーであり、ラッパーのjjjによる、幾度かの延期ののちに発表されたファースト・ソロ・アルバムには、クレジットを見るだけで、「おっ」と反応してしまう点がいくつかある。まず、スキット/インタールード的な3曲以外のミキシング(ヴォーカル・ミキシングのみの曲を含む)をすべてD.O.I.が担当していること。さらに、リップスライムのSUとACOが参加していること。そして、キッド・フレシノ、説明不要の3人組のモンジュ、若手のキアノ・ジョーンズ、ヤング・ドランカーズのムタ、盟友フェブ、Taha Vanillaという美しい歌声の女性シンガーが参加している。

 ここで作品全体の根幹に関わるのはやはりD.O.I.である。D.O.I.は、95年に発足したDJ KENSEIとnikとのプロジェクト、インドープサイキックスのメンバーの一員として、ブレイクビーツ/エレクトロニカという形式を採りながら、誤解を恐れず言えば、その目の覚めるようなクリアな音響のみでクラブ・ミュージック・リスナーの耳の感覚を変容させ、ジャンルの壁を打破した人物である。また、エンジニア/マニピュレーターとしてブッダ・ブランド、ムロ、ライムスターといったヒップホップ勢を手がけ、安室奈美恵やエグザイルといったJ・ポップの楽曲のミキシングも担当している。そして、jjjがD.O.I.氏を引っ張り出した(この表現を使いたくなる事件なのである)ことは大正解……というとおこがましいが、jjjは自分が目指すべき音の方向性を明確に意識して、制作に入ったということだろう。

 これだけのノイズ=サンプリング・ソースとけたたましいサウンド(メロウで、レイドバックした楽曲もあることは付け加えておこう)を構築、構成する上で、D.O.I.のミキシングと、推測するに彼からのアドヴァイスも大きかったのではないだろうか。いや、まぎれもなく、ノイズを音楽にするスリリングな創造はjjjの手によってもたらされたに他ならない。
モンジュをフィーチャーした“go get 'em”がそのことを証明している。80年代ディスコ風の上ネタのチョップの俊敏性と斜めから切り込むモンジュの3人とフックのjjjのラップ・シンギンと3連ハイハット、極めつけは意表を突くMr.PUGのヴァースのあたま8小節の(おそらく)殿下のファルセットと女性の喘ぎ声の大胆な引用だ。はちゃめちゃなことをやっておきながら、この曲は、jjjのハーモニーとメロディのセンスによってポップなラップ・ミュージックとして成立している。一皮剥けば、そこにはばらばらのノイズが散らばっているというのに、jjj流のフレッシュな秩序がたしかに存在している。見事だ。

A-Symmetry - ele-king

 権力者というのは、政治的な文脈よりも、僕は感情を自由に表現している人ではないかと思ってしまう。独裁者というのは実際の能力よりも怒ったり笑ったりが激しく描かれるものだし、上司がいると自分の感情を押し殺しているのが部下というものだし。そのような上下関係がはっきりしていない場合でも、なぜか感情をストレートに出す人と出さない人はいる。どこでどうしてそれは分かれるのだろうか。人前で自由に感情を表現している人はひとりのときも上がったり下がったりは激しいのだろうか。大体、自分が他人といるときはどのように感じられているかも本当のところはよくわからない。ひとりでいるときもわかっていないことが多い。若いときは感情に振り回されることが多かったので、いつの間にか、できるだけ変化がない方がいいと思うようになってしまった。実際、感情のアップサイド・ダウンはかなり疲れる。つまり、日常的には音楽にあまり影響はされたくないと考えることが多い。たいていの場合、周囲の騒音を消してくれる+αぐらいのBGMを取り替えながら聴くことがほとんどである。喜怒哀楽がはっきりせず、感情の揺れのない音楽となると、モノトーンで少し憂鬱気なものが僕はいい。落ち着いてるときの自分が好きだからでしょう。なんというか、面白味のない人間だよなー。

 90年代後半はそういったレイジーな音楽が当たり年とも言えるほど多かった。エール、アラブ・ストラップ、DJシャドウ、モータベース、ミッシー・エリオット、クルーダー&ドーフマイスター、デミアン・オニール……歌詞がなければフィッシュマンズもそうで、同じく音だけを聴けばエイフェックス・ツイン「ウィンドウリッカー」やTLC「ウォーターフォール」もそうだった。当時はレイディオヘッドがあまりに悲愴感を強調し、どうにも大袈裟だったので、そういった音楽を聴くことで余計に落ち着いていられたともいえる。なかでもターウォーターはそれ以来、これっぱかも音楽性を変えず、しかも、順調にリリースが続いているという意味でも驚いてしまう。前作もまったく同じようなものだったし、「E王」ならぬ「落ち着き王」とかそんな感じ。何度聴いても盛り上がらない。ただひたすら無力感に甘えさせてくれる。「アドリフト」というのは、漂っているという意味だけど、どれだけ時代が変化しても、彼らはいつも定位置にいるという感じがしてしょうがない。

 お花畑のような音楽だけがエスケーピズムというわけではない。フィンランドの孤島に住むAGFとグルジアのTBAが組んだファースト・コラボレイション『アイ・アム・ライフ』もただ単にじとーっとしているだけで、マインド・フルネスとかそういうことから遠ざからせてくれる(近づいているのかもしれないけれど)。瞑想というのが、僕はどうにも嫌いで、それこそ大脳やとくに前頭葉を発達させたのが人類の特異な点だというならば、知能や感情、あるいは他の生物ではあまり認められていない自意識といったものが人類の人類たる由縁ということになるはずだし、感情や自意識といったものがこんがらがってどうしようもない状態から逃れて動物のように平静な気分でいるということは、せっかく手に入れた前頭葉を放棄するようなものではないかと。それではコンピュータが使えないジジババとどこが違うんだろうかと。平常心などというものを手に入れたとしても生産性が上がるだけだろうし、鬱々としている方が僕は大脳を発達させた意味があると思うんですよねー(少なくとも「使ってる」んだから)。

 あるいは、ここで取り上げたドイツ勢はアメリカのニュー・エイジ志向とは好対照に「物質」と観念が結びついていることも興味深い。人種という概念から自由になりたいというアメリカの反物質主義的な感覚もわからないではないけれど、生命について自然科学的なアプローチを用意したところで抽象的レベルでは大して変わらない表現に辿り着くというか、自然科学というのは日常というものがどうやって成り立っているかを明らかにしようとする過程で、オカルティックな要素に出会わざるを得ないというようなものなので、はじめから素通りしてしまうのは「考える楽しみ」を放棄しているようなものだし。ドイツの神秘主義というのも、それはそれで筋金入りだし、それこそAGFやTBAにもそれはどことなく浸透しているのだろう。この宇宙が光だけでできていれば質量(重さ)というものは存在しなかったけれど、「アシンメントリー=対称性の欠如」がそれを生み出し、そうしたインフレーション(=宇宙が膨張すること)の先に命だったり、人間というものも位置づけられるというのが彼女たちのコンセプトのようである。これをすべてサンプリング音源だけで作り上げたのが『アイ・アム・ライフ』。広がった宇宙を回収する作業というか。

ele-king vol.15 - ele-king

表紙&ロングインタビューは「坂本慎太郎」
第1特集:坂本慎太郎と邦楽の詩人たち
第2特集:2014年、エレキングが選ぶ年間ベスト・アルバム30枚     他
電子書籍版へのアクセスキーがついています

1975年2月、東京の小さな街高円寺に誕生した小さなライブハウスJIROKICHI。
以来40年、ジャンルを超えて、時代を超えて、今日まで愛され続けています。
ディジュリドゥ奏者としても活躍した稀代のマスター荒井誠による「次郎吉物語」に大幅加筆。30人あまりのミュージシャン、関係者へのインタビュー、40年間のスケジュールとともに、1970年代から現在までの日本のロックシーンが鮮やかに浮かび上がります。

ライブの現場。それは音楽だけでなく文化を生み出す場所。
そして人と人とが出会い人生と社会を形づくる場所。
ライブハウスの役割って?
音楽に関わり続けるとはどういうこと?
ライブハウスが乱立する今、小さな店の物語がノスタルジーを超えて音楽の本質を垣間見せてくれます。

Lawrence English - ele-king

 英国のオンライン・ミュージック・マガジン『FACT』の2014年ベスト50において、数あるポップ・ミュージック勢に混じって、ローレンス・イングリッシュの2014年作品『ウィルダネス・オブ・ミラーズ』が選出されていたのには驚いた。順位は21位だが、この種のエクスペリメンタル・ミュージックなアンビエント/ドローン作品がポップ・ミュージック勢に混じって選出されたことは注目に値する。これは昨年リリースされ、多くのメディアの年間ベスト内に選出されたティム・ヘッカー『ヴァージンズ』以降の変化だろう。あの作品への評価は、ドローン/アンビエントなアルバムが、ポップ・ミュージックとして受容=需要されつつあることの象徴といえる。

 近年のローレンス・イングリッシュの活動を振り返ると、〈ウィンズ・メイジャー・レコーディングス〉からのリリースや、自身が主宰する〈ルーム・40〉の旺盛なレーベル活動に加え、ベン・フロストの『オーロラ』(2014)への参加も重要に思える。ベン・フロストと〈ベッドルーム・コミュニティ〉の面々はティム・ヘッカーの『ヴァージンズ』にもエンジニア、パフォーマーとして全面参加しているのだから、西欧のドローン/アンエント・シーンは、コミュニティのように連帯しているのだろうか。
 そして、〈ベッドルーム・コミュニティ〉といえば、ニコ・ミューリーなど、ポスト・クラシカルの話題作もリリースしており、日本人が思う以上にポストクラシカル(=モダン・クラシカル)とドローン/アンビエントの境界も、また曖昧ともいえる。(ポスト/モダン)クラシカルな音楽(ハーモニー/メロディ)が(西欧)人の心にもたらす安堵と沈静は、日本人がときに「癒し」などと軽い言葉で消費するのとは違い、音楽的な源泉のようなものである。だからこそアルヴォ・ペルトは偉大な作曲家なのだ。しかしペルトのような作曲家ですら、かつてのニッポンの知識人層からは、通俗的な癒しの音楽などと断じられてしまったわけで、となると、そもそもわれわれはドミソの三和音のハーモニーの美しさですらわかっていなかったのではないかと自虐的に思ったりもするが、これは余談。

 アンビエント/ドローン/ノイズ、ポスト(モダン)・クラシカルの交錯。ローレンス・イングリッシュの新作『ウィルダネス・オブ・ミラーズ』(イングリッシュ自身が主宰する〈ルーム・40〉からのリリース)は、そのような状況下にリリースされたわけだが、その音は、一聴し即座にわかるように、これまでの穏やかなドローン/アンビエント・サウンドのイメージを覆すように一種の轟音化/ノイズ化の様相を示している。リリース時は、ティム・ヘッカーの『ヴァージンズ』の類似なども指摘されたが、先に書いたように彼を取り囲む現在のコミュニティを体現しているといえるから当然の変化だろう。またローレンス・イングリッシュは、本作の制作中にスワンズやマイ・ブラッディ・ヴァレンタインのライヴを体験し、轟音空間に打ちのめされ、影響を受けたとも語っているのだから、近年のノイズ・ムーヴメントの空気を存分に吸収して生まれたアルバムともいえる。さらに、その不穏な音は、インダストリアル・テクノ以降の「世界の不穏さ/不安さ」を体現したような音楽にもリンクしており、インダストリアル・テクノ以降のダーク・アンビエント作品として聴くことも可能である。その意味で、二―ル『フォボス』などとともに聴くべきアルバムかもしれない。

 しかし、そうはいっても本作は、「静寂と空間の作家ローレンス・イングリッシュ」の作品である。その音響空間の設計/構築には、かつてと同様に複雑な静寂性がある。ドローンといえば単一の音が持続するものだが、イングリッシュの音は、いくつものドローン的な持続が、平行的/多層的に続き、絡み合い、まるで一瞬の響きを引き伸ばされた、いわば弦楽のようなドローン=電子音響に仕上がっているのである。2012年にリチャード・シャルティエの〈ライン〉からリリースされた『フォー/ノット・フォー・ジョン・ケージ』と本作を続けて聴いてみると、サウンドの構造的には非常に似通っているのがわかってくると思う。
 これはステファン・マシューの『ザ・サッド・マック』(2004)あたりをオリジンとする、00年代後半のドローン/アンビエント・シーンのベーシックなフォームともいえるが、その中にあって、イングリッシュの音は、かなり洗練されたものだ。低音部から高音部の音が、ハーモニーともレイヤーともちがう調和/非調和で持続する感覚。私見だが、10年代のノイズ/ミュージックは、80年代のそれが反社会的なイデオロギーを内包し表出していたのとは対照的に、サウンドの多層性によって、時間/音響をコントロールし、静寂(のイメージ)を生成しようとしていたように聴こえる。その意味で、エレクトロニカ以降のドローン/ノイズ・ミュージックは、新しいハーモニーの生成ですらあったのではないか。

 それはローレンス・イングリッシュの場合も同様で、音響と音響のレイヤー、つまり音と音の重なりあいの構造によって新しい沈静(=ハーモニー)が生成している。つまり、サウンド/音響の構造によって、静寂が生まれているのだ。たとえ轟音化した『ウィルダネス・オブ・ミラーズ』であっても、それは同様であり、〈ウィンズ・メイジャー・レコーディングス〉からリリースされた彼のフィールド・レコーディング作品『Suikinkutsu No Katawara Ni』や、鈴木昭男との共作『Boombana Echoe』などと、それほどかけ離れた作品ではない。つまり、『ウィルダネス・オブ・ミラーズ』は、現在のアンビエント/ドローン・シーンの変化を十二分に体現しつつも、彼のサウンド・デザイナー/音楽家としての資質を浮きぼりにした作品なのだ。
 同時に、『FACT』の2014年ベスト50内に選出されたということは、先に述べたような西欧音楽の源泉のようなエレメント、つまり調和による鎮静というものが、『ウィルダネス・オブ・ミラーズ』にも埋め込まれているからではないかとも思う。ドローン/アンビエントは、鎮静に特化した音楽形式でもあり、決して、難解な音楽ではない(それは新しいハーモニーの生成でもあった)。それゆえむしろポップ・ミュージックになりえる。『ウィルダネス・オブ・ミラーズ』は、ポップ・ミュージック化するドローン/アンビエントいう2013年の『ヴァージンズ』以降の環境を象徴する一作ともいえる。まさしく2014年の必聴作だ。

お隣の県のOGRE YOU ASSHOLE - ele-king

 山梨のラッパー、田我流が、国道20号線をたどって「お隣の県にお住まいの」オウガ・ユー・アスホールを訪ねるロード・ムーヴィ……ではなくインタヴュー・ヴィデオが届けられた。これは12月20日(土)に甲府Convictionにて開催される〈国道20号線〉第4弾を記念しての特別企画だ。取り合わせとして意外な印象もある2組(田我流×出戸学)が、田我流を訊き手としながらもくだけた雰囲気で語りあう12分の動画は、ドキュメンタリー・フィルムのような編集が施され、ここに映し出されているような心地のよい音楽の場所がおそらくイヴェントにおいても生まれるのだろうということを予感させる。
 どちらかのファンの方も、どちらのファンでもない方も、この清々しくぬくもりあるコラボレーションに、思わず興味をかきたてられるだろう。
 イヴェントにはゲストとして「東京の」KILLER BONGも登場する!



■田我流 presents 「国道20号線 Vol.4 」
& OGRE YOU ASSHOLE 「ニューアルバム・リリースツアー "ペーパー・クラフト"」

出演:
田我流 (Band Set)
OGRE YOU ASSHOLE
KILLER BONG

日時:
2014/12/20(土)
OPEN/START 18:00/19:00

会場:
甲府Conviction 山梨県甲府市朝気2丁目4-1

前売:
3,000円/当日3,500円(税込み/ドリンク代別)

チケット発売日:
2014年10月18日一般発売開始

チケット取り扱い:
ローソンチケット [73742] / ぴあ[243-380] / e+ / 甲府CONVICTION / 桃源響RECORDS

お問い合わせ:
甲府Conviction 電話055-236-0661
info@officeconviction.com

https://event.maryjoy.net/article/105457152.html


IORI (DJ / producer from Okinawa,Japan.Based Berlin) - ele-king

最近、家で良く聴く曲達。

https://www.residentadvisor.net/dj/iori
https://www.clubberia.com/ja/artists/3317-IORI/

Michael Pisaro, Matthew Sullivan - ele-king

 今日発売の『ele-king vol.15』に向けてD/P/Iのインタヴューをおこなったわけであるが、かつての同居人に対しての真面目な質疑応答を経てアレックス・グレーのアーティストとしての核心に近づけた気がする。当時LAのあの家で暮らしていた時間が僕にとって最高にバカバカしく、そして最高にクリエイティヴであったのは、アレックス・グレー、ショーン・マッカン、マシュー・サリヴァンという異なるミュージック・バッググラウンドを持つ3人が、相乗効果によって確実に互いを向上させるという環境があったからだ。

 アメリカが失ったポップ・アイコンへの鎮魂歌としてのアンビエント・ユニット1958 - 2009のマシュー・サリヴァンとアレックス・トゥミー(ミラー・トゥ・ミラー/Mirror to Mirror)やジェフ・ウィッチャー(レネ・ヘル/Rene Hell)等の連中はゼロ年代初頭、「ニューウェーヴ・オブ・LAノイズ」と言われたようなシーンを形成するほど精力的に極端なパフォーマンスを展開させていた。彼らはほぼ同時期にノイズからアンビエントへ移行していった。
 同居していた当時、何度かマシュー・サリヴァンにそういった話を振ってみたが、彼いわくそれは意図的な移行ではなく、そもそもアメリカン・ノイズ・(ノット・)ミュージック・シーンに属したこともないし、アンビエント・ミュージックを志したつもりもないという。じゃあ君は君の音源やライヴをまだ体験したことのない人間からどんなサウンドなのか訊ねられたらなんと答えるんだ? という僕の質問を受けた彼は開け放たれた部屋の窓を指差しながら、こんな音だって言うさ、と笑いながら答えた。朝日が差し込む窓からは風が外の木立を揺らしながら吹き込んでいた。

 彼のギター・ミュージックとしてのプロジェクトであるアーン(Earn)のヘル・オン・アース(Hell on Earth)は個人的に昨年のベスト・アンビエント・レコードである。ある種の達成感を得たと語る彼はアーンとしての活動を停止し、また主宰していたDIYカセットレーベル、〈エクヘイン(Ekhein)〉も停止する。彼がミュージック・コンクレートに没頭するきっかけとしては、アカデミックに現代音楽を追求する自分とは異なるバッググラウンドを持つショーン・マッカンとの共同制作が大きいのはもちろんであるが、なにより彼自身の生活の変化にもよるだろう。それまでのレーベル・ワークスを打ち切り、〈プーバー・レコーズ〉での勤務をはじめた彼は、日々の通勤中に膨大なサンプリングと着想を得ているように思われる。一般論において車移動が当たり前であるLAでの生活において、この家の住民たちのように公共交通機関を主として移動する連中も珍しい。いつだったか、いわゆる通勤ラッシュ時に電車に乗っていた日本人の僕は、ガラガラの車内から見えるフリーウェイの猛烈な渋滞が奇妙でならなかった。妙な話であるが、僕はこのときマシュー・サリヴァンの、日常のありふれた情景とグロテスクさを切り取り、それ自体の意味を曖昧にしながら美しい音楽を編む行為に共感した。

 このレコードはマシュー・サリヴァンとアメリカの現代音楽におけるベテラン・コンポーザー/ギタリストであるマイケル・ピサロによるスプリットである。大げさな言い方かもしれないが、これは異なる世代によるアメリカの現代音楽のいまだ。軽薄な快楽主義者である僕が真面目な批評家がごったがえす領域に対してそんな台詞を放っていいものだろうか、はなはだ疑問ではあるが、このレコードの素晴らしさは無視できない。堅苦しいことは何も言えなくてもうしわけないが、少なくとも僕にはアクティヴィティが下がりがちな寒い日々の隙間にこのレコードが新たな意味をもたらしてくれている気がする。

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